スクールデイズ

『体育祭 序章、男組編』

赤「さあさあさあ!ついにやってまいりましたよ俺のターン!が!!」

橙「はしゃぎすぎだろ……」

黒「わかりやすくていいけどな」

赤「黒、橙!今年は俺の出る競技だけじゃなく、総合優勝も譲らねえからな!!」

橙「それはどうかな」

黒「俺も負けるつもりはないな」

赤「よし、じゃあ一番順位が低かったやつはオゴリな」

橙「こーゆーのって大概言いだしっぺが負けるよな」

赤「だが俺はこの負けフラグを折ってみせる!」

橙・黒「はいはい」

赤「まあ見とけって。じゃあ、とりあえずお互い頑張ろうぜ」

黒「おう」

橙「珍しくまともだな。——ああ、お互い、な」

こうして、俺たちの最後の体育祭が幕をあける——

『序章、女の子編』

青「ついに体育祭ね」

黄「今年で最後だもんね……」

白「あ、あのね!」

青「どうしたの、白?」

白「わ、私、今年初めて競技に出るの。今まではずっと見てるだけだったけど、今年は体調もいいし、出てもいいって!」

黄「おめでとう!よかったね!!」

青「何に出るの?」

白「卓球だよ。あんまり激しいのは自信ないから……」

黄「あれ、卓球って男女ペアだよね?」

白「うん。色無くんが組んでくれるって!」

青・黄 (色無、可哀相に……)

白「どうしたの?」

青・黄「ううん!なんでも!!」

白「?」

青「絶対応援行くね。頑張って!」

黄「バカ橙もつれてくから。みんなで応援してるね」

白「ありがとう。私も二人の応援絶対行くから」

青「ありがとう。ま、お互い頑張りましょ」

白・黄「おー!」

『白の卓球』

「第一セット、11−7で二年二組の勝ちです」

白「色無君ごめん……」

無「気にしなくていいよ。次は取り替えそう」

白「うん」

赤「色無ー!何してんだー!!さっさとフルボッコにしろよ!!」

青「もし負けたらわかってんでしょうね!!」

黄「切腹!切腹!」

無「あいつら……好き勝手言いやがって……」

白「ごめんね……私のミスのせいなのに」

無「だから謝んなくていいって。……あいつらだって、白のために来てくれてるんだろ?」

白「う、うん」

無「黒も見てるしな」

白「そ、そうだね 」

無「それじゃ、頑張っていいとこ見せてやろうぜ」

白「うん!」

無「ッし!」

すぱーん!!

「11−9。第三セット、三年三組の勝ちで、この試合、三年三組の勝ちです」

白「やったあ!」

無「やったな! (白とハイタッチ)」

赤「白ーすごいぞー!」青「白、おめでとー」黄「白ー」

白「えへへ、みんなありがと」

無(……頑張ったの俺なのになあ。ま、それはいいにしても……)

黒「……」

無(マジ勘弁してよ黒!俺何もしてないじゃん!……うーん、報われねえ……)

『青のバレー、黒のバレー』

女「青ー、お願い!」

青「任せて!」

すぱーん!!

女「すごいすごい!アタック強いね!」

青「たまたまよw」

赤「青ーかっけーぞー!」

青「」

女「青!」

青「まかせ——

赤「青ー!頑張れー!!」

青「ッ!!」

へろっ

青「ご、ごめん!」

女「赤くーん、悪いんだけど出てってー」

赤「ちょwww」

白「黒くん、頑張ってね」

黒「ああ。白が応援に応えないとな」

白「黒くん!頑張れ!!」

黒「っし!!」

ズドーン!!!

相手「((((~;゚Д゚))))」

男1「強すぎだろ……常識的に考えて」

男2「ホント味方でよかったよ。てかオーラが違いすぎ」

黒「さあ、もう一本いこう」

『黄色のバスケ』

橙「やべえなあ……ウチのクラス、卓球とバドとソフトが一回戦負けってどんだけだよ……」

黄「どしたの?」

橙「クラスの総合順位、赤たちと勝負しててさ。このままだとやばい感じだ……」

黄「ではこれからバスケに向かうこの黄色チャンに期待しなさい」

橙「マジ頼む!できれば優勝する感じで!」

黄「そ、そんなに必死!?」

橙「本気で!もし優勝したらなんでも言うこと聞いてやるから!」

黄「えっ?何でも?」

橙「ああ!だから頑張ってくれ!!」

黄「わかった。……約束だかんね」

黄「さあ一本集中していくよ!!」

赤「なんか黄色本気だな。三年相手に三十点差とかww二組の女バスつえー」

橙「なんだかちょっとあとが怖いな……」

『バスケ』

シュッ!

赤「しゃあ!!」 

 18−17

黒「——ッッ」

スパッ!!

 18−20

赤「せりゃああ!」

黒「いかせるか!」

 シュッ……(前をむいたまま後ろのフリーの選手にパス)

黒「な……っ!」

スパッ!!

赤「ナイッシュ!」

男「赤、ナイスパス」

 20−20

橙「すげえ試合してんなあ……」

青「さすが決勝って感じよね……」

黄「橙はどこに負けたの?」

橙「黒にやられたよ。もうちょいだったんだけどさ」

青「ホントにあの二人は半端ないわね」

黄「上手すぎ」

白「なんだかどっちを応援していいかわかんないよ……」

橙「ま、おとなしく観戦してますか」

赤「よっしゃああ!!!」

 27−26 三年一組(赤)の勝ち

黒「今年はやられたな。負けたよ」

赤「いやいや、マジ強かった。次やったらわかんねえさ」

黒「かもな。……いい試合だったよ」 赤「だな」

(互いに握手する)

『お弁当』

赤「あーマジ疲れたー。頑張りすぎたー」

青「赤、すごい動いてたもんね」

赤「だって負けたくなかったし」

青「勝ってよかったね。おめでとう」

赤「ありがと。……あー食うのもおっくうだー。青ー、あーん」

青「な、何言ってるのよ!」

赤「いいじゃん。ご褒美ってことで。あーん」

青「も、もう!仕方ないわね! 」

橙「さすがにサッカーは負けられないな」

黄「赤くんも出るんでしょ?」

橙「ああ。そういや赤と相手チームでやるのは初めてだな」

黄「自信は?」

橙「正直な話、半々」

黄「あれ、意外」

橙「赤はやっぱすげえよ」

黄「大丈夫、橙だってサッカー上手いでしょ?」

橙「んなこと言ってもな……」

黄「たいちゃんはやればできる!ね?(ニコ」

橙「——ッ!……そうだな。やってみせるさ」

黄「うん、頑張れ!」

白「お弁当作ってきたんだけど、どうかな」

黒「すごくおいしそうだよ。ありがとう」

白「ううん。私は今日競技ないから」

黒「それにしてもさ。……白、今年は楽しいか?」

白「うん!卓球も、みんなを見てるのも、黒くんを応援するのもとっても楽しい!」

黒「よかった。今年で最後だもんな」

白「さみしいなあ……ずっと高校生でいたいよ」

黒「そう思うのもありだけど、それより残りをどれくらい楽しむかのほうが大切だぞ」

白「そうだね。うん、もっと楽しも!」

『体育祭 サッカー直前』

橙「ついに決勝だな」

黄「相手はやっぱり赤のクラス?」

橙「ああ、なんだか楽しみだ」

黄「サッカー小説にならない程度に頑張ってね」

橙「は?」

黄「なんでもなーい」

黒「よう、橙」

橙「黒が俺のほうに来るなんて珍しいな」

黒「赤の邪魔になると悪いんでな」

橙「?」

黒「たぶん、だけどな。赤の才能が見れる試合だと思うんだ」

橙「体育祭のサッカーでか?」

黒「俺は、あいつは天性のリーダーだと思ってる。誰よりもひたむきで、誰かの先頭に立ち、誰かを引っ張っていくことを厭わない」

橙「……なるほどね」

黒「おそらく最終競技であるサッカーにあいつは全てをかけ、全てをぶつけてくるだろう。……その相手が俺じゃないことが少し悔しい。だからこそ、その相手である橙にも全力を尽くして、この試合を最高の試合にしてほしい」

橙「……俺、黒は白にすげえ執着してると思ったけど、赤にもなのな。すげえ信頼と……執着だ」

黒「悪いな。あいつは……そうだな、親友なんだ」

橙「……そっか。……わかった、お前の親友の相手、確かに引き受けた。俺も、全力を尽くそう」

橙(俺にとっても、あいつは……ライバルだったから)

『体育祭 サッカー』

勝ってる。確かに勝ってるんだ。なのに、この焦燥感はなんなんだ。

現在、後半で3−1。まずサッカーの点差で考えるならかなりこっちが有利だ。

原因はたくさんある。

赤はバスケの疲れや前半からの頑張りでだいぶ消耗しているし、こっちには中学までサッカー部だったやつもいる。それに……あんな発破かけられたら俺だって燃えないわけにはいかないしな。

それにしたってこっちが有利なんだ。だが……

「さあ、まず一点返してこーぜ!!」

あいつの声が響く。相手の気力が甦っていく気がする。

時間がたつにつれ、お互いに体力が落ちていく。それは同じだ。そのはずなのに……

「負けんな!頑張ってこーぜ!」

俺の声に魔力はない。一瞬盛り上がった空気はまた元へと戻っていく。

「しゃあ!」

赤にボールが渡る。その場が、輝き始めた。

がむしゃらで力任せだけれども、すこしづつ、赤は前に進んでゆく。体を張り、足を引きずりながら。

「らあ!!」

力強く蹴られたボールはキーパーの手を掠めながらもネットに突き刺さる。……一点差。

「あと一点!」

赤の足は止まらない。その姿が、笑顔が、同じチームの奴らを引き上げていく。

赤のチームの選手達の足が再び動き出す。へとへとになっているうちの選手を尻目にどんどん攻めあがってくる。

……なるほど、すげえ才能だ。天性のリーダー、そんな言葉が確かに当てはまるような気がする。

——だからこそ、負けられない。

初めての本気を出した時の、ライバルだった。付き合えば付き合うほど、すげえやつだと気がついた。

だけどあの時、俺は勝手に降りちまった。

だから……今度こそ、俺はこいつと最後までやり抜くんだ!

「いかすかよ!」

スピードに乗ってドリブルをしようとする赤に向かい、ギリギリまで足を伸ばしてスライディングをかける。……土?汚れ?んなもん気にしてられっかよ。

無様でも、かっこ悪くても構わない。俺も、あいつのように、ただひたすらに——。

「負けねえぞ!ぜってえ勝つ!!」

汚れながらのその俺の声は、わずかに、空気を変えた気がした。

「勝負だ、赤」

見据えた赤の瞳は鋭く、真剣で……ひどく純粋だった。……あー、こりゃ青も惚れるわな。

赤がそんな俺を見て笑う。ここからが勝負だ。

「ああ、望むところだ」

俺たちの本気が熱を帯びてゆく——

『体育祭 終わり』

赤「あ〜もうだめ……残りHPゼロ……」

青「最後の最後まですごかったもんね……」

橙「ホントバカ体力だよな……」

赤「魔人と……呼べ……」

黒「魔人にしては弱々しいな」

白「お疲れ様」

黄「MVPあげてもいいくらいだよね」

赤「だろー……」

橙「……ま、それはおいといて。赤、奢りだからな」

赤「……は?」

黒「約束しただろう」

赤「いや、でも俺、あんなに頑張って……」

青「……赤、残念なんだけど」

橙「お前のクラスは男バスとサッカー以外がいまいちで、三年の中だとブービーだ」

赤「……え?」

黒「よって、クラスの順位が低いので、お前が奢りだ」

赤「う、う、嘘だああああああああ!!!」

橙「じゃあファミレスなー」

赤「しかも今からかよ!」

『ご褒美 昼編』

ニコニコ。そんな満面の笑みがさっきからずっと俺に向けられている。

「えっへへえ、約束だもんね〜、橙?」

心底嬉しそうにしながら、時折、ね?と確認を取ってくる。

「ああ、そうだな」

体育祭の女子バスケでは、黄色は俺が頼んだとおり、見事に優勝をしてくれた。ということは当然『言うことを何でも聞く』という約束を守らなくてはいけないわけで。

「どうしよっかな〜何してもらおうかな〜」

「もう何だっていいよ。好きにしろ」

「ホント!?」

「ああ、服でも買いに行くか?昼飯おごりか?なんだっていいぞ」

しかし黄色は首を振った。

「そんなのいらないよう。ね、今日は一日いっぱい遊ぼ?」

「そ、そっか」

「♪」

それだけでいいのか?あんなに頑張ったご褒美が、それだけで……。

そんなことをつい、聞いてしまいそうになった。でも、黄色の笑顔を見てると、もし今度は俺が黄色に同じことを言われても、俺も一日中黄色と一緒にいることをお願いしようと心から思えてくる。

「黄色」

「何?」

「お前、すっげえ可愛い」

俺の不意打ちで赤くなる彼女。今日は一日、こいつに尽くしてやろう。

『ご褒美 夜編』

黄「勝ったー!!」

橙「ちくしょう……最後の7連鎖とかまぐれだろ……」

黄「まぐれでも勝てばいーの!」

橙「運は強いもんな、黄色」

黄「あはは。あ〜今日は遊んだねえ」

橙「昼間はデートで夜はゲーム。満足したか?」

黄「ん〜ホントはずっと遊んでたいんだけどね。でも今日はとっても楽しかったよ!」

橙「そっか。よかった」

黄「えへへ。あ、もうこんな時間だ」

橙「うお、マジだ。そろそろ帰るか?」

黄「……そうだね。ね、橙、最後に、お願い、していい?」

橙「もちろん。なんでも言ってくれ」

黄「……じゃあ……」

橙「じゃあ?」

黄「……ちゅーとぎゅー」

橙「……」

黄「……ダメ?」

橙「(ぎゅっ) バカ。ダメなわけあるか。いくらでも……お前が望むだけしてやる」

黄「えへへ……~……たいちゃん……」

橙「黄ぃ……」

黄「んっ……ふぁ……んっ……はぁっ……」

橙「……はぁっ。……いかがですか、お姫様?」

黄「……舌入れるのはずるいよぅ」

橙「黄色、お前、目ぇとろーんとしてんぞ」

黄「だってえ……。……橙、あたしに『お姫様』って言ったの初めてじゃない?」

橙「そうだっけ?まあそんな連発する単語じゃないけどな」

黄「すごい軽い人みたいだね」

橙「おい」

黄「わかってるよ。そうじゃないこと」

橙「……黄ぃ?」

黄「……ううん。橙の初恋は青だったんだろうし、初めてのライバルは赤だったんだろうなあって思って」

橙「……たぶん、そうだと思う」

黄「あたしはね。ずっと、全部たいちゃんだったんだ。始めての友達も、目標も、ライバルも、……初恋も」

橙「黄色……」

黄「初めてのデートも、喧嘩も、初めて抱きしめてもらったのも、手を繋いだのも、ファーストキスも……全部たいちゃんだった」

橙「……」

黄「橙の今までの『初めて』が全部あたしじゃないのは少し悔しいけど、しかたないよね。でも……」

橙「でも、なんだ?」

黄「……あたしの全部の初めては、たいちゃんが相手であってほしいな、って……」

橙「黄色……(ちゅ)」

黄「んっ……たいちゃん、あたし、ヤじゃないよ……?」

橙「——ッ!!」

橙「黄色……」

黄「たいちゃん……」

ちゅ……

母「橙ー、気の利く母が差し入れを持ってき——あ……ごめん……」

橙(KYってレベルじゃねーぞ……つーか……気まずい……)

黄「……あたし、そろそろ帰るね」

橙「あ、ああ」

黄「ね、橙。今日、楽しかったよ。ありがと」

橙「そっか」

黄「うん。……じゃあね」

ちゅ

橙「おう。じゃあな」

 なんだか、最後のキスがいつまでも熱を持っている気がした。


『ちょっと未来の黒×白』

ピピピピピピ……ぱん!

白「……よし、六時」

黒「おはよう、白」

白「……おはよう(目覚まし使うと黒くんも起きちゃうなあ……)」

白「(ぱち)やった、六時に起きれ——」

黒「おはよう、白」

白「お、おはよう。黒くん早いね」

黒「そうか?」

白「(むくっ)……五時。これなら!」

黒「白、おはよう」

白「……黒くん、どうしていつも私より早く起きてるの?」

黒「なんとなくな。それに、最初に『おはよう』って言えるだろ?」

白「私だって黒くんより早く起きて先に『おはよう』って言いたいのに〜」

黒「うーん……譲れないな」

白「むー」

黒「……ん」

白「えへへ、おはよう、黒くん」

黒「おはよう……今日はやられたな」

白「えっへん。勝ったぞー」

黒「ははは……白!? なんだそのくまは!!」

白「え、嘘、くま出てる?」

黒「どうしたんだ?」

白「……あはは、私、寝ちゃうと絶対黒くんに先に起きられるから……」

黒「寝てないのか!?」

白「……あはは」

黒「白、あのなあ……」

白「だって……黒くんより先に『おはよう』って言いたかったんだもん……」

黒「……」

それ以来黒がわざと白よりも遅く起きるようになりましたとさ


『ちょっと未来の橙×黄』

黄「おはよ……」

橙「おはよ。トーストとハムエッグでいいか?」

黄「ありがとー。ミルクたっぷりカフェオレも〜」

橙「はいはい」

黄「今日はあたしが夕飯だね。……カr

橙「カレーはおととい食ったぞー」

黄「……仕方ない。他のを考えますか」

橙「お前さ、カレー以外の料理も旨いんだからもっといろいろ作ればいいじゃん」

黄「それはまあ、練習しましたから。……橙のために(ボソ」

橙「あ、今日DVD返しに行ってくるけどなんかみたいやつある?」

黄「ん〜……あ、ジブリ見たい」

橙「……アニメコーナー入るの恥ずかしいんだけど」

黄「気にしない。愛しの黄色チャンのために頑張って」

橙「ったく、ラピュタでいいか?」

黄「ぽんぽこがいいなあ」

橙「……マイナーだなあ」

黄「可愛いじゃんタヌキ」

橙「わかったわかった、タヌキ借りてくりゃいいんだろ?」

黄「ありがと」

橙「うん。夕飯、楽しみにしてっから」

黄「任せとけ♪」


『ちょっと未来の赤×青』

赤「青さ、最近具合わりいの?顔色よくねえけど」

青「……最近寝れなくて」

赤「ウソ、大変じゃん。じゃあ今日は早く寝るか」

青「……うん」

赤「すぴー(ギュー」

青「うう……」

赤「すー……(ギュー」

青「赤のせいで寝れないのよ……もう……」

赤(なんでこんなに可愛いかなー……)

青「おはよう、赤(ニコ」

青「あつっ……うう……でもできた。赤、コーヒーいれたよー」

青「(映画を見てる)……ぐす……ッ……」

青「すー……すー……っは!……ごめん、寝ちゃってた」

赤「青ー」

ぎゅー

青「なっ……なんだってあんたはいつもそう突然なのよ!」

赤「あとどうしたらいいかわかんねえんだもん」

青「?」

赤(こんなに青が好きだってこと、行動以外でどう表現するんだよ!)

 ちゅー

青「!? だからあ……」


『つまんない』

 小学五年生ぐらい

黄「よーし、ボール取ったし遊んでこよう!」

女「おー!」

男「あー!ボール!俺らがサッカーやるのに!!」

黄「早いもん勝ちでしょ。今日はあたし達が使うの!」

橙「女子が先だし、今日は無理じゃね?」

男「うっせえ!絶対やる!」

ドン!

黄「きゃ……!」

男「ボール取った!」

橙「おい!」

男「なんだよ、早くサッカーしようぜ」

黄「……うう……っ……」

女「黄色ちゃあん……」

橙「……」

黄「はあ……ぐす……っ……」

橙「……よお」

黄「な、なんで……?サッカーしに行ったんじゃ……」

橙「やめた。……お前が泣いてると何しててもつまんねえ」

黄「——ッ」

橙「帰って一緒にゲームしようぜ」

黄「……ありがと、たいちゃん」

橙「たいちゃんはよせって」

黄「えへへ、ごめんね、橙」

橙「気にすんなって」


『頑張ろう』

わからない。自分の中の知識がごちゃごちゃする。考えがまとまらない。

「あー……もうだめ……」

数学の発展問題を前に、私は全てを投げ出したい気分でいっぱいだった。

センターまでの日数が学校でもカウントダウンされ始め、できないことがまだたくさんあるという焦りばかりが先行してしまう。

数学の発展問題、記述の仕方、英語の和訳、単語・イディオムの暗記、英作文……。

課題は山積みで、減っていっている気がしない。多すぎるその量に、挫けそうになってしまう。

——赤に、逢いたい。

電話でもメールでもかまわない。とにかく赤と話がしたかった。二人でおしゃべりをして笑いあいたかった。

……そんなのダメに決まってる。その時間を惜しんで勉強しなきゃとは思うし、何より赤だってそろそろ推薦入試なのだ。彼にだって小論文を書いたりとかすることがあるだろう。私の都合で赤の時間を奪うわけにはいかなかった。

でも……逢いたいよ。話がしたいよ。……寂しいよ。

それらのどれかを口に出せたら、少しは楽になれるのだろうか。

小さな携帯電話を見つめてみる。電話をかけるだけなら、ボタンを一つ二つ押せばすぐにでも、電波は私を彼と結んでくれるだろう。

溜息をついて、問題集に目を落とす。……やるしかないよなあ。

現実逃避を諦めて、ぐちゃぐちゃとした思考の中にもう一度戻ろうとしたとき——携帯が鳴った。

鳴り響くお気に入りの曲は、大好きな人からの電話の証拠。

「も、もしもし!」

電話の先にはあいつがいる。それだけで嬉しくなった。こんなタイミングで電話をしてくれたことに、何かをつい感じてしまう。

「何?……え、何よ、それだけ?……まったく、私だって勉強してたのよ?それなのに……え?……うん、……あはは!なによそれー」

彼からの電話がとてもとても嬉しかったことは、恥ずかしくて言えそうにはないけど、こぼれてくる笑顔はどうしても隠せない。

受験勉強の辛さだって、赤の声を聞けば吹き飛んでしまうんだ。

「あー、楽しかった」

通話を終えた後も、赤との会話の余韻が残り、私に嬉しさの残り香を与えていた。

伸びを一つする。だいぶ気持ちも楽になった。深呼吸をして、気合をいれる。

「よし、頑張ろっと!」


『セーター』

 中学生ぐらいの話

女「ねー、黄色って橙くんと付き合ってるんだっけ?」

黄「いえいえ、ただの幼なじみッスよ」

女「えーウソ、あんなに仲いいのに」

黄「すごく仲いい友達って感じかなあ?」

女「そうなんだ。……あれ、黄色、そのセーター着てたっけ?」

黄「ああ、これは……」

橙「黄ぃー、お前そろそろセーター返せよ」

黄「えーいいじゃん、あったかいし」

橙「俺の立場は無視か」

黄「今日一日、ね?」

橙「……ったく。家帰ったら返せよ?」

黄「はーい」

女「……」

黄「? どうかした?」

女「……えっと、二人は付き合ってないんだよね?」

黄「うん、そうだよ?」

橙「そうだけど?」

女「……ゴチソウサマでした」

黄・橙「?」


『文化祭 赤×青』

赤「なんかさ……」

青「どうしたの?」

赤「文化祭ってこんなに楽しいもんだったんだな」

青「……?」

赤「去年は全然文化祭を楽しむどころじゃなかったからさ」

青「……そうだよね」

赤「ずっと青探しててさ。青に逢いたくて、謝りたくて、伝えたくて……」

青「赤は、ちゃんと伝えてくれたよね。……とっても、嬉しかった」

赤「一年経つんだなあ」

青「私たちが付き合いだしてね」

赤「あ、そっか、つまりそういうことだな」

青「……これからもよろしくね」

赤「ああ。ずっとずっとよろしく。できれば一生」

青「なっ、ば、バカ! 」

赤「照れんなって。じゃ、せっかくのお祭なんだし楽しもうぜ」

青「う、うん」

赤「はい、手」

青「うん 」

赤「とりあえずは焼きそばっすよね。うん、余は満足じゃ」

青「焼きそばって気をつけないと歯に青海苔ついちゃうのよね……」

赤「言ってるそばから口の端についてっけど」

青「え、うそ——」

 ちゅ

赤「はい、取れた♪」

青「……(ぼんッ)」

赤「あ、青!? どうした!?!」

 

『文化祭 黒の心配』

黒「白がウェイター!? そんなこと聞いてないぞ!?」

無「知らないよ。白が自分でやりたいって言ったんだ」

黒「そ、そこは譲るとしても、なんだあのフリフリしたやつは!」

無「モチーフはメイド喫茶らしいからな。あと提案者は俺じゃないから睨まれても困る」

黒「だいたいあんなのを白が着たら——」

白「私が着ちゃダメなの?」

黒「し、白?」

白「けっこう気に入ってるんだけどなあ……似合わないかなあ?」

黒「そうじゃなくてだな……」

無(……黒、確かにコレはヤバいな。可愛すぎる)

黒(そう思うだろう? 似合いすぎてるんだ!)

無(こりゃあ男はまいっちまうな)

黒(ただでさえ大変なのに……)

無(……だー、わかったわかった。白は早めに交代させるから。それまでは我慢してくれ)

黒(……悪いな)

白「? 何こそこそお話してるの?」

黒・無(あー、くそ!可愛いなあもう!!)


『冬の足音』

黄「はああ♪橙!ほら、息が白くなったよ!はあ♪ほら!!」

橙「はあ。ホントだ。最近急に寒くなったなー」

黄「はあ♪はあ♪」

橙「……はしゃぎすぎじゃねえ?」

黄「えー?だってなんか楽しいじゃん!」

橙「俺、寒いの嫌いなんだよなー」

黄「ふっ、それをも楽しみに変える黄色チャンのゆかたな感受性を褒め称えなさい」

橙「豊かな、な。でも寒くねえの?」

黄「それはもちろん寒いですけどね!(ガタガタ」

橙「全然防寒着着てねえからだって。……ったく」

黄「え?——もふっ!?マフラー?いいの?」

橙「冬を楽しんでんのはいいけど、風邪はひくんじゃねえぞ」

黄「ありがと。……あったかい」

橙「あー寒ッ」


『いつのまにか』

「ふう……」

英語のテキストに一段落つけ、一呼吸しながら時間を確認する。……二時すぎか。

受験勉強で最近この時間になるのはもうざらだ。とはいえ流石に疲れるし、嫌になるときもある。

でも、約束したからな。

——私は大丈夫だから。だから、黒くんはやりたいことをやってよ

白が、俺に行きたいところへ行ってほしいと言っていた。

そして俺が内心ずっと憧れていた大学に頑張れば手が届きそうなするところまで俺の成績は上がってきている。やるしかないだろ。

「……っ」

少し体が冷えているのを感じた。最近はめっきり寒くなったからだろう。風邪には気をつけないとな。

「さてと……」

あと少し、イディオムでも覚えてから寝るとしよう。

「じゃあな白」

いつものように一緒に帰ってきた白に挨拶をする。彼女はもう防寒対策が完璧だ。

「うん、じゃあね。……あ!」

白が何かを思い出したかのように鞄を開けた。何なんだろう?

「あの、お母さんが、たくさん、買ってきちゃってね。せっかくだから、黒くんに、おすそわけ、してあげなさいって。だから……これ」

そう言いながら、白はレモン糖の粉末のパックを渡してきた。あったかいお湯に溶かして飲む、甘いアレだ。

「ありがとな」

白の好意を俺はありがたく受け取った。

「ふう」

時計を確認すると、またいつもの時間になっていた。体も昨日と同じく冷えている。

せっかくだから、白から貰ったレモン糖でも飲もう。

「甘いな……でも暖まるな……」

少々重すぎる甘さが疲れている脳に染み込んでいく感覚があった。同時に、体が中から暖まっていくのもわかった。

「はは……ありがとな、白」

先ほどの白の言葉が嘘だってことくらいすぐわかった。嘘をつき慣れてない彼女は考えながら嘘を口にするので、嘘をつくときは何回も区切りながらの台詞になるのだ。

きっと、俺が最近遅くまで勉強してることを心配して彼女自身が買ってきてくれたんだろう。

……いつのまにか、支えられてるじゃないか、俺。

俺が白を支えるだけじゃない。白が俺を支えてくれてる。

少し前まで一人で必死になって自分が馬鹿みたいだ。一人で気を張っていた時よりも、自分が頑張れる気がした。

「……頑張るか」

自分の夢のために。そして、そんな俺を支えてくれている大切な人に応えるために。


『赤と青の初デート その1』

青「十五分前……。うん、完璧よね」

青「あと五分……髪、切りすぎてないよね……大丈夫よね……あー、なんか緊張するー」

青「うう〜まだかな〜」

赤(……まあ、俺も十分前にいたわけですが。あー、青可愛いなwずっと見てたい……つーかあんな可愛い子が俺を待っててくれてんだよなあ……)

青「そろそろ……よね」

赤(そろそろ行こうかな。でももうちょい見てたいような……)

男「ねえねえ君さー……」

赤(ぬおっ!?)

青「え、はい?」

赤「青ー! 待ったー!?」

青「あ、赤」

赤「ごめんなー、よし、どっか行こうぜ!(手を掴んで強引に歩き出す)」

青「あ、う、うん(い、いきなり手繋いでるし!!)」

赤「どうした青——ってああッ!!」

青「……」

赤「……」

青「……このままでいていい?」

赤「も、もちろん!!」


『赤と青の初デート』

 〜BLUE SIDE〜

 手、手がホンットに熱いんだけど!

 私の神経のほとんどが赤の手と触れ合っている部分に集まっている気がした。

 自分がおそらく真っ赤なカオをしているだろうってこともよくわかった。

 ……でも、できるなら、いつまでも——

「あ、赤と青じゃん」

 そのとき、私たちの前に同級生の色無の姿があった。私たちを見つけた色無は気軽に声をかけてきた。

「ッ!」

 知り合いが目の前にいるという恥ずかしさから、私はつい繋いでいる手を離してしまった。

「デート中か? 羨ましいねぇ」

「モテすぎて困ってるような奴が何言ってんだ」

「青と付き合えるなんてよっぽどだぜ? この幸せもんが。……まあいいや、邪魔したな。じゃあな」

「おう」

 色無とは普段だったら普通に話せるのに、今日はどうしても気恥ずかしくてできなかった。

 ……それに、うっかり離してしまった手のことばっかり考えていたし。

 けれども、臆病者な私がわざわざこんなときにやってきて、自分から手を繋ぐことには最大級の抵抗をしてきた。

 ……赤、もう一回手を繋いでくれないかな……。そんな自分勝手なことばかり私は考えていた。

「ん、何そのストラップ?」

「あ、これ?最近気に入ってるキャラなの」

「可愛いじゃん。青ってそういうの、結構好きだよな」

「べ、別にいいじゃない!」

「いや、いいと思うけど……お?」

 最近できたというクレープのお店に行く途中、「大特価!セール中!!」と大きく掲げているスポーツ用品店があった。

 赤はそれに惹かれたみたいだった。

「青、ちょっとだけ、ここ寄っていいか!?」

 かなり気になるらしく、入りたい、と赤の目が主張していた。

「いいわよ。赤が見たいなら私待ってるから」

 こんなキラキラしている赤の要求を断ることなんてできない。それに私も運動部なわけだし、少し店内を見ていれば退屈にはならないだろう。

 ……と、思っていたんだけど。

 私は店内を軽く見て回り、弓道の道具のところでは少し買おうかと迷ったりもした。結局買わなかったけど。

 けっこう時間も潰したかなと思い、赤を探す。

 すると赤は陸上のスパイクを真剣な目付きで物色していた。その目がかなり本気だったので、私はもう少し待つことにした。

 ……十分後。今度は赤はカタログを引っ張ってきて選んでいるようだった。

「どんなの見てるの?」

 私はカタログを覗きながら、赤の顔をちらりと見た。先程と変わらず、真面目な顔をしていた。

「もうちょい軽いやつが欲しいんだよ」

 店員にこのスパイクはどんな感じなのかを聞きながら、赤は真剣に選りすぐっていた。

「……もうちょっと待ってる?」

「うん。わりぃ、もう少し頼む」

「わかった」

 ……本当はちょっと寂しくなってきてたけど、だって邪魔するわけにはいかないしゃない。

 それから、三十分。赤は三冊目のカタログに没頭している。

 さすがに、苦しかった。

 赤は私を待たせていることをどうとも思っていないのだろうか。

 もしかしたら、スパイク選びに夢中になって、私のことなんて忘れているのかもしれない。

 ——私は、彼にとって、陸上よりも大切なものではない……?

 別に、不思議ではないことだった。インハイを目指し、自分の時間のほとんどを費やしているものが大切じゃないわけがないから。

 それでも、それでも——。

 待たされていることに対する怒りなどはどこにもなく、ただ悲しみだけが私にはあった。

 それから三十分後、笑顔で戻ってきた赤に、私は上手く笑えていただろうか?

 〜RED SIDE〜

 いや、さすがにさっきは待たせすぎたよな……。心から反省しております。

 俺はてっきり、青にはこっぴどく怒られるもんだと思ってた。だけど青はまったく怒りもせずに、

「もういいの?」

 って笑って言ってくれた。

 なんて優しいんだろう。そんな感謝の気持ちでいっぱいになりながらも、俺はなぜか、何かに違和感を覚えていた。……なんなんだろう?

「とりあえず飯にしようぜ、腹減ったしな」

 この近くにはファミレスがある。そこでゆっくりしよう。

「うん」

 青はまた笑顔で返してくれた。……でも、やっぱりなんかヘンだ。

 それが何なのかわからないまま、俺たちはファミレスへと向かった。

「んー何にすっかなー。青は決めた?」

「ううん、まだ」

 会話の中に、さっき感じた違和感は特にない。やっぱりただの思い過ごしなのか?

「あ、ごめん。ちょっと……」

 青はそう言って席を立った。何の用か聞くのはタブーってやつだ。

 昔、黒と白と一緒に遊んだとき、白が同じようなことを言って、それを聞いたら黒に殴られた経験からの学習だから間違いない。

「……」

 席を立ち、『どこか』へ向かったときの一瞬の青の表情の変化を俺は見てしまった。

 ——悲しそうな顔?

 どうしてだ? なんで青があんな顔してるんだ? やっぱりさっきのこと怒ってるのか?

 ——ッ。

 いつかの記憶がまたフラッシュバックしてきそうになる。ダメだ、アイツには笑顔でいてほしい。

 シリアスな空気を振り払って、笑顔を作る。青を楽しませるんだから、俺だって楽しまないと。

 青がもっと楽しんでくれるように頑張ろうと、俺は気合いを入れた。

 〜BLUE SIDE〜

 赤がさっきよりも一生懸命話し掛けてきてくれている気がする。

 やっぱり嬉しかった。……何よ、寂しいと死んじゃうウサギじゃあるまいし。

 赤が笑いかけてくれるから、私だって笑顔になる。そうだ、いいじゃないか、私が一番じゃなくたって。赤といることがこんなに楽しいんだから。

 一緒にお店に行ったり、おやつを食べたり。生クリームを赤は口の端に付けたりしちゃって可笑しかったし、私が好きな曲を赤も気に入っていることがわかって嬉しく思ったりもした。

「あー、結構遊んだな」

 だんだんと空は午後の明るさから夕方の茜へと色を変えようとしていた。

「楽しかったね」

 うん、今日はホントに楽しかった。

「ちくしょー、毎日でもデートしてぇ!」

「あはは」

 それはこっちの台詞だった。ずっと赤の傍にいたいなぁ……。

「あ……。あ、青、ちょっと待ってて!すぐ戻ってくるから!」

「え、ちょ……」

 赤はいきなり、そんなことを行って走っていった。……何なのよ、もう。

 ……十分経ったんだけど。またなの?

 一人で待っていると、何だかさっきのスポーツ用品店での気持ちが甦ってきそうになる。……やだなぁ、せっかく楽しい気分のまま今日のデートを終わらせられそうだったのに。

 赤、何してんのよ……?

「青ー!」

 俯きかけた私の耳に、嬉しそうな赤の声が飛び込んでくる。

「これ!青が気に入ってるやつだろ!?」

 彼の手には、可愛らしいぬいぐるみ——今朝、私が好きだと言ったキャラクターが顔を出していた。

「そ、それ……?」

「さっきゲーセンの景品でそれがあったからさ。みごと十二回目でゲットいたしました!」

 任務完了!とでも言うように、赤は手を額に当てながら、そのぬいぐるみを私に渡した。

「プレゼント、ってことで。こんなんでいいかな?」

 笑みが思わず込み上げてくる。

 キャラクターの愛らしいカオによってではない。何だか嬉しくて視界が滲みそうだった。

 とてもとてめ嬉しかったんだけど、口から出てきたのはこんな言葉だった。

「……ばーか」

 たぶんそれは、今日一番の笑顔になってたと思う。


『感じる体温』

「だあー、さっみー!」

 何を考えたんだか、今日の俺はチャリで登校しちまって。

「いや、ホントヤバいってこの寒さ!」

 無謀にも自転車で学校に来たコイツに、あたしはいつものように乗せてもらっていて。

「じゃあお前、降りりゃいいじゃん」

 寒いとわかっていながら後ろに乗る幼なじみはやや俺に体を預けていて。

「やだし。乗るし」

 このいつものポジションを離れるなんてできないし。

「そうかい」

 あまりにいつも通りなやりとりに笑うように息をつく。それは一瞬白く染まり、そしてすぐに消えた。

「そうですとも」

 自転車が風を切るから、よけいにあたしたちに寒さが襲ってくるけれど、それぐらいどうってことないもん。

「……もうちょいしたら、免許取れるんだよな」

 大人の証のように思えた、車の運転。それをすることがもう少しでできるようになる。

 じゃあ俺は大人になれたのか?……まさか。

「そっかぁ……そうだね」

 もうすぐ、卒業しちゃうんだ。大学生になって、そしたらすぐに二十歳になって。だんだんあたしたちが大人になってく。

 ……全然想像できないや。

「そしたら、もうこんな寒い思いもしなくていいよな」

 冷たい風なんて入ってこない。暖房だってつけられる。

 ……しかし何故だろう、俺はその便利さに違和感を覚えた。

「……もう、自転車乗らなくなっちゃう?」

 何故か、そんな疑問、いや不安って言ったほうがいいのかもしれない、そんなものがあたしの頭をよぎった。

「……かもなぁ」

 それだ、と思った。もう、自転車に乗らなくなるかもしれない。それが俺の違和感だった。

「なんか……やだなぁ」

 ずっと、あたしたちはこうしてきたのに。

「そうだな」

 確かに車なら、寒さを感じることなんてなくなるだろう。

「やっぱり、そう思う?」

 でも、それじゃあ、きっと何かを失ってしまう。

 ——後ろから聞こえるこの声も。

 ——何かを話そうと、少しだけ振り向く表情も。

 ——カーブを曲がるとき、俺を掴んでくる小さな手も。

 ——坂を登るとき、力が入るこの背中も。

 ——すぐそこから感じる、アイツの体温も——

 きっと、自転車でなければ味わうことができないだろうから。

「……たまにはまた乗ろうな」

 これからも傍にいたいから。

「一緒に、ね」

 ずっと、隣で笑っていたいから。

 自転車はゆっくりと『どこか』へと向かっていく。

 二人を乗せて。


『推薦』

赤「とりあえずスポーツで大学が決まったわけだが」

青「おめでとう」

赤「ありがとう。青も頑張れよ。俺に出来ることがあればなんでも言ってくれ」

青「うん、頑張るね」

赤「部屋とかも決めないとなー大きいほうがいいよな」

青「学生なのに?」

赤「だって青が来るようになるんだろ?」

青「え!?ちょ、なっ!?!」

赤「え、来ないの?」

青「そ、そういう聴き方はズルイっていうか、そ、その……」

赤「同棲とかもしてみたいよなー」

青「ど、同棲……」

赤「青?どうした?」

青「あ、赤と一緒に……プシュー」

青「絶対大学受かってやる……!!」


 先程メールを送った携帯が気になる。……あー、恥ずかしいなあ。

 返してくるのが早い送り主のことだ。心配しなくても、すぐに返事が来るだろう。

 ……ほら、携帯がバイブレーションを始めた。

『クリスマス 2007 赤×青』

 〜BLUE SIDE〜

 十二月二十四日。この日が何の日かわからない人はたぶんいないだろう。そう、クリスマスイヴだ。

 聖夜と呼ばれる今日、私と赤はデートの約束をしていた。……じゅ、受験生だってクリスマスぐらい楽しんだっていいじゃない!

 久しぶりにお洒落をして、気合いを入れて待ち合わせ場所に向かう。

 ……十分前。ちょうどいいかな。遅れるなんて絶対嫌だし。……たぶん赤は少し遅刻してくるだろうけど。

 そんなことを思いながら、足を約束の場所に進める。そこには私たちと同じようなカップルもけっこういた。そしてその中に、一人で誰かを待っているであろう男の人も見えた。

 ……あれ? も、もしかして——。

「青!早かったな、まだ十分前だぞ?」

 あ、赤!?

「赤こそ、早いじゃない!?」

「たまにはいいだろ?」

 私よりも早く到着していた赤。しかしそれ以上に私は驚きを隠せないことがあった。

「……ん? どうした青?」

「あ、あの、その……あ、赤が……」

「俺が?」

「か、かか、か、か……」

 ——格好いいのだ! 赤が、いつもに増して!

 普段は……というか基本的に服なんてなんでもいい、みたいな赤はデートのときでも身軽な感じの、家にあったものを着てきました、みたいな格好をしていた。私は別にそんなことは気にしてなかったんだけど……。

 今日の赤はすごかった。ジャケットとアウターとインナー、そしてジーンズの組み合わせは完璧で、しかもそれが赤にこれでもか! というぐらい似合っていた。

 あまり気に掛けていないような髪型も、ワックスとかを使っているんだろう、とても赤にぴったりに決められていた。まさしく赤は、頭のてっぺんから足の先まで完璧にお洒落をしていた。

「……気に入ってもらえた?」

 赤が少し意地悪そうに私を見つめる。……だから、直視できないんだってば!!

 私はあまりの不意打ちに、ただただ顔を赤くするばかりで、頷くので精一杯だった。

「よかった。……じゃあ、行こうぜ」

 赤はそう言って笑いかけると、すっと私の手をとって指を絡めて、歩きだした。

 私は、まだ顔が赤いままだった。

 

「行きたいところってどこ?」

 ようやく赤の顔も見ることができるようになってきた。そうなるとずっと見ていたくなるから困ったものだ。

「ん〜、すぐわかると思うよ」

 そんなことを言いながら、やっぱり私に笑いかけてくる。またまたドキッとしてしまう。

 そういえばこの道って……。赤のすぐわかる、という言葉から私たちがどこに向かっているのか考えてみると……。

「クリスマスツリー?」

「ご名答」

 私たちの街はあまり賑やかな街ではないが、綺麗にイルミネーションされる大きなツリーがあり、デートスポットとして有名だった。

「九時から点灯するだろ?」

 そう、クリスマスイヴである今日だけは九時からイルミネーションが次から次へと変わる点灯が行われるのだ。

「なんか意外」

 ホントは行ってみたかったのだ。そんなロマンチックな場所でクリスマスイヴを過ごすという、一種の夢みたいなもの。

 でもきっと赤はそういうのは好きじゃないだろうな、って思って、行きたいって言うことはしなかった。それを赤から誘ってくれるなんて……。

「青、そういうところが好きそうだなって思ったしさ」

 やはり笑顔。なんなんだろう、今日の赤は魔法がかかったみたいに格好いい。

「九時に間に合うように少し急ぐか」

 彼と絡まった指に、少し力が入った。

 

 〜RED SIDE〜

 あと、もう少し、もう少しで成功だ。青に、今年のクリスマスを心の底から楽しんでもらえる。

 俺はもう、大学が決まった。準備をするくらいで、特に大変なこともない。

 けど、青は違う。話を聞けば、毎日遅くまで合格を目指して頑張っているのだという。

 じゃあせめて、今日ぐらいは、聖夜と呼ばれる今日だけは頑張っている青を心の底から楽しませるために完璧なデートにしてやるんだ。

 勉強を教えてやることもできない俺が、青のためにできること、青のリフレッシュになってあげられるように全力を尽くすんだ!

 そのために恥を忍んで橙に服を選ぶのを手伝ってもらったり、髪のたて方とかも教えてもらった。女の子が喜ぶデートスポットも橙の情報だ。

 慣れない格好で緊張もしたけど、青は気に入ってくれてるみたいだし、とてもいい感じだ。あとは、プレゼントだ。

「綺麗……だね」

 なるほど、橙情報のクリスマスツリーはとても綺麗で、青ばかりではなく俺を含めた周囲みんながその綺麗なイルミネーションに魅入っていた。

「そうだな」

 ちらちらと青の横顔を見ながらツリーにも申し訳程度に目をやる。

 うっとりとした表情で、無邪気にツリーを見つめる青。……俺は木よりもこっちのほうが綺麗だと思うな。

「……綺麗だったね」

 点灯が一段落つき、周りのカップルたちも移動を始めた。そろそろかな。

「青、プレゼントがあるんだ」

 青のほうを向いて、少し緊張してその話題に持っていく。このプレゼントは橙のアドバイスこそもらったけど、俺が青のために選んだものだ。……喜んでくれるといいな。

「ホント? 嬉しい」

 笑顔の彼女に、俺はジャケットのポケットからプレゼントを差し出す。……あれ?

「え? え? 嘘、はっ、え、ええ?」

 ……ない! 待ち合わせをしていたときにはあったはずのプレゼントがポケットに入ってない!!

 う、う、嘘だ!

「ちょ、ちょっと待って、確かにここに……」

「……仕方ないよ。プレゼントなんてなくても私全然大丈夫だよ?」

 青は俺を慰めるように笑った。

「……ごめん」

 もう一度確認し、やはりないことがわかると、俺はうなだれて、小さな声で謝った。

「気持ちで充分嬉しいよ。赤、これ、私からのプレゼントなんだけど……」

 逆に青は俺に、競技中につけるような薄めの手袋をプレゼントしてくれた。

「ホントは作りたかったんだけど……ごめんね、時間がなくて」

「ううん、すげえ嬉しいよ」

 プレゼントの感謝は、馬鹿な自分への責めとなって俺に襲い掛かってくる。

 ……ちくしょう、青を心の底から楽しませるつもりだったのに、何してんだよ。のこのこと青からはプレゼントを受け取っておいて。

「ホントありがとな。……じゃあそろそろ帰ろうか」

 いつまでもここにいると悲しくなってくる。俺は無理に笑顔を作って青の手をとった。

 俺のプレゼントはシルバーのアクセだった。——鳥の翼を模した。

 俺は陸上をやってたとき、色んな人に支えてもらっていた。特に最後のインハイであんな結果を残せたのは、青が俺を支えてくれたからだ。

 青のおかげで、俺は飛べた。俺の翼を、あいつの風で押してくれたんだ。

 今度は、頑張ってるあいつの翼を俺が押してやる番だ。

 今度は俺が支えるから。だから、もう一度、一緒に飛ぼう——。

 そんなことを思いながら選んだものだった。それをなくすなんてなんて情けない……。

 自責にとらわれているとあっというまに青の家の近くまで来てしまった。もう、見送らないと……。

「送ってくれてありがと。今日は楽しかったよ」

 青は嬉しそうにそう言ってくれた。それが少し俺を慰めた。

「よかった。じゃあな」

 だけどやっぱり俺の憂欝さは晴れず、俺は手を降ると背を向けた。

「じゃあね」

 後ろからの青の声を聞いて、俺はアウターのポケットに手を突っ込んで、俯いて歩きだそうとした。

 ——こつん。

 俺の手が何かに触れるのを感じた。

 そう、俺が今手を入れているのはさっき必死に探したジャケットのポケットではなく、アウターのポケットなのだ。

「——青!」

 思うよりも早く声が出ていた。振り返って、たった二・三歩の距離を駆け足で戻る。

「な、何?」

 玄関に向かおうとしていた青が驚いて俺を見る。

「ちょっと、来てくんない?」

 俺はいろんなものでドキドキしている自分を落ち着かせた。深呼吸をしつつ、包装を剥がす。

「プレゼント、見つかった」

 首にかけるそれを手に取り、青に近づく。

「それ?」

 青も嬉しそうだ。単純にプレゼントが嬉しいのか、それとも俺の気持ちを察してくれているのか。

「ああ」

 俺は手を彼女の首の後ろに回す。

「つ、つけてくれるの!?」

 俺の突然の行動に青は驚いていたが気にしない。だってこうやって渡したかったんだもん。

 少しだけ手間取ったけど、ちゃんと付けることができた。そしてそのついでに青の耳の近くで俺はそっと言った。

「メリークリスマス。……一緒に頑張ろうな」

 青ははっとした顔になって、そしてはにかむような笑顔を見せた。

「メリークリスマス」

 そして彼女は、俺がしたように俺に耳打ちするように、

「赤が一緒なら、私、頑張れる」

 と囁いた。

 ……うん、ガマンなんかできるわけないよね。

 俺たちは一年前と同じ場所で、ちょっとだけ進んだキスをした。


『クリスマス 2007 橙×黄』

「どーん!!どうだー!!!」

 黄色が誇らしげに橙に向けて突き出したのは、紛れもなく、クリスマスケーキだった。

「どうだって……いや、すげぇ。ホントすげぇ」

 いわゆるブッシュドノエル、というやつだろう。

 その切り株がモチーフだと言われるケーキは黄色の手によって、どこかのお店で出るような、と言うのは些か言いすぎかもしれないが、それでも十分すぎるほど美味しそうに出来上がっていた。

「一日を費やした、黄色史上最高のケーキです!」

 なるほど、今日一日を丸々注ぎ込んだという努力がこの細部にまで渡った工夫に表れている。

「……何してんだ受験生」

「ぬおっ!?そ、そこにツっこんでくるのかい橙くんよ!」

 現実的すぎる幼なじみの指摘に奇妙なテンションになる黄色。

 橙はそんな彼女を見て、堪え切れず吹き出した。

「わりぃわりぃ、冗談だって」

「今日までそんなこと言ってたらサンタさんが泣くよ」

 若干拗ねたように橙を見ながら、黄色はその傑作ケーキをテーブルに置いた。

「いやでも、お前お菓子作る才能あるんじゃね?」

 たまにふざけたりもするが黄色の作ったお菓子がとても美味しいことをさすがに橙も認識している。今日のケーキで、それはより強められただろう。

「まだ中にカレーパウダーが入ってることも否定できませんぜ、お兄さん?」

「それこそサンタが泣くぞ」

 にやりとして耳打ちをする黄色に、はいはいといった感じで橙は息をつく。

「じゃ、おそらくカレー味はしないはずの、黄色サンの特製ケーキを食べさせていただくとしますか」

「召し上がれ♪」

「すごい普通に美味しかった。ありがとな」

「どういたしまして。むう、それにしても我ながら傑作だったな。これ以上は作れないなあ」

「え、今日がピークかよ?」

「あとは下がるだけだね」

 冗談を言い合いながら笑いあう。彼らが一番彼ららしくあれるこの瞬間を楽しみ、分かち合う。

「あーでも喉渇いたな。なんか飲む?」

 美味しかったとはいえ、ケーキだけだったので少し口の中がお互いぱさぱさになっているのだろう。

「うーん、たいちゃん特製ミルクティーで」

「たいちゃん言うな。ミルクティーね。了解。ちょっと待ってて」

「はーい」

 橙は下の階に下り、あんなに美味しいケーキを作ってくれた黄色を労うべく、まさしく特製の、随分とこだわったミルクティーを淹れた。

 喜んでくれるかな?喜んでくれるよな。そんなことを想い、淹れたばかりのミルクティーを運ぶ橙の顔は緩んでいた。

「おまたせしました〜……あれ?」

 部屋に意気揚々と戻る彼だったが、なんと黄色は……

「すー……すー……」

寝ていた。

 〜ORANGE SIDE〜

 ……またか。いつかもこういう感じにならなかったか?

 とはいえ、黄色が寝てしまったのも、おそらく今日一日あのケーキを作るために頑張ってくれたから、疲れてしまったのだろうし、起こすのは余りにもしのびない。

「……渡しそびれちまったなあ」

 机の引き出しの中に入れておいたクリスマスプレゼント。どうやらイヴのうちには渡せないっぽい。

「すー……すー……」

 黄色の寝息は規則的だ。もはや安眠に入りなさっているんだろう。

「……ったく、気持ちよさそうに寝やがって」

 口では若干悪態だが、俺の表情は緩んでいた。コイツの寝顔をゆっくり見せてもらうのも悪くない。

「……なんか、このままにしとくのも寝づらそうだな」

 座ったまま寝るのは疲れると思う。起きた時体が痛くなるし。

ということで、一旦ベッドに寝かしとくことにした。ミルクティーを飲んでしまったら、起こすなり、部屋に連れて行くなりしよう。

「ふー……」

 とりあえず、自分の分だけでも処理しようと口をつける。……けっこう上出来。黄色に飲んでもらえないのが残念だ。

 ……一年前は、コイツと恋人としてクリスマスを迎えるなんて考えてもいなかった。だって去年はゲームしてたんだぞ?……いや、今年も黄色が起きてたらやったかもしれないが。

 それでも、あのとき、コイツに好きだと伝えられて本当によかった。コイツがまだ隣にいてくれることが何よりも嬉しい。

「それにしてもコイツ……」

 無防備だよなあ。あまりにもさ。

 俺、男なんだぜ?しかも恋人でさ。……んでもって、この前なんか寸前までいったじゃんか。

 俺だってさあ……そりゃしたいかどうか聞かれたら……もごもご、みたいに感じてんだぜ?

「すー……むにゃ……」

 それでもなお寄せられる、全幅の信頼。何の心配もしていないかのような幸せそうな寝顔。

「……ったく」

 しゃーねえじゃん。コイツの期待をこの俺が裏切るわけにはいかない。

 たぶんコイツは……そういうのには特別な感情があるだろうし。……いや、俺もだけどさ。いくらなんだって、聖夜に無理やり……なんてロマンがないなんてレベルじゃない。

 でもなあ、やっぱり若干消化不良というか。物足りない感じがする。

「……そうだ」

 いいこと思いついた。どうせだし、コイツをびっくりさせてやる。

 ベッドですやすや眠っている黄色の髪に触れるようにキスをして、俺はその行動を実行した。

 〜YELLOW SIDE〜

「ん……」

 ……あれ、あたし、いつ寝たんだっけ?昨日はケーキを作って、それを橙と一緒に食べて、褒めてもらって嬉しくなって、橙がミルクティー煎れてくれるって言って……あたし、その間に寝ちゃったのかな?

 やっちゃった。せっかくのクリスマスイヴに寝ちゃうなんてなんという失態をやらかしたんだ黄色よ!

 ……橙、怒ってないかな。謝らなくっちゃ。そう思って、あたしは顔を上げた——

「——ッ!?!」

 な、な、何で!?!何で橙がここにいるの!?

 つ、つ、つつ、つまり、あたしは橙と一緒に寝た……?いや馬鹿な、そんなはずない!あたし何も覚えてないし!

 ……な、何もされてないよね?特に痛いとこもないし。……だ、橙がそんなことするはずないしね!!

 まあ、最悪の事態はさすがにないとしても……この状況、さすがにやばいんですけど。今気付いたけど、あたし、橙に抱き締められた形で寝てるんですよね、今。あはは。さっきまで橙の胸に顔なんか埋めちゃって。

 ——恥ずかしいよッ!!顔から火が出るってばよ!!!

 なんですか、サンタさんから橙のプレゼントですか。確かに嬉しいけどやりすぎですって!なんだか橙の心臓の音まで聞こえてくるほどの至近距離。……サプライズってレベルじゃないよ、ホントに。

 ちくしょう。あたしだけ驚かされてるみたいで癪だなぁ。

「お姫さまの目覚めのキスでもしよーかな……」

 それぐらいすれば橙も起きるかも。

 ぴくっ。

 ……ん?

「……橙、起きてるでしょ?」

「……」

 無言。もうばれてるのに、このバカ。

「橙〜」

「……」

 やっぱり無言。……と思いきや。

「目覚めのキス待ちなんだけど」

 目は閉じたまま、そんなことをいけしゃあしゃあと言いやがった。

「ばっかじゃないの?」

 そんな言葉を発したあたしの唇は、まもなく橙のそれに重ねあわせられる。

 ま、とにかくメリークリスマスってことで。


『それぞれの初詣 2008』

黄「じゃーん!!おっまったせー!!」

橙「おーっす。振袖かあ」

黄「橙クンのリクエストにお応えして」

橙「よく覚えてんなぁ」

黄「えっへええ♪」

橙「それにしても……マジ似合う。お前、浴衣とか振袖とかホント似合うよな」

黄「惚れ直した?」

橙「バーカ」

黄「む、逃げんなよぉ〜」

橙「……したょ」

黄「え、何ぃ〜?」

橙「何でもねえよ、バカ」

黒「意外と人多いな」

白「せっかくゆっくり来たのにね」

黒「白、手。はぐれないように」

白「……うん♪」

黒「嬉しそうだな。そんなに喜ばれると何だか恥ずかしくなる」

白「だって久しぶりでしょ?」

黒「……そういえばそうだな」

白「だから、ね」

黒「……もう少しだから。終わったら、二人でどこかに遊びに行こう」

白「ホント!?」

黒「ああ、約束する」

白「じゃあ、気合入れて神様にお願いしないと!」

黒「受験は別に……いや」

白「?」

黒「今日ぐらい、神頼みもアリだな」

赤「なあ〜何で振袖じゃねえの〜?」

青「そんなこと言われても……着るの大変なのよ?」

赤「ふ〜り〜そ〜で〜。美しい青が見たかった〜。いや、いつも可愛いけども」

青「あ、あのねえ…… 」

赤「ダメ?」

青「ら、来年!来年は絶対着るから!!」

赤「マジ!?やったああああ!!」

青「喜びすぎよ……もう 」

黄「ねえ、何お願いした?」

橙「ん?言うまでもなくね?」

黄「だよね〜♪」

白「お願い、叶うかなあ」

黒「そうだな……叶うといいな」

青「赤、ちゃんとお願いした?」

赤「もちろん!全力込めたぜ!!」

——どうか、『みんな』が受験に成功しますように。そして、春には『みんな』が笑顔でいれますように。


 白と黒が子供の頃の話

白母「白、今日黒くんの家もウチでご飯食べてくんだけど、何が食べたい?」

白「うーん……ハンバーグ!」

白母「あら?白はそんなにハンバーグ好きだったの?」

白「黒くんがハンバーグ好きなの。だからハンバーグ!」

白母「なるほどね。わかったわ」

黒母「黒、今晩白ちゃんたちがご飯食べに来るんだけど、おかずは何がいい?」

黒「シチューがいい」

黒母「あれ、なんで?」

黒「だって白がシチュー好きだし」

黒母「そうなんだ。わかったわ」

白母「何だか遊びに来たときってお互いメニューが決まってるわよね」

黒母「子供のリクエストだからねえ……」


『呼吸』

赤「……ッ……」

青「……ん……っ……」

赤「……っ……」

青「……んぅ……」

赤「……っはあ!」

青「……ふう。……もう、長いよう」

赤「ごめん、流石に苦しかったなw」

青「お互い息切らすまですることないじゃない」

赤「ん〜……でも俺、もっとしたいんだけど」

青「……もう」

赤「いや?」

青「聞かないでよ、バカ 」

赤「承知の上です。さ、より長くできるように深呼吸〜」

青「バカ。……ふうううぅ」

赤「んでは、もう一回。……んっ……」

青「……んふ……ぅ……」


『膝枕 赤×青』

赤「あ〜天国だ〜」

青「お、大袈裟すぎよ 」

赤「いや、そんなことはない。ここは紛れもなく天国。あいあむいんざへぶん!変な英語なのはご愛嬌!」

青「ばか 」

赤「……」

青「どうしたの?」

赤「この角度から見る青も可愛いなーと思って」

青「な、なっ……! 」

赤「なんか今日の青、いつもに増して照れてねえ?」

青「だ、誰のせいだと思ってんのよ!!」

赤「照れっぱなしな青も可愛いー!もう俺、我慢できないからこうしちゃうもんね!もふー」

青「ちょ、ちょっと!うつ伏せはダメだって……あっ、ちょ!ホント……っ……くすぐったいってばぁ!!」


『腕枕』

 ちょっと未来な感じ

1.赤×青

青「うわー……なんか照れちゃうな」

赤「あのさあ……」

青「何?」

赤「……やっぱ我慢できません!!」ガバッ

青「え、ちょ、きゃー!」

2.黒×白

白「気持ちいいなあ」

黒「そうか?」

白「うん。とってもぐっすり眠れそう」

黒「そっか」

黒「おはよう、白」

白「おはよ……黒くん、どうかしたの?ちょっと変だよ?」

黒「……いやなんでもない (あんまり可愛くてずっと寝顔を見てたとは言えないな……)」

3.橙×黄

黄「えへへ〜ぴったり〜」

橙「なんだか照れくさいな……」

黄「顔も近いしね」

橙「……でも、なんかいいな」

黄「えへへ、そうだね」

橙「……わりい、黄、抱きしめていい?」

黄「むー、もうちょっとこのままがいいんだけどなあ。……でも、いいよ」

橙「(ぎゅ) ……好きだよ」

黄「知ってるよ♪」


 季節は冬。木枯らしを音を鳴らしながら吹いていたり、乾燥した空気が喉を襲ってきたりする。

 担任の先生なんかは「風邪をひかないように手洗いうがいをしましょう」なんて言ってくる。小学生じゃないんだから勘弁してほしい。

 ……なんてまあ、風邪なんて俺らには関係ないって聞き流していたんだけど。

 

『風邪ひきさんの看病日誌 橙×黄 中学生編』

 のんびりした休日の午前中。俺は音楽を聴きながらグダグダしてた。

 なんか映画でも借りてこようとも思ってたけど、朝ちらった見た天気予報でお天気お姉さんがにこやかに言っていた最低・最高気温を聞いて即座にその予定を中止した。寒いのはいけないと思います。

 それにしても退屈だ。……よし、行くか。

 思い立つやいなや、俺は窓に手を掛ける。屋根を渡り、アイツの部屋に遊びに行くんだ。

「黄色ー、ゲームしよーぜ——」

普段通りに窓を開ける。そこにはいつも通りのアイツがいるはずだった。

「こほ……こほ……あ、橙……」

 ……え?

 

「——で、おじさんは仕事。おばさんはPTAの研修旅行でいない。朝からなんか具合が悪くて寝てた、と」

「うん……」

 ベッドで横になっている黄色は本当に気分が悪そうにややぼーっとした感じの視線を泳がせている。……こりゃ本気で風邪ひきやがったな、コイツ。

「うーん……熱とか計ったか?」

 見た感じだと結構ひどいし。

「ううん……計ってない」

「一応計っといたほうがいいんじゃね?」

 俺はぱっと他の部屋から体温計を見つけてきて、黄色に渡した。……なんで黄色の家の体温計がある場所まで覚えてるかな、俺。

 少しばかりそわそわして待つ。なんだかんだで大したことないんじゃないだろうか。ほら、バカは風邪をひかないって——

「……38.2℃」

「さんじゅうはちどぉッ!?」

 やっぱアレは迷信みたいだ。……ってか、38℃はさすがにマズいだろ。インフルエンザとかじゃねえのか?

「……あの、橙、帰っていいよ?……風邪、移っちゃうかもしれないし……」

「バカ」

 そんな、弱々しい声で何をほざいてんだ。いつものお前らしさの欠片もねえじゃねえか。

「今のお前を放っておけるわけねえだろ」

 病気で弱ってる幼なじみを見捨てられるような楽な性格はしてねえんだよ。

「でも……」

「いーからいーから。お前は黙って寝てろ」

 どうやら黄色も諦めたらしく、息を一つついて静かになった。……そういや、もう少しでお昼だな。

「黄ぃ、お粥とうどんどっちがいい?」

 そんぐらいなら俺にだって作れるしな。

「……あんまり食欲ないかも」

 小さな声での返事。なんだかいつも違って調子が狂う。

「お前さ、朝とかなんか食った?」

「ううん。食べる気が全然起きなくて……」

……うーん、マズいな。食欲がなくても何かしらは食わせないと。そうだ、水分もいっぱい摂らせなきゃ。

「元気出すためにもちょっとだけでも食ったほうがいいよ。お粥作っから、一口でも食べろな?」

「……わかった」

 視線を一度下にやり、若干迷った感じだったが、黄色は素直に頷いた。……やっぱ調子狂う。

 

 さすがに黄色の家の食材を勝手に使うのは気が引けたが、黄色を一人残してるってことは黄色に昼飯を作らせるくらいの気持ちはあったんだろう、と後ろめたさを無視してお粥を作る。

 料理は意外と嫌いじゃない。……後片付けとか、皿洗いとかが全然好きになれないからあまりやんないけどさ。

 お粥に卵も入れてみたり。……ったく、アイツも風邪ひいてると別人みてえにおとなしいのな。

 なんだか変なカンジだから、さっさと治していつものアイツに戻ってほしい。そう思いながら卵をぶちこむ。

 幸い、黄色の家にでっかいポ〇リのペットボトルがあったから、水分も心配ないだろう。

 ……よし、お粥も完成。冷めないうちに病人のところへ持っていこう。お盆の上に、コップたっぷりに入れたポ〇リも忘れずに。

 そんなお盆を持ちながら階段を上って、半分くらいのところらへんからぼそぼそと黄色の声がした。

「橙……?橙……?たいちゃん?……たいちゃぁん……」

 俺はその声が、弱っている黄色が必死に出している声にしか聞こえなくて、かなり焦った。急いで残りわずか数段の階段を登り、黄色の部屋のドアを開けた。

「ど、どうした黄色!?」

 黄色は俺の姿を確認すると、ほっとしたように

「あ……橙、やっぱりいてくれたんだ」

 とまた小さな声で言った。

「何言ってんだよ。どっか行くわけないだろ」

 さっきだって言っただろ、と俺はやや慌ててしまった先程の自分を恥ずかしく思いつつ、お盆を部屋の中へと入れた。

「……えへへ、そうだね。……あのね」

「何だよ」

 気恥ずかしさから素っ気ない対応をする俺に、黄色ははにかみながら、ゆっくりと何かを伝えようと口を開いた。

「……たいちゃんが傍にいると、安心するなぁ、って」

 風邪のせいか、桜色に染まった頬をわずかに覗かせながら、本当に嬉しそうに彼女はそんなことを言った。

「——ッ!」

 不意打ちだ。さすがにそれは突然すぎる。

 馬鹿みたいに顔が火照って、俺のほうが病人みたいだった。

「と、とにかく、飯にするぞ飯に!」

 そんな顔を黄色に見せるわけにもいかず、俺はそっぽを向いて誤魔化した。

「?」

 黄色は不思議そうに俺を見ていたが……俺にどうしろって言うんだ……。

 黄色はポ〇リはちびちびと飲んではいたが、お粥にはまったく手を付けていなかった。

「……お粥も食えよ。旨いぞ。……たぶん」

 自作だからあまり自信を持っては言えないんだけどさ。

「……」

 やはり食欲がないみたいだ。でも、朝から何も食べないままなんて絶対体によくないと思うんだ。

「じゃあ俺が毒味してやる。……うん、上出来」

 横に添えたレンゲで一口分をすくって口に入れる。俺が作ったにしては十分おいしい。できればあったかいうちに食べてほしいカンジだ。

「……わかった。食べる」

 ようやく頷いた黄色に嬉しくなった。早く食べてほしくて、俺は黄色が食べやすいくらいの量をすくって黄色の口の前に出してやった。

「っ!……(パク)」

 黄色は一瞬、何かに戸惑ったみたいだったけど、おずおずとお粥を口に運んでくれた。

 一口分はかなり少なめにしておいたが、黄色はその量をずいぶんと時間をかけて飲み込んだ。……もしかして、ゆっくり味わってくれたのかな?

「ねえ橙」

 その一口を飲み込んだあと、黄色は悪戯っぽい笑みを浮かべながら俺に声をかけた。

「何だよ。もうお腹いっぱいとかじゃねえだろうな?」

 俺は次の一口をすくいながら、笑いかけてきた黄色に答えるように笑顔になる。

「……今のさ、あーん、で間接キスだよね」

 照れたようにはにかんで、俺を気にするように上目遣いで黄色はへへっとやっぱり笑いかけた。

「ば、馬鹿なこと言ってんじゃねえ!!」

 そんな黄色を見るのは俺は初めてで、か、間接き、き、キスとか、そういうのをコイツとの間で気にしたのも初めてで、俺は、それこそとんでもなくテンパった。つーか!

「そんなのいっつもだろ!」

 ジュースの回し飲みくらい今までいくらだってしてきたじゃないか。なんで今、そんなことを意識するんだよ!

「……えへへ、そうだね」

 そう笑う彼女をなかなか俺は直視できなくて。……ちくしょ、ぜってぇ今顔赤いだろーなぁ……。

「……」

「……」

 ……気まずっ。

「……橙?」

「お、おう!?」

 黄色の声にやや救われた。少しテンパりながらも対応する。

「……お粥、もう一口」

「え?あ、ああ、わかった」

 さっき意識させられた手前、恥ずかしかったけどおんなじように黄色の口にお粥を運んでやった。

 ……ああ、どーせ『あーん』だよ!悪いか!!

「……橙も食べなよ」

「は?」

「たぶんあたし、全部食べられないし。それに、橙もお腹すいたでしょ?」

 そういやもう昼過ぎだもんな。確かに腹は減ったかも。……でもなんだか、若干それはしづらいんですが。

「食べないの?」

 ……ああ、そうですか。むしろ意識したら負けなんですか。わかった、わかりましたよ。

「……食う」

 こうして、俺は一つのレンゲを黄色の口と俺の口に交互に運びながら、ゆっくりとお互いのお腹を満たした。

 

「おかげさまで、ちょっと元気出たかも」

 飯を食べ終わったあと、めんどくさい片付けをやってから、また黄色の様子を見ていた。

 本人が言う通り、俺が来たときのぐったりさは和らいだ感じだ。やっぱり飯は大事。

「あとはゆっくり寝てりゃ治んだろ」

 夜にはおばさんも帰ってくるだろうし。とりあえずは安心かな。

 ——ぎゅ

「……黄色?」

 黄色が突然、俺の手を掴んだ。

「元気に、なるから。明日には風邪、治すから。……だから、あたしが寝るまで、もうちょっとだけ……」

 まだ、いつもと違う声だった。

 ——そんなコイツの頼み、俺が断れるワケないでしょ。

「わかったよ。……ずっといてやるから、ゆっくり寝な」

 穏やかな午後の日差しが窓から差し込んで、俺たちの繋いだ手に暖かな光を与えた。

 ……こんなのも、悪くはないかな。


『おしゃべり』

白「ねえ黒くん、今日ね、晩ご飯シチューだったんだよ! うん、お母さんのシチューはとっても美味しいの!私もいつかあんなシチューを作って、黒くんにご馳走してあげるからね! ……そういえば今晩は冷えるって言ってたなぁ。今日あったかいシチューを作ってあげられたらいいのにな。ねえ、黒くん。無理してない?頑張りすぎても体に悪いからね。……説得力ないかなぁ。ねえ、黒くん……。……ダメだぁ、くまの黒くんじゃ限界があるよ……。……でも、この目の辺りとかちょっと似てるんだよね……。……くーろーくんっ!……なんてね。もうちょっと……だもんね。うん、もう少し、こっちの黒くんで我慢しなきゃね……だから黒くん、今日は一緒に寝よ?うん、おやすみ……(キョロキョロ) ……ちゅ。おやすみ、黒くん……(ギュ」


『レモン糖』

黒「なあ白」

白「なあに?」

黒「この前俺にくれたレモン糖、どこに売ってるんだ?」

白「あ、あれ?あれはね、子供のころ二人でお買いものに行ったスーパーあるでしょ?あそこに売ってるの」

黒「あーあそこか」

白「……あ」

黒「どうした?」

白「あ、あれ、お母さんが買ってきたって……」

黒「ああ。……知ってたよ。俺のために買って来てくれたんだろ?」

白「ばれてたんだ」

黒「嬉しかったよ。それに、あれが勉強した後の楽しみになってさ」

白「ホント!?」

黒「だからなくなっちゃたんだ。一緒に買いに行かないか?」

白「うん!行く行く!!……えへへ」

黒「どうした?」

白「……私も少しは黒くんの役に立ててるのかなあって思うと嬉しくて」

黒「……俺はずっと白に支えられてるよ。白がいなきゃこんなに頑張れない」

白「それは私もだよ」

黒「そうか。お互いがお互いのおかげで頑張れてるんだな」

白「うん!だからお互い様だね」

黒「これからも頼むな」

白「私こそ、よろしくね」


『くまの黒くん誕生秘話』

白「あー……やっぱり寂しいなあ……黒くんがくれたぬいぐるみ……くま……くまくん。くまくーん。くま……一文字違うと黒くんだ。ふふ、黒くんがくれたくまくんだ。! そうだ、くまくん、キミは今日から黒くんだ! 『わかりました!』 うん、黒くんに決定! くーろーくん♪ えへへ♪」


『知りたい』

橙「お前さー、昔っからそのお菓子好きだよなー」

黄「だって好きなんだもん。橙だって小さい頃から炭酸ばっかり飲んでるじゃん。歯溶けるよ?」

橙「溶けねえし。大丈夫だっつの」

白「黒くん黒くん、昨日ね、お母さんが昔お絵かきしたスケッチブック見つけたの」

黒「あー……昔一緒に描いたやつか。懐かしいな」

白「私、くまさんとねこさんばっかり描いてたよ」

黒「好きだもんな、白」

白「うん。でも黒くんも紫ばっかりで描いてたよ?」

黒「好きだったんだよ、紫色。なんかかっこよくて」

白「そういえばそうだね。黒くん紫好きだったかも」

青「……」

赤「どうした青?」

青「赤、好きな料理って何?私今度作ってあげる!」

赤「マジで!?そうだなあ……んー……俺、青が作ってくれるものなら何でもいいや。何でも旨いし!」

青「そ、それはそれで嬉しいけど……特に言えば何がいいの?」

赤「うーん……おいしいもの!」

青「だからそういうことじゃなくて……」

赤「?」

青「じゃ、じゃあ好きな音楽とかは?」

赤「音楽?適当に気に入ったヤツしか聴かねえな」

青「好きなアーティストはいないの?」

赤「特にいない」

青「それじゃあ、好きな映画は?」

青「……結局何もわかんなかった……もっと私も赤のこと知りたいのになあ……はあ……」


赤「昨日パワプロ発掘してさあー」

橙「……へー」

赤「やりだしたら止まんなくてよ」

黒「……そうか」

赤「つい二時過ぎまでやっちまったよw」

橙・黒「……」

赤「そうだ、今日はお前らの名前で選手作ってやるよ」

 プチッ

赤「黒は長打力を——」

橙・黒「「ケンカ売ってんのか」」

赤「……ご、ごめん……だって青には気ぃ遣ってこういう話できねえんだもん」

橙・黒「俺らにも遣え!!」


『キャッチボール 橙×黄』

 ぱし

「お前さ、ちょっと投げ方マシになったな」

 ぱし

「ホント?」

 ぱし

「でもまだ女投げ」

 ぱし

「むー、何が違うの?」

 ぱし

「なんつーの?まあ……俺みたいに投げろって」

 ぱし

「やってるつもりなんだけどなあ」

 ぱし

「直ってねえけど」

 ぱし

「……ねえ橙」

 ぱし

「何?」

 ぱし

「なんでキャッチボールって楽しいんだろうね」

 ぱし

「さあ?……でも、こういうのもよくね?」

 ぱし

「うん、そだね」

 ぱし


『雪』

橙「ここの部分に当てはまる英文は、っと……」

黄「橙さんや!なんでそんなに落ち着いてられるのさ!雪!雪だよ!積もってるよ!雪遊び!!」

橙「……黄色」

黄「雪合戦する?雪だるま作る?かまくらはさすがに無理かなぁ!?」

橙「とても楽しそうに目を輝かせてるところ悪いけど、ここで問題です。俺たちの入試はいつからですか?」

黄「……今週……」

橙「今やらなきゃいけないことは?」

黄「お勉強……」

橙「よろしい。座れ」

黄「……でも、雪……」

橙「……」

黄「……」

橙「……ったく、あと一時間!あと一時間やったら休憩しよう。遊ぶのはそん時だ」

黄「やったあ!さすがたいちゃん、わかってるぅ!!」

橙「はぁ……甘いなぁ、俺」


『節分』

赤「……まあ俺が鬼役なのは別にいいとして、なんかお前らやる気満々すぎねぇ?」

黒「いや、そんなことはないぞ」

橙「だよな。豆まきごときで本気にはならねえだろ、普通」

赤「……ならいいけど。なんか嫌な予感がするんだよな」

橙「つーことで早速いくぞ。……自分は大学決まったからって調子に乗ってんじゃねえぞ鬼は外!」 ばちーん!

黒「毎日九時間睡眠とはいい身分だな鬼は外!」 すぱーん!

赤「痛い!ちょ、全力で投げんなって!!」

橙「受験生の前で昨日やりこんだゲームの話とかをすんじゃねえ福は内!」 べしっ!

黒「『暇だー』なんてどうでもいいメールを送って来んな福は内!」 ばしっ!

黄「流れに乗っとけ福は内!」 ぱーん!

青「わ、私だって電話したいの我慢してるんだから!それぐらいわかりなさいよ福は内!」 すぱん!

赤「だから痛いって!なんで青と黄色まで本気で投げるんだよ!」

白「え、え?」

黒「ほら、白も投げな。赤のアレは演技だから大丈夫だ」

白「そうなんだ。じゃあ、鬼は外ー」 ぺしっ

赤「げふっ!!」

橙「あ、目にあたった」

赤「め、目が目がぁ〜」

白「だ、大丈夫!?」

黒「これも演技だよ」

赤「んなわけねーだろ!!なんだこの仕打ちは!リンチか!!」

黒・橙「当然の報いだ」

赤「……」


『Chocolate&Anniversary』

黄「……なんでそんなに貰ってるのさ」

橙「知らねえよ。渡されたんだから仕方ないだろ」

黄「むう〜……なんだか妬けるなぁ」

橙「妬き餅屋さんめ」

黄「だってたいちゃんはあたしのものだし」

橙「ものかよ」

黄「あたしのものはあたしのもの。たいちゃんのものもあたしのもの!」

橙「よおジャイアン」

黄「やあたいちゃん。……ということでチョコです。受け取りなさい」

橙「本命?」

黄「うーん……僅差で義理だね」

橙「そこは本命にしとけよ」

黄「じゃあ本命にしとこう」

橙「あざーすッ」

黄「うむ、しっかり味わうんだよ……売ってるヤツですけど」

橙「まあ今年はしゃーないでしょ。別に気にしてねえよ」

黄「でもなぁ……作りたかったなぁ」

橙「優先順位があるだろ」

黄「でもほら……あの……」

橙「なんだ?」

黄「……きょ、今日でその……い、一周年……だし……」

橙「……あー……そうだな。つーかお前以外とそういうの気にするよな」

黄「だ、だって記念日だもん!初めてのデートの日だって覚えてるし、初めてキスした日だって——」

橙「わ、わかったって。何だか思い出して恥ずかしくなってきたからもう勘弁してくれ」

黄「……でも、嬉しかったなー……」

橙「……俺は怖かったよ、めちゃくちゃ」

黄「橙、あたしさ、ちゃんと今幸せだよ」

橙「——そっか。よかった」

黄「今のところは、だけどねー」

橙「これからも頑張るよ。ずっと黄色が……ってなんかコレ違くね?」

黄「えー、今のでよかったのにー」

橙「今のじゃ、その……ぷ、プロポ……なんかそっち系だろ!」

黄「照れないでよー。あたし、それも聞きたいなぁー」

橙「まだ早いんだっつーの!!」

黄「むぅ」

橙「……今日は、これで許してくれ」

ぎゅ

黄「ん……許してあげる♪」

ちゅ

黄「……んぅ……っ……」

橙「……はぁ」

黄「……ふぅ。……へへ、なんか久しぶりだね」

橙「仕方ないだろ」

黄「……今日は、もうちょっと、いいかな?」

橙「……少しならいいだろ。たぶん」

黄「あと一時間ぐらいしかないよ?」

橙「十分。できるできる」

黄「……じゃあ、優しくしてね」

橙「おう」

黄「あ……ちょ……そこはダメ……」

橙「……これでどうだ」

黄「橙!き、汚いよそれ!」

橙「どこがだよ」

黄「だ、だって……」

橙「じゃあ、そろそろイクぞ?」

黄「え、ウソ!」

橙「ホント。見ろよ、こっちはもう準備万端なんだから」

黄「うわ……凶悪」

橙「凶悪言うな。……じゃあ、一気にイクからな」

黄「え、一気って……。あっ!ちょ!そ、そんなッ!あっ、す、すごいッ!!い、一気すぎるよッ!」

橙「黄色見ろよ……お前の、すごいことになってる……」

黄「見たくないよぅ……やッ!も、もしかして……クル?」

橙「ああ……イクぞ!黄色!!」

黄「や、あっ!だめぇ!!ああっ!そんな一気に……お、お願い!つかないでぇ!!」

橙「無理」

黄「だめー!!」

黄「……ひどいよ、もう……」

橙「わりぃ、つい張り切っちゃって」

黄「……あたし、初めて……」

橙「俺もだよ。でもすごかったな」

黄「……まあね」

橙「じゃ、2回戦行こうぜ」

黄「次は絶対手加減してよね」

黄「——ホント、9連鎖は初めて見たなぁ」

橙「今日は運もよかったなー。つーかお前へのおじゃまぷよ一気にすげー量いったよな」

黄「……いじめでしょ、アレ」

橙「ざまあ。……ま、またやろうな」

黄「うん」


『Chocolate&Trick』

白「はい、バレンタインのチョコレート♪」

黒「ありがとう。……多すぎないか、コレ?」

白「て、手作りは時間がなくてできなかったけど、こういうがいっぱいあったほうがいいのかなって思って!」

黒「でもさすがに多いだろ……このキッ〇〇ット」

白「縁起物だし……そ、それにね!〇ットカ〇トだとこういうこともできるんだよ!」

白、一つを開けてくわえる

白「ふほふん、ほうほ!」

黒「……悪いが白、俺はそれもいいアイディアだとは思わないな」

白「へ?あんえ?」

ぱきぽきぱき……ちゅ

白「……んっ……」

黒「ここまでいくのが長すぎるからな」


『Chocolate&Wish』

赤「チョーコ♪チョーコ♪」

青「ちゃんと準備してあるからそんなに焦んないでよ……はい。……今年は出来合いので悪いんだけど」

赤「いやいや、今年も青からチョコが貰えたってだけで幸せですよ俺!」

青「相変わらず大げさ」

赤「だってホントに嬉しいんだもんよー」

青「ばーか」

赤「馬鹿とはなんだよ。……せっかくプレゼント持ってきたのになぁー」

青「え?プレゼント?」

赤「せっかくだから今日渡しとこうと思ってさ。……いる?」

青「い、いるわ!」

赤「じゃあ見せてあげよう。じゃーん」

青「……折り鶴?」

赤「千羽はさすがに折れなかったけどな」

青「六色、だね」

赤「ああ。やっぱみんな合格してほしいじゃん?」

青「赤……へたくそw」

赤「そ、それは仕方ないだろ!それでもマシなやつなんだぞ!三つ作ったなかで一番の出来だぞ!?」

青「三つ……ねぇ、赤」

赤「なんだ?」

青「すごいよ。それに……大好き」

赤「え?何が?あ、いや俺も好きだけど」

青「ううん。(ぎゅ)……私、頑張るね」

赤「お、おう?」


『赤の折り鶴』

橙「へったくそだよなぁ」

黄「赤、不器用なのかな?」

橙「ぽいよな」

黄「……でも、やるなぁ、赤」

橙「……六色とはやられた」

黄「いいヤツだよね」

橙「バカだけどな」

黄「だからいいんじゃない?ま、あたしに言えたことじゃないかw」

橙「……頑張んねえとな」

黄「うん、みんなで合格しようね」

白「えへへ〜♪」

黒「なんだ、また見てるのか?」

白「だってこれ見てると嬉しくなってくるんだもん」

黒「……あいつにしては考えたもんだよ」

白「折り鶴さんもいるんだし、絶対合格しようね!」

黒「ああ。もちろんだ」

黒(それにしても……『折り鶴』とは、やってくれるぜ)


『昔の橙×黄のバレンタイン』

黄「へい橙!失敗したトリュフとチロルどっちがいい?」

橙「チロルでよろしくお願いします」

黄「即答!?もう少し迷ってくれたって……」

橙「チロルならホワイトデーは百均で済むし」

黄「なんというお金重視……そこに想いはないのか!?」

橙「……その失敗したトリュフはどうやってできた?言ってみろ」

黄「とりあえずカレー味にしたくて——」

橙「その時点でアウトだから。ついでに想いも感じられねえし。よってチロルでお願い」

黄「むー」

橙「……ったく。残飯処理なら手伝うから、その失敗作め持って来い」

黄「了解♪さっすがたいちゃん」

橙「たいちゃん言うな」

黄「……あ、お返しはトリュフ分も考慮してね」

橙「10円のガムでいいんだな?」

黄「むしろマイナス!?」


赤「黒ってほとんどRPG持ってないよな」

黒「興味はあったんだけどな……」

黒・白幼少時

白「くろくん、このげーむなに?」

黒「スーパーマリオだよ。おもしろいよ」

白「へー……」

黒~ぴこぴこ

白「……ふまれるかめさん、かわいそう……グスッ……」

黒「し、しろ!?な、なんでなくの!?」

黒「……ということがあってだな……」

赤「……そりゃRPGは無理だな……」


『女の子の雑談』

黄「だよねーはぐちゃん可愛いよねー」

白「うん!うん!」

黄「あ、そうだ。僕らがいたは見たことある?あれも面白いよ!」

白「僕らがいたは途中までしか読んでないなぁ……」

黄「マジ?貸してあげよっか?」

白「ホント?ありがとう!」

青「何の話をしてるの?」

黄・白「漫画!」

青「……まったく」

黄「え、でも面白いよ?青にも何か貸して——」

青「あなたたち、もちろんフルバは読んだんでしょうね?」

黄「も、もちろん!」

白「面白いよね!」

きゃいきゃい

赤「なんか……いいなぁ」

橙「俺らも漫画の話してみるか?」

赤「いや……盛り上がるだろうけど……いいや」

橙「だよな」


『しりとり』

 高一ぐらいの時の話です

赤「しりとり」

白「りんご」

黒「ゴール」

赤「る……ルビー」

白「イルカ」

黒「カエル」

赤「またるか……留守番電話」

白「輪投げ」

黒「ゲートボール」

赤「……おい」

黒「何だ?」

赤「……る、る、る……ルー大柴」

黒「人名かよ」

赤「仕方ないだろ!」

白「ば、ば……バレンタイン!……あっ」

赤「はい、白の——」

黒「ンジャメナ」

赤「……はい?」

黒「都市の名前だ。まだ続いてるぞ?」

赤「お、お前なぁ……」


『かくれんぼ』

橙・黄幼少時

男「あーもう!黄色見つかんねー!!」

女「黄色ちゃん隠れるの上手いもんね」

橙「何、まだ黄色見つけてねーの?」

男「見つかんないよ」

橙「……ったく、俺が鬼なら一番最初に見つけてやんのに」

すたすたすたすた……

橙「黄色、見っけ」

黄「……なんでたいちゃんそんなに早くわかるのさ」

橙「お前が隠れそうなとこぐらいわかんの」

黄「むー」


『諺』

黒「犬も歩けば?」

黄「喜ぶ!」

赤「腹が減る!」

黒「……。雨降って?」

赤「濡れる!」

黄「そのうち晴れる!」

黒「……。三人寄れば?」

赤「四人寄る!!」

黄「おお!たぶんそれだよ!!」

黒「……」

黒「予想以上だったよ」

青・橙「……ごめんなさい」


『みんなの放課後』

赤「六人で帰るってなんか珍しいな」

黒「まあ六人もいれば時間がばらけるのも仕方ないだろう」

黄「なんか海行ったときみたいで楽しいかも!」

白「うん、楽しいね」

橙「どーせだしファミレスでも行かね?」

赤「……おごんねえぞ?」

橙「お前、クラスマッチのまだ引きずってんの?」

赤「だってあのときは……ガクブル」

青「今日は割勘でしょ。久しぶりなんだし、楽しみましょ」

黄「あ、今日駅前のファミレスでケーキ割引だよ!!」

青「ホント?」

白「わーい♪」

橙「……太るぞ?」

黄「うっ、それは禁止ワード……」

赤「食った分動きゃいいんだよ」

黒「出たな、体力バカ」

赤「魔神と呼べ」

青「またそれ?」

黒「返しのレパートリーがないんだろ」

橙「バカだからな」

赤「お前ら……よってたかって……泣くぞ!」

黒・橙「泣けば?」

赤「……うっ」

白「ま、まあまあ。行こ、ね?」

赤「うん……白は優しいよな、誰かと」

黒「黙れ」

赤「あれ、デジャビュ?」


『クローバー』

 黒・白幼少時

白「くろくん!よつばのクローバーみつけた!!」

黒「ホントだ!すごい!」

白「えへへ〜」

黒「ぼくもさがす!……ないかなー」

 数分経過

黒「なかったや。しかたないね」

 ぴりぴり

黒「え!しろ、なにしてるの!?」

白「よっつめのはっぱ、はんぶんあげる!これでわたしもくろくんもしあわせ!」

黒「しろ……ありがとう」


『憧れる?』

俺たちは中学生になった。

背も一気に伸び始めたし、急に声が低くなるやつも現れた。

そんでもって、みなさん一斉にシシュンキってやつになるみたいで……

「橙くん、あの……前からずっと好きでした!私と……付き合ってください!」

……ということが起こるようになってきた。……いや、小学のときもちらほらはあったけど。

「……ごめん」

そう切り出し、丁寧に断る。……つーか、中学入ってまだ三ヶ月だぜ?『前から』ってことはねえだろ。

……それに、俺はこの子達を『好き』だと感じてない。それなのに付き合ったら、逆に可愛そうでしょ。

まあ、俺にはこういうことがあったわけだが。

「二年生の先輩がかっこよくて〜」

「バスケ部のキャプテンがすごくかっこいいんだ〜」

この年頃の女子は先輩に憧れるもんらしい。誰かが言ってた。

それはそれで、人の嗜好はそれぞれだろうぐらいには思ってたんだけど。

少し、気になることがあるわけで。

「お前もさ、センパイに憧れちゃったりしてんの?」

「え?」

いつもの幼なじみに聞いてみる。

「お前もいっちょ前にシシュンキしてんのかなーって思って」

うーん……と黄色は何かを考えている。

「だってセンパイ方のことってよくわかんないじゃん?よくわかんない人を好きにはなれないなあ」

「ふーん」

……なるほど。確かに、俺もそう思う。そういう理由で告ってきた娘を断ってるんだし。

「橙こそめちゃくちゃ告られてるじゃん。どうなの?」

黄色もその話を知っているらしい。これだから女のネットワークは恐ろしい。

「お前と同意見」

俺はまだ、そーゆーのはいいや。もうちょっと、コイツとこういう感じでいけたらいい。

なんだか、安心みたいなものを感じた。


『ブランコ』

黄「(ぎしぎし) 昔はさー順番決めるのにケンカしたよねー」

橙「……そうだな」

黄「(ぎしぎし) どこまで高くいけるかとかさ。一周しちゃいそうになったときはホントに怖かったなー」

橙「……そんなこともあったな」

黄「(ぎしぎし) 勢いつけてジャンプしてどっちが遠くにいくかとかさ。それでしょっちゅう怪我したよね」

橙「……あったあった」

黄「(ぎしぎし) なんかさっきから橙適当じゃない?てかなんで目逸らしてるのさ」

橙「……ずっと見えてるんだよ!このバカ黄色!!」

黄「ふぇ!? 」


『靴飛ばし』

赤「せりゃああああああ!!」

すぱっ!

赤「あー!曲がったー!!」

橙「力だけじゃダメなんだって」

黒「次は俺だな。……ッ!」

しゅっ!!

橙「おお……綺麗な放物線……」

赤「お前、地味にこういう遊び強いよな」

白「ちっちゃい頃よくやったもんね♪」

黒「ああ」

白「私もやっていい?」

黒「……うーん」

赤「やれやれー!!」

白「よし!……えいっ!」

黒「ちょ!白、スカートなんだから——」

青「子供ねー」

黄「男の子だからね」

青「それにみんな片足で立ってるのってシュール……」

黄「でもいいなあ。あたしもやってこよーっと!」

青「え!ちょっと!黄色!!」

黄「青はやらないのー?」

青「……わかったわよ、やる!やります!!」

黄「そうこなっくちゃ!……おーい!まぜろー!!」

赤「お、きたきた。よっしゃ、みんなで勝負だ!!」


 高一の時のお話

赤「あー新しいスパイク欲しいなー」

黒「前も言ってなかったか?」

赤「前言ってのはウェア。今度はクツ」

黒「ほしいほしいとばかり言っていても仕方ないだろう」

赤「お前はほしいもんねえの?」

黒「……まあ、そりゃあるが」

赤「だろ?白、白もなんかほしいもんあるか?」

白「あるよー」

赤「何?」

白「んー……一番ほしいのはねー……子供!」

赤・黒「ぶふッ!?!」

白「? 子供って可愛いよね?」

黒「あ、ああ、そうだな……」

赤「可愛いもんな……」

赤「……で、どうします?」

黒「聞くな、殴るぞ」


『学ラン』

黄「いきなり雨とはやられたなあ……ブルブル」

橙「……さみいの?」

黄「あはは……ちょっと」

橙「……ったく」

黄「えっ!?え、学ラン!?」

橙「何もないよりゃマシだろ」

黄「……でも、橙が……」

橙「……風邪ひきたい?」

黄「……ううん」

橙「じゃあいいだろ。……走って帰んぞ」

黄「……わかった」


『フォークダンス』

橙・黄中学生時

橙(……フォークダンスなんてかったるくてやってられっかよ。もうちょいで終わりかな?……ん?)

黄  きょろきょろ

橙(……相手いねえのか?……ま、誰かやるだろ)

黄「(きょろきょろ)……」

橙(……)

黄「(きょろきょろきょろきょろ)……うぅ」

橙(……だー……ったく、しゃーねーなあ!)

 たっ!

橙「おいバカ、踊るぞ」

黄「……え、橙?サボるんじゃなかったの?」

橙「……お前が最初で最後。……一曲、よろしく」

黄「う、うん!」

めんどくさかったステップも、コイツなら、悪くはない……かな。


『食べちゃだめ!』

黄「大体……(もぐもぐ)こんなに……(もぐもぐ)チョコ貰ってどう処理するのさ(もぐもぐ)」

橙「俺だってこんなにはいらねえよ」

黄「さすがに(もぐもぐ)食べきれないよ……(もぐもぐ)」

橙「だから俺も手伝うって」

チョコに手を伸ばす

黄「だめー!!……橙が食べていいのは、青と白のだけ!それ以外は絶対だめ!」

橙「な、何でよ……」

黄「……そういうこと、言わせる?」

橙「……ったく。……太るぞ?」

黄「それでもいいもん(もぐもぐ)」

橙「……黄」

黄「何?(もぐもぐ)」

橙「来年からは、努力するよ」

黄「絶対だかんね」


『自慢したがり』

男「お、赤じゃん。久しぶりー」

赤「おお!久しぶりー!」

青「知り合い?」

赤「中学のときのヤツ。けっこう仲よかったんだぜ」

青「へー」

男「今のカノジョ?羨ましいねえ」

赤「可愛いだろ?それに優しいしスタイルもいいし料理もうまいしそれに……」

青「ストップストーップ!だからなんであんたはいっつもいっつもそんなこと言うの!?」

赤「だってホントのことだし」

青「そういうことじゃなくてね……」

赤「ああそっか。俺、青のこと超好きでさー」

青「そういうことでもない!!」

男「……あの、俺もう行っていいかな?」

赤「え、もう行っちまうのか?」

男「もういいです。……お幸せに」


『橙家の会話』

 つきあい始めて間もないころの話
橙母「あんたさあ……カノジョとかいないわけ? せっかくイケメンに産んでやったというのに……」

橙「……まーいいじゃん」

橙母「アタシの息子なんだからモテないはずないでしょー?選りすぐってるわけ?選り取りみどり?」

橙「っせーなー。なんでモテたならそんな早く結婚したんだよ」

橙母「そのおかげであんたは三十台の若いママを持つ幸せものなわけでしょー?」

橙「……母親がまだ三十台ってのは半分親がDQNって言ってるようなもんだよな」

橙母「なんか言った?」

橙「なんでもねー」

橙母「まったく……せっかくの高校時代、オンナノコといちゃつこうとか考えないの?」

橙「……母さんはどんなヤツに俺のカノジョになってほしいよ?」

橙母「うーん……そうねえ……しっかりした娘? ん、いや、むしろあんたってけっこうひねくれもんだし、ホントにあんたのことわかってくれる娘がいいかもね。もしかしたら娘になるって考えると、それなりに家事ができると助かるね。あ、黄色ちゃんだと嫁姑問題もめんどくさそうじゃないしいいかも!!」

橙「そりゃよかった。……ちょっと買い物行って来るわ」

橙母「……へ?ま、まさかあんた、そ、そうだったの!?マジで!?きゃー、黄色ちゃんのお母さんとか知ってるのかしら?挨拶とかしたほうが?きゃー!!」

橙(……あの辺の反応、普通におばちゃんだよなあ。……黄色に勝手に言っちまってよかったかな?ま、どうにかなるだろ)







トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-10-21 (日) 12:15:17