スクールデイズ

『風の日』

びゅー

黄「きゃっ!」

橙「うおっ」

黄「橙……見た?」

橙「……高3にもなってバックプリントはないと思うぞ」

黄「……見といてそんなこと言う?」

橙「つーかお前子供っぽいの好きだよな」

黄「うるさいなあ……ってなんで知ってんの?!」

橙「……お前は昔っから無防備すぎなんだよ」

黄「なにそれー」

橙「……俺以外にはぜってー見せんなよ?」

黄「え……あ……うん」


『曇りの日』

黒「おい白、傘は持ったか?午後から雨が降ってくるかもしれないぞ」

白「うん、持ったよ」

黒「リップクリームは大丈夫か?曇りの日は意外と紫外線が多いからな」

白「大丈夫だよ」

黒「羽織るものはあるか?雨が降ったら冷えるかもしれないぞ」

白「うん」

黒「よし、じゃあいくか」

白「うん!……ねえ」

黒「何だ?」

白「なんだか黒くんお父さんみたいw」

黒「……そ、そうか」

白「うん♪」

黒(また最近過保護になってきたのかもな……それにしても『お父さん』か……)


『Q 恋人の体の部位でどこが一番好きですか?』

赤「そりゃ当然むね——じょ、冗談に決まってるだろ……んー、……あえて言うなら髪、かな」

黒「お前のは冗談に聞こえない。俺は……そうだな、肩、かな。絶対守ってやりたくなる。まあ、本人に言えるようなことじゃないんだが」

赤「言うねえ」

黒「まあな」

橙「俺は……なんだろ。んー……部位じゃねえけど、あいつの声は、なんか安心するな。昔っから聞きなれてるしな」

赤「まあ、どこかってよりは全部好きなんだけどな」

黒「当然だな」

橙「さらりと言えるお前らはすげえよ……」

青「私は……目かな。赤が『あの』目の時は別人みたいになるのよね……」

白「全部、はダメですかね……あ、私、胸が好きです!」

黄「胸?」

白「うん。なんか……黒くんの匂いがするの」

青「……そういう状況が多々あるってことなのかしら」

黄「突っ込んだら負けですぜ、姉さん」

白「?」

黄「うーん、あいつの体の一部ねえ……背中?」

青「背中?」

黄「あ、いや、なんでもない! な、なんで顔が赤くなるあたし?!」

白「正直一番なんて決められないよね」

青「まあ……そうよね」

黄「……うん」


『二人乗り』

黄「あ、橙今日チャリなんだ」

橙「なんとなくな」

黄「いいなー楽なんだろーなー」

橙「わかったわかった、ほら乗れ」

黄「え、いいの?なんか催促したみたいで悪いねえw」

橙「したようなもんだろ……」

黄「なんか言ったぁ?」

橙「いいえー」

黄「なんか久しぶりだねー」

橙「そうだな。……しっかり掴まってろよ」

 キィ

黄「う、うん」

 ぎゅ

橙「!!!」

 ぐらっ

黄「きゃ!!」

橙「うわっ!」

黄「何してんの!」

橙「わ、わりぃ! (何だよこの背中の感触!反則だろ!!)」

黄「しっかりしてよねー」

橙「はいよー (事故んねえように最大限気をつけよう……)」

黄「よし!ゴーゴー!!」


『カレー』

黄「カレーできたよー♪お昼にしよう!」

橙「手料理作るってこれかい。別にいいけどよ」

黄「だって得意なんだもん」

橙「知ってるっつーの。てかお前カレー以外作れんの?」

黄「失礼な。黄色サマの本気はバレンタインで思い知ったでしょ」

橙「あーそうだった。じゃあ他の料理も作れるんだ」

黄「……お菓子の作り方ならわかるんだけどねぇ」

橙「おい」

黄「えへ☆」

橙「ま、いいけどよ。……もっと色々作れると、俺の将来も明るいんだけどな」

黄「あはは、頑張ります……」

橙(んー、気付かなかったか?ちょっと恥ずかしかったんだけど)

黄(あれ?今重大なことをスルーしてしまったような……)


『無知』

白「ねえ黒くん」

黒「なんだ?」

白「コウノトリさんはいつ来るのかな?」

黒「は?」

白「もしコウノトリさんが間違えて結婚する前の人たちに来ちゃったら大変だよね? 私たちのところは大丈夫かな?」

黒「……大丈夫だろ」

黒「おい、バカ赤。どういうことだ」

赤「なんで真っ先に俺んとこに来るんだよ……」

黒「こういうのの元凶はたいがいお前だからだ」

赤「ひでえな……まあ、今回はその通りだけどよ」

黒「なんであんな嘘情報を刷り込んだんだ?」

赤「だってよ、白が、赤ちゃん可愛いって話題から素で『私も赤ちゃんほしいけどどうしたらいいのかな?』って言ってくるんだぞ!? 他にどう返せって言うんだ!!」

黒「それにしたって常識はずれだろうが!」

赤「つか、さすがに保健の授業で知ってんだろ、普通!」

黒「白はその授業のとき学校休んでたんだよ!」

赤「じゃあ俺にありのままを語れってかゴラァ!」

黒「だからってコウノトリはねえだろ!」

白「え? 赤ちゃんってコウノトリさんが運んでくるんじゃなかったの?」

黒・赤「あ、白……」

白「赤くんこの前そう言ったのにー」

赤「えっと……それはだな……」

白「じゃあ、どうすれば赤ちゃんできるの? 結婚すると自然に?」

黒・赤「……」


『香水』

赤「なんか匂うな、橙、お前なんかつけてんの?」

橙「まあ、軽くな」

赤「前までつけてたっけか?」

橙「いや。……一応、相手がいるわけだしな」

赤「……あー。やっぱそういうもんかねえ」

橙「一応だ、一応」

赤「俺は気にしねえけどなあ」

橙「お前はもうちょい気にしろ」

黄「橙ー、待ったー?」

橙「いや別に」

黄「ごめんごめん。……ん?橙、なんか匂わない?」

橙「ああ、俺。香水軽くつけてるから」

黄「……ふーん」

橙「気になる?」

黄「……なんか、橙じゃない人みたいでヤダ」

橙「マジで?!」

黄「うん、なんかヤダ」

橙「……」

赤「あれ?お前今日は何もつけてねえの?」

橙「ああ。……もう絶対つけねえ……」

赤「?」

 翌日

橙「黄色、まだ変な感じするか?」

黄「ん〜(クンクン」

橙「どうだ?」

黄「ん〜(クンクン」

橙「お、おい」

ぎゅっ

黄「うん、合格。たいちゃんの匂いだ♪」

橙「お、おう。さ、サンキュー……」

橙(香水GJ!)


『○○の日』

黄「橙!お弁当作ってきたんだ!一緒に食べよ♪」

黄「一緒に帰ろ♪」

黄「手、繋いでイイ?」

黄「今日遊びに行っていい?」

橙「……黄ぃ、お前、なんかあった?」

黄「? なんで?」

橙「いや、なんか……今日のお前、不自然」

黄「そ、そう?」

橙「ちょい気になった。で、なんかあったの?」

黄「だって今日は……ゴニョゴニョ」

橙「今日?何の日だっけ?」

黄「……ぃびとの日」

橙「え?」

黄「恋人の日!~」

橙「……恋人の日?」

黄「そう!だから、なんか恋人っぽいことがしたかったの!

 ……いっつも、せっかく二人になっても『幼なじみ』で過ごしちゃうから」

橙「……」

黄「……ヘンだったかな?」

橙「……っかやろ……っ」

黄「え?」

ぎゅっ!

橙「こんのバカ……いや、わりぃ。……ったく、こーゆーことがほしいならいくらでも言えっつの」

黄「え、ええ?」

橙「お前が望むなら、いくらだって『恋人』になってやる。いくらだって抱き締めてやる。……だから、んな顔すんな」

黄「——うん」

橙「言っただろ?俺はお前を幸せにするんだ。……わがままぐらい言ってくれ」

黄「橙……」

橙「……大好きだよ、黄色」

黄「——あたしも、大好き。……ねぇ、たいちゃん。も一つだけお願いしていい?」

橙「ん?」

黄「もう一個、恋人っぽいこと、して?」

橙「——わかった。黄色、目、閉じろ……」


『Fly』

〜BLUE SIDE〜

アイツがまた、本気になった。

だんだんと、空気が夏の暑さを帯び始めた。そんな季節が来てるんだなって感じるとともに、もう一つ私たちの前に待っているものがあった。そう、総体がもうすぐそこにやってきているのだ。

当然、我が弓道部の雰囲気もだんだんと緊張感あるムードに包まれ、みな三年生にとっては最後の大会となる総体に必死に向かっていた。きっと他の部活もそうだろう。

———だけどアイツは、格、みたいなものが違っていた。

大会が一週間後に迫り、赤はあのトレーニングをしなくなった。本人に聞いたところ調整に入ったのだという。

だんだんと赤が大会に向け、気持ちを上げていってるのがわかった。少しずつ、赤のオーラみたいなのがぴりぴりしているみたいだった。

そして、大会五日前……

「わりぃんだけど、大会まで一人にしてくんねえかな?」

一緒に帰る道の途中、いつになく真面目な顔をして、赤がそう言った。

「……そろそろ、走ることに集中していきてぇんだ。……わりぃ」

少し申し訳なさそうにしながら、でもアイツの目は確かに『あの』目だった。

……そっか、集中したいんだ。

「ううん、謝らないで。赤はずっと頑張ってきたんだもん。最後の総体を大切にするのは当然だよ」

赤の今までのバカみたいな猛練習が結果に表れてくれることを、私だって願っている。

だから、私がこう笑顔で赤を送り出してやることだって当然だ。

「ごめんな。……絶対、インハイ行くからよ」

「頑張ってね。応援してる」

そう、当然だ。

少しずつ遠くなっていく赤の背中を見ながら、どこか寂しさが込み上げてくるのには気付かない振りをした。

その日から、本当に私たちは接触が極端に減った。

赤はお弁当もあまり友達とガヤガヤ食べる感じじゃなくなっていたし、放課後も自分のペースで一人で帰ってしまうし、私のケータイも赤、という文字を表示することはなかった。

わかってる。赤が総体に集中したいんだって、考えなくたってわかる。でも———寂しいよ、やっぱり。

私は赤の『あの』目が好きだった。そんな目をする赤が誰よりかっこいいと思ってた。……でも、今回のことで少し気付いてしまったんだ。

———『あの』目が見る先に、私は決していないのだと。

それが何より寂しくて、悔しかった。

赤は結局、一人で戦っているんだろうか。あんなにキツイトレーニングをし、遥か遠くへ挑み続けるその姿も、彼にとっては孤独な挑戦なのだろうか。

……私だっているのに。私はアイツの『彼女』なのに。私はアイツを助けてあげることもできないの?

私という存在は、赤にとってどんなものなんだろうかと、無性に尋ねたくなった。

〜RED SIDE〜

俺の血が、俺の体を確かに走っているのを感じる。

体はよくほぐれている。けれども全身に刺してくるような緊張が、レース前なんだなって俺に再確認させてくれる。

この感じは、キライじゃない。アスリートとして、俺の体が一つに集中していく感じがする。

今日の県大は六位に入れば地方大会に進める。正直、今の俺のタイムから行けば、県は通過点だ。さすがに青とあそこまで『きる』ことはなかったかなとも少し思ったけど、集中したいのは確かだし。

それに、俺が狙うのは地方大会じゃないんだ。だから俺は絶対、一着でゴールする。それに向け、この一週間は調整をしてきたんだから。

「800m、決勝に出場する選手は集合してください」

放送が鳴る。さぁ、出陣だ。

最初から最後まで先頭で走り抜ける。これが俺のイメージする最高のレースだ。一着を狙う以上、このイメージを持ってレースに挑む、はずだった。

———レースの中盤、脚が思うように前にいかない。どこか体が重い。

気付けばラスト50mまで来て、俺は現在五位だった。……まずい。このままだと一着どころか、地方大会出場すら危ない。

俺は必死にスパートをかける。が、やはりいつものように伸びていかない。丁寧に、そしてがむしゃらに走っているはずなのに体がついてこなかった。

結果は四位。地方大会こそ決まったものの、内容は最低だった。自己記録よりも全然遅い。

———インターハイに行けないかもしれない……。

……どうにかして、地方大会までに修正しねえと。今まで予想もしなかった焦りが、俺をじわじわと苦しめていた。

〜BLUE SIDE〜

総体の県大会が終わり、私たち弓道部もそれなりの結果は残したものの負けてしまい、私は高校3年間の部活に終止符を打った。

受験モードに切り替える者、部活から解放され一時の自由を楽しむ者などそれぞれだが、地方大会を決めた赤はまだまだ集中を高めていっているようだった。

……むしろ、赤のぴりぴりとした感じは県大の後、余計に強くなったように感じた。正直、少し心配だ。

それに、この感じには覚えがあった。赤の思いが何故か空回る、そう———クラスマッチだ。

『何か』をしてあげたいと思った。そして私の足は、自然と陸上場に向かっていた。

「ハァ……ハァ……ッ」

真剣で真っすぐで———孤独なアイツ。

———あんな赤、初めて見た。

クラスマッチのときはまだ、何にイラついてるのか赤自身わかってなかったんだろう。まだ、あのときの赤は「荒かった」。

けど、今回は違う。自分が今まで懸けてきたもの一つに集中する赤の空気は、見ている私を突き刺すように洗練されていた。

たぶん、赤はアスリートなのだ。私たちが普段接するような運動選手よりも一つ次元の高い存在。

だからこそ、不安だった。アイツって、そこまで強いのかな?ううん、アイツだって私と同じ高校生だ。きっとあの集中は、赤にとってまだ「強すぎる」。そう私は漠然と感じた。

「まだだ……っ、まだ……足んねえ……ッ」

……感じてはいる。でも、どうしても踏み込めない。あの赤の「集中」に。

———遠いなぁ……。

今の赤に、私は何ができるんだろう?何がベストなんだろう?ただグラウンドにたたずんでいる私には、答えは見つかりそうになかった。

〜RED SIDE〜

県大から、ギリギリまで自分を追い込んだ。調整だってしっかりやった。

コンディションも悪くはないはずなんだ。でも、結果が出ない。

地方大会、インハイに行きたきゃ当然、決勝まで残り、その上で結果を出さなきゃならない。

なのに予選のタイムはまた伸びず、八番でギリギリ決勝に残った。自己ベストからは程遠い。

「何でだ……ッ!」

努力なんて言葉が霞むぐらい、努力はしてきた。今更、よく頑張りましたなんて評価じゃ満足できない。

欲しいのは結果なんだ。

「あ、あの……」

伸びないタイムにイラついてる俺にマネが恐る恐る話し掛けてきた。

「何?ドリンクならさっき飲んだけど」

つい、トゲのある言い方になってしまう。余裕なさすぎだろ、俺……。

「う、ううん。あ、あの……」

「何だよ」

彼女に落ち度がないのは当然わかっているけど、今の俺はマネのこのもたつく様子にすらイライラしていた。

「青、さんから……できれば渡してほしいって、これ……」

「青……?」

「う、うん」

そう言うと、彼女は手に持っていたものをおずおずと差し出した。

「——ッ」

彼女の手に乗るそれは、誰かの願いの風を受け、空を飛ぼうと翼を広げる———折り鶴、だった。

「……これは?」

声が、思わず零れた。

「青さんが、出発前に渡して……あの、もし、赤くんが本番のときも辛そうだったら、渡してほしいって言われてて……」

青が、そんなことを……。

驚きながらも、呆然としていた俺の目が、翼に何かが書かれていることを見つけた。

『がんばれ!』

———青の字だった。真面目で丁寧な性格の彼女をそのまま表しているように見えた。

青の顔が、次々と浮かんできたんだ。

「決勝まで、まだ余裕あるよな?!」

気付けば、大きな声でそう尋ねていた。

「う、うん」

肯定の部分だけを聞くと、俺は走りだした。

———確かあの時も、馬鹿な自分を気付かせたときに折り鶴があったっけ。

何がインターハイだ、何が結果を出すだ。俺はまた、俺を支えてくれてる人がいるんだって忘れて、『一人』で勘違いして走ってたじゃねえか。

それは違うんだって、気付いたんじゃなかったのかよ!

……アイツの声が、聞きたかった。無理して抑えてたもんが全部爆発するみたいに、青に逢いたくなった。

チームの荷物置場にずかずかと押し入り、俺の荷物からケータイを取り出した。顧問に見つかりゃ怒られるんだろうが、そんなことどうでもよかった。

俺の手は迷わず青へと電話をかける。

青、青、青———ッ

『……もしもし』

待ち焦がれた声だった。

「あ、赤だけど……」

なんだか気恥ずかしくて、声が上ずってしまった。

『……もう。今、昼休みなんだよ?先生に見つかったら私、反省文なのに』

青だ。間違いなく青だ。

でもこれが、彼女のいつもの真面目な台詞なのにどこか嬉しそうだった。咎める感じがまるでない。

「……わり」

でも一応、謝っといた。そして、俺は言葉を続けた。

「……情けねぇな、俺。自分からお前を自重するって言ったのにな」

『ううん、いいよ』

「いや……ホント、わりぃ。……俺、また一人で突っ走ってた」

不思議なくらいだ。青の声を聞いただけで、この電話の向こうに青がいるんだって思うだけで、さっきまでの焦った気持ちが晴れていってる。

『……私もいるから』

「え?」

『赤には、私もいるから。できることなんて少ししかないかもしれないけど、私、赤を助けるから』

控えめな青の言葉。それが俺にとってどんなものより頼もしかった。

……ああ、わかったよ。

「……青。俺さ、きっともう一人じゃ走れねぇ」

もう、こんなに素晴らしいパートナーがいるんだって知ってしまったから。

「でもお前がいてくれんなら、俺はきっと飛べる」

二人なら。一人じゃ決して行けなかったどこかへ行けると思えた。

「だから、これからも、傍にいて?」

『うん』

自分の言葉を、大切な人が受けとめてくれた。……なんか、すげぇな。

「……青、俺、頑張るから。応援してて」

『もちろん。頑張って!』

———きっと今なら『俺たち』は空を飛べると思った。

先頭で、風を切りながらコースを駆け抜ける。

俺は、飛べた。


『独壇場』

スポーツテスト 20mシャトルランにて

赤「だあああああああ!!」

135……ドーレーミーファーソーラーシードー……136……

橙「……もう満点いったのにあいつも頑張るねえ……」

野球部「負けてられっか!!」

サッカー部「体力には自信が!!」 

バスケ部「俺が1番だ!!」

橙「あー……ムチャシヤガッテ」

179……ドーレーミーファーソーラーシードー……180

赤「まだまだあ!!!」

野・サ・バ「化け物……」

橙「なんかいつもにまして輝いてやがんなぁ……青、なんかあった?」

青「え、あ、な、なんにも!!! 」

橙「(なんかあったのか……)」

赤「いっけええええええ!!!」

200!

赤「もーさすがに無理ー……」

青「お疲れさま」

赤「おう。……今日もお前のおかげで飛べたぜ、俺w」

青「ば、バカ!!~」


『ライアーゲーム』

赤「もう誰も信じられねえ……」

橙「はっはっはっは!騙されるほうが悪いのさ」

黄「ダメだ……もう勝てない……」

青「嘘よ……なんでこんなに……」

白「それでも、私は信じます」

黒「白が人を信じ続けるかぎり、俺も信じ続けるさ」

橙「ダウト!!」

赤「……まあただのトランプのダウトなわけだが」

青「そうとう暇じゃないとやらないわよね」

橙「雨だからっつーことで」

黄「それにしても終わらないよぅ……」

白「私最後の一枚です」

赤「ちょ! ダウ——」

黒(獲物を射殺すような視線)

赤「……何でもないです」

白「わーい、あがったー!」

黒「よかったな」

赤「……なんか釈然としないんだけど」


『スマブラ』

赤「ファンコンいけえええええ!!!!11」

橙「PKサンダー!PKサンダー!!」

青「ああ!ヨッシー……」

黄「ストーン!ズトーン!!ストーン☆」

橙「ちょwお前さっきからストーンばっかww」

白「あははははー」 ←やり方がわからないので観戦

赤「勝った!!!11」

橙「畜生ー」

黄「もう一回やろ!!」

青「私もう無理……黒、代わって」

黒「わかった」

赤・橙(黒、何選ぶんだろ?)

  ぴかぴかぁ〜

赤・橙・青・黄「!!!! (ぴ、ピカチュウだと!!!11)」

白「ぴかぴかぁ〜ww」 満面の笑み

赤・橙・青・黄(……このためかよ)

黒「じゃあやろうぜ」

赤「そして負ける俺らって一体……」

橙「見事にかませ犬だったな……」

白「ぴかぴかぁ〜♪」


『男の雑談』

赤「あっちぃー……」

黒「だれすぎだ。まだ6月なんだぞ」

赤「つーかお前らYシャツの下にTシャツ着て暑くねえのかよ」

橙「直で着たら汗で張り付くだろ」

赤「そんなもんより涼しいほうを取るわ」

赤 Yシャツをそのまま着る

黒 下にTシャツ。ボタンは第2まで開ける

橙 下にTシャツ。ボタンは全開

赤「……DQN乙」

橙「こんぐらいフツーだって」

赤「これだからなんちゃってオサレは」

橙「なんちゃって、ってなんだよ」

赤「香水もつけられないくせに」

橙「だ、だからそれは!!」

黒「汗の臭いしかしないお前よりはマシだろう」

赤「……え、臭う?」

黒「ああ」

赤「……マジ?」

橙「まあ、な」

赤「orz」


『生殺し』

生き地獄ってのは、ある意味こういうことだと思う。

ある日曜日。俺は軽く買い物に行っていた。んで、探してたものが早く見つかって、比較的早く帰ってきた。

そして部屋に戻ってみると、コレだ。

「すー……すー……」

「……何で?」

幼なじみかつカノジョである黄色が俺のベッドの上で気持ち良さそうに寝ていやがった。

まあどうせ遊びにきたのに(おそらく窓からだろう)、俺がいなくて待ってたらこうなったんだろうとは思うけども。

でも……寝るかフツー?

「……むにゃ……」

むにゃ、じゃねえよ。

コイツ、危機感とかねえんだろうか。いやねえだろうな。

……俺だって、「男」なんだぜ?

「うぅ……ん……」

大体、いくら夏だからって格好がひどい。

なんだよその、生地の薄いワンピースは!

薄いから体のラインが大体わかっちまうじゃねえか!

背中が開いてりゃ、襟ぐりも深い!おまけに脇の辺りから薄黄色のナンカが見えてるし!

下も短いし、生足を見せすぎなんだよ!

ついでに言えば寝てるくせにそんな可愛らしい笑顔になるな!

……だって、「無防備な」「可愛い」「カノジョ」が「俺のベッド」で「寝てる」んだぞ?

落ち着け。深呼吸しろ。いくらコイツがこんな状態だって、コイツはそんなことを狙うようなやつじゃない。明らかに素だ。……だから余計に困るわけなんだけど。

悶々としたものを抱えながら、俺はもう一度寝顔を観察する。

「すー……すー……」

……ちくしょう、可愛い。

こんな時、あいつらならどうするんだろう。

……赤は迷わずルパンダイブする。断言できる。あいつは本能のまま生きる男だ。ある意味羨ましい。

黒だったら……たぶん軽く布団を掛けてあげて、後は白が起きるまでゆっくり本でも読みながら待ってそうだ。……俺にそんな鉄壁の理性はねえ。

両極端な友達のことを考えながら、俺にはどっちも無理そうだと溜め息をついた。

キスぐらいしてやろうか、この眠り姫。

あまりにも居心地が悪い。少しずつ俺は赤よりな思考を働かせた。

「……」

黄色の髪を軽く撫でる。それが思ったよりもさらさらで、余計に自分を刺激してしまった。

……決めた。キスする。

彼女の可愛らしい唇に俺のそれを少しずつ近付けていく———

「たいちゃぁん……」

「っ?!」

やべえ、やられた。寝言と寝返りで迎撃された。なんてタイミングが悪いんだ。

俺はやはり溜め息をつくと、彼女から離れ、本棚の漫画に手を伸ばした。

———寝返りをうったら、もうすぐ彼女は目を覚ますってこと、俺は知っているんだ。

まったく、人騒がせなお姫さまだ。だから俺は、起きてきた彼女には、少し笑って言ってやるんだ。

「おはよう、よく眠れたか?」


『Q どんな色が好きですか?(名前の色を除く)』

赤「え〜赤以外思いつかねえよ」

橙「ガキか」

赤「うるせえな」

青「意外と白っぽい服が似合うと思うな、爽やかな感じで」

赤「マジ?じゃあそれで!」

橙「なげやりー」

黒「赤の場合、ポロシャツを着てることが多いだけだと思うんだが」

青「あーそうかも」

赤「うえっ?!」

青「私は……濃い色かな。黒とか紺とか」

赤「かっけー」

橙「妥当な感じだな」

黄「青ちゃん大人っぽいもんね」

赤「でも意外と可愛いもんとか好きだよな」

青「な、何言ってんのよ 」

赤「だって前あげたぬいぐるみ大事そうにしてるじゃん」

青「きゃああああ!! 」

赤「?」

橙・黄「へぇ〜」 ニヤニヤ

青「うぅ……」

黒「俺も暗い色が好きだな」

赤「まさにイメージ通りだな」

白「黒くん似合うもんね♪」

黒「そうか?ありがとう」

黄「でも黒くんなら意外と何でも似合いそうだけどな」

青「それは同感ね」

赤「……なんだろう、この俺の時との違いは」

橙「諦めろ。人にはそれぞれポジションがある」

白「私は……ピンクかなぁ?」

黄「可愛い〜。あたしも好きだよピンク」

白「可愛いよね♪」

黄「うんうん」

黒「……」

赤「……どうしたよ」

黒「いいことだと思ってな」

赤「……そうだな」

黒「ホント、この『友達』に感謝してるよ」

赤「バーカ。お前だってその一人さ」

黒「……そうだな」

橙「俺は明るいヤツだな。赤、緑、ピンク、まあ服とかなら何でも着るけど」

赤「チャラ男乙」

橙「だからこんぐらいフツーだっつーの」

青「実際、何着ても似合うわよね」

白「うん、かっこいい」

橙「マジ?嬉しいな」

黄「むぅ、何だか妬いちゃうなぁ」

黄「あたしはパステルカラーが好きだなー」

青「これもイメージに合うわね」

黄「えへへ」

橙「……下着もそういう色ばっかだもんな」(ボソ

黄「え、えええええ?! 」

橙「気を付けろっつってんだろ。世の中俺みたいなのだけじゃねえんだから」

黄「なんか色々ごまかされてる気が……」

橙「気のせいだ」

黄「気のせいじゃないよぅ……橙のえっち……」

青「うーん、なんか買い物したくなっちゃった」

黄「あー、あたしも!」

白「わ、私も……」

橙「どーせだしさ、皆で買い物いかね?」

黄「いいねいいね!」

白「黒くん、いいよね?」

黒「悪いわけないだろ。みんなで行こう」

白「やった!」

橙「よし、今日の目標は赤の改造だ!」

赤「ちょww別にいいよwww」

青「せっかくだしやってもらったら?」

赤「おいっ」

橙「カノジョさんの了解も出たし決まりだな」

黄「よっし!しゅっぱーつ!!」


『七夕』

「だあっ!!」

……今日も一日オツカレサマでした。

最後の一本を走り終わって、俺はクールダウンに入った。ゆっくり走ったり、念入りにストレッチをして乳酸を流した。

さすがにこの季節は運動すると暑くてしかたない。だらだらと流れる汗を手で拭いながら、俺は立ち上がる。

インターハイが、少しずつ近づいてきていた。

期待と応援と責任と誇り。その全てが嬉しいものではあったけど、日に日に高まるそれらはじりじりと、何かが迫ってくるように俺にプレッシャーとなってのしかかってくる。……インハイ、行ったら行ったで大変じゃん。

汗をタオルで拭いて、UN〇のナントカシートでもう一度体を拭く(橙に持たされてるんだ)。……めんどくせえよねえ?

んでもって制服に着替える。もう夜なのにまだ暑い。これで七月の頭だっていうんだから勘弁してほしいもんだ。

そしてなんとなくケータイをチェックする。青からメールとか来てるかもしれないし。

……メール、五通。

『青  練習終わったら河川敷に来て。皆で待ってるから』

『黒  河川敷に全速力で来い』

『白  皆で河川敷で待ってます。できれば来てほしいな』

『橙  早くしろ』

『黄  皆待ってるぜぇ☆』

……こいつらは揃いも揃って何してやがんだ?最後の二人とか明らかに便乗じゃねえか。

……つーか、河川敷で何してるんだろう?

「あ、来たよー!」

五名のご指名とあって、俺は使い果たした体力をさらに搾りだして、全力で河川敷についた。

「おっす……」

首をのばすようにして俺が来るのを待っていたらしい白が俺を見つけたので、俺も息絶え絶えながらに返事をする。

「お疲れだね。大丈夫?」

「ま、大丈夫だぜ」

こいつらといるときは疲れとか忘れられるんだ。それは今だって同じ。ついさっきまでつりそうだった足もすっかりそのことを忘れてるみたいだった。

「ようやく来たか」

「遅ぇ」

今度は男軍団の出迎えだ。……俺、一応練習したあと直行で来てんのになぁ。

「なんかね、黒がアレ準備してくれたんだって」

と、後ろから我が愛しのカノジョ、青が「あるもの」を指差した。

「え?」

そこには——笹があった。結構デカい。

「ああ、今日七夕だっけか」

そのデカい笹を見て、俺は今日が何の日か思い出した。こういう感覚がないのはヤバいな。気を付けないと。

「親戚の侍黒って人がくれたんでな」

「せっかくだから、皆で短冊書こう、って」

青の手には短冊という名の画用紙とペンがあった。

「いいじゃんいいじゃん。俺にも一つ!」

「はい」

迷信じみてるかもしれないけど、七夕に願い事の短冊なんて粋じゃないか。乗ってやるぜ。

「——これでどうだ!!」

勢いに任せ、ペンを走らす。丁寧さ?しらんがな。

「『全国制覇』?」

「わかった?」

青には俺が書いたことがわかったみたいだ。まあ、単純ちゃあ単純だしな。

それを聞いた皆が、笑ってくれたのがわかった。その笑いが、失笑とか可笑しがってるわけじゃなくて、何だか嬉しかった。

「お前、『覇』を漢字で書けんの?」

橙が俺を茶化した。……馬鹿言うな。

「ひらがなに決まってんだろ!」

……うん。今度は皆可笑しがって笑いやがった。

「じゃあ赤も笹に付けなよ」

青が笹を指差した。

「あ、てっぺんのほうに付けてね!」

俺がそそくさと笹に向かうと黄色が元気よくそう言った。

「何で?」

「高いとこにあったほうが叶いやすそうじゃん!」

「そっか!」

その通りだと思い、俺はできるかぎり高いところに短冊をつけた。

「……いいのかそれで?」

「まあ、本人たちがいいと思ってるらしいからいいんじゃないかしら」

「あんな幼なじみでスンマセン……」

後ろから常識人の会話が聞こえる気がするけど気にしない。

俺は自分のを付けおわると、少しその笹を眺めた。

当然、意識しなくてもいくつか短冊も目に入ったんだ。

——え?

「お前ら、まさか——」

俺が振り向くと、皆はしてやったりと笑っていた。

ちくしょう、やられた。なんかわかんねえけど胸のあたりがやけに熱い。

そんな様子の俺を見て、あいつらは余計に嬉しそうにした。

そして、掛かった短冊と同じように、皆揃ってこう言ったんだ。

「赤。インハイ、頑張れ!」

俺の翼が、また増えた。


『願い事ひとつ』

橙「……すげえよな、あいつ」

黄「インハイだもんね……」

橙「……俺さ、赤とか黒とか見てっと、自信、っつーかな……俺ってなんでもないやつだなって思っちまうんだよな……」

黄「……」

橙「みんな、すげーのにさ……」

黄「……いよ……」

橙「え?」

黄「なんでもなくてもいいよ!」

橙「き、黄色?」

黄「なんでもなくたって!特別じゃなくたって!たいちゃんはあたしの特別だもん!」

橙「……」

黄「たった一人の幼なじみで、大好きな人だよ?……ねえ、それじゃダメ?」

橙「……いや、充分すぎるよ。わりい。……俺は幸せもんだ」

黄「大丈夫だよ、あたしも全然特別じゃないけど、……一緒に頑張ろ?」

橙「……そうだな。……よろしくな」

黄「ねえ、あたしさ、さっきの笹、少しもらってきたんだ。……二人でもう一回、短冊書かない?」

橙「いいなそれ。とびっきりのお願いをしようぜ」


『水着を買いに行こう!』

黄「どう?似合う?」

橙「似合うと思うぞ」

黄「えっへへぇ」

黄「ねえ、これはどうかな?」

橙「似合う似合う。いいカンジだ」

黄「でしょ?」

黄「これもいいよね?」

橙「……そうだな」

黄「だよねえ。うーん、迷うなぁ」

橙「おい」

黄「あ、ちょっと待って。こっち着てみる」

橙「ちょ

黄「ちょっと派手かなぁ?」

橙「……黄色、いい加減にしてくれ……」

黄「え、あ、ごめん!最後に一つだけ!」

橙「ああそう……」

橙(女ものの水着売場に一人で立ってる俺の気まずさを少しは考えてほしいなぁ……つーか……水着姿を何回も見せられるこっちの身にもなってくれ!目のやり場に困るんだよ!!)

 

白「どう、かな?」

黒「似合うよ。すごくいいと思う」

白「ありがと。水着買うなんて久しぶりだなぁ」

黒「そうかもな」

白「あんまり海とかプールとかに行かないしね……」

黒「今年は皆と行くんだからしっかり準備しような」

白「うん♪楽しみだな、海」

黒「……なぁ白」

白「何?」

黒「……早く着替えたらどうだ? 」

白「あっ、そ、そうだね!着替えるね! 」

黒「……ったく、何してんだ俺は…… 」

 

赤「あれ?俺は?」

黒・橙「インハイに向けて練習中だろ、常識的に考えて」

赤「(´・ω・`)」


白「すごいねーあの入道雲」

黄「もくもくしてるよねw」

白「私ね、小さい頃あれに乗ってみたいなって思ってたんだ」

黄「あ、あたしもー」

白「乗ってみたいなー」

黄「乗れないかなあ?」

白「えー、乗れるかな?」

黄「頑張ればきっと乗れるよ!」

白「ホント?」

黄「きっといけるよ!」

白「じゃあ頑張ってみよ!」

黄「おー!」

青「あの二人の会話、和むんだけどさ……」

橙「つっこみたくなるよな……」


『キャッチボールをしよう 男編』

橙「あきらかに時かけに影響されただろ……」

赤「気にしたら負けだぞ」

黒「お前は練習しなくていいのか」

赤「そこはツッコミ禁止だ……うりゃ!」

橙「バカ!全力で投げんな!ノーコン!!」

赤「うわ、わりぃww」

橙「ったく、取るのめんどくせえ……そりゃ!」

赤「お、ナイスボール。ってかお前もけっこうマジじゃんw」

橙「うっせえ」

黒「赤、俺に貸せ」

赤「おう」

黒「……っし!!」

  ぱーん!!

橙「れ、レーザービーム……イチローかよ……」

赤「いってえええええ!!!!手がとれるうう!!!!」

黒「よく捕ったな」

赤「このやろ……仕返しだ!」

  ぱん!!

黒「まだまだだな」

赤「ちっくしょ……」

橙「黒ー、今度俺に投げてみてくれー」

黒「おう」

『キャッチボールをしよう 女の子編』

青「えいっ!」

黄「青ちゃん綺麗な投げ方ー」

青「そう?」

黄「あたし橙にいっつも『女投げだ』って言われるんだよね」

青「そんなことないと思うけどなあ」

黄「よくわかんないよね」

青「白、投げるよー」

白「うん」

青「行くよ」 ふわっ

白「えい!」 ぽろっ

白「うーん……」

黄「グローブではさむように、だよ!」

青「もう一球いくよ。それっ」 ふわっ

白「……っと」 ぱし

白「捕れた!」

黄「やったじゃん!」

青「よかったわね!」

白「今度は黄色ちゃんが投げて!」

黄「了解。とう」

ぱし

白「やったー!」

赤「……なんか、ずっと見てたいな」

橙「同じく……」

黒「よかったな、白……」

赤「また保護者の目になってんぞ黒……」

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黄「この前さー、アイス食べてたら橙に怒られたんだけど」

青「橙の分を食べたの?」

黄「ううん、コンビニで買った棒アイス」

青「なんでかしら?」

黄「さあ?」

白「あ、私も黒くんにそれで怒られた」

青「黒くんも?」

白「うん」

黄「赤君も怒るかな?」

青「どうだろ?今度聞いてみる」

橙「ホント、歩きながら棒アイス食うのやめてほしいよなー」

黒「わかる。たまに変な目で見てるやつがいるんだよな」

赤「お前らがやましいこと考えてっからそう見えんじゃね?」

黒・橙「お前と一緒にすんな」

赤「(´・ω・`)」

橙「とにかく、もうちょい周りの目も気にしてほしいよな……」

黒「まったくだ……」


橙「お前んちに遊びに来るのって久しぶりな気がする」

黄「そうだっけ?まあ、あたしが行くことが多いしね」

橙「でもそんな変わってねえな」

黄「む、なんかちょっとバカにされた気分」

橙「そんなことねえけど」

黄「まあいっか。じゃあ橙、ゲームがしたければ一緒にプレステ探して」

橙「別にやんなくてもいいんだけど」

黄「あたしがやりたいの」

橙「ならそう言えや。この部屋にあんの?」

黄「だと思うんだけど……」

橙「アバウトだな」

  がさごそ

橙「お」

黄「あった?」

橙「『おたんじょうびカード』……」

黄「『おたんじょうびカード』?……はっ!ダメ!!見ないで!!!」

橙「……わり、もう見ちゃった」

黄「うぅ〜 」

橙「……まあ、俺もおんなじようなもんだったから」

黄「……じゃあ橙のも見せてよ」

橙「ダメだ!あれは見せらんねえ!!」

黄「やだ!見る!あたしのだけ見られてずるい!!」

橙「だからホントダメだって!!あ、こら行くな!!」


『橙と白を二人にしてみた』

橙「♪〜〜♪〜〜♪」 しゃかしゃか

白「ねえ橙くん」

橙「ん?何?」

白「何聞いてるの?」

橙「コレ?今は銀杏」

白「銀杏?」

橙「知らない?」

白「うん。ねえ、聞いてみていい?」

橙「ああ、いい———」

 現在聞いてる曲、銀杏。そしてその歌詞は……

橙「わ、悪い!やっぱなし!!」

白「え、なんで?」

橙「え、あー、その……で、電池が切れそうなんだ!!」

白「そうなんだ……」

橙「ごめんな(こんなの白に聞かせたら黒に何されっかわかんねえしよ……)」

後日

白「ねえ黒くん、『銀杏』って人たちってどんな歌を歌ってるの?」

黒「え?」


『黒と青を二人にしてみた』

青「ねえ黒、受験勉強進んでる?」

黒「ぼちぼち、ってところだな」

青「英語ってどうしてる?覚えること多くて大変よね」

黒「単語や熟語は細切れの時間でもいいから見つけて覚えていかないときついよな」

青「うん。それはやってる。でもなかなか覚えられなくて……」

黒「書いて書いて書きまくる、というのがベストなんだろうが、時間もあるしな。視・聴も入れながらでやりやすくなる奴もいるぞ」

青「リスニングか……。長文は?」

黒「俺は今は文全体を覚えるようにしてる」

青「今は?」

黒「まだ文構成とか単語がおぼつかないからな。覚えることがメインだ」

青「なるほど……。秋になったら速読のトレーニングもしたいわよね」

黒「最近のセンターは文の量が増えてるしな」

赤「何あの会話……?」

黄「あたしらには関係ないよね!」

橙「いや、ダメだろ……」


白「最近ちょっと夕方は冷えるよね」

黒「そうだな……寒いのか?」

白「ううん。たいしたことないよ」

黒「……つまり少しは寒いんだな?」

白「……うん」

黒「そんなことで遠慮するなよ。そう思ってるならそう言え」

白「ごめんね」

黒「謝ることでもないだろ。で、寒いのか」

白「うん、少し」

黒「ほら、これにくるまれ。格好は悪いけど、風邪ひくよりはいいだろ?」

白「いつもありがとう、黒くん」

黒「どういたしまして」

白「あはは、あったかいw」

黒「よかった」

赤「あの毛布、どっから出したんだろ?」

橙「そこはツッコんでやるなよ……」


『黒の持ち物』

赤「お前の鞄って何入ってんの?」

黒「そんなに変なものは入ってないと思うが」

赤「見せてみー」

黒「まあいいぞ」

 参考書、単語帳、筆箱 等……

赤「普通だな」

黒「学生だしな」

 ガム、脂とり紙、ワックス、リップクリーム 等……

赤「ザ・高校生だな」

黒「高校生だし」

 飴、絆創膏、薄い上着……

赤「さあ、だんだんきたな」

黒「別にいいだろ、これくらい」

 カッパ、毛布、明らかに新しいリップ……

赤「これは?」

黒「ね、念のためだ、念のため」

 常備薬、『応急処置の仕方』の本、白の保険証のコピー……

赤「(゚д゚)」

黒「こっち見んな。……やりすぎだってのはわかってるんだがな」

赤「まあ、仕方ねえっちゃあ仕方ねえけど……」

黒「いつまでもこのままではいられないよな。気には留めておく」

赤「……お前の白を大切にする気持ちはすげえと思うよ」

黒「……サンキュ」


『黒と白は図書館で勉強をした帰りのようです』

黒「おぶる」

白「だ、大丈夫だよ。ちょっと足を変についただけだし。歩けるよ」

黒「軽くても捻挫とかだったらどうするんだ。動かしたら悪化するかもしれないだろ」

白「でも……黒くんにも悪いし」

黒「……俺にそんな遠慮なんかするなって、前言っただろ?」

白「でも」

黒「大丈夫。これは俺のわがままなんだ。頼む」

白「むう〜。じゃあ、お願いします」

黒「了解しました」

白「それにしたってただおぶられてると悪い気がするなぁ……」

黒「そうか?」

白「何かしてないとちょっと恥ずかしいしね……」

黒「……それはわかるな」

(じろじろ ひそひそ)

黒「まあ気にするなよ」

白「そうだけどさ。この間に何かしてあげられないかなあ……そうだ!」

黒「どうした?」

白「じゃーん! ポケットの中の単語帳ー」

黒「問題出してくれるのか?」

白「うん。どう?」

黒「いいね、今日の復習だ」

白「いくよ。『spatial』」

黒「空間の」

白「正解。次、『homogeneous』」

黒「同時の」

白「すごーい!」

黒「たまたましっかり覚えたところだったから」

白「じゃあ次行くよ。『precious』」

黒「んー……『笑顔』」

白「残念! 『大切な』でしたー」

黒「そうか」

白「次はね……『irreplaceable』」

黒「そうだな……『今』、かな」

白「ぶー。『かけがえのないもの』だよ。覚えなきゃ!」

黒「……ああ」

白「あ、これは簡単だよ。『favorite』」

黒「『白』」

白「え?」

黒「白、って言ったんだ」

白「え、え? 意味は……『一番好きな』……ええ!?」

黒「間違ってないだろ?」

白「えっと……あ……ぅん」

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『勉強会』

黄「ふわーん……橙ー、漸化式教えてー」

橙「……俺に数学聞くなよ」

黄「あたしよりはできるでしょ」

橙「んー?適当に文字入れてやるんじゃねえっけか?」

黄「ういうい。……で、この後は?」

橙「あー……わり、パス。黒頼む」

黒「俺か?ああ、漸化式か。……ここをこうすれば、この式を等比数列で見れないか?」

黄「むぅ……?あ、ああ!そうだね!」

黒「あとはそのまま、こうやって……」

黄「うんうん。わかった!ありがとう!」

黒「漸化式は答え方をパターンで暗記してしまったほうがいいと思うぞ」

黄「なるほど……」

白「青ちゃん、この英文の訳し方なんだけど……」

青「え、どこ?」

白「ここ。下線部B」

青「えーと……長いわね。……あー、時制もずれててわかりづらいかもね。たぶんここまでが過去で、こっちは現在だと思う。節で区切って読んでいけば形にはなるんじゃない?」

白「ありがと。やってみるね」

橙「黒、ここの解釈これであってるか?」

黒「ん?……あってるんじゃないか?動作のもととがしっかりとれてるし」

橙「さんきゅ。……黒、ホント頭いいよな」

黒「そんなことないさ」

黄「うんにゃ、すごいっすよ」

青「黒は志望はどこなの?」

黒「うーん、あまり遠くないところで考えてる」

橙「近場?黒ならもっといいとこ狙えんじゃねえか?」

黒「遠くに行けばいいというわけでもないだろう」

橙「まーそうだけどさ」

白「……」

黄「白ちゃんはどこ行くの?」

白「えっ?あ、私、なかなか絞り切れてなくて……」

黄「だよねぇ。わかるわかる。これ!っていうのが今イチないんだよね」

橙「俺はてっきりインドにカレー留学でもすんのかと思ってたけど」

黄「いくらあたしだってそわな人生をカレーに委ねる真似までは……」

橙「冗談だ」

黄「承知のうえだよ」

青「……(ソワソワ」

橙「ん?どうした青?」

青「え、あ、その……。……もうすぐ、だから」

黒「ああ、スタートか」

橙「マジか。いよいよなんだな」

白「応援行ければいいのにね」

黄「さすがに遠いもんね……」

青「はぁ……(ソワソワ」

橙「……ったく。青が焦ったってどうにもなんねえだろ。気持ちはわかるけどさ」

青「でも……!」

橙「青はちゃんと見送ったんだろ?応援は俺らもしたし、……今もしてっけど。青はそれ以上に気持ちこめて応援してんだろ?」

青「……うん」

橙「だったら信頼して待っとけ。そのうち連絡あんだろ」

黒「あいつはやる奴だよ。きっとしっかりやるさ」

白「『あいつは走りだしたら真っすぐだ』ってね!」

黒「……白、それ、真似なのか?」

白「うん。似てなかった?」

黒「うーん……」

青「信じて、か」

橙「……あのバカなら、きっと青と一緒に走ってると思うぜ」

青「……うん、そうだね」

黄「むぅ、なんだか妬けるんですけど」


『勉強会 その後』

黄「橙ってさ……」

橙「ん?」

黄「青ちゃんと接するときのほうがかっこつけてない?」

橙「そうか?」

黄「そうだよ!あたしにあんなかっこいいこと言ったことないもん」

橙「……あれ、かっこいいことか?」

黄「むう……」

橙「告白のときも言ったし、ちょくちょく言ってると思うんだけどなあ……(ボソ」

黄「え?」

橙「……ったく、これだもんなあ……」

黄「で、実際どうなのよ。青ちゃんに対してのほうが意識してたり?」

橙「はいはい、そう見えんならそうなのかもなー」

黄「なにそれー」

橙「……素の俺を見せれるような、信頼できる相手ってのじゃ満足できねえ?」

黄「……え?」

橙「お前の前でまで気取ってたらなんか虚しいだろーが」

黄「……」

橙「俺がお前の前でかっこつけねえのは、お前が誰より特別だから。以上!これでいいか?」

黄「あ……うん」

橙「あー……はずっ」


『お土産』

赤「野郎ども! お土産を買って来てやったから皆で分けろ!」

黒「随分恩着せがましいな」

橙「ま、貰えるもんは貰っとこうぜっと」

黄「野郎じゃないけどいただきまーす」

白「ありがとね、赤くん」

赤「いやいや」

黒「クッキーとはお前にしては普通なお土産だな」

赤「だから俺そんなセンス悪くねえんだってw」

青「……」

橙「ん?青、どうした?」

青「……赤ね、私には別で買ってくれたんだけど」

黄「まあカノジョだしねえ」

青「それは嬉しかったんだけど……」

橙「どうしたんだ?」

青「……伊○里焼だったの。純和風の」

赤「ああアレか? いい感じだろ?」

橙・黄「……」

黒「……やっちまったか」

白「……あはは」

赤「?」


『解禁』

赤「ついに引退しちまったなあ」

黒「まあ、いつかは来るもんだしな」

橙「むしろだいぶ長かっただろ」

赤「だが! これでついに俺は!!」

黒・橙「?」

赤 ずずーっ! ごくごくごく

赤「ぷはあっ!! 旨い!!」

黒「カップ麺にコーラかよ……」

橙「お前全然食ってなかったもんな」

赤「3年間我慢してたからなー」

黒「ほどほどにしとけよ」

赤「はーい。……さて、後は海だな」

橙「遊ぶ気まんまんかよ」

赤「とーぜん! 泳いで、花火して、騒いで、遊ぶぞー!」

黒「……こいつの頭に『受験』って文字はないんだろうな……」

橙「ところでインハイどうだったんだ?」

赤「ん? ……ま、2年前の宣言通りかな」

黒「っ!?」

橙「は?」

赤「あんまり結果をどうこう誰かに言うのは好きじゃねえんだよ」

黒(……ホントに、こいつは……)


『夏の海』

白「まだかなー海。次の駅だよね?」

黒「もうすぐだろ」

青「あと五分ぐらいで見えてくると思うけど」

赤「見えねえかなー」

黄「この黄色チャンの千里眼を持ってすれば!!」

橙「ガキじゃねえんだからちゃんと座ってろよ……」

赤「ガキだもーん」

黄「ねー」

赤「なー」

橙「お前らなー」

黒「橙、ほっとけ」

青「あ、でもちょっと見えてきたわよ」

白・赤・黄「ホント?!」 バッ

橙「そんなに窓に食いつくなよ……」

青「でも綺麗よねー」

黄「だよね。橙は冷めすぎー」

橙「海ぐらい何回も見てるだろーが。あんまりはしゃいでもなあ、な、黒?」

黒(ソワソワ)

橙「……黒?」

黒「……悪い、俺、八年ぶりなんだ」

橙「だー……ああもうわかったよ!俺もはしゃぐっつーの!ハジけてやる!!」

赤「おし!海だー!!!」

赤「いいか、絶対青の水着に見惚れんじゃねえぞ」

橙「他人のカノジョに見惚れるかって」

黒「というかお前は何様だよ」

赤「うるせえ!いいか、青の水着は俺だって初めて見るんだ。正直てめえらに見せんのも勘弁願いたいぐらいなんだぞ!!」

橙「だからお前は何なんだ」

黒「わがままも甚だしいな。みんなで遊びに来ておいて」

赤「きっと青の水着は素晴らしい!ミラクルだ!ワンダホーなんだ!」

青「……ちょっと。あんたのせいで出づらいんだけど」

赤「お、着替え終わった?」

青「終わったけど……」

赤「じゃあ!そのタオルをオープンして!!」

青「だからそれがやりづらいんだけど……」

黄「青ちゃんも大変だねえ」

橙「お前も来たか」

黄「うん。どう?橙と買いに行ったやつだよ」

橙「ああ、似合うよ。……いや」

黄「いや?」

橙「なんだ……その……かわ、いいと思うぞ?」

黄「え……あ、ありがと…… 」

黒「白、いいか、ギリギリまでこれ着ておくんだぞ」

白「うん。ありがとね」

黒「泳ぐ時は体操をしてからで、泳ぐとしても長い時間浸かってるなよ、体温下がるからな」

橙「……あそこは相変わらずだな」

黄「……だね」

赤「びゅーちふぉー!!!」

青「もう……バカ」

青「じゃあ私たちちょっと休んでるから」

白「いってらっしゃーい」

黄「橙—、つるなよー」

赤「おーし!思いっきり泳ぐぞー!!」

橙「こいつはなんでこう毎回毎回熱いかね……」

赤「いいだろ別に。とりあえず遊泳区域のギリギリまで競争な!」

黒「できるだけ早く帰ってくるからな」

白「うん。楽しんできてね」

黒「おう」

赤「黒—、負けたらアイスみんなに奢りだぞ」

黒「俺は負けないから問題ない」

赤「言ったな。おっしゃ行くぞ!」

橙「……ま、俺も負けたくねえし、本気出すか!」

 (男軍団、走って海へ)

黄「あいつらってけっこうみんな負けず嫌いだよね」

青「そうね。黒くんなんてちょっと意外だけどね」

白「そんなことないよー」

黄「ウソ、そうなんだ」

白「うん。黒くんって、ホントは昔から———」

橙「ぜってえ俺のほうが速かったし」

赤「いーや、俺だね」

黒「どっちもどっちだろ」

赤「うっせえ!つーかなんでお前あんな速いんだよ!」

黒「鍛え方が違うんだ」

赤「むう……」

橙「いや、そこは突っ込むとこだろ」

黒「じゃあ、そろそろ白たちと合流しようぜ」

赤「そうだな」

DQN1「ねえキミら暇?ちょっと一緒に遊ばねえ?」

青「あたし達、人を待ってるんで」

DQN2「いいじゃんかよー、こんな可愛い子達放っておいてる奴らなんて気にしないでさ」

黄「いや、ホントにいいんで……」

白「……」

DQN1「いいからさー、ほら」

がしっ

白「ッ?!」

橙「わりいー!!待ったあ?」

DQN「?!」

橙「あー、すんませんね、彼女ら俺らのツレなんで。ほら、泳いでこようぜ。あ、失礼しまーす」

黄「だ、だって!ほら、行こ?」

青・白「う、うん!」

黄「ありがとね、橙」

橙「まーな。……てか、俺がやんなきゃ地獄になってたし」

黄「へ?……ハッ?!!」

赤・黒 (ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ)

黄「お、オーラが見える?!ここは格闘漫画の世界かなんか?!!」

橙「ったく……ホントお前らもう収まれって」

赤「……橙、やっぱ俺無理だわ……」

黒「……殺ってくる」

橙「いや、お前ら目が本気過ぎだから。マジ落ち着けよ、な?」

赤「……ふー」

黒「……ま、切り替えるか」

青「ね、スイカ割りしよ?」

白「スイカスイカー♪」

黒「そうだな。せっかくだし、楽しまないとな」

赤「だな。よし、やるか!」

橙「よかったよかった……」

白「みーぎみーぎ♪」

赤「あー行き過ぎだぞ黒—」

黒「む……」

橙「……なあ、黄色」

黄「あー左ぃー!……何?橙」

橙「黒ってさ、俺らから見るとさだいぶ……過保護だよな」

黄「まあ……ね」

橙「白はちょっとはうっとうしいとか思ってねえのかな」

黄「っ?!」

青「何言ってるの?!」

橙「あ、青?」

黄「そうだよ橙!そんなわけないでしょ!」

橙「え、ええ?」

白「?」

赤「そこだー!いけー!!」

 がん!

黒「どうだ?」

白「すごーい!一回で割れた!」

赤「すげえな。よし、みんなで食おうぜ!」

黄「お、おー!」

青「流石に一つは食べきれないんじゃない?」

赤「俺がいるから全然もーまんたいだぜ!」

黒「食欲魔人だな」

赤「うるせえ」

橙「……何だったんだろ」

白「あーもう日が暮れちゃうなあ」

黒「だいぶ遊んだからな」

白「いつまでも遊んでたいのに……」

赤「またみんなで来ようぜ!それでまた一日中遊ぼう!」

黒「そうだな、また来よう」

白「そうだね。また、今度ね!」

黄「今度はスキーにでも行く?」

青「それはまずいでしょ、受験生なんだし」

黄「ぶー」

橙「受験が終わったらでいいだろ。そんとき遊ぼうぜ」

赤「あースポーツで受かんねえかな」

黒「お前にはそれしか道がないだけだろ」

赤「うっ、痛いとこを……。とにかく、春、だな。それまで我慢だな」

青「お互い、頑張ろ。またみんなで遊ぶために」

橙「ああ。また、な」

こうして僕らの夏休みは過ぎていった。春への約束を、入道雲に誓って。


『海の帰り 黒×白』

白「(黒の肩にもたれかかって)くー……くー……」

青「白、寝ちゃったわね」

黒「こういうのは久しぶりだったからな」

白「くー……くー……」

赤「安心しきってる寝顔だよなー」

黒「そうか?」

青「うんうん」

白「……むにゃむにゃ」

青「……黒君」

黒「なんだ?」

青「……しっかり、白ちゃんと向き合ってあげてね」

黒「?」

赤「ばっかだなー、黒がこれ以上白と向き合ったらさー」

青「そういうことじゃなくて……」

赤「?」

黒「ま、その通りなんだろうな。気をつけるさ」

青「……」


『海の帰り』

橙「くー……くー……はっ!やべえ寝てた……」

黄「すー……すー……」

橙「わっ!!(近ッ! なんでこんな顔が近いんだよ!)」

黄「むにゃ……」

橙(……ホント、幸せそうな寝顔してやがんなあ)

黄「うぅん……」

橙(髪、さらさらだ……睫毛とかも長いんだなあ)

黄「すー……すー……」

橙「(……あーもういいや、もっかい寝ちまおう! ……もうちょい、このままでいたいし)おやすみなさいっと」

黄「うーん……んっ! あー寝てた……って、ええ?!」

橙「くー……くー……」

黄(近い! 顔が近いって!! はっ! ってか周りのみなさんに見られてるし! ハズっ!)

橙「……」

黄(このやろー……あたしの気も知らないで……)

橙「すー……すー……」

黄(……ん、でも、こんな近くでコイツを見れんのって久しぶりかも……)

橙「……」

黄(かっこいいよなあ……って何見とれてんのあたし!! )

橙「……」

黄(……もういいや! もう一回寝ちゃお! ……たまにはこういうのも……いいよね……?)


『喧嘩 赤×青編』

青「もう!赤なんか知らない!!」

赤「お、俺が悪いってのかよ!」

青「当たり前じゃない!人がせっかく……」

赤「俺は体育大受けるから数学だの英語は関係ねえんだって!!」

青「……う……うぅ……赤のどバカ!!」

赤「えええ?!」

橙「バカだなー、青の性格を考えろよ」

赤「はあ?」

黒「たぶん、一緒にいる時間を増やしたいんだろうな」

橙「そうそう、なんたって相手は正統派ツンデレだぞ」

赤「お前なぁ……」

橙・黒「とにかく、さっさと謝って来い」

赤「……はいよ」

赤「青、俺が悪かった!許してくれ!」

青「ううん、私が自分のことしか考えてなかったから……」

赤「そんなこと……」

橙「あんまりスムーズに行き過ぎて面白くねえ」

黒「まあな」


『喧嘩 橙×黄編』

橙「やんのかこのクソバカ!!」

黄「何よこのどへタレ!!」

橙「何だと年中カレー女!!」

黄「はあ?天然スケコマシがよく言うわよ!」

橙「うぜーなー、そのやかましいハイテンションどうにかしろよガキじゃねえんだから」

黄「あんたこそその口調がガキの頃から変わってないって気付いてないの?」

橙「あ?行動が小学生そのままのお前に言われたかねえよ!」

黄「な、あんたね!!」

数分後

橙「でさ……」

黄「えーホントー?」

赤「……なあ、お前らさっきまで喧嘩してなかったか?」

黄「してたっけ?」

橙「あー、してたな」

黄「原因なんだっけ?」

橙「んー……覚えてねえや」

黄「だよねー」

赤「……お前ら、すげえわ」


『斜め上』

 中学のころ

黄「ぬわー……重いぃ〜……」

橙「お、どーした、そんな重そうなもん持って」

黄「先生に頼まれたの……あぁ〜重い〜」

橙「ったく……貸せ、ほら」

黄「あ、……ありがと」

橙「うおっ、けっこう重ッ」

橙「———よし、着いた」

黄「ありがとね」

橙「あとでジュースな」

黄「えー」

橙「冗談だって。こんなん奢ってもらうほどじゃねーし」

黄「あはは」

黄(橙、力けっこうあるんだなぁ……さすが男の子。それに……)

黄「橙、背ぇ伸びた?」

橙「ん?まあな。なんたって成長期だからな」

黄「むう……この前まであたしと同じくらいだったのに」

橙「けっこう差ついたな。やーい」

黄「ちょ、髪をくしゃくしゃするな!」

橙「へっ」

黄(そういえばなんか、最近横顔が大人っぽくなったなー……横ってか斜め上になっちゃったけど……)

黄「うー……なんか複雑ー」

橙「意味わかんねえし」


『青は世界陸上を見ていないようです』

赤「青、……ゲイってどう思う?」

青「え……?」

赤「俺、黒のことが気になって仕方ないんだ!!」

青「え、そ、それって……」

赤「ごめん!!」

青「ま、待ってよおおおお!!!」

青「———はっ!!……夢か……よかった……」

赤「おーい、青」

青「何?」

赤「ゲイってさー……」

青「い、い、い、いやあああああああああ!!!(走り去る)」

赤「え、ええ?なんで?」


「それでね、その時黄色ちゃんが……」

「本当か?黄色も面白い奴だな」

いつものような、放課後の二人。暑さを残す日が射す廊下を並んで歩いていく。黒が白を支えるように、そんな当たり前の光景がそこにあった。

「おーい、黒ー」

そんな時、二人の後ろから声が聞こえた。声の主は黒の担任である。

「今、時間あるか?」

「え……」

急な担任の質問に、少し黒は白を気にする様子を見せた。

「私、ちょっと待ってるね」

白は心配しないで、と黒に言った。

「悪いな。……いいですよ、先生」

「そうか。少し、教室に来てくれるか?」

「はい」

黒は担任に促され、自分の教室へ向かった。

「……」

白はその背中をぼんやり眺めていたが、やがてゆっくりと黒が向かった先へと歩を進めた。

「……だからな、お前のやりたい分野だって、こっちの大学のほうがよりいい環境が揃ってるんだぞ?」

「だとしても、俺はこの大学を選びます」

「もったいないんだよ。お前の成績なら……」

「それとは別の話です」

「……黒くん……」

『cross』

 〜BLACK~SIDE〜

おかしい。絶対におかしい。

俺は自宅への道を一人で歩きながら、そんなことをずっと考えていた。

今日俺は用事があって、放課後に少しではあるが残らなければいけなかった。俺はそのことを白に伝えに行った。遅くなるから少し待っててほしい、と。

「じゃあ、私、今日は先に帰ってるね」

その旨を白に言うと、こんな返事が返ってきた。

違和感があった。いや、白が早く帰りたいと言うのであれば、俺がそれを無理に止めて待たせるわけにもいかないから、その通りにはしたが。

当然、白だっていつも俺と一緒に帰らなくてはいけない、なんてことはないのだからそんな日があってもおかしくはないのだけど。

……ただ、少し引っ掛かったのだ。あの時の白の言い方が、言ったときの雰囲気が、いつもとは違う印象を俺に与えたんだ。

『題名 なし

本文 明日、用事があるから学校に早めに行ってるね♪』

『題名 Re:

本文 いつくらいだ?俺も一緒に行こうか?』

『題名 なし

本文 ううん、大丈夫♪ありがとね☆じゃあまた明日ね』

「はぁ……ふぅ……」

「白、仕事してるのか?重そうだな、半分持つよ」

「いい!」

「っ!?」

「あ……だ、大丈夫だから。一人で……持てる……から……ッ……!」

「……そうか、わかった」

けして異常なことではない。ないが、どうしても気になる。それに……どうも俺はここ一週間、白に避けられている気がしてならなかった。

初めてだった。白が俺と話すとき、顔を伏せることなんて。不自然に会話を切られることも、早足で俺から離れていくことも今までに経験したことのないことだった。

……不安が募った。

まさか、もしかしたら、万が一、そんな言葉が頭をよぎりそうになるたびに必死に打ち消すようなことが続いた。

そんななか、俺は青に呼び出された。

「——黒くん。白のことで話があるの」

少しずつ、夜がせまる放課後。白は俺がずっと見てきたなかでも一番に真剣な顔をして、俺の前に立っていた。

残暑を和らげる、微かに秋の気配を漂わせる風が俺たちの間に流れる。

彼女は、ほんの少しだけ、笑っていた。

俺は今、俺たちにとってのとても大きな分岐点の前にいる。

「ねえ、黒くん。私たち——終わろう?」

彼女の声は、凜としていた。


『start』

 〜BLUE SIDE〜

「ふぅ……」

肩の荷が降りたようで、少し気持ちが楽になる。正直、ずっとつっかかっていたんだ。

……余計なお世話だったかな。ついさっき、一人の少年に言ったことを反芻してみる。うーん、やっぱり余計だったかも。

でも、つい口を出してしまった。あの二人がよりスムーズにいくように、と。

——ホントは昔から……

あの海での白の言葉を思い出す。……まさか、白があんなにも強い少女だとは思っていなかった。

黒くんが何よりも白を大切にしているのは分かり切っていることだけど、白もまた、いつだって黒くんのことを考えていたんだ。

あの二人の絆がとても深いものだったんだと改めて認識させられた。

「すごいなぁ……」

私も、彼女のようにあれるであろうか。私の大切な人のためにいられるんだろうか。

「……頑張って、白」

どうか、あんなにも優しい彼女の願いが叶いますように。

 〜WHITE SIDE〜

ねえ、黒くん。覚えてる?

黒くんは小さい頃から、色んなことができたよね。勉強もテストをすればいつでも百点だったし、私がわからないところがあれば、すんごくわかりやすく教えてくれたよね。

運動だってなんでもできて、かけっこも速かったし、体育でやるスポーツでもいつも活躍してたよね。

それにね、私、知ってるんだ。

黒くん。キミはとっても負けず嫌いでしょ?

うーん、……って言うより、自分をどんどん高めていきたい人なんだと思う。……たぶんだけど、当たってるよね。

だから、たぶんキミはもし私がいなかったら中学校でも高校でも運動部とかに入ってたと思うんだ。それにとっても上手くなっただろうし、その中心になってたと思う。

知ってた?黒くん、赤くんを見るときにたまに『憧れ』みたいなものがあるんだよ。……少なくとも私にはそう見えちゃうんだ。……きっと黒くんも部活とかしたかったんだよね。

だけど、私がいるから。黒くんは優しいから、自分がやりたいことを全部我慢して、私に付きっきりになっちゃったよね。

いつも、悪いなあって思ってた。ううん、今も思ってる。

でもね、本当に嬉しかった。いつでも黒くんが傍にいてくれることが。……だから甘えちゃったの。いつまでもずるずると黒くんにいてもらうことをし続けてた。

ずるいよね、すごく我がまま。私ってなんて嫌な子なんだろう。私はずっと黒くんの邪魔ばっかりしてきたんだ。

……でも、このままじゃいけないよね。

黒くん、ホントはもっと上の大学、行きたいんだよね。わかっちゃうんだ。黒くんはもっと自分が高められるところに行きたいんだと思う。私がいるから、私は地元に残るから、だから残ろうとしてるんでしょ?……もし違かったら恥ずかしいなあ。

ねえ黒くん。キミはキミのやりたいことをやってよ。本当に行きたいところに行って。私、もう嫌なんだ。私が黒くんの可能性を潰すなんて。

そのためには今の私たちじゃダメだよね。

だから——

「私たち、終わろう?こんな私たちじゃダメだよ。黒くんだけが我慢するのなんて止めよう?」

「俺は別に我慢なんか……」

「嘘だよ!」

私は必死に大きな声で否定する。いつまでも甘えていられないんだもん。

「私、頑張れるよ!黒くんがいなくてもしっかりできるよ!」

息が詰まって、ついせきが出そうになる。でも私は続ける。

「見てたでしょ?この一週間、私、一度も黒くんに頼ってないんだよ!ほとんど逢ってなくたって、我慢できたんだよ!」

寂しかった。心細かった。いつだって黒くんとお話したかった。それでも、それでも!

「私は!黒くんの『恋人』でしょ!?」

私が黒くんに頼ってるだけじゃ、そうは言えないよ。

「私だって、黒くんを支えるの!黒くんがやりたいことを助けてあげるんだから!」

いつまでも黒くんの隣にいたいから、だからこそ、黒くんに頼らないようにならなきゃ。

「支えられてるだけじゃ嫌!私は……黒くんのパートナーなんだよ?」

「白……」

黒くんが驚いた様子で私を見ています。一息で言ったので、私は少し息が切れていました。

それでも、目は強く黒くんのほうを見つめることは忘れません。

「ねえ黒くん。……私たち、きっと遠距離だって大丈夫だよ。だから黒くんは、遠慮しないで黒くんのやりたいことをやって。ね?」

さらさらと流れる風が私たちの間を吹き抜けます。私の前髪が揺れています。

「なあ、白……」

黒くんの、私に比べると短めな前髪も揺れていました。黒くんの真剣な瞳が、まっすぐに私を見ています。

「何?」

「……いや。……ありがとう」

少し照れたようにしながら、黒くんは笑ってくれました。

それが私には何よりも嬉しかったのです。その言葉を聞くと、思わず目が潤んできてしまいました。……やだ、そんなつもりじゃ……。

黒くんがゆっくり私に近づき、私を抱きしめました。

「白、俺、頑張るよ。頑張るから……」

ずっとずっと我慢してきたのに。この優しさを、このぬくもりを。

たった一週間だったのに、とても長く感じた一週間。久しぶりのような黒くんの感触に私がずっと我慢してきたものがついに決壊しました。

「ふぇ……ぅ、ぅ、うわあぁあああぁーッ!!」

黒くんの胸にすがりつくようにしながら、泣きついてしまいました。とくん、とくんというお互いの鼓動を感じました。

「俺たちさ、こっから、もう一回始めよう。きっと、最高の『恋人』になれる。いや、なってみせる」

「うん……うん!」

ようやく、ようやくです。やっと、私たちはスタートラインに立てたんです。

今日、私たちは終わりました。そして、ここから始まります。


『シャボン玉』

黄「しゃーぼんだーま飛ーんだ♪」

橙「ご機嫌だね」

黄「なんか子供の頃みたいじゃん?何年ぶりだろ」

橙「なんたって石鹸水から作ったからな」

黄「その作業もまた楽しかったりして」

橙「なんかわかるな」

黄「(プクプク) 綺麗だなぁ……」

橙「(プクプク) よし、五個できた!」

黄「ぬおっ?おーし、負けないぞぅ」

黄「なんかさー、ホントに子供の頃みたいだねー」

橙「昔はお前、よく石鹸水が口の中に入って苦しがってたよな」

黄「に、苦いんだよアレ!!」

橙「わかるけどさ」

黄「……ねえ、私たちはさ、これでいいんだよね?」

橙「ん?」

黄「……あたしは白ちゃんほどはできないけど……このままでも、いいよね?」

橙「よくわかんねえんだけど。……でもまあ、いいんじゃん?俺たちは俺たちだろ」

黄「そう、だよね!」

橙「……お前がなんかを不安に思ってんなら、いくらでもこういう時間を作るよ。お前と笑いあって、昔のバカ話でもしてさ。……今までだって、そうやってきたろ?」

黄「……うん!」

橙「よし、もっかいシャボン玉飛ばそうぜ」

黄「おー!」

pencil_1985.jpg

『我慢』

黒「今日は荷物多いよな」

白「あはは、ちょっと重いよね」

黒「……なあ、白」

白「何?」

黒「……いや、なんでもない」

白「おはよう、黒くん」

黒「おはよう。白、今日は夕方雨が降るかもしれないぞ」

白「えっ、じゃあ傘持っていこ。ありがとね」

黒「……ああ (本当に傘だけでいいのか?寒い時のために上着は持たなくてもいいのか?ああ、でもここで注意したら……)」

『ピンポンパンポン♪ 三年生、白。至急職員室まで』

黒 ぴくっ

赤「どーした?」

黒「……(プルプル)」

赤「……ついていきてえの?」

黒「……だけど、ここで俺がまたつきっきりになるわけには……ッ」

赤「……何て言っていいかよくわかんねえけど、まあ頑張れ」


『Q あなたのコンプレックスはなんですか?』

赤「うーん……」

黒「お、意外と真面目に考えてるんだな」

赤「なあ、コンプレックスってなんだっけ?聞いたことはある気がするんだけどよ……」

黒「……とりあえず『頭』でいいんじゃないか?」

青「素直になれないことね。気をつけてはいるんだけど……」

橙「はいはいお約束お約束」

青「何よそれ。……じゃあ、私、意外と赤のこと知らないのよね。黒くんや白よりも。なんかちょっと悔しいよね……」

橙「なるほど……」

青「私たちも幼なじみだったらよかったのに、って思ったりするの」

黒「俺は……」

赤・橙「白離れができない」

黒「……その通りだけどよ。つい、な」

赤「大丈夫、なるようになるさ」

黒「……たまにはお前みたいに考えるのも悪くない、か」

白「体が弱いってのはあるなあ……。けど、最近はだんだん風邪引かなくなってきたかも」

黄「よかったじゃん!」

白「うん。でも、今までの分でできないこととかやれないことがまだまだあるんだ。頑張らなくっちゃ」

黄「すごいね、白は。頑張りやさんだね」

白「えへへ。もう黒くんに迷惑をかけないようにね」

黄「……うん、すごいよ」

橙「生き方が刹那的だって言われるな」

青「まさしく最近の若者よね」

橙「確かに将来のこととかよく考えてねえなあ」

青「もうすぐ受験になっちゃうわよ?」

橙「だよなあ……。しっかりしねえとな。……俺にだって、目指してる未来ぐらいあるしよ」

青「頑張れー」

黄「うーん、フツウなことかなあ?」

赤「ダメなのか?」

黄「あたしの周りの人たちがすごすぎなんだもん。君もだけど」

赤「そ、そうか?」

黄「うん、めっちゃすごいよ。なんかあたしってなんもないなあーってね」

赤「んなことねえだろ」

黄「ありがと。……うん、いいんだ。あたしは、これで。きっとだけどさ」

赤「うんうん」


『理由  橙編』

女1「橙くんって意外と愛妻家だよねえ」

橙「まだ結婚してねえけど」

女2「あー黄色が羨ましいなー」

女1「ほんとほんと」

橙「ははは」

女1「幼なじみなんだもんねえー」

橙「まあね」

女2「うちも橙くんの幼なじみだったらよかったのにー」

橙「……は?」

女1「そうよねーうちらも幼なじみだったらチャンスあったかもだったのにー」

橙「……」

女2「なんたって黄色が橙くんゲットしたんだもんねえ」

橙「……おい」

女「何?」

橙「……いや、いいや。なんでもない」

橙「ホント勘違いしてんじゃねえぞ、あいつら……ッ」

赤「相当キてんねえ、お前」

橙「当然だっつの。俺が「あいつが幼なじみだったから」あいつを選んだみたいな言い方されて!」

赤「違うのか?」

橙「ぜんっぜん違う!もしあの女子どもが幼なじみで、俺と一番近い場所にいたとしても、俺がそいつらを選ぶ可能性は万に一つもねえ!俺は、「あいつだから」あいつを選んだんだっつーの!!」

黒「気持ちはすごくわかるな」

橙「……上手くは言えねえんだけどさ、あいつの声とか、表情とか、……あいつじゃなきゃダメなんだ。そりゃあいつと幼なじみだったのは大きいかもしれねえけど、でも……それがすべてじゃねえんだしさ」

赤「なんつーか……惚れてんねえ、お前」

橙「そう、なのかねえ 」

黒「悪いことじゃないだろう」

橙「ま、本人には言えないんだけどな」

 

『理由  黄編』

女1「橙くんほんっとにカッコイイよねえ〜」

女2「うんうん。黄色、羨ましいぞー」

黄「いやあ、照れますなあ」

女1「うーん、カッコイイ〜」

女2「あんなカッコイイ彼氏がいたらなあ……」

黄「……ねえ、それだけ?」

女1「え?」

女2「何が?」

黄「う、ううん。なんでも!」

黄「なんか釈然としないなあ……」

青「どうしたのよ」

黄「確かにあいつはカッコいいけどさあ……それだけじゃないじゃん。あたしだってそんな理由で好きになったんじゃないし」

青「例えば?」

黄「ん〜イマドキっぽいけど、実は誰よりも「みんなが」楽しむことを考えてたりするとことかさ。基本的にお人よしだったりさ。あいつ、「ったく……」とか言いながら優しくしてくれたりするよ?あ、色んな人にだよ!」

青「うんうん」

黄「なのに、カッコいいってところだけ見られてるみたいで、なんかなあ……」

青「いいじゃない。そういう橙のよさを知ってる黄色が橙のカノジョで」

黄「え……?」

青「橙は幸せものね」

黄「そ、そんなあ……」

 

『理由  青編』

黄「青ちゃんは、陸上してる赤くんに一目惚れ☆だっけ?」

青「何よその言い方……そうなんだけど。……でも」

黄「でも?」

青「私もね、ずっとそう思ってた。でも、違うのかもって思えてきたの」

黄「ほうほう」

青「たぶんね、私は赤の持ってる『空気』みたいなもの全てが好きなんだと思う」

黄「空気?」

青「うん。バカみたいに明るくて、こっちが暗く沈んでても無理やり明るくしてくようなあいつの空気が。迷惑なふりして、惹かれてたんだと思うの」

黄「よくわかんないけど、赤くんの全部が好きでおk?」

青「なんでそうなるのよ! でも、告白した時よりも、今のほうが赤のことは好きになってるなあ……」


『オムライス』

「橙ぉ〜、英語おじえ゛で〜」

テスト前日の日曜日、死にそうな面を浮かべながら、いつものやつが窓からやってきた。

「……なんでそんなひでぇカオしてんの?」

音楽を聴きながら寝ていた俺は幼なじみののっぴきならなそうな状態に驚いていた。

「担任がぁ〜明日のテスト、80切ったら来週の日曜日なしだって〜」

「それでもしかして、昨日徹夜で勉強したのか?」

「う゛ん」

80って……。こいつの苦手である英語でその点数は厳しいに決まってる。しかも担任の作るテストはめちゃくちゃ難しい。それを一日やったぐらいじゃどうにかなるわけがない。

「お前さ……厳しいだろ」

たぶん担任も補習をさせる前提で話をしてるんだろう。

「でも……でも……」

それにしても黄色は必死だ。休みを守るためになんでそんなに……。

「あ……来週って……」

「……うん」

ここのところ模試だ課外だと土日が潰れることが多く(現に俺も午後から野暮用で学校に行かなきゃならない)、来週の日曜は本当に久しぶりの休みなのだ。

そしてその日に俺たちは遊びに行くことに決めていたんだ。

「絶対……デートするんだもん……」

眠そうな目を必死に開きながら、黄色は英語の参考書を持つ手に力を入れた。

「……ったく。俺、一時半には行かなきゃなんないから。でもま、ギリギリまで教えてやるよ」

「ありがと!」

ぱっと笑顔になった黄色に思わず俺も頬が緩んだ。

三時間経過。九時ちょい過ぎからやってるからもう十二時を回ってる。そろそろ休もう。

「おい、黄色」

長文を読んでいた彼女に声をかける。が……

「……」

……寝てる。仕方ねえよな、昨日も徹夜だったらしいし。少し休ませてやろう。でもな……

「その態勢はなしだ……」

なんたってスカートをはいてるくせに片膝をあげた姿勢のままで寝ているのだ。

「薄いピンク……って違う違う」

ついついあらぬ方向へと行ってしまった目線を外し、昼飯でも作ってやるか、と思いついた。

「何がいいだろ……」

こいつの好きなものがいいよな。カレー?いや、それはちょっと……。……そうだ、あれにしよう。

フライパンの音、鮮やかなチキンライス、ほのかなケチャップの匂い。おいしそうになってきたチキンライスをふわふわの卵で丁寧に包む。

「久しぶりだな……」

お互いに結構好きで小学の終わりごろ俺が作り方覚えてつくったもんだった。

ケチャップであいつが好きな星を描いて、スプーンを添えて持っていく。なんだか、階段をあがる足並みは軽かった。

これを見て、笑顔になるあいつが簡単に想像できた。やっぱり俺にも笑みがこぼれてきた。

さあ、昼飯だ。頑張ってるあいつと、ふわふわ卵のオムライスを食べよう。


『侵入者』

黄「……こういうの、けっこう久しぶりだね」

橙「かもな。……でも、たまにはいいよな」

黄「……うん。あったかいなぁ、橙の腕」

橙「恥ずかしくねえの? 」

黄「いいじゃん、たまになんだし」

橙「ま、そうだな……」

黄「……」

橙「……黄色……」~スッ

黄「橙……(目を瞑る)」

ばーん!

母「橙!黄色ちゃん!おやつ持ってき……お、お邪魔だったみたいね……(ソロソロ)」

橙「……」

黄「……」

橙(お袋……KY……)

それは、黄色が悲鳴をあげる一秒前。


『待ち合わせ』

赤「ホンットごめん!!」

青「はいはい、赤はストップウォッチの見過ぎで普通の時計が読めなくなったのね!!」

赤「あ、うまい。……って違う!ホント悪かった!マジごめん!!」

青「……」

赤「ごめんなさい。もうしません……」

青「……一日中荷物持ち」

赤「喜んで!」

黄「おはよ!」

橙「おっす」

黄「……毎回思うんだけどさ」

橙「ん?」

黄「家の前で待ち合わせってムードないよね……」

橙「……まあそうだな」

黄「今度さ」

橙「変えてみる?」

黄「んー……やっぱいいや」

橙「そっか」

白「もー!黒くん早すぎるよー!」

黒「そうか?」

白「何で一時間前に来てるのに先にいるの?」

黒「白を待たせるわけにはいかないからな」

白「むー」


『お風呂について』

赤「幼なじみってさー、やっぱ昔は一緒に風呂入ったり寝たりしてるもんなのか?」

橙「何をいきなり」

赤「マンガみたいなことホントにやってんのかなと思って」

黒「すごく前ならやってたな。それこそ小学入るかどうかってときまでだけどな」

橙「そんぐらいなら俺もだ。親同士も仲よくてな」

赤「ふーん」

黄「あれ?中学入る前ぐらいに一回……」

橙「ちょ!言うなバカ!!」

黄「あ……!」

赤・黒「な、なんだって(ry」

橙「……バカ」


「……」

「……」

気まずい。気まずすぎる。と言うよりありえない。なんでこんなことになってるんだ。なんで、なんで、なんで!

この歳になってまで、黄色と一緒に風呂に入ってるんだよ!!!

『お風呂でどっきり?(笑)』

どうしてこうなったのかはこの際どうでもいい。

雨でびしょぬれで帰ってきたのに親が家にいなかったとか、黄色の家でもうすぐお風呂の工事の人が来るから時間がないとか、でも濡れっぱなしでいられると困るとかいう理由はどうでもいいんだ。

一番の問題はこの状況そのものなんだ。

つーかもう俺ら小六だぞ?黄色の親もそんなんでいいのかよ?

『昔はよく入ってたんだからいいでしょ?』とむしろあっちが勧めてきたが。

「……」

「……」

無言。そりゃ無言にもなるっつーの。

自分の視点を集中し、けっして周りを見ないようにしながら体を洗う。周り、つまり——黄色が入ってる湯槽とか。

さすがにお互いにバスタオルを巻いてはいるがやはり見るには耐えない。

久々に使う黄色の家のシャワーの出が悪いことを思い出しつつ頭まで洗い、伏し目の状態で黄色と代わる。

シャワーのお湯の温度が低くて体はまだ暖まっていなかった。

「あの……体洗うけど……絶対こっち見ないでね……?」

黄色のか細い声が少しだけエコーしながら聞こえた。いつもとは違うその声に思いがけずどきっとしてしまう。

「あ、ああ……」

俺はそちら側に背を向け、目を瞑って湯槽につかる。なんだか変な感じだ。

 サー……

弱いシャワーの音が聞こえる。桶にお湯を溜めているんだろう。

……なんだか眼を瞑ったせいで、他の感覚に集中がいっている気がする。

 ……

……たぶん、バスタオルを取ったんだ。そのままじゃ体は洗えないしな。

やめろ!余計なことを考えるな!必死に脳の活動を中止しようとするけれど、しかしもう一つの確信が俺の頭のなかを占めていた。

——すぐそこに、裸の黄色がいる。

色んなイメージがぐるぐると回る。クラスの女子にはもう胸がけっこう膨らんでるやつもいる。黄色はいったいどうなんだろう?

いやいやいやいや!俺とあいつは幼なじみじゃないか!興奮なんかしてんじゃねえ!収まれ俺の色んな部分!!

そう俺が必死になっていたそのとき!

「きゃああ!」

黄色はいきなり悲鳴をあげると、なんと湯槽のなかに飛び込んできた。

「ど、どうした!」

俺は目を瞑りながらただならぬ様子の黄色に何があったか尋ねた。

「シャワーが急に冷水になって……」

湯槽に飛び込んだ、ということらしい。らしいが……。

……この状況、非常にまずい。

驚いたのが落ち着くと、今の最悪さが理解できた。

まず、湯槽が二人入るには狭いということ。

そして何より、黄色は現在素っ裸ということだ。バスタオルを外したまま、ダイブしてきたのだ。

すなわち……裸の黄色が俺にぴったりと密着しているのだ!

ふに……

色んな部分が俺の背中やらなんやらにくっついている。そしてわずかに、わずかにだけど、柔らかいものが確かに背中に当たっている感触がある。さらにこの背中の若干一部だけ違うこの感触はまさか——ッ

「だ、橙……わ、悪いんだけど上がってくれない?」

後ろから黄色の弱々しい声がした。

「あ、ああ」

正気を失いかけていた俺は、一瞬慌てながらも頼みどおりに動こうとした。

ふにん

……くそう、当たる!出ようとする俺にも黄色の体は容赦なく追撃を与えた。

「あ、……み、見ないでね?」

わずかに振り向いたとき、黄色が上目遣いで俺に最後のお願いをした。

……それこそがとどめだった。

ああ、ちゃんと見ないで出たさ。……でもそのあと脱衣所でうずくまっちゃたのは許してほしい。俺だってそろそろ毛が生えかけてきたオトコノコなんです。

……どっちかというと、俺のアレが見られてないかのほうが俺にしてみりゃ重要なんだけど。

こんな思いだしたくもない若き日の一ページ。


『シュガーレス』

青「やっぱり飲み物はあんまり甘くない方がいいなあ」

赤「そうか?」

青「うん。コーヒーならブラックよね」

赤「うーん、俺は甘い方がいいなあ」

青「あれ、赤って甘党だっけ?」

赤「そうでもねえけど」

青「じゃあなんd——」

ちゅ

赤「こうしたときに甘い方がいいしな」

青「な、な、な……」

赤「あ、もともと甘いからいいか」

青の平手打ち、三秒前。


『とくべつ』

黄「たいちゃん!消しゴム貸して!」

橙「おっまえなあ、その呼び方で呼ぶなって……」

黄「あ、ごめんたいちゃん」

橙「……ああ、もういいよ。ほら」

黄「ありがとたいちゃん!」

橙「……ったく」

女「たいちゃん♪」

橙「は?」

女「えへ、黄色ちゃんの呼び方真似してみたの」

橙「……あいつが俺をそう呼ぶのと、あんたがそう呼ぶのは何の関係があんの?」

女「え……?」

橙「マジでやめてくれない?」

女「ご、ごめん……」

黄「たいちゃんたいちゃーん!」

橙「……はあ」

黄「? どうしたの、たいちゃん?」

橙「やっぱ、お前だけだなって」

黄「え?」

橙「なんでもない」







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 12:14:18