色鉛筆男×女

橙「あー重ッ。ったく女の子に荷物なんか運ばせるなって、担任め」

紫「おい橙、荷物代わるか?」

橙「んー?なんだ紫か。いいよ私やるから」

紫「なんでだよ。今ぼやいてただろ?」

橙「だってさー……あんた私よりちっちゃいじゃん?」

紫「ちっちゃいゆーな。一応俺だって男だ」

橙「いいっていいって。ラクショーよ、こんなの」

紫「おい、階段気を付けろよ」

橙「あっ!!」

橙、階段で転びそうになる

がしっ (紫、橙の腕を引っ張る)

紫「大丈夫かよ?」

橙「あ、ありがと……」

紫、自分が橙を抱き留めてる形になってることに気付く

紫「あっ……(///)た、たまたまお前が危なかったから助けただけだからな、ふ、深い意味なんてねえぞ!」

紫、早足で逃げる

橙「(あいつ、意外と力あるんだ……やっぱり男の子だなぁ)」


青「なんでこう、男子連中は仕事が遅いの?早く仕上げなきゃならないのに!」

黄緑「大変だね」

青「大変だね、じゃないわよ。黄緑も男子をまとめてよ」

黄緑「わかってるけどさ。青、君はつらくないの?毎日忙しそうだけど」

青「私は大丈夫よ。それより」

黄緑「それより、じゃない。君はいつも君自身を蔑ろにする。もっと楽になりなよ」

青「え?」

黄緑「僕の前でくらい、弱音とか吐いたっていいんだよ?僕にだって、それを聞くことぐらいできる」

青「……ありがと」

黄緑「いえいえ。僕だって、大したことはできないしね」

青「そんなことない。黄緑はすごいと思う」

黄緑「そう?じゃあ、そのすごさで君を楽にさせてあげられればいいな」

青「……じゃあ、少し愚痴に付き合ってくれる?」

黄緑「ええ、喜んで」


黄「このちび!」

紫「ちびって言うな!そっちだって男のくせにちっちゃいくせに!」

黄「なんだと!」

紫「なによ!」

 『う〜』

黄緑「はいはい二人ともやめなさい。それで?喧嘩の原因は?」

黄「……なんだっけ」

紫「……忘れた」

黄緑「あらら……とにかく二人とも謝りなさい」

黄「……ごめん」

紫「あたしも……ごめん」


黒「ただいま」

緑「おかえり、黒」

黒「ご飯出来てる?」

緑「あっ……ごめん、まだ何も用意してなかった」

黒「もう……ということは新しい小説が出来たってこと?」

緑「うん。また後で感想を聞かせてほしいな。ご飯作ってくるよ」

黒「……最近はすっかり貴方が料理してばかりね」

緑「仕方ないさ。黒は仕事があるんだから」

黒「でも結婚するときに約束したでしょう?料理は当番制にしようって」

緑「うーん……じゃあ仕事が休みのときでいいから」

黒「そうするわ」

緑「でもどうしたんだい?急にそんな話をするなんて」

黒「……悔しいのよ。いつの間にか貴方に追い越されそうで……元々料理を教えたのは私なのに。それに……」

緑「それに?」

黒「……なんでもないわ」

緑「……?」

黒(愛妻弁当に憧れてた……なんて言えないもの)


空「灰!一緒に出かけよう!」

灰「う?あー、今日はパス。寒いし」

空「何言ってるのさ。今日は暖かいからほら、コタツから出て!」

灰「やーめーろー。私の安息のときを邪魔するなー」

黒「あら、空君おはよう。灰を誘いに来たの?」

空「あっ、黒さん。おはようございます」

黒「灰。出かけてきなさい」

灰「やだ。寒い」

黒「ふーん……ところで灰、これなーんだ?」

灰「!!!そ、それはモンハンポータブル2nd!」

黒「機能買っておいたんだけどいらないみたいね。空君やる?」

灰「姉上様どうか御慈悲を」

黒「だったら引きこもってないで出かけてきなさい。帰ってきたら渡すから」

灰「ちぇー……」

灰「おまたせー」

空「……灰?暑くないの?」

灰「はっはっはー、だいじょーぶー」

空「顔真っ赤になってるよ!まったくもう……」

灰「いやー、犯されるー」

空「しません。僕だってもうちょっとムードってものを……」

灰「へ?」

空「!な、なんでもない!」

灰「ふーん……」


緑「ふわー……」

黄緑「あらあらこの子ったら。そんなにキョロキョロしないの」

緑「ごほんがいっぱい……」

黄緑「ふふふ。じゃあいい子にしてるのよ」

緑「うん」

緑(しらないごほんがいっぱいだ……どれよもーかな……)

?「こんにちは」

緑「!?」

?「きみもごほんすきなの?」

緑「……うん」

?「そーなんだ。じゃあぼくといっしょだね」

緑「……あなたのおなまえは?」

水「ぼくはみず」

緑「わたしはみどり……」

水「このごほんおもしろいよ」

緑「……ありがとう」

水「どーいたしまして」

青「水ー、そろそろ帰るわ……あら、こんにちは」

緑「……こんにちは」

青「可愛い子ね。水の友達?」

水「んと、さっきあったの」

黄緑「ごめんなさいね、緑待たせちゃ……あら」

青「あっ、黄緑? 久しぶりねー。その子黄緑の?」

黄緑「えぇ、娘の緑。その子は?」

青「息子の水よ。そっかー、ねぇ緑ちゃん?これからも水と仲良くしてくれる?」

緑「はい……」

水「よろしくね」


赤「ふー、疲れた……」

緑「おかえりなさい」

赤「あれ、緑だけか?他の皆は?」

緑「とっくに練習を切り上げて帰ったわ。貴方が最後」

赤「そっか……悪いな、待っててくれたんだろ?」

緑「それはそうよ。戸締まりはマネージャーの私に任されてるんだし。それはそうと……赤」

赤「な、なんだ、怖い顔して」

緑「私言ったはずよ?練習のしすぎは返って身体に毒だって」

赤「だけどよ……なんか、やってないと落ち着かねーんだよ」

緑「……仕方ないわね、やっぱり私がメニュー組むしかないのね」

赤「い、いや、別にいいよ」

緑「駄目。ハァ……皆の噂になりたくなかったんだけど……」

赤「……やっぱ嫌か?」

緑「嫌じゃないわよ。ただ貴方に迷惑がかかるでしょう?」

赤「……そんなことない。俺は……俺は、緑となら、噂になりたい」

緑「……馬鹿」


黄「そういやアンタと黒って仲いいわよね。全然性格真逆なのに」

橙「あぁ、そうだな。ぶっちゃけ俺アイツの事嫌いだったし」

黄「そうだっけ?」

橙「口に出しては言わなかったけどさ、なんかすかしてるって勝手に思ってた」

黄「あー。でもあれって実際は……」

橙「単純に人付き合いが苦手だからってだけなんだよ。そのせいか白に対してめちゃくちゃ直球だし」

黄「そーそー。で、どうやって仲良くなったのよ」

橙「あー、それはな……」

赤「おい、橙。アレ歌えよ」

橙「え?いいのか」

赤「気にすんな。お前の十八番だろ?」

橙「んじゃー、遠慮なく……逃げたり諦める事は誰も、一蹴『あれば出来るから歩き続けよう』……?今の誰だ?」

赤「俺は違うぞ」

緑「僕でもないよ」

橙「茶色はバイトだからいないし……となると残るは……」

黒「……悪いか」

橙「……なぁ、黒」

黒「なんだ?」

橙「ちょっと勝負しないか?」

黒「……?」

橙「……という訳だ」

黄「アンタって顔に似合わずアニソン大好きだもんね……てか黒もそうだったとは……」


灰「うー……」

黒「……どうしたの灰?」

灰「!……お姉ちゃん……」

黒「ご飯出来たから呼びに来たんだけど……なんでこんなに散らかってるの?」

灰「……ちょっとね」

黒「……空君?」

灰「な、なんでアイツが出てくるの」

黒「あら図星?確か明日でしょう、一緒に買い物行くの」

灰「うん……青さんの誕生日に何か渡したいから付き合ってほしいって」

黒「それがどうしてこんなことになるのかしらね」

灰「わかってるくせに……意地悪……」

黒「なんなら服貸してあげようか?」

灰「いいの?」

黒「たまには私も姉らしいことがしたいもの」

灰「……ありがと」


赤「今日はこんなとこかな……」

空「あっ、先輩お疲れさま」

赤「おっ、空。お前も残ってたのか」

空「競技会も近いんで最近はギリギリまで練習してるんですよ」

赤「ほー……やっぱ彼女がいると違うなぁ」

空「!!!ななな何言ってるんですか!べ、別に灰とはそんなんじゃありません!」

赤「俺は別に灰の名前は出してないが?」

空「あっ……ハ、ハメられた……!」

赤「まだまだ甘いな」

空「そーいう先輩こそ姉さんとはどうなんですか?」

赤「ふっふっふ。大絶賛ラブラブ中だ」

空「なんスかそりゃ。誰が絶賛してるんだか」

赤「まぁお互い彼女の前で恥かかねぇよう練習しっかりやらねぇとな」

空「はい!」


橙「おっはよー水色くーん!(ギュ)」

水「むぅッ!!!ぐぅう!!」

橙「ありゃ?苦しかったかな?」

水「ふぁあ。苦しいですよぉ……!」

橙「ごめんごめん。それでどうだった?」

水「なっ、何がですか?」

橙「お姉さんの オ ッ パ イ ♪」

水「えっ!僕は……その……(カァァ)」

橙「何とも思ってないんだぁ?お姉さん、ショックぅ」

水「でも……それじゃあ……」

橙「お姉さん、女として自信無くしたなぁ」

水「橙さん……!気持良かったですよ……!うんッ!」

橙「気持良かったって……何もそういうこと聞いたわけじゃないんだけど……」

水「そっそれは感覚とかじゃなくて」

橙「一種のセクハラだよ、それは」

水「違います!そういうことじゃなくてぇ!うっ……うぅ……」

橙(これだからたまらないわぁ……)


「はい、どうぞ」

「……なあ桃」

「?どうしたの?」

「いやその……迷惑じゃないか?」

「迷惑って?」

「だからその……こうやって弁当を作ってくることが迷惑になってないかと……」

「……そんなことない」

「え」

「そんなことない。それとも……緑君は迷惑?」

「そ、そんなことはないが……」

「じゃあどうしてそんなこと言うの……?」

「だからその……本当に迷惑じゃないかと思っただけで……すまない」

「ううん。ありがとう、緑君」

「その……まだ慣れなくて、こんな風に誰かと付き合うのは初めてだから……」

「……じゃあこれからゆっくり慣れていけばいいよ、私も……初めてだから……」

「……そうだな」


「緑ー。邪魔するぞーって……」

「ん、赤か」

「赤君こんにちはー」

「先客がいたのか」

「ん、どうした?おおかたテストが近いから色々聞きに来たんじゃないのか?」

「いやあ、遠慮しとくわ。俺も馬に蹴られて死にたかねーしな」

「なっ!?あ、赤!」

「じゃーなー」

「まったくあいつは……だいたいどこであんな表現を覚えてきたんだ……」

「あ、青ちゃんから教えてもらったんじゃないかな……」

「はあ……まあいいか、それで他に何かわからないところは?」

「あ、うん、ここのところなんだけど……」

「ああ、これか。ここは……」

「そろそろ休憩にするか……」

「うん。ありがとう、緑君」

「気にするな。元々このために僕に近づいたんだろう?」

「!もう……意地悪……」

「ははは」

「……今は違うからね?」

「……少し眠くなってきた」

「え、みどりく(どさっ)……寝ちゃった」

「もう、眼鏡かけたまま寝ちゃ駄目だよ……どのくらい強いのかな……ちょっとつけてみよ」

pencil_1902.jpg

「わー……やっぱりすごい度だなあ」

「ん……」

「あ、起きちゃうかな?」

「あれ……眼鏡は……」

「はい、眼鏡」

「ん……桃……?」

「ごめんね、ちょっとだけ眼鏡借りてた」

「そうか……すまないな、昨晩も遅くまで本を読んでいたから……なかなか面白いんだ、今度桃にも貸してあげよう」

「うん、楽しみにしてるね」


「えーっと、ここはこう?」

「違うわ。その公式じゃなくて……」

「あ、なるほど」

「それにしてもやっぱり白は飲み込みが早いわね、助かるわ」

「誰か他の人にも教えたの?」

「最近だと橙かしらね、あの子に教えるのは疲れたわ……」

「ふーん。そういえば試験が終わったら夏祭りだね」

「そういえばそうだったわね」

「僕も久しぶりに浴衣とか着たいなあ」

「そうね、私も着たいわね」

「黒は浴衣似合いそうだよね、髪長いし」

「ありがとう。でも今は目先のテストの心配よ」

「それもそうだね」


「し、しろくん、どこいくの?まってよー」

「こっちこっち」

「こんなおそくにおそとでたらおこられるよ?だいじょーぶ?」

「だいじょーぶだいじょーぶ」

「つかれたよー……」

「うえみてうえ」

「うえ……?ふわ……きれー」

「すごいでしょ、ここだとおほしさまがすっごいきれーなんだよ」

「ほとにきれーだね」

「ひみつのばしょだよ」

「ひみつのばしょ?」

「うん、くろちゃんとぼくだけのひみつ!」

「えへへ……しろくんありがとー」

「どーいたしまして」

「……夢、か……」

随分懐かしいな……あの頃は白は今よりずっと元気で……いっつも私のほうが引っ張られてたっけ……

「それに……今よりもずっと素直だったな……」

今度の夏祭り……頑張ろう


黄緑「あら、黒ちゃん早いのね」

黒「!!おおおお早う黄緑……」

黄緑「あら……もう朝ごはん作っちゃった?」

黒「た、たまたま早起きしちゃったから……暇だったし……」

黄緑「それにしても珍しいわねぇ……あっ、わかった」

黒「わ、わかったって何が?」

黄緑「白君が久しぶりに寮にいるから張り切ってるんでしょう?」

黒「!!!!!ちちち違うわよだからホントに偶然早起きしちゃったからで、べべべ別に白とは何も……」

黄緑「はいはい。あ、黒ちゃん、お味噌汁煮立っちゃう」

黒「え、嘘!?」

赤「……あれ、今日の味噌汁いつもと味違うな」

水「そういえばそうだね」

紫「お出汁変えたの?」

黄緑「今日は作った人が違うから。ね、黒ちゃん?」

白「あ、これ黒が作ったんだ。どおりで……」

黒「……何よ。確かに私より黄緑のほうが美味しくできるでしょうけど……」

白「あ、そういう意味じゃなくて……懐かしいなって。よく黒の家にはお世話になってたからさ」

黒「……それで?」

白「それでって?」

黒「……美味しい?」

白「もちろん」

黒「……そう」

?「……」

黄緑「あら、今日は桃ちゃん?」

桃「え、あ、そ、そうじゃなくて!?」

緑「……早いな、桃」

桃「!??!!」

黄緑「お早う、緑君」

緑「ああ、お早う」

桃「どどっどどど」

黄緑「休みの間は緑君徹夜が普通だから」

緑「ついつい買い溜めていた本を読んでいるとな……」

桃「だ、駄目だよ、ちゃんと寝ないと!ほら、クマ出来てるよ?」

緑「あ、ああ……」

桃「そういえばなんで黄緑ちゃんはそんなこと知ってるの?」

緑「ああ、黄緑にはよく世話になってるからな。眠気醒ましのコーヒーを入れてもらったり……」

桃「……ふーん」

緑「……桃?どうした?」

桃「別になんでもないよ?」

緑「……ならいいんだが」

黄緑「ほらほら桃ちゃん、お詫びに美味しいコーヒーの煎れ方教えてあげるから」

桃「本当!?」

緑「……美味いな」

桃「ほ、本当に?お世辞とかじゃなくて?」

緑「ああ。不思議と黄緑のものより美味く感じる」

黄緑「うーん、悔しいけどそうかもね。だってその一杯には桃ちゃんの愛情がたっぷりこもってそうだし」

桃「あ、ありがとう……」

黄緑「そういえば今日の朝ごはんも桃ちゃんが作ったのよ」

緑「桃が?」

黄緑「昨日黒ちゃんが白君に喜ばれてたから」

桃「ち、違うよ!?た、ただたまたま早起きしちゃっただけでその……」

緑「……よく味わって食べさせてもらうよ。それともう一つ」

桃「え?」

緑「エプロン。よく似合ってる」

桃「!!!!!」


赤「お前が羨ましいよ、緑」

緑「なんだいきなり」

赤「だってよー、あんな可愛い娘が彼女なんだぞ?羨ましいに決まってる」

緑「お前には青さんがいるだろう。なんだ、心変わりか?」

赤「バーカ。俺がアイツのこと嫌いになるわけないだろ」

緑「まあそれもそうだな……じゃあなんなんだ?」

赤「それでも青にはないモノを桃は持ってるんだよ……あの胸だよ!なんだあの男の欲望を具現化したようなサイズは!?」

緑「……なるほどな。ところで赤、広辞苑と百科事典、どっちで殴られたい?」

赤「ちょっ、なんでそんなもん構えてんだよ」

緑「お前が人の彼女に堂々とセクハラ発言をするからだ」

赤「悪かったよ……」


桃「あふい……」

緑「桃、アイスを直に持つのはやめたほうがいいぞ。後になって手がべたつく」

桃「あ、うん」

緑「あと赤からの伝言だ『棒アイスはクラスで食べないでくれ』」

桃「ふえ?なんれ?」

緑「僕にもよくわからん。ただ何故かクラスの男子の大半が前かがみか鼻血を吹いて倒れた」

桃「なんれらろーね。あっ、垂れちゃった」

緑「やれやれ、しょうがないな。拭いてやるからじっと……」

桃「や、やっぱり自分で拭くよ」

緑「あ、ああ……」

全男子(緑そこかわれえええええっっ!!!)


『水着』

赤「いやぁ、眼福眼福」

青「何しみじみしてんのよ」

赤「だってなぁ、こんだけの美人がみんな水着着てるんだぞ?男としては堪能しないわけにはな」

青「スケベ」

赤「スケベで結構。自分の彼女の魅力的な姿が見られたんだからな」

青「バーカ」

桃「ほら緑君も一緒に泳ごうよ」

緑「わ、わかった。わかったから腕にしがみつくな。む、胸が……!」

桃「あっ……ご、ごめん!」

緑「い、いや、謝る必要はないんだ。ただ……色々と我慢が効きそうにない……」

桃「あ、あの……我慢、しないでもいいんだよ?わ、私、緑君になら……」

緑「!!!桃……」

桃「え、あ……」

緑「大好きだ」

桃「んっ……!はあっ……」

緑「……すまんな、いきなりこんなことをして」

桃「う、ううん!ほ、ほんとに嫌じゃないから……むしろもっとしてほしかったり……」

緑「……君は本当に僕の理性やそういったものを粉々に砕いてくれるな」


黄緑「そういえばもうすぐお盆だけどみんなは実家に帰ったりするの?」

青「私は家がすぐ近くだから寮にいるつもりよ。さすがにお墓参りなんかは行くけど」

桃「私もそんな感じかな」

黒「私もだけど家が近い人はみんな残ると思うわよ」

水「僕は実家に帰ります……お盆だしおじいちゃんに会いたいから」

紫「あっ、じゃあ水一緒に帰ろうよ。あたしも水のおじいちゃんに会いたい」

水「じゃあそうしよっか」

茶「うーん、僕も帰ることになるのかな」

黄「同じく実家帰り」

赤「俺もだな。親がたまには顔見せろってうるさいし」

緑「僕もそのつもりだったんだが今朝しばらく家を留守にするという連絡があったからな……残ることになるんだろうな」

青「……じゃあ食事当番は桃と黒ということで」

桃「え、ええっ!?」

黒「どうしてそうなるのか理由を説明してよ」

青(白と緑が残るんだから手料理ふるまうチャンスよ)ごにょごにょ

桃&黒「!!!!!」


灰「あづい」

空「言うと余計に暑く感じるよ……」

灰「うー、空、アイス買ってきて」

空「ちょっ、なんで僕が」

灰「だって暑いから動きたくないし」

空「僕だってそうだよ」

灰「んじゃじゃんけんで」

空「オッケー。じゃんけん……」

空「暑い……くそぅ、灰は昔からじゃんけん強いからな……迂闊だった……」

空「はい、買ってきたよ」

灰「おお、ご苦労。何味?」

空「いつものガリガリ君。これでよかったよね?」

灰「いやー、付き合いの長い幼なじみがいると幸せだなー」

空「よく言うよまったく……」


夏休みも残り少なくなりました

紫「うわーん、宿題が終わんないよー」

水「だ、大丈夫だよ、まだ時間はあるし……僕も手伝うから」

紫「うー、こんなことになるなら夏休みの最初からやっておけばよかった……」

黄緑「あらあら。でもそれ毎年言ってない?」

紫「う……」

赤「あー、終わんねー!」

青「アンタ毎年この時期になるとそれね……もっと計画的に進めなさいよ」

赤「そうは言ってもよー、やっぱ遊びたいだろ?」

青「まったく……来年はそんなこと言ってられないわよ?」

赤「だからこそ!実質高校最後の夏休みなんだから遊ばねーと損!」

青「はいはい。いいからちゃっちゃと終わらせなさい」

橙「青さまどうかこちらにもお慈悲を……」

黄「お願いします……」

青「しょーがないわねぇ」

赤「ああ、見捨てられた!?」

青「緑あとよろしく」

緑「結局面倒は僕に回ってくるんだな……」

赤「ああ緑大明神様〜」

緑「馬鹿なことを言ってないで手を動かせ」

黒「相変わらずこの時期のここは地獄ね……」

桃「私も去年はあっち側だったなあー……」

白「僕は特に量が多かったからね……黒本当にありがとう」

黒「……ん」

茶「緑、僕も手伝おうか?」

緑「頼む。この馬鹿は一人では手に負えん」

赤「誰が馬鹿だこの野郎!」


「……」

「……」

どどどどうしよう……みんなが気を使ってくれたおかげで緑君と二人っきりになれたのに……何話せばいいかわかんないよーっ!

「……」

うう、さっきから緑君も本読んでばっかりで全然喋ってくれないし……私と一緒にいるのつまんないのかなぁ……よ、よし……

「あ、あの……」

「?なんですか?」

「い、いい、天気、だよね……」

「そうですね」

違ーうっ!そうじゃないでしょ、桃!?もっと他に言うことや聞くことあるでしょ!?

いつも面白い本紹介してくれてありがとうとか好きな食べ物は何?とかみ、緑君の……好きな、女の子の、タ、タイプとか……

ハァ、カッコ悪……こんな風に一人でテンパって……私と一緒にいた男の子達もそうだったのかな……だとしたらすごいな、あんな風にどんどん話題が出てきて……やっぱり……必死だったんだろうな……

「……桃さん」

「ひゃ、ひゃいっ!」

みみみ緑君から声かけてくれた……うわー、声裏返っちゃったよ……恥ずかしい……

「よかったら一緒に出かけませんか?」

「え……」

ししししかもお出かけのお誘い!?

「といっても本屋や図書館くらいしか行くところはないんですが」

「う、ううん!行こ!」

あっ、そういえば……

「あ、あのね、緑君……」

「はい、なんでしょう?」

「え、えと……ちょっと前に緑君が貸してくれた本がね……え、映画になったみたいで……い、今公開してるんだって」

「はあ……」

「そ、それで、もしよかったら、い、一緒に……一緒に見に行きませんかっ!?」

「……」

うわー、うわー、言っちゃった!言っちゃったよ私!?ああ、駄目だ、顔スッゴく熱い……心臓だってバクバクいってるし……

「……いいですよ」

「え……」

い、今なんて……

「僕なんかでよければ」

「……っ!」

や……やった……誘えた……やったぁっ……!

「じゃ、じゃあ行こう!すぐ行こう!」

「お、落ち着いて……」

やった……緑君とデートだ……嬉しい……


灰「あっつー……こんな日はエアコンのきいた部屋にいるに限るね、うん」

空「お邪魔しまーす」

灰「……何の用さ、空」

空「一緒に宿題やろうと思って。灰君まだ手付かずでしょ?」

灰「あー、そういえばそんなのもあったね……まあなんとかなるなる」

空「ならないよ!もう一週間しかないんだよ!?」

灰「えー?」

黒「ちょうどよかったじゃない。空ちゃんと一緒にやってきなさい」

灰「うげ、ねーちゃん」

黒「うげとは何よ」

空「お邪魔してます」

黒「こんにちは空ちゃん」

黒「うげとは何よ」

空「お邪魔してます」

黒「こんにちは空ちゃん」

灰「いーじゃん、毎年ちゃんと終わらせてるんだし」

黒「そこを言われると弱いわね……」

空「えーっと実はわかんないとこがあって……」

灰「……どこ?」

空「教えてくれる?」

灰「ん。早くまただらだらしたいし」

空「え、えと、ここがちょっと……」

灰「ああ、これは……」

黒(なんだかんだで空ちゃんには甘いんだから……素直じゃないのは血筋なのかしら……)


桃「はー、やっとテスト終わったー……」

青「まあまだ一日目だけどね」

桃「あと三日かー、長いなー」

青「いいじゃない、アンタには頼れる彼氏がいるんだし」

桃「えっ!?」

青「この後も寮で緑と二人っきりでしょう?」

桃「う、うん……緑君教えるの上手だからついつい頼っちゃって……」

青「もともとはそれが目的だったくせに」

桃「い、いいい今は違うからね?普段からすっごい優しいし二人っきりの時だって何もないし……そ、そりゃちょっとは何かしてほしいなぁ、とは思ったりもするんだけどでもでも大事にされてるんだなぁってちょっと嬉しかったりもするし他にも……」

青「わ、わかったわよ。わかったから惚気るのやめ」

桃「あ、う、うん……」

青「情熱的ねぇ、私もそれくらい素直になれたらなぁ……」


「ねねね、灰君。お願いがあるんだけど……」

夏休み前に空にある相談を持ちかけられた。

「……なんで僕が」

「だって他に頼める人もいないし」

その瞬間背中に突き刺さるような殺気を感じた……多分クラスの男子からだろう。

だけどそんなものを飛ばされても実際その通りなんだろうからしょうがない。これで案外空は人見知りするから。

「……めんどくさい」

「うー、そんなこと言わないでよー」

[テメエ空ちゃんの頼み断るとかどんだけ調子こいてんだ、ああ?]な空気を感じられるがめんどくさいものはしょうがない。

それに何が悲しくて自分の好きな人が片思い中の男の欲しいものを聞いてこなければいけないのか。

「期待しないでよ。僕だってそんなに赤先輩と仲いいわけじゃないから」

「聞いてくれるの?ありがとう、灰君!」

……笑顔が可愛いのは反則だよなぁ……

結局空は靴を渡すことにしたみたいだった。

それから何日か後……

「あれ……」

空だ。何してんだろ、こんなとこで。

「ちょいちょい」

「ふぇ……?あ、灰君」

……なんか目ぇ真っ赤だし。

「……何してんの」

「あ、うん、ちょっと気分転換しよっかなって」

「……ふーん」

気分転換の理由は……聞かないほうがいいんだろうな……

「あっ、ねえねえ灰君、あれ取って」

「あれって?」

「あのたれ○んだ」

「……めんどくさい、自分でやれば」

「私がUFOキャッチャー苦手なの知ってるくせに……」

「ああ、そういえば前に2000円くらいつぎ込んでたね。結局取ったの僕だったけど」

「だからお願い!」

「仕方ないなぁ……」

「……灰君、起きてる?」

「んー?起きてる」

「嘘。絶対寝てた」

「ちゃんと起きてたよ。ぼーっとしてただけ」

「むー……」

「だいたい今んとこ教える場所ないじゃん」

「まあ国語は大丈夫だけどさ……」

「んじゃおやすみ」

「うん、おやすみ……ってやっぱり寝てたんだ」

「わかんなくなったら起こして……」

まあいつかは告白するかもだけど今はこのまんまでいいや……めんどくさいし。


茶「灰くん!早くしないと遅刻しちゃうよ!」

灰「ねむ……」

茶「ほら!早く!」

灰「……てかなんで毎日起こしに来るのさ……」

茶「当然でしょ!なんたって私は君の『お姉さん』だもん!」

灰「……ただの一個上の幼なじみじゃん」

茶「屁理屈言わないの!」

灰「(今の、屁理屈じゃないと思うなあ……)」

茶「ほらほら!」

灰「……『お姉さん』ってくまさんぱんつを穿くもんなんだ」

茶「……え?」

灰「この角度からだと丸見えですぜ、お姉さん」

茶「ふえええ?! (混乱して布団に足を引っ掛ける)」

灰「あ、こける……」

ばたーん!!

茶「はう〜……」

灰「……ったく、どっちが年上なんだか……(手を差し出して)ほら、起きて。急ぐんだろ」

茶「ふえ……私のほうがお姉さんなのに……」

灰「はいはい」


「青ーっ、お弁当ちょうだーい!」

「……ほら」

「わーいっ、ありがとっ!」

俺の名前は青。コイツは幼なじみで陸上バカの赤。

「んじゃさっさと行くぞ」

「えーっ、いいじゃん、教室で食べようよー」

「教室で食べると橙がからかってきて落ち着いて食えねえんだよ」

それにクラスの視線(嫉妬80%殺気20%)もあるしな。

「ごちそーさま」

「……思うんだけどよ」

「ん、何?」

「普通逆じゃね?弁当作るのって」

「じゃあ明日からボクがおべんと作ろうか?」

「……やっぱいい」

前にちょっと作らせたらトンカツづくしだったからな……胸焼け起こすっつーの。

「でも青の作るおべんと美味しいから好きだよ」

「ばっ、軽々しく好きとか言うな!」

「え?なんで?」

「……なんでもだ!」

くっそー、顔あちー……

「素直じゃないなー、ウチのお兄ちゃんは」

「……何してんのさ、空。僕先に学食行ってるよ」

「あっ、待って!こ、これ……」

「……何これ」

「お、お兄ちゃんが「お前も少しは花嫁修行でもしろ」って……」

「ふーん……でもこういうのって普通好きな人に渡すもんじゃないの?」

「だ、だから灰君に渡そうとしてるんだよ……」

「……」

「あっ、灰君顔真っ赤」

「……空だって」


茶「灰くん、風邪、大丈夫?」

灰「むしろ俺としては学校サボれてラッキーなんだけどね」

茶「そんなこと言わないの!勉強遅れちゃうよ?」

灰「……茶、俺の成績わかってるでしょ?」

茶「……学年トップだけど」

灰「むしろあんたが俺に英語とか教わってるよね」

茶「う……うわーん!!」

灰「はぁ……。だから、もう帰ってよ。風邪うつしても悪いし」

茶「うぅ……でも……私は、灰くんの『お姉さん』だもん……」

灰「……ったく、あんたに風邪うつしたらって思うと、こっちも安心して休めないんだよ……」

茶「ふえ?」

灰「俺もう寝るから。あんたも戻ってよ。んで……明日、また起こして」

茶「う、うん!」

茶「ふえーん……うつされちゃったよぅ……こほこほ」

灰「結局こうなるし……」


『黒キューピット』

「お願い黒、協力して!」

「珍しいわね、あなたが誰かに協力を求めるなんて。どうしたの?」

「実は……あ、赤と一緒に出かける約束を取りつけたんだけど……」

「よかったじゃない。それで?」

「その……チケットがね……三人一組なの……」

「……また半端な人数ね。それで私が三人目ってことね」

「お願いできる?」

「いいわよ。なるべく邪魔にならないようにするから」

「おっ、黒。お前も来てたのか」

「ええ。それにしても珍しいわね、青が時間に遅れるなんて」

「ごめん、二人とも!」

「あら青」

「どうしたんだ?なんかあった……」

「……何よ。じろじろ見て」

「……綺麗だ」

「ハァ!?アアアアンタ何言ってんのよ、寝ぼけてんの!?」

「い、いや、ホントにそう思ったんだよ……」

「そ、そう……」

「明らかに私いなくても大丈夫じゃない……?」


『文化祭』

桃「ねえねえ、緑君。今度の文化祭一緒に回ろうね」

緑「ああ、もうそんな時期か……正直僕は教室で展示の説明をしているつもりだったんだが」

桃「えー、もったいないよ。ね?」

クラスの男達(羨ましいいいいいいいいっ!!!)

緑「そういえば桃は今年は何もしないのか?」

桃「へ?」

緑「いや、去年はバンドをやっただろう?」

桃「う、うん……」

緑「その様子だとやらないらしいな」

桃「や、やっぱりああいうのちょっと恥ずかしいから……」

緑「なるほど。だがアレがあったから僕は今こうして桃の彼氏なわけだしな……」

桃「あっ……そっか……よし」

緑「ん、どうした?」

桃「や、やってもいいけど条件があるの」

緑「なんだ?」

桃「ぶ、文化祭って三日間あるよね?その三日間欠かさず緑君が見に来てくれるなら……いいよ」

緑「……そんなことでいいのか?」

桃「う、うん」

緑「わかった。必ず見に行くよ」

桃「ぜ、絶対だよ!?破ったら許してあげないからね!」

 その後桃が必死に青達を説得したり明らかに緑に向けたラブソングを歌って全校男子達から手痛い激励を緑がもらったのは別の話。


緑「……最低だな、君は」

桃「あ、あの……」

緑「どうせ心の中では滑稽だと笑っていたんだろう?」

桃「ち、違うの!そうじゃなくて……」

緑「もういい。二度と僕には話しかけないでくれ……女性に手はあげたくはない」

桃「……はい……」

青「自業自得ね」

桃「……うん」

青「……でも私は今の桃はそういう打算抜きで緑と一緒にいたいことを知ってる」

桃「青ちゃん……」

青「どうする? なんなら赤に頼んであげるけど」

桃「……お願い」

青「まあ緑に限ってそれはないでしょうけど……ものすごく酷いこと言われるかもしれないわよ?」

桃「……それでもいいの……それでも……ただ一言……好きって言いたい……!」

青「……よし、頑張ってきなさい!」

緑「……」

桃「あ、あの、緑君……その……」

緑「……また僕を誘惑でもしに来たんですか」

桃「ち、違うの……た、確かに最初はそんなこと考えてたけど……でも今は違うの……」

緑「……」

桃「最初図書室で緑君に本を貸してもらったとき、緑君本当に楽しそうに色々本を進めてくれたよね……その時何故かわからなかったけど急に胸がドキドキして……会うたびどんどんドキドキが強くなって……」

緑「……それで?」

桃「気づいたときにはもう私緑君に夢中だった……だからなんとかして緑君に好きになってもらいたかったんだけど……無理だった……」

緑「……」

桃「今更こんなこと言ったって無駄だってわかってる……だけど……言わせてください……」

桃「ごめんなさい……それから……大好きです……! さようなら!」

pencil_1983.jpg

緑「桃」

桃「!」

緑「……それだけか?」

桃「え……?」

緑「まだ僕は返事をしてない」

桃「あ……う、うん……」

緑「……好きだ」

桃「……へ……」

緑「だ、だから……僕も……君のことがずっと気になっていて……だから……」

桃「で、でも私……」

緑「よく考えたら僕が一人で勝手に傷ついて一人で怒っただけだしな……だいたい桃はまだそういうことはしてないだろう?」

桃「あ……」

緑「だから……僕のほうからお願いしたい……桃、僕と付き合ってくれ」

桃「ーっ!はい……っ!私も……緑君のこと……大好き……っ!」


『連休の予定』

赤「ん、俺は練習かな?」

青「特に決まってないわね……ホントは赤とデートしたかったなんて言えないし……」

赤「へ、デートしたいのか?なら明後日どっか遊びにいこーぜ」

青「い、いーけど……」

緑「連休の予定か……特に何かあるわけでもないし……」

桃「私も特に予定ないな」

緑「……なら赤達を見習って僕達もデートするか?」

桃「あっ、それならちょっと服を買いたいから緑君に選んでもらいたいな」

緑「僕がか?しかし自慢じゃないがそういうことには疎いぞ?」

桃「いいからいいから(流行り廃りなんかより緑君が可愛いって言ってくれた服のほいがいいもん)」

灰「寝てるかゲームしてる」

空「不健康だよっ!一緒にどこか遊びにいこ?ね?」

灰「めんどくさい……」

空「そんなこと言わないでさー」

灰「別に空なら引く手数多なんだから誰か適当に誘えばいいじゃん」

空「私は灰君と一緒がいいの!」

灰「……」

空「……あっ!?」

灰「……今の言い方だと全力で誤解されるけどいいの?」

空「え、えと……」

灰「……まあそこまで言われたら行くけどさ」

空「あっ、じ、じゃあそれならゲーセンにしよ!じゃね!」

灰「……寝よ」


黄緑「茶色君、今日は忘れ物ない?」

茶「今日こそ大丈夫だよ」

黄緑「あ!見っけ!」

茶「え!弁当持ったし鞄あるしズボンもはいたし……」

黄緑「フフフ、靴下」

茶「あちゃあ、靴下かぁ」

黄緑「ほら、早くはいてこないと遅刻するわよ?」

茶「ちょ、ちょっと待ってわたっ!あっ!(ガッシャン)痛たた……」

黄緑「はい、靴下」

茶「ありがとう……」

黄緑「急ぐのはいいけど気をつけてよ?怪我なんかしたら大変なんだから」

茶「ごめん」

黄緑「あ!足少し切ってるじゃない!」

茶「大丈夫だよこれぐらい。早く行かないと学校遅刻しちゃう」

黄緑「学校よりこっちのほうが大事。ほら、足」

茶「はい」

黄緑「……反対の足よ?」

茶「ふぁ!ご、ごめん!」

黄緑「少し染みるけど我慢してね。……はい!終り!」

茶「ありがとう黄緑」

黄緑「じゃあ学校行こうか。茶色君が転ばないようにゆっくり歩きながら」

茶「酷いなぁ。それに遅刻……」

黄緑「いーの。今日は空が晴れてるから」

茶「いいのかなぁ」


「ねえ桃、明日、一緒に図書館に行かない?」

ある金曜日、緑くんが私にそう声をかけてくれた。

それは紛れもなく、彼からのデートのお誘いでした。……少なくとも、私にとっては。

『どっちが悪い?』

「……」

「……」

「……」

「……」

現在、読書中。図書館にて。

確かに間違ってはいないよ?だってここは図書館だし。本を読むところなんだけど。

でも、でも!今、私たちはデート中なわけで!おしゃべりもしたいし、笑いあいたいのに!!

「……ねえ、緑くん」

「何?」

「このあとどこ行こっか?」

「うーん……」

……緑くんの視線は本から外れません。

「あ、あのさ、ちょっと行ってみたい喫茶店があるの!」

「そうなんだ」

私は必死に笑顔で話を振っていきます。でもその返事はどこかそっけない。

「けっこうお洒落なカンジでね!」

「……桃」

「な、何?」

緑くんが初めて自分から私を呼んでくれました。私は嬉しくて少し声が大きくなってしまいました。

「声が大きいよ。図書館では静かに」

「あ……うん……ごめんなさい……」

注意か……。一瞬喜んでいた私の気持ちがどんよりと曇ります。

「……」

その一方で、緑くんはまた本の世界に入っていました。淡々と、いつものように。

——せっかく、張り切って準備してきたのに。服もアクセも靴も、軽くしているメイクだって、自分でできる、一番のものでここに来てるのに。

緑くんは私のことを見てもくれない。……もしかして、今日私は緑くんが読書しに来るのに付き合ってくれ、という意味で誘われたんだろうか。だとしたら、こんなにはしゃいでいた自分が惨めすぎる。

でも……でも!

「ねえ、もm

「ねえ、なんで?なんで緑くんは私のほうを見てくれないの?」

私の寂しさは彼へとその矛先を向けました。

さっき緑くんに注意された声の大きささえ気にせず、私は感情のままに言葉を続けます。

「どうしてずっと本ばっかり見てるの?私のことも見てよ!ねえ、ねえ!!」

「も、桃!?」

自分の目が潤んできていることがわかりました。……泣くつもりなんてないのになあ。

「緑くんのバカぁ!」

静かな図書館に響き渡るくらいの大きな声でそう叫んだあと、私はその場を逃げるように走り去ってしまいました。

「うぅ……バカ……バカぁ……」

悲しさと恥ずかしさと虚しさが一斉に私に襲い掛かってきます。

「バカ……緑くんのバカ……私の、バカ」

なんであんなことを言っちゃったんだろう。全部、私のわがままなのに。

緑くん、怒っちゃったかな?それとも呆れた?

……どっちにしても、嫌われちゃっただろうなぁ。そう思うとまた、涙が浮かんでくる。

「はぁ……」

……フラれちゃう、かな?やだよ、そんなの。

気分は重くなる一方。どうしようか、まだ緑くんは図書館にいるかもしれない。……謝ろう。手遅れかもしれないけど、これ以上緑くんに嫌われるのは耐えられない——

「も、桃っ!」

不意に後ろから声がした。……とても愛しい、彼の声が。

「み、緑くん?」

緑くんは膝に手をあて、苦しそうに呼吸をしています。

「桃……走る、の……速い……」

運動が得意とは言えない緑くんは汗もかいていて、かなり辛そうでした。彼は少したってから、ようやく楽になったようでした。

……そうなりながらも、私を追い掛けてきてくれた。

「み、緑くん。私——」

「ごめん、桃。僕が悪かった」

私が謝ろうとした矢先、緑くんがそれを遮りました。

「桃に勘違いをさせちゃったこと、謝るよ。でも、僕はけっして君のことを見てなかったわけじゃないんだ」

「ウソ……」

「ホント。でも、……あの、その……」

緑くんのしっかりとした口調が急に詰まりました。

「どう、したの?」

「その……可愛かったんだ、今日の桃が、いつもに増して。だから……ずっと見てられなくて……」

緑くんの顔が真っ赤に染まっていました。私もつられるように顔が熱くなるのを感じていました。

「ホントは、デートだって、もっと楽しいところにしてあげたかったんだけど、僕は桃みたいにどんな場所があるかわからなくて……」

彼は顔を染めたまま、やや俯いて続けます。

「ごめんね、気が利かなくて。次はもっと——」

「私こそごめん」

全部、自分が悪いと言うように謝り続ける緑くんにあんまり申し訳なくて、今度は私が緑くんの言葉を遮りました。

わかってたことじゃないか。緑くんがそういうのに疎いこと。図書館に行ってしまえば、『館内では静かに』というルールを守る、律儀な性格だってこと。

全部わかってるのに、緑くんの気持ちを理解しないで飛び出しちゃったのは他でもない私だ。

「緑くんの気持ち、全然考えないで、私のわがままばっかり——」

「そんなことない、僕のほうこそ桃の気持ちを——」

「ううん、私が——」

「いや僕が——」

「「……」」

譲れない、自分が悪い対決。その微妙な空気の末……

「……仲直りしようか、桃」

「うん」

こうなった。うん、どっちが悪かったなんて関係ない。緑くんと仲直りできるなら他はなんにもいらない。

「緑くん、これからどうしよっか?」

「そうだなあ。桃がさっき言ってた喫茶店に行ってみない?」

「ホント?行こう行こう!」

やっぱり、緑くんは私の話もちゃんと聞いてたんだ。

喧嘩したせいか、緑くんの隣にいれることが前よりも嬉しくなっている気がした。

行こう。手をつないで。二人で一緒に。恋人たちの一日は、これから。


『眼鏡を買いに』

「ほらほら、灰君出かけようよ」

「眠い、寝てたい」

「せっかくのお休みがもったいないよー」

「ついこないだまで夏休みだったじゃん……学生の本分は勉強だよ、空?」

「灰君だってそんなに勉強してないじゃない」

「僕はいいの。やらなくてもできるから」

「うー、事実だけに反論できない……ってなら別に遊んでもいいんじゃない!ほら行こうよ!」

「んじゃ空は大丈夫なの?」

「うっ……」

「なんだかんだいってもうすぐ10月だしねえ……」

「……意地悪」

「だって釘でも刺しておかないとまた空テスト前に僕のとこ来るじゃない」

「うぅ……だってお兄ちゃんに相談しようにも「ちゃんと準備しなかったお前が悪い」って言われちゃうし……」

「そのくせ赤先輩には簡単に教えるよね」

「そうだよ。ずるいよ」

「まあ関係ないけど。じゃおやすみ」

「うん、おやす……って違うよ!もーいいから行こうよ!」

「……んじゃ適当に準備するから待ってて」

「お待たせ」

「……いつも思うんだけど灰君もっとおしゃれしたほうがいいよ」

「いいじゃん別に。見られて困る格好ってわけでもないし」

「それはそうだけどさ……それにそのビン底眼鏡も」

「一番安いのがこれだったから」

「でも最近はもっとレンズ薄く出来るんでしょ?そうすればいいのに」

「値段が高くなるし」

「もったいないなあ、灰君顔けっこうカッコイイのに……その眼鏡で台無しだよ」

「モテたいわけでもないし」

「あ、そうだ。じゃあ今日は眼鏡選ぼうよ!」

「お金は?」

「大丈夫私が「一式でだいたい4万はくだらないけど」……」

「だから言ったのに」

「で、でもほら、見るのはタダだし」

「まあいけどさ……」

「あら空ちゃんこんにちは。ごめんね、手のかかる弟で」

「いえ、私のほうが灰君のお世話になることも多いし」

「主に勉強面でね」

「ところでさっき眼鏡って聞こえたんだけど空ちゃんも買うの?」

「あっ、いえ、灰君の眼鏡の話です」

「……ああ、なるほど。ならちょっと待ってて」

「はいこれ」

「え、これは……」

「実はね、前々から母がうるさかったのよ。「せっかく元がいいんだからなんとか黒からも言ってやって」って」

「はあ……でもどうして私に?」

「多分他の誰より空ちゃんが選ぶほうがあの子も納得しそうだから」

「はあ……」

「なにしてんの、二人とも」

「ああ、空ちゃんに眼鏡代をね」

「えー、そんなお金あるなら新作ゲーム買えたのに……」

「この子は……」

「あはは。じゃあ行こっか」

「なんか色々種類あるなあ、選ぶのめんどい……」

「本当だねえ、フレームの形に色にレンズの形まで……あっ、フレームレスなんてのもあるんだ」

「……空選んで」

「へ?」

「だから適当に空が似合うって言ったの買うから。よろしく。文句は言わないから」

「え、ええええっ!?」

なんでこんなことになっちゃったんだろ……今日はもうちょっと気軽なお出かけのつもりだったのになあ……

そもそも灰君は私のことどう思ってるんだろ……ただの口やかましい幼馴染、なのかな……

……いけないいけない。とりあえず今は灰君に似合いそうな眼鏡を探さないと……

んー、どれがいいんだろ。けっこう目大きいし丸いレンズのほうがいいのかな……

「これちょっと試してみて」

「ん」

「……なんか違うなあ」

「あー、景色が霞む……」

「灰君の度がすごいもんね……次はこれ」

「ん」

「……」

「どしたの空、固まって。そんなに変?」

「あっ、ううん!な、なんでもないよ!」

「ふーん。で、これどうなの?」

「よ、よく似合ってると思うよ。それにしたら?」

「んじゃそうしよ。すいませーん」

ふわぁ……眼鏡一つであんなに印象変わるんだ……カッコイイ……


『教室』

茶「あ!おはよう黄緑さん」

黄緑「ふふふ、おはよう茶色君」

青「お、おはよう……」

茶「えと……そうだ!隣りのクラスの青さんだよね!おはよう」

青「え?あ、あはは……」

黄緑「ね?面白いでしょ?」

青「こ、個性的ね」

茶「?」

黄緑「じゃあ戻りましょうか茶色君」

茶「え?戻るってどこに?」

黄緑「教室によ」

茶「教室って、ここじゃあないですか」

黄緑「机、よく見てみて」

茶「……あれ?」

赤「なぁ、悪いけどそろそろ席……」

茶「す、すいません!ぼ、僕黄緑さんしか見てなかったからクラス間違えて……!」

黄緑「あら?あららららら?」

青「愛の告白ね」

茶「ふぇ?いやちがくてそういう意味じゃないんです!」

黄緑「違うのぉ?ショック〜」

茶「黄緑さん!だから僕はそういう意味じゃなくて……あぁもう!」

黄緑「冗談よ、冗談。何も隣りのクラスで考えなくてもいいのよ?早く戻りましょ」

茶「あ……はい」


『読書の秋』

「……」

今日も緑君と一緒に部屋で読書。読書の秋って言うしね。本当はもっと出かけたりとかしたいんだけど……これはこれで幸せだからいっか。

「……」

やっぱり緑君カッコイイなあ……本読んでるときの横顔とか……

「……桃?」

「ふぇっ!?」

「さっきからこっちを見ていたが……どうかしたか?」

「う、ううん、なんでも!」

お、思わず見惚れちゃった……恥ずかしい……

「……すまんな、退屈じゃないか?」

「え?」

「いや、普通なら赤と青のようにどこかに出かけるんだろうが……あいにくと僕はそういうのが苦手で……」

「そんな……いいよ、気にしないで。私はこうやって緑君と一緒に本を読んでるだけでも楽しいよ?」

「桃……ありがとう」

「あっ、でもたまには緑君のほうからも誘ってもらえると嬉しいな♪」

「……善処するよ」


『お風呂』
「ほら白、お風呂はいらないと」

「は、入るよ、入るから……」

「嘘おっしゃい、昨日もそんなこと言って結局入らなかったくせに……いくら汗かかなくてあんまり気にならないからって3日に一度って言うのは不衛生すぎよ」

「だ、だから今日は入るって……」

「いいえ。見張りとして私も一緒に入ります」

「ちょちょちょちょっと黒!そんなのダメよ!」

「?なにが?」

「な、何がって……不純よ!」

「……別に裸を晒すわけじゃないわよ。タオルだって巻くし」

「てゆーかなんでアンタはそんなさも当たり前のように……」

「だって普通だもの」

「真顔でそういうこと言うなっ!」

「とにかく来なさい白」

「引きずらないでよー……」

「痛い痛い痛いっ!」

「大げさね。ただのへちまよ」

「へ、へちま!?」

「黄緑が最近目をつけてね……」

「だ、だから痛いってやめてよ」

「……そういえばあなた肌弱かったわね。ごめんなさい」

「い、いや、いいんだけどさ……」

「はい、おしまい。じゃあおやすみ」

「うん、おやすみ。ところでさ、黒」

「何?」

「そ、その……恥ずかしくないの?」

「……別に。見慣れてるし、それにそんなに細い身体見てもなんとも思わないわよ」

「そ、そっか……」

「……はあ」

「おねーちゃん、またしー兄と一緒にお風呂はいったの?」

「!は、灰……」

「過保護ー」

「う、うるさいわね。仕方ないでしょう」

「まー、しー兄の風呂嫌いはけっこう厄介だしねー。でも過保護」

「い、いいから早く寝なさい」

「悶々としてる姉がいるので寝付けるかどうか「灰っ!」おお、こわこわ」


「ねえ、緑君。ちょっと眼鏡借りてもいい?」

「どうしてだ?桃は特に目が悪いわけでもないだろう?」

「うん、水ちゃんに得のモデルを頼まれてね、それで眼鏡かけてほしいんだって」

「……?なんでそこで眼鏡が出てくるんだ?」

「さあ?」

「まあ貸すのはいいんだがキツいぞ、いいのか?」

「度のこと?ちょっとだけだし大丈夫だよ」

「わかった。ちょっと待っててくれ」

「ほら」

「……ありがとう」

「ん?どうした、ぼーっとして」

「う、ううん、なんでもないよ!(眼鏡外した緑君も素敵……)」

「ああ、これか?昔作ったコンタクトだよ。眼鏡が割れたりしたときに使っているんだ」

「そ、そうなんだ……」

「緑君ごめんね……無理言っちゃって……」

「気にするな。ところで水、なんでまた眼鏡が?」

「なんか先生が眼鏡をかけた女生徒の絵が課題だって……」

「……そうか」

「じゃあ桃ちゃん、お願いします」

「絵のモデルって始めてだからなんか緊張しちゃうな……」

「……」

「どうしたの緑君?」

「……いい」ぼそっ

「え、なんて?」

「あ、ああいや、なんでもない」

「桃ちゃんが可愛いから見惚れてた……とか?」

「!み、水!」

「ひゃあっ、ごめんなさい」


『授業』

先「じゃあここ、茶色読んでくれないか?」

茶「ひゃ!はい!えっと……」

黄緑「(ヒソヒソ)145ページ」

茶「(145……145、と)この問題を解くに当たって」

先「ん?違うんじゃないか?」

黄緑「(ヒソヒソ)茶色君!145よ!145!」

茶「え!あ。よってこの解はα=θとなり方程式」

先「……茶色、またか」

茶「ふぇ?」

黄緑「茶色君!それ数学!今現社よ!」

茶「そんな!……本当だ!」

先「……今のところ黄緑読んでくれ」

黄緑「……はい」

茶「……ごめん」

黄緑「あ、謝ることじゃないわよ。でも茶色君凄いわよ?」

茶「凄い?僕が?」

黄緑「だってクラスで1、2を争う成績じゃない」

茶「へ、へへ。そうかなぁ?少し照れ(ガシャン)うっうわっ!」

黄緑「……でもやっぱり茶色君は茶色君ね」


「あ、あの、灰君お願いがあるんだけど?」

「……?何?」

「!!!ななな何でもありません!失礼しました!」

「はー……」

「アンタ最近灰のヤツにお熱ねー。前までなんとも思ってなかったくせに」

「えー、だってさー、なーんかあのけだるげな瞳と雰囲気がこうゾクッとするとゆーか……」

「へーへー。でもそういや最近先輩達に対しての人気も上がってきたみたいね」

「あー、確かにお姉様食いしそうだもんねー」

「……ふーん」

「おやあ?幼馴染の空さんは余裕ですねえ?」

「へっ!?」

「あー、そうだよねえ、空ってば昔っから灰君のお世話してたもんねぇ」

「くぅ、強力ライバルがこんなに近くにいたとはっ!」

「べべべ別に私と灰君はそんなじゃないよ!」

「ふ〜ん?昨日一緒にお弁当食べてたのは?」

「え、あ、あれは、だから、えとその……」

「そういやあの眼鏡選んだのって空なんだよね?」

「え、う、うん。黒さんに頼まれて……」

「お姉さん公認!?勝ち目ないじゃん!」

「だ、だから違うってばぁ!もう……」


『季節の変わり目にご用心』

コンコン

「緑くーん。一緒に学校いこー?……変だなあ、いつもはもう起きてる時間なのに……」

「……桃か?」

「あっ、おはよう緑く……ど、どうしたの?顔色悪いよ?」

「ああ……すめん、どうやら風邪をひいたようだ……」

「ええ!?だ、大丈夫なの!?」

「まあ一日寝ていれば何とかなると思う……先生に伝えておいてくれ……」

「う、うん……」

緑君風邪ひいちゃったんだ……大丈夫かな……

「桃?ちょっと聞いてる?」

「ふぇ?あ、青ちゃん、どうしたの?」

「どうしたの、じゃないわよ。さっきからずっと話しかけてたのに上の空で。大丈夫?」

「あ……ゴメンね」

「……緑のことが心配なの?」

「えっ!?あっ、いや、えと、その……」

「まあ彼氏が心配なのはわかるけど授業は注意しなさいよ」

「は、はい……」

「ふう……だいぶ楽になったな……これなら明日はなんとか登校できそうだ……」

コンコン

「ん……?」

カチャ

「ハァ、ハァ……」

「……桃?どうしたんだ、そんなに息を切らせて」

「う、ううん、大丈夫……」

「ならいいが……少し待っていてくれ、茶を淹れる」

「ダ、ダメだよ、緑君!寝てないと悪化しちゃうよ!」

「いや、今は熱も下がっているから——」

「治りかけが一番怖いんだよ!とにかく緑君は寝てないとダメ!」

「……わかった」

「そういえば緑君お昼とか食べたの?」

「……そういえば朝から何も食べてないな」

「ええ!?それじゃ治るのも治らなくなっちゃうよ!何か作るから待ってて」

「あ、いや……さすがにそこまでしてもらうのは何か気が引けるというか……」

「いいの!それに私は……緑君の彼女なんだから……」

「……そうだったな。じゃあお言葉に甘えることにするよ」

「はい、お粥」

「ありがとう」

「あっ、ちょっと待って……あの……お願いがあるんだけど……」

「なんだ?」

「その……あーん、してもいいかな?」

「……あーん、というのは、アレか」

「ア、アレです……ダメ、かな……?」

「べ、別にかまわないが……どうしてまた……」

「ちょ、ちょっとやってみたいなーって思ってて……じゃ、じゃああの……あーん」

「あー……」

pencil2_0065.jpg

「緑ー、見舞いにき……あっ……」

「!!!!!!!!!ああああああああ赤君!?」

「その……悪ぃ。邪魔をした」

「……いつもあいつは素晴らしいタイミングで来るな……」


「あだまいだい……」

「灰、そろそろ起きないと……灰?」

「あ、ねーちゃん……」

「だ、大丈夫?顔真っ赤よ?」

「頭ががんがんする……」

「ちょ、ちょっと待ってなさい。体温計どこにしまったかしら……」

「……39度4分。随分高熱ね……病院行く?」

「いい……動きたくない……」

「わかったわ。じゃあ今日はとりあえず家で寝てなさい。ただの風邪だといいんだけど……」

「おはようございまーすっ!」

「あっ、空ちゃん」

「灰君はまだ寝てるんですか?」

「ええ……どうも風邪をひいたみたいで」

「あっ……そうなんですか……」

「ごめんなさいね。さて、私も準備しなくちゃ……」

灰君風邪かぁ……せっかく今日はお弁当作ってきたのにな……どうしよう、これ……

「そーらっ。なーにしょぼくれた顔してんのよ」

「へ?べ、別にそんなことないよ?」

「嘘おっしゃいな。どっからどう見ても落ち込んでる顔だったわよ。あれ、何その弁当箱?」

「あっ……」

「……ははーん、なるほど。灰君あての弁当ね?」

「!!!」

「おやおや、お顔がりんごの様」

「うぅ……」

「ところで……食べないならもらってもいい?ちょーっと最近ピンチなもんで」

「う、うん、いいよ」

「助かったー。しかし空の手作り弁当なんて男子は血涙流して土下座してでも欲しがりそうね」

「大げさだよ……」

「お邪魔しまーす……」

「あら空ちゃん」

「灰君の具合はどうですか?」

「私も今帰ってきたところだからよくわからないんだけど今は寝てるわ。それでお願いなんだけど薬とか買いに行ってる間に肺のこと見ていてあげてくれる?」

「あ、はい、わかりました」

「助かるわ。それじゃあお願い」

「んぅ……」

「ぐっすり寝てるなー……よかった」

「おねーちゃん……」

「どんな夢見てるんだろ……」

「……あれ……空……?」

「おはよ、灰君」

「……風邪伝染るよ」

「いいよ。灰君の風邪なら」

「……あっそ」


「けほけほ……」

「すまんな……見事に伝染ってしまったようだ……」

「だいじょーぶだよ……みどりくんのかぜならうつっちゃってもへーきだもん……えへへ……」

「桃……今日は責任を持って僕が看病をするからな」

「ふぇ……だめだよぉ、がっこーいかないと……」

「気にするな。さ、なんでも言ってくれ」

「……じゃあ……とりあえずわたしがねるまで……てをぎゅってにぎっててください……」

「お安い御用さ」

「すう……」

「……可愛らしい寝顔だな。さて、昼食でも作るとするか」

「んう……」

「起きたか」

「あっ……みどりくん……」

「ちょうどよかった。今粥ができたところだ」

「ありがとう……」

「ほら口を開けろ」

「……へ?」

「?どうした、桃?」

「えと……いまのは……?」

「ん?だから僕が食べさせてやるから口を開けてもらいたかったんだが」

「え……」

「……恥ずかしいのはこっちも一緒だ。ほら」

「あ、は、はい……いただきます……」


『一年の文化祭』

「……ということで来月の文化祭で何をするかですが……」

「ほら、灰君。真面目に聞いておかないとダメだよ」

「……めんどくさい、どーせ雑用とかだし……むにゃ……」

「ね、寝ちゃダメだってば……」

「うー……」

「……ではひとまず我がクラスは喫茶店ということで」

「しつもーん。やっぱり流行りのメイド服とか着るんですかー?」

「あまり露出の激しいものでなければそういう服装になると思われます」

「うう、メイド服かあ……可愛いのはいいけど人前でああいうの着るのは恥ずかしいかも……」

「ちなみに男子のほうも給仕として出てもらいますので」

「はああああああああああああああああ!?」

「……ん?」

「なんで僕までこんなこと……」

「まあまあいいじゃん。それにしても似合ってるわねえ……やっぱ元の顔がいいと映えるわね」

「そりゃどーも。まあ適当にやってさっさと引っ込もっと……」

「……いやー、カッコいいねえ、空?」

「……」

「……ちょっと空?大丈夫?」

「ふぇっ!?だだだ大丈夫でありますよ!?」

「どこのカエルよ。ほら、空も当番なんだから」

「う、うん、じゃあ行ってきます」

「こちらがご注文の品です。ではごゆっくりどうぞ」

「はー……」

「むう……」

「……どしたの空?むくれてるけど」

「う、ううん、なんでもないよ」

「だるい……」

「だ、駄目だよ灰君。一応みんなお客様なんだからちゃんとしないと……」

「後何時間……?」

「えと、一時間で交代だって。そ、それで灰君よかったら一緒に「お二人ともー。ご指名だよー」ふぇ?」

「指名……?」

「へー、空けっこう可愛いじゃない」

「ありがと、お姉ちゃん」

「灰は相変わらずちっちぇえなあ」

「ねーちゃんに全部持ってかれましたから。あと赤先輩頭撫でるのやめてください」

「私だってもっと背低いほうが良かったわよ……男の白より高いのよ?どうしてよ?」

「く、黒落ち着いて……」

「しー兄も低いよね、僕と一緒くらい」

「頭撫でてもらうのに憧れてたのに……むしろ私のほうが撫でる側だし……」

「……黒ってたまにすごい乙女よね」


「あのさ、空」

「ん、なあに、灰君?」

「今度の日曜日暇?」

「へ?特に予定はないけど……どうして?」

「んじゃさ、一緒に映画見に行かない?」

「え……」

「……何その顔」

「へ!?え、えと、灰君から誘われるのって初めてだから……」

「……ああ、そういえばそっか。それで?どうする?」

「い、行くっ!」

「んじゃ」

「ああああああああああどうしよどうしよ何着てこうやっぱりお化粧とかもしたほうがいいのかなでも灰君変な顔しそうだし……」

「お、落ち着きなさいよ空。はい、深呼吸」

「すーはーすーはー……あ、ありがとお姉ちゃん」

「でもよかったじゃない。デートなんだから頑張ってきなさいよ」

「う、うん……」

んで日曜日

「お、お待たせー……」

「……」

「な、何か言ってよ……」

「あ、ごめん……可愛いと、思う」

「ふぇ?ほ、ほんと?」

「うん」

「あ、ありがとうございます……」

(頑張るのよ、空っ……)

(灰、しっかりやるのよ……)


コンコン

「こんな時間に来客か?珍しいな……」

「こ、こんばんわっ!」

「も、桃!?な、なんだその格好は!?」

「え、えと、今日はハロウィンだから……と、とにかくっ!トリックオアトリート!」

「あ、ああ、そういうことか……しかし今あいにくと部屋に菓子はないな……」

「じゃ、じゃあいたずらしちゃうよ……?」

「……何?」

「だ、だってお菓子くれないんでしょ?だ、だからいたずら……」

「あ、ああ、そうだな。わ、わかった」

「じゃ、じゃあ……えいっ!」

ちゅっ

「っ!」

「じゃ、じゃあ私はこれで(がしっ)え……」

「すまん桃……我慢できそうにない」

「えっ……」

「……いいか?」

「……うん、緑君になら……いいよ」

「……ありがとう……」


『体育』

茶「ドキドキするね」

黄緑「そうね。今年は優勝できるかしら?」

茶「できるよ多分。サッカーには赤君いるし。リレーには紫ちゃん出るし」

黄緑「一応有力候補なのかもね。うちのクラスは」

茶「黄緑さんは何に出るの?」

黄緑「私はバレーよ」

茶「やっぱりバレーかぁ。黄緑さんうまそうだもん」

黄緑「あらら、なんでかな?」

茶「うーん、何となく、かな」

黄緑「茶色君は何にでるの?」

茶「あぁ僕は……フリーの補欠だったかな……」

黄緑「あら……」

茶「使えないからしょうがないもんね」

黄緑「でもフリーってことはなんでもできるってことなんだから」

茶「そうかなぁ?」

黄緑「そうだと思うわよ」

茶「そうなんだ……」


『保健』

先生「これを着床っていう。次のページ」

茶「(ボー)ふぇ……」

黄緑「茶色君?」

茶「ほぇ……」

黄緑「茶色君!」

茶「ふぁ!はははひゃい!」

黄緑「さっきの授業なんだかわかった?」

茶「ふぇ?ふぇえ!ぼぼ僕、全然わかんないよ!」

黄緑「そうなの?茶色君の得意分野じゃない?」

茶「なんで?ぼ、僕そんな風に見えるの?」

黄緑「だっていつもテストだといい点取ってるし得意なのかなかぁ、って」

茶「そんにゃ!いい点なんて取れないよ!」

青「あの、茶色君ちょっといいかしら?」

茶「ふぇ?何青さん?」

青「さっきの数学なんだけどここ、わかる?」

茶「あぁ、これはつまり√を二乗するから……」

青「なるほど……、ありがとう」

茶「ふぇ」

黄緑「茶色君?」

茶色「ふゎあ!いいいいたの!」

黄緑「私が教えてほしかったの今のところなんだけど……」

茶「えっ!そうだったの!……なんだ、僕てっきり……」

黄緑「?」

青「素直ね……」


『茶→紫』

私が好きな彼は、背が小さいんです。

茶「お、おはよう、紫くん!」

紫「おはよう。……茶ってさ、なんか無駄に猫背じゃねえ?」

茶「そ、そうかな?」

紫「うん、不自然だぜ?」

だって……

男「紫きゅーん、160cmは超えましたかぁ〜?」

紫「るせえ!黙ってろ!」

男「そんなんじゃ女子よりちっちぇえじゃん。カノジョとかできんのか?」

紫「俺より小さいやつを探すんだよ!」

っていう会話を聞いてしまったんです。

紫くんの身長は157cm。そして私は……159cmなんです。

茶「え……っと、159.2……ふぇ……むしろ伸びちゃってるよぉ……」

焦「茶、毎日身長測っても変わらないだろう」

茶「いいの!……もしかしたら縮んでるかもしれないでしょ?」

焦「だからといって毎日頭を壁に押し付けていても……」

茶「いいの!もしかしたら身長縮むかもしれないし!」

焦「……まあ、茶がそういうなら止めないが。頑張れ我が妹」

ということで毎日頑張ってるんです!


『黄緑×朱』

茶「相談に乗ってくれてありがとね、黄緑くん」

黄緑「いえいえ、いつでもまた相談してください。僕にできることなら喜んでします」

茶「じゃあねー」

黄緑「さようなら」

黄緑「ふう……」

朱「黄緑、お前またお悩み相談受けてたのか。昨日は赤だったろ?」

黄緑「朱色さん。……皆さん色々と大変なようでしてね」

朱「お前だってあいつらと同じ高校生のガキだろうに。そんな年寄りくさいことばっかりだな」

黄緑「人に頼ってもらえることは素晴らしいことですよ?」

朱「そうだろうけど。……なんだかお前が疲れてるように見えるからさ」

黄緑「そうですか?」

朱「『信頼されるお兄さん』は誰かに悩みを打ち明けるのもしづらいか?」

黄緑「……そんなつもりはないんですけどね」

朱「ほれ、年上のおねいさんが聞いてやるよ。……なんかつらいことでもあるのか?」

黄緑「いきなり寮母さんらしくなりますね」

朱「茶化すな。たまにはいいだろ」

黄緑「はい。……素敵ですね、朱色さん」

朱「は?」

黄緑「いえ。……僕にも頼れる相手がいるってわかって気が楽になりました。朱色さん」

朱「なんだ?」

黄緑「いつか、また話を聞いてもらってもいいですか」

朱「おう、いつでもいいぞ」

黄緑「ありがとうございます。頼りになる寮母さん」


『繋』

茶「最近日が落ちるの早くなってきたね」

黄緑「そうね。寒くなってきたしね」

茶「うん、……寒いね」

黄緑「もう冬ね」

茶「……ねぇ黄緑さん」

黄緑「ん?なぁに?」

茶「その……手……」

黄緑「手?」

茶「手、ちゅ、ちゅながない?」

黄緑「うん。いいよ」

茶「ふぇ?い、いいの?」

黄緑「さっきから茶色君ソワソワしすぎだよ。わかるよ言いたいことぐらい」

茶「ふぇ……」

黄緑「だけど女の子としては言われたいじゃない?だから嬉しいな」

茶「あっと……こうかなぁ?手、キツくない?」

黄緑「うん。あと茶色君」

茶「な、何?」

黄緑「次はできればもう少し早く言ってほしいな」

茶「ふぇ?」

黄緑「家……」

茶「あ……」

黄緑「じゃあね茶色君。また明日」

茶「ふぇえ……」


『黒×青』

 文化祭の日

青「黒、そっちで手余ってる人いない?販売に人が足りないんだけど!」

黒「調理係で暇なやつなんているはずねえだろ!手が足りないなら客引きから出させろよ!こっちだって暇じゃねえんだ!!」

青「客引きが戻って来ないのよ!お客さんが多くて人が足りないの!」

黒「だからこそこっちだって手が回ってねえんだって!お前もこんなとこ来る暇あったらそっちで働きゃいいだろ!」

青「ッ!!……ああもういいわよ、アンタになんか頼んだ私がバカだったわ!」

黒「はいはい、口はいいから手でも動かせよ」

青「わかってますよ!」

青「はあ……どうにかピークは捌いたわ……」

女「お疲れ様ー、今からでも他のところ回ってきたら?青ちゃんずっと働いてたでしょ?」

青「そうね、そうするわ」

青「どこ行こう……自分が楽しむことを全然考えてなかったわ……」

黒「よお青、そっちもようやく解放されたか」

青「おかげさまでね。……って黒、何よその顔、炭ついてるわよ」

黒「そりゃあずっと焼きそば焼いてたしな。炭が足んなくなって大変だったんだよ、青が来た時なんか特にな」

青「わ、悪かったわね!」

黒「別に咎めてなんかいねえだろ」

青「そう聞こえるのよ!」

黒「なんでお前はそうやっていっつも——いいや。疲れてお前と口ゲンカする気力もねえ」

青「……そうね、無理してケンカするなんて馬鹿みたいだわ」

黒「今日は休戦ってことにしようぜ。……焼きそば、二つもらってきたんだ。一つやるよ」

青「なんか上からな言い方ね。まあいいわ。ありがと、おなかすいてたの」

黒「そりゃよかった」


「……」

「……ねえ緑君」

「んー?」

「読みづらい?」

「……読みづらいな。片手のふさがった状態で仰向けになって本を読むのは」

pencil2_0088.jpg

「……手、離そうか?」

「いや、このままでいい」

「……そっか」


「あっ、焼き芋屋さんだ」

「桃、買い食いはあまり感心しないぞ」

「うー、でも美味しいんだよ?そうだ、緑君も一緒に食べようよ」

「いや、僕はいい。今は持ち合わせもあまりないしな」

「そっか……でも美味しそうだなあ……」

「……わかったよ。見逃す」

「やたっ!すいませーん!」

「おいしー♪」

「本当に美味そうに食べるな」

「やっぱり石焼だと家で焼くのとは違って美味しいんだよ」

「ああ、それはわかるな。何故ああも違うのか……」

「緑君にも一口あげるよ」

「いいのか?」

「どうぞどうぞ」

「ではお言葉に甘えて……」

ぱくっ

「……やっぱり違うな」

「えへへ、間接キスだね」

「っ……狙ったな?」

「いいじゃない、ね?」

「……まあこういうのも悪くない、かな」


『紅葉』

黄緑「綺麗ねぇ」

茶「ここは今が見ごろらしいんだ。ちょっと遠かったけど」

黄緑「ううん平気よ。来たかいあったわ」

茶「よかった。黄緑さんに喜んでもらえて」

黄緑「でも凄いわね。本当に真っ赤なるんだもの」

茶「この紅葉だって夏は緑だったのにね」

黄緑「一年って、早いわねぇ」

茶「そうだね」

黄緑「じゃあこの紅葉いくつか持って帰ってシオリにでもしようかな」

茶「うん。あとこの辺で少しお茶にしよう」

黄緑「そうね。うーん。秋の紅葉見ながらお茶飲めるなんて……。もう幸せ」

茶「ははは。大袈裟だよ」

黄緑「大袈裟じゃないわよ。連れてきてくれてありがとう、茶色君」

茶「ふぇ!?あ、ははは……」

黄緑「それでね茶色君」

茶「はっ!はい!」

黄緑「次は地図かGPS持ってきてくれたら嬉しいなぁ」

茶「……ごめん」

黄緑「ちゃ、茶色君!責めてるわけじゃないのよ!大丈夫よ!このまま降りれば町まででるわよ!……多分」


『マフラー』

「……白、何そのマフラーは」

「なんか母さんが今日は寒いそうだから巻いてけって」

「それにしたって長すぎない?苦しくないの?」

「ちょっと苦しいかも……」

「ああもう。ほどいてあげるからじっとしてなさい」

「ご、ごめん……」

「本当に長いわね……3メートルくらいあるんじゃない?」

「なんか母さんは父さんと二人で巻いてたんだってさ」

「お熱いわね……」

「あはは……でもやってみたいなあ」

「……誰と?」

「そりゃ黒と」

「……本気?」

「うん」

「……まあ窒息されても困るしね、今回だけよ」

「……よく考えたら今の私達の状態って恋人同士よね。それも重度のバカップル」

「でも恋人って所は当たってるし」

「……そうね」


朱「ふぅ……」

黄緑「どうしたんですか、ため息なんかついて」

朱「ぬおっ!?どこから現れた!?」

黄緑「普通にここに入ってきましたよ。何か考え事ですか?」

朱「まあオトナには色々あるってモンよ」

黄緑「……今日の勤労感謝パーティー、逆に疲れましたか?」

朱「んなことないよ。ありがたく思ってる。こんなグータラ寮母に感謝することなんざないだろーに」

黄緑「そんなことないですよ。朱色さんが僕達のために頑張ってくださっていることぐらい、みんなわかっていますよ」

朱「……ありがとよ」

黄緑「……朱色さん」

朱「ん?」

黄緑「晩酌、付き合いましょうか?」

朱「はっ、優等生のお前が酒飲むってか?」

黄緑「いえ、お酒にはお付き合いできませんが、朱色さんにお酌することはできますよ。なんならおつまみでも作ります」

朱「……黄緑、お前」

黄緑「幸い明日はお休みですしね。たっぷり時間もあります。いくらでもお付き合いしますよ」

朱「……ありがとな」

黄緑「いえいえ。他に何か僕にできることがあれば言ってください」

朱「そうだな……じゃあ、少しだけ、愚痴を聞いてくれるか?」

黄緑「ええ、喜んで」


朱「悪いな、買い物付き合わせちまって」

黄緑「いえいえ。僕は男ですから。荷物持ちくらいしますよ」

朱「どーもな」

黄緑「どういたしまして。……朱色さん、外出するときもその格好なんですね」

朱「ん?あ、Tシャツとジャージとジーパンの組み合わせってことか?悪かったな、楽なんだよ」

黄緑「それならそれでいいですけど。その格好でも朱色さんは綺麗ですし」

朱「はぁ!?」

黄緑「素材がいい、というやつなんでしょうね。すっぴんでいることも多いですけど、充分素敵ですからね」

朱「お、おい!」

黄緑「だけどだからこそお洒落をしてみてほしいというのは僕の勝手なわがままですね。朱色さんなら何を来ても似合うと思いますよ」

朱「……服とかは、選ぶのが面倒なんだよ。女女してるのは好きじゃないし」

黄緑「そうですか?意外と似合うと思うんですが」

朱「お前なぁ……」

黄緑「群青さんも言ってましたよ。朱色は服に気を使わなすぎだって」

朱「姉さんには言われたくない……」

黄緑「あはは。可愛い妹さんのことが自分以上に心配なんでしょう」

朱「……今度、買いに行ってみるかな。……黄緑、付き合ってくれるか?」

黄緑「はい。僕でよければ一日中でもお供しますよ」


桃「緑、お腹すかない?」

緑「ううん、大丈夫」

桃「そっか……」

緑「……やっぱりもらおうかな」

桃「うん!すぐ用意するね!」

緑「ありがとう。美味しかったよ」

桃「よかった。こんなことしかできないけど役に立ててよかった」

緑「桃のおかげでまだがんばれそうだよ」

緑「ふぅ……今日はこれくらいにしようかな……桃?」

桃「すー……すー……」

緑「……どうしよう。部屋に運んだほうがいいのかな……でも、起こすのは悪いなー……」

桃「すー……すー……」

緑「仕方ないか……」

 翌朝

桃「うーん……えぇ!!」

緑「すー……すー……」

桃(な、なんで緑が同じ部屋で……ってここ緑の部屋だ……)

緑「すー……すー……」

桃「全然動かないなー……寝顔かわいいなー……いまならキスできるかも……」

緑「すー……すー……」

桃「よし……そーっと……」

緑「ううん……桃?どうしたの?」

桃「な!ななななななんでもないよ!!」

緑「?」


朱「うーん……なんとなく今持ってるような服に落ち着きそうだな……」

黄緑「せっかくですし、新しいものにチャレンジしてみたらどうです?」

朱「そんな、もう学生でもないんだし無難なのでいいさ」

黄緑「朱色さんなら何でも似合いそうですけど」

朱「だー、むず痒い!そういうお世辞やめてくんないか?」

黄緑「本心からですよ?(ニコニコ」

朱「……まったく。……あ」

黄緑「どうしました?あ、あのジャケットとインナー気に入ったんですか?」

朱「ちょ、ちょっといいかなーと思っただけで……」

黄緑「いいじゃないですか。お似合いだと思いますよ。試着してきたらどうです?」

朱「なんだか恥ずかしいしいいよ。別にそんな欲しいわけでも……」

黄緑「そんなこと言わないで。僕待ってますから」

朱「そ、そっか。悪いな」

朱「け、けっこう気に入ったかな……」

黄緑「(試着室のカーテン越しに)どうです?」

朱「あ、ああ。買おうと思うよ」

黄緑「見せてもらってもいいですか?」

朱「いいけどさ」 カーテンを開ける

黄緑「おー、やっぱり似合いますね」

朱「なんか恥ずかしいな……」

黄緑「恥ずかしがることないですよ。素敵ですよ、朱色さん」

朱「……お前、よくそんなこと素面で言えるな。将来、女泣かすぞ」

黄緑「そんなつもりはありませんよ。……それに、僕だって誰にでもこんなこと言ってるわけじゃないですよ?」

朱「え?」

黄緑「いえ、なんでもありません」


朱「……(イライラ)」

群「……あなた、何そんなにイラついてるの?」

朱「姉さん。……別にイラついてなんかないよ。ところで、ガムかなんか持ってない?」

群「そうかしら。それに珍しいわね、あなたがガムを欲しがるなんて。はい、どうぞ」

朱「どーも。……別にいいじゃん、ガムぐらい」

群「いつもは煙草なのに、って思っただけよ。……そういえば最近、煙草吸ってないわね。禁煙してるの?」

朱「ッ!そ、そうだよ!ほ、ほら、煙草は体によくないって言うしさ!」

群「怪しいわね……だいたいあなたが体に悪いからって煙草をやめるなんて考えられないし」

朱「そんなことないって!」

群「……もしかして、黄緑くん?」

朱「ッッ!!そ、そんなこと!!」

群「……図星みたいね」

朱「……なんか悪いだろ、ゼンリョウなコウコウセーの前でぷかぷか煙草吸うなんてさ」

群「……あなた、意外と乙女ね」

朱「ね、姉さん!?」

群「頑張って。私、応援してるわ」

朱「そ、そんなつもりじゃ……」

群「あら?照れてるの?」

朱「照れてない!!」


『予定』

茶「ね、ねぇ黄緑さん?」

黄緑「なぁに茶色君?」

茶「あ、あの……!」

黄緑「?」

茶「くっ!クリゅスマス!」

黄緑「クリスマスが……何かな?」

茶「いや……そのぉ……予定か何かあるかなぁ……って……」

黄緑「クリスマスはうちでお料理作らなきゃならないのよねぇ」

茶「そう、なんだ……」

黄緑「ほら私、母子家庭じゃない?だからお母さん一人にしたくないしね」

茶「そうだよね……」

黄緑「よかったら茶色君クリスマスうちに来ない?」

茶「ふぇ?」

黄緑「やっぱり二人だけだと寂しいのよねぇ。あ、茶色君が無理なら」

茶「ないないないない!行く!絶対いくよ!うん!」

黄緑「あら、うふふ。ありがとう。クリスマス、待ってるわね」

茶「誘おうとしたのに結局誘われちゃったなあ……」


『焦茶お姉ちゃんの憂鬱』

「うう……」

 最近弟の茶の様子が妙だ。ことあるごとにそわそわしたりうんうん唸っていたり……

「どうした茶。そわそわして」

「う、うん、なんでもないよ」

「ふむ……悩みならお姉ちゃんが聞いてあげるぞ?」

「だ、大丈夫だよ」

 明らかに大丈夫そうではないが……お姉ちゃんに隠し事とはいい度胸だ。色々カマでもかけてみるか……

「デートでもするのか」

「!!!!ちちち違うよ全然そんなことないよ!!!」

 なんと……弟よ、そこまで動揺されてはまるわかりだぞ、だがそれは由々しき事態だ、私の可愛い茶に手を出すとは……

「ふむ……あれがそうか?」

 こっそりと尾行して付いてきたが……なんだ、案外普通の娘じゃないか。

「だが油断は禁物だ。心のうちでは何を考えているのか分からんからな……」

「……ホームセンター?」

 なんとも男女のデートとしてはふさわしくない場所だな……茶も別に機械いじりの趣味などはないし……となると連れの女子のほうか?

「となるとあの娘は園芸でもするのか……?」

「むう……」

 なんだか楽しそうな雰囲気だな……ああ、茶よ、ひっくり返さないように気をつけ……む、ナイス補助だ、娘よ。

 しかし……あんないい笑顔の茶は久しぶりに見るな……それだけ楽しんでいるということか……

「そろそろ弟離れか……少し寂しいが仕方ないな、茶も姉離れが必要だろう」

「ただいまー」

「おかえり弟よ。デートは楽しかったか?」

「!!!ねねね姉さんなんでそれを……」

「はっはっは。昨日の態度でバレバレだぞ、弟よ。今度お姉ちゃんに紹介しなさい」

 まあ相手を見極めるくらいは最後にしても構わんよな?


『焦茶と水と茶と』

「ただいま」

「お、お邪魔します……」

 む、あれは愛しい弟の声と……誰だ?……まさか。

「おかえり、茶。それでそちらは……」

「え、えと、クラスメートの水さん。水さん、こちら僕の姉の……」

「焦茶だ、よろしく頼む」

「は、初めまして……」

 この娘は……そうか、なるほど。

「とうとう紹介してくれる気になったか、弟よ」

「!!!だ、だから姉さん!」

「しょ、紹介?」

「う、ううん、なんでもないんだ!」

 ああ、赤面してテンパる茶も可愛いなあ……

「テ、テスト前だからさ、一緒に勉強しようと思って」

「なんだ、そうか。ならお茶でも用意しよう」

 そうか、あれが茶の……なんだか雰囲気が似ていたな、大人しい子なのだろうな。

 さて……紅茶でいいのだろうか、私はともかく茶はあまりコーヒーを飲まないからな……

 ととと……

「ん、どうした、茶」

「学校に忘れ物しちゃって……」

「そうか、では私は水さんとお話でもするかな」

「あ、あんまり変な事言わないでよ!?」

「はっはっは」

 相変わらずおっちょこちょいだな……それにレディを待たせるのは愛しい弟でも感心しないぞ?ではゆっくりおしゃべりを楽しむことにするか……

「あ、あの、こんにちは。いつもお話は伺って……」

「ほう、どんな話だね?」

「『僕なんかと違ってしっかりとした人だ』って……」

「……なんか、か」

「え?」

「ああ、いや、昔から茶は自分を卑下する癖があってな……もっと自分に自信を持てばいいのに」

「……でもやっぱり身近にそういう人がいると比べちゃいますよ」

「……君もそのクチかな?」

「えっ!?」

「失礼。だがなんだか弟と似ているような気がしてな」

「……そう、ですね。私もついそんなふうに考えちゃいます」

「そうか……」

「悪い癖だってわかってるんですけど……」

「難しいか、やはり」

「はい……」

「あの子は少し要領が悪いだけなんだがな……赤君や緑君のような友人がいてくれてよかったよ」

「会ったことがあるんですか?」

「もちろん。赤君は茶の幼馴染だからね、よくうちに遊びに来てはやんちゃをしてくれたものだ」

「……それだと余計に比べちゃいますね」

「ん?」

「私にも幼馴染がいるんですけど……その子は私なんかよりも色々な事ができて……」

「それがいけないんだ。いつも茶に言っていることなんだが……自分が苦手な事を探すんじゃない、得意な事を探すんだ」

「はあ……」

「苦手なら苦手でいいじゃないか。得意なほうがいいのは確かだがいつまでもそれを悔やむより自分に出来る事を頑張ればいい。それか苦手でも頑張って得意になればいい。まだ若いんだ、いくらだって伸ばせる」

「……強いんですね」

「そうでもないさ。ところで……うちの茶のことをどう思う?」

「え……ど、どう思うって、えと、い、いつも色々とお世話になってて……」

「単刀直入に聞こう、好きかい?」

「!!!!!!!!!!」

 ……人間の顔と言うのはここまで赤くなれるものなのか。

「私は応援しているよ?なにせ茶が女の子を家に連れてくるなんて初めてだからな。それに私も妹が出来たようで嬉しい。いや、義妹になるのかな?」

「はうぅ……」


「えへへ……」

「どうした、桃?」

「ううん、もうすぐクリスマスだなあって」

「ああ、そういえば……」

「覚えてる?私が告白した時のこと」

「忘れるもんか。あの時は本当に嬉しかった……」

「今は?」

「今だってそうさ。好きな女性といつも一緒なんだ。嬉しくないわけがないだろう」

「……緑君てたまにすごく恥ずかしいことさらっと言うよね」()

「そ、そうか?」

「でも嬉しいよ、ありがとう」

「そうか」

「今年のプレゼントも期待しててね」

「ああ、僕もそっちの期待に応えられるよう努力するよ」


「うん、今年は家に帰るから……うん……わかった、じゃあね、お母さん」

ピッ

「なんだ、今年は桃も実家か?」

「あっ、朱さん」

「去年はみんなで初詣だったのに今年は寂しくなりそうだなあ」

「残るのは誰なんですか?」

「あんまりいないんだよなあ、赤と黒と青くらいか。そいつらも正月は帰るみたいだし」

「そうなんですか」

「まっ、家族と過ごすのも大切だしな。よいお年を」

「はい。よいお年を」

「えーっと、あと買わないといけないのはエビと……」

「……桃?」

「え?みみみ緑君!?」

「どうしたんだ、こんなところで」

「おせちの材料とか買いに来てたんだけど……緑君も?」

「まあ僕もそんなところだ。普段はここまでは滅多に来ないんだがな」

「この近所じゃないの?」

「二駅くらい離れたところが実家だ」

「そうなんだ……ね、ねえ緑君」

「ん?」

「よ、よかったら一緒に初詣行かない?」

「初詣か……僕はおそらく大丈夫だが桃はいいのか?ご家族の方々と一緒に過ごさなくて」

「帰ったらちょっと聞いてみる」

「わかった。じゃあまた後で連絡をくれ」

「お母さんお願い!」

「晴れ着を貸してほしいって?どうして?」

「と、友達と初詣に行くから……駄目?」

「……貸すのはいいけど……ホントに『友達』と?」

「!!!」

「今度お母さんにも会わせてほしいなー♪」

「は、はい……」


『初詣』

「はい、これでよし」

「ありがとう、お母さん」

「いいのいいの。頑張って来なさい」

「うん」

「緑くーん!」

「桃、遅かっ……」

「ご、ごめんね、着付けで時間かかっちゃって……緑君?」

「あ、ああ、どうした?」

「なんかぼーっとしてたけど……」

「その……見とれていた」

「え?ほ、本当?」

「ああ。凄く綺麗だ」

「えへへ……ありがとう」

「ああ、そうだ。桃、あけましておめでとう」

「はい、あけましておめでとう」

「桃、5円玉使うか?」

「あっ、ありがとう。でもなんで5円玉なんだろ」

「まあ洒落だよ。いつまでもご縁がありますようにとな」

「ふーん」

「やった、大吉!」

「よかったじゃないか。さて僕は……大吉だ」

「お揃いだね」

「さて、あらかた回ったが……」

「あ、あの……よかったら家に遊びに来ない?」

「……」

「よ、予定とかあった?」

「いや、大丈夫だが……なんだか緊張するな……」

「あ、あはは……」







トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-10-21 (日) 13:11:10