1年目 †
夜九時五十五分。弄んでいた携帯が、たった一人にしか設定していない着メロで鳴り出した。緑は苦笑し、通話ボタンを押した。いつもかけるかどうか迷っているうちに先を越されてしまう。
「……もしもし」
『おーす。俺だけど。元気にしてるか?』
「毎回毎回ひねりのない出だしね。特に変わりないわ。そっちは……相変わらず忙しそうね」
電話の向こうから、色無意外のせっぱ詰まった声がいくつも聞こえる。色無自身も何か窮屈そうな話し声だった。たぶん手を動かしながら、顎で携帯を挟んでいるのだろう。
『あー、ちょっとな。電気系統が故障して、ゼミで培養してた細菌が全滅しちゃってさ。いま総出でやりなおしてるとこ。また徹夜だよ……』
色無はこの1週間にあったことを楽しげに話した。理系の専門的なことは半分も理解できなかったが、それでも緑は相づちを打ち、こちらであったことを淡々と伝えた。
『——そんでさ、来週のことなんだけど……すまん、ちょっと今日より忙しくなりそうだから、電話もできそうにないんだ』
「……そう。別に謝るようなことじゃないわ。学業優先は当然のことだし。その分夏期休暇には埋め合わせしてもらうわよ?」
『……あ〜、その、なんだ……すまん……』
続きを聞く前に緑は理解した。返事をするまで数瞬の間があいた。
「……そう。そっか。詳しいことはいいわ。長い休みに全然帰ってこれないっていうなら、どうしようもない理由があるんだろうし」
自分がまったく普段と変わらない声を出していることに、緑は我ながら驚いた。
『ほんと、ごめんな……』
「電話もメールも、最初のうちは毎日のようにしてくれたよね。……なんだか色無君の顔、忘れちゃいそう」
『……緑……』
「……ごめんなさい。私も課題で煮詰まっちゃってて、ちょっと苛々してるみたい。もう切るね」
『緑! また電話す——』
色無の言葉を最後まで聞かず、緑は電話を切った。すぐにまた着メロが鳴り出したが、電源を切ると部屋は静寂を取り戻した。
「結局、私たちもそれほど特別じゃなかったってことかしらね」
電気を消してベッドに潜り込み、緑は一人呟いた。カーテンを閉め忘れた窓から星空が見える。ぼやけているのは眼鏡を外しているせいだと自分に言い聞かせ、緑は目を閉じた。
「緑〜、こっちこっち!」
その日の講義を終え、学内の図書館に向かう緑を呼び止める声があった。そちらに目をやると、黄が大きく手を振り、その横で水が恥ずかしそうに縮こまっていた。
「久しぶりね。学部が違うとなかなか会う機会も……何、これ?」
挨拶もそこそこに、黄が地面に突き刺そうとしているものに目を奪われる。それは随分大きな笹だった。
「なにって、笹に決まってるじゃん! ほら、今日のために短冊もいっぱい作ってきたんだ〜」
得意げに応える黄。脇には透明なタッパーを抱え、中には乱雑に切られた色とりどりの画用紙が入っていた。
「そういえば今日は七夕だったわね。それにしても、どこから持ってきたの?」
「農学部の敷地からもらってきた」
「……黙って持ってっちゃ駄目って言ったのに……私も手伝わされて……」
半泣きになった水が、それでももう諦めているのだろう、黄が笹を固定するのをたどたどしい手つきで手伝っていた。
「お祭りなんだから細かいことは言いっこなし! はーい注目ー! 今日は七夕、ご用とお急ぎでない方は自由にお願いを吊していってみよ〜!」
黄が両腕を振りかざして大声を張り上げると、早速ノリのいい学生たちが我も我もと押し寄せ、短冊を手にして願い事を書き込んでいく。あっという間に笹の周りに人だかりができた。
「よーし、大成功〜! いや〜一仕事したあとは気分がいいね!」
パイプ椅子(これも無断借用したのだろう)の上に短冊を入れたタッパーを置き、黄は盛り上がる学生たちを少し離れたところから満足そうに眺めた。
「相変わらずお祭り好きね……私は騒がしいのは苦手だわ」
「まあまあそう言わず、緑もなんか願い事書いていきなよ。ほら、水ちゃんは早速書いてるよ? なんて書いたの、見せて見せて!」
「え……あ……『世界が平和になりますように』って……」
おずおずと水がさしだした短冊には、信じがたいことに確かにそう書かれていた。
「今どき本当にこう書く人も珍しいわね」
「ダメね、水ちゃん! そんな他力本願じゃ! その点私はこうよ! 『世界征服』!」
「お願いごとって、たいてい他力本願だと思うけど……それに、それはお願いというより目標じゃ……」
「……まあ、黄が世界征服してくれたら水の願いも成就すると思うわよ」
小さくため息をつき、緑はきびすを返した。その腕を黄がわしっと掴む。
「おおっと、逃がさないわよ〜! ここまで来たらあきらめて、緑もなんか書いていきなさいよ! なんかあるでしょ?」
「私はいいわ。……私の唯一の願いは、きっと叶わないから」
「へ?」
「緑……ちゃん……?」
緑はそっと黄の手を振りほどき、天を見上げて呟いた。
「雨、降らないかな……なんて言ったら、楽しみにしてる人たちに悪いわね。それじゃ二人とも、またね」
軽く手を振って立ち去る緑を、残された二人は呆気にとられて見送った。
9時を回ったあたりから雨足が強くなってきて、天の川はおろか、隣家の灯りも見づらいほどになっていた。
「ここまで降ればいいとは思ってなかったんだけど。まあこれで織姫と彦星もまた来年ね。……それとも、地上の人間に邪魔されずに逢瀬を楽しんでるのかしら」
伝説上の人物にまで嫉妬している自分がちょっと嫌になり、少し早いがもう寝ようと思ったそのとき、携帯が色無専用の着メロを奏でだした。
「!!」
週に一度になった定期連絡より一日早いコールに不意を突かれ、緑の心臓は飛び跳ねた。長い間迷ったあげく、曲が2週目に入ったところで通話ボタンを押した。
「はい、もしも……」
『おせーよバカ! こっちはこの雨の中ずぶ濡れになってんだぞ、何やってんだよ!』
いきなり頭ごなしに怒鳴りつけてきた色無にむっとしながらも、緑はいつもの自分を崩さず応えた。
「あなたがどんなことになってるかなんて分かるわけないでしょ。というより、雨宿りぐらいすればいいじゃない。こっちは土砂降りだけど、そっちも降ってるんだ?」
『ああ。こっちも土砂降りだぜ。と言っても、緑と10mも離れてないと思うけどな』
「え……?」
『とりあえず、家のドア開けてくんない? このままだと俺より先に携帯が壊れそうだ』
携帯を放り出し、緑は窓に駆け寄ってカーテンを引きはがすように開け、サッシを全開にした。
「やっほー。テレビ電話だな」
携帯をポケットにしまいながら、笑って手を振る色無がそこに立っていた。
「バカじゃないの? 来るなら来るで連絡くらいしなさいよ。うち両親いるんだから男なんか泊められないわよ、行くあてあるの? 何よりゼミの研究はどうしたのよ?」
「……おっかしーなー、俺の予定だとここで緑が胸に飛び込んでくることになってたんだけど」
二階の部屋から駆け下りてきて、外に飛び出してくるやいなや機関銃のようにまくしたて始めた緑を見て、色無は首をかしげた。
「そんな三文小説みたいな真似、私がすると思ってるの?」
「雨の中、俺のために外に飛び出してきてくれただけで充分三文小説みたいだけどな」
「くっ……結局何しにきたのよ?」
「緑に会いに」
「だから、なんで会いに来たのかって聞いてるのよ!」
「なんでって……この間電話したとき、お前泣いてたから」
当たり前の口調で言う色無に、緑はしばし絶句した。
「……何言ってるの? 私は別に泣いてなんかないわ。会う機会が減るのも、お互い忙しくなるのも進路を決めたときから分かっていたことだし」
「まあ、そういうところも緑のいいところではあるんだけど。うーん……あ、そうだ! じゃあこうしよう」
「? あ! ちょ、ちょっと何するのよ、返し——きゃあ!」
色無は素早い動きで緑の眼鏡を奪い取ると、それを取り返そうとして伸ばされた腕を盗って引き寄せ、ぎゅっと抱きしめた。
「ちょ、ちょっと離して!」
「緑はさ、いつも冷静で割り切った考え方するよな。眼鏡の奥に表情隠してさ。だから俺の前で眼鏡を取ったときだけ、素直に感情出していいことにしよう」
「……何それ、くだらないわ。でもまあ……わざわざ会いに来てくれたのに免じて……のってあげても……いいわ……」
後半はもう、溢れた涙で聞き取れなくなっていた。
「うっ……会いたかった……寂しかった……」
「うん。俺も。夏も何とか数日くらいなら休み取れそうだから、絶対また帰ってくるよ。だからそんなに泣くなよ」
「泣いていいっていったくせに……それに、これは雨よ……」
「もう止んでるけどな」
「え? あ……」
いつの間にか、あれほど激しく降っていた雨は嘘のようにあがり、雲の切れ間から二つの星がひときわ輝くのが見えた。
男「どうした?なんかキツそうだな」
侍「ハァ、今日はあれの日でな。近くにあった笹を斬ってきた」
男「生理か、無茶すんなよ」
侍「ちがぁぁぁぁぁぁぁぁう!」
男「わかってる。今日はポニーテールの」
侍「七夕だろうが!」
男「最初からわかってたけど言わなかった」
侍「そういうわけで笹を採ってきたのだが…………どうも願いがなくてな」
男「贅沢な悩みだ。なら何故刈ってきた?もったいない」
侍「某も斬ってから気付いた。だから適当に飾りを付けた」
男「ちょ!これクリスマスツリーの飾りじゃん!」
侍「そうなのか?知らなかった」
男「お前ホントに侍か!織姫と彦星だろうが!っていうか日本国民か!」
侍「ひっ酷い、某が昨夜から付けたのに…………うっ…ぅぅう」
男「泣くな!なっ?ほら願いを短冊に書くってことは知ってただろ!?大丈夫だって!」
侍「でもぉ某なんも願いが………」
男「なんでも些細なことでもいいからなんか書こうって!」
侍「それじゃあ………」
侍「ずっといっしょにいたいなあ」
男「ぉ、紫何やってんだ?」
紫「!!!な、何でも無いわよ!」
男「(露骨すぎるwwww)ん、短冊か?願い事でも書いたのか?ガキっぽいなぁwww」
紫「む・・、良いじゃない!私の勝手でしょ!!」
男「で?何書いたんだ??教えてくれよ・・・ってあぁ胸でかくなるようにかwwwwスマンww聞かなくても分かったわwwww」
紫「(・・・ぶち)もうどっか行けえええええええええええええええ」
紫「・・・全く」
『皆といつまでも仲良くいられますように』
「ーったく〜ちょっとは手伝って下さいよ!」
『あ〜?愚痴こぼす暇があるなら手ぇ動かせぇ〜』
もう飲んでやがる…本来なら七夕の飾り付けは朱色さんの仕事の筈なんだが、群青さんが仕事で帰ってこないと知ると、コレだよ…あ、ビールから焼酎にシフトチェンジしやがった…もう無理ぽorz~まあなんだかんだで残りは短冊を取り付けるだけだしな
「〜♪〜♪ん?」
鼻歌混じりで取り付けているとひとつの短冊が気になった…
「コレって…」
ーーーもう少し背が欲しい 紫ーーー
アイツらしいなぁ…と思いながら眺めていると。
『ただいま〜♪ーあれ?』
ヤベッ紫だ!慌てて別の短冊も掴み取り作業に戻る。
『何でアンタが取り付けやってんの?』
「ん」
『あー』
俺が指差す方向を見て納得した様だ。いつの間にか一升瓶抱いて寝てやがる…後で群青さんに電話だな。
『ね、ねぇ!』
「ん?」
紫がモジモジしながら様子を伺ってる。
『て…手伝ってやろうか?』
あーちょっちマズいかも…
「嬉しいけど大丈夫だよ?それにおまえじゃ届かない——」
『ちっちゃい言うな!…もうイイ!!』
ドスドス、バタン!!俺の言葉を遮り部屋に戻っていった。とりあえず終わらせるか…
夕食後は寮の庭で天の川を見ながらプチ宴会。ちなみに朱色さんは黄や橙を巻き込んでパワーうpしてるよ…明日は群青さんの雷かw
「あれ?そういえば紫は?」
『『具合が悪いから部屋で休んでる』って夕食後に言ってたわよ?』
と黄緑。
「ふーん、そうか…俺、ちょっとトイレ」
と抜けようとした時、
『多分、屋上じゃないかしら?』
と、耳打ちしてきた。
『よろしくね?後片付けは私と緑ちゃんでやっておくから』
「サンキュ!」
と、言ってこっそりお菓子やジュースを持って屋上へ向かった。
多分、いや叶う事のない願い…自分自身に問題がある願い…せめて橙の1割でも積極的になれたら…
『うぅ…もうヤダよぅ…こんな…グスッ…性格…』
「俺は結構好きだぞ?」
ーーーッ!!
「持ってきて正解だったな」
と言いながら紫の隣に座り、ミルクの入った皿を置く。
ーーーーーはぁ……何度目の溜め息だろう…またあんな言い方しか出来なかった…庭からの楽しそうな声を聞きながら、猫と空を見上げていた。徐々に視界が滲んでくる。
『今日くらい素直になれないのかな…アタシ…』
声で起きた猫は喉が乾いてたのだろうか、美味しそうにミルクを舐めている。
『なッー何でアンタがココに!?』「お前と…紫と一緒に居たかったから…じゃ、ダメか?」
その言葉で真っ赤になり俯く紫。色無も自分で言っておきながら顔が赤い。
「なぁ(あぁ顔赤いぞ、俺」
『何?(顔が熱いよぅ…っていうか何でさっきあんな事…』
「(ヤベッ赤い顔に涙目は破壊力が高過ぎる…)明日、暇なら、デート…しないか?」
『(ーーーッ!夢じゃないよね?コ、コレは素直になるチャンスじゃ…)う…うん、イイ、よ?』
「おう…んじゃ明日、朝食喰い終わったら、出掛けるか?」
と言って立ち上がろうとすると紫に袖を掴まれた。
「ちょっ『膝に…』ん?あー」ミルクを飲み干した猫がいつの間にか俺の膝の上で丸くなっていた。
『何か眠くなってきた…』「へ?」
と言って紫が俺の膝に頭を乗せてきた。
「おまっ『色無の…ニオイがする…ぇへへ……ねぇ…色無…髪、触って……て?』
かなり眠いのか滅多に見せない甘えん坊な部分が全開である。正直限界だが、無理やり押さえ込む。
「ーったく、俺はオマエの親じゃないんだぞ?」と言いながら優しく髪を撫でる。紫が幸せそうな顔になる。
『ぇへへ…色、なしぃ……「ん?」ほん、と…は………スー…スー…』「寝ちまいやがった、か…ホレ、おまえも連れてってやる。」ヒョイと猫と一緒に抱き上げると
『だぃ…すき、だよ?……いろ、なしぃ……むにゅむにゅ…』
(寝言ッ…だよな!?しかしこの寝顔と寝言は凄まじくヤバい…)
食堂から運び出された笹の一番高い所には【背がもう少し欲しい】の横に本当に小さな文字で
【色無がアタシの事を嫌いになりませんように】
と書かれた紫色の短冊が風に揺れていた。
男「………なぁ」
灰「……な〜に〜」
男「他のみんなは七夕七夕うるさいけど、お前は何もせずに寝てるんだな」
灰「……まーね」
男「………一応聞くけど……なんで?」
灰「…めんどくさいからかな」
男「まぁそうだろうな。で、みんなで願い事書こうってことで頼まれてお前の分の短冊持ってきたんだけど、書く?」
灰「………書く」
男「お、意外だな」
灰「…あぁでも書くのめんどくさいから代わりに書いて」
男「そこまでめんどくさがるのかよ!」
灰「…いま素晴らしい枕の位置を発見したの。ベストポジションだよ。これもう次は絶対発見できないね。一回頭離すと形変わっちゃうからね。だから嫌」
男「はいはい…。で、なんて書く?」
灰「おんぶ」
男「おんぶ…」
灰「してもらえますように」
男「してもらえますように…」
灰「一生」
男「一生…」
灰「色無しに」
男「色無しに…って俺かよ!!」
灰「……とても名誉なことだと思うけど?」
男「嫌だろ普通!!」
男「……はぁ。結局今年もお前の家族と一緒に過ごす訳か。彼女さえいりゃあなぁ……」
緑「家族ぐるみで過ごすのは嫌って言うの?」
男「親父達酔っ払いの後始末が嫌なんだよ。もう俺に残された希望はこの短冊しかないっ!!」
緑「……『小遣増額熱烈歓迎』?~ずいぶんと俗物的ね」
男「何とでも言え。叶いさえすりゃいいんだよ」
緑「期待してもいいと思うわよ。私は毎年願いが叶ってるから」
男「何っ!?~緑の短冊はっ——『去年と同じ』」
緑「もちろんそれも既に叶ってるわ」
男「ちなみに去年の願い事は?」
緑「『一昨年と同じ』よ」
男「……何となく予想できてたけどな。本当に叶ってるのか、それ?」
緑「勿論よ。……今年も貴方と一緒に過ごせてるじゃない」
男「お前……まさか——」
緑「……そうよ」
男「やっぱり毎年『俺に彼女が出来ないように』って願ってるんだな!?」
緑「…………」
男「頼むっ!~俺のツレでよかったら紹介するから独り身の道連れだけは勘弁してくれっ!!」
緑「……(ドスッ)」
男「ゴェッ!?~じ、地獄突きはっ…反則っ…だろうがっ……!!~ゲホッ、ゲホッ!!」
緑「……馬鹿」
赤が素直になったようです
赤「七夕もおわっちゃったねぇ」
無「だなぁ」
赤「織姫と彦星はまた一年間あえなくなるんだっけ…」
無「めずらしく物思いにふけってるな」
赤「好きな人同士が一年間もあえなくなるとか私は我慢できないよ」
無「そんだけ相手を想う気持があれば我慢できるんじゃないか?」
赤「それでも私は嫌。だからね私は君の側から離れないようにきめたの」
無「!?」
赤「だからね、私は君の事が好きだから側にいたいの?わかる?」
無「え、いや、あの…把握した…」
赤「わかればよろしい!!じゃあ一緒にまだのこってる出店でもまわろうか。ふふっ…」
橙「短冊に願い事?あぁ、そういえば七夕だったっけ……」
男「なんだ、なんにもやってねぇの?みんなははりきって願い事を書いてたっつーのに」
橙「うん、なんにもやってない。キョウミないとは言わないけど、ね」
男「ふーん。そんなもんか……」
橙「色無は何か書いたの?願い事」
男「ん……まぁ、ちょっとな」
橙「へー。具体的に教えてほしいな」
男「………織姫と彦星にあやかって、『彼女ができますように』って書いといた」
橙「!」
男「まぁ、まだ飾ってないんだけど———」
橙「ソレ、飾る必要はないよ」
男「え?」
橙「だって、その願い事はもう叶ってるもの。 ……アンタがよければ、なんだけど」
男「ぇ………えーと?」
橙「私がアンタの彼女になってあげる———ううん、違う。私はアンタの彼女になりたいの」
男「———なッ……、え?」
橙「ダメ、かな?」(ジッ
男「あ、いや、えっと、ダメじゃない、んだけ、ど」
橙「ホント? じゃあ、その願い事は書き換えちゃおっか」
男「……いや、あの、オレンジ。その……本気なのか?本気で、信じて、いいのか?」
橙「本気。だから、信じて。……信じられないようだったら、信じられるようになるまで、なんだってしてあげるよ?」
男「ぅ———、ぁ……ぅん」
七夕を過ぎてしまった深い夜。淡い色に揺れて泳ぐ願いには、こう書かれていた。
『織姫と彦星のようではなく、いつでも、いつまでも、ふたりでいっしょにいられますように』
「ーったく〜ちょっとは手伝って下さいよ!」『あ〜?愚痴こぼす暇があるなら手ぇ動かせぇ〜』
もう飲んでやがる…本来なら七夕の飾り付けは朱色さんの仕事の筈なんだが、群青さんが帰ってこないと知ると、コレだよ…あ、ビールから焼酎にシフトチェンジしやがった…もう無理ぽorzまあなんだかんだで後は短冊を取り付けるだけだしな
「〜♪〜♪良し!終わり、あれ?」自分の短冊を取り付けようとして、1人分足りない事に気付く。『たっだいま〜!』「おかえり。橙!オマエの短冊がないぞ?」
そう、橙の分が見当たらないのだ。
『あ〜まだ書いてないんだった。後で自分でやっとくよ…何で色無がやってんのよ?』「ん」『…あはは、な〜る』
指差す方向を見て納得した様だ。…いつの間にか一升瓶抱いて寝てやがる…後で群青さんに電話だな。
「俺、早めに風呂入ってくるから自分で取り付けとけよ?」『了〜解しました〜♪』
夕食後は寮の庭でプチ宴会がスタート。朱色さんと黄が先頭切って馬鹿やってる。正直羨ましいよあの性格。んーお菓子や飲み物が微妙だな…買いに行くか。
「コレだけあれば…『見〜つけた☆(ギュッ』うを!」
橙が俺の空いてる腕を抱きしめた。
「何でオマエがココにいる?」『へへ〜だってこうでもしないと、色無と2人っきりになれないでしょ?』
そうだった、こういう嗅覚は桃と双璧を成すんだったよ。
計算も終わった帰り道も橙は腕に抱きついたままだ。
『ねぇ色無?七夕は何をお願いしたの?』
「んぁ?別に大した事じゃないよ?」
『教えなさいよー(グイッ!』
「ちょっ、転けるから引っ張るな!だから大した事じゃないって!」
『むぅ〜。んじゃ、色無が教えてくれたら、私のも教えるからさ、ね?』
「等価交換かよ…まぁ、イイか。俺のは【今の幸せが続きますように】だ。」
『ふーん、ありきたりっちゃ、ありきたりだねw』
「次は、橙の番だぞ?」『私?私のは明日になったら教えてア・ゲ・ル☆』
「ハァ?卑怯だぞ!」
『アハハッ!色無にも関係あるから、明日をお楽しみに〜!あっ、先に帰るね〜♪』
「はあ?意味ワカラナス…」
ヨクジツノ(・∀・)アサー
「ふぁぁぁ〜」
『オハヨー!遅いよ?いくら休みだからって寝過ぎじゃない?もう出来るから座ってて。』
橙サン、ナンデ貴方ガ朝食ヲ作ッテラッシャルノデスカ?ソレニソノ格好はドウ見テモ裸エプ(ry
『完成〜♪さぁ、どうぞ〜あっ、お箸忘れたっ』ークルッ!
ふぅ!ちゃんと服、着てたか…朝から心臓に、ってみんなは?
『ん〜みんな用事があるって。珍しく灰ちゃんも。朱色さんは群青さんに寺へ連行されたwさて、いただきます。』
ふーん、んじゃいただ…箸がないぞ?
『色無、アーン。』ブフォ!「ま、待て!」
『ん?どしたの?恥ずかしい?』笑顔で聞くな。いくら2人しかいないからって、それでも赤面するわ!
『色無、今日は暇だよね?後で部屋に行くから。』
「ちょっ、俺は今日は『予定無しでしょ?(ニッコリ』ハイ、その通りです。」
『んじゃ、食べちゃお?ハイ、アーン♪』
コレはデフォですか、そうですか…
イロナシノ(・∀・)ヘヤダヨ
「ーなぁ『ん?』この体制で観るのか?」『だって背もたれあったら楽じゃん!』
だ、そうですorzお菓子や飲み物と一緒に来てDVDをセットして、俺を座椅子変わりにしましたよこの娘さん。橙から柑橘系の爽やかな匂いがする。プラス女の子の柔らかな感触がちょっちヤバい。
DVD観てる間は我慢出来るかな…
『ほら、始まるよ?』
ーまぁ内容はよくある恋愛物だった。正直こっちが赤面するくらいの甘い話だったんでちょっと惚けていたら、
『…ねぇ。』
橙の声で現実に戻ってきた。
「ん?どした?」
器用に体を反転させて、向かい合わせになる。
『私も…映画のようになりたい、なぁ…』「どーゆーい(チュッ」
思考が停止していたのは10秒程だろうか?かなり鼓動が早くなってる。多分、橙にも聞こえてるんじゃないか?
『……こういう、事(///)』
(ヘイ、ブラザー!どうした?ハッハ〜ン、また失敗したんだな?オマエの顔見たらすぐ、って違う?え?ホントか!ホントなんだな!よし今日は祝いだ!)
ーこの間1�秒。だってですよ、普段とのギャップがあり過ぎな上に、俺の胸元の辺りを掴んで、顔を惚気させつつ目を潤ませて、上目遣いで言われてご覧なさい?そりゃボブもビックリさ!
『私の事、嫌い?』
ハイ、KOのゴングが鳴りました。
『いーッ(ん、ちゅ…んむっ…ふっ…ちゅっ…はっ、ふっ……んっ)…はぁ…はぁ色、無?』「これが、俺の答え、だ(///)」『ッ!(ポロポロポロポロ)あは…七夕の、お願い、叶っちゃった、よぅ』
夕焼け空に刻まれた御伽噺は織り姫と彦星のハッピーエンドに繋がる新しい御話………
桃「——七夕のお願い事、叶うといいね」
男「だな。ピンクはなんて書いたんだ?」
桃「えっとねぇ……『片思いが両思いになりますように』って書いたの」
男「!……ってことは、好きな人がいるんだ?」
桃「うん。おかあさんやおとうさん、ともだちとは違った意味で、すごく大切な人なの」
男「へぇ……叶うといいな。応援するよ」
桃「ホントに?……ありがとっ」(チュッ
男「!!?」
桃「えへへ……キミが応援してくれたから、ちょっとだけ、勇気を出してみたの」
男「あ、う?えーと……?」
桃「その、……片思いの相手に、応援してもらえたから」
男「———」
桃「だから、キミしか知らないコトを聞くね。 ———私のお願い事は、叶いますか?」
男「ぁ………ぅ、っと……………——叶わない、よ」
桃「……! そっ、か………ごめ、んね。急に、こんな……こ、んな……こと……」
男「——だってその願い事は、間違ってるから」
桃「……ぇ?」
男「『片思い』ってところが間違ってる。ついでに言うと、その願い事は叶えるまでもないんだよ」
桃「色無くん……それ、って」
男「……ところでさ。俺は『彼女ができますように』って書いたんだけど、これは叶うかな?……ピンク、教えてくれ」
桃「ッ……!! うん……!私でいいのなら、その願い事、叶えるからッ……!」(ギュッ
男「ん。ありがとう、ピンク……」(ギュ
橙「色無し〜、願い事叶った〜!?」
男「ん〜?あぁ俺の願いは叶ったかどうかわかりにくいもんだからなぁ……」
橙「なになに、どんな願い事〜?」
男「健康でいられますように」
橙「親父くさっ!」
男「別にいいだろ。そういうオレンジは何て書いたんだ?」
橙「私?私はねぇ……あそだ、ちょっと目ぇ瞑って!」
男「……?瞑ったぞ」
橙「……はい、あけていいよ!」
男「いったい何を……ってうわ!!お前なんでそんな目の前にいるんだよ!!」
橙「だってこうしないと私の願い叶わないんだもん!!」
男「……?」
橙「色無しが私以外の女の子を見ませんようにって」
男「おま……///」
橙「あ、なんで目ぇそらすのぉ!?ほぉら、ちゃんとこっち見て!」
男「う……///(さすがに近い……)」
橙「これからも私だけを見てよ?」
男「…………はい///」
橙「よっし、ご褒美!(チュ」
男「……!!ってお前何して……!!!」
橙「じゃ〜ね〜色無し〜!!」
男「あのやろう……///」
男「紫、願い事叶った?いや、叶ってなさそうだな……その身長じゃあ」
紫「うるさい!なんで身長だってわかったの!?」
男「やっぱりそうかwww」
紫「な……カマかけたなぁ!?」
男「まさかこんな簡単にいくとはwww」
紫「ちっちゃいゆーな!」
男「言ってな…」
紫「あ!ピンク〜、色無しがいじめる〜!!」(ピンクに抱きつく)
桃「そうなの?色無し君、あんまりいじめちゃだめよ〜?いくら色無し君と言えど嫌われちゃうよ?」
男「俺は別に何も…………って、あ」
(紫が顔を上げると、そこにはピンクのたわわに実った果実が)
紫「…………」
桃「?どうしたの色無し君?」
男「いや……なんとなくこれから起こることがわかるような…」
紫(……ピンクの胸すごいなぁ……背も低くは無いし………)
男「見ちゃだめだ!」
桃「?」
紫(いいなぁピンク…っていうかこの人に抱きついたのは間違いだったんじゃ……)
男「だめだと言ったのに……」
桃「??」
紫「……裏切り者ぉぉ!!!!」(ダッ
男「ちょ、待てどこ行くんだ紫〜!!」
桃「?二人とも、何だったのかしら……?」
茶「色無しさん!色無しさん!今日は七夕ですよ!」
無「それはわかるけどさ、右手にある単語帳は何?」
茶「何言ってるんですか?短冊ですよ短冊!七夕なら当然じゃないですか!」
無「多いから減らしなさい!彦星と織姫に迷惑です!」
茶「えぇぇぇぇっせっかく書いたのにぃ!」
無「いくらなんでもそれは強欲過ぎるよ。どれかに厳選しなさい」
茶「………………シュン」
無「…………しょうがないなぁ」
茶「えっ?」
無「1つだけ俺がお前の願いを肩代わりしてやるよ」
茶「でも色無しさんのお願いが………」
無「俺は何も願うことないから別にいいんだ。ほらその単語帳から早く選べよ」
茶「かッ、感謝です!では私のお願いは色無しさんが選んでください!」
無「じゃあ遠慮なく……んっ?」
色無し(この「お嫁さんになりたい」の短冊、「お嫁さん」の前に俺の名前を書いて消した跡が……)
茶「あの………どれに」
無「この『お嫁さんになりたい』はいらないな」
茶「えっ!そんなぁ……」
無「俺の嫁にならいつでもしてやるからもう少しましな願い」
茶「なんでわかったんですか!?エスパーです!伊藤です!」
無「もう少し質のいい消ゴム使えよ。跡残ってるぞ」
茶「あっ…………」
無「だろ?俺はこの『ドジを治したい』を——」
茶「色無しさんは………私のこと好きですか?」
無「……………好きだよ」
茶「そうですか。……じゃあそこの短冊はもういいです」
無「えっ?なんで?」
茶「もう、お願い叶っちゃいました」
無「……………そうか」
茶「だから新しくお願いしたいことがあるんです」
無「どんなこと?」
ずっと二人でいられますように
男「うわ、七夕だからって理由つけて飲みすぎだよ朱色さん……」
朱「…ごー……」
男「部屋酒臭いし……群青さんに見つかったらなんていわれるか…」
群青「…すー…」
男「群青さんも!?」
橙「…ん……」
男「オレンジまで…」
水「すー……すー…」
男「なんてこった水色まで!!だめだ、この酒飲み…朱色さんを早めになんとかしないと……」
男「おい黄色、なにやってんだ?」
黄「七夕の笹の片付けを朱色さんに頼まれてさー、まったく、こういうのは私の仕事じゃないよねえ?」
男「仕事をしないってのを誇らしげに言うな」
黄「まあまあ。とりあえず手伝って……あっ、やっぱなし!手伝わないで!」
男「は?なんでだよ?俺も手伝うって」
黄「それはほら……ノリ?」
男「ノリかよ。つーかほらさっさとやるぞ。2人でやった方がすぐ終わるだろ」
黄「ああ…でもさあ…」
男「ん?なんだ、このあてつけがましくてっぺんに付いてる短冊は?」
黄「あーっとストーップ!!それ私の!見るの禁止ってことでひとつ!!」
男「だが断る。何?『色無が私を女の子として見てくれますように』」
黄「ああ……」
男「これって…」
黄「ははは…誰にも見せる気なかったのにな…。色無、困るでしょ?青とかオレンジならいいだろうけど、
こんな可愛らしさも、しっかりしたところもない私からこんなこと書かれてもさ…」
男「…別に。確かに俺とお前は馬鹿話してること多いけど、お前も十分可愛いと思うぜ」
黄「…嘘だあ。別に無理して言わなくていいよ?」
男「嘘じゃないよ。だって今のお前とか可愛いし」
黄「……。…じゃあさ、色無」
朱「おーい、黄色ー頑張ってるー?」
黄「ッ!!?は、はいっ!万事順調であります!」
朱「群青姉に言われたから手伝ってやるよー」
黄「っ、余計なことを…」
朱「? あ、色無、群青姉が呼んでたよ」
男「マジスか?じゃあ行ってきます。…じゃ、頑張れよ黄色」
黄「ああ〜色無〜…私史上最大のチャンスが〜…」
無「どうした水?なにオドオドしてんだ?」
水色(あっ!色無し君来ちゃった!)
水「あっ……色無しくん………」
無「おっ、短冊じゃん。何書いたんだ?」
水「だっ、だめです!見ちゃダメです!」
無「おっ、おぉ悪いな。しかし水が願いごとしてんのに空は意地悪だよな。曇りだぜ?」
水「いいんです。そんな大それた願いじゃないですし………」
無「俺にとってはそうだろうけど水にとっちゃ大事なことなんだろ?」
水(色無し君にだって大事な…………)
無「じゃあ俺戻る」
水「待ってください!」
無「えっ?あっ、はい。」
水「私、短冊に…………」
無「はい?」
水「私、短冊に……ずっと色無し君といたいって書きました。」
無「えっ?それって……」
水「………そうぃぅ…こぉと……です。」
無「…………………」
水「…………だめ……ですか?」
それから私はよく笑うようになった。
無「水ー帰るぞー。」
水「ちょっと待ってくださーい。」
無「だが断る。先行ってるぞ。」
水「エヘヘ、待ってよぉー。」
みんな彼のおかげだ。
2年目 †
赤「足が速くなりますように」
青「素直になれますように」
黄「みんながもっとカレーを好きになってくれますように」
緑「色無×男がもっと普及しますように」
白「早く元気になって学校にいけますように」
橙「バイト代あがりますように」
桃「これ以上おっぱいが大きくなりませんように」
紫「身長と胸がもっと大きくなりますように」
水「お花が綺麗に咲きますように」
黒「白の体調が良くなりますように」
茶「失敗が成功の元になりますように」
黄緑「みんな仲良く楽しく過ごせますように」
朱「煙草と酒が止められますように」
群青「結婚できますように」
灰「みんなの願いがかないませんように」
侍黒「どうか男が普通の変態程度で踏みとどまりますように」
焦茶「色無に私の気持ちが伝わりますように」
空「楽しいことがたくさんありますように」
無「朱色さんがちゃんと働きますように」
男「侍黒とエ」
無「みんな結構個性的だよなぁ。男のはなんか途中で途切れてるな。赤黒い模様も付いてるけど、これなんだろ……?」
男「……」
緑「何か言いたそうね?」
男「別に。お前の家族と過ごすのは毎年のことだから今更どうこう言う気もねぇよ」
緑「そう? 私と一緒にいるのが不満そうに見えるけど?」
男「はっきりと気のせいだ。お前が読書中じゃなくて、俺の話につきあってくれるのなんて滅多にないからな」
緑「……貴方が話しかけてくれないからでしょう。ところで、今年は短冊に何て書いたの?」
男「ん、これだ。折角だし、そう簡単に実現しないものを書くべきだよな」
緑「『女の子に抱きしめられたい』……これが実現できない、ねぇ」
男「な、何だよその絶対零度を通り越したような冷たい視線は!? いいじゃねぇか、俺だって人恋しくなる時ぐらいあるんだからなっ」
緑「赤や黄に、よく抱きつかれてるじゃない」
男「あいつらのは飛び掛ってくるって言うんだ。俺がして欲しいのはあんなのじゃないんだよ」
緑「……」
男「もっとこう優しくぎゅっと抱きしめてくれるっていうか——あぁっ、上手く言えねぇ!」
緑「こっ、こう?(ぎゅっ)」
男「うえぇぇっ!? おまっ、何してんの!?」
緑「あ、貴方の説明が要領を得ないから実際にしてるのよ。ち、丁度貴方の願いを叶えることになるし、一石二鳥、三鳥じゃない」
男「そりゃあ確かに——じゃないだろ!?」
緑「そ、それよりどうなの? 貴方が思ってるのはこんな感じなのかしら?」
男「あぁ、全くこの感じだからっ、離れろって!!」
緑「折角お願いが叶ってるんだしもっと喜びなさい。——それとも、私だから駄目なの?」
男「……ある意味正解だから離れて欲しいんだよっ」
男「……いつまでこの状態でいるんだ?」
緑「貴方が満足するまで」
男「ありがとう十分堪能させていただきました。さ、離れろ」
緑「素直じゃないのはよくないわよ?(ぎゅっ)」
男「……もう好きにしてくれ。そういや、お前は短冊に何て書いたんだ?」
緑「秘密」
男「人のを聞いといてそれはないだろ。っていうか、お返しに俺に出来る事ならしてやるから言ってみ?」
緑「……厳密にはちょっと変わってるけど、私の願い事はちゃんと叶ってるから。気を使ってくれなくても大丈夫」
男「あ。分かったぞ緑のお願い。そっか、そう言う事だったんだな?」
緑「……えぇ」
男「やっぱり今してる事と引き換えに、俺に新しい本買わせようとしてるんだな? 別に良いけどあんまり高いのは勘弁してくれよ?」
緑「……」
男「はっはっは、あまりに図星すぎたか」
緑「……そう言う事にしておいてあげましょうか(ギリギリギリ)」
男「(ベキベキベキ)緑っ、サバ折りは反則っ、お、折れっ、ギブギブ〜ッ!!」
3年目〜 †