朱・群青メインSS

この人は赤の姉で、寮母さん。

ウチの学校の理事長や校長の弱みを握っているという噂もある、謎の多い人だ。

朱「ごせんえん」

男「・・はい?」

朱「競馬でスッちまってさー。乳揉ませてやるから5000円寄越せ」

男「・・え・・あの・・」

朱「ちっ、甲斐性なしめ・・で? どうした?」

男「いやその晩ゴハンはまだかな、と思いましてですね」

朱「皆から連絡があってな、夕食はお前とあたしの2人きりだ」

男「はあ」

朱「悔しいからあたしらも何か食べに出るか」

男「お、いいすっね」

朱「お前のオゴリで」

男「・・え?」

朱「よし行こう。昇龍軒のラーメンセットでいいよ」

男「ちょ・・はあーーーーー!?」



朱「暇だな〜」

男「そうですね」

朱「しりとりでもしようや」

男「いいですよ。じゃあ…『塗り絵』」

朱「『SM』」

男「………『むらさき』」

朱「『亀甲縛り』」

男「……………『リンク』」

朱「『クリト

男「いい加減にしてくださいよ……」


男「Zzz……」

朱「あーあ、たまの休みになるとこれだよ。もう昼近くだってのに……おい!起きろッ!!」

男「ん………うぅ……」

朱「……怒鳴ってもダメか。まぁいい、たまの休みくらいは寝かせてやろうか」

男「うー……」

朱「しっかし気持ちよさそうに寝てるなー。私まで眠りたくなってくるよ、オマエを見てると」

男「……」

朱「……」

男「………ん…」

朱「…………私も、ちょっとだけ、寝ようかな……。 ぜったい、起きるなよ……?」(モゾモゾ

男「………」

朱(うわぁ、あったかい……それに、なんだかすごく気持ちいい…、…幸せかも……)

男(なな、何を考えてるんだよ、この人はッ!!!俺を起こしに来たんじゃないのか!!?)

朱「ん……ぅん…」

男(〜〜〜ッ!!寝ろ、寝るんだ俺!!羊を数えて眠るんだぁッ!!!)


朱「あっつー……この暑さはどうにもならんのかー……」

男「せっかく素麺すすってるのに、そういうこと言わないでくださいよ」

朱「そんなこと言っても、暑いものは暑いんだよ。ついでにごちそうさまでしたっと」

男「おそまつさまでした。とりあえずクーラーつけますね。っていうか普通に最初からクーラーを……」

朱「それは却下」

男「はい?」

朱「クーラーはお腹が痛くなるんだよ。なんていうかこう、キリキリと……わかるか?」

男「あ、なるほど。そういうことですか」

朱「………あー、そうだいいこと思いついた。クーラーつけていいぞ」

男「?じゃあ、28℃くらいで……」(ピッ

ーーーーーーーー
朱「——これならお腹も痛くならないし、適度な涼しさでしかも昼寝が出来る。完璧だろ?」

男「……いやあの。これ、俺は動いていいんですか?」

朱「ん?オマエは“抱き枕”を動くモノだと思ってるのか?へーぇ、そんな枕があるならぜひ見たいものだね」(ギリギリ

男「ぃででででッ!!し、締め上げないでくださぃッ!!ほ、骨がッ!」

朱「というワケで 大 人 し く 枕やってろよ♪じゃあ私は昼寝するんで、おやすみ枕くん」

男「……はいはい」



朱(……………ま、もう数年くらいしたら抱かれる側になってやってもいいかもね。うん、ちょっとだけ……)

男(やれやれ。俺の扱いって、きっとずーっとこうなんだろうな………情けないけど、そんな気がする)


朱「あち〜……こう暑いと何にもする気が起きねーな……」

男「まあ、暑かろうが涼しかろうが、朱色さんが仕事してるところ見たことないですけどね」

朱「うるせーな、アタシだってお前たちの見てないところでちゃーんと寮母の務めを果たしてるんだよ! 誰が毎朝毎晩まかない食わせてやってると思ってんだ?」

男「ここ一週間ほど、晩飯は黄緑さんが、朝飯は水と桃が交代で作ってましたね」

朱「……そーだったっけ? え〜と、ほら、洗濯とか……」

男「それも黄緑さんと紫がやってます。ちなみにボクの分の洗濯は自分でやってますし、廊下と庭の掃除もボクがやってます」

朱「あーもう、細かいことグダグダ言うな、暑苦しい! ほら、全然風こねーぞ、気合い入れてあおげ!」

男「はいはい(パタパタパタパタ)」

朱「どこをあおいでんだよ。もっと下向けろ。? お前なんで横向いてんの?」

男「それは、その……ボクも男なんで、あんまり胸元とかくつろげられると目のやり場に困るって言うか……」

朱「……へえ〜、ほお〜。なになに、アタシの胸見てコーフンしてんの? 勃起した?」

男「ちょ、女の人が勃起とか言わないように! 聞いてるこっちが恥ずかしいじゃないですか!」

朱「あっははは、かわい〜! アンタ顔真っ赤だよ。んふふふふ、ね〜え、アタシ今ノーブラなんだけど……こーすると感じちゃう?」

男「うわーーーーっ!!! だ、抱きつかないで下さいよ! 暑いんじゃなかったんですか!?」

朱「暑いけどアンタからかってる方が面白いし。ほらほら、どう? 桃には負けるけど、けっこういけてるっしょ?」

男「やめれーー!!」


男「……何やってるんですか?」

朱「見りゃあわかるだろ見りゃあ」

男「わかりますけど朱色さんが料理なんて……」

朱「なんだよ、まかない作ってくれないって不満垂らしてたの自分じゃんか。……まぁあんまりにも仕事しないのもアレだしね。」

男「(やっぱ仕事してなかったんだ……)」

朱「だからたまにはこうやって作ってやってんの。……ほら、できたよ。あったかいうちに食べな。」

男「じゃあ……いただきます。……ブホッ」

朱「ニヤニヤ」

男「ゲホゲホ……ちょっと…朱色さん…この、オム、ライス、何、入れたん、ですか……?」

朱「ハ バ ネ ロ」


朱「色無し〜」

男「はい?」

朱「…ねぇ〜色無しぃ〜」

男「何ですか?」

朱「色無しったら〜……」

男「だから何ですか?」

朱「色無しぃ〜………う…うう〜……」

男「な、なんでいきなり泣き出すんですか……!?」

朱「だって…ヒック……あんなに愛し合ったのに……」

男「………朱色さん、酔ってるでしょ?」

朱「男なんて……男なんてぇ……!…ヒック……ほしいけど……でも……グス」

男「はいはい、とにかく寝ましょうね。ほら、ベッドまで連れて行ってあげますから」

朱「グス……色無し…優しいのね……」

男「………(そ、そんな目で見つめないで〜!!)」


朱「あ〜みんな帰ってこないし暇だな〜……色無しがいたらいろいろと暇つぶしできるんだけどな〜」

群青「ただいま」

朱「あぁおかえり〜………ってえぇ〜!!?何で群青姉がここにいるの!?」

群青「私はここの寮を経営してる会社に勤めてんの、別にちょっと見に来たっておかしくないでしょ?」

朱「そうだったの!?」

群青「そうだったのってあんたねぇ……。入社した当初から言ってたじゃない。あんたが寮母になったときにも『実質私の部下になるのかな?』みたいなこと言ってからかったじゃない」

朱「そ…そうだった…」

群青「それで、あんた寮母としての勤め、ちゃんと果たしてないでしょ」

朱「…う…!」

群青「ここの寮生の黒ちゃんに聞いたわよ。あんた、炊事洗濯掃除、全部寮生に任せてるそうじゃない」

朱「………黒ちゃんめ〜……」

群青「じゃああんたいったい何をしているわけ!?もうすることないじゃない!!だから今日から、今から掃除を始めてもらうわ!!」

朱「え〜!?」

群青「え〜じゃない、さっさとやれ!!」



緑「ただい……」

男「……どうした緑?早く入ってくれよ」

緑「朱色さんが……」

男「……?」

緑「……掃除してる」

男「……うそぉ!?あっホントだ!ってかあの人誰!?」


群青「——ごめんなさいね。本来なら妹がやるべきことだったのに」

色無「いいんですよ。なんだかんだで朱色さんにはよくしてもらって……」

群青「……色無くん、だったわよね? 嘘はよくないわよ?」

色無「え!?い、いや、そんな嘘だなんて」

群青「これでも姉だから、あの子のしそうなことなんてけっこう想像つくの。

    貴方みたいな人だったら、そうね——きっと、玩具みたいに可愛がられていたんじゃないかしら?」

色無「………俺って、やっぱ、そんな風に見えるんですかね?」

群青「そうね。でも、悪い意味じゃないから気にしないで。 ……もしも気を悪くしたのなら謝るわ。ごめんなさい」

色無「あ、いやそんな。気にしませんから」

群青「ありがとう。 ……それにしても不思議ね。貴方と話すのには、どうしてこんなにもツクらないで話せるのかしら」

色無「へ?」

群青「……男の人が苦手なの、私。こんな歳になった今も、それは変わらないままで、けっこう苦労してるのよ」

色無「………そうですか」

群青「だけど、貴方なら——すごく、自然でいられるのよ。初対面なのに、まるで幼馴染の親友みたいに」

色無「そ、そうなんですか?」

群青「ええ。 ……よろしくね、色無くん。ぐーたらな妹共々、不束者ではありますが——なんてね」

色無「ッ、そそ、それはかなり間違った挨拶ですからッ!!」

群青「ふふ……」


群青「ちょっと色無し君、悪いんだけど〇〇買ってきてくれる?」

男「いいですよ」



群青「ちょっと色無し君〜……」

男「行ってきますよ」



群青「色無し君〜……」

男「はいはい行ってきますよ〜」



男「あれ………なんか朱色さんの相手してるのとたいして変わらない気が……」


群青「Zzz……」

色無「群青さん、朝ですよー」

群青「………やだー……」

色無「や、やだって……ホラ、起きないと遅刻しますよ?」

群青「ん〜〜〜……」

朱色「あー、ダメダメ。姉さんはそんなんじゃ起きないから」

色無「あ、朱色さん。それならどうすりゃいいんですか?」

朱色「んーと、肩でも貸してムリヤリ起こせば何とか起きてくれるかもしれんね」

色無「そ、そこまでやるんすか……じゃあ、ちょっと失礼して………——よッ、と!」

群青「ぅー……?」

色無「ほら、いい加減起きてください!」

群青「………ぐぅ」

色無「も、もたれて寝るなーッ!お願いだから起きて………ッ!!?」

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朱色「あ、忘れてた。姉さん、この時期はパジャマ代わりにシャツ1枚で寝てるんだっけ」

色無「———ちょ、っと、あの」

朱色「いいじゃん、役得だぞ色無。胸触るくらいなら見逃すよ。ほら、男嫌い=男を知らない乙女のあられもない……」

色無「あ、アホなこと言ってんじゃねーッ!!つーか起きてよ群青さんッ!!」

群青「……ぐー………」


群青「ちょっと…朱?」

朱色「(いやな予感)」

群青「寮の経費、雑費が異様に多いんだけど?」

朱色「…さ、さぁ〜」



群青「…ちょっとー色無くーん!このあいだ朱ったらね、あなたのこと…」

朱色「ちょ、わかった!わかったから!すみません雑費で酒飲んでましたごめんなさいっ!」

群青「色無君なんていないし〜…ってあんたそんなことしてたの!」

朱色「ひぎぃ!」


朱「あぁ〜、姉さんいないから久々にゆっくりできるよ〜……」

男「なんで朱色さんは群青さんに弱いんですか?」

朱「姉妹とか兄弟ってのはねぇ、お互い弱点握ってるもんなのよ。私の場合、私の握ってる弱点より姉さんの握ってる弱点のほうがレベルが高かった。それだけよ」

男「そんなもんなんですか……?」

朱「それが全てよ」

黒「すごくわかる気がするわ……」


朱色「うぇー……もー飲めん」

群青「……………これはどういうことかしら?」

朱色「ッ!!!ねねね、姉さん……きょ、今日は外泊って」

群青「予定は変更されるものでしょう。それより、この散らかり具合と貴女の酔っ払い具合はどう説明するつもり?」

朱色「え、え、いやあのアタシ全然酔ってないですよッ!?」

群青「……そう。それじゃあ、貴女の足元でツブれちゃってるカワイイ男の子について説明して頂戴」

朱色「う!?あ、いやこれはその、えーと、コイツが勝手に酒を持ち出して……」

群青「本 当 に ?」

朱色「うぁ……ご、ごめんなさーいッ!!」

群青「まったく、困った妹だわ……ほら、色無君。しっかりして」

色無「ぅー……ぁ、ぐんじょうさん、おかえりなさーい…へへ」

群青「ッ—————」

色無「えーと、ごはん、あったと思うんで、どぞ……」

群青「……色無君、ごめんなさいね。 あのバカ妹……なんてうらやましいことを」(ボソリ

色無「Zzz……」

群青「わ、っとと……ほら、部屋まで連れてってあげるから、もうちょっとがんばって……」



朱色(姉さんにオイシイところを持っていかれた……まぁ、シバかれなかっただけ良しとするべき、かなぁ……?)


男「うー、サッパリした。やっぱシャワー浴びるのは気持ちいいな」

朱「お、湯上りのいいオトコがいるじゃん。どう?おにーさん、こっちこない?」

男「申し訳ありませんが酔っ払いの相手は遠慮させて頂きます」

朱「ばかたれ、私は酔ってないしそもそも酒なんて飲んでないっつーの」

男「ああ、つまり群青さんが怖いんですよね」

朱「……ああ怖いとも。精神的にも肉体的にもイっちゃうね、姉さんにシバかれると」

男「………朱色さんがそこまで言うとは相当なモンですね。気をつけます」

朱「オマエの場合、姉さんの手にかかったら違う意味でイっちゃうだろうな。けけけ」

男「……やっぱ酔ってんじゃないんですか? てか、群青さんはそんな人じゃないでしょう」

朱「そうだね。姉さんはガチガチに貞操守ってる。ま、あたしも——ってそんな話はどうでもいい」

男「それはどうでもよくない事ですけど、確かに俺が聞かなくていい話です」

朱「ごほん。 でも、姉さんみたいな人は惚れたら早いね。コロッといっちゃうよ、たぶん」

男「はぁ。そうなんですか?」

朱「そうだとも。試しに惚れられてみればいいじゃん。答えはすぐに出るから」

男「なにアホなこと言ってるんです。俺なんかじゃ相手にもされませんって」

朱「どーだかねぇ……アンタと居る時の姉さんは、まるで別人なんだけどな」

男「え?」

朱「そうだ。賭けようか、色無。私は姉さんがアンタに惚れるほうに賭ける」

男「……モノは何を賭けるんですか?それ」

朱「そうだねぇ……——お互い、大切なものを賭けようじゃないか」

男「大切なもの……?それはまた、随分と抽象的というか……」

朱「ちなみにアンタに拒否権はないのでよろしく。結果を楽しみにしてな」

男「ええッ!?……まぁ、いっか。俺の勝ちは目に見えてるし……ところで、朱色さんの大切なものって?」

朱「処女」

男「へー……—————いやいやいやいやいやいや!!ちょ、っと、万が一負けたらどうするつもりですかアンタはッ!!?」

朱「決まってるじゃん。アンタにあげるよ」

男「いい加減にしてくださいッ!!それ、取り返しがつかないですよ!!?」

朱「つくよ。だって相手がアンタだもん。 ……まぁ、賭けの結果は見えてるんだけどね。けけけ」

男「〜〜〜〜〜〜ッ………あぁもう!!俺はもう寝ますッ!おやすみなさいッ!!」

朱「あいよ、おやすみ」(……これは姉さんに嘘を吐かせるのもアリかなぁ、なんてね………)


紫色「Zzz……」

色無「ぐー………」



朱色「さて、この状況をどう見ますかお姉さん」

群青「そうね、同じベッドで幸せそうに眠る男と女……というよりは、お兄ちゃんと妹に見えるわね」

朱色「だよね。色無が手を出した形跡もないし、ホントにただのおひるねだわコレ」

群青「いいじゃない。それにしても、本当に幸せそうな寝顔よね。ふたりとも」

朱色「ホント和むわ。紫ちゃんなんか頬がゆるゆるでカワイイし、色無も心なしか穏やかな感じ」

群青「……あ。その答えって、もしかしてコレかしら?」

朱色「え?……そうっぽいね。 夢の中でも手を繋ぐとは、筋金入りだなコイツら……」

群青「普段は素直になれない紫ちゃんも、夢の中ではちゃんと言えるのかしらね」

朱色「どうかなぁ。そうだといいけど」

群青「さて、それじゃあ……」



紫色「—————ぃろ、なし……ぃ。………えへへ………」



朱色「———」 (カワイイ…今の、すっごくカワイイ……ッ!)

群青「———」 (……今の、ビデオカメラで録画したかったなぁ………)


群青「今年は晴れなかったから、織姫と彦星にとってはいい一夜になったかしらね」

色無「え?晴れてこその七夕なんじゃないんですか?」

群青「私たちからすれば、ね。でも彼らからすれば、一年に一度の逢引を覗かれるのは……だから、曇ってよかったんじゃないかしら」

色無「……いろんな意味で大人の考え方ですよね、それって」

群青「ええ、だって大人ですもの。あのバカ妹みたいに、私はいつまでも子どもじゃないからね」

色無「へぇ……じゃあ、群青さん。短冊に願い事を書くのは、子どものすることじゃないんですか?」

群青「そうね、叶いそうもない願い事を書くのは子どもだけど。 ……ううん、違う。大人だからこそ、こういうことにすがりつきたいのよ」

色無「……?」

群青「いろんな限界を知って、自分を見つめるようになったからこそ、こういう非現実的なモノに頼りたくなるの」

色無「ぁ……」

群青「ただ、『そういうところが子どもなんだろ』って言われたら、何にも言い返せないけどね」

色無「……子どもっぽいなんて、とても言えませんけど」

群青「けど?」

色無「………女の子っぽくて、可愛いなぁ、って……」

群青「ッ———!?」

色無「あ、いや……ごめんなさいッ! お、俺ちょっと、ああ洗い物でもしてきますッ!!」

群青「あ、ちょ、ちょっとまっ………もう。 ……かわいいなんて、一生聞くことなんてないと思ったのに………ばか」


色無「朱色さん居ますか〜。あ……」

朱色「ぐ〜っ」

色無「テレビ見ながら寝ちゃったのか……。あ、丁度この番組見たかったんだよな」


テレビ『と、いう訳なんです』

色無「そうなんだ……」

朱色「う〜ん」

色無(! ……起きたかな?)

朱色「うぅ〜ん……ふぅん……」

色無(?)

朱色「はぅん……らめぇ色無ぃ……そんなっ……あっ」

色無(!!! どんな夢を見ているんだこの人は……)

朱色「パチッ(~゚д゚~)」

色無「Σ(゚Д゚;ええっ! ちょw起きてたんですか!?」

朱色「ちょっと前からね……。ねえねえ、起った? 起っちゃった?」

色無「ちょwニヤニヤしながらそんなこと言わないでください!」

朱色「お姉さんの魅力にメロメロになった? 感じちゃったの? ねぇ……(色無のズボンを脱がしに掛かる)」

色無(うゎ……胸元が開いてるよ……)「ちょっwやめて下さいw酔ってるんですか? それに、メロメロというより、エロエロですから!」

朱色「あぁ〜っやっぱり感じちゃったんだwお姉さんで興奮してくれてうれしいなぁw」

色無「ちょw違いますから! そんなに違くも無いけど……とっ、とにかくやめて下さい!」

朱色「あはは! かわいいっwこらっ腰を引くな!」

群青 ガチャッ「こら! あなたたち! ちょっと騒がしいわよ! って何!?」

朱色「ヤバッ逃げろ!」

群青「あっ、こらっ、朱色! もう……あっ///」

色無「あわわっ(汗」

群青「えっと……服ゎちゃんと着てね……///」  バタンッ 

色無「orz……あぁ……なんだよ、もう……」

朱色(そういえば何の用だったのかな色無……まあいいか)


朱「今日もまた雨……あーっもう! 雨雨雨雨!! こう雨ばっかりじゃふやけちまう!」

無「まあ梅雨ですからね。もう少ししたらがーっと暑くなりますよ」

朱「もう少ししたらじゃなくて、アタシは今すかっとしたいんだよ! お前だって洗濯物が乾かなくって困るだろ?」

無「本来、それは朱色さんが困るべき問題なんですけどね……」

朱「じめじめする〜退屈〜色無〜かまって〜」

 ムギュ

朱「ぐえ!」

群青「はいはい、いい大人が床をゴロゴロしない! 廊下、埃だらけだったわよ。買い物には行ったの? あんたには退屈してる暇なんかないはずだけど?」

朱「だからっていきなり妹の腹をふんずけるか……この鬼姉!!」

無「あ、こんにちは群青さん。お茶でも煎れましょうか?」

群青「あら、ありがと。じゃあちょっと一息つけていこうかしら」

朱「……姉さんさ〜、去年親会社の不動産管理部に異動になったとき、『忙しくてろくに休みも取れない』って電話で言ってなかったっけ? にしては最近よく顔出すよね」

群青「……さ、最近ちょっと仕事のコツがつかめてきて、多少は時間が取れるようになったのよ」

朱「さっきからハンドバッグの中で携帯が震えっぱなしみたいだけど。会社の人からじゃないの?」

群青「う……いいのよ、たまには息抜きしないとパンクしちゃうでしょ!」

朱「それでなんでここに来るのかな〜? そういえばこの春からか、ちょくちょく顔出すようになったのは。今年はいっぱい入寮生がいたよね。色無もその一人だけど〜」

群青「!!」

朱「姉さん知ってる? 30近い女性が10歳以上年下の子を好きになるのってショタコ——イタタタタ、ギブギブギブ!!」

群青「ちょっと奥の部屋で今後の姉妹関係についてゆっくりお話ししましょうか」

無「お待たせしました。今日は特別にちょっといいお茶を……群青さん?」

群青「ごめんね色無君。ちょっと二人で話があるから、あとでいただくわ」

朱「色無、助けて! ヘルプミー!!」

 ズルズル——バタン、ガチャ!

無「……いつも仲いいなあ、あの二人」


『ゆるゆるシガー』

 野菜と麺を炒める軽い音が響く中、

『色無ぃ、まだぁ?』

 だるそうに煙草の煙をくゆらしながら朱色さんが話しかけてきた。折角の日曜日だと言うのに、何故俺はこんなことをしているんだろうか。そもそも昼御飯を作るのは寮母である朱色さんの仕事なのに、その朱色さんの昼飯を作っているというこの状況が不思議で堪らない。俺は自分の昼飯を作るだけだった筈なのに。

『まだぁ?』

「今出来ます」

 完成した皿に移してテーブルに持っていくと、嫌でも視界に入ってくるのは煙草の煙。大人が朱色さんしか居ないこの寮で煙草を飲むのはどうかと思う。まぁ共用の場所だから朱色さんにもその位の権利はあると思うけど、それよりも気になるのは、

『色無ぃ、どこ見てんの?』

 たわわに実った二つの果実、ではない。これは間違いなく胸だ、嬉しいにも程があるが、そんなことより、

「その年でこの服装はちょっと」

 先日のオレンジもそうだったが、だらける時にはキャミにホットパンツはこれが正装なのだろうか。オレンジもそれなりだが、それとは比較にならない程にエロい体つきの朱色さんを見るとはっきり言って目に猛毒で、目のやり場に困るのが現状だ。三十手前の肌を出しすぎのような気もするが、それでもアレがアレして困ってしまう。

『色無?』

「はい?」

『最後に言い残すことは?』

 視線を向けてみると、必要以上に穏やかな表情の朱色さんが拳を握っていた。

 あれ? 本気で怒らせた?

 俺は慌てて土下座すると、

「すいませんつい出来心でこれからはもうこんなことは言いません何だかエロい体もジロジロと眺めることもこれからは控え目にするので許して下さい」

 一息でここまで減り下る俺カッコワルイ。でも、プライドよりも命の方がずっと大事。

『ふぅん』

 今の言葉のどこかが朱色さんの心の琴線に触れたのか、恐る恐る顔を上げて表情を見てみると、いつものニヤニヤとした笑いを浮かべていた。そのまま旨そうに俺の作ったヤキソバをずるずると食べ始める。

『お前は食わないのか?』

「食いますよ」

 俺も椅子に座り直し、二人でヤキソバを黙々と食べる。何だろう、この空気は。

「あの、朱色さん」

『何だ?』

「さっきはすいませんでした」

 少しでも空気が良くなるように、改めて謝罪。普段は皆忘れているし本人も口には出さないけど、多分気にしているんだろうなぁ。わざわざ言う必要もないけど、浮いた話の気配が一つもないし。

 しかし朱色さんは軽く笑うと、

『気にすんな。それに』

「それに?」

『いざとなったらお前が貰ってくれるだろ?』

 むせた。

 急に何を言い出すんだこの人は。

『エロい乳も揉み放題だぞ? その先も』

「楽しみにしてます」

 なんなんだろうね、この人は。


仕事が少し楽になると私の足は寮に向く。

空いた時間なんて限られているのに。

そのことを朱色にからかわれるけど、不思議と後味の悪いケンカにはならない。

それはお互いがあの子のことを好きなことがわかっているからだと思う。

今日も自然と足が寮のほうへ向いてしまった。

群青「こんにちわー」

色無「あ、群青さんいらっしゃい。」

群青「朱色居る? ちょっと会計のことで話したいことがあるんだけど。」

もちろんこれは口実だ。朱色の会計はいいかげんだけれど、そんなことはもう一昨日話している。

そして、朱色もそれをわかってる。

「あー、朱色さんならさっき出かけちゃいましたよ。夕食の材料買いに」

群青「そう」

色無「群青さんも大変ですね。朱色さんちゃっかり遣い込んじゃってますから」

群青「まぁ、自分のためだけに使わないところがせめてもの救いだけれどね」

色無「みんなで騒ぐの好きですもんね、朱色さんは」

群青「酔っちゃうと訳わかんなくなっちゃって、うっかりしてると黄色ちゃんや橙ちゃん達にまで飲ましちゃうのがあれだけどね」

色無「そうそうwwwあれはやばいですよねwww」

群青「色無君も、誘われたからって、飲んじゃダメよ?」

色無「わかりましたwww」

本当に朱色には困りものだ。いくら酔った勢いとは言え、未成年にお酒を飲ませるなんて……

色無「そうそう、今日学校で面白いことがあったんですよ、赤が……」

学校か……学校と聞くと、私は複雑な気分になる。それは、否が応でも彼との年齢の差を感じさせるから。

色無「そしたら黄色が……」

彼の恋愛対象はきっと同世代の女の子なんだろう。わたしや朱色なんて考えの他だと思う。

ううん、朱色のほうがまだよっぽど可能性があるかもしれない。一緒の寮に住んでいるから毎日顔をあわせるし、

何よりあの性格だから、敵も多いけど、味方も多い。基本的にはみんなから好かれるキャラクターなのだ。

それに比べてわたしは地味。桃ちゃんみたいにスタイルもよくないし、黄色ちゃんみたいに面白い話も上手じゃない。でも、それでもわたしは——————————

色無「だったんですよw」

群青「色無君……」

色無「はい?」

群青「色無君はやっぱり、付き合うなら同世代の子がいいよね?」

色無「へ?」

群青「年上の女性なんて恋愛の対象には見ないよね、きっと」

色無「そっ、そんなことないですよ。朱色さんだって魅力的ですし、群青さんだって……」

群青「えっ!!!?」

びっくりして一瞬大きな声をあげてしまった。あれ、でも待って……良く考えると……

群青「色無君……後が怖いからって気を使わなくても……ハッキリ言ってくれていいのよ? 朱色に言うようなことはしないから……。ほんとのトコロを聞きたいの」

だって、ハッキリ言ってくれれば諦めもつくから—————

色無「……そりゃあ朱色さんはちょっと怖いのはありますけど、十分魅力的だと思いますし……」

群青「そう……」

色無「群青さんだって」

群青「!?」

色無「なんかこう、『大人の女性』って感じがして、とっても素敵だと思いますよ?」

こういうことを自然にさらっと言えてしまうからきっと彼はいろんな人から好かれるんだろう……きっと。

群青「うふふ、そんな事言ったら、お姉さん貴方のこと好きになっちゃうよ? いいの?」

本当はもう好きになってるけど

色無「え、群青さんって年下の男になんて興味ないと思ってた……」

群青「そんなこと無いわよwあは、そんなふうに見える?」

色無「俺になんか見向きもしないもんだと……」

群青「え、そっ、そんなこと無い! あなたは魅力的よ!」

色無「えっ! えぇえっ!」

群青「嘘じゃない! わたしが保証してあげる! 朱色だって、わたしだって、あなたのことが好きなんだから!」

しまった! わたしのことはともかく、後で朱色にしかられる。なにより、いきなりこんなことを言って引かれはしないだろうか。

あああ……わたし恋愛に疎いからこんなことわかんないよどうしよう。

色無「ぐ、群青さん!!」

群青「はっ、はい!」

色無「俺と結婚、あああ!!! 違う! そうじゃない! 俺と付き合ってください! お願いします! 本気なんです!!」

群青「えええっ!!」

色無「ダメですか……やっぱり…………」

群青「うぅん! 違うの、びっくりしただけ……」

色無「それじゃあ…………」

群青「うん、いいわよ。付き合いましょう」

色無「やったぁ!!(力強くガッツポーズ)」

群青「ふふふ、わたしは、結婚でもいいんだけどね……」

色無「えっ!」

群青「ふふふ、なんでもなあいっ♪」

今日はわたしにとって忘れられない素敵な一日となった。


朱「あ゛ーぢぐじょ゛ー!」

無「なんなんですか!俺のほっぺはシリコンじゃありませんよ!」

朱「ぐぞぉ゛ー!」

無「痛い痛い!俺の髪は電話のコードじゃありません!」

朱「fu○kinだぁ!」

無「ふひひっはてほあぃもぁひあへぇんおぉ」

朱「うぅ…………」

すた…………すた…………

無「………どうしたんですか?」

朱「…………誰が考えたんだよぉ」

無「……………?」

朱「……………大三元」

バタン

無「……………。麻雀なんですねっ!そうなんですねっ!」


無「朱色さーn……あれっ?」

朱「……すー……すー」

無「またこんなとこで寝てる……しかも缶ビールの空き缶が散乱してる」

朱「……すー……すー」

無「……ふぅ、しょうがない。片付けるか……」

朱「……いつもすまんな、色無」

無「うわぁっ!?び、ビックリするじゃないですか朱色さん!起きてるなら起きてるって……」

朱「……すー……すー」

無「…………。あーっ、あんなところにオダギリジョーが!」

朱「(ぴくっ)……どこだぁ〜っ!」

無「起きてるなら自分で片付けくらいして下さいねwそれじゃ」

朱「ま、待った色無!お願いだから行かないでぇ〜……」

無「……これじゃどっちが年配かわからな……(ゴツン)いてっ!」

朱「誰が年配だって?」

無「はいはい、すいませんでした」

朱「罰として片付けな」

無「罰じゃなくてもやらせるんでしょ、どうせ」

朱「ふふふ、物分りがいい子は嫌いじゃないよ?」

無「そういうのはズボンくらいはいてから言って下さい……」

朱「いーじゃん、私の部屋なんだし。水着と大して変わんないだろ、こんなもん」

無「はかないと片付けしてあげませんよ?」

朱「……ゴメンなさい」


朱「〜♪」

無「あ、朱色さんおはようございます。今日は朝早いんですね」

朱「昨日は疲れて早く寝てしまったからな。朝の散歩でも行こうかと思って」

無「へぇ〜、朱色さんが早寝早起きできるなんて知りませ(ゴツン)……ったぁ〜!」

朱「私だってそれくらいはできる!」

無「その勢いで寮のゴミだしとか寮の周りの掃除とか自分の部屋の整理とかもしてくれるといいんですけどね〜……」

朱「いい手下がいるのにそれを使わない手はないだろ?」

無「手下って、俺のことですか?」

朱「他に誰がいる?」

無「……」

朱「なんて、冗談だよw」

無「(あなたがそういうこと言うと冗談に聞こえないですorz)」

朱「それじゃ、私は散歩行ってくるから寮の周りの掃除頼んだよ!」

無「はい、行ってらっしゃい。…………あれ?」


無「段々、朝夕は過ごしやすくなってきましたね〜」

群青『暑いのってあんまり好きじゃないからこの時期が一番好きなのよ』

朱色『締め切った部屋で暖房かけながら筋トレして、シャワー浴びてる間に冷房に切り替えて出てきた後ギンギンに冷えたビールを飲めなくなる……』

無「ちょっっっ何やってんすか?」

群青『だから、部屋の温度と湿度が高い時があるのね?いい加減にしなさいって 何 回 言 っ た 』

朱色『そう言う姉さんも冬場に冷房ガンガンにして冷水浴してかき氷は 勘 弁 し て 下 さ い 』

無「 姉 妹 で 何 や っ て ん す か 」

群青&朱色『色無(君)は暑いの寒いのどっちが好き?(ニッコリ)』

無「え〜っと……(ヤバイ……逃げ場がない……っつーか二人とも酒くせぇ)」

群青&朱色『どっち!?』

無「その〜(オマケに二人とも風呂上がりで薄着……ちょっ胸元が)」

橙『ガチャ)色なーアーッ何やってるんですか! 私 も 混 ぜ ろ w 』

無「ちょアッ--------!」


—ドンドン!ガチャッ!バタンッ!

朱「色無ぃー!パチンコ行くぞぉー!」

無「ちょっ、いきなりなんですか?!」

朱「最近つまんないんだよ!ってことで行くぞ!」

無「いや、意味不明ですが?っていうか俺まだ18ですし……」

朱「パチンコは18からOKなんだけど?」

無「げっ!20からかと思ってた……で、でも俺学生ですし……(がしっ)って、襟掴まないdアッー!」

—3時間後

朱「……orzorzorz」

無「(5万も買ってしまったがこれは空気的に喜んじゃいけない場面だよな?)」

紫「あっ、色無!そのお金……パチンコ勝ったの?」

無「(なんていうタイミングで来やがるんだコイツは……そうだ!)あ、あぁ。今から朱色さんとご飯食べに行くとこなんだ」

朱「?!~色無、そんな事言ってな—」

紫「ホント?!あたしも行きたいっ!お寿司食べたい!」

無「よ、よし!俺が奢ってやるぞ!(寿司って……折角の勝ちがパーになる……orz)」

朱「……ふふふ、さすがは色無!分かってるじゃないか。遠慮はしないからな?」

無「は、はい……。(まぁ、朱色さん落ち込ませるよりマシか……。)」


群「ふぅ……」

明日は年に一度のあの日。昔は嬉しかったけどいまじゃ苦痛で仕方がない日。

朱「あ、姉さん明日誕生日じゃない?」

そう、私の誕生日。毎年めぐってくる迷惑な日。

群「そうね……」

毎日歳を少しずつとってるからと気にしないように思っていても誕生日という区切りは20代後半の私の気を重くするには十分なプレッシャーがある。

朱「元気ないねぇ」

群「あんたは私より3つ年下だからいいのよ……」

朱「姉さんだってまだまだ若いじゃん」

群「25を過ぎてからわかるわ……」

10代の肌とまではいわずとも十分ハリと艶のある朱色の肌は私にとって目の毒でしかない。

朱「なにか誕生日プレゼントほしい?」

群「彼氏がほしい……」

朱「え?」

群「いまのは聞き流してちょうだい……」

朱「うん……」

群「それじゃ私は眠るわね……」

朱「おやすみ」

朱色が部屋から出ていくと私は部屋の時計をみる。

『9月6日11時59分』

さよなら、25歳の私

『9月7日00時00分』

いらっしゃい、26歳の私

いいしれない孤独感と虚無感を胸に私は眠りについた。


無「あー……寮の掃除当番今日は俺と朱色さんか……」

朱「色無これ頼む」

無「はい」

朱「あ、これも頼む」

無「はい」

朱「ん、これも」

無「はい」

朱「あとこれもな」

無「はい」

朱「ついでにこれも」

無「……あの」

朱「ん、なんだ?」

無「頼むのは別に構わないんですけど、せめて一気に言ってもらえません?」

朱「一気に言っていいのか?じゃああと掃除全部やっといてくれ」

無「…………最初から全部俺にやらせる気だったんですかそうですか……orz」

朱「ご褒美用意しといてやるからなw頑張ってやれよw」

無「はぁ……期待しないで頑張ります」

朱「なんだ、私とピーなことしたくn(ばきっ)~いたっ!……って、姉さん?!」

群青「お前は未青年になにしようとしてるんだ?というかお前も掃除しなさい」

朱「は、はぁい……」

無「朱色さんも群青さんには頭が上がらないんだなw」


【GET DOWN TO ~BUSINESS】

群青「ふぅ……」

今日会社で同期の女性が寿退社をした。社内恋愛でのゴールインらしい。

群青「結婚か……」

正直この歳で将来を共に過ごす異性がいないというのは寂しいものがある。

長い人生を私は一人で生きていけるだろうか?

不安だ……

課長「群青さん」

群青「はい、なんでしょう」

課長「今日残業頼める?」

また残業か……まあ家に戻ってもなにもすることはない。

群青「わかりました」

課長「給料はずんどくからね」

 夜の8時

カタカタという音をたてるキーボード黙々と操作しながらファイルをまとめる。

この単調な作業を続ける間も昼間のことについて考え続けていた。

べつに結婚しなくても生きていける。彼氏もいなくても生きていける。そう頭の中で考えていてもやっぱり割りきれない。

寂しい……この一言につきる。

もう諦めるしかないのだろうか……

群青「はぁ……」

ちょっと休憩しよう……

プルルル!!

私の携帯がなっている。

着信:色無

色無君?私に用事でもあるのだろうか?

ピッ

群青「はい、もしもし」

無「あ、もしもし」

群青「なにか用?いま残業中なんだけど」

無「すいません。一緒に外食にいこうと思ってたんですけど……」

群青「……」

色無君が誘ってくるなんてめずらしいな……

無「残業なら無理ですよね」

群青「ちょっとまってて」

無「はい?」

群青「いまから30分ぐらいで終らせるから」

無「そんな無理しなくても」

群青「いいの。終りしだいメールを送るわ」

無「わかりました」

群青「それじゃあね」

ピッ

群青(食事の誘いか……生まれてはじめて男の人と行くなぁ……)

さっきまでの憂鬱な気分は消え去り彼との食事のことで私のあたまの中はいっぱいになってしまった。

ただ単に食事に行くだけなのにこんなにも意気揚々とするとは私も安い女なのかもしれない。

しかし、そんなことはどうでもいい。いまは目の前のファイルを処理することに集中しよう。

群青「さてと……」

ちょっとした楽しみと期待を胸にキーボードに手をおき私は仕事にとりかかった。


ポケットから煙草を取り出し火をつける。

朱「ふぅ〜……」

口から煙草の煙を吐きだす。そしてまた煙草をくわえ息を吸い込み煙を吐き出す。

この動作を何回繰り返すんだろう?

……わからない

ただひとつ言えることはこの非生産的な行動を繰り返しても意味がないということ。

朱「あたしなにやってんだろ……」

あまりにも暇だったから夜に散歩していると色無と姉さんが仲良さそうに手を繋いで歩いているのを見てしまった。

あの二人はいつからあんなに仲良くなったんだろうか?

……そんなことはどうでもいい。

それよりいまはあたしが異常な状態ということが問題だ。あの二人をみた瞬間から胸が締め付けられるような嫌な気分だ。

これが嫉妬というやつか?はっ……あたしらしくないな……

でも機嫌が悪いのはたしかなこと。

朱「くそがっ……」

吸い殻を灰皿に押し付ける。灰皿には吸い殻でできた山が出来上がっている。

姉さんだって女だ。男と付き合うのは当たり前だ。ただその男が色無という点が気に入らない。

まさか色無が姉さんを?

……考えても仕方ないな

結局はあいつが誰と付き合うかなんてあいつが決めることか……

朱「もう寝よう……」

眠れない夜になりそうだ……


紫「♪めぐるめぐる かぜ〜♪」

赤「♪めぐるおもいにぃのぉて〜♪」

黄「♪なつかぁしぃ〜あの日に〜♪」

水「♪会いにぃ〜ゆ〜こ〜お〜♪」

朱「おっ、時の旅人か?懐かしいなw」

無「今度の合唱祭で歌うみたいですよ」

朱「私も歌ったなぁ……。頑張ったら2年で優勝しちゃって、姉さんのクラスとか負かしちゃったから軽く騒ぎになったけどな」

無「へぇ〜。朱色さんと群青さんは歌上手かったんですか?」

朱「姉さんは普通に歌ってたからそんなに上手くなかったんじゃないか?私はあの時はソロも任されるくらいの美声だったんだぞw」

無「あの時って……今はどうなんですか?」

朱「さぁな?……聞いてみるか?」

無「えぇ、是非w」

橙「♪ぼくらはぁ〜♪(ぼくらはぁ〜)」

青「♪ときのぉ〜♪(ときのぉ〜)」

朱「♪ときのぉ たびぃびぃとぉ〜♪」

—しーん

みんな『……(゚д゚)ポカーン』

朱「あ、あれ?私空気読めてない人かしら?」

紫「こんな身近にこんな歌うまい人がいるなんて……」

橙「しかもかなり意外な人だし……」

黄「あたし達の先生になってよ、朱色さんっ!」

朱「えっ……あ……お、おう!まかせろ!」

群「……べ、別に朱色が歌上手いからってくやしくなんかないんだからねっ!」


—こんこん、ばたん。

朱「色無いるか〜?」

無「(がちゃがちゃぴこぴこ)は〜い。……って、返事する前に入ってこないでくださいよっ!」

朱「まぁ男ならそんな細かいこと気にすんなってw」

無「気にしますよ!あぁ、負けちゃった……orz」

朱「ん、なんだそのゲームは?」

無「見ての通り格闘ゲームです。やります?」

朱「お、じゃあちょっとだけ……」

—10分後

無「俺の15連勝ですねw」

朱「むぅ……なかなか難しいな」

—20分後

無「……あの、まだやるんですか?」

朱「う、うるさい!私が勝つまでやるからな!」

—30分後

無「……。(マズイ……マズイマズイマズイ。いつの間にか50連勝までいって朱色さんの怒りがピークに……)」

朱「(ぷつん)……さて、御託はいらないな?」

無「え?ちょっ……まさかのリアルファイトktkr?!って、アッー!!」


朱「はあ……」

無(珍しくメランコリックだな。さすがの朱色さんも、秋の長雨には憂鬱な気分になることもあるのか)

朱「涼しい雨降りの日は……ビールがおいしくない……」

無「……」

朱「あ、色無、ちょうどいいところに! コンビニ行ってポン酒買ってきて! 戻ったらすぐ燗つけてね!」

無「……はい」


朱「今日は冷えるな……」

無「もう9月も後半ですからね」

朱「こんな日は窓全開にして外の空気を吸いながら風呂で晩酌に限るなw」

無「窓はちゃんと閉めてやって下さいよ?」

朱「……ということでちょっと酒買ってこい色無」

無「……俺は未成年ですが?」

朱「ちっ、使えねーな。じゃあお姉さんと一緒にお風呂入r

無「結構です」

朱「ほほぅ、歳くった私の裸なんか見たくないってか?そこまで言うとはなかなかいい根性してるなぁ、 色 無 君 ?」

無「だ、誰もそんなこと言ってませんよ!」

朱「じゃあ、入ろうかw」

無「入りませんよ」

朱「  は  い  ろ  う  か  ?」

無「入りませんってば!」

朱「……(^ω^#)」

無「じゃあ俺は部屋にもd(がしっ)—ん?……って、ちょっ、これなんt……あっー!(ずるずるずる)」


群「ふぅ……。最近は朝も夜もよく冷えるな。こんな日はジャズを聴きながら紅茶でも飲むに限る」

—こんこん

群「はい?開いてるからどうぞ」

無「おじゃまします」

群「—ぶっ!げほっこほっ!……い、色無!?お、おまっ……何しにきた!?///」

無「ちょっ、それ酷くないですか!?美味しい紅茶買ったから一緒に飲もうって誘ってくれたの群青さんじゃないですか!」

群「へっ?あ、あぁ、そういえばそんなこと言ったような言ってないような……」

無「えぇ〜、さすがに呆けるにはまだ歳が早いんじゃないですか?w」

群「う、うるさい!///」

—コポコポ

群「私はもう1杯飲んでしまったから色無の分だけでいいな?」

無「まぁ、そう言わずに群青さんももう1杯飲みませんか?お菓子もちょっと持ってきたんですよ」

群「あ、あぁ。すまないな。じゃあ私ももう1杯飲もうか……」

—コポコポ

無「(コク、コク)~……なんか、いいですね。秋の夜長にジャズ聴きながら紅茶飲むって」

群「そうか?私の趣味を気に入ってくれたみたいで良かった」

無「こういうのが大人の息抜きってやつなんですかね?w」

群「ふふふ、そうかもしれないな。少なくとも私にとっては一日の中で一番安らぐ時間だな」

群「(コクコクコク)~このクッキー、一つ貰うぞ?」

無「えぇ、どうぞ」

群「(サクッ)~はむ……むぐむぐ」

無「wwwww」

群「?~何笑ってるんだ色無?わ、私の食べ方変だったか?///」

無「いえいえ、とんでもない。なんか可愛らしい食べ方だなぁと思ってw」

群「こ、こらっ!あんまり大人をからかうんじゃない!///」

無「あはは、すいません」

群「ま、まったく……。///」

無「(コクコクコク)~—ふぅ。……ご馳走様でした。紅茶、美味しかったです」

群「あぁ、色無の持ってきてくれたお菓子も中々だったぞ。……また美味しい紅茶買ったら声かけるからな?」

無「えぇ、是非w」

群「いい返事だ。……じゃあ、またな。おやすみ」

無「はい、おやすみなさい。群青さん」

—2時間後。

群「……寝れない!紅茶飲み過ぎた!!orz」


群「じゃあ、行ってくる」

朱「行ってらっしゃ〜い!」

群「……ちゃんと寮の掃除しておくのよ?」

朱「(ギクッ)……え、う、うん。ちゃんとやっておきますよ〜?」

群「……」

群「ふぅ……せめてもう少しくらい寮母としての仕事をやってもらわなければなぁ……」

無「あ、おはようございます。群青さん」

群「ん、おはよう。……い、色無!?」

無「珍しいですね、群青さんがこんな時間にここ通るのって」

群「ふふ、色々考え事をしてたのよ。ついつい歩くのが遅くなっちゃったみたいね」

無「なんか学生とOLさんが並んで出勤って変な感じですねw」

群「そう?私は別になんとも……」

無「そう思えるのは心がまだまだ若い証拠なんじゃないですか?」

群「うん、そうかもしれないわね……って、どさくさに紛れてなんか酷いこと言ったわね、今?」

無「あはは、気のせいですって!(うわぁ、危ない危ない……。)」

群「ところで……」

無「えぇ。そろっと走りますか?」

群「電車まで後10分……」

無「遅刻するっ!!」


朱「色無〜」

無「どうしたんですか?」

朱「ちょっと晩酌に付き合ってくれ」

無「そんなことしてるとまた群青さんに叱られますよ」

朱「大丈夫、大丈夫~ほら入れ」

無「えぇ!ちょっと!」

朱「さて飲むか……色無も飲め飲め」

無「僕、お酒飲めませんよ……」

—30分後—

朱「なんか体が火照ってきたな」

無「しゅ、朱色さん!な、なんで脱いでるんですか!?」

朱「気にすんなって!それより触ってみるか?私の胸」

無「朱色さんの胸を……触る……」

朱「おい!色無、なんで鼻血吹いて倒れるんだ!」


朱「日曜はいいな〜」

無「明日からまた一週間始まりますね」

朱「そ  れ  は  禁  句  だ  !」

無「でも朱色さんって普段何してるんですか?日曜も平日も変わらないような……」

朱「ほほぅ。それはつまり私が普段も何もしていない……と。そういうことを言いたいんだな?」

無「ちょっ、とりあえずその振り上げた拳は下げてくださいっ! ……っていうか今の発言は普段から自分が何もしていないのを認める発言ですよね?」

朱「ぁうっ……い、今のはだなぁ!」

群「へぇ〜、じゃあ明日からはもっとキリキリと働いてもらおうかしら?」

朱「ね、姉さん!?いつからそこに……」

群「今帰ったところよ」

無「あ、群青さん。ご飯できてますよ?」

群「あら、ありがとう色無君。……って、よく考えたらなんでアンタの部屋に色無君がいるのよ!?」

朱「えっ!?そ、それはですね……そのぉ……」

無「はい、どうぞ。今日は冷えたんで煮込みうどんしてみました」

群「これはおいしそうね。ところで色無君?もしかして朱色にご飯作れとか言われなかった?」

無「えぇ、それはもう言われましたよ。いきなり部屋に入ってきて『色無ぃ!面倒くせぇから今日はお前ご飯作れ』って」

群「……覚悟は出来てるかしら?」

朱「い、色無!お前このやr……あっ、姉さんそこはらめ……やめっ……アッー!」


群「ぁぅ〜……頭痛ぁい……部長なんかに付き合うんじゃなかったぁ……」

無「大丈夫ですか?はい、水と薬です」

群「あ、ありが……って、ちょっと待って!?(こ、これは私の生理痛の薬じゃない!?なんで色無君が……)」

無「なんですか?」

群「この薬はどうしたの?」

無「えっ?朱色さんに頭痛の薬ありませんか?って聞いたらコレくれましたけど、なんか間違ってました?」

群「しゅ、朱色め〜……ぅぁ〜、ダメ。今はそんな状態じゃないわ。……とりあえずその薬と水は貰っておくわね」

無「あ、はい。またお昼になったら来ますんで無理して動いたりしないで下さいね?」

群「……ひ、昼まで……付いていてくれない?///」

無「えっ?」

群「ぁ……め、迷惑よね……あはは、ゴメンね。///(な、何言ってるのよ私!?)」

無「……いいですよ。やることも無いですし」

群「!!///」

無「じゃあ傍にいますんで何かあったら遠慮なく声掛けて下さいね?」

群「……あ、ありがとう。///(これは部長に感謝するべき……なのかしら?)」


白い砂浜、晴れた空、青い海……

群「あぁ、薔薇色の人生とはこのことね……」

クルーザーのデッキで椅子に腰掛けトロピカルジュースを口に運ぶ。

ハワイで挙式をあげ、すぐさま新婚旅行。いま私はいままで生きてきた中で最高に幸せ。

将来をともにする男性を手にし、舞い込んだ巨万の富で優雅に暮らす……これ以上の贅沢はないわ……

群「色無君」

無「はい?」

群「そろそろホテルに戻りましょうか?」

無「そうですね」

群「あと、結婚したんだから敬語はなしよ」

無「はい」

群「いったそばから」

無「すんません」

群「まあ、いいわ。今晩は楽しみにしときなさい……」

無「え!?それはどういう……」

群「うふふ……」

新婚初夜といったらあれしかないでしょ……今夜は眠らせないわ……

群「うふふ……もっとぉ……」

朱(宝くじを握って寝言言ってる……どんな夢なんだ?)

群「だ、だめよ……そこは……あっー!!」

朱(寝言は面白いんだが、なんかむかつくな……)


朱「姉さぁん」

群「なに?そんな猫なで声で」

朱「あのね〜、今月から私のおこづk」

群「却下」

朱「……な、なんだって〜!?まだ何にも言ってないのに……!」

群「だってアンタはあきらかに無駄遣いしすぎよ?酒にタバコにパチンコ……そんなんじゃお小遣いいくらあってもたりないじゃない」

朱「う〜……じゃあ、ちゃんとした目的に使いますから!」

群「例えば何に?」

朱「……お、思いつかない」

群「ほらね。じゃあダm」

朱「あ、あったあった!色無とのデート代!」

群「ぶっ!!……あ、アンタ色無君とどういう関係なのよっ!?」

朱「あれぇ?姉さん知らなかったっけぇ?まぁ、そういうことだからお小遣い上g」

—部屋の外

色無『俺が好きなのは紫だけだよ』

紫『えへへ、あたしも色無大好きだよ♪』

群「……で、誰と誰が付き合ってるからお小遣い上げろって?」

朱「……スミマセンデシタ」


—ピピピピピピ……カチャッ!

群「ふあぁぁぁ……今日もまた一日が始まるわね」

朱「くかー……くかー……」

群「まったく、この子はまだ寝てるし……まぁ、良いか」

群「あら、おはよう色無君。今日は色無君が朝ごはん作ってくれたの?」

無「あ、おはようございます、群青さん。たまには俺も出来ることしなきゃなぁと思って」

群「いっつも朱色に使われてるじゃない」

無「そうですけど、人に言われてやることよりは自分で進んでやったことの方が達成感があるっていうか……」

群「ふふふ、分かるわよ、その気持ち。私も仕事してるときは出来るだけ自分で何でもしようと思ってるから」

無「流石ですね。あ、飲み物はコーヒーで良いですか?」

群「うん。色無君の淹れるコーヒーは美味しいのよね」

無「そうですか?」

群「朱色が淹れたのとはそれはもう比べ物にならないわよ。比べるのも失礼かしらね」

無「ははは、そんなこと言っちゃうと朱色さんにコーヒー淹れてもらえなくなりますよ?」

群「そしたら色無君に頼むわ。その時はお願いね」

無「そんなに褒めて貰ったら断れませんね。いつでも淹れますから言って下さい」

群「ふふ、ありがとう」

群「じゃ、行ってくるわ」

無「ええ、気をつけて行ってきて下さい」

群「(それにしても今日はいつもの道に学生もサラリーマンもいないし、みんなも起きてこないなんて……どうしたのかしら?)」

無「(日曜も出勤なんて、やっぱり社会人は大変だなぁ。それにしても、群青さんのスーツ姿……いつ見てもいいなぁ)」


—ドタドタドタ、ガチャンッ!バタンッ!

無「……ん、あれ?群青さん?」

群「はぁ、はぁ、た……ただいま」

無「お、おかえりなさい」

群「なんで今日が日曜だって言ってくれなかったのよ色無君っ!///」

無「えっ、だって休日出勤かと思って……」

群「……はぁ。通りで学生は見当たらないし、サラリーマンもいないし、みんなも起きてこないわけね……」

—ガチャッ、ぞろぞろ……

赤「ふあぁぁ、おはよ〜」

青「おはようございます、群青さん」

黄「おは〜……って、群青さん?」

橙「ど、どうしたんですかスーツ着て!?まさか日曜出勤ですか?」

群「ぅっ!こ、これはその……(まさか月曜と間違えて出勤してきたなんて、言えない……。)」

無「……そろっと部屋に戻られたらどうですか?夜勤明けは流石の群青さんも疲れたでしょう?」

群「へっ?……あ、うん。じ、じゃぁお昼くらいまで、寝てこようかしら。///」

無「えぇ、おやすみなさい」

赤「なんだ、夜勤明けか。大変だね、社会人は」

青「アンタなら大丈夫じゃない?体力だけはあるでしょ?」

赤「なんですってぇ〜!!」

—ガチャン

群「……ふぅ。色無君のお陰で助かったわ……」

朱無「ふぁ……あれ、姉さんなんでスーツ?昨日の夜は一緒に晩酌して寝たから夜勤はないし……」

群「!! し、しまった!コイツがまだいた!」


朱「今日はあちーなー!」

無「そうですか?俺は丁度いいですけど」

朱「こんな日はアイス食いたいな。よし、買って来い色無っ!」

無「(パシリきたこれ!)……じゃあお金くれませんか?」

朱「お、よし。ちょっと待ってろ」

—10分後

朱「……(´・ω・`)ショボーン」

無「……もしかして、お金なかったんですか?」

朱「……(´;ω;`)ぶわっ」

無「ちょっ、分かりました!俺が立て替えておきますから!」


風邪をひいた色無。学校休んで寝込み中

 コンコン

無「ゴホゴホ……はい、どうぞ……」

朱「よっ、どうだ具合は?玉子酒作ってやったぞ!飲め!」

無「あ……ありがとうございます(さすがの朱さんもこういう時はやさしいな……普段は何もしてくれないけど)……いただきます(ゴクゴク)ぶほっっっ!!!ちょ、なんですかこれ!?」

朱「焼酎を生卵で割ってみた」

無「玉子酒ってそうやって作るんじゃないと思いますけど……しかも何故に焼酎……うう、余計具合悪くなったような気がする……」

朱「そうだ、風邪ひいた時は汗をかくといいらしいぞ!」

無「ああ、よく聞きますね……。でもどうやって汗かけばいいんですかね?」

朱「若い男女が一つ屋根の下2人きりで汗をかくといえば……言わんでもわかるだろ」

無「わー!何脱いでるんですか!!!」

朱「冗談だよ冗談♪わははははは!」

無「(ああぁあ更に頭痛くなってきた……頼むから1人で静かに休ませて〜……!)」

群「大丈夫色無君?お薬買ってきたわよ。あら、氷枕取り替えなきゃね」

無「(ああ〜やっぱり群青さん……朱さんとは違うな)」

群「あっ、そうだ!後で特製の玉子酒つくってあげるわね」

無「!!!……あのー、念のために聞きますがその玉子酒のレシピは……」

群「え?うーんとねー、泡盛をなまt(ry」


pencil_0926.gif

—リンゴーン、リンゴーン……

群「色無君……似合うかしら……?」

無「えぇ、とっても似合ってますよ。綺麗です、群青さん……」

群「一度で良いから着てみたいと思ってたの。ウェディングドレス」

無「俺も群青さんのウェディングドレス姿が見れるなんて、しかもこれからずっと俺の隣に居てくれるなんて夢にも思いませんでしたよ」

群「ふふ、明日からもよろしくね?」

無「こちらこそ……」

黄「ちょっとちょっとぉ、式の最中に二人の世界に入らないでよぉ!」

橙「くぅ〜、お熱いねぇお二人さん!」

朱「姉さんもついに結婚かぁ……あたしもそろそろ考えとかないとなぁ……」

神父「では、二人の愛の誓いのキスをここに」

群「色無君……。(ドキドキ)」

無「群青さん……」

群「色無くぅん……」

朱「……姉さん?そんな猫なで声で色無呼んだって色無は寄ってこないぞ?」

群「……ん〜……くぅ……くぅ……」

朱「……寝言か。……何か物凄い幸せそうな顔してるから悪戯したくなる。……が、起こしたらきっと只じゃすまないだろうしなぁ」


朱「ぅぅ〜、今日は寒ぃなぁ……おっ!」

無「ん?……げっ、朱色さん!?」

朱「げっ、て何だよお前。……まぁ、今はそんなのはいいから私の部屋に来い」

無「(物凄い嫌な予感が……。)あ、あの……俺今から勉きy」

朱「あぁ?何があるってぇ?」

無「(こ、コワイ!!助けて誰か……!)」

朱「と、言うわけで連行する」

無「助けてぇ〜……」

朱「さて、色無よ。覚悟は出来ているだろうな?」

無「いきなり部屋に連行されて覚悟もクソもありませんよ!!」

朱「ふふふ、いつまで減らず口を叩いていられるやら……まぁ、とりあえず歯ぁ食いしばって目ぇ閉じてみようか」

無「(さて、今日は今までにないくらいに朱色さんがコワイ!さぁこれは一体何のフラグでしょうか!?……はい、赤の人!……って違うだろぉぉぉ!もうなるようになれ畜生!)……。(ぐっ)」

朱「ふふ、いい子だな。……そのままじっとしてろよ……(ギュ)」

無「(!!……こ、これは抱きつかれてるのか?……も、もしやここからバックドロップがくるのか?くるのか!?)」

朱「……今日は寒いからなぁ。丁度良い湯たんぽが見つかって良かったわ」

無「……は?」

朱「いや、だからお前は湯たんぽ。今日は色無湯たんぽを抱いて寝るからな」

無「……と、とりあえず俺は生きててもいいんですね?」

朱「?~誰がいつお前を殺すって言った」

無「……はぁ〜〜、良くないけど……良かった……良くないけど」

朱「お前なんか今日おかしくないか?」

無「誰のせいだと思ってるんですか……orz」


赤(あれ……ここどこだ?)

いつのまにか私はカラオケボックスのソファーにすわっていた。

まわりを見渡すと寮にいるいつものメンバーがそろっている。

しかし、様子が変だ。

赤「ねぇねぇ、ここどこのカラオケ?」

青「……」

無反応ですか。そうですか。

私のことを無視する青をよそにステージでは紫や橙が歌っている。

ガガッ……ザー……

赤「うっ……」

歌声に混じってノイズが聞こえる。

頭痛もしてきた……

いったい私はどうしたんだろう。

ノイズと頭痛のせいでうずくまってるとステージにはド派手な衣装をきた群青さんが立っていた。なぜかみんながステージの群青さんをガン見している。

赤「うぐっ……」

頭痛がさらに激しくなる。

頭痛をこらえステージをみると群青さんがマイクを手に歌いはじめる……曲は

群「ガガガ!!ガガガ!!ガァオガイガー!!」

部屋に響く鼓膜を貫かんばかりの音量。そしてジャイアンのような悪魔の声を聞いた瞬間意識がなくなった……

気が付くとまたカラオケボックスで目をさました。

様子が変な皆に殺人的な歌唱力の群青さん。そして意識がなくなり目が覚める。

なんだこの無限ループは……だれか……助けて……

 病室

無「おい!!目をさませ!!」

青「いい加減起きなさい!!」

赤「うぅ……」

無「気が付いたみたいだぞ!!」

青「赤!!気をしっかり!!」

赤「じゃ、ジャイアンあらわる……」

ガクッ……

無&青「赤ぁぁぁ!!」

 寮

朱「姉さんがカラオケを寮でやるからほとんどの奴が入院したんだけど」

群「あら?なんで?」

朱「姉さんのジャイアンみたいな声のせいで入院したの!!」

群「そんなにいわなくても……(´・ω・`)」

朱「カラオケ禁止ね」

群「あぁ〜私のマイクがぁ〜……」


群「色無君、ちょっといい?」

コンコン(ドアをノック)

群「色無君?いないの?」

カチャ

群「開いてる。全く、無用心ね」

群「失礼しま〜す。……ってなんだ、寝てたのね色無くん」

群「本当に、無防備なんだから……襲われても知らないわよ?」

群「……そうね、少し襲っちゃおうかしら」

(布団をめくる群青)

群「何かしらコレ?」

(色無の胸が不自然に膨らんでいる)

群「詰め物かしら……それにしては質感とか温かさとか本物っぽいわね」

むにむに

群「もしかして私よりも大きい?いやそれよりも、なんで色無くんの胸が……」

むにむに

群「男の子がこの寮にいるのはおかしいと思ってたけど、色無くんって女の子だったのかしら」

むにむに

群「みんなはこの事を知っているのかしら」

むにむに……もぞり

群「でも、性別とか関係ないのかしら。好きって気持ちは本物なんだもの」

むにもぞがぶり

群「キャーーッ、おっぱいに噛まれたーーーっ!!!」

がぶがぶ(色無の胸元から顔を出して噛み付く紫猫)

部屋の外

紫(いったいこの部屋でなにが起こってるんだろう……)


—ごうんごうんごうん

朱「……ふぅ、これで洗濯物は終わり……っと」

無「……(ガシャーン!)」

朱「ど、どうした色無!?皿割れたぞ?」

無「……あ、ありえない!!朱色さんが洗濯なんてありえない!!」

朱「その驚き方は間違いなく失礼だぞ?」

無「あのぐうたらでテレビのチャンネル変えるのすら面倒くさがる朱色さんがっ!?なぜっ!?Whyッ!?」

朱「……なぁ、私ってそんなにダメ人間に見えるか?」

無「それはもう寮母としてとかじゃなくて人間としてかなりのダメ具合かと」

群青「あら、色無君に朱色何してるの?」

朱「……うわぁぁぁぁん!!姉さぁぁん!!色無がいじめるよ!!」

群青「……いい年して気持ち悪いわよ、朱色」


無「お帰りなさい、群青さん」

群「あら、色無くん。どうしてこんな時間まで起きているのかしら」

無「灰に付き合っていたらこんな時間ですよ。でも、そのおかげで群青さんにお帰りが言えました」

群「私のためだけに起きて待っててくれたら嬉しいんだけどね。でもありがと」

無「群青さん、お風呂にしますか?夜食を作りましょうか?」

群「ふふ、まずは色無くんを頂こうかしら」

無「デザートばかりだと太りますよ」

群「そうなったら夜通しで運動するわ。もちろん付き合ってくれるわよね」

翌朝

朱「おう色無、オハヨーさん」

無「ええっ、朱色さん。どうしてこんな時間に起きているんですかっ!!」

朱「姉さんに付き合ってたらこんな時間だよ。でもそのおかげで朝飯にありつけそうだ」

無「たまには代わりに作ってくれるとありがたいんですけどね。そういえばおはようございます」

朱「色無、今日は和食か?洋食か?」

無「とりあえずは冷蔵庫の確認ですね」

朱「お前もずいぶんと所帯染みてきたよな〜」

無「いっそのこと婿入りでもしますか。もちろん冗談ですけどね」

朱「あれ?何この差」


朱「ふぅ〜……」

無「朱色さん煙草臭いですよ」

朱「これぐらいしか楽しみがないから仕方ないだろ?」

無「へ〜……しかし煙草って一回吸ってみたい気もしますけど……」

朱「絶対吸っちゃ駄目だ」

無「なんでですか?」

朱「未成年は煙草を吸っちゃ駄目なんだ」

無「え〜」

朱「あたしの胸ならいくらでも吸わせてやるから我慢しな」

無「な、なにいってるんですか!!」

朱「どうした?吸わせてやるっていってんだから遠慮しなくていいぞぉ」

無「遠慮しますよ!!」

朱「まったく、ケツの青いガキが煙草吸いたいなんていうもんじゃねぇっつうの」

無「ケツの多いガキですんませんね」

朱「まあ、お前に煙草吸われたら色々と困るんだよ」

無「なんでですか?」

朱「ディープキスとか臭くてできないじゃん」

無「いやいや」

朱「それにお前に病気になってほしくないしな」

無「はい?」

朱「あー!!いちいちめんどうな奴だな!!とりあえず胸吸っとけ!!」

無「あ、ちょ、胸を押し付け……あっー!!」


朱「う〜ん……」

久しぶりに実家から届いた物、それは……

朱「見合いねぇ……しかも姉さんじゃなくてアタシかよ……」

同封されていた手紙には【貴女が先に結婚すれば、群青も考える様になる】と、書かれていた。

朱「さて、どうしたもんかな……」

ーコンコン ガチャ

無「朱色さーん、煙草買ってきましたよー」

朱「おう、�クス色無」

無「あれ、何すかその薄い本」

朱「ああ……なあ色無。アタシが結婚するって言ったらどうする?」

無「え〜っと、想像出来ません」

朱「ほう……(ピクッ」

無「とりあえずその握り拳は下ろして下さい。っていうか、普段の朱色さんを見てるから、旦那さんは苦労するかと……」

朱「アタシは出来ないんじゃなくて、やらないんだよ」

無「普段からして下さい」

朱「……よし、色無。来週アタシと姉さん出かけるから、ついてこい」

無「は?来週ですか?」

朱「拒否権はないから」

無「やっぱり……」

無「ここが2人の実家があるところなんですね」

群「何もないけどね。のどかなところでしょ」

朱「さてと……じゃあ久しぶりに家に帰るか」

無「え?お見合い相手に会うんじゃないんですか?」

朱「誰がそんなこと言った?」

群「ほら、2人とも早く!」

母「まぁ、2人ともお帰りなさい。それと……」

無「色無です」

母「あぁ、あなたが色無さんね」

無(色無“さん”?)

母「さぁさぁ上がって頂戴!何もないですけれど」

無「はぁ、お邪魔します」

群「色無くん、ちょっと……」

無「なんですか?」

群「ごにょごにょごにょ……」

無「……えぇ!!」

母「あんた達どこまでヤったの?」

無「……」

朱「まだそんなことしてないよ」

母「あら、でも早い方がいいわよ。あんたも若くないんだから」

朱「うん、でもそういうのは結婚してからでも。ねぇ?色無さん?」

無「はい……そうですね……(やっぱり来るんじゃなかった……)」

群「ところで母さん」

母「何かしら?」

群「私、この間会社の上司からお見合いを薦められたの」

母「ま〜じ〜で〜!」

群「でも丁重にお断りしたわ」

無「(やっぱり断ったんだ……)」

群「私も色無さんが好きだから」

無&母「ブフォ!」

朱「(ここにきて堂々と宣言した!?)」

群「色無さんだと、男性恐怖症が出ないの。ね、色無さん?(抱きっ!」

無「ちょ?群青さん?」

朱「ズルいぞ姉さん!(抱きっ!」

無「朱色さんまで!?」

母「……お父さ〜ん!大変よーウチの娘達、一人の男を取り合ってるわー!」

朱「ええっ父さんいるの!?(これはキツいな……2対2か……」

群「(増援キタ---!)」

無「は……はは……(もう、どうにでもなれ……)」

父「おうおう、やってるな!まぁまぁとりあえず落ち着け二人とも。色無君が困ってるだろう?」

群「あっ……ご、ゴメンなさい色無さん!」

朱「ふふふ、色無を離したな?隙ありっ!!(ギュウゥ)」

無「ちょっ、朱色さn……ぐるじ……」

父「こらこら!……まったく、朱色も母さんに似てもうちょっとおしとやかになってくれれば良かったんだがなぁ……」

群「ちょっと朱色!?色無さんが苦しがってるわよ?」

朱「お、大丈夫か、色無?」

無「……花畑が……見えました」

母「うふふ、色無さんって面白い人ね。これならどっちをあげてもいいわね!」

父「そうだな。とりあえず飲むか、色無君?」

無「えっ?いや俺は未成n(バキッ)—ふがっ!」

朱「あ、あらいやだ手がすべっちゃったわ!(私の結婚相手なのに未成年はマズイだろうが!)」

無「(す、すいません。)き、今日は帰るつもりなのでお心遣いは大変嬉しいのですが、遠慮させていただけますか?」

父「おい、ビール持ってきてくれ!今日は家に泊まって行くんだろ?」

無「(話聞いてNEEEEEE!!!!11)あっ、いえですから帰r」

父「あ、それと布団の用意も……はいらないか。朱色か群青どっちの部屋でもいいからみんなで寝なさいw」

無「(それなんてエロゲ?……朱色さんの性格は完璧にお父さん似だな)」

 1時間後

無「田舎SAI☆KOHー!!」

朱「お母さーん!!ビールもう1本持ってきてー!!」

群「いえーい☆」

父「良い飲みっぷりだな!!さすがは俺の見込んだ漢だ!!」

母「はーいビール持って来たわよー!!」

無「お父さん!!今日は朝まで飲みましょう!!」

父「よし!!パパ頑張っちゃうぞー☆」

—~さらに1時間後

母「色無さーん!!あなたー!!お風呂沸きましたよー!!」

父「よし、いくぞ色無くん!!」

無「はい!!お父さん!!」

—~お風呂

父「ま、マーベラス!!!!」

無「どうかしましたか?」

父「ぐおーぐおー」

母「あら、寝ちゃったのね。まあ無理もないかな……朱色は勿論、あの群青があんなに男性に積極的なんですもの……」

父「ぶるすこーぶるすこー」

群「母さん」

朱「一緒にお風呂入ろ」

母「あら、色無さんは?」

朱「ジャンケンの結果、アタシの部屋で寝るから」

群「私の部屋にいてもらってる」

母「そうなの。父さんも寝ちゃったし、一緒に入りましょ」

無「(ここが群青さんの部屋か……綺麗に整理整頓されてるな。ん?卒業アルバム発見)」

母「何年ぶりかしらねー」

朱「姉さんが就職する前だからねー」

群「子どもの頃に戻ったみたい」

 1時間後

無「遅いな二人とも……」

—ガチャ!バタン!!

朱「さぁついに初夜が  や  っ  て  ま  い  り  ま  し  た  !」

群「私とあなたはベッドで寝るの!色無君、悪いけど布団で寝てもらえるかしら?」

無「いきなりきたっ!?わ、わかりました」

朱「なーんだ、つまんないなぁ」

群「あんたって子は……」

無「それにしても、群青さんの部屋綺麗でしたね。とても半年放置してたなんて思えないくらい……」

群「主要な荷物はみんな寮の方だし、きっとお母さんが掃除してくれてたのね」

朱「えぇっ!?私の部屋は掃除した跡なんて無いじゃん!」

群「あんたの部屋汚すぎてお母さん入りたくないんじゃない?」

朱「そんなに汚くないだろー?私の部屋も掃除しろー!!」

群「ちょっと、もう深夜なんだから大声は控えなさい」

朱「いいじゃん。寮と違って回りに家もないし。……はー、やっぱ田舎はいいなぁ」

群「そうね……なんだかホッとするわ」

朱「……ホントに帰ってきちゃおうかな……色無と一緒に!」

群「そ、それはダメよ!?」

朱「ふふーん、早いもの勝ちっ!それっ!!(ガバッ)」

無「ぐぇっ!!……すー、すー……」

群「あら、寝てるわね。これじゃ朱色の部屋に行けないわ……」

朱「ホントだ。まぁ、別に姉さんの部屋でもいいんじゃない?それにしてもこんなに早く寝るなんて……今日は流石に色無も疲れたか……」

群「……可愛い寝顔ね。襲っちゃダメよ、朱色」

朱「……その言葉そっくりそのまま姉さんに返す」

群「……静かね」

朱「うん。なんか向こうの生活に慣れたから静かなのは逆に落ち着かないな……」

群「そうね……ねぇ、朱色?」

朱「なに、姉さん」

群「久しぶりに昔話でもしよっか?」

朱「いいねぇ。久しぶりに姉さんの武勇伝の数々を語るか!」

群「うっ、それは却下」

朱「昔は姉さんの方が気が強かったのにね……私がいじめられてたりするとよく助けてくれたっけ」

群「いつの間にか朱色と私が逆転しちゃったのよね」

朱「ん、待てよ?気が強いのは今も変わらないような気が……」

群「あら、そんなことないわよ?」

朱「まぁ、姉さんは肝心なところで気が弱いっていうか恥ずかしがりっていうか……」

群「そうかしら……?」

朱「そんな姉さんにはやっぱり私が必要なんだな!うん!」

群「待った。意味が分からないし勝手に自己解釈しないの」

朱「最後の一押しは私に任せろって言ってんの!」

群「!!……そ、それはどういう意味なのよっ!?」

朱「もちろんひ・み・つ♪さぁて、明日はどうなるかな?おやすみ、姉さん」

群「ちょ、ちょっと!変な事言い残して先に寝ないで!」

朱「……くかー……くかー」

群「寝るの早すぎよ……」

 チュンチュン

無「ん……あれ?いつの間に寝たんだ?……!?」

朱「くかーくかー」

群「すーすー」

色無の腕に捕まって寝る二人。

無「起きられない……」

片方は寝相良く、片方は足を投げ出して寝ている。

無「まあ、イイか……」

見慣れない天井と寝顔を見つめながら色々考える。

無「難しいよな……選べって言われても、選べないよな……」

無「でも、二人とも好きですよ。もし選ばなくても、恨みっこなし。ですから……ね?」

二人の寝顔は何だか嬉しそうだった。色無の言葉が聞こえているかの様に……


—チーン!

朱「おっ、焼きあがったな!……どれ、一つ味見を……」

群「何やってるのよ朱色!」

朱「(びくぅっ!)あ、味見してみようかと……」

群「へーぇ、そんな暴挙が許されると思って?」

朱「……スミマセンデシタ」

群「さぁ、早く次のクッキー作るわよ!」

朱「うぃ〜」

朱「(パラパラパラ……)なんで私がお菓子作らなきゃならないんだよ……ん?……あれ、これ塩か?まぁいいや」

群「ぶつぶついってないで手動かして!」

朱「うぃ〜」

—チーン!

群「焼きあがったみたいね」

朱「ふぁ〜、疲れた腹減った……」

群「お疲れ様。……そうね、一つだけなら食べていいわよ。ホラ」

朱「へっ、あ……え、遠慮しとこかな……あはは……」

群「なによ、さっきは味見したがってたじゃない。ほらほら、出来立てがおいしいんだから食べて?」

朱「ね、姉さん先に食べ……(待てよ、味付けをしたのは私なんだから、こんなもん姉さんに食べさせたら間違えたのバレて殺される……!?)」

群「なに?私が食べていいの?……まぁ、朱色がいらないんなら—」

朱「(ひょいっ、ぱくっ!)んぐっ!!……ぅ、うま……いよ、うん」

群「? 変な朱色ね。食べたいなら素直に食べたいって言えばいいのに」

朱「あ、あはは。そうですよねごめんなさいお姉様。(くっ、私が受けたこの苦しみ……色無たちにも味あわせてやる!!)」


朱「おーい、色無一杯つき合えー」

無「そんなこと言ってると群青さんに怒られますよー」

朱「大丈夫だ、姉さんは仕事に行ってるからー」

群「私がどうかしたかしらー?」

朱「げぇー姉さんいたのかー~すたこらさっさだぜー」


群「……出来た……」

現在AM4:30をちょっと過ぎたあたり。二日後の会議で使用する資料を完成させた。

群「保存して……終わった……ふぁ……」

ベッドを見るとよだれを垂らして爆睡する妹。その幸せそうな寝顔に軽くチョップを打ち込み、ひと息つく為に食堂に向かう。

群「さて、少し何か食べて仮眠でも?」

食堂の電気が灯っている。警報機は鳴っていないので、消し忘れだろう。

群「まったく。誰かしら?」

 ガラッ

無「……ぁ、ぐんじょぅさん……」

群「色無君!?」

無「夜食……かな?作っときました。お茶煎れますね」

まだ眠たそうな目をこすりながら、キッチンへ向かう。

無「はい、どうぞ」

テーブルには、おにぎりと温かいお茶。何か懐かしい感覚。

群「色無君?」

無「じゃあ僕、寝ますね?」

群「ちょっと待って!」

色々言いたかったが彼の顔を見るとこの言葉しか出てこなかった……

群「ありがとう」


朱「おーい、色無」

無「はい、なんですか?」

朱「おみやげだ」

無「ありがとうございます」

無「なんだろう?」

焦「なんだそれは?」

無「朱色さんからのおみやげです」

焦「何が入ってるんだ?」

無「今、開けてる所ですよ……えぇ!!」

焦「見せてみるんだ」

無「あっ、ちょっと……」

焦「なになに……『精力全快!マカ☆ビンビン』」

無「なんて物持ってくるんだ……あの人は……」

焦「色無、飲まないのか?」

無「飲みませんよ!!」

焦「じゃあ半分こしよう」

無「しませんよ!!」

茶「お姉ちゃーん」

焦「じゃあ3人で飲もう」

無「それなら……まぁ……」

焦「え?ほんとに?」

無「はい、3人なら量も少なくなるしそんなに効かないと思いますから」

焦「じゃあ2人でもいいじゃないか」

無「良くないです~絶対変なことするでしょう」

焦「こうなれば口移しだ」

無「……」


群青さんの1日(休日編)

7:30

朱色に起こされる。普段は寝ているのに休日だと早起きしている。こどもか? 

8:00

一番最後に朝食を採る。黄緑ちゃん、いつもありがとう。

8:20

部屋で紅茶を飲みながら新聞を読む。いつの間にか朱色が寮から消えていた。また外すのに競馬に行ったのだろう。

9:00

水色ちゃんと白ちゃんと一緒にお菓子作りを開始。今回はチョコレートケーキに決定。

10:05

青ちゃんと紫ちゃんも途中参加。この子達が本当の妹達だったらどんなに楽しいだろうか……

11:45

完成。おやつ用に一旦、冷蔵庫に保管する。レシピ用に借りていた本を緑ちゃんに返しに行く。

12:15

色無君が昼食を作ってくれていた。父もそうだったが何故、男性がつくったチャーハンは美味しいのだろう? 

13:05

食堂のソファで紅茶を飲みながらテレビを見る。寒くなってきたとはいえ、日向は気持ちいい。

236~名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:06/11/14~03:13:35~ID:eowdVoe5
14:50

どうやらそのまま寝てしまったらしい。毛布が掛けられていた。多分色無君か黄緑ちゃんだろう。

15:10

つくったケーキをみんなで食べた。美味。食事は……もう少し練習しなければ……

16:05

洗濯物を取り込みに行くと桃ちゃんと朱色のに挟まれていた。偶然いた黒ちゃんと包容しあった。最近『おっぱい会議』を開催していない事を思い出した。

17:20

食堂から良い香りがしてきた。

18:00

今日はすき焼きだった。赤ちゃんと朱色が肉争奪戦を繰り広げていた。

19:35

お風呂に行くと水ちゃんがいた。以前は仲間だと思っていたのに……

21:45

休日の風呂上がりにゆっくりと飲む泡盛(ストレート)は美味しい。色無君がいれば最高なのだけど、朱色の手前それは我慢。

23:50

にゃはははは(ry……すぅ……むに……


群『ん〜段々とすごしやすくなってきたわね〜』

無「夏場はグッタリしてましたもんね?」

群『でもさすがに朝晩は少し寒くて……』

無「群青さんでも?」

群『ええ。でもアレは……』

無「あー」

朱『はぁ〜冬はやっぱり炬燵で熱燗……至福(*´∀`)』

無「上下3枚づつ重ね着して更にどてら着てるのに寒いとは……」

朱『おーい人間湯たんぽ。ちょっとこい』

無「違います!」


 ピンポーン

朱『へ〜い』

【宅配便でーす。群青さんか朱色さんという方は……】

朱『朱色はアタシだ。サインでイイのか?』

【では、こちらに……あざーす。】

朱『んあ?実家から?つーか何でダンボール三つも?』

ダンボールには朱色、群青、二人へ、と書かれてあった。

朱『何を送ってきたんだ?(ゴソゴソ)おー懐かしいな』

群『ただいま〜』

朱『おかえり〜実家から何か来てるよ〜』

群『ん〜?何かしら(ゴソゴソ)ちょ!?』

朱『よし、明日の朝に二人で色無を起こしに行こう!』

群『な!?何、言って』

朱『姉さんは来ないんだね?よし、そのまま』

群『行くわ!』

朱『起きろ色無』

群『色無君、起きて』

無「んぁ……ぉはょぅござ……はぁぁぁぁぁぁ!?」

朱『どうだ?まだまだ現役でイケるだろ?』

群『(////)』

無「起こしてくれたのはありがたいですが、何でセーラー服!?」

朱『実家から送られてきた』

群『私は嫌だったんだけど……』

無「(二人とも違和感NEEEEEE)」

朱『朝から元気みたいだし……始めるかw』

無「ちょっっっ朱色さん?群青さんも何気に!?」


 カチャッ

青「おじゃま……おじゃましまし(ガシッ)——ひ、ひぃっ!!」

朱「何故帰ろうとするんだ?ん?……まぁとりあえず寄っていけよ」

青「(何この部屋……タバコと酒の臭いに床一面に広がるゴミの山……足の踏み場もないわ……)」

朱「あぁ、汚いところだが適当にくつろいでくれ」

青「……ぁ……た、立ったままでもいいですか?」

朱「そんなに汚いか、この部屋。まぁ確かに姉さんがここ一週間出張で出かけてるからな……」

青「(一週間でこの大惨事……朱色さん……恐ろしい子……)」

朱「まぁ、それはおいといて本題に入ろうか?さぁどんな悩みでも聞くぞ」

青「別に今のところ悩みは特にないんですけど……」

朱「そんなことはないだろ?なんか捻りだせ!」

青「ぅーん……強いて言えば、朱色さんが寮母としてしっかりと働いてくれないことですかね」

朱「……よし、今日は悩み相談ここまで!」

青「えっ!?」

朱「さぁ帰った帰っ——(ガチャ)

群「ただいまー。……あら、青ちゃんじゃない。珍しいわね、どうしたの?」

青「なんか朱色さんに無理矢理私の悩みを相談させられてるんですよ。それで朱色さんが寮母として働いてくれないのが悩みだって言ったら今度はいきなり終了しちゃって……」

群「……ふーん、よく分かったわ。後は私に任せて頂戴。この部屋が大惨事になってる理由も含めて諸々と聞きたいことがあるわ……ふふふふ……」

青「はい。じゃあ後は宜しくお願いします。(カチャ)」

群「さて、と……覚悟は出来てるかしら?」

朱「……あれ?これなんて死亡フラグ?」


朱「あーもう少しで除夜の鐘が鳴るなぁ……」

群「今年もよく働いたわ……」

朱「アタシも」

群「そう。なら何をやったか全て教えなさい」

朱「え〜っと……ごめんなさい全くありません」

群「正直でよろしい。が、その手は何?」

朱「へ?姉さんからお年玉を」

群「今年は一気に冷え込むらしいわね……」

朱「ごめんなさい。二度と言いませんから外に追い出すのは勘弁してください」

群「ちゃんと寮母としての仕事をすれば給料も上がるから、ね?」

朱「ギャハハ!ダウンタウンはやっぱりおもすれー!」

群「……(プチッ」

朱「バナナありすあれ姉さん、そのロープと布団で何をギャあぁぁぁぁぁ……」

無「あれ?今朱色さんの部屋から悲鳴が聴こえたような……」


群「い、色無君!それは……」

無「学生の時のバイトですか?」

群「……ぅ、ぅん……」

無「いいなぁ……その時の男ども」

群「えっ!?」

無「だって生で群青さんの巫女姿を観てたんでしょ?羨ましいなぁ……」

群「あ……あのね、色無君……その時の巫女服……今、あるんだけど……」

無「!!!!!!」

群「その……本当に……どうしてもって……言うなら……」

無「見たいです。ですけど、まだとっておきます」

群「やっぱり年上の若くない巫女姿なんて——」

無「だあぁぁぁ。違いますよ。なんかもったいなくて……その……俺との結婚式で着てくれませんか?」

群「……えっ?そ、それって……」

 ピリリリリ

美藍「ハッピーニュ〜イヤー!」

群「その場を動くな今すぐヤりに行くから、絶対動くなよ」

美藍「あれれ〜?」

無「この群青さんカワイイなぁ……」

色無の手には朱色から横流しされた群青の巫女姿の写真があった。


男「ただいまーゔぁーもうホント寒い!」

朱「よぅ、おかえり。そういうときは熱燗がいちばん効くぞ」

男「そりゃ効くでしょうけど……」

朱「まぁ冗談は置いといて、だ。晩御飯、冷めないうちに食べな」

男「へ? 晩御飯って、もしかして朱色さんが?」

朱「失礼な、当たり前だろ。 特製のたまごスープがあるからね。あったまるよ」

男「……じゃあ、えと、お言葉に甘えて」

男「——あぢッ!」

朱「ばーか、焦って飲もうとするからだよ。たく、しょーがない」(フーフー

男「だってこんなに熱いとは……って、あの」

朱「ほれ、あーんしろ。あーん」

男「い、いやいいですそんなガキじゃあるまいし!」

朱「ばーか。私から見れば、オマエなんていつまでたってもガキなんだよ。いいから、ほら」

男「むぅ……あ、あーん」(パク

朱「ほら、熱くない。な?」

男「……むー」

群「——……なんで?なんで、私がこんな初夢見たんだろ……」

男「ただいま帰りましたー。あぁもう寒い寒い!」

朱「お、帰ってきたね。どう?これから新年初の熱燗をと思ってるんだけど」

群(……これは、もしかして正夢? やだ、だめ!まっ——)

朱「つーわけで、ちょっとおつまみ作ってくれ。簡単なモンでいいからさ」

男「断るって言ってもやらせる気でしょう、どうせ。 じゃあ、群青さんも呼んできてくださいね」

朱「えー、姉さんも?なんでさ?」

男「そんな言い方ダメですよ。だって、二人より三人の方が楽しいでしょう?」

朱「ふーん……まぁ、それもそうか。じゃあちょっと準備よろしくー」

群(——……ふふ、あはは。 やっぱり、私たちはこうなのよね)


青「混んでますね」

群「そうね」

青「あ、あのオバサンたち横入りしてるわ……」

群「これだからオバタリアンは……」

青「オバ……タ……?」

群「……」

朱「おう、空」

空「こんにちは、朱色さん」

朱「お、ゲームウォッチか?」

空「なんですかそれ?新機種の名前ですか?」

朱「……」

群・朱「これがジェネレーションギャップか……」


群「どう? 色無くん」

無「ぐ、群青さん!? どうしたんですかその格好……」

群「ふふ、あなたの方から少しも声かけてくれないから……お姉さん魅力足りないのかと思って……」

無「そそそそんな事は決して……」

群「だからこういう格好してみたの……どう? 似合う?」

無(女王様だ……///)は、はい、とっても///」

群「ふふ、照れちゃって……可愛い……」

無「あ、あの……?」

群「ふふ、今から私が大人の女、教えてあげるわね?」

無「え? いや、ちょっと!? 群青さ……ん……?」

 ガバッ。チュンチュン……チュン……。

無「夢か……。……はっ! しまった……着替えないと……orz(ガサゴソ)」

橙「いーろなし! 早くしないと遅刻しちゃうよ?」

無「あ……」

橙「あ……」

橙「あはは///ごめん、先行ってるね!」

無「……死にたい……orz」

群「おはよう色無くん」

無「お、おはようございます///」

群「? どうしたの? 顔赤いわよ?」

無「///なな、なんでもないです! 行ってきます!///」

群「……。……私、何かしたかしら……?」

朱「さあ……? 姉さんのこと好きなんじゃない?」

群「///そそそ、そんなこと! ……あったらいいなぁ……(////)」

朱(二人とも顔に出やすいなぁ……。似たもの同士……。案外、お似合いかもね)


 カチャッ

無「こんばんは」

群「あら、いらっしゃい色無君。どうしたの?」

無「いや、なんか最近寝付けなくて……悩みとかがあるわけじゃあないんですけど……」

群「それは困ったわね」

無「社会の荒波に揉まれて頑張る群青さんなら何か良い方法を知ってるかなー、って思ったんですけど……」

群「そうね……別に特別なことはこれといって何も……」

無「そうですか……」

群「ただ寝る1時間前くらいからは極力リラックスできる環境にはしてる……つもりなんだけど」

無「へぇー、どんなことしてるんですか?」

群「まず明かりは間接照明だけにして暗くして、なるべく部屋全体を落ち着いた雰囲気にさせるわね」

無「ふむふむ」

群「あとはアロマオイルとかを使ってみたり、自分の好きな音楽を流したり……かな?」

無「群青さんはどんな音楽聴くんですか?」

群「ジャズとかクラシックとかかしら。あんまり流行り歌は聴かないから、そこら辺は凄い疎いのよね、私」

無「ふーん。なんか群青さんにジャズとかクラシックは物凄い似合ってる気がします」

群「そ、そう?///」

無「えぇ、落ち着いた雰囲気が凄く。やっぱり大人の女性は違うなぁ……」

群「や、やだ……そんなに誉めても何もでないわよ、色無君」

無「いや、だって本当のことですから」

群「色無君ったら……もう……」

灰「こうやって色無の毒牙にかかるものがまた一人……」

朱「本人はまったく気付いてない辺りが凄いよな……」

灰「あれ?朱色さん、なんでここに?」

朱「ん、家に入ろうと思ったら姉さんと色無が良い雰囲気だったから経過を見てただけだ。というかお前こそ何やってるんだ?」

灰「只の小遣い稼ぎです。色無の情報は結構良い値で売れるんですよ?」

朱「……灰色……恐ろしい子……」


無「群青さん、たまには晩酌付き合いますよ?」

群「えっ……わ、私?姉さんじゃなくて?」

無「朱色さんはいっつも飲んでますから。それに、俺もたまにはゆっくり飲みたいんですよ」

群「もう、未成年がお酒なんか飲んじゃダメよ?……でも、今日は許してあげるわ」

無「ありがとうございます。さ、とりあえず一杯どうぞ?(トクトク)」

群「ん、ありがとう。(コクコク)—っはぁ」

無「さすがですね。良い飲みっぷりです」

群「ふふ、そんなところあんまり褒めてもらいたくないけどね。色無君も……(トクトク)」

無「すいません、じゃあ……(コクコク)—っぷは」

群「あら、色無君もなかなかいけるじゃない」

無「朱色さんにけっこう鍛えられましたからね」

群「じゃあ今度は私が鍛えてあげるわ。こう見えて朱色よりも私の方が強いのよ?」

無「そうなんですか?意外だなぁ」

群「……幻滅した?」

無「とんでもない!むしろ尊敬しますよ。やっぱり社会人は違いますね」

群「そう?良かったわ」

無「こうやってゆっくり飲むのもいいですね」

群「えぇ。なんでか知らないけど、今日はたまたま朱色もいないしね」

無「そ、そうですね……ははは。(朱色さんに群青さんの相手しろって言われたなんて……言えない。)」

群「ん、どうしたの色無君?なんかあった?」

無「いえ、別になんでもないですよ。さ、もう一杯どうですか?」

群「えぇ、じゃあ頂くわ」

朱「色無め……なかなかイケル口になったじゃないか……」

灰「そうですね。これだけ強ければ飲み会でも一人潰れないで女の子のお持ち帰りが簡単にできますね。メモメモ……っと」

朱「……その情報はどこに売りさばいているんだ?」

灰「企業秘密です」


「あ゛あ゛〜いい湯だった〜」

「何なんですかその妙に力入った声は」

夜の学生寮の居間に響く朱色のコブシのきいた声。それを聞きつけた色無が苦情を口にする。

「ああ?せっかくの風呂上りなんだから好きにさせてくれてもいいじゃんか。心が狭いぞ青少年」

「いや青少年って……ってかなんすかそのカッコは!」

朱色の格好。タンクトップにパンティ一丁というなんとも男前なお姿。

しかし朱色はそんなことなど恥じらいのうちには入らないらしい。ずけずけと色無の目前を通り過ぎて冷蔵庫からビール缶を取り出して居間から出て行ってしまった。

「な、何なんだあの人は……」

「よーただいま〜」

暫くして朱色は片手にあったビールはそのままにもう片方の手には煙草とライターを握って再び居間に舞い戻ってきた。

「いや〜部屋中がヤニ臭くってなぁ〜。換気中なんだよ。だからここで吸わしてもらうよ」

そう言うなり色無の隣に座り込んで、置いてあった灰皿———高そうな重いやつ———を引き寄せてその隣にビール缶を置く。

「いや、ここでも吸わんでくださいよ。俺煙とかダメなんですから。ってかまたその格好はなんすか?さっきよりマシですけど」

朱色の格好。タンクの上に白いブラウスを羽織って、下は体操服のような短パン。

「これ?姉さんのブラウスに、中学の頃の体操服。いやぁ〜穿けるもんなんだなぁ。もう、ケツがパンパンw」

ニカッとした笑顔で自分の尻を叩く朱色。

「しっかし、若かったんだなぁあたしも。見ろよ色無。丈なんかこんなに短いんだぜ」

チラチラとパンツの裾を摘む。膝立てて座る太ももが眩しかった。

「朱色さん……女性なんですからそういう事あんましないでくださいよ(/)」

「お?それはどうゆう意味か言ってごらん。ん?性少年」

「え、いや、あ〜……色々、目のやり場に困るといいますか、なんといいますか……目の毒です……とゆうか性少年って」

気まずそうに視線を四方八方に泳がせながら、色無はしどろもどろ。その顔はタコの如く赤い。

そんな色無をからかう様に妙に芝居がかった口調と仕草で、朱色はこう言った。

「そうかそうか〜オバサンの生足は毒か〜見たくもないほどか〜残念だな〜しょんぼりだな〜」

「いや違います!!全然そんな意味じゃないですって!!!」

即行で否定する色無。なんかマジだ。

「そうか〜嬉しいなぁ。そんな事言ってくれるのは色無だけだよ」

余程色無が面白いのだろう。ケケケと満足そうに笑って、右手に摘んだ煙草を吸い、吹かす。

その煙が色無の方に漂ってきて、色無は少しむせる。

「いやしかしなぁ。この短パン穿いてヤニ吹かしてると、学生時代思い出すなぁ」

朱色が感慨深げに言う。

「ダチが無理して学校で吸い始めて、先生に見つかって……あ、アタシは吸ってねぇんだぞ。で、そのダチ、親とか呼び出されてたなぁ。アイツいまごろどうしてっかなぁ。結構悪い奴と繋がってたからなぁ」

朱色は少し遠い目をしていた。昔を懐かしむ目。とても寂しげな雰囲気を醸し出していた。

しかし心配そうな表情をしていた色無を見やると、パッといつもの笑顔になって、

「ま、若かったってこったな」

と、持っていた煙草を灰皿に押し付けた。

色無は少し悲しそうな瞳を朱色に向けた。

「朱色さん。煙草、やめたほうがいいですよ。身体に悪いですよ」

「なにさ、突然」

「不健全です。そんなだからイメージ悪いんですよ」

「そんなのアタシの勝手じゃないか。それに、なんと思われたってかまいやしないよ」

朱色は鼻で笑った。

そんな朱色の様子に業を煮やしたのか、

「俺がガマンならないんです!朱色さん、ホントは凄く綺麗なのに……!」

と、勢い良く叫んだ。

「ってあれ!?俺何言ってんだ?」

しかし、言ってから自分の発言に顔を赤くする。

再びうろたえまくる色無とは違い、朱色は案外に落ち着いていた。

「ホントに、何言ってんだいアンタは。ホラ、飲みなよ。落ち着きな」

と、ビール缶を手渡す。

「あ、ありがとうございます」

素直に受け取って素直に飲み始める色無。ビールだとは気付いていない。

「ごはぁ!コレ、ビールじゃないっすか!なにしてんすか!」

「キャッハハハハハ!!いいねいいねもっと飲みなよ!」

「まったくも〜」

この後、暫く二人の酒盛りが始まった。

「ってか、朱色さん。さっきの話、俺マジですよ」

アルコールによって赤くなった顔を朱色に向けながら据わった目で話す色無。

「煙草吸ってちゃ丈夫な赤ちゃん産めなくなるぞって昔見たアニメで古谷徹が言ってました。へへへ」

色々と危ない目つきと口調だ。ってか何時の話だ。

「大体朱色さんはもっと女らしくしてください。そうすれば、絶対、朱色さんが綺麗な事、みんなわかってくれるのに……」

途切れ途切れに呻く色無。

「あ〜はいはい。わかったよ。で?なんだい。アンタはアタシが綺麗な事知ってるってんだね。ありがとさん」

完全に酔っ払いに対する対応である。なんだろういつもと逆だ。

「ええ知ってますとも!声を大にして言いたいくらいです」

「そうかいそうかい。だったアンタがアタシを嫁にもらってくれよ」

ピクリ

何気ない朱色の発言に色無が反応する。

「今の言葉。本当ですか」

かつてないほど真剣な眼差し。

「だったら……俺、言います。朱色さん。好きです!!」

言うなり朱色に飛び掛り、押し倒す色無。

「え、ちょ、やめ……おい!」

必死に引き剥がそうとするが今の色無は誰にも止められそうも無かった。

(や、やばい……目がマジだ)

「朱色さん、朱色さん……朱色!!」

「うわ、ちょ、ほんと、マジ……アッ——!」

ゴガス

居間に鈍い音が響く。

「はあ、はあ、はあ……」

後に聞こえてくるのは朱色の荒い息遣いだけ。色無は固まっていた。

「危なかった……」

朱色の手には重そうな灰皿。咄嗟に掴み取って色無の後頭部に打ち付けたのだ。だいぶ痛そうではあるが……

「なあ、色無。大丈夫か?」

いまだ自分に覆いかぶさって動こうとしない色無を揺する。

「すまん、ちょっとやりすぎた……って……」

「シ、シンデル……」

後日、その日の夜だけ綺麗さっぱり記憶喪失となった色無が入退院した。


「はぁ……」

群青は重々しい溜息と共に寮の玄関の扉を開けた。時間は遅く、夜の半ばだ。

「ただいまぁ……」

普段、特にテンションが高い彼女では無かったが、今日は特別低いテンションであった。

今日、高校時代の友人に久々に再会し、誘われるまま友人の家に迎えらた。

そこで見たのは結婚した友人の幸せそうな家庭。人の良さそうな旦那様に、もう五歳になるのだという友人の子。

何より、友人の笑顔が眩しかった。

その笑顔を見ていると自分の今の状況を否が応にでも認識させられた。

行き後れ、とまでも行かないまでも、彼女もイイ歳だ。自分と友人を比べれば、落ち込みもするだろう。

「あ、おかえりなさい。群青さん」

「色無くん……」

トボトボと居間の敷居を跨いだ群青を迎えたのはここの寮生の男子生徒、色無だった。喉が渇いているのか、冷蔵庫から作り置きの麦茶を取り出している。

「ダメじゃない、こんな遅くまで起きてちゃ。明日も学校なんでしょ?」

「あはは……。すみません起きちゃったもんで」

落ち込んでいながらも、色無にはそう見せたくないと思った群青はいつもどおりを装って、お叱りの言葉を投げかける。

そんな群青を知ってか知らずか、色無はコップを二つ取り出して、飲みます?と一つを群青に差し出すのだった。

色無に注いでもらった冷えた麦茶をちょっとづつ口に含みながら、群青は友人の家での事を思い浮かべた。

まず一番に思い出したのは自分の子供を紹介したときの友人の姿。次にその子供。

友人に生き写しとまでは行かなくても、面影を強く受けたその面差しは、群青には神秘としか感じられなかった。

(私も、欲しいなぁ……)

心の中で大きな溜息をつく。

しかし、その心は友達のオモチャを自分も欲しがるようなものであったし、なにより、自分にはそれを許可してくれるような相手がいない。今の自分には叶わぬ事だと彼女は知っていた。

(相手……か)

いないような気がしないでもないような……全くわからない。

(そういえば)

ふと、思い出すのは友人の子が持ち歩いていた絵本。しきりに母親に音読をせがんでいた。

渋々、というか群青に対して気恥ずかしそうな気持ちを表しながら、友人はその絵本を音読し始めた。相当読んでいるらしく、ほとんど噛みもせずに、抑揚や芝居を織り交ぜた口調で読み進めていく。子どもは瞳を輝かせていた。

絵本の内容といえば、なんでもなく、ごくありふれたお姫様と王子様の話。恋愛物とは言えないが、冒険活劇とも言えない。そんな絵本らしい絵本。

(王子様……ねぇ)

彼女の歳で白馬の王子などという存在を信じている人は極わずかであろう。勿論彼女も信じてなど居ないのだが。

(迎えにこれるものなら迎えに来て欲しいものね)

心の中で見ず知らずの王子に悪態をつく。ぼんやりどころか輪郭さえ見えない王子に言葉の矢が刺さったような気がする。群青が悪態、皮肉、誹謗、中傷を投げかけるたびにその王子が苦悶する姿が目に浮かんだ。なんとなく頼りないイメージ。

なんだか楽しくなってきた。

思わず、くくっ、と麦茶が半分くらい残ったコップを持ちながら含み笑いをもらす。

「どうしたんですか。さっきから」

「え?!」

ふと、気がつくと色無が心配そうにこちらの顔をうかがっている。

「ずっと、ぼ〜っとしてましたよ。そしたらいきなり笑い出すし……」

「え、あ、ああ。な、なんでもないの、なんでも……」

慌てて取り繕った群青だが、色無の顔は晴れない。

「何か、悩み事でもあるんですか?」

その眼差しは真剣。いつもの気さくな彼は何処かに消え去ってしまったかのよう。

しかし、群青はそれに答える事ができないでいた。色無が心配してくれる事は嬉しかったが今自分が抱えている鬱屈は、彼にはどうすることもできないであろう、と思っていたからだ。

もし、彼とどうこうできたとしても、そう言われて、はい私は子どもが欲しいです、などと言えるはずもない。どこの素直クールだ。

結局、ずっと気まずそうに押し黙っているしかなかった群青。

そんな群青を見て、色無は落胆の色を見せて、

「そうですか……言えませんか」

と、身を引いて、今度は色無が押し黙ってしまった。

暫く沈黙が居間を包む。

物思いに耽っていた先程と比べて、この沈黙は群青に大きなプレッシャーを与えた。どこか居た堪れない。気を紛らわせる麦茶はもう無くなっていた。

何か話そうと思いつつ、何も話題が思いつかない。生来彼女は聞き手であった。自分から話すのは苦手だ。

普段であれば、上司なり、同僚なり話し相手がリードしていってくれるものだが、今の相手は色無。自分が先程話しの芽をつぶしてしまったばかりだった。

次々と浮かんでくる言葉はすべて喉で霧散してゆく。あまりの歯がゆさに、だんだんイラついてきた。

居心地が悪くなった群青は、席を立ち、冷蔵庫から朱色の酒を取り出し再び戻ってくる。

そして、自分のコップに並々と注ぎ込み、一気に煽った。

アルコールにほとんど耐性がない彼女は、急激なアルコール摂取に耐えられず、すぐに頭がぼやけてくる。

「群青さん……」

いきなりの群青の行為に、唖然とする色無。群青の目にはそんな色無がとても頼りなく映った。

(まるで、さっきの王子様みたい……)

ぼやけた頭でそんな事を考え、すぐに視線を色無から逸らし、再び酒を煽る群青。

その目の前に、空のコップが差し出された。

「群青さん。俺も」

目を向ければ、色無が真剣な、しかし先程とは違う空虚な瞳で自分を見つめていた。

それを群青は薄く笑って、勢い良く酒を注ぐ。そして、酔いでぼやける視線で、コップを傾ける色無を見つめた。

急角度にコップを傾けて、酒を嚥下する色無。ぼやけている。

やがて、酒を飲み干してコップを机に置く色無。輪郭さえ見えなくなってきた。

そうして、再び酒を色無に注ごうとして、群青の視界はブラックアウトし、意識もどこかへ飛び去ったのだった。

群青は、ゆりかごの中に居るような気がした。

(あ〜……きもちいぃ〜)

規則正しい上下動は夢見心地の群青に眠りより浅い、まどろみを満たしてゆく。

だがしかし、一体自分はどうしたというのだろう? 
疑問はあった。心なしか体が浮いているような気がする。

(何か、聞こえるな……)

聞こえるのは、かすかな息遣い。どこかで聞いたような……。

その一つ一つにほぐされる様に、群青は意識を取り戻していく。

徐々に覚醒し、視覚を取り戻した時点で目を開く。

「い、色無君?!」

「あ、目ぇ覚めました?」

色無がそこに居た。

そして自分の格好を改めてみてみる。

左肩と膝裏に色無の腕の感触。右肩には——案外男らしい——胸板の圧力があって、心臓の鼓動までもが感じられた。見上げればすっきりとした首筋。

そう、群青はいわゆるお姫様だっこ状態であった。

「ちょ、ちょっと、は、離して……」

「わ、あ、暴れないで!」

必死にもがき逃れようとする群青を支えきれずに、落としそうになる色無。ちなみに今二人が立っているところは階段。危ないどころではすまない。やむを得ず色無の腕の中で大人しくなる。

(でも、恥ずかしぃ……)

羞恥に顔を赤く染める群青。これではまるで絵本の中のお姫様と王子様だ。先程まであんなに頼りなさげだったというのに。

「よっと……」

群青を抱えて、階段を一歩一歩踏みしめるその足取りはしっかりとしていて、揺らぎ無かった。

「群青さん。俺、やりますよ」

その歩みと同じように、凛々しい声音で語りだす色無。

「俺、もっと、大人になって、仕事して、金稼いで、自立できたら」

一歩一言。踏みしめ、かみ締めるように。

「絶対、群青さんの事、迎えに行きます。絶対です」

「色無君……」

嬉しい。嬉しいが……。群青はまず、何故色無が迎えに〜どうこうを知っているのだろうか?というか何故彼は私にこんな告白通り越してプロポーズして来ているのか?そのことを疑問に思った。

酔って何もかも喋ってしまっていたのだろうか?友人の事、子どもの事、王子様の事、色無に対する心象の事……

(だけど……)

見上げる色無の顔はこれまでの頼りないイメージを完全に払拭して、大人へと向かう青年の顔立ちをしていた。真っ直ぐ前だけを見つめて、力強く、進んでいた。

(そうか……白馬の王子様は、私を待っていてくれてるんだ)

群青は、胸の前で交差していたその両腕を色無の頬に添えて、色無の顔を自らも引き寄せた。

触れ合う唇。

「……え……?」

惚ける王子様。

「絶対。約束だからね」

両腕を王子の首に回して、微笑む姫君。

暫く、お互いに赤面しあったままだったが、また再び階段を昇り始めたのだった。







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 04:50:02