メイン複数SS

無「まーたコイツはコタツでうたた寝かよ……ネコじゃあるまいし」

緑「でも、紫らしいじゃない?」

無「よぅ、緑。なんか珍しい取り合わせだな」

緑「そうね。それにしても、紫の寝顔って可愛いと思わない?」

無「まぁ、寝顔はな。普段のコイツはもうやかましくてやかましくて」

緑「知ってる?あんなにはしゃいでるの、男の人だとアナタの前だけってこと」

無「へ?」

緑「信頼されてる証拠よね。それって」

無「あれって、そんなふうに受け止めていいのか?」

緑「お好きなように」

無「……まぁ、あれはあれで楽しいんだよな。わがままで生意気なだけかと思うと、そうじゃないし」

緑「へぇ。例えば?」

無「怖がりで甘えんぼ。ホラーものが好きなくせに一人じゃ見れなくてさ、いっつも俺んとこ来ては一緒に見ろって」

緑「うんうん」

無「あと、たまにすごく優しいんだよな。ほんっと、たまーにだけどさ」

緑「そうね。動物を見てるときとか、すごく優しい顔してるもの」

無「うん。そういうの見ると、なんだかんだでいいヤツなんだなって思う。可愛いヤツだよな、うん」

青「——あ、ここにいたんだ。 色無、朱色さんが呼んでたわよ?」

無「はい? ……あー、なんかヤな予感。 まぁいいや、じゃあ俺行ってくる」

緑「ええ、がんばって。 さて——紫、途中から顔真っ赤になってたわよ。いつバレるかと思ってこっちがヒヤヒヤしたわ」

紫「う、うるさいな。 ……色無のばか」

青「??」


赤「ぐぅー……」

無「今度は赤かよ。てかコイツ、さては走った後でシャワー浴びて、そのまま居眠りしたな」

緑「そうね。ついでに言うと、下も想像通り下着姿よ」

無「そんな解説はいらないから! ったく、風邪引いたらどうすんだよ……」

緑「大丈夫じゃない?風の子ってくらいに元気だし、この子」

無「それはそうだけど。しっかし、この寒い中よく外で頑張るよなぁ」

緑「私は偉いと思うわ」

無「まぁな。ほーんといっつも元気でさ、疲れなんて知らないんじゃないかって思うよ」

緑「そうね」

無「それでいっつも率先して行動してさ。どんなことでも全力投球。すげぇよな」

緑「ええ」

無「まぁ、せっかく可愛いんだからもーちょい大人しくなれよって思うけど」

緑「けど?」

無「コイツがしおらしくなったら、それはそれで物足りないんだろうなって思う」

緑「……そうね」

無「とりあえず、いつかコイツにリフティング勝負で勝たないとな……ふぇ、ふぇっくしゅ!」

緑「冷えたの?ばかね、コタツに入ればよかったのに」

無「いや、シャワー浴びるつもりで来たからさ。というワケで行って来る。風邪引かないようにしてやってな、頼む」

緑「任せて。じゃあね——……さてと」

赤「みどりーッ!ねぇ、聞いた!? 聞いた!? 色無がさ、ボクのことかわいいって!! やったー!」

緑「ふふ。よかったわね、赤」

青(ジィー)


青「すー……」

無「ふはーさっぱりした……って、あれー?」

緑「赤ならちゃんと起きて部屋に行ったわ。で、その後青がふらふらとやってきてこの有様」

無「納得。コイツがこんなとこで居眠りとは珍しいな」

緑「それだけ疲れてる、ってことじゃない?気持ち良さそうに寝てるでしょ」

無「だな。 ……じゃ、ちょっとイタズラしてみるかな。おーい(ツンツン)」

青「ん……ぅ」

無「青さーん(プニプニ)」

青「んんっ……」

緑「あんまりやると起きちゃうわよ?」

無「いやでもなんか面白くてさ。普段、コイツがここまで無防備になることってないだろ?」

緑「まぁ、そうね」

無「だからつい、イタズラ心が芽生えるというか。今なら怒られないし(プニプニツンツン)」

青「……」

無「でも、やっぱこうして見るとフツーの女の子だなぁ。弓道やってる時とかカッコよくてすげぇって思ったけど」

青「!」

無「もうちょいトゲがなくなればいいのになぁ。料理出来るし、なんだかんだで面倒見いいし」

緑「たびたび助けられてるものね」

無「恥ずかしながら。俺がしっかりすれば、こんなふうに疲れることもないんだろうけど」

緑「でも、それはきっと青が好きでやってることよ。だから、アナタはそのままでいいと思うわ」

無「それはダメだろ人として……っくしゅん!! あー、アタマ乾かさないと。それじゃ」

緑「行ってらっしゃい……さて。いい感じに赤くなってるわね、ゆでだこちゃん」

青「うう、うるさいッ! まったくもう、色無ってば……いしょ、っと」

緑「どこ行くの?」

青「アイツ、どうせいい加減にやるだろうから私が髪を乾かしてあげるの。風邪引かれたらみんなが困るでしょ?」

緑「そうね。じゃあ、行ってあげて。 ただ、その顔の火照りだけはどうにかしたほうがいいわよ」

青「み、緑ってば!もうッ!(バタバタ)」

緑「やれやれ……それにしても、色無って意外と体つきいいのね……ちょっとビックリ」


無「ふぁー、気持ちよかった……青は丁寧にやってくれるなぁ、ホント」

緑「あら、また来たの?」

無「ちょっと飲み物を取りに……で、また違う人が寝てるってどういうこと?」

黄「ぐぅ」

緑「さぁ?」

無「さすがにこうも入れ替わり立ち代わりってのはヘンだよなぁ。どう思う?」

緑「私は知らない。でも色無、もしここで寝てるのが水や白だったらどう?」

無「ん? ……あー、たぶん疑わないだろうな。ははは」

緑「でしょうね」

無「でもしょうがないだろ。だって黄色だぜ? なにか企んでるような気がしてならないだろ?」

緑「さぁね。でもその割になんだか楽しそうよ? アナタ」

無「へ? あー、でもそれはあるなぁ。なんだかんだでバカやらかしてくれるからさ、このバカ」

緑「褒め言葉よね、それ」

無「そのつもり。一緒に居て退屈しないって意味では、コイツのバカはキライじゃないよ」

緑「そう。そうね、私もそう思う」

無「おや、意外な感想。てっきり鬱陶しいと思ってるのかと」

緑「心外ね」

無「ごめんごめん。 さてと、俺は部屋に戻るかな。じゃあまた、お昼にでも」

緑「ええ、また後で……よかったわね、黄色。アナタの心配は杞憂に終わったわ」

黄「ぐー……すぴー……」

緑「……この子、やっぱりバカなのね」


無「さーて待ってましたお昼ごはんー……は、どこですか?」

緑「黄緑さんお出かけにつきまだ用意されてないわ。そうね、青に言えば?」

無「むぅ。 それはそれとして、今度は水色ですか」

緑「このコタツには魔物が棲んでるのよ。たぶん」

水「くー……」

無「……とりあえず、魔物に感謝しておこう。なんていうか、可愛い寝顔だな」

緑「どっちかと言えば、小動物的な可愛さかしら」

無「あぁそれ近い。白とか茶とか、空とかもたぶんそっち系」

緑「ネコ・イヌ・キツネ耳揃ってるけど、着けてみる?」

無「なんでそんなもん持ってるんですか!? そりゃ着けてみたいけど、なんか人として終わる気がするからやめとくよ」

緑「賢明ね」

無「しかし、こうして寝てるときは近づいても大丈夫なんだよな。普段ははぐれメ○ルのごとく逃げ出すのに」

緑「それは昔の話じゃないの?」

無「でもまだ、避けられてる感じはあるんだよ。原因が分かれば俺も対処のしようがあるんだけどさ」

緑「それは大丈夫。だから、自分が嫌われてるって誤解しないで」

無「え、緑……?」

緑「私が保証するから。アナタが誤解してしまっては、水を傷つけてしまうということもね」

無「あ、あぁ……わかった。じゃあ、これからもよろしくな?水(ナデナデ)」

緑「そうそう。それでいいの」

無「なんかよくわかんないけど……(グゥー)……うん、俺ちょっとコンビニ行ってくるわ」

緑「青に言えば作ってくれるわよ」

無「いや、それも悪いかなって。疲れてるんだし。んじゃ、そういうことで」

緑「あ……やれやれ。乙女心を理解しないばか者め。ねぇ、水色——水色?」

水「はぅ……あたま、なでなでされちゃったぁ……えへへへー……(ボンッ)」

緑「……どうやら水の心は理解してたみたいね」


無「ただいまー。あぁもう毎日寒くてホント嫌にな……」

桃「すー……」

無「……」

緑「そんなとこにいると蹴り飛ばすわよ」

無「うぉあ!? み、緑!? なんで背後に」

緑「ちょっと席外してただけよ。で、どうしたの?」

無「いや、べ、別に」

緑「無防備に転がってるそこのおっぱいに見とれてましたって? なるほどね」

無「言ってねぇ!!」

緑「じゃあ思ってたのね」

無「ゔ……いいやもう、否定しない」

緑「あら、男らしい。やーい、えっち」

無「棒読みで言われてもなぁ。しかしまぁ、無防備すぎて困るのは確かにあるんだけど」

緑「俺だって男なんだぜ? みたいな感じかしら」

無「まぁ、そうかも。これでも悩んでた昔に比べれば全然いいんだけどさ」

緑「昔?」

無「小学校の時、気にしすぎててさ。いつも悩んでた。……だからその、俺も助けようとするあまりバカやったんだけど」

緑「いい話じゃない。詳しく教えてくれる?」

無「……あ! お、俺、急用を思い出したので一旦部屋に戻りますッ! じゃッ!」

緑「あ、ちょ……まぁいいか。桃? 教えてくれるかしら」

桃「えっとねぇ。『大丈夫だ! オレは桃のおっぱい、好きだから』って言ってね」

緑「……うん」

桃「『きもちわるくないの?』って聞いたら『平気だぞ! ほら、しょ、証拠に、こんなことできるんだぞ!』って言って、そのまま揉みもみされて」

緑「……少しでも感動しようとした私が間違ってたわ」

桃「それからかなぁ。続けるうちに、なんだか輪をかけて大きくなっちゃって……」

緑(……桃の巨乳秘話は永久に封印しておかないと、血を見るわね)

無(俺は悪くねぇ、俺は悪くねぇ……! すべては、あんな泣きそうな顔であんなこと言った桃がぁ……あぁぁ嘘です神様ごめんなさいっ!!)


無「……(コソコソ)」

緑「懺悔は済みましたか?」

無「うぉあぁ!! ……ねぇ、さっきからどっかで聞いたことある台詞のような気がするんだけど。時にまぁ、落ち着いて? 本は読む物であって殴るものじゃないよね?」

緑「剣はペンよりも強し。故にペンで書かれた本はもっと強い」

無「その理屈は限りなくおかしい。ていうかほらほら、暴れるとそこの子が起きちゃうよ?」

橙「ぐー」

緑「あぁ……この子も狸寝入りだけど」

無「ん? な、なんでしょうか緑さん?」

緑「……はぁ、まぁいいか。桃が救われたってことは事実だし。過程がどうあれ、ね」

無「は、ははは……ごめんなさい」

緑「でも、くれぐれも橙とかに気付かれないように。私も私もーってせがむのが目に見えてるから」

無「あははーはは……コイツもあれがなければなぁ」

緑「あら意外。苦労してるの?」

無「んー、いや苦労ってワケじゃないけど。まだここに来たばっかの頃は、コイツにも助けてもらったっけな」

緑「橙が? どんなふうに?」

無「いやさ、なんだかんだで女の子ばかりのところに俺一人なワケじゃん。だから最初は馴染めなくて、正直に言えば、怖くて」

緑「……でも、橙だけはそうじゃなかった。友達として、あるがままにアナタを受け入れてくれた」

無「うん。あの時、それがどれだけありがたかったことか……忘れそうになるけど、忘れない。だからコイツには感謝してる」

緑「……最初に、ここでの居場所を提供してくれたのは橙だったのね。知らなかった」

無「ここでこんなに地が出せるのは、コイツのおかげだと思ってる。うん……たぶんきっと、そうだ」

緑「そう。今度はいい話が聞けてよかったわ。ところで色無、さっき朱色さんが風呂掃除やっとけって言ってたわよ?」

無「げ、マジで? まぁいいけどさ。じゃあ今ヒマだし、ちょっと行って来るわー。じゃあな」

緑「ええ、がんばってね……とても好かれているみたいね。友達として」

橙「それだけじゃつまんないのになぁ。でもま、今のは嬉しかったから、よしとしてあげてもいっか」

緑「よかったじゃない」

橙「でもダメ。今のでもう完璧に惚れちゃったわ。マズいなぁ……ところでさ、さっき言ってた『色無が桃にしてたこと』ってなに?」

緑「あぁ……実はね(うん、罰という意味でバラしておこう。悪いのは色無だし」


男「さて。風呂掃除も終わったし、ここはおやつでも……」

緑「お帰り。ご苦労さま」

男「……あのさ。そんな涼しい顔して読書してる場合じゃないと思うんだけど」

緑「そうかもしれないわね。じゃあ、引っ張り出してあげたら?」

男「そうする。てかこれ、文字通り『頭隠して尻隠さず』だよな。おーい、でてこーい」

緑「もはや天性のドジっ娘よね、この子。間の悪さといい絶妙だったもの。しかも慌てるあまりにヘッドスライディングして……」

男「今に至るというワケですか。おおかた、頭でもぶつけたかね。おーい、茶色ー?」

緑「茶色、そのままだとパンツ丸見えよ」

『——ごづんっ!!』

男「うわっ!? い、今尋常じゃない音がしたぞ!?」

緑「激しく頭を打ち付けたみたいね。色無、早いところ引きずり出してあげて」

男「わ、わかった。い、よっ……とぉ!?」

緑「あ」

茶「うぅ、ふぁぁ……ぽかぽかで、ぐるぐる……」

緑「……大胆。茶色を引きずり出すついでに、スカートまで脱がすなんて」

男「わ、ワザとじゃないッ!!」

緑「桃の胸を弄り倒したアナタが言っても説得力ないわ。それより茶色が心配ね」

男「頭ぶった上に、コタツの熱でのぼせた……のか? まぁとにかく、俺が部屋まで運ぶよ。よいしょ、っと」

緑「そう。でも、目が覚めたらまた落ち込むでしょうね。この子」

男「やっぱり自分はドジなんだなぁって? ……それでも、何度でも頑張れるからすごいよ。茶色はさ」

緑「天才とは、努力し続ける者のことを言う。どこかでそんな台詞を聞いた気がするわ」

男「ははっ。だとしたら、コイツは天才だよ。さてと、それじゃ俺はちょっと茶色を置いてくる」

緑「ええ、行ってらっしゃい……くす。背中で真っ赤になってる茶色、可愛かったな」


男「あー疲れた……。さて、今度こそおやつおやつ……」

緑「おかえり。ずいぶん騒がしかったみたいだけど?」

男「聞こえてたか。いや、茶色を部屋に連れてく途中に、ちょっとね……」

緑「うん、だいたい分かるからいいわ」

男「それはありがたい。さーて甘いもの甘いもの……お? なぁ緑、これってなに?」

緑「あぁ、それは……確か、黒が白のお見舞い用にって作ったクッキーね」

男「おぉー。なんか、保育園とかで食べそうな感じの可愛いクッキーだな。でも、お見舞い用じゃダメだな……なんか別の探そう」

黒「……(チョンチョン)」

緑「? ……でもそれ、白が退院したから用なしねって言ってたわ。だからもらっちゃっていいと思う」

男「え、ホント? でもあとが怖いな。万が一怒られたら……うぁぁ」

緑「大丈夫。ちゃんと私が責任取ってあげるから」

男「……そこまで言うなら信じるよ。じゃあ、いただきます(モグモグ)」

緑「お味はどう?」

男「……これは白専用クッキーということを理解した。めちゃくちゃ甘い。クッキーって砂糖を固めて作るお菓子だっけ、ってくらい」

緑「そういえば白は無類の甘いもの好きだったっけ。なるほど、黒らしいじゃない」

男「確かに。黒は嫌いなヤツにはそりゃもう冷たいけど、気に入ったヤツには優しいもんな」

緑「あの性格、私は好きよ。変に馴れ馴れしくするより、よっぽど自分に正直だし」

男「だけど心配になるんだよ。ヘタな因縁つけられたりとか、さ。世の中、どんな人間がいるのかわかったもんじゃないし」

緑「それもそうね」

男「まぁ、そんときは俺たちが助ければいいんだけどな。アイツ、なんだかんだで寂しがりやだしさ」

緑「へぇ。それは初耳ね」

男「そうか? だって、寮にいるときは必ず誰かといるじゃん。灰色や白、あと俺の部屋にもよく来るし」

緑「……ふぅん、なるほど……あ。色無、部屋で携帯が鳴ってるみたいよ」

男「え? こ、こっから聞こえるのかよ。バイト先からだとマズイし、ちょっと見てくるな。ありがと」

緑「ええ……ねぇ黒、別に隠れなくたってよかったと思うんだけど。大丈夫?」

黒「……うん。ありがと、緑。はぁ……参ったわ。寂しがりやなんて言われちゃった」

緑「いいじゃない。アナタには、頼れる優しいナイト様がいるんだから」

黒「あはは。すごく甘い響きね、それ——ふふ。それならあのナイト様を、私の専属にしなきゃね」

緑「くす。ライバルは多いわよ、頑張ってね」


無「お、今年もついにコタツが出てきたかぁ」

緑「少し早い気もするけど」

無「しっかり定位置に陣取ってるヤツが言うかよ、それ」

緑「うるさい」

無「はいはいすいませんでしたっと。にしてもこれ、誰が出したの?」

緑「黄緑さんよ。ほら、早速そこで堪能してるじゃない」

無「あ、ホントだ……こういうのって寮母の朱色さんがやるべきだと思うんだけど」

緑「何を今さら。ここの実質的な寮母は黄緑さんでしょう?」

無「あぁ、まぁその通りだけどね……ご飯とかいつも黄緑さんが作ってるんだよな」

緑「ちゃんと感謝してる?」

無「当たり前だろ。自分のことで忙しいはずなのに、面倒見てもらってるんだから」

緑「へぇ」

無「そういえば、こんなふうにのんびりしてるところを見るのも珍しいな。やっぱ疲れてるのかな?」

緑「かもしれないわね」

無「やっぱ大変なんだなー……」

緑「なに見惚れてるのよ」

無「い、いや別にそんなつもりはッ」

緑「ふーん」

無「うぐ。あ、お、俺ちょっとやることあったんで部屋戻るわッ」

緑「ふーん……よかったですね、黄緑さん」

黄緑「そうねぇ、ふふっ。わざわざ用意した甲斐があったわ」

緑「お疲れ様でした。それにしても、いったい誰が手伝ったんですか?~今日は朱色さん見かけませんでしたが」

黄緑「え?~押入れにあったのをひとりで引きずりだしたけど……?」

緑「ひ、ひとりでコレを、ですか?」

黄緑「ええ。何かおかしかったかしら?」

緑(……ゴクリ)


男「んー、おっかしいなぁ」

緑「どうしたの?」

男「あぁ、白が部屋にいないんだよ。知らない?」

緑「白ならそこにいるけど?」

男「え」

白「くー……むにゅ」

男「あ、なんだ。いやぁよかった、一安心」

緑「そんなに心配してたの?」

男「そりゃあ、まぁ。見てないところで倒れてたりしたらって思うと、どうしてもな」

緑「……」

男「こればっかりはしょうがないとしか言えないのが、悔しいけどさ。でも、しょうがないんだよ」

緑「……色無?」

男「なんでなんだろうな。いい子で、素直で、大人しくて、優しくて……」

緑「色無。あなた、泣いてるの?」

男「いや……ごめん。はは、なんで俺が」

緑「——気にするなとは言わない。でも、気に病んではいけないと思う」

男「え」

緑「それこそ白が可哀相。ねぇ、もっと見るべきことがあるでしょう?~白は病気のことばかり気にしてる子だった?」

男「……あぁ、そうだなぁ。たまにお見舞いに行くと、子どもみたいに喜んでさ。それに寮にいるときだって」

緑「よしよし。考えが真っ当になったところで、そのみっともない顔をどうにかしてきなさい」

男「へ?~あ、そうか。やべ、じゃあちょっと洗ってくるよ」

緑「いってらっしゃい……なんだか複雑そうね、白」

白「だって、そりゃ色無くんの言葉は嬉しかったけどっ。でもわたしが言おうと思ったこと、緑ちゃんにぜんぶ言われちゃったもん」

緑「いいじゃない、あとで白からも言ってあげれば。それくらいでちょうどいいわよ」

白「むー。でも、うれしかったよ。あんなふうに言ってくれたの、緑ちゃんが初めてだもん」

緑「ぅ……わ、私より、色無をかまってきたら?~ほっとくとまたオレンジに取られるわよ?」

白「くすっ。じゃあちょっとお話してこようかな。緑ちゃん、ありがとねっ!」

緑(ふー……あんな妹がほしいなぁ、なんてね)


男(ふぅ、夜になると寒いなぁやっぱり。ちょっとコタツ入ろうっと)

緑「すぅ……」

男「あれ、緑?~なんだ、うたた寝してるのか」

緑「……」

男「そういやみんなここで寝てたことあったけど、緑だけいっつも起きてたよなぁ。本読んで」

緑「……」

男「でもこうやって見てみると、いつもとは違うよなぁ……」

緑「……」

男「……」

緑「……」

男「……」

緑「……」

男「ぐぅー……」

紫「起きろこのバカ無ッ!」

男「んがッ!? いってぇ……い、いきなり蹴っ飛ばすなこのバカ!」

紫「こんなとこで居眠りしてるバカに言われたくないわよ!」

男「はぁ!? オマエ、そこに緑だって寝てるのになんてことを——あ、あれ?」

紫「緑? 緑ならとっくに部屋にいるけど。アンタみたいなバカと違ってきちんとしてるからねー」

男「うぐ……ほ、ほっとけ!」

緑(ふふ……みんなの為に一肌脱いだんだもの、あれくらいの見返りはあって当然よね?)

紫「あれ? ねぇ色無、ほっぺに何かついてる——」







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 12:21:11