侍黒メインSS

男「てぇーへんだ!てぇーへんだ!」

侍「阿呆みたいに騒ぐな。あと普通に喋れ」

男「色無の旦那が闇打ちにあったらしい」

侍「ふぅーん。あの好色には良い薬ではないか」

男「一応、俺達の仲を取り持ってくれたじゃん。お見舞いくらい行かね?」

侍「なんだ生きてたのか?てっきり死んだのかと。某もまだ仕事があるし、夕刻に行くか」

男「失礼するよ」

無「お、男に侍黒か」

侍「なんだ。思ったより元気そうではないか?」

無「ただ腹を少し斬りつけられただけだからさ」

男「どこでやられたんですかぃ?」

無「朱色さんの宿屋の前をふらぁと歩いていたら、ね」

侍「なんでそんな所を?」

無「黄緑と黄の飯所からの帰りだった」

侍「とりあえず元気で何よりだ」

無「緊張したんだろうな」

男「何で?」

無「向こうも初めてだったんだろ。人を殺すのはよ」

侍「それはそうだろう。某ですら人を殺めたことは」

無「女だった」

男「……あーらら」

侍「顔は?」

無「わからない。手拭いで隠してたし、少ししか見れなかった。だが腕を掴んだ。あの細さは女だ間違いない」

男「心当たりは?」

無「(ボリボリボリ)……ありすぎて困るぐらいだよ」

侍「好かれすぎるのも問題だのう」

侍「何で某達が聞きこみをせねばならんのだ」

男「たまにはいいじゃない?同じ寺子屋で育った仲だし人助けだと思ってさ。」

侍「さて、ここが黒の屋敷か」

男「ささ、どうぞどうぞ」

侍「なんで某から行かねばならんのだ!」

男「だって黒はこの辺一帯を占める侠客の若頭ですよ!?縁故があるだけで入れる屋敷じゃ」

薔薇無「姐さんの屋敷の前で何してるんだい?とりあえず男のほうは俺のケツに」

黒「お待ち。この人達は友人よ。中に迎えてあげて」

黒「その噂は聞いてる」

侍「調べはついて」

黒「ない。一切」

侍「そうか」

男「なぁ黒、頼みがあるんだ」

黒「何だ?」

男「黒にはこの話から手ぇ引いてもらえない?」

黒「何の話かと思えば。下らない」

侍「犯人は女なのだ」

黒「……。そう、残念」

男「つまり色無に想いを寄せる奴が濃厚なんだ」

黒「なら私からも一つ条件があるわ」

侍「聞こう」

黒「犯人がわかっても絶対に私の耳に入らないようにして」

侍「邪魔をしたな」

黒「最後に一言、何で私が色無を斬った者でないと言い切れるの?虚言を吐いているかもしれないわよ?」

侍「貴様は自分が思ってるよりも単純だ。それだけの話だ」

黒「そう。そうかもね」

侍「一旦色無の所に戻るか」

男「そうだな。それぞれどんな商いに就いたか俺はまだ把握してないからな」

白「あ、侍ちゃん、男君久しぶりです」

男「あれ?もしかして白!何してんのさこんなところで!」

無「いい忘れてたけどこの傷の手当てしてくれたの白なんだよねぇ」

白「この前は水ちゃんの所へ薬草を取りに行って看病できなかったんです」

無「今じゃ白は立派な医者だ。あの夜白に会わなかったら危なかったよ」

白「す、すいません!あの夜も水ちゃんの所へ薬草を……」

侍「時に色無、それぞれがどのような商いに就いたのかが知りたい」

無「まさかお前ら、調べるのか?」

男「まぁね。後味悪いじゃん?」

侍「黒、青、黄緑、黄、それと今聞いた通り白と水はわかった。あとの奴らを聞きたい」

無「……まずは赤だ。赤は今飛脚をやっている。今頃会津あたりじゃね?」

男「赤に犯行は無理だな」

無「桃は朱色さんの宿屋専属の踊り子。紫は橙が営む問屋で簪を作ってる」

侍「桃らしい」

無「黒の所に行ったらしいが茶には会わなかったのか?茶は今黒の元で下女をしているようだが」

男「いや、会わなかった。多分黒は巻き込みたくなかったんだろ。茶はああ見えて正義感強いからな」

無「さて最後に緑なんだが……」

侍「あやつ、何か危ない橋でも?」

無「いや、緑は今『緑ノ椿』の名で書物をしている」

侍「まさか!あやつが!青の寺子屋に置いてあったのを読んだのだが……」

無「だけど他に……男、ちょっとこっちこい。(コショコショコショ コショコショ)」

男「如何程に?」

無「あぁ、巷の極度な好色貴族に馬鹿売れらしい」

侍「大体想像はつくが教えてくれ」

侍「今のところ黒と赤以外に疑いがあるな」

白「そんな……!」

男「別に白ちゃんがまだ犯人だなんて行ってないから。大丈夫だよ」

無「そうそう、白は優しいから。大丈夫。俺、白のこと信じてるから」

白「色無さん……」

侍・男(それが刺される原因なんだよ!)

侍「緑ー。いるかー」

緑「(ガラ)朝からそうぞうしい。……中に入りなさい」

侍「大体察しはついてるだろう」

緑「あの日の夜、私はそうだな……亥(PM9〜11)の時刻に外に出てた。確か色無もその頃に……」

男「何しに外へ?」

緑「黒のとこの男衆に渡す物があった」

侍「成程。黒も良い人選をしたものだ」

緑「詭弁するわけではないがあの夜、私は桃と水色が歩いているのを見た」

侍「桃と水か。わかった。ありがとう」

緑「ところで私から頼みがあるんだが」

侍「お前も黒と変わらんのう。何だ?」

緑「友人の夫とはいえ言いにくいのだが男君を貸してくれないか?最近は書物だけではなく春画の」

男「やめて!お願いだからやめて!」

侍「不覚にも貴様の書いた詩集に感動した。手形をくれるなら」

男「俺の体はサイン以下か!」

侍「不味いな」

男「今更後悔しても遅いよ。僕の体は黒の屋敷の男共に妄想の中で犯され続けるんだ」

侍「色無を斬ったのは白かもしれんなぁ」

男「何で!何で白ちゃんが!」

侍「あやつ、あの夜は水の所へ薬草を取りに行くと言っておった。しかし肝心の水は桃と歩いていたのだぞ」

男「じゃあどうして今まで旦那を殺さなかったんだ?床から動けない今が頃合じゃない?」

侍「そこなのだ。多分都合良く某達が来たからかもしれんな」

男「俺、ここ数日鍛治休んで旦那の様子見てるよ」

侍「……」

男「わかった。言い方が間違ったな。白が旦那を殺さないように見張ってるから」

侍「いやはや、さっき緑に貸した時にそっちに目覚めたのかと」

男「ほらお前も用心棒があんだろ!早く金さんの所行け!」

侍「今日も異常なし。それで小判2枚か……流石金殿よのう。これで当分は」

シュ

侍「危なっ!誰だこんな物騒なことする族は!」

?「……」

侍「仮面をつけた者が小太刀で襲ってくるなんてシチュが実在するとはな!」

?「……。(タッ)」

侍「(キィン)正直こんな状況に憧れていたわけではないが……!(ゲシッ)甘い!」

スパッ        カラン

?「痛ッ!」

侍「色無の件に関わることが不服と申すならその刃で某を仕留めてみせよ!」

?「……。(タッタッ)」

侍「……ふぅ、引いたか。(ペタン)某も腰が抜けた。だが、こうしてもおれん早く色無の元へ……立てん」

桃「あれ?侍ちゃん?そんなとこ座り込んでどうしたの?」

侍「あぁ桃よ。ちょっと肩を貸して」

ボヨンボヨン バインバイン

侍「やっぱいい。自力で立って見せる」

桃「そんな無理しなくてもいいよ!よっと」

侍「(ムニュ)柔らか〜い。……(';ω;`)」

桃「きゃっほー!色無ぃ!(ガバッ)」

無「う!」

白「駄目だよ桃ちゃん!安静にしないと色無さんの傷口また開いちゃうよ!」

桃「はぁーい!」

男「(ボソ)白に異常な行動は見られなかった。が、疑問なのは水の所に薬草を取りにいったはずなのに手ぶらで戻ってきたんだ」

侍「充分異常だろうが!その間某は……某は……」

男「(ギュゥ)よしよし、頑張ったよ。(ナデナデ)侍ちゃんは頑張ったよ」

侍「う……うぅ……」

桃「仲睦まじくていいなぁ」

男「これ気にしないで。用心棒やってて刺客とかけちらした時いつもこんな感じで泣くからさ」

無「てことは何?襲われたの?」

侍「そうなのだ!仮面をつけた女に襲われたのだ!」

男「先言え馬鹿」

白「怪我とかしてないんですか!ちょっと見せてください!」

侍「某は大丈夫だ。ただ向こうには腕に怪我を……。桃!白ッ!腕を見せてみろ!」

桃「えっ?急になんなの?」

白「そんな!私達を疑っているの!?」

侍「何、腕を見せてくれれば即座に解決だ」

桃「はい。正直に見せます!正直に言います!私は腕に怪我してます!」

白「実は私も腕に怪我してるんですよね……」

男「ありゃ?」

桃「わ、私のは三味線をいじくってたら弦が切れて……。でも朱色さんに聞けばわかるわよ!」

侍「白は?」

無「白の傷は俺の傷を縫ってる時に鋏みで間違えて切ったんだ。俺が見てるからな」

白「あ、はぃ……」

男「じゃあ誰が我が愛する妻を……」

侍「余計なことは言わんでいい!そうか、すまなかった」

無「もう遅いから3人とも帰った方がいい。夜も更けてきたからな」

侍「じゃあ一体誰が某を……某を……(モゾモゾ)……あああああああああああ!!!!!!!!!!!」

男「どうした!ビビッっと来たか!何か来たか!」

侍「色無の長屋に小判忘れたぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」

男「色は?枚数は?」

侍「金が2枚!(この時代の小判2両は現在の価値にして16万円)」

男「マジですか?こうしちゃおれん!」

男「そして到着!旦那ぁ!取得物横領は……あれ?」

侍「こっちだ!まずいことになってる……!」

白「ぃろ……し君」

無「しろぉ!喋るな!」

白「ぃろな……も……あん……せいに……なきゃ……駄目……だょ……」

無「俺はもう大丈夫だから!誰か!誰か来てくれ!白がッ!」

白「医……ゃは……こぉに……ぃるよ……」

無「そうだよ!せっかく医者になれたんだろ!?お前が今までかかってた病を治すんだろ?沢山人を助けるんだろ?」

白「そぅ……だね……ぇも……無理……だょ……」

無「無理じゃない!できる!できるよ!こんなに白は頑張ってるんだから!」

白「あり……ぁとう……い……ぉなし……ぅん……かば……てくれ……て」

侍(かばった?)

無「かばった?あんなの当然だろ!」

白「おこ……てなぃ……の?」

無「怒るわけないだろ?第一白がつけた傷はほら、白が治してくれたんだ!貸し借りはなしだよ!」

侍(やはり色無を襲ったのは白だったか……)

白「ごめ……な……さ……わた……だめ……」

無「何言ってんだ!俺もお前も傷なんてチャッチャと治してさ!桜見に行こう?二人で黄緑さんの作った草団子食べてさ!」

白「ぅん……たの……みぃ……」

無「あとはな、あとはあと……あと……白?白ぉ?まだ続きあるんだぞ?おい!白ぉ!白ぉ……!」

侍「色無を襲ったのは白なのは明確だ」

男「つまり他に白を殺した犯人がいるってことか」

侍「しかし動機がわからん。これはまた一から聞き込みに行かねばならんのかのぅ」

男「そういば白の葬式は明後日だったかな。黒が喪主を務めるんだとか」

侍「今は白の屋敷は入れないんだろうな。奉行所の輩共がうろついて」

ドサッ

侍「色無!貴様ッ!大丈夫なのか!?それにこの書物は?」

無「ここらの巻物は白の医療記録だ。役にたつかと思ってくすねてきた」

男「これは白ちゃんの形見じゃ……」

無「そう思うならまた後で返してくれ。じゃあ、俺は仕事があるから」

侍「待て!白が何故貴様を」

男「あーほっとけほっとけ!今は静かに考えさせてやれ」

侍「何をだ!今は白を殺した犯人を」

男「好かれすぎるが故にこんなこと起こったんじゃ喋る気にもならねぇよ」

侍「しかし、白もお茶目だの。これでは医療記録と言うより病人との日記ではないか」

男「この巻物見てみろ。表紙に四葉の白詰草の押し花がしてあるぞ」

侍「明らかに『意中の者の記録です♪』的な雰囲気が……」

一日 今日は傷口の縫合。薬草での殺菌。まだ意識がない。

二日 やっと色無君が起きた。嬉しい。でも悪いのは私なんだよね。なんでこんなことを……

三日 ~今日は侍黒ちゃんが来た。私の事を探っていた。悪い事をしたんだもん。しょうがないよね……。

四日 やっぱり私は間違ってた。色無君は誰の物でもないのに私一人が独占しようとして……。近いうちに自首しよう。

男「こんな痛い娘だったっけ?」

侍「緑を思い出せ。見た目は冷血だが筆だけは熱血だろう?」

男「成程。とりあえずこの記録を読む限り白は元から色無を殺す気はなかった」

侍「魔がさして色無を襲い、一時的であれ色無を独占したかった。と、いったところか。じゃあ誰が白を殺したんだ」

桃「白ちゃんが殺された日は真っ直ぐ宿に帰ったよ!ねぇ?」

朱「(プカー)残念だけどその通り。あんた達が別れた時刻と変わらないぐらいにこの子は帰ってきたよ」

男「よかった。そうだ!旦那がやられた日も桃ちゃんは水ちゃんといたらしいね?」

桃「お得意様の玉虫色さんのお見送りよ」

侍「(ボソ)アフターか」

桃「ちっ、違うわよ!あと、その帰りに水ちゃんと会ったけど白ちゃんの家に薬草を届けに行くところだったのかな?」

侍「水ー。入ってもよいかー」

水「どうぞ」

男「すごい数の生け花だなぁ」

水「ど、どうぞ。そ……粗茶ですけど……」

侍「気を使わなくともいいのだが」

水「あの……白さんは……」

男「……残念だけど」

水「私の仕事……誰も話す人いなくて白さんだけが唯一の話し相手だったのに……」

侍「水……」

水「なのに……なのにぃ……」

男「水ちゃん!よく聞いて!色無さんが闇打ちにあった日何かあっ?もしくは誰かにあった?」

水「……えぐっ。あ、あの夜は帰りに緑さんが長屋に戻るのを見ました」

侍「見てた者も見られてたのか」

男「ありがとうさはあ水ちゃん。俺達頑張って白ちゃんの仇、探すから」

侍「どうも腑に落ちぬものがあるな」

男「何が?」

侍「もう一度緑のところへ行く」

侍「すまんな。また押し掛けてしまって」

緑「いいんだ。それで何か?」

侍「ちょっとしたことなんだが色無が天誅をもらった日、桃と水を見たといったな」

緑「いかにも」

侍「それはどの道でいつ見たのだ?」

緑「帰りに黄緑の飯屋の前だ」

侍「それともうひとつ行きは誰も見なかったか?」

緑「行きは人気が全然なかった」

侍「わかった。ありがとう」

葬式当日

黒「今日は皆さん御集まりいただき本当にありがとうございました」

パチィン

黄緑「馬鹿ッ!白ちゃんは色無さんを守ったのになんで色無さんは……!」

無「ごめん……」

黄「黄緑さん落ち着いて。ね?」

黄緑「これじゃ白ちゃんがあんまりよ!あんまりすぎる……!」

無「俺だって助けたかったよ。でも間に合わなくて、白その時は血が背中から沢山出てて俺何していいかわからなくて」

青「色無はよくやったわよ。最後まで白ちゃんのそばにいてあげたんだもん」

黄緑「……ごめんなさい」

無「青……黄緑さん、すいませんでした」

黒「頭を上げなさい。白はそんなこと望んでないわ。むしろ青の言った通り最後まで一緒だったことを幸せに感じたはずよ」

侍「さて、そろそろいいのではないか?」

男「君だろ?水ちゃん」

水「……はい」

侍「やけに素直だの?」

水「何か確信があって私を特定したわけですから……」

侍「水は知っていたんだろう?白が色無を襲ったことを……」

男「確かあの夜の白の記録には『水ちゃんの所に薬草を忘れた』と書いてあった」

侍「そして白の元へ薬草を届けに行った。だろう?」

水「そうです……そこで見てしまったんです。白さんが色無さんに刃物を突き立てているのを……」

侍「主要な者の長屋を順に並べると黒、緑、白、朱、黄緑の順になる」

男「桃の証言、ここに食い違いがあった。桃は水と出会ったとき水が白の所に行くものだと思っていた」

侍「なぜなら薬草を持っていたからだ」

男「緑は帰りに二人を見ているんだ。水ちゃんも緑を見てるんだよね?薬草を白に渡した『帰り』に」

水「……」

侍「緑の行く先は黒の屋敷だけ、他に用はない。こうなると容疑はお前と桃の二人だ。しかし緑が二人を見たのは黄緑の飯屋の前」

男「桃は玉虫色さんを送った帰りで朱色さんの宿屋に帰る途中、玉虫色さんの屋敷は黒の屋敷の反対方向だからね」

侍「つまり白の長屋から朱色の宿屋の前を歩いていたのは水……。お前だけなんだ」

男「気が動転して薬草を手に持ったまんま帰っちゃったんだね?」

侍「白の強行を見た以上憤りを感じるなとは言わん。しかし何故このような事を……」

水「色無さんを傷つけてなお看病をする白さんの行動には疑問を持ちました。でも私なりに調べてわかったことがあったんです」

侍「あーわかっとるわかっとる。たしか白がお前から受け取っていた薬草の効能のことであろう?」

水「わ、わかるんですか?」

侍「一応白の身辺は調べたからな。名前は忘れたが確か調合の具合によっては人体に支障を与える物があった」

水「そうなんです。心底侍ちゃん達が来てくれて安心してました。これで色無さんは大丈夫、後は白ちゃんを」

男「もし白ちゃんに殺意なんて無かったらどうする?」

水「えっ!?」

男「傷をつけるだけで殺すまでの必要が無かったのを知ってたら水ちゃんはどうしてた?」

水「そ、それは……」

男「白ちゃんは薬草を正しく処方していたよ。毒なんて一切調合してなかった」

水「そんな……白さんは色無を殺そうと……!」

侍「水、落ち着いて聞け。あやつは、白は奥手すぎた。桃のように抱きつく勇気もなけれは赤のようにはしゃぐ体力もない」

水「私……私……」

侍「白は構ってほしかったのだ。無器用だから、あんな方法しかとれなかった。しかしあやつも心の中では罪悪感を感じていた」

水「あ……ああ……」

侍「自分の過ちに気付いておったのだ。色無の傷が癒えたら自首し」

水「あああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!(シャキン)」

キィン        カラッ カラン

水「じゃ、邪魔をしないで!私を……死なせて下さい!お願いしま」

侍「馬鹿者!白の次は己も殺すのか!白は貴様の死など望んでおらん!」

水「じゃあ何を!何をすれば私は白さんに、白さんに償いができるんですか!」

侍「(ギュ)簡単ではないか。水が白の墓の前に行き白の好きな花を置いてやればよい」

水「うっ……っうわぁ……」

黒「なんのよう?」

侍「この件に関して、犯人の名が耳に入らぬようにと」

黒「私が知っているのは水が尼寺に入門したことだけ、他はさっぱりよ」

侍「そ、それは……」

黒「そろそろ地回りの方があるから。さっさと帰った方がいいわよ」

黒「ふぅ……」

灰「お姉さまお姉さま」

黒「どうしたの?」

灰「お花」

発覚から3日後、水が尼寺へ行ったことを知った。前日に同じ寺子屋で育った者達の長屋に花を置いて。

侍「……勝手よのう」

男「旦那のこと?」

侍「己だけに選択権があると思って女の意見は無視しよる。武家だの農民だのみんな継ぐのは男ではないか」

男「旦那は既に選択してるよ。旦那は多分これからもずっと独り身で『十二人』から特別を選ぶなんてこたないな」

侍「本当に勝手な奴だ」

男「旦那みんな好きなんだ。だから優しさを『十二』等分した。よって誰かに片寄るなんてことはないよ。旦那、ああ見えて固いよ?」

侍「だといいのう。しかしそれなら貴様からの愛を一心に受けてる某はなぜこんなにも不幸なのだろうか?」

男「おまっ……いつも愛してあげてるじゃないか!」

侍「ははは、冗談冗談。某は充分幸せだ」

ユキヤナギ  学名:Spiraea~thunbergii

バラ科 シモツケ属の落葉底木

手を掛けなくても生長し、大きくなると1.5mほどの高さになる。地面の際から枝がいく本にも枝垂れて、細く、ぎざぎざのある葉をつける。

花は、3月から5月にかけて、5弁で雪白の小さなものを枝全体につける。そのさまから和名がついた。

花言葉 愛らしさ・懸命・静かな思い







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 11:24:05