白メインSS

「はぁ……」

今日も倒れて、保健室に運び込まれてしまいました。

「もっとやりたかったのに……バレーボール」

最近、体育の授業でバレーボールをしていて、これがなかなか面白いのです。

でも、私は生まれつき体が弱く、少し激しい動きをしただけで、目眩がします。

こんな体じゃなかったら、もっともっといろいろなことができるのに。

私は私のこの体質が嫌いです。

「どう?だいぶよくなった?」

声をかけてきたのは保険医の朝霧先生です。

やさしい女の先生で、私は好きです。

「念のため、この時間はここで寝ていてね?」

体育に戻れるかと思ったけど、残念です。でも、仕方が無いと思います。

「分かりました」

「私はちょっと用事があって出かけなくちゃいけないから、チャイムが鳴ったら教室に戻っていいわよ。じゃ」

全く、適当な人です。これが無かったら完璧だと思うのですが……







体育の授業が終わり、下校の時間が来た。

「はぁー、やっと帰れる」

家に帰る時間、いつも楽しみだ。根暗とか言うな!

「ちょっと、色無」

「何ですか」

「帰る前に御白さんの様子、見てから帰ってくれないか?用事があって見に行けないんだ」

「何で俺なんですか?」

「たまたま目に留まったからだ。フラグというやつだな」

フラグとか知らないから。

「ま、特に用事も無いんで、いいですけど。保健室にいますよね?」

「まだ帰ってなかったらな。帰っているようならお前も帰っていいから」

「はい」


(最近白みねぇな、、)

無「なぁ赤ー」

赤「どうしたー卓球で勝負でもしたいのか?」

無「卓球はもういいよ、、それより白しらない?」

赤「白ねぇ、、図書室じゃないの?」

無「そうか、サンキュ」



   図書室



無「よう白」

白「あ、、、、無色、、、君」

無「おまえ毎日本読んでるな」

白「それしか、、、やること、、、ないから、、、」

無「なんの本読んでるの?」

白「ちょっと、、、物語系を、、、」

無「以外にそんなの読むんだな、、、なんか物理とかよんでそう」

白「ふふっ、、、ところで、、、、なにしに、、、、図書室に、、、きたの?」

無「ちょっと白を見に」

白「あ、、、ありがとう、、、、いつも、、、一人で、、、さみしかったから

  うれしい、、、、よ」

無「大げさだなぁー」

白「無色君のこと、、、、好き、、、、になっちゃうよ、、、?」

無「ちょっ!白なにいってんだよ」

白「ふふっ、、、」

赤「おーおーお二人さん楽しそうですな」

無「うわ!?お前いつからいた?!」

赤「もち最初から」

無「ついてきてたのか、、、」


「白〜、毎度おなじみ青ちゃん宅配便で〜す。調子はどう?」

 夕暮れに病室がオレンジ色に染まる頃、白がベッドの上で半身を起こして待ちわびていると、いつものように青が元気よく入ってきた。

「青ちゃん、こんにちは。今日は咳もあんまりでないし、だいぶいいみたい」

「そっか。じゃあ退院ももうすぐね。はい、これ今日の授業のノート。こっちは修学旅行の集金についてのお知らせね」

「ありがとう……でも、ホントに大変じゃない? 私は別に毎日じゃなくても大丈夫——」

「ストップ! それはもう何回も言ったでしょ? 私が白に会いたくて来てるんだからいいの! それにノートだってプリントだって、早く目を通すに越したことはないんだから」

「……うん、そうだね。ありがとう」

 修学旅行に行ける可能性などほとんどない。だがそれを言えば青はもっと機嫌を悪くするだろう。そう思った白はそっと微笑んで礼を言った。

 

「それでさ、現国に続いて物理の教科書も忘れたって言うのよ。『アンタどんだけ忘れ物してんのよ?』ってきいたら、あいつなんて言ったと思う?」

「うーん、なんだろう」

「『全部。朝遅刻しそうで慌てて出てきたから、鞄ごと忘れた』だって! 普通そんなことありえる? 結局その日は一日中あいつと机くっつける羽目になったわよ」

「わあ……ふふ、色無君らしいかな」

「まだあるわよ。何か最近金欠らしくて、ここ1週間くらいお昼にあんパンばっか食べてんのよ。あんまり哀れだから昨日お弁当作ってやったら泣き出しちゃってさ」

「え? おいしくなかったの……かな?」

「アンタなにげに失礼ね……その逆よ。『こんなおいしいもの食ったの何年ぶりだろ』とか言っちゃって。もうね、普段何食べてんのかと小一時間ほど……白? 何よ、そんなおかしかった?」

 青は怪訝そうな顔をして尋ねた。上品に口元を隠しているが、白はこみ上げる笑いをこらえきれないといった様子だった。

「ふふふっ、ご、ごめんなさい……色無君のお話も面白かったけど、ふふっ、青ちゃんがね……」

「私がどうしたのよ? 何か変? あ、顔になんかついてるとか?」

「ううん、そうじゃなくて……青ちゃんは、本当に色無君のこと好きなんだなあ、って思って」

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「!! な、ちょっとアンタいきなりなに言ってんのよ! わ、私は別にそんなこと……」

 あまり物事に動じない青が顔を緋に染め、ブンブンと両手と顔を同時に左右に振った。トレードマークのポニーテールがはね回る。

「隠さなくてもいいのに。だって青ちゃんのお話、色無君のことばっかりじゃない」

「そ、それは、その……学校なんて退屈なもんだからさ、自然と色無の奴の馬鹿話ばっかりになっちゃうのよ!」

 そのとき、病室の扉が勢いよく開いた。

「くぉ〜ら〜、誰が馬鹿だと〜!」

「わああぁ!! い、色無! 女の子の病室にいきなり入ってくんじゃないわよ! つか立ち聞きしてたわね? この変態!」

「ノックはした。お前らが返事しなかったんだろうが。青、お前の声がでかすぎなんだよ。廊下まで丸聞こえだ。白の容態が悪化するからもう少し静かにしろ」

「む、ううううう……分かったわよ」

 入ってくるなり始まった掛け合いに、白は目を細めた。

「いらっしゃい、色無君。ゆっくりしていってね」

「ああ。だが友達を家に迎えるような挨拶を病室ですんなよ。お前の居場所はここじゃないんだからな。今日は元気そうだな」

「うん。今週中には退院できると思うよ」

「そっか。じゃあ目標金曜日な。最短入院記録を更新しようぜ」

「そう思うなら来るんじゃないわよ。馬鹿がうつると治るものも治んないでしょ」

「なんだとこの野郎!」

 色無と青は巡回中の看護士につまみ出されるまで騒ぎ続け、白はそれを楽しそうに眺めていた。

 

「ごほ、ごほっ……ふう、ちょっと疲れちゃったかな……」

 就寝時刻を告げに来た看護士が部屋の灯りを消していき、白は薄暗い常夜灯の下でベッドに横になった。少し熱が出ているようで体がだるい。

「“学校なんて退屈”か……」

 青の言葉を思い出すと、どろりとした暗い感情が染み出してくる。白は軽く頭を振って、それを胸から追い出した。健康な人が病室に縛られる苦痛を理解できないのは仕方のないことなのだから。

「あの二人、やっぱりつき合ってるんだよね……」

 枕元に置いてある、使う機会の少ない生徒手帳を手に取ると、白は表紙を開いて挟んであった写真を眺めた。写っているのは色無と白。

去年、無理して参加した体育祭のときに撮ったものだ。

「私も……丈夫な体に生まれて、ちゃんと学校に行ってたら……色無君ともっと仲良くなれたかな……」

 ため息が一つ漏れる。白は手帳を元の場所に戻して常夜灯を消すと、闇の中でそっと目を閉じた。


「でねでね、今度の合コン、大学生とするんだけど、なんと全員医学部なのよ! 医者の卵よ! お金持ってるわよ〜! ちょうどメンツが一人足りないからさ、白も来ない?」

「う〜ん、わたし合コンとかよく分からないし、お医者様は見慣れてるから……」

「ちぇ〜、白が来てくれたら盛り上がると思ったんだけどなあ」

 その日久しぶりに登校した白は、同じクラスの緑、橙、そして色無と机を寄せて昼食を摂っていた。もっぱら喋っているのは橙一人で、緑はいつも通りの無口。色無も女子に囲まれて少し照れているのか、口数が少なかった。

「あ、そだ! 今あたしらの間で流行ってる質問があるんだけど、聞きたい?」

 いつでも絶好調の橙は、思いつく端からなんの脈絡もなく言葉を紡ぎ続けた。

「質問? どんなの?」

「卵でライスを包んだらオムライス。ソバを包んだらオムソバ。じゃあアンコを包んだら?」

「ぶーーっ!!」

 ちょうど牛乳であんパンを流し込んでいた色無は盛大に吹いた。緑は眉毛一つ動かさず黙々と箸を動かし続ける。

「わーー!! ちょっと何すんのよ! 汚いじゃないの!」

「汚いのはお前の心だ! 飯時に白になんてこと言わせようとしてやがる!」

 大騒ぎする二人を尻目に、白は少し眉根を寄せて考え込んだ。

「うーん。オムライス、オムソバ、だから……オム、アンコ……分かった、オムァンコ! オムァンコでしょ!」

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 手を打ち、大きな声で解答を口にする白。その瞬間、教室は水を打ったように静まりかえった。

「あ、あはははは……」

「……おい。なんで橙が照れてんだ。お前が言わせたんだろうが」

「いや、『オムァ……や、やだあ、もう橙ちゃんったら!』って展開を期待してたんだけど、想定の範囲外だったわ……」

 小声で話す色無と橙に、白は小首をかしげて尋ねた。

「でも、オムァンコなんてあるの? わたし見たことないけど。色無君は知ってる? オムァンコ」

「なぜ俺に振る!? ま、まあ知ってるというか、ぜひ知りたいというか……」

「ぷぷっ。色無が知ってるわけないじゃん。なんせチェリーだもんね。ちぇり〜ぼ〜い」

「どどど童貞ちゃうわ! 俺様のビッグマグナムにかかって泣いた女は数知れないぜ!」

「アンタのはビッグマグナムってより、せいぜいビッグうまか棒でしょ」

「なんだとこの野郎!」

 一触即発の空気を破ったのは、やはり白だった。

「あ、うまか棒なら知ってるよ。病院の売店でも売っててね、時々看護士さんに買ってきてもらってたんだ。あれおいしいよねー。ビッグなんてあるんだ。食べてみたいな、色無君のビッグうまか棒!」

 もはや教室で身動きする者は誰一人——いや、緑を除いて誰一人——いなかった。

「うーん、でもわたしって口が小さいから、あんまり大きいのだとうまく食べられないかも。それってどのくらいの大きさ? 私でもくわえられるくらい?」

「あ〜白さんや、うまか棒の話はこのへんで……」

「わたしね、普通に食べちゃうのもいいんだけど、最初にペロペロ舐めちゃうのが好きなんだ。ちょっとしょっぱいけど、それがいいんだよねー」

 白はあまり会えないクラスメイトとの共通の話題が見つかってはしゃいでいた。架空のうまか棒を両手で持ち、可愛らしい舌を出して舐めるようなそぶりをする。その姿は見る者にまったく別のことを想像させた。

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「ちょ、ちょっと白ったら! もういいから、アタシが悪かったから!」

 ガターン! 橙が慌てて止めに入るのと、大きな音を立てて緑が椅子ごと真横に倒れたのは同時だった。

「うわっ!! み、緑? うわあ、緑が真っ赤になって鼻血吹いてる! 大丈夫か? つかなんでお前が興奮すんだよ!」

「うう……うるさい……色無君だって前屈みになってるじゃないの……」

「こ、これはその……しょーがねーだろ、不可抗力だ、自然の摂理だ! 男ってのはそういう生き物なんだよ! なあみんな!」

 腰が引けた情けない格好のまま、色無はクラスの男子に同意を求めた。ほぼ全員が椅子の上で尻をもぞもぞ動かしている。非常に見苦しい絵面だった。

「やだ、男子サイテー! 私たちもやらしい目で見てるんでしょ!」

「ばーか、誰がお前らなんかに興奮するか! 白ちゃんの爪の垢でも煎じて飲め!」

「なによそれ!」

「なんだよ!」

 それまで教室を包み込んでいた静寂は跡形もなく吹き飛び、混沌が世界を支配した。

「……分かってると思うが、橙。これはお前のせいだからな」

「あ〜、はい、反省してます……」

 緑を介抱しながら、二人は盛大にため息をついた。

「? なんだかよく分かんないけど……やっぱりご飯はみんなでわいわい食べるとおいしいね」

 蜂の巣をつついたような教室で、白は満面の笑みを浮かべながら昼食の残りに手をつけた。


白「やっぱり、学校は楽しいです」

男「そりゃあな。なんてったって、みんながいる」

白「はい。みなさん、本当にいい人たちばっかりで……」

男「だな。なんだかんだで、みんないいヤツだよ。ホント」

白「あ、ちょっと待って……電話が」

男「ん?」

白「はい、もしもし……お母様?あ、はい………え、えっ?…………………」(ピッ

男「どうしたんだ?つか、最後何も言わずに切らなかった?今」

白「ええ、切りました」

男「え?いや、それはダメじゃないのか?」

白「いいんです。お迎えの車なんて、今日は要りませんから」

男「な、なんで?歩いて帰るのは大変だろ?その……やっぱり、身体が……」

白「……ふふ。心配してくれて、ありがとうございます。でも、大丈夫ですよ」

男「そう?……なら、いいけどさ。じゃあ帰るか」

白「はいっ」

白(心配してくれたのは嬉しいですけど………ニブすぎですよ、もう……)

男(……勘違いすんな、俺。 白は何か理由があって歩くのであって、俺と帰るために歩くというワケではなくてだな………)


色無が白を自転車で迎えに行くようです

無「おいすー。家の前で待ってるのきつくなかった?」

白「いいえ、まったく。色無さんが自転車で送り迎えしてくれるんだからこれぐらいは」

無「そんなに気にしなくていいのに。俺が好きでやってることだからさ」

白「…でも学校を卒業したらこんな風に学校に一緒に行くことも出来ないんですよね」

無「卒業したら学校にもいかなくていいからね」

白「私はそんなの嫌です。これからもずっと色無さんといたい」

無「?」

白「私の両親も色無さんなら大丈夫だっていってましたから」

無「またえらく過大評価されてますね。つうか話早すぎ」

白「学校を卒業したらでいいから返事くださいね」

無(どうしよう…)

橙(あー、なんか嫌な予感がするなぁ…)


こんにちは白です。今年も高原に静養に来ました。去年までは家族と来てたんですが今年は…

黄『ィヤッッホーー!』青『煩いバカ。屋根から降りてこっち手伝え!』

寮のみんなが来てくれました。発案者は…

朱『ん〜空気の旨いトコで飲むビールは最高だなw』橙『ですよね〜あッ、人間おつまみ発見!』無「朱色さん何飲み始めてるんすか!橙、お前もだ。暑い、離れろ、朱色さんも逆サイド取らない」

色無君です。イイな、橙ちゃんと朱色さん。わたしもお酒飲んだらー

黒『変な事考えない。ご飯出来るまで待ってなさいよ?』

やっぱり黒ちゃんにはかないません。考えた事、読まれました。

黒『それより灰、知らない?』白『寮のベッドよりフカフカって言いながらわたしの部屋に…』黒『ありがと。ちょっと引っ張り出してくる。』

相変わらず仲良いな…ニャー、

紫『こら、そっちは…白、ごめんね?…つ、連れてきてちゃって…』白『そんな事ないよ?ひとりで留守番するよりみんなと居た方がネコちゃんも楽しいハズだし』紫『あ、ありがと。ア、アタシ向こう手伝ってくるからネコー』

笑顔で頷くと紫ちゃんは笑顔で返して料理チームへ向かって行った。

ーひとりで留守番するよりみんなと居た方がー

自分で言って胸が痛んだ…だからこのネコはわたしの膝の上で寝てるのかも知れない

緑『待ってる間に丁度良いと思うわよ?』

薄い文庫本と一緒に緑が横に来てくれた。脇には分厚い本を抱えている。

白『ありがとう緑ちゃん。緑ちゃんは何読むの?』

見せてくれたタイトルは【解体新書】。

白『アハハ…じゃあ今度入院しちゃった時はその本貸してね?』緑『……うん』

ーアナタハ誰?ワタシト繋イダ手ヲ離サナイデ…1人ポッチハモウ嫌ナノー

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黒『ーろ…し…ろ…白。』白『ほぇ?…(つд`)あれ、寝ちゃってたの?』黒『ご飯できたからおいで。その上着は色無のみたいよ』

あ…そうなんだ。後でお礼言わなきゃ。…さっきのは夢?違う。わたしの…

全員『『『『『「いただきます」』』』』』ーニャー

黄『UMeeeeeeee!!』無『ご飯粒飛ばすな!だが確かに旨いな。黄緑&青GJ』灰『…おねーちゃんの料理がゴミクズみ(ゴン』

黒『ちゃんと座って食べなさい。失礼でしょうが』赤『ガツガツ)ひみどり〜ほかはり〜』青『赤、食べ過ぎ!群青さんのも…』黄緑『大丈夫。ちゃんと別にしてますか』

ーワイワイ、ガヤガヤ

学校以外でこんなに大勢で食事するのって何時振りだろう。楽しいな♪

 ショクゴ(・∀・)ノアソビ

橙『花火〜大〜会〜!!』朱『打てー!』ピューン、ピューン、

青『ちょっとロケット花火を人に向けるな〜』赤『勝負事に負けてたまるかー(ポイ』黄『鼠花火ktkr』

やっぱり大勢で遊ぶのは楽しいです。運動出来ないわたしは手持ち花火でも楽しい。

無「やめれおまえら〜」黄『標的逃走!追尾します!』朱『撃墜した者が目標をGET出来るルールだからw』橙『まて〜ww』

わたしも参加したいなぁ…

無「ハァ…ハァ…(ガッ)うわっ」白『あ、危ないーキャッ!』

色無君が目の前で転びそうになったのを捕まえようとしてわたしが転びそうになる。ードサッ!

白『いった〜…くない?』無「大丈夫か?」

転びそうなわたしを色無君が体を入れ替えてわたしを抱き締める格好で下敷きになってくれた。

灰『勝者〜白ねぇちゃん〜』全員「工エェ(´ω`)ェエ工」

群青『みんなが色無君を追いかけていた所で、転びそうになった色無君を助けようとして逆に転びそうになった白ちゃんを身を呈して助けた事が、色無君を撃墜したと私が判断しました。よって勝者は白ちゃん。』

全員「工エェ(´ω`)ェエ工(更に不満感をプラス」

群青『そう。不満があるならまずこの変なゲームを今から12時間正座しながら反省文を私の目の前で書いてもらうけど』全員「白ちゃんおめでとう(棒読み」白『え〜っと、ありが、とう?』

『ゴクッゴクッ)ーふぅ』

みんなといると眠れなくてとりあえずお水を飲みにきた。

『あれ?あそこにいるのは…』

明らかに違う人影…色無君だ。

『こんばんは!』「ーッ(ササッ)お、おう白か。まだ寝てなかったのか?」『ねむれなくてね?所で後ろに隠したのはー』

微かにわかる臭い、消毒薬とは正反対のー

『煙草ーでしょ?大丈夫、言わないよ?』「な、何故それを『服』えっ?」『うたた寝してた時に色無君、上着掛けてくれたでしょ?その時に微かに臭いがしたの』「あー気をつけてたんだけどなぁ…」『普段は消毒薬の臭いに晒されてるから』「そっか」

そう言って色無君は煙草を一吸いして携帯灰皿で消す。

『煙草の事黙っててあげるから一つお願い聞いてくれる?』「ん?そう言えば俺、ゲームの戦利品だったな…何でしょうお嬢様w」

と言って恭しく膝を付く。別荘のベランダなのと高原での月明かりが彼の仕草を一層に格好良く映す。

『うふふ、ん〜(長考中)…ではわたしが寝付くまで…抱きしめてて…ください…』「ちょ」『部屋には誰もいませんから』

少し悪戯っぽく笑うと色無君は照れながら

「承知しましたお嬢様(ヒョイ」『ふゃっ!!い色無く「お部屋に戻りましょうお嬢様w」…は、はい』

お姫様抱っこされてました。

ーアナタハ誰?タバコノ香リノスル手ヲワタシは離サナイカラ…ワタシノ王子サマー

朝、目を覚ますと枕元のテーブルにメモ紙があった。

ー体が本当に良くなったら色々な所に単車で連れ回すから治せよー

このメモ紙は大切に保管している。わたしの王子様との約束だからー


白「う〜ん……」

男「大丈夫か?やっぱり酒なんて飲んじゃまずかったんだよ!!オレンジ、やっていいことと悪い」

白「……るっさい」

男「……え?」

白「るっさい死ねボケぇ」

男「………はい?」

白「ぅるっさいわぁ!たまには遊んでもいいじゃないの!!」

男「ちょ、白さん!?」

白「帰れ消えろ!!そして抱きついてみてよ!!襲ったりしなさいよ!!ちょっとは男見せなさいよぉ!!」

男「………ご…ごめんなさい…?」

白「いったいどれだけのフラグをたてたと思ってんのよぉ!?もう…ばっかみたい…」

男「え〜…と、助けて黒さん?」

黒「……こいつは酔うと悪魔が出てくるんだ」

男「悪魔?」

黒「普通酔ったときは普段は言えない本音とかがでてくるけど、白の場合は心の中の悪魔が出てくるんだ。

  だから安心して。これは白の本音ってわけじゃないから。全く別の第三者から見たものだから」

男「………ごめん、安心できない」

白「…部屋までつれてけよぉ!苦しそうでしょぉ!?早く!!」

男「どんな酔い方なんだ………」


『寂しさの色』

 寂しいのは何色? きっといろいろな色が混じっている。灰色に茶色に朱色に紫。そしてきっとわたしの色も。
 

 はあ、暑いなあ。暑いのは苦手だなぁ……寒いよりはいいけど……。

白「あっ朱色さん。このお水もらってもいいですか?」

朱「あ〜、いいよいいよ」

白「こくこく」 

 ん? ……なんか味がついてる……おいしいからいいか……。

朱「ちょ、白ちゃん!? そっちはわたしのお酒……」

白「? ……こくこく……コトッ」

朱「あ〜、全部飲んじゃった……」

白「あ〜おいしっ。これおいしいお水ですね〜朱色さん。なんか味ついてました」

朱「しっ白ちゃん、大丈夫なの?」

白「えへへ〜何がですかぁ」

朱「あぁぁ、駄目かも……」

白「なんだかぽかぽかしてきました。ぬぎぬぎ」

朱「ちょっと白ちゃん!? 服脱いじゃ駄目!」

白「へらへら。なんでですか〜? だって、暑いじゃないれすかぁ〜」

朱「ちょっ駄目だって……あっ色無、いいところにきた。ちょっと手伝って」

無「え!?」

朱「白が間違ってお酒飲んじゃったんだ」

無「ええ——っ!?」

白「色無クンどうしたの? こっちきてよぉ」

無「うっ!」

 とろ〜んとした瞳で見られて、色無は思わずたじろいでしまう。

無「しっ白さん、だいぶやばいから寝た方が……」

白「駄目ぇっ!! やばくないの! みんなわたしを寝かせてばっかり! わたしは大丈夫なの! 遊びたいの!」

無「あ、えっと……」

 白の言葉に色無はそれ以上言えなくなってしまった。

白「ねぇ、色無クン? いいコトしよっか?」

無「えっ? いいこと?」

白「こういうこと〜。ちゅっ☆」

無「///あわわっ白さん!?」

白「へへっ。これで色無君はわたしのもの〜っ。誰にも渡さないぞぉ」

朱「あっずるい! 色無! わたしにもさせろ!」

無「ちょ、朱色さん!?」

白「朱色さんは駄目ぇ。いつも色無クンと遊んでるでしょ? 今日は、わたしだけのものなのっ!」

朱「うぅ……」

 白は色無の両手を合わせて自分の手で包むと、色無の周りを歌いながらぐるぐると回り始めた。

白「いーろなしくん♪ いーろなしくん♪」

無「おっおう」

白「えへえへ」

 パタッ。やけに調子が良いと思ったら、白はそのまま倒れてしまう。

無「ちょ、白さん!? 大変だ!」

 朱色が白の傍まで駆け寄った。

白「くか〜」

朱「……どうやら寝ているだけみたいね」

無「よかった……」

朱「色無、白ちゃんを部屋まで運んでやって。白ちゃん軽いからわたしが出来なくも無いけど、あんたが運んだ方が楽でしょ? 

その方が白ちゃんも喜ぶし……」

無「え……わかりました」

無「よいしょっと」

 白を背負って部屋から出て行く色無を見送ってから朱色は溜め息をついた。

朱「はぁ……白ちゃんも色無が好き、か……ライバルが多いなぁ……」

無「よいしょっ……と」

白「うぅ〜ん。ムニャムニャ」

無「(……びっくりしたけど大事にならなくて良かった)じゃおやすみなさい白さん」

 クルッ。ガッ。

無「えっ!?」 

 戻ろうとした色無は、白に裾を掴まれてしまった。

白「いっちゃやだ……いっちゃだめなの……」

無「しっ白さん!? いっ!?」

 色無が見ると白の頬を大粒の涙が伝っていた。そんなに悲しいことがあっただろうか。

白「いや、いやなの、ひとりでベッドはいやなの」

無「白さん……」

白「もういや……ひとりはいや……」

無「!」 

 がし。色無は抱き付いてきてバランスを崩した白を支えた。

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白「いっしょにいて! いっしょにいてよう……ぐすっ」

無「う、うん。わかった……」

 白は色無の手を引っ張って横になりながら言った。

白「頭なでなでして」

無「えっ。う、うん……」

白「えへヘ〜なでなで……」

無「……(白さん、何か子供みたいだな……)」

 やがて安心したのか白は寝てしまった。

白「すぅすぅ」

 色無はまだ髪をなでてあげている。白の顔は幸せそうだ。

白「えへへ……お父さん……」

 昔の夢を見ているのだろうか。そういえば白の家族のことを知らない、と色無は思った。

子供に愛を注がない親だったのだろうか? いやしかし、そんな話は聞かない。

でも聞かないだけでそうだったのかもしれない。或いはいい両親だったかもしれないけれど、

入院することの多かった白に四六時中付きっきりという訳にはいかなかったというところだろうか。

 いずれにせよ子供の頃に寂しい思いをしたのだろうということは何となく感じられた。

きっと寂しい思いをしたんだろう。でも、それは特別なことじゃなかったかもしれない。

誰にでもあるものだったのかもしれない。色無にだって心当たりが無い訳ではなかった。

しかし、白のそれが果たして誰にでもあるものだったのかどうか。今の色無には知る術は無い。

こうして髪を撫でることしか——。

白「えへへ……色無くん……ムニャムニャ」

無「……可愛いなぁ……」

ピコンピコン

橙「むっセンサーに反応有り! 誰かが抜け駆けしている様ね……」

朱「はぁ……色無、遅いなぁ……」


黒「それでさ、色無ったらそういう本隠し持ってたわけ。しかもよりにもよってSMだなんて……」

白「……そうなんだ」

黒「あ、もうこんな時間。それじゃああたしは帰るわ」

白「うん。お見舞いありがとう」

その日の夜

白「……こうして、ああして」

白「あ、あれ……?」

10分後

(ピーピーピー←ナースコール)

看護婦「はいはい、どうしました白さ……」

白「その……解けなくなったんです」

看「……手ぬぐいは手を縛るものじゃないですよ……? どうしてまた……」

白「いえ、あの……縄がなかったもので……」

看「はぁ?」


無「白!今、救急車呼ぶからな!!」

急に体調が急変した白色。

心臓の発作はいつもの事だったが、今日は違っていた。

薬を飲んでも、症状は治まらない。

苦しそうに息をする白色。

白「色無さん‥良いんです…私、もう寿命なんですよ……」

無「寿命なんかじゃない!!白はこれからも生きて、楽しい事いっぱいして思い出作りたいって言ったじゃないか‥!」

白「でも‥もう…心臓さんが、持たないって……言うんですよ‥」

儚げな笑顔を浮かべる白色。

その瞳からは涙がポロポロと落ちる。

無「白、白…死ぬなよ…、死ぬなよぉ‥!!待ってろ、救急車‥」

色無は止まった。

正しくはその場から動けなかったのだ。

小刻みに震える小さな手が、色無の手首をソッと握った。

白「色無さん‥私、アナタの傍で‥死ねるなんて、これほど幸せな事は‥無いんですよ…」

無「白…」

白「色無さん‥それに、皆さんに迷惑かけっぱなしで…私、駄目ですね‥」

無「……っく、ひっく…」

白「‥泣かないで下さい……笑って、笑って下さい‥私、色無さんの‥笑顔が好きなんですよ…ですから…笑って下さい…………」

無「白…」

色無は、無理して笑顔を作った。

白色も笑顔を浮かべた。

白「有難う御座います、色無さん………」

静かに目を瞑り、握っていた白色の手はスルリと落ちた。

無「白ー!!!!……っ…う………くっ……うぅ…うわぁぁぁあ……!」

居なくなった白色はいつまでも綺麗だった。


白「デート、デート、嬉しいな♪」

無「退院したばっかりなんだから無理しちゃダメだぞ、白さん」

白「わかってるよ、色無くん」

30分後

白「ちょっと疲れてきちゃった」

無「それじゃあそこの公園で休もうか。自販機もあるし、白さん何飲みたい?」

白「どれどれ……最近の自販機は見たことないものばかりだね」

無「へぇ、そうなんだ? 入院が長かったからね、白さんは。それじゃあお茶でいい?」

白「うん。ジュースはメローイエローとかくらいしか知らないから、どれがいいか分からないしね」

無(……白さん、いったいいつの人なんだ)

さらに30分後

白「自販機といえば、いろいろな自販機が増えたね」

無「え、そうかな?」

白「そうですよ。カップに入ったコーヒーとか、お菓子の自販機とか」

無「あ〜。そういえばそうだね……」

白「あっ、見てあの自販機。最近は本まで自販機で買えるんだね」

無「ちょ、ちょっと白さん、あれはダメだから!」

白「え、どうして? あ、何で目隠しするの色無くん? いじわる?」

無「いやあの、そういうことじゃなくてね……」

さらに30分後

白「あ、色無くん、これも自販機だよね? ちょっとちっちゃいけど」

無「ちょおおお、白さんだからそれはっ!!」

白「明るい家族計画? 何だろうね、明るい家族計画って。旅行のパンフレットかな?」

無「そ、そうじゃなくて……これはアレをナニする……拘束具というか防御壁というか」

白「?」

無「………と、とりあえず1個買って帰ろうか?」

橙「おやおやー、使ったこともないくせに、こーのエロ色無(ニヤリ)」

無「ヒイイイッ!! どっ、どっから沸いてでたぁ!!」

橙「最初からいたよ(ニタリ)」

白「あっ、橙ちゃん、こんにちは〜」

橙「やっほ、退院おめでとう。それよりさー、白ちゃん、これが何か教えてあg」

無「わーわーわーっ!!」

白「?」

無「オネガイシマスヤメテクダサイ」

橙「それじゃあ口止め料。来週はあたしとデート、ね?」

無「……ハイ、ワカリマシタ」


コンコン

男「白さん、調子はどう?」

白「あ、色無さん」

男「その様子だと元気そうだな」

白「はい。そうなんですけど・・・」

男「?」

白「病気治らないかもしれないのが・・・不安なんです」

男「・・・」

白「・・・あそこの木、見えますか?」

男「見えるけど」

白「木のてっぺんに鳥がいるでしょう?あの鳥、先週からずっと動かないんです」

白「他の仲間たちは飛べるのに、飛べない鳥が残されてるのがかわいそうです」

白「それで、なんか私と重なってるような気がして・・・」

男「・・・・・・」

白「私って病弱だから、いつも迷惑かけてばかりで・・・」

白「色無さんいつも来てくださってるのに何もできなくてすみません」

男「そんなこと言うなよ」

白「え・・?」

男「俺は白さんに会いたくてお見舞いに来てるんだ。むしろこっちが迷惑かけてないか不安なくらいだよ」

白「色無さん・・・」

男「それに木のてっぺんを見ろ。ちゃんと仲間が助けてくれてるだろ?」

白「あ・・・」

男「俺も青も橙も緑も黒も皆白さんのことが好きなんだ。だから飛べなくても俺たちがいくらでも助けてやるからな」

白「色無さん・・・」(ギュ)


「風呂でも入ってこようかな」

 廊下を歩きながら色無がそう思っていると、脱衣所のほうから白がやってきた。

「あっ白さん。今出たとこ?」

 色無は声を掛けたが、

「……」

 白は色無のほうを窺うも顔を伏せてしまう。心なしか足元もおぼつかない。

「あわわっと」

 色無の傍まできたとき白は体勢を崩し、寄り掛かるような形になってしまう。慌てて色無は身体を支える。

「どっ、どうしたの?」

「……ごめんなさい、色無くん……疲れちゃって……」

 白の紡ぐ言葉は弱々しげで——。

「取り敢えず部屋まで送るよ」

 色無は白の身体を支えて一緒に歩こうとするが、上手くいかない。何より白から足が出ない。それ程までに疲れきってしまったのか。

「仕方が無いな」と思い、色無はアンパンマンが言う『僕の顔をお食べよ』というセリフよろしく自然な動作で背中を差し出した。

「どうぞ」

「あっありがとう……」

 白には選択肢がそれしか無かったのでありがたく頂戴する。

 だが——。

 むにゅっ。

 背中に柔らかく当たるそれを、色無は意識せざるを得なかった。

 決して大きいとは言えないが小さくは無い胸。その胸が背中に当たっているのだ。

 それに加えて「そわそわ」と儚い吐息が首筋にかかる。

「あうぅ……」と少し感じながらも色無は雑念を打ち消そうと、ブンッブンッと首を軽く左右に振る。

「どうしたの……?」

「なんでもない……です……」

 白からはシャンプーのいい香りがした。

 白の部屋の前まで来ると、白は安心したように、

「ごめんなさい……色無くん……ありがとう……」

 と呟いた。

「いいってことよ」

 ちょっと軽すぎるが、色無は下手に気を遣われるより、このぐらいのほうがいいと思った。

「ありがとう……」

 白はそう呟いた。

 白のベッドの前まで来た。

「よいしょっと……」

「きゃっ——」

 ベッドに降ろそうとしたとき、それほどいいかげんに降ろそうとしたわけではなかったのだが、白はバランスを崩してしまう。

そして、色無の服を掴み——。 

 ドスン。

 いくら色無が男で、白の体重が軽いからといっても、全体重をかけられれば堪える事は出来ない。色無はベッドの上に引っ張られ——。

「あっ……」

 白に覆い被さる形になってしまった。

「……」

 白は黙って目を瞑る。

 色無は妙に焦ってしまい、慌てて体勢を立て直しベッドから退く。 

「ごっごめん……」

「ううん、いいの……私が引っ張っちゃったから……」

「しゅっ、朱色さんを呼ぼうか? それとも病院に行ったほうがいいのかな……」

「大丈夫……前にもこうなったことがあるから……少し横になっていれば治るわ……」

 白はそう言って黙ってしまう。休んでいるのだろうが、何かこの状況は気まずい。

「じゃあ俺、帰ったほうがいいかな……」

 本当は一緒にいたかったが、人がいると気を遣わしてしまうかもしれないと思って色無はそう言った。

「ううん……帰らないで……」

 そう言われて部屋に留まったものの、白はもう15分、いや20分位だろうか、口を開かなかった。それほどまでにつらいのだろうか……。

色無は心配になり、もうちょっとこのままだったら朱色さんを呼ぼうと考えていた。そのときだった。

「ごめんね、心配かけて……」

 落ち着いたのか、白が口を開いた。

「私といると……迷惑かけるよね……」

「そんなこと……」

「ううん、かけてる。色無くんが離れて行っちゃってもおかしくないくらい……。昨日だって……」

 昨日の昼過ぎ、体育の時間に白は倒れ、色無に保健室まで運んで行ってもらったのだった。

「別にいいって。俺、別に迷惑なんかじゃないし」

「ううん、かけてる……。嫌になったら何時でも離れてくれていいからね……?」

「そんな……」

「こんな私に、いつも優しくしてくれてありがとう」

 どうしてそんな事を言うのだろう。色無にはわからなかった。

「どうしてそんな事言うの?」

「ふふ、どうしてかな……」

「……迷惑かけてるとか、そんな事無いからさ……」

「ほんと?」

「ほんとだよ。だって俺、白さんのこと好きだし……」

「……」

 沈黙が流れる。

「じゃあ、お願いしてもいいかな?」

「何?」

「消灯時間まで、手を握ってて」

「え!? あ、うん……」

 ぎゅっ。

「色無くん……」

「ん?」

「ありがとう——」

 つながれた手はそのままに、消灯時間までの間、束の間の時間、穏やかな時が流れた。


白い空を悠然と渡る鳥。

群れることなく、恐れることなく、まっすぐに羽ばたく鳥のようになれたらと。

窓の外、遮るもののない景色を見ながら、よくそんなことを考えていた。

「どした?なんか、気になることでもあったか?」

少し前を歩く彼は振り返り、優しく窺う。私は微笑って首を横に振る。

『大丈夫か?』と聞かずに、そうやって訊ねてくれた彼の優しさを感じながら。

「そっか。 さて、急ごうぜ。あんまり待たせると暴走しかねないヤツばっかりだからな」

「あはは……そうだね。うん、ちょっと急いで行こっか」

ひとつ息を吸って、走る。そこには恐れもないし、苦しさもない。まっすぐな道を、私はまっすぐ走る。

置いてけぼりを食った彼は、けれどすぐに私を追い抜いた。その表情は、私と同じように笑っていた。

あの笑顔の瞳は、『病弱な白』を見ているのではなくて。

あの澄んだ瞳は、『普通の女の子の白』を見てくれている。それが泣きそうになるくらい嬉しいことだとは、決して言わないけれど。

幼い私が望んだ私は、孤高のままに空を渡る鳥だった。

けれど、今なら言える。それは本当に子供らしい、拙い空想だったんだと。

だって。

温かく迎えてくれる人、そして寄り添う人がいたから、私はこの地上(そら)を、走(わた)れるようになったのだから——。


私は目覚める

いつもの無機質な病室

ベッドの横に設置されたテーブルには綺麗な白色の百合が飾られている

いつもならこの部屋になんの感情も抱かないけれど今日は違う

無「やぁ、おはよう」

優しく声をかけてくれる男性

この人がいるだけで私は生きていることを実感できる

白「おはよう、色無君」

彼の目を見ながら微笑み返事をした

周りからみれば大した事はないのかもしれないけれど私にとってはとても大事なこと

無「体調はどう?」

白「今日はすごくいいよ」

彼がいるだけで不思議と力がみなぎるような感覚さえおぼえる

いえ、正確に言うなら私が彼を欲するゆえに力がでるのかもしれない

無「そっかじゃあ俺は学校にいくから」

白「……わかった」

なんでだろうか

一生あえなくなるわけでもないのにこの瞬間はいつまでたってもなれない

切なく、孤独感と絶望間と焦燥感が私に押し寄せる

白「まって!!」

彼が椅子から立ち上がり背を向けたときに気が付いたら叫んでいた

白「色無君、ちょっとこっちにきて……」

無「あぁ、わかった」

心臓が高鳴る

苦しい

でも私は……

白「ねぇ……」

無「ん?」

白「もう少し近づいて?」

無「……」

彼は無言のまま側に歩み寄ってくる

白「もっと近くに……」

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私はありったけの力を引き絞り彼に抱きつく

無「うお!?」

白「……私のこと好きですか?」

しばしの沈黙

重たい雰囲気

無「好きだよ……」

白「ありがとう……」

彼の唇と私の唇が触れた

〜一週間後〜

白「私今日で退院できるんだ」

無「やったじゃないか!!」

白「一緒に学校に行けるね!!」

病室から出たとき白い百合が風に吹かれて優雅に揺れていた


白「お盆ですね」

男「だな」

白「お盆ってご先祖さまが帰ってくるんですよね?」

男「うん」

白「……色無君。もし私が」

男「ストップ。その先は、たとえ話でも言っちゃだめだ」

白「でも……私、今も急に不安になることがあって……もし、『そう』なっちゃっても……みんなに会いたいって……」

男「そう思うなら、どうやればずっと元気でいられるように考えようぜ。いつまでもみんなで一緒にいられるようにな」

白「うん。……ありがとう、色無君」


『I'm Alive』

白「けほっけほ……」

また、一日が始まる。無機質な病室で目覚め治療を受けベッドの上へ。

毎日この繰り返し。つまらない……いや、つまらないならまだいいほうかもしれない。

先に見える死をいつ終るのかわからない治療をしながら待つ。この真っ白で無機質な部屋に一人で……

そういえば入院してから死について考えていた。

死は全ての生物に平等にやってくる。でもそれが早く来すぎるのはあまりにも酷いと。

ただこんなことを言っていたらただの偽善者とも自分では思う。私よりも早くに亡くなる人もいるわけだから。

でも私は生きたい。もしかしたら病気がなおるかもしれない。それに偽善者だろうがなんだろうが死の瞬間がくるまで私は死にあらがってやろう。

死にたくないという生物の本能でこれは私の意思じゃないかもしれない。

それでも私は生きる。死の瞬間が訪れるまで……


真っ白な病室。

何もない部屋の中で、白は膝の上に取り出した手紙を広げた。

『白、具合はどうですか?……』

書かれた文字を目で追うと、何の色もない病室に様々な色があふれる。

活発な赤。凛とした青。明るい黄。

白は、みんなからの手紙を読むのが好きだった。

「ふふ、橙ちゃんたら……。あら、緑ちゃんも……」

本当は、自分も教室で、みんなと一緒に過ごしたい。

けど、こうして手紙を読んでいるだけでも慰められた。

本当に、みんなに感謝している。

手紙を読んでいた白の病室に、ばたばたと足音が近づく。

白は嬉しそうに顔を上げた。もうすぐ、手紙より鮮やかな色がドアからやってくる。

「白ちゃんっ!やっほー!」

「コラ、病室では静かにしろ!」

「あの、あの……」

「お土産持ってきたよ〜!」

いつか、教室で様々な色の一員として過ごせるよう、がんばろうと思える、友人たちに。

心をこめて。

「みんな……ありがとう」

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白「夜風が冷たくなってきたな……早く学校に戻りたい……」

無「よっ!」

白「色無くん!?なんでこんな時間にいるの?」

無「白もそろそろ退屈だろうなと思ってさ」

無「お月見しようと思ってさ」

白「お月見?」

無「ホントはもっと早くやるものなんだけどテストと重なっちゃってさ……ゴメンな」

白「ううん、そんなことない……来てくれて嬉しいよ……」

無「なっ、泣かないで!」

白「うん……ゴメン」

無「お団子食べようか」

白「うん」

無「満月じゃないけどこれはこれで綺麗だね」

白「うん、すごく綺麗……こんなに綺麗だったなんて……」

白「色無くん」

無「ん?」

白「ありがとう」

無「うん、どういたしまして」


白「よっと……」

今日は病院から退院し、私は寮に荷物を運びに来ている。

白「ふぅ……疲れた」

寮の自室に積み上げられた段ボール。これをみているとここで私の生活が始まるんだなと実感。

次の荷物を運ぶため段ボールが積み上げられた自室をでて階段をおり、寮の入り口にある荷物に手をかけがひとつの段ボールに荷物を詰め込みすぎたのか重くて持ち上げられない。

荷物相手に悪戦苦闘していると荷物が急に軽くなり声が聞こえた。

黒「苦労してるじゃないか。よっと」

白「あ、黒ちゃん」

ふと前をみると入院中によく見舞いに来てくれた黒ちゃんが荷物をもっていた。

白「あれ?学校は?」

黒「あぁ、さぼってきた」

くちもとに笑みを浮かべて黒ちゃんはそう言った。

白「一人でなんとかなるよ」

黒「私が手伝おうと思ったからそうしてるだけさ」

白「……ありがとう」

黒ちゃんは昔から私のことを支えてくれた大事な友人。入院してからも前と変わらずに接してくれたとても大事な人。

そして黒ちゃんと荷物を運びながら喋っているとまた声が聞こえてきた。

赤「お、白じゃん。退院おめでとう」

青「あら、荷物運んでるの?手伝う?」

赤「あ、私も手伝うよ」

白「そんな、悪いよ」

赤「気にしなぁい」

青「そうそう」

そういうと二人は荷物を運び始めた。

この二人黒ちゃんを通じて仲良くなった友達。二人ともすごい仲が良い。

黒「まったく、お人好しだな」

白「そうだね。ふふ……」

黒「なにかおかしいか?」

白「なんでもないよ」

これからの生活を想像し、期待に胸を膨らませ私は黒ちゃんと荷物を運び始めた。


無「昼間は暑いけど夜は少し肌寒いな」

白「うん」

無「寒くない?」

白「うん、大丈夫」

無「無理するなよ」

白「うん」

 「……」

白「ねぇ色無くん?」

無「ん?どうした?」

白「静かだね」

無「こんな寂れた夜の公園に来る物好きは俺達ぐらいだよ」

白「……世界に2人しかいないみたい」

無「確かに、でもなんか怖いなそれ」

—~ポフッ

無「白?」

白「やっぱり少し寒いかも……少しだけ……ダメ?」

無「……少しだけだからな……////」

白「色無くん暖かい……これからどんどん寒くなるんだね」

無「そりゃ少しずつ冬に近づいてますから」

白「私が寒くて我慢できない時は、また……こうしてくれる?」


白「〜♪」

黒「えらい機嫌が良いな」

白「今日から皆と一緒に過ごせるからね」

黒「そうか」

白「それより黒ちゃんは例の男の子とはどうなったの?」

黒「ど、どうしたいきなり」

白「入院中にしょっちゅう話してくれたでしょ?気になる人がいるって」

黒「そんなことはなしたかなぁ?」

白「うん」

黒「はぁ……なんていうかまだその例の男とは話しすらしてないんだ」

白「ちょっと意外だなぁ。いつも思ったことスパッと言うのに」

黒「めんぼくない……」

白「これからはがんばらないと。いままで私にかまってくれた分、今度は自分のことに専念してね?」

黒「ああ……」

白「さぁ、学校に行こ?」

黒「そうだな」

へっくしゅん!!

無「だれか噂してんのかなぁ?」


無機質な部屋の中、窓の外には夜空に月が佇んでいる。

白『はぁ……また戻ってきちゃった……』

涼しくなって体調が良いから……と、無理したのが不味かったみたい。

ーコンコン

病院、消灯前、看護士さんの見回り後……彼だ。

白『どうぞ?』

ーガチャ

無「よう」

前回の入院の際、見つかってしまったが担当の看護士さんに事情を説明し、今では彼女の夜勤時のみだけど正面からやってくる。

無「無理……させちゃったな……」

白『そんな事ないよ!』

無「でも……」

白『大丈夫。ね、それより、これ』

無「ん?」

白『みんなが【寂しくない様に、気分だけでも】って』

と言ってテーブルのお団子と花瓶に入ったススキを見せる。

無「ハハ……アイツ等らしいな」

白『……でも、みんなと一緒が良かったな……』

ちょっと愚痴ってみる。

白『でも、入院でもしないと貴方を独り占め出来ない……』

どちらも本音だ。

無「あー……それに関しては、ごめん」

白『うふふ、嘘だよ〜だって頼まれたら断れない性格。だって知ってるから』

無「あは、は……」

彼は困った顔をしている。でも、そんな顔も愛おしい。

白『でも、そんな所も大好き!だよ』

そして照れてる顔も愛おしい。

無「ありがとう。俺も全てを敵に回しても、白を守るから」

その言葉を毎回聴く度に体の真ん中があったかくなる。

無「そうだ、忘れてた。……コレ」

そう言って取り出したのは白兎のストラップ。

兎さん達が月から祝福してくれてる様な気がした……


「せっかく色無君と約束していたのにな……」

 自室で一人で横になる女の子。最近昼と夜の寒暖の差が激しい所為か体調を崩すことが多い。

それでも幼い頃何かと入退院を繰り返していた頃に比べれば随分と良くなったのだ。それにはわけがある。

小さい頃から少しでも体を丈夫にしようと努力してきたことが実を結んだのだった。

もともと人当たりの良い性格だった為、学校を休みがちながらも友達が多く、

友人との交流を通して元気をもらったり、勇気付けられたりしたこともそれを後押しした。それに——

「あ〜あ……」

 それに今年高校に入学して知り合った男の子の存在も大きかった。彼と一緒にいると勇気が湧いてきた。

ようやく最近自分でも親密になれてきたと思っていたのに。

「んー」

 布団の中で寝返りをうつ。ゴロゴロゴロゴロ。いいんだ、私はこういう虫なんだ、とふてくされていると、

こんこんと戸を叩く音。誰かが尋ねてきたのかな……? ガチャッ。

「よう」

「色無君!?」

 彼女が扉を開けるとその男の子が立っていた。脇には大きなぬいぐるみを抱えている。

「どうしたのそれ?」

「こういうの、白さん好きでしょ?」

「私に?」

 朝から見かけないと思ったらどうやらこういうことだったらしい。

私と行けないからきっと他の誰かと出掛けたんだろうなと白は思っていたのだが。

「あっありがとう」

「おっおう……」

 白は色無の気持ちが嬉しくて笑顔で言った。

だが、その笑顔が色無にとってとても綺麗だったため上手く返事が出来なかった。こういうとき、なんて言えばいいのだろう。

 

「じゃあ、お大事に」

 ひとしきり話をすると色無はそう言った。きっと白に気を遣ったのだろう。

「う、うん」

 体も大丈夫そうだったしもう少し一緒に居たかったのだが白は上手く言えなかった。こういうとき、なんて言えばいいのかな……。

 バタン。

「……」

 一人取り残された部屋で白は、ぼーっとしている。もともと自分の部屋だから、取り残されたもなにもないのだが。

その胸にはさっきもらったぬいぐるみ。

「あ……色無君の匂いがする……」

 そういうと白はそれを大事そうに抱え抱きしめた。

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『ゆめ』

無「あ、白」

白「色無さん」

無「さん、はやめてよ。僕は呼び捨てにしてるのに」

白「……じゃあ、色無君」

無「呼び捨てでいいのに」

白「いいでしょ? でも色無君はどうしてここに?」

無「ちょっと風邪気味だから診てもらおうかと思って。白は?」

白「私はお薬を貰いに……」

無「僕に言ってくれれば、一緒に貰ってきたのに」

白「いいえ、運動にもなりますから」

無「そっか……あ、僕といたら風邪うつるかも。もう行くね」

白「……」きゅ

無「……あの、白?」

白「色無君の風邪ならうつってもいいですよ?」

無「……じゃあもしうつったら看病するよ」

白「……うん。ありがとう色無君」

無「ほんとはうつらない方がいいんだけどね」

白「うふふ……(いつかあなた、って呼べるようになりたいな)」


病院の敷地内にて。

白「あ、猫だ」

無「おー、猫だな」

白「ごろごろしてるー。猫って可愛いよね」

無「ああ。白は猫好きなんだな」

白「うん、大好き。でもね……」

無「?」

白「触ったりとか、抱いたりはできないの。動物アレルギーで」

無「……そ、か」

白「……でもね、猫って見てるだけで可愛いし、幸せ。だから大丈夫」

無「そ、だな。確かに猫、可愛いしな」

白「だよね。……それじゃ、行こっ」

後日。見舞いに来た色無。

無「……あーっと、白」

白「ん? 何、色無くん」

本を差し出す色無。

無「猫、好きって言っただろ? 写真集、見舞いに持ってきた」

白「え? これ、くれるの?」

無「おう。もし良かったら受け取ってくれ」

白「……嬉しいっ。ありがとっ、色無くん」

満面の笑みを浮かべ、受け取る白。

無「いや、たまたま売ってたから……」

言いつつ、赤くなる色無。

——猫も大好きだけど。

——色無くんは、もっと大好きだよ。

心の中で、白は呟いた。


私は生まれつき体が弱かった

だからあまり家の外に出ることが出来なかった

そのせいなのか、それとも生まれつきなのか私の肌は真っ白で

白い壁の白い病室の白い私が生きてる証を刻んでも

この世界にとけ込んでしまって

生きているのに、死んでるかのよう

生まれた時から入院と退院の繰り返し

お父さんとお母さんに心配をかけてばかりで

優しく手を握ってくれる2人に何も返すことができなくて

いるのに、生きてるにも関わらず、何もすることができなくて

まるで私は色鉛筆の白のよう

ただあるだけで決して使われないし使えない

白い画用紙に描いてみてもとけ込んでしまって

描いてあるのに、描けていない

でも、君は違った

真っ白で見えない私を見つけてくれて

そして言ってくれた

“白は立派な色なんだ”って

“いつかボクも綺麗な白い色に染まりたい、何の色も持たない透明なボクも”って


『ぬくもり』

無「おはよう、白」

白「おはようございます色無くん……くしゅん」

無「風邪?」

白「この所冷えるから、そのせいかもしれないです」

無「……はいこれ」

白「上着なんて脱いだら色無くんが風邪ひきます、着てください」

無「いいから、ほら」

白「……ありがとう」

無「少しはマシになった?」

白「……」

無「ボーっとして……ひょっとして熱が出た?」

白「……色無くんに抱きしめられているみたいです」

無「な!」

白「なんだかとても安心出来ます」

無「ぁ……ぅ……」

白「今日はいい日になりそうです」


『石焼き芋?』

無「はふはふ……どうして焼き芋ってうまいんだろなー?」

白「あ、あれ? 色無くん……?」

無「あ、白ちゃん。どうしたの?」

白「ちょっとお薬をもらいに……色無くんは?」

無「ちょっとお腹がすいたから焼き芋を。白ちゃんも一緒にどう?」

白「え? えーと……ちょっとだけ、もらってもいいですか?」

無「はい、どうぞ」

白「ありがとうございます……あっ、あつっ」

無「あっ、大丈夫?」

白「は、はい。大丈夫です。……あっ、おいしい……」

無「それは何より。んじゃ俺も……あー、うまいなー」

白「……ねぇ、色無くん。 あーん(照)」

無「し、白ちゃん?」

白「あーん(照)」

無「……あーん(照)」

白「ど、どう? おいしい?」

無「う、うん。おいしい」

白「よかった……それじゃ、あーん」

無「(え、ま、また? 恥ずかしいけど……)あ、あーん」

白「ふふっ(嬉しいなぁ……こういうことが出来るなんて)」


白「〜♪ 〜♪」

無「お、白。何歌ってるんだ?」

白「あ、色無くん! カントリーロードを歌ってるの」

無「カントリーロードかぁ……懐かしいな。でもどうして?」

白「この前『耳をすませば』を見て、その時に流れていたから覚えちゃった♪」

無「耳をすませば、かぁ……あれ、現実であったら恥ずかしいよな」

白「そうですか? 私は嬉しいですけど」

無「えー……だって最後のシーンとか、恥ずかしいだろう?」

白「……」

無「あ、あれ、白?」

白「……色無くんなんて嫌いです」

無「え!? ど、どうして!? あ、ちょっと、白〜!!」

白(色無くんと一緒に自転車に乗れたら、って思ってたのに……色無くんの馬鹿)


無「ゴホッゴホッ……」

白「色無君、大丈夫?おかゆつくったけど食べられそう?」

無「おぉ、ありがとう……」

白「……ふふ」

無「どうした?」

白「なんかいつもと逆だね」

無「そういえばそーだな……いつもこっちがお見舞い行ったり看病する側だったからな……白は最近体調良さそうでよかったな」

白「うん、お陰様で。この調子ならクリスマスもお正月もみんなと一緒に過ごせそう」

無「ホントよかったなー……おまえがいないと寂しいからな」

白「え……あ、ありがとう……色無君こそ、はやく元気になってね……私も色無君がいないと寂しいから……」

無「お、おう」

白「……そうだ、熱測らなきゃ」

無「あぁ……って白顔近すg」

   ピタッ

白「……よかった、大分熱下がってきたみたいだね///……ごめんね、どうしてもこれ1回やってみたかったんだ///……

そ、それじゃあお大事にね」

無(ぉぉおでことおでこが……てか唇があんな近くに……あわわわプシュゥゥゥ)

黄「色無まだ風邪治らないね」

橙「うん、熱39℃もあるし……よくなりかけてるっていってたのに心配だな」

白(はわわ……もしかして私のせい……?)


『しろのゆめ?』

白「あれ? もう朝かな?」

チュンチュン

白「朝よね……あれ、耳が」

カチャ

無「スースー」

白「簡単に色無君の部屋にこれた……体も軽いしやっぱり夢よね」

無「スースー」

白「なら……ぇぃ」ゴソゴソ

無「んっ、朝か……あれ? 何か……」

白「すぅすぅ」

無「白!」

白「……ぁ、おはようございます色無君」スリスリ

無「し、白さん。朝からそんな……」

白「外は寒いけど色無君の布団は暖かくて気持ちいい……すぅすぅ」

無「……」

白「すぅすぅ」

無「寝ぼけてるにしては、ずいぶんハッキリ喋ってたし……ひょっとして夢だと思ってるのかな」

白「……いろなしくん……むにゃむにゃ」ぐいっ

無「ちょ、抱き付いたら動けな」

白「……しあわせ〜……むにゃむにゃ」

無「……さてと、色々名残惜しいけど、起きる前に白の部屋に運ばないと……」

白「ふぁ……私の部屋だ。……やっぱり夢だったのかな」

無「おはよ、白。その耳かわいいね」

白「色無君……夢じゃ無かったんだ」

無「ホントに猫みたいだったよ、気がついたら布団に入ってきてたしね」

白「私……すごいことを……」ボッ

無「あ、赤くなった」


『編み物』

白「また、かぜひいちゃった……色無君と遊べない——」

TV『——です、貴女も気になる方に手編みの物をプレゼントしてみては?』

白「……これね」

無「最近白に会えないな、風邪だって言ってたけどひどいのかな」

白「色無君」

無「白! 風邪はもう大丈夫なの?」

白「ええ、あんまりひどくならなかったから」

無「そうなんだ、よかった」

白「それで……あの……これ」

無「手袋?」

白「うん、編んでみたの」

無「ひょっとして最近会ってくれなかったのって」

白「ごめんなさい、早く編んで色無君にプレゼントしたかったの」

無「白……ありがとう」


『編み物』

白「また、かぜひいちゃった……色無君と遊べない——」

TV『——です、貴女も気になる方に手編みの物をプレゼントしてみては?』

白「……これね」

無「最近白に会えないな、風邪だって言ってたけどひどいのかな」

白「色無君」

無「白! 風邪はもう大丈夫なの?」

白「ええ、あんまりひどくならなかったから」

無「そうなんだ、よかった」

白「それで……あの……これ」

無「手袋?」

白「うん、編んでみたの」

無「ひょっとして最近会ってくれなかったのって」

白「ごめんなさい、早く編んで色無君にプレゼントしたかったの」

無「白……ありがとう」


白「黒ちゃん必死で調べてたけど何を調べてたんだろう……」

病気 治療

応急処置 やり方 方法

白「黒ちゃん……やっぱり優しいな……他には……」

マンドラゴラ

ユニコーンの角

賢者の石

不老不死 薬

人体錬成

闇魔術 復活

白「……」


無駄に明るいお部屋に一人っきり。名前と同じ真っ白なお部屋。

黒ちゃんに持ってきてもらった本も読み終わってしまい、手持ち豚さん……じゃなくて無沙汰。

ここで、もしここが学校の寮で、下から楽しそうな笑い声が聞こえてきたとしたら泣いてしまうかもしれない。

そんな人恋しい夜。小さい頃からの一人。

病気によって不確かな私。揺らぐ想い。

ふと、あの人のことが頭に浮かぶ。

少ないお友達の中でもたった一人の男の子のお友達。

寮のみんなに好かれていて、人気者の男の子。

もちろん私も彼のことが好きだったりするのです。

あの人は明日も来てくれるのかな?

そんな不安が過ぎる、案外に寂しがり屋な私。

だけど、もし、来てくれなかったら私はもうダメかもわからない。

いつか言ってくれた「白のことが好きだ」って言う言葉。

それはもちろん友達としてってゆう意味だと思うけど、私にとっては最大級の告白爆弾だった。

恥ずかしかった。照れた。びっくりした。嬉しかった・

その言葉があったから私は笑っていられた。楽しんでいられた。

人が居ない事は寂しいと思える私がいた。

彼は毎日、私の病室に遊びに来てくれた。

だけど黒ちゃんが教えてくれた。

彼は中々に忙しい人なんだって。

帰宅部だけど、余った時間はほとんどアルバイトをしているらしい。

彼とは一年生からの付き合いだけど、その頃から始めているみたい。

何のためかは解らないけど、ここに来られないことがあるかもしれないって。

だから私は不安になる。

あの人の顔が見られない日がある事。

声が聞けない。話が出来ない。触る事も出来ない。

あの人の手は大きい。あの人の声は暖かい。あの人の笑顔は穏やかで安心する。

私の半分はあの人なのだと実感すると同時に絶望する。嫌だ。

眠れない夜が続く……

嫌だ、恐い、不安だ、寂しい、辛い、苦しい。

見えない、聞こえない、触れられない。

来て!ここに来て!見て、触って、聞かせて。

私をこんな所から連れ去ってずうっと一緒にいて!

愛して……色無くん……

眠れない夜はこの後もずうっと付きまとった。

だけどあの人は毎日来てくれた。毎日、笑いあった、話し合った。

ある時、彼は私にこう言った。

「白、退院したらさ、どこかへ旅行に行かないか?」

旅行。中々外に出られない私にとってはとても魅力的で、奇跡だと思えた。

「どこがいい?海とか、高原とか……何かないか?」

「いや、金ならある。こう見えても金持ちなんだ。海外は辛いが、大抵のところなら行けるぞ」

あ、アルバイト……

「会った頃からずっと思ってたんだ。白にはいろんな物を見て欲しい、知って欲しいって」

色無くん……

「連れて行けるもんなら俺が連れて行ってやりたいって。だからバイトした。しまくった」

私を……連れ去って……

「好きだ、白。一緒に、来てくれ」

それは私の心臓を止めるほど衝撃的で、それでいて何よりの活力になる言葉だった。

望んで、待ちわびて、絶望して、諦めて、でも望んで。

繰り返し繰り返し私の体を巡って支配していった物。

好き。彼の口からの好き。いつか聞いた物と、なんら変わらない物だった。

好き。今度は私の口から、好き。

「ずうっと一緒にいて……」

私は、彼を求めた。彼は応えた。

それだけで、不確かな私は確かな存在に成れたような気がした。

決して揺らがない想いがそこにあった。


無「ただいま〜」

白「あ、お帰り、色無君。先にご飯にする? お風呂にする? それとも……」

無「ちょ、ちょっと! ご、ご飯にするよ! 早く食べような!」

白「??(橙ちゃんがこういうと良いって言ってたのに……)うん、じゃあ準備するね」

 

無「でな、緑がまたいろいろ言うから俺がまた大変な目にあって……」

白「ふふ、大変だったね」

無「ああ……白、お前どうかしたのか?」

白「え? その……えっと……」

無「正直に言ってくれ、なにかあったのか?」

白「今日、調子が悪かったから病院にいったんだ。そしたら……」

無「そしたら?」

白「出来てたんだ」

無「ええ! また悪い腫瘍とか病気とか……」

白「ち、違うよ! ほら、家の近くによくいるネコちゃん。動きづらそうだったから黒ちゃんに頼んで連れて行ってあげたの。そしたら妊娠してたんだって!」

無「じゃ、じゃあ、お前は大丈夫なんだな! 別に病気とかじゃないんだよな」

白「うん、私はもう平気だよ……色無君に心配なんてさせないよ」

無「そっか……」

白「あのね……お願いがあるんだけど……良いかな?」

無「ん? なんだ」

白「子猫が生まれたら……一緒に世話してあげて?」

無「ああ、任せておけ。きっと可愛いから、お前にも見せてやるよ」


無「あー寒いなぁ……暖冬とかいってたけど寒いもんは寒いんだな」

白「うん、そうだね。でも、今夜あたり雪が降るかもって予報で言ってたよ」

無「そっか。やっぱり雪が降らないと物足りない気がするな」

白「そうだね、寒いだけっていうのもちょっと……」

   ヒュゥゥ

白「ひうっ」

無「あ、大丈夫か!? 冷えちまったか?」

白「う、ううん。平気、平気……」

   ヒュウウ

白「ううっ」

無「全然平気そうじゃないじゃん。ほら、上着貸すよ」

白「えっ? でも、そうしたら色無君が」

無「俺はいいんだよ、お前がつらくなきゃ」

白「でも……う〜ん……えいっ!」

無「お、おい。腕に抱きつくなって……どうした?」

白「えへへ、こうすれば腕だけでも寒くなくなるでしょ」

無「え? あ、その、ありがとな」

白「温かい?」

無「す、少しだけな。は、早く行こうぜ。冷えないうちにな」

白「うん!(私は……とっても温かいよ)」


白「寒いねー」

無「コタツに入りながら言うセリフじゃないよ。寒いならベッドに入ってなよ」

白「それにしてもコタツで食べるミカンってどうしてこうも美味しいんだろうね」

無「(無視?)う〜ん、その場のシチュエーションが関わってくるんじゃないか?」

白「そっか……」

無「……」

白「……」

無「……」

白「ねぇ、色無君」

無「ん?」

白「あ〜んってして」 

無「な、何をいきなり!」

白「だって、人から食べさせてもらうのって美味しいんだよ? ……あ〜ん」

無「……あ、あ〜ん。う、うん。確かに美味しいな」

白「えへへ、でしょ? だから……あ〜ん」

無「……はいよ、どう?」

白「うん! 美味しい!」


白色って言って、思いつくものって聞かれて

多くの人はこう答えると思う——雪、って。

雪って、とても儚い。

手に触れたら、あっという間に解けちゃう。

そんな雪のように、私の体はとても弱い。

赤ちゃんのように、元気に走れない。

黄ちゃんのように、元気に喋れない。

紫ちゃんのように、元気に、怒ることもできない。

普通、というのがとてもうらやましくて。

私は……生きる希望なんてなかった。

……うん、あのときの私は、後ろ向きだったんだよね。

今は違う。

いっしょに歩きたい人がいる。

いっしょに過ごしたい人がいる。

いっしょに——生きていきたい人がいる。

私の大切な人。

私に、生きる希望を与えてくれた人。

「白ー。お見舞いに来たぞー」

「あ……色無くん♪」

色無くん……いつか、隣を歩いていいですよね?


 すずめのさえずりで目がさめた。

まだ肌寒い二月、いつもの様に体温を測り、祈るような気持ちで体温計を見る。

「……よかった」

 ちょっと高いけれど、かろうじて平熱の範囲を示している事にほっとする。

「これで今日も色無君と登校できる」

——色無君。

 口にしたその響きが少し恥ずかしくて周りを見回す。

本人の前では『さん』付けでしか呼べないけれど、心の中ではいつも『君』をつけてよんでいる。

——そう呼べたらどんな気分だろう? 

 時計の針が、いつもの時間をさしたのを確認してから、私は玄関を出た。

 口からでる息が白くなっている。

「……少し失敗したかも」

 歩き始めて10分程で、もう少し厚着してくれば良かったと後悔し始めた。

「でも、この服を早く色無君に見て欲しかったし」

 新しく買ったコート。

 少し薄手だけれど、デザインと雪のような白色が気に入って買ったコート。

「似合ってるって言ってくれたら嬉しいけど」

15分程歩いた所で、いつもの場所につく。

 私がついてから1分もしない内に色無君がやってくる。

いつもの場所でいつもの会話。

「おはようございます、色無さん」

「おはよう、白」

 私の顔を少し見つめてから、色無君は言葉を続ける。

「白、その『色無さん』てやめない? 僕は呼び捨てにしてるのに」

「でもなんだか恥ずかしくて」

「そういうものかな?」

「そういうものなんです」

——いつものやり取り。でも今日は少し違った。

「白、そのコート」

「うん、どうかな?」

感想が欲しくて先をうながす。

「うん、よく似合ってる。白はそういう服がよく似合うね」

 嬉しくなる、微かに感じていた肌寒さも感じなくなるほどに。

「ありがとう、嬉し——」

くしゅん

 私の口からくしゃみがでた、やっぱり少し寒かったみたい。

「綺麗だけど少し寒そうだね。学校も近いし、ほら貸してあげるよ」

そう言って色無君は、自分の着ているコートを脱いで私に着せようとしてくる。

「そんな事したら色無さんが風邪ひきます、早く着てください」

「いいから、はい」

そう言って、私の肩に優しくコートを掛けてくれた。

自分のコート越しに色無君の体温が感じられる気がして、私はその場に立ち止まった。

「白?」

立ち止まった私に気付いた色無君が、少し先で私に振り返る。

 腕を組むなんてまだ出来そうにない私が、今とても色無君に近づけたような気がした。

「白、やっぱり熱が出ちゃった?」

——心配するような色無君の優しい声。

私はその声を軽く首を振って否定すると、

「……色無君の匂いがします」

そう、ぽつりと呟いた。

「なっ!」

それだけを発して固まる色無君。

「……色無君に抱きしめられているみたいです」

少し大きいコートに包まれながら、少しの間、私は幸せな時間にひたった。

——いつかその腕に抱かれる事を願って。


無「……雪が降ってきたね……」

白「……はい」

無「綺麗だね」

白「……はい」

無「積もると良いね」

白「……はい」

無「俺と一緒にいてもつまんないよね」

白「……は……ぃじゃなくていいえ」

無「……」

白「たっ、楽しいですよ?!」


無「この季節にホラーっていうのも……臨場感に欠けるな」

白「見てみたかったんだらいいもん」

無「まぁ白が見たいんならそれでいいけどさ」

白「……」

無「目に焼き付けないほうが良いよ、本当」

白「……ひゃぁ!」

白「い、色無くーん」

無「だから言ったのに……」

白「……一緒に寝てくれる?」

無「……寝付くまでね」

白「う、うん」

無(涙目で枕抱えながら言われたらOKするしかないじゃん)


高校を卒業してからの初めての春休み。俺は白を連れてそう遠くない田舎へ旅行に行った。目的は、海。いつか、白が行ってみたいと言っていたのを思い出したら居ても立ってもいられなくなったのだ。

昼間に寂れた木造の駅に到着した俺達は街の小さな食堂で昼飯を済ませたあと、予約していた旅館に辿り着いた。何のことはない普通の小さな旅館だ。でも精一杯だ。

割り当てられた部屋で荷物を置き、電車や歩きの疲れを癒す。俺はそんなでもなかったのだが、白の方は少し辛かったようだ。それから俺達は旅館から駅と反対方向にある浜辺へと移動した。

広がる海。人がいない、静かな浜辺。白が望んだ場所。

白の顔色を伺ってみると、その表情は輝きに満ちていた。もう十代の末だというのにまるで幼女のようにはしゃいでいた。疲れの色は見えない。

来て良かった。ここに来て初めてそう思った。

白の手を取って、俺はゆっくりと防波堤のコンクリートの階段を下りていった。

ふと、見上げた空は徐々に赤く染まりつつあった。

恐る恐る、といった風に寄せ引きする波に素の片足を近づける白。その指先をからかう様にちょっとだけ触れる波。

「きゃ」

控えめな悲鳴を上げる白。撫で付けた波はそそくさと身を引いてゆく。

暫く唖然としていた白だったが、すぐに気を取り戻して再び波に食って掛かって言った。

取り戻した気は随分と強くなって帰ってきたらしい。今では笑みを浮かべて、海水が浸み込んだ浜辺を踏みつけて、こちらに手を振るという余裕。翻る白いワンピース。

「色無く〜ん。コレすっごいよ〜!」

おいおい。浜に向かってコレはないだろうコレは。

「でもさ、ホラ。夕日」

この世の全てかのようにはしゃぎ、躍る指先が刺すのは西。半分沈んだ太陽はその色を変えて世界を照らしていた。

白の足元に揺らぐ波は、それを色濃く受け、よく、夕く染まっていた。

「あっかいね」

白は嬉しそうだ。

こんな事がそんなに嬉しいのだろうか?と嘆息してみる。なんとも無しに見やった先にあるものを見つけた。

「白。あれ、乗ってみないか?」

あれ。

「あれって……ボート?」

無造作に放置されたソレは所在無さげに横たわっていた。

規則的のような、不規則のような、そんなリズムで波は俺と白とボートを揺らしている。

ゆっくりと、ゆっくりと。

「私、こんなの初めてだよ」

白がボートの上から手を伸ばして海面を撫で付けていた。

「海。行きたいって言ってたもんな」

俺は一定のところでボートを安定させて、オールを休めた。

幸い、海は穏やか。激しく揺れ動く事は無かった。

「うん。今まで、来た事無かったから」

海面と同様に穏やかな瞳で、波に揺れる自分の手を見つめる白。

「だから、嬉しかったな。連れてきてくれて」

そっと、海面から手を離し、俺の方を向く。向けられる顔は、暗くてよく見えなかった。

気がつけば、夜。辺りは月明かりに照らされていた。

「もうこんなに真っ暗なんだ」

「ああ。風も出てきたし、帰ろうか」

すると、寂しいな、と沈んだ声。

「帰るのは明日なんだから落ち込むなよ」

「そう……そうだよね」

理解はしているが納得はしていないという風な声。

「明日。また今度……かぁ」

今度。

白の口にしたそのキーワードに、俺は少し嫌な気分を催した。

「白」

「え?……んっ…!」

身を乗り出して、無理矢理白の唇を奪う。

数秒、そうして唇を離すと、俺は諭すように言った。

「また今度。明日、な?」

暫く惚けていた白だったが、やがてこっくりと首肯した。

ゆっくりと動き出すボート。

月明かりに照らされて数瞬見えた俯く白の顔は、少し赤かった。

今度。

白の身体は決して丈夫ではない。今まで死に臨んだこともあったそうだ。そんな白にとって、今度、とか明日、といったワードはとても希薄なものでしかない。何度、その言葉に裏切られてきた事か。

だからこそ俺は、俺だけは、白の今度とか明日を守ってやろうと思っている。俺に出来るかどうかはわからないけど、何でもしてやるつもりだ。だから。

また、ここに来ような。

翌朝、ばっちし白の寝顔をご尊顔できた俺は最高の目覚めだった。

「おはよう。白」

「おはようございます、色無君」

半眼の目を擦って布団から半分だけ身を起こす白。

「服、着ような」

「……む〜、色無君だって……もう着替えちゃってる……」

もう一度言う。最高の目覚めだった。

午前中は、街中を二人でうろついたりして過ごした。途中途中の土産物の店で立ち止まって品見。とくに珍しいものは無かったが買わない訳にはいかないので、適当に選んだ。

来た時とは違う食堂で昼飯を済ませる。そして駅を通りすぎて昨日の浜辺へ。

「今日は浜まで行かなくていいのか?」

「うん、いいの。今日はこうしていたいから」

俺達は二人、防波堤のコンクリートに腰掛けて海を見つめている。

緩やかに降り注ぐ陽光。それに当てられた風がそっと、俺達を撫でていった。

「暑くないか」

「うん」

長い白髪をうなじでまとめたリボンが揺れる。頭は、今俺の肩に寄り添っていた。

「電車。何時出発だっけ?」

「14時半。あと一時間くらいしたら行かなきゃな。」

「そっか……」

俯く白。顔は見えない。

「ゴメンね。私のために」

唐突に謝ってくる白。解らない。

「色無君の進路の話。高校卒業したら遠くの知り合いのお店で修行するって言ってたのに、近くの栄養士系の短大にしちゃったから。お店開くの夢だったのにね」

何だ、その事か。確かに俺はその夢を白に話したし、それに向かって勉強してきた訳なんだが。

「私、足引っ張ってるよね。ゴメンね」

だからってそんな震える声で言わなくたって。

急激に白が愛おしくなって、その細い肩を抱き寄せる。

「気にすんなよ、それは俺が勝手にした事なんだし」

実際は白と離れられなくなって進路変更したんだが、それを言える俺ではなかった。

白との時間は何時終わるか解らない。高校の時でさえ何度か肝を冷やしたのだ。もう離れる事なんか出来なかったんだ。

「うん…うん……わかった。わかったよ……」

俺の言葉で何を感じ取ったのだろうか。白はそれっきり話を止めて、俺に身を預けていた。

2時になって、俺達は駅へ向かう道を歩いていた。

少し先を歩く白の足取りは軽く、先程のような影は見えない。一歩踏み出すごとにロングスカートがヒラヒラ震えた。

「ねぇ、色無君」

軽やかな足取りを止めて、白はスカートを翻してこちらを振り返った。

「なんだ?」

「また、ここに来ようね」

ああ、いいぜ。お前が望むんならな。何度でも行こう。どこへでも行こう。

「今度は二人じゃなくてね……」

言葉を区切って、白は自分の腹、というか下腹部辺りを両手で撫で付けるようにした。

「三人で!」

そして、満面の笑みでこう言った。

三人ね、三人……って、はぁ!?三人?ちょ、し、白さん、どうゆうことですかな三人ってちょっとおい!

「えへへへ……」

こら、照れるんじゃない!そうなのか?そうなんでしょうか?

俺の問いかけには答えずに、なお嬉しそうにお腹を撫でる白。そして再び軽やかに駅へと踵を返したのだった。


18歳、晴れて大学に合格。

みんなで集まってお祭り騒ぎ。そのとき、色無くんに告白する。

一日待って、いいよという返事。すごく嬉しかった。

22歳、大学を卒業する。

出席の関係上いくつか単位を落としつつも、なんとか4年でクリアすることができた。

色無くんとは変わらずに仲良く過ごしてる。就職が決まったということで、これからは二人で暮らそうって言われた。

断る理由なんてない。私は思わず抱きついちゃって、後ですっごく恥ずかしい思いをした。

24歳、病院で完治の宣告を受ける。

医療の進歩は私の知らないところでものすごく進んでいたらしく、治らないと言われた過去を見事に覆してくれた。

長年のかかりつけだった先生と握手し、仲良くなった看護婦さんたちから花束をもらう。思わず泣いちゃった。

これでもう不安になることはない。だから私は色無くんに、今まで言えなかったことを言おうと決めた。

そしたらその夜、色無くんから『結婚しよう』と先に言われちゃった。そのあとのことは……よく、おぼえてないや。

25歳、急に吐き気がして病院に運ばれる。

もしかしてまた、という不安が胸をよぎったけど、先生はすごくにこやかに言ってくれた。

「これは病気なんかじゃない。おめでとう。おとうさん、おかあさん」

「白……」

病室に訪れた色無は、興味本位でそのノートを覗いてしまったことをひどく後悔した。

願いの書き手は今、目の前で静かに寝息を立てている。もうすぐ退院できると言ってから、もう一週間が過ぎている。

「……」

色無は顔を上げると、ノートに挟まれていたシャープペンシルをノックして、ざくざくと何かを書き込む。

そしてノートを閉ざして元の位置に戻すと、無言のまま部屋を後にした。

『ごめん、このノート見ちまった。お詫びに、このノートに書かれている以上に、幸せな未来を約束するよ』


白「色無くーん」

無「白? どうしt……ブッ!~Yシャツにネコミミって、何て格好してるんだ!」

白~「にゃ? 別に普通だもん。それよりも色無くん、一緒に寝よ? ね」

無「お、おい抱きつくな……って酒のにおい! 酔ってるだろ、お前!

白~「全然酔ってないにゃー、ねぇ早く寝よ?」

無「し、白。本当に待て! お互い落ち着いてだな……」

白~「……」

無「……」

白「……」

無「ん? 白?」

白「くーくー」

無「寝てるよ……助かった……のか?」

白「ふにゅ……色無君」

無「これなら一緒に寝ても大丈夫……か? ……じゃ休み、白」

白「んにゃぁ……」


白「遅れてごめんね〜色無君」

無「いいよ、俺も今準備できたところだし」

 とは言っても二十分前にはここでスタンバイしていたのだが。

 ある金曜日、白からデートの練習がしたいといわれた。

無(練習って何だよ?)

 理由を聞いてみるといざという時に役立つと橙から言われたそうだ。

 断る理由もないのでもちろんOKした。

 というわけで隣町の大きなショッピングモールまで出かけることになった。

無「じゃ、電車に遅れると困るし、行こうか」

白「うん!」

 この笑顔を見れただけで今日の目的の三分の一は達成されたようなものだ。

白「この服……どうかな」

無「どれ、おおいい感じじゃないか」

白「ホント?! ちょっと試着してくるね!」~  

 ここに来て早一時間。白のファッションショーは終わりをみない。

白「じゃーん! 似合う?」

無「うん、似合う。似合う」

白「むぅー、本気で言ってるぅ?」

 実際、白は何を着ても似合うのだ。白い服は特に。

無「本気だって……そろそろお昼だな。昼食でもとるか」

白「そうだね。じゃ、ちょっとコレ買ってくるね」

 といって早々と着替えるとレジへと走っていていった。

 昼食後。俺たちはモール内を散策することにしたのだが……

白「ねぇ、色無君」

無「ん、どうした?」

白「今通り過ぎたお姉さんに見とれてたでしょ?」

無「そ、そんなことは……」

白「ダメだよ、色無。今はデート中なんだから。今は私だけを見てなきゃ」

 白の言葉にドキッとした。白ってこんなにアクティブだったか?!

 病気が完治するまでずっと病室の景色しか見れなかったらしいからな。もしかしたら……これが本当の白なのかもしれない。

白「あ、あの小物屋さん入ってみない?」

 別にそうじゃなくても構わない。あんな白も今日は俺だけのものだ。

白「このブレスレット、可愛いよね」

無「いいんじゃないか」

 『キラキラした瞳でそれを見る白が一番可愛い』

 なんてことは言えるはずも無く。こうしてまた傍観者である。

白「ねぇ、色無君が選んでくれない?」

無「え?~いや、俺ってセンスないし……」

白「そんなことないよ。ほら、私だけ見ててもつまらないしね」

 言われてしまってはしょうがない。選ぶとしようか。白が身に着けるからには最高のものにしなくては。

無「じゃこのネックレスなんてどうだ?」

白「んー……うん!~とっても可愛いと思う!~でもちょっと高いね……」

無「いや、いいよ。俺が買ってくる」

 今日は白のためにここまで来たんだから。俺は白の声には耳を貸さず、ネックレスを購入した。

無「はい、白。俺からのプレゼント」

白「あ、ありがと……あれ?そっちのネックレスは?」

無「実はな、これはペアになってるらしくて。こっちはもう片方」

白「そうなんだ、じゃお揃いだね」

無「だな」

 気恥ずかしかったが、白も同じだろう。ほんのり頬が赤かったから。

無「なんか人が多くなったな」

白「ホントだね、夕方だから?」

 近くに駅もあるし帰宅ラッシュになっているのかもしれない。ふとすればはぐれてしまいそうだ。

無「白、手をつなごう」

白「ええっ?!」

無「あ、いやほら、人も多いし……それにデートだし」

白「う、うん。そうだね、デートだしね」

 一瞬の間があって手の中に白の手が入ってきた。

 それは思ったより小さかったけど、とても温かなものだった。

 俺はそれをギュッと握った。

 その帰り道。俺は電車の中でダウンしてしまった白を背負っていた。

白「ごめんね、色無君。はしゃぎすぎちゃった」

無「いいよ、重たくないし」

白「でも……」

無「いいんだって。今日は楽しかったろ?」

白「うん。色無君、また行こうね」

無「……そうだな」

 今度は『本物のデート』で。

白「……」

無「何か言ったか白」

白「ううん、なんでもない」

無「そっか。早く帰るか、腹も空いたし」

白「うん」


『お見舞い』

白「ちょっと風邪をひいただけで入院させなくてもいいのに……」

コンコン

白「はーい(看護士さんかな?)」

無「白、お見舞いにきたよ」

白「色無くん! ……ただの風邪なのにおおげさですよ」

無「様子を見て来いって皆に言われてさ」

白「……そうなんだ」

無「後はこれ」

白「ケーキ?」

無「一応お医者さんの許可はとってあるから」

白「……ひょっとして、色無くんが作ったの?」

無「なんでわかったの?」

白「なんとなく。一言でいうと、優しい感じがしたから、かな」

無「すごいね、寮のみんなは信じられないものを見る目で見てたのに」

白「切りわけてある……残りは?」

無「置いてきたけど」

白「ふふ……じゃあ今頃全部なくなってますね」

無「まさか」

白「……色無くん、食べさせて下さい」

無「え?」

白「検査ばかりで疲れちゃいました、でも色無くんに食べさせてもらえたら風邪も治りそう」

無「わかりましたよ、お姫様」

白「……ふふ」

無「……ダメだ、やっぱりこういうのは似合わないや」

白「そうですか? 私は嬉しいですよ」

無「……それじゃあ、はい」

白「『あーん』てして下さい」

無「え……じゃあ、あーん」

白「あーん……もぐもぐ。すごく美味しいです、ありがとう色無くん」


『温泉旅行』

 白と結婚して数ヶ月。なんというかまだまだ恋人という感じだ。

 それだから温泉旅行に行こうと言われたときは色々と緊張してしまった。

 だって旅行ってことは泊り掛けってことで……白の身体のこともあったから……ゴニョゴニョ……もまだなわけで……

 といった邪な妄想をしていたのは俺だけで、白はとても楽しみにしていた。

白「ねぇ、大丈夫? 少し顔色が悪いみたいだけど」

無「ああ、大丈夫大丈夫。ちょっと昨日眠れなかっただけだから」

白「そうなんだ。えへへ、実は私も楽しみであまり寝付けなかったんだ」

 目的地に向かうバスの中で子供のように微笑む白。……なんだろう、この罪悪感は。

無「思えば二人でこんな遠くに行くのも初めてだな」

白「そういえばそうだね」

無「いい思い出にしたいな」

白「うん、たくさんお風呂入ろうね」

無「のぼせるぞ。そういえばお土産とかどうする? 普通に温泉饅頭とか?」

白「そういえばあそこのお饅頭って美味しくて……」

 そんな他愛も無い話をしている間にアナウンスが目的地を告げた。

 バスを出た瞬間、温泉特有のにおいが鼻を衝いた。

無「結構人多いな。お年寄りだけかと思ったら若い人も多いし」

白「結構雑誌とかでも取りあげられてるんだよ? 適度に入れば健康にも良いし」

無「ふ〜ん、そうなのか」

白「ほらほら、ボウっと立ってないで早く旅館に行こう? ね?」

無「あ、ごめん。分かったよ」

 せっかく来たんだから思いっきり満喫させてもらおうか。

 ……ここに来てから俺の温泉町にかかわる常識が覆され続けている。

 旅館も新しいし、温泉も10種類ぐらいあるし……俺が無知なだけだろうか。

 そんな疑問を抱えつつ俺は早速温泉に入らせてもらっていた。

無「それでもこの露天風呂の気持ちよさだけは想像通りだったかな」

 休日にも拘らずほぼ貸切みたいな状態もさらによし。

 その時脱衣室から誰か入ってきた。別のお客さんだろうか。

無「……え?」

??「あれ?」

 そこには何故か白がいた。

 タオルもつけてない白の身体は本当にきれいで──下ろし立てのシャツみたいに真っ白で。

 つい俺はじっと見つめてしまった。

無「って……うわっごめん、ごめん! 見てない、何にも見てない!」

白「ああ、あなた。落ち着いて。ここ……混浴だよ?」

無「混浴? あ、た確か案内にあったな。ご、ごめん、俺だけ焦っちゃって」

白「ふふ、気にしてないよ。私も入っていいかな?」

無「ああ。好きなだけ入ってくれ」

 きちんと初めにお湯をかぶってから白が入ってきた。

 なんだか気恥ずかしくて俺は後ろを向いた。

白「なんで後ろ向いちゃうの? お話しようよ」

無「い、いや別に。なんとなくだよ」

白「照れなくていいのにー。もう」

 といって背中を合わせてきた。お湯とは違った別の温かさが背中を支配する。

白「ねぇ、あなた。どうして私を選んでくれたの?」

無「な、なんだよ突然。前に話したじゃないか」

白「なんだか聞きたくなっちゃって、もう一回お願い」

無「あー……毎日白の顔を見たいと思った。毎日白の声が聞きたいと思った。だからお前を選んだんだ。……いいか?」

白「うん、ありがとう。あなた」

無「これぐらいお安い御用だ」

 気恥ずかしさは消えうせ、俺はなんだか嬉しくなってしまった。

無「それにしても白」

白「ん、どうしたの?」

無「お前結構……着痩せするんだな」

白「〜〜〜」

 背中を叩かれ続けたがあんまり痛くなかった。

 温泉から出た後、俺たちは町を散策してみることにした。

白「ねぇねぇ、このキャラクター可愛いよね」

無「そ、そうか? 番頭をぬいぐるみ化しただけじゃないか?」

白「可愛いよー。私買ってこよ」

無「ちょ、白!~はぁ……ん?」

 一つの女将の格好をしたぬいぐるみが目に付いた。

白「おまたせーって、何を見てるの」

無「このぬいぐるみ白に似てないか?」

白「ええっ?!~似てないよー」

無「そっか、じゃあこれ買ってこよう」

白「ダ、ダメだよー」

無「白だって買ったじゃないか。文句言える立場じゃないぞ」

 そして、俺はさっさと会計をすませる。仕返し完了。

店員「お幸せにね」

 ……聞かれてた。

 旅館に戻ったときには日も暮れて、夕飯の時間になっていた。

 飯は非常に美味しかった。ま、白のには及ばないけどな!

 そして、就寝時間……

無「眠れねぇ……」

 寝れるわけない、すぐ隣には浴衣姿の白が寝息を立てている。

 ここで行かないでどうするんだ?!

無「い、いいよな……? ……ゴクリ」

 生唾を飲み込む音がやけに大きく聞こえた。

無「……」

 俺はそっと白の布団へ移動する。そして……

 ガバッと布団を……捲る予定だったんだけどな。

 なんていうか白の天使みたいな寝顔見てたら……やる気が失せてしまった。

 穢したくないっていうか、大事にしてやりたいって気分になった。俺は実感した。

無「本当に好きなんだな……白のこと」

 へタレって言われればそれまで。みんなにも言われてることだしな。ハハハ、泣くぞ。

白「ん……あれ、どうした? 眠れないの?」

無「起こしちゃったか。悪いな。あ、白ほら月が出てる」

白「え。本当だ、綺麗だね」

無「まったくだ」

 今はそんなことよりこの瞬間を大切にしよう。一瞬一瞬が大切な思い出になるだろうから。

 帰りのバスの中、白は楽しそうだった。

白「楽しかったね」

無「ああ、疲れも取れたしな」

白「また行こうね」

無「ああ、二人っきりでな」

白「……出来れば三人以上でがいいな」

無「……」

 昨日の件については後悔などしていない。機会なんていくらでもあるはずだ。

白「い、いやだな。み皆でってことだよ。……エッチ」

無「へーその割には顔が赤かったぞ」

白「そんなことないもん、イジワル!」

 あせらずゆっくりと歩んでいくとしよう。

無「ははは……なぁ白」

白「なに?」

無「俺と結婚してくれてありがとう」

白「……こちらこそ、ありがとう」

 輝かんばかりの白の笑顔。

 この笑顔と一緒ならおれはどこまでも歩いていける。


白「あなたー、もう朝ですよ。朝ごはんも出来ちゃってますよ」

無「ん……白か」

白「うん、おはよう!」

無「ふぁ、ねむ……昨日本読んじゃったからかな?」

白「おはよう!」

無「朝ごはんももう出来るみたいだな」

白「お・は・よ・う」

無「……ああ、おはよう。いい朝だな」

白「うん! さ、早く顔洗って。一緒にご飯食べよ」


無「んー、風がつよいな。なんか雨も降りそうだし」

白「い、色無君、ちょっと開けてもいい?」

無「ん、白? どうしたんだ、もうとっくに寝てる時間だろ」

白「そうなんだけど、風の……音が怖くて」

無「あーなるほど、確かに怖いな。で?」

白「つまりね、その……えっとわ、分かってるよね?!」

無「いやーその枕だけ持ってこられてもなんのことだか」

白「う〜……い、一緒に寝てもいい?」

無「ああ、いいよ。みんなに知られると大変だから今日だけだぞ」

白「えへへ、やっぱり暖かいなぁ……色無君のお布団は」

無「そんなもんか? 皆一緒だろ」

白「違うよー色無君のはね、色無君の優しさ成分が入ってるんだよ」

無「なっ、馬鹿なこと言ってないで早く寝なさい!」

白「うん、おやすみー」

無「はぁ……」


無「はぁ、まだまだ朝は寒いな」

白「色無くーん、おはよ!」(ムギュ)

無「うおっ?!~し、白か。おはよう」

白「えへへ」(ギュー)

無「し、白、離れてくれ、歩けないだろ?」

白「んー却下します!」

無「まったく……どうしたんだよ、急に」

白「好きな人のそばにいたいのは女の子として当然の考えだよ」

無「お前、また酔ってるだろ!」

白「そんなことないよ。さ、早く学校いこ?」

無「しょうがないな……もう」

白「あれ、色無君? ……夢だったんだ……はぁ」


白「い、色無君」

無「どうした、白」

白「その……て、Tシャツ貸して!!」

無「今日は午前中には洗濯物は全部乾いているはずだけど」

白「あぅ……そうなんだけど……その」

無「ん? 白、なぜに濡れているんだ?」

白「実はね……」

無「あー、お茶を盛大にかけちゃった訳ね」

白「だから、お願い!」

無「もう残り少ないんだけど……はい」

白「ありがとー、よっと」

無「まま待って!!! 後ろ向くから!!」

白「えへへーどう色無君? 似合う?」

無「いや、うん、似合いすぎ」

白「ちょっと大きすぎるかな?」

無「そ、そうだな(む胸元が……)」

白「んーやっぱり寒いなぁ」

無「まぁ、早めに部屋に戻ったほうがいいと」

白「色無君、泊めて……くれないかな?」

無「そうくるとおもってたよ……別に構わないよ」

白「やったー」

無「ただし! その格好で俺の理性が保つ保証は無いぞ」

白「いいよ……色無君になら大丈夫だよ」

無「ぐっ……さ先に寝てるぞ!!」

白「うん、じゃお隣に失礼しまーす」

無(耐えろ、なんとしてでも耐えろ!)


無「ふぁ……おはよう白」

白「おはよう。なんだかまだ眠そうだね」

無「ん、昨日はな……白、ちょっと来て」

白「え? なんですか」

 (むにゅ)

白「ひにゅ!?」

無「あーやっぱり白は温かいなー」

白「い色無くーん」

無「ごめんごめん。でも眠気は覚めたよ、ありがと白」

 (チュ)

白「っ!」

無「さーて、今日も頑張りますか!」

白「もう……」

色無と白。結婚後のある朝。


—コンコン

白「どうぞ〜」

無「しろ〜入るぞ〜」

白「あ、色無くん今日はどうしたの?ひとり?」

無「今日は白におみやげがあるんだ」

白「?」

無「はい。これ」

白「わぁ♪きれいな桜」

無「寮の庭の桜の枝を少しばかり頂戴してきた」

白「よかったの?」

無「朱色さんに許可をもらってあるよ」

白「そうなんだぁ。ありがとう色無くん♪」

無「喜んでもらえてよかった。来年は一緒にお花見しような」

白「うん♪……あの〜色無くん?」

無「ん?」

白「もうひとつお願いがあるんだけど……いい?」

無「白のお願いとあらば何でも」

白「じ、じゃあ……あ、あたまをなでて欲しいんだけど」

無「それくらいならお安い御用」

—ギュッ

無「!?しろ?」

白「もう少しだけこのままで……」

無「あぁ。わかった」


『届け物とお菓子』

ピンポーン

白「はーい」

がちゃ

無「白、今日のプリント持って来たよ」

白「色無くん……ありがとう」

無「じゃあ帰るね、また明日——」

白「ま、待って」

無「?」

白「ひまだったからクッキー焼いていたの、良かったら食べていって?」

無「いいの?」

白「うん、一人で退屈だったし」

無「おじゃましまーす」

白「はいこれ」

無「うわ、すごい! 売ってるお菓子みたいだね」

白「いっぱい練習したから」

無「もぐもぐ……うん、おいしいよ」

白「……良かった」

無「でも寝てなくていいの?」

白「少し寝たら熱も下がったし、あんまり寝てると夜眠れなくなるから」

無「そうなんだー、あ、そうだ。クッキーのお礼に今日勉強したところ教えてあげるよ」

無「えー、だからここは、えー、こうなります、えー、それでは色無、えー、答えなさい」

白「……色無くん、先生のまね上手なのね」

無「あれ? 教室でやったときはみんな笑ったのに。面白く無かった?」

白「学校に行ってるみたいで嬉しかったです」

無「白……わかった、出来るだけ白の家に来て教えるから、白も学校にこれるようにがんばってね」

白「はい……ありがとう、色無くん」







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 02:47:28