茶メインSS

「よいしょ、よいしょっと。ふう、やっと半分かぁ……暗くなる前に終わるかなあ……」

 茶は教室を見回し、がっくりと肩を落とした。後ろの方に寄せられた机が半分、普段通り雑然と並んだままの机が半分。いったん全ての机を後ろに寄せなければ掃き掃除ができない。

「考えてもしょうがないし、さっさとやっちゃおう。スピードアップしていこー、おー!」

 誰もいない教室で一人気勢を上げた茶は、先ほどより少しだけ速度を上げて机を運んでいく。それが失敗だった。

「あ! わ、わああああ!!」

 ガシャーン!! 派手な音を響かせて机が倒れ、椅子が転がる。中に残されていたわずかな私物が散乱した。

「痛たたた……うう、これじゃかえって遅くなっちゃうよ……なんでこう裏目裏目に出るのかなあ」

 半泣きになりながら、茶は散らばった筆記用具やノートを拾い始めた。

 

「あれ、茶じゃん。何やってんの?」

「わわっ! い、色無君? なんでこんなとこにいるの?」

 不意に掛けられた声に、茶ははじかれたように拾ったものを取り落とした。振り返ると、教室の入り口に色無が立ち、しゃがみ込む茶を見下ろしていた。

「いや、それを俺がきいてるんだけどな。俺はちょっと忘れ物を取りに来ただけだけど、お前は……まさか、掃除してるのか? 一人で、こんな時間まで?」

 あきれたような口調で言うと、茶は困ったような笑いを浮かべ、再び床に落ちたものを拾いなおした。

「うん、早く終わらせようと頑張ったんだけど、私鈍くさいから机ひっくり返しちゃって。えへへ、ホントしょうがないよね」

「いや、そうじゃなくて。掃除は班でやるものだろ。他の三人、ええと、相沢と伊藤と……上野だったか。そいつらどうした?」

「えーとね、先に帰っちゃった。みんなね、お父さんとかお母さんとか、親戚のおじさんとかが倒れちゃったんだって」

「は? 身内が倒れたって、三人ともか? それでお前、そう言われてみんな帰らせちゃったのか?」

「うん。心配だよね、みんな。たいしたことないといいけど。は〜やっと拾い終わったよ。よいしょっと……」

 拾ったものを全て元通り机の中に入れ、茶は机の移動を再開した。また転ぶのを恐れてか、その歩みは遅い。下校時刻に間に合わないのは明らかだった。

「お前、馬鹿じゃないの? そんなん嘘っぱちに決まってるだろ! 俺ここに来る前に、駅前で三人が遊んでるの見たぜ。げらげら大口開けて笑ってて、とても身内が病気してるようには見えなかったぞ」

「え? そうなの? それってつまり……」

「……そうだよ、つまりお前は騙されたってこと……」

 色無が真実を告げようとするのを遮るように、茶は満面の笑みを浮かべた。

「つまり、みんなホントは元気ってことだよね! よかったあ、じゃあお父さんもお母さんも、親戚のおじさんも元気なんだ! よーし私も元気出てきた! 掃除頑張るぞー、おー!」

 呆気にとられる色無を尻目に、茶は意気揚々と掃除を再開した。楽しげなその姿をしばらく眺め、色無は大きくため息をついて茶の手から机を奪った。

「一人でやってたらいつまでかかるかわかんねえよ。ほら、俺が机を動かすから、お前はあっち半分を掃け」

「え、でもそんな、悪いよ……」

「悪いのはお前じゃなくて掃除をフケた三人だろ。ここで茶を放っておいたら寝覚めが悪いんだよ」

「う、うん、わかった……あの、ありがとうね、色無君」

 危なげない様子で次々と机を動かしていく色無。茶は箒で床を掃きながら、その姿にちらちらと何度も視線を送った。

 

「あの、ホントにありがとね。あとは黒板消しをきれいにして終わりだから、先に帰っていいよ」

「ん、そーか? じゃあ……っておい、今そっちが風上……」

 制止は間に合わなかった。教室の窓を開け、力いっぱい黒板消しを叩き合わせた茶に、もうもうとチョークの粉が降りかかる。

「わーーっ!! げほ、げほん! うう、髪も制服もマーブル模様になっちゃったよう……」

「遅かったか……。あーもうじっとしてろ。動くなよ」

 色無はやれやれと首を振り、茶の髪についた粉を払い、服の汚れをエチケットブラシで落としていく。

「わわっ! い、いいよう、自分でやるから」

「ダメだ。お前に任せたら制服にチョークを擦りつけて落ちなくなるに決まってるからな」

「うう……否定できないかも」

 黙々と丁寧にブラシを掛けていく色無。日常より少しだけ近づいた身体からは男の匂いがした。

「よし、きれいになった。さあ帰ろうぜ。すっかり暗くなっちまった」

「え! い、一緒に帰るの!?」

「バス停までだけどな。お前一人で帰らせると、どぶにはまったり誘拐されたりしそうで心配だし」

「そんなことしないよ!」

「全然説得力ないなあ」

 失笑しながら、色無は先に立って教室を出た。少しむくれながら茶が後を追う。

「赤とか黄とか、元気のあまってる奴らいっぱいいるんだから、今日みたいに困ったときは頼れよ。もちろん俺も含めてな」

「うーん、でも迷惑かけたくないし」

「友達に頼られて迷惑なんて思う奴はいないだろ。茶はなんでも一人で頑張りすぎだ。人生大変そうだよな」

 からかうような色無の言葉に、茶は微笑んで呟いた。

「大変なことばっかりじゃないよ。今日もいいことあったしね……」

「? いいことってなんだよ?」

「なーいしょ!」

 怪訝そうな顔の色無を追い越し、茶は笑いながらバス停目指して駆けだした。

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無色「次は体育か…っておい!みんなもう外行っちゃったのかよ!」

茶色「(うう…また帽子忘れちゃった…早く取ってこなきゃ…)」

無色「…はあ…じゃあ、一人寂しく着替えるかな…よっこらせ、と。」

茶色「(ふう。やっと教室ついた…)」

   ガラッ!

無色「…ん?誰?」

茶色「…む、無色くん…?」

無色「…あ。やべ、ズボン今丁度脱いだところで…」

茶色「………」

無色「(やべ、悲鳴でも上げられたら誤解される!)い、いや、待て茶色。落ち着け。」

茶色「………(ふらっ)」

無色「え?」

茶色「………(ぱたり)」

無色「え、えええ!?何倒れちゃってるのこの子!おい、しっかりしろ!(ぺちぺち)」

   ガラッ!

黄色「いやー、しまったしまった。帽子忘れちゃっ…!」

無色「うお!黄色!待て、これは別に…!」

黄色「いやー!!パンツ一丁の変態が茶色ちゃんを襲ってるー!!」

無色「いや、だから!話を聞けって!」

黄色「誰か来てー!変態が!変態がー!」

無色「うるせー!!」


茶「おいしい……♪」

男「おーい。ほどほどにしろよ、茶。つーか意外とイケるんだなー。てっきり下戸かと思ってた」

茶「えぇー?飲めますよ、わたしは………あー、あっつい。脱いじゃおっと……」

男「おーい……目のやり場に困るからやめてください」

茶「え?いいじゃないですか、わたしなんてどうせ桃ちゃんやオレンジちゃんみたいにおっぱいおっきくないし……」

男「……いや、そういうの関係ないから。ダメなもんはダメなの」

茶「ふぅん、そうなんですかぁ……でもあっついから脱ぎますねぇー」(ゴソゴソ

男「ちょ、おいッ!人の話を聞いて———」

茶「ふー、涼しいです……あ、このブラじゃまだなぁ……」(プチン

男「ちょ、それ取っちゃダメー!取っちゃダメだからー!!」

茶「えー、なんでですかぁ?わたしは別に見られたってもんだいなんてないんですよー?」

男「そっちになくても、こっちにはあるの!!」(茶色のヤツ、着やせするタイプかよ……あ゙ー!!忘れろ俺ッ!!)

茶「へぇー。 そんなことより、色無くんも飲もうよー。わたしばっかりじゃダメだよー」

男「いや、俺のことは気にせず飲んでてくれ。そしていっそ寝てくれ……」

茶「へ?寝てもいいのー?それじゃ、色無くんといっしょに寝るー」(ボスッ

男「わああああッ!?ば、バカこらおいオマエ服着ろふーくー!!」


ピンポーン

男「は〜い?」

茶「こ、こんにちわ」

男「茶色?どうしたの?」

茶「あ、色無し君もうお昼食べた?」

男「まだだけど……?」

茶「よかったぁ!なら、素麺いっしょに食べない?」

男「……茹ですぎちゃったんだな?」

茶「……また間違えちゃって」

男「いいよ、俺の部屋クーラー効いてるからここで食べようぜ。持ってきなよ」

茶「うん!」

男「……まぁ食べるとは言ったけれども」

茶「……ごめんなさい」

男「何だこの量……」

茶「……ごめんなさい」

男「どうやったらこの量になる!?」

茶「……ごめんなさい」

男「まぁ食いきれない量じゃ……いやいくらなんでも食いきれないな。いいよ、もらっとく。また明日食べればいいし」

茶「……ごめんなさい」

男「謝るなって。そんなことより食べよう!」

茶「うん…」

男「(ずるずる)……うん、うまい」

茶「本当!?」

男「やっぱ夏は素麺だよな。ありがとう、茶色」

茶「どういたしまして!」

男(茹でるだけの素麺褒められてここまで喜ぶか?……まぁそこが茶色の可愛いところか)


『金平牛蒡なカオス』

「茶さん何して……」

「うぅぅ、色無くーん……」

 茶さんは今にも泣きそうな顔をしていた。どうしたんだろう。またドジでもやったんだろうか。と、これは……

「ど、どうしたのこれ」

「色無君にお昼ごはんのおかずを作って持っていこうとかなと思ったんだけど、失敗しちゃった……」

「うぅ、ぁあ」

それはまさにカオスだった。ごぼうとコンニャクが渾然一体となって、というより醤油とみりんの海に漬け込んだような、そんな感じだった。

「これは……金平牛蒡?」

それにしては何か不足しているような……。ああ、わかった! 人参だ!

「人参が入ってないけど、入れるの忘れた?」

「!?」

追い討ちとなってしまったようだ。茶さんは目に涙をいっぱいに浮かべながら、上目遣いにこっちを見る。

しかしその姿が余りにも可愛いかったので、思わず、この顔から笑ったらどんなに可愛いだろうだなどと思ってしまった。

だから、

「ぱくっ」

「色無君!? ダメ! それ食べちゃだめぇ!」

「ははは、茶さん? これ美味しいよ?」

「ううん、そんなの嘘! だって顔色がみるみるうちに悪くなって……」

(あれ? どうしたの茶さん? 笑ってよ。笑顔が見たかったのに……って言うか何入れたのこれ? 明らかに、醤油とみりん以外の特殊な、衝撃的な味がするよ。まったりとしていて、それでいて癖が無い……何も無い……はは、そうか、わかったぞ。始めから何も無かったんだ……うわぁ……海が見えてきた……そうか、僕らはあそこから生まれたんだ……今帰るよ……)

「はっ!?」

気が付くと俺は自分の部屋で茶さんに膝枕をされて、団扇で扇がれていた。

「茶……さん?」

「ごめんなさい、色無君……私いつも失敗してばかりで……」

「ははは」

「でも、こんな私なんかに気を使ってくれて、嬉しかった」

「ははは、ちょっと無茶しすぎたかも」

「私、自分が情けなくなっちゃって……何か私からも色無君に出来ないかなって、それで……」

「それで膝枕を……」

「うん、こんなことしか思いつかなかった。情けないよね。……あっ、私にこんなことされても嬉しくないよね///……ごめんね……? また失敗しちゃった……」

「いやいや、そんなことは……ってええ!!」

ふと時計を見ると針は三時を回っていた。茶さんのところへ行ったのが丁度一時ぐらいだから、かれこれ二時間以上も……

「二時間以上も膝枕していたんですか!!」

「ええ、そうだけど……やっぱり嫌だったよね……」

いやいやいや、嫌なわけ無いでしょ! 茶さん! 

二時間以上も俺の部屋で、二人きりで、密室で、太股がこう、やわこくて、すべすべで、ムチムチで……。

ああ、なんだよちくしょう! こんなシチュエーションで、俺は二時間も意識を失っていたのか。なんてことだ。ああ、でも、いいなぁ太股……。

「あの、ちょっと……色無君?」

「ふぁい?」

「あの、大丈夫? ……やっぱり嫌だった……?」

「にゃ、なんですか……? 僕はとっても幸せですよ? えぇ」


『小豆アイス』

暑い…梅雨明け宣言してないのに…何か冷たい物ないかな〜?

ーガチャ…バタン!

何で高校の学生寮の共同冷蔵庫にビールしかないのか…とりあえず群青さんにメールしてっと、冷凍庫は〜おっ、久しぶりにmtkr!!いっただきま〜す。(モグモグ)偶に食べると美味しいんだよね〜

ーゴトッ!タタタ、ガチャ!…バタン!

「おう、おはへり茶ひろ」『色無君…それ私の…』「ゴクン)そ、そうだっt『最後の1個…』ウッ…ごごめん、今すぐ買いに行ってくる!」

流石にマズイなと思い買いに行こうとしたが『隣町のスーパーしか近くに売ってない…(グスッ)しかも…入荷は……明日(グスッ』

マズイ、非常にマズイ。食べてしまった事、泣かせてしまった事もマズイが、喋りながら段々と茶色のスカートが上がってきている。フム、今日は白か…じゃなくって!どうする俺!!

ポクポクポク…(・∀・)!!!閃いた!茶色は俺の表情を見て小首を傾げる。白い布は丸見えだ。

「茶色、アイスは明日責任持って買ってくる。だけどお詫びをしたいから夜、部屋に行ってイイか?そ…それと、スカート…」『ハ、ハイわかりました…ふ、ふぁぁ(/////)ゴ、ゴメンナサイ〜じゃ、じゃあよ、夜ですね!?』赤面しながら茶色は部屋に戻る。

「そんなに慌てると赤面しながら茶色は部屋に戻る。

「そんなに慌てると…あ、ヤッパリ転んだ」

    ヨル(・∀・)ダヨ

ーコンコン『ハーイ』

「俺、色無だよ。開けてくれる?」『ハ、ハイ』

ダダダ(イタッ!バターン!)ダダダーガチャ!

『お、お待たせしました』さっき転んだ時にぶつけたと思われるおでこをさすりながら涙目の茶色が表れた。

「昼のお詫びに来たんだけど…大丈夫?」『だっ大丈夫です。あ、ドゾ上がって下さい』

「ハイ、コレ」

折り畳みテーブルの上に冷たく茶色い固形物が入ったカップを2つ置く。

『何ですか、コレ?』「まぁ、食べてみてよ?」『ハァ、いただきます』ーパクッ…!!!

『お、美味しいです!』「良かった〜喜んでもらえて。作った甲斐があったよw」『色無君が作ったですか!?』「あの後、黄緑にお菓子作りの本を借りて、ね」

かなり悪戦苦闘したけどね…

『…アイスは買いに行かなくて、イイです』「へ?」『その代わり、毎週…アイスを作って、もらえます、か?』

恥ずかしがりながら聞いてくる茶色。

「こんなので良ければ」『ーッ、エヘヘ嬉しいです。』

その時、色無は茶色の最高の笑顔を見たというー


ふと立ち寄った公園で、子供たちがサッカーをしていた。

「お〜お〜、暑い中元気だね〜。……ん?」

ひとり、背の高い影があった。

(あれは……茶さんか?)

私服だから見慣れないが、あの鮮やかな栗色のポニーテールは、まず間違いないだろう。

俺に気づくこともなく、10歳近く年下であろう子供たちに混じって、ボールを追いかけている。

しかも、

「逆サイ行ったよ!」「マークきちんと!」「ワンツー!こっち!」

茶さんの大きな声が公園内に響く。明らかに本気だ。

(何事にも全力ってのは、さすが茶さんらしいけど……)

さすがに子供相手にマジになりすぎなんじゃなかろうか、とそう思ったところで、さらなる問題に気がつく。

茶さんはスカートだった。

膝上丈のスカートが、茶さんの動きに合わせて左右に踊る。

しかも、ボールを蹴る度に、スカートと違う色の生地が見え隠れしているようなそうでないような。

(なんっつーか、あれは……)

子供の教育に良くない。むしろ俺の精神衛生上良くない。

そりゃ、昔アクシデントでスカートを履き忘れた茶さんを見たことはあるけど、それと今とは状況が違う。

チラリズム万歳! いやそうじゃなくて!

「茶さん!」

耐えられなくなった俺は、茶さんに駆け寄る。

「あ、色無君。こんにちは」

「あ、うん、こんにちは。じゃなくってさ、あのさ……ゴニョゴニョゴニョ」

彼女を引き寄せ、小声で事態を伝える。

フムフムと頷きながら、事態を理解していく茶さん。やがて。

ボンッ! と大きな音を立てて、茶さんのほっぺが真っ赤になった。

「み、み、み、見えてた?」

スカートのお尻をおさえながら茶さん。

「いや、今抑えてももう手遅れなんだけど……うん、残念ながら」

「やだ、私ってば……あううぅぅぅ」

俺の返事に、限界まで赤くなったと思っていた茶さんが、さらに赤くなる。

あまりの恥ずかしがり様に、つられて俺も赤くなる。と。

「なぁなぁ、兄ちゃん誰?」

子供の一人が、俺に話しかけてきた。

「ん? 俺か? は茶さんの「ボーイフレンドだろ?」

俺の返事は別の子の言葉に上書きされる。

「マジ?」「ホントだ、顔赤いや!」「カレシ?カレシなの?」「ねぇもうちゅーした?」「今からデート?」

否定する間もなく、あっという間に取り囲まれてしまう。そして質問の嵐。

「ううん、違うの。あのねこの人はね……」

「ちょ、お前ら、少しは人の言うことを聞け!」

茶さんと俺の弁明も、まったく効果がない。それどころか、子供たちの想像はさらにたくましくなっていく。

「いや、あの、だからね……」

茶さんはまだ何とか弁明しようとしているが、これは正直ラチが明かない。

やがて、彼女も諦めたのか、こちらを向くと、力なく笑いかけてくる。

俺は肩をすくめる。

結局、その後しばらくは、子供たちにずっとはやし立てられて。

いつの間にか結婚するところまで話が飛躍しちゃったりしたのだけれど。

少し嬉しかったりしたのは、うん、なんでなんだろうね?


『サイダー』

茶「色無さーん。ジュース飲みませんかー?」

無「うん、いいけど、何のジュース?」

茶「サイダーです」

無「サイダーかー、いいね」

茶「じゃあ、持ってきますね」

茶「おまたせしましたぁー」

無「げっ。グラスにそそいでお盆で持ってきた。嫌な予感が……」

茶「きゃっ—————」

ほらねやっぱり。

ビチャッ

茶「はわわ、ごめんなさい色無さん! 零しちゃいましたっっっ!!!」

無「うぅん、いいんだ……。何となくわかっていたから……」

茶「ごっごめんなさい。今拭きますね」

ふきふきふきふき

無「いっいいよ、自分で拭くし……」

ふきふきふきふき

無「あっあーっ茶さん!? そこは、その、いいからっ!!!」

茶「え、でも……あっ///ごっごめんなさい。こっこ、こんなとこっっっ///」

無「いいから、もう気にしないから」

茶「ひっく、ひっく。ごめんなさい……。わたし、ドジで、ゴメンなさい……」

無「いいから、もう泣かないで……」

茶「ひっく、ひっく……」

無「あれ、茶さん……。髪の毛になんかついてるよ?」

茶「ひっく……(え、わたし、ドジだから、またなんかつけてきたのかなぁ……

うぅぅもうやだよ……あっ///)」

それはほんの数秒のことだったのに、茶色には数十秒にも感じられた。

だって好きな人の顔が、こんなにも近くに近づいたのだから……。

茶「///」

無「よし! 取れた。……あれ茶さん、どうしたの」

茶「///なんでもないです……」

落ち込んでばかりのわたしだけれど、今日は少し幸せになれた。


茶「どうしようどうしようどうしようどうしようどうしよう!!」

男「落ち着いて!!」

茶「どうしようどうしよう色無君どうしよぉぉ!!」

男「まず落ち着いてって!!何があったのさ!?」

茶「わた私は全然そんなつもつもももりなかったんだけどね!?」

男「落ち着いてって!!じゃあ一緒に深呼吸しようか深呼吸!はい、せーの」

茶「すぅー……はー……」

男「落ち着いた?」

茶「(へなへなペタン)うん……でも落ち着いたらなんだか力抜けて立てなくなっちゃったよぉ……」

男「まず何があったの?」

茶「あのね?そんなつもりなかったんだけどね、壺割っちゃったの!!」

男「壺?」

茶「なんとなく汚れが気になったからね、寮の廊下も掃除してたんだけどね、そしたらいきなりスカート下がっちゃって、それにひっかかってこけて、

  置いてあった壺に手ぇついてバランス取ろうとしたら意外に壺が軽くって台から落としちゃったの!!それで……」

男「割っちゃったのね。大丈夫、事故なんだから。怪我はない?」

茶「うん……もう破片は全部ほうきで……あ痛!」

男「あ……ほっぺに微妙にすってるじゃん!!」

茶「気付かなかった……」

男「確かこのへんに……あったあった。ほらこれ塗ってあげるから」

茶「あ、ありがとう……」

男「(ぬりぬり)もう……廊下の掃除なんてやらなくていいんだよ?朱色さんの仕事なんだから。あの人はやらないけど……。ま、そこが茶色らしいというかなんというか」

茶「……(うわぁ、色無君がこんな近くに……///)」

男「でもよかったねこんな軽い怪我で済んで……って茶色?顔赤いけどどした?」

茶「え……あ、な、なんでもないです!!薬ありがとう!じゃ、じゃあね!!(ダッ)きゃっ!?(ぼて)」

男「またこけてるよ……大丈夫かな?」


男「夏休み——ということで、なんとはなしに母校に来たはいいけれど、なんか……全ッ然変わってないな」

茶「小学校のプールって、こんなに狭かったんですね。あの、あっちのジャングルジムとかも見に行きませんか?」

男「あぁ、うん。よし、行くか」

男「うわー、低いっつーか……あの頃に比べると、なんともちゃっちいな」

茶「……うん。よしっ」

男「茶色?」

茶「小学校の頃、わたしはこのジャングルジムに登れなかったんです。高くて、こわくて」

男「へぇ」

茶「だけど、今なら——登れそう、ですから、ちょっと頑張ってみます」

男「……そか。無理すんなよ?あんまり高くないとはいえ、落ちたら危ないからさ」

茶「はいっ」(カツ、カツ、カツ……

男(うん、おっかなびっくりだけど、ちゃんと登れてる……——ッ!!)

茶(だいじょうぶ、だいじょうぶ……だいじょうぶ。あの頃みたいに、こわく、ない……こわく、ない!)

男「……」

茶「——ふぅ!!やった、登れた!登れたよ、色無くんっ……あれ?色無くん、どうしたの?」

男「…………茶色さん、今日の服、わかってる?」

茶「ふぇ?」

男「………………思いっきり、ミニスカートじゃないすか。だから、俺が上向くと、その……。 せめて、腰掛けてくれれば、見えないんだけど」

茶「?……—————あ!!!や、やだッ!そそ、そんなつもりじゃなくってっていうか、えとそのあの、ごごごめんなさいッ!!」

男「い、いやそんな謝んなくても……そ、それよりさ!そこから見える景色はどう?」

茶「え?えっと……———や、やっぱりこわいかも……お、降りれないかもしれないです……」

男「……そりゃまた、茶色さんらしいことで。じゃあ、俺も手を貸すから」

——その後、茶色がジャングルジムから降りるのに合わせて、太陽もゆっくりと落ちていったそうです。


茶「きゃっ!」

無(おっ!パンチラktkr!!)

無(今日の茶色のパンツはと……)

無「!!!」

茶「いっ、色無くん!見た…?」

無「く…………………クマー!!」

茶「色無くんの変態っ!!」


男「どうしたのその傷!?」

茶「いやぁ……ちょっと転んじゃってw」

男「どう転んだらそうなるの!?全身だよ!?」

茶「バイクとぶつかってこけちゃった」

男「それはこけたとは言わないよ!撥ねられてるよ!」

茶「バイクっていっても原付なんだよ?」

男「大丈夫!?すりむいただけ?他にどこか痛いところは?」

茶「ないよ。心配してくれてありがとう///でも大丈夫だから!ちょっと自転車と同じくらいのスピードのバイクにぶつかっちゃって、よろけたところに散歩中のわんちゃんがいたから必死で避けたら河川敷を転がり落ちちゃっただけだから!」

男「だけじゃないよ!十分大事だよ!!……あれ?でもそれでこんなにけがするかな……?」

茶「あぁそういえばそのまま川の砂利の上まで転がったから、結構痛かったかなぁ……」

男「なぜそこを言い忘れる!?」

茶「とにかく大丈夫だよぉ!もう、心配しすぎだよww」

男「本人がそう言うならもうどうしようもないけど……で、その左手のものは?」

茶「え?かばんだけど……あぁっ!?」

男「気付いてなかったのかよ!」

茶「そっか、川原に落ちてたゴミ袋と間違えちゃったんだ!」

男「どう間違う!?持ち手がまず違うだろぉ!」


「あ、あのっ、何でもしますから遠慮なく言って下さいっ!!」

「……」

いつもの見慣れた俺の部屋に、いつも通りの俺。ただ、俺にとって普段と違う点が三箇所ある。

一つは俺の右手首に巻かれた包帯。もう一つは部屋に茶さんがいる事。最後の相違点は——茶さんがメイド姿だという事だ。

今日は学校の登校日だった。何が悲しくて今から受験対策の授業を受けないといけないんだ、とグチりながら登校し、階段にさしかかった所で目の前には丁度階段を踏み外した茶さん。

流石に避ける訳にはいかず、覚悟を決めてダイブしてきた茶さんをキャッチ。……したものの、特別鍛えていない俺が耐え切れるはずも無く、あえなく転倒。倒れる時に思わずついてしまった右手がこのざまだ。

保健室から帰ってきた俺を見た茶さんは、俺が捻った手首を自分の責任だと感じ、俺の世話をすると言って朝は持っていなかった荷物を持って俺の辞退も聞かずに家までついて来た。

家についたとたん俺は部屋から追い出され、茶さんの許可の声がかかるまで10分ほど体育座りで待機した後、部屋に入ったところで先程の台詞を聞かされた訳だ。

「えっと——まずは何でメイド服?」

「そのっ、黄ちゃんにあなたがこういうの好きだって聞いたから……」

そうかそうか、黄の入れ知恵か。あいつめ、今度会ったら何かオゴってやる。

「な、何かして欲しい事ってないですか?」

「って言われてもなぁ……」

早く何かお願いしてと言わんばかりの目で見てくる彼女には悪いが、何も思いつかない。

「何か思いつきましたっ?」

「う〜ん……」

残念ながら、30秒おきに聞かれても困るだけだ。しょうがないから簡単な事でも頼んでお茶を濁そう。

「じゃあ、そこのマンガとってもらえるかな?」

「はいっ、任せて下さいっ!!」

心底嬉しそうに返事をして本棚へ向かう茶さんを見ていると、その場しのぎでお願いしてしまった事を少しだけ後悔してしまう。

「あ、これ……」

そう言って本棚の一角を見つめて固まる茶さん。その視線の先には、漫画の神様と呼ばれる人物の作品があった。

「ん? 好きなの、それ?」

「いえ、読んだ事ないんですけど、ずっと前から読んでみたかったんです」

俺の質問にも、本棚から目を離さずに答える彼女。こんな態度をとられたらこう言うしかないだろう。

「読んでみる?」

「いいんですかっ!?……じゃなくって! 私はあなたのお世話をしに来たんですから、マンガを読んでる場合じゃないんですっ!!」

そうは言うものの、手を伸ばしかけてる人間が言っても説得力は無い。

「俺がマンガを読んでる間、茶さんにお願いすることは無いから。その間だけでもどう?」

「うぅ〜っ、……そういう事なら」

言うが早いか本棚から数冊抜き取ってテーブルの前に座り、読み始める茶さん。……俺が頼んだマンガ、忘れてる。仕方が無いので自分で取り、茶さんに合わせるように俺もマンガを読み始めた。

二冊ほど読み終わったところで茶さんを観察してみると、彼女はただひたすらに黙々と読み続けている。よっぽど読みたかったんだろう。

邪魔するわけにもいかないし、ちょっと飲み物でも取ってこようか。多少の事では今の彼女は気付かないだろうが、それでも物音を立てないようにして俺は台所へ向かった。

「はい、茶さん」

「あ。ありがとうございます〜」

俺が持ってきたオレンジジュースを一口飲む。首をかしげつつ確かめるようにもう一口飲んでからグラスを置いて、茶さんは叫んだ。

「これじゃダメぇ〜っ!!」

「うわっ、何!?」

思わずオレンジジュースを吹き出すところだった。心臓に悪いからやめて欲しい。

「何してるんですかっ!? そういう事は私がやりますからっ!!」

「もう持ってきた後だし」

「じゃあ他に欲しい物はないですかっ?」

「お腹も空いてないし、のども渇いてないし。特に無いなぁ」

「あうぅ……こうなったらちょっと早いけど、行きましょうっ!!」

そう言うと茶さんは俺の手首を掴んで立ち上がる。痛いんですけど。

「行くって、何処に?」

「お、お風呂ですっ。背中、流してあげますからっ!!」

茶さんが顔を真っ赤にしながらとてもマズイ事を仰る。これはマジでシャレにならない。

「ストップストップ、それは本気でマズイからっ!!」

「大丈夫ですよ黄ちゃんから色々聞いて覚悟は出来てますからっていうかむしろ望むところですって何言ってるの私!?」

部屋を出て、廊下を歩きながらまくし立てる。とりあえず何を言ったか知らないが、黄にはオゴるんじゃなくオゴってもらう事にしよう。

俺がそう決めている間にも、茶さんの顔は今にも倒れてしまうんじゃないかっていうぐらいに赤く染まってきている。でも、何故かその表情がちょっとだけ何かを期待するようなものに見えるのは俺の目がおかしいのか? 
「茶さん、お願いだから一回手を離してくれない?」

「ダメですせっかくのチャンスなんですから離しませんってだから何言ってるの私!?」

「茶さんが掴んでるの、捻った所なんだ。だから凄く痛い」

「ふぇ? ……ああぁっ、ごめんなさいっ!!」

限界を感じてきたので、思い切って直球勝負でお願いすると茶さんはあっさり離してくれた。

助かったと思ったのもつかの間、さっきまで引っ張られていた勢いのまま数歩進むと、そこには床が無かった。

俺が階段を踏み外しても、当然下には誰も受け止めてくれる人間はいない。

「おわぁああ〜っ!?」

「ご、ごめんなさいごめんなさいごめんなさいぃ〜っ!!」

俺、今日何か悪い事しましたか? いるかどうかも知らない神様に質問をしつつ、俺は痛みから逃れるために意識を失った。

俺が意識を取り戻すといつもの天井が目に入った。その次に目に入ったのは再び三つの相違点。一つ目は俺の足首に巻かれた包帯。次に西日に照らされた茶さん。今度はナース服。残る一つは——何故か茶さんがスカートを履いてない事だ。

「あ、気がつきました?」

「あ〜、うん」

俺が意識を取り戻した事に気付いた茶さんが近寄ってくるが、目の毒としか言えない格好なのであまりそちらの方を向けない。

「ごめんなさいごめんなさいっ、私のせいでまた怪我させちゃって……!!」

「俺の不注意だから気にしないで——ってそれより何でナース服?」

「これも、黄ちゃんが念のため持って行きなさいって」

チッ、これでイーブンにしてやろうじゃないか、黄。ほんとうにありがとうございます。

俺が黄に感謝の念を送っていると、不安そうな顔をして茶さんがこちらをのぞきこんできた。

「……あの、やっぱり怒ってます?」

「そんな事ないよ、うん」

なるべく茶さんの姿を見ないように目を逸らして答えると、彼女の表情が泣きそうなものになった。

「全然こっち見てくれないじゃないですか……」

「ホントに怒ってないから! むしろ茶さんに看病されて嬉しいぐらいだから!!」

慌てて答えると、笑顔になった彼女がトンデモナイ事を言い出した。

「そ、そうですかっ!? じゃあ今晩はつつつ、付きっ切りで看病させてもらいますねっ?」

「……マジで?」

「マジですっ。後は私に任せて、ゆっくり休んでくださいね?」

せめて、可愛らしいガッツポーズで微笑む茶さんがスカートの履き忘れに早く気付いてくれますように。そう願って、俺は彼女の姿をなるべく見ないように布団を頭からかぶった。

緑「茶、履き忘れの貴女だけに任せる訳にはいかないわ。私の出番の様ね」

男「何でお前は白衣を着てるんだよ!?」

緑「こんなこともあろうかと、黄から借りたの」

男「……あいつは何を目指してるんだ?」


茶「色無君」

無「ん、なに?」

茶「翠緑さんとクッキー焼いたんだけど食べる?」

翠緑「もちろん食べるよね?」

無(食わないと殺されるか……)

無「おいしくいただきます」

茶「じゃあクッキーとってくるね」

数分後

茶「はい、あ〜ん」

無「いや、あ〜んしなくても食べれるって」

茶「まあまあ、はい」

パクっ……

茶からあ〜んでクッキーを食べさせてもらった色無。この後とんでもない事態が!!!!

無「ぐぼほぁっ!!!」

翠緑「ど、どうした色無!?」

無「い、いや、なんでもないんだぜ……」

無(こいつはヘヴィだぜ……クッキーなのに塩辛いとは……)

茶「あ!!ごめんなさい!!塩と砂糖間違えちゃった!!」

無「いや……いいんだ。翠緑のクッキーを食べます」

翠緑「ほらよ、恵んでやる」

無「なんかむかつく。けど食べます」

パクっ……

無「カルチャーショック!!」

翠緑「あ、砂糖じゃなくてにがりを……」

茶「にがり!?」

無「お前は俺を殺す気か!?」


茶「はぁ〜気持ちよかった〜。やっぱ日本人はお風呂だね!」

男「……あ///」

茶「?どうしたんですか色無くん?」

男「その……タオル……」

茶「あ……バスタオル一枚だからって変なこと考えないでくださいね!まったくもう///」

男「いや……そうじゃなくてだね、うん」

茶「……?違うんですか?」

男「いやぁとても言いにくいというか何と言いますか」

茶「うん?ちゃんと言ってくださいよぉ!色無くんらしくない……」

男「その……タオルが!あなたは全身を隠しているつもりなんだろうけど!!」

茶「?」

男「それバスタオルじゃなくて普通のタオルなわけで!つまり胸は隠せても下のほうは長さが足りなくてというかなんというか……///」

茶「へ?……」

男「……」

茶「……」

男「……あの」

茶「きゃー!!ごめんなさいごめんなさいぃ!!」

男「いや別に俺は凄く嬉しかったわけで!……じゃなくて謝るのなんてどうでもいいから早く服!服!」

茶「そうだパンツはかないと……よいしょ!」

男「……それ俺のトランクス……どこから出した?」

茶「え?あ……きゃー!ごめんなさい!!」

男「いや脱がなくていいよ!!なんでまた裸になろうとするの!!とにかく脱衣所戻ってほら!」


—がちゃっ

無「ただいま〜」

茶「あ、色無さん良いところに!」

無「ん、茶か?なんか用事?」

茶「実はですね、私マッサージできるようになったんですよ!」

無「へぇ〜、誰から教わったの?」

茶「桃さんです♪」

無「……。(何か嫌な予感がするな)」

茶「それで色無さん最近疲れてそうなので是非やってあげたいなと思って……嫌ですか?」

無「い、嫌なわけないじゃん!むしろお願いするよ!」

茶「よかった♪じゃあ、そこにうつ伏せになって下さい」

無「よっ、と。(ごろん)」

茶「じゃ、ちょっと重いかもしれませんけど失礼しますね!(色無に乗っかる)」

無「へ?(うわぁ、茶のお尻が当たって……)」

茶「始めますね。(むにゅ)」

無「えっ???(背中に……むにゅ?)」

茶「(むにゅむにゅ)どうですか?気持ち良いですか?」

無「ああ、気持ちいいよ。……けどこの感触は……まさかっ!?」

茶「(むにゅむにゅ)私のおっぱいは桃さんに比べれば小さいですけど結構大きいほうなんですよ?w」

無「う、うわぁぁ!やっぱり!!///」

茶「あ、暴れないで下さい!やっ、ちょっ……あっ……。(むにゅ)」

—がちゃ

紫「遊びに来たよ色なs—……ばかぁーっ!!!!おっぱいのばかぁー!!!!(バタンッ!)」

無「……なんかバカって言うところ間違えてないか?」


昔々あるところに茶色という女の子がおりました。

茶色はいつも黒母、桃大姉、緑小姉にそれなりな嫌がらせを受けておりました。

黒「あらあらまた茶碗破っちゃったの?しょうがない娘ね」

茶「首にキスするのやめてくださいぃぃ!」

桃「茶ーお風呂一緒に入ろー!うわぁちっちゃくて可愛いい!」

茶「(ブクブクブクブクブクブクブクブク)」

茶「お姉ちゃーんここ教え」

緑「(ギロッ)」

茶「ごっ、ごめんなさい」

そんなある日、お城から舞踏会のお知らせがきました。何人参加しても良いのですが最近この界隈は空き巣が多いので年功序列のこともあり茶色が留守をすることになりました。

茶「いいなぁ。私も行きたい」

すると目の前に灰の魔法使いが現れました。

茶「ガ、ガンダルフ!」

灰「ちげぇよ。しかしそなたのその願い、叶えてしんぜよう。カモン!」

黄「馬車&馬乗り到着しました!」

青「うーん貴方はこのドレスが似合うわね」

着々とお城に行く準備が整えられて行きます。しかし茶色は

茶「でも私おるすばんが」

侍「ならば某にまかせよ」

茶「いいんですか!ありがとうございます!」

侍「気にするな。さぁ行けぃ!」

そして馬車は発車しました。そしてお城に到着しました。

灰「あ、12時には帰ってきてね。帰りもここに馬車呼ぶから」

茶「はぁい」

しかし何をしていいかわからない茶色はあたふたしていました。しかしリーチ一発逆転満塁ホームラン、なんと王子が声をかけてくれたのです。ヤッリィー!

無「どうしたんだ踊らないのか?なら俺と踊らない?」

茶「あ、いいですよ(うわぁかっこいい人だなぁ。)」

無知でした。辺りを見てみると黒母は王様とブランデーを飲んでおり桃大姉は料理をタッパーに詰めており緑小姉は隅で本を読んでおりました。揃いも揃って馬鹿ばかりです。

そして12時になる5分前です。

茶「あ、そろそろ12時なんで私帰りますぅ」

無「あぁそう、じゃあ気を付けて。じゃあな」

茶「ありがとうございまキャ」(ステン)

茶色がコケた瞬間、靴が脱げました。それに気付かず馬鹿な茶色は馬車に乗り込んでしまいました。

家に帰ると通帳と印鑑がなくなっておりました。仕方ないので茶色は縛られたと嘘をつき誤魔化しました。

黒「大丈夫!?何もされなかった!?」

桃「貞操は守った!?」

緑「……不潔!」

茶「いやぁまぁ」

そして何故かお城の馬車が家の前で止まりました。要件を聞いたところこの硝子の靴が合う人を探しているらしいく、王子はその人にゾッコンLOVEだそうなのです。みんな目が怪しく輝きました。

桃「じゃあ私からはいて……きゃあ!ぴ、ぴぴぴぴったりですう!」

緑「馬鹿な!ほら私にもあうじゃない」

黒「ふん、興味ないけどはいてやるわ。どう?あったわよ」

茶「わ、私だってあいますよほらぁ!」

さぁ一気に嫁候補が出てきた王子!一体どうする!続きは製品版で!


茶「色無さん」

無「なに?」

茶「今日色無さんの誕生日でしたよね?」

無「あ〜、そうだっけ?すっかり忘れてた」

茶「もう、自分の誕生日を忘れてどうするんですか」

無「誕生日なんてただ歳をとるだけだからなんの面白みもないよ」

茶「そんなこといわないでくださいよぉ……」

無「あー、ごめんごめん。俺の言い方が悪かった。だから泣きそうな声ださないでくださいよ」

茶「うん……あ、そういえば色無さんのためにケーキを焼いてきたんですよ」

無「まじで?茶色さんはお菓子つくるのうまいからな。こいつは楽しみだ」

茶「じゃあいまからとってきますね」

無「はいよ」

 1分後

茶「もってきましたよ!!」

無「そんな走ってると転びますよ……」

茶「きゃあっ!?」

無「あ、転んだ……ってケーキがとんで来た、ぶほぁっ!?」

茶「あっ、ご、ごめんなさい……」

無「顔に生クリームが……」

茶「いますぐキレイにしますね!!」

無「いや、自分でキレイにするよ……」

茶「動かないでくださいねぇ……」

ぺろ……

無「ん!?」

茶「ん、甘い……」

無「あのさ、なんで舐めるのですか?」

茶「もったいないからですよ」

無「べつに舐めなくても……」

茶「あ、あまり動かないでください。唇に当てちゃいますよ?」

無「え……」

茶「ぺろぺろ」

橙(なんだ!?このケーキより甘い空間は!!ちくしょおー!!)


『おちばとやきいも』

茶「よいしょ、よいしょ」

無「茶?」

茶「あ、色無」

無「なにしてるの?」

茶「落ち葉を集めてるの」

無「焼き芋でもするの?」

茶「まだ枯れきってないから無理よ。掃除してるの、綺麗な方が気持ち良いでしょ」

無「そっか。偉いな、茶は」

茶「ふふっ」

無「ん?」

茶「良い事あったし、がんばろー」

無「……お疲れ様」

茶「まだ元気は余ってるわよ……そうだ、これから一緒に出掛けない?」

無「ゴメン、このあとバイトなんだ」

茶「……そっか。残念……」

無「代わりに……ほら」

茶「あっ、焼き芋!」

無「茶が掃除頑張ったからご褒美だよ」

茶「……今日はいいことが二つも、嬉しいなっ」

ぎゅ

無「ちょっと、茶!~抱き付かな——」

——そんな昼下がり。


無「あ、猫だ」

茶「猫ですね〜。私、大好きなんですよ」

無「あ、俺もだよ。猫って可愛いよね」

茶「ですよね〜。ねこー、ごはん、ごはんー」

猫に呼びかける茶。

無「……え。それはどういう」

茶「シッ。少し静かにお願いします、色無くん。……ごはん、ごはんー」

無「はい……」

徐々に寄ってくる猫。やがて、茶の足元まで来る。

茶「……よし、良い子良い子」

なでなでする茶。

無「すごいな……。得意技なの?」

茶「はいっ、大好きですから! こーいうのは得意です!」

笑顔で得意げに答える茶。

無「ところで、ごはん、って言ってたけど、何かあげるの?」

茶「え? あ、そういえば、今、何も持ってない……」

無「……」

途端、猫の目つきが変わる。

茶「っ! こ、こら〜、スカートめくらないの、こら〜」

無「!!」

茶「この、ちょっ、やめて、こら、ちょっと」

執拗にスカートをめくり続ける猫。色無に丸見え。

やがて、唐突に去る。

無「……えーと、茶さん?」

茶「……うぅっ」

ちょっと涙目な茶。顔は真っ赤。

無「ちょ、茶さん、大丈夫——」

茶「色無さぁ〜ん!」

半泣きで色無に抱きつき、胸に顔をうずめる茶。

無「……え、と」

茶「猫なんか嫌いです〜!」

無「……まぁ、落ち着いて」

そう言いながら茶の頭を優しく撫でる。

結局、茶が泣き止むまで十分ほどかかった。

その間、通行人の視線がちょっとだけ身にしみた。


無「なんで茶は焦茶さんと姉妹なのに、そんなにもドジで危なっかしいんだ?」

茶「そんなことないよ〜、お姉ちゃんもけっこう天然だよ?」

無「そっちを否定するのか」

茶「AMラジオを午前に聞くラジオ、FMラジオを午後に聞くラジオって勘違いしてたり」

無「斬新な勘違いだな」

茶「未だにあんちょこをお菓子だと思ってるし」

無「ぱっと聞きそれっぽいしな」

茶「他にもご飯食べたばっかりなのにお腹すいたとか言うし」

無「それは病気だっ!病院いけっ!!!」

茶「色無教の教祖だし」

無「待て、なんだその不穏な宗教はっ!?」

茶「ちなみに白ちゃんと灰ちゃんと青ちゃんと水色ちゃんと紫ちゃんと桃ちゃんと橙ちゃんと黄色ちゃん緑ちゃんとと朱さんと群青さん、外でも男くんと侍黒ちゃんが入ってるよ」

無「ほとんど全員じゃないかってなんで信仰してるのなんのご利益があるの俺っ!?」

茶「変愛成就、家内安金、世界平和(ピンフ)」

無「まったく魅力を感じないんだが……」

茶「ねっ、姉妹でしょ?」

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茶「よし、今日もがんばろう!!」

無「よお、朝から張り切ってんな」

茶「あ、色無さん!!」

無「ん、今日はしっかりスカートはいて寝癖直してボタンもしっかりとめてるな。えらいぞぉ」

なでなで

茶「頭をなでないでくださいよぉ……」

無「悪い悪い。いつもならあわてて家に帰るところだからさ」

茶「私ってそんなにドジなんですかねぇ……」

無「いや、そんなことないって!!」

茶「慰めてくれなくてもいいんですよ……どうせ私はドジで落ちこぼれでどうしようもない女ですもん……」

無「とりあえず落ち着こう。な?(あぁ、なんか負のオーラがでてる……)」

茶「どうせ私なんて……」

無「よし、学校に行こう!!遅刻しちまうから!!」

茶「はい……」

無「うおわっ!?」

ごすっ!!

茶「だ、大丈夫ですか!?」

無「なんとか……つうかなにもない所でこけるなんて……」

茶「あ、犬が電柱に頭ぶつけてますよ」

無「なぜ……お?ケータイに着信が……」

ピッ

緑「いま世界のいたるところで大変なことがおこってるわ」

無「kwsk」

緑「ブッシュ大統領ががころんだ拍子に核のスイッチ押して猿が木から落ちて飛行機の墜落事故をおこして女の子が全員スカートをはき忘れるという現象が世界各地で……」

無「OK、わかった」

ピッ

茶「なにがあったんですか?」

無「い、いや、なんでもないよ……(茶色のドジオーラがこんな現象を引き起こしてるのか!?)」


茶「きょ〜うは〜に〜ちよ〜うび〜♪」

無「お!茶色、楽しそうだな?」

茶「色無君!あ、ねえねえ今から時間ある?」

無「暇だけど?」

茶「ホント!?んじゃついてきて」

無「こらこら、そんなに引っ張るなって」

茶「とーちゃーく」

無「スイーツミュージアム?」

茶「うん。ココって色々な店のスイーツが楽しめるんだよ」

無「へぇ〜んでお目当ては?」

茶「全部!」

無「そんなに入らないだろ?足らないなら後で追加すればイイじゃん」

茶「へへ。そうだね」

店員「¥2500になりまーす」

茶「……あ」

無「……財布、忘れたのか?」

茶「……ぅん……」

無「ならどれか一個貰うからな」

寮に帰ってほっぺたに生クリームをつけながら美味しそうに食べる茶色を見たらどうでもよくなった。


茶「あっ、色無君だぁ!……お〜い、色無くぅ—(ガッ!)きゃっ!!」

無「(がしっ)おいおい、だいじょぶか?気をつけろよ?」

茶「……ぅぅーん」

無「……なにうなってんだ?ていうか目開けろよ」

茶「!!……あ、あれ?どこも痛くない?!」

無「そりゃ俺が間一髪茶色を抱き上げれたからな」

茶「そっかぁ、色無君がわたしを抱っこしてくれて……って、えぇぇっ?!///」

無「あ、あぁ。悪い。今降ろしてやるから……(ストン)」

茶「あっ!……あうぅぅ……」

無「……なんか、そんな残念そうな目で見られると物凄い罪悪感に襲われるんですが……」

茶「うぅぅぅ……」

無「……頼むからそんな目で見ないでくれっ!」

茶「……くぅぅん」

無「あ゛ー!!それは反則だチクショー!!……さ、先に寮に帰るからな!!」

茶「あ……行っちゃった……」

無「……なんだろう、このダンボールの中の捨て犬を見捨てたかのような物凄い罪悪感は……orz」


茶「今日は私がお昼作りますよ!」

無「え……?」

茶「いや……ですか……?」

無「そ、そんなことないよ!(ケガとかして逆に大変になるんだよな……)」

茶「よーし!私頑張っちゃうぞー!」

無(不安だ……)

━10分後━

茶「〜♪〜♪〜♪」

無「順調にすすんでるみたいだな~良かった、良かった」

茶「〜♪〜♪〜♪」

無「何作ってんだろ?ちょっと見てみよう」

そーっ……

茶「いっちごじゃむ〜♪いっちごじゃむ〜♪」

無(これは……もしや……)

茶「いっちごもいっぱいはいってるうぅ〜♪すっぱげっちぃ〜♪」

無「……覚悟を決めるんだ俺……よし」

茶「できました〜!自信作です!」

無「わー楽しみだなー(棒読み」

茶「ふふー今回はなんと……いちごパスタです!さぁ召し上がれ!」

無「……ゴクリ……いただきます!」

茶「どうですか?」

無「ウオォ〜アンマァエアウエァ〜クハ!キャハ!ケヘェ!カハァ!」

茶「また失敗しちゃったよ……わぅー」


茶「ふふ〜ん♪今日のパンツはどれにしよぉかなぁ〜♪ クマさんもいいなぁ。でもやっぱ白かなぁ? ネコさんも可愛いなぁ〜♪ 気分を変えて薄ピンクとかもアリかなぁ? たまには黒とか履いてみる? ……えっちなのはいけないと思います! ……うぅー、なんか選ぶのめんどくさくなってきたなぁ……そうだ! たまには履かないのもいいかも♪」

無「……で、結局今は何も履いていない……と」

茶「うん。なんかスースーすると思ったら履いてないんだもん。ビックリしちゃった……」

無「おいちょっと待て。その発言はおかしいだろ! さっきの回想の意味がまったくなくなってるぞ?」

茶「……そうなの?」

無「ぁー、頭痛くなってきた……」


『まふらー』

茶「……よし、できた」

無「茶、編み物してたの?」

茶「うん」

無「マフラーなんだ、綺麗に出来てるね」

茶「それで、あ、あの、色無くん」

無「……なに?」

茶「こ、これ、受け取ってもらえますか」

無「いいの?」

茶「色無くんにもらってほしくて編んだの」

無「そうなんだ……ありがとう、嬉しいよ」

茶「……じゃあ巻いてあげるね」

茶「……」

無「……」

茶「ぅ……(ジワリ)」

無「泣かないで、茶。ほらちょっと長いだけだし」

茶「せっかく編んだのに……」

無「……そうだ!」

茶「え?」

無「茶、こっちにおいで」

茶「?」

無「……ほら、こうすれば二人で巻けるよ」

茶「これは……」

無「たまにはいいでしょ、こういうのも」

茶「……うん、嬉しい。ありがとう色無くん」

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茶「またそうめんがあまっちゃった……」

男「……それうどんなんだけど」

茶「え!?……道理でこしがあると……ってやっちゃったぁ!!うぅ……夏も終わったから余ったそうめん消費しちゃおうと思ったのに……」

男「まあまあ」

茶「うどんが無駄になっちゃうよぉ!!」

男「ならないよ!ほら、食べればいいから!!」

茶「……あ、そっか。でもこんな寒い日にうどんだなんて……お腹壊しちゃう!」

男「鍋に入れたらどうかな?」

茶「……鍋!そっか、ありがとう色無くん!!そうと決まれば野菜も入れて〜♪」

男「はぁ……いったいどこまで本気で——」

茶「あぁ!!ちくわと間違えてちくわぶ入れちゃったぁ!!どうしよぉ……」

男「いやちくわぶでも大丈夫だよ!」


『石焼芋?』
無「はふはふ……どうして焼き芋ってうまいんだろなー?」

茶「……あっ、い、色無さん!? ふ、ふえっ!?」(ずるっ、どかっ)

無「……あ、こけた。茶ちゃん、大丈夫?」

茶「は、はい……ああっ! 私のホットココアがっ!?」

無「あー……もうほとんどこぼれちゃったな……」

茶「ふ、ふえぇ……体を暖めるために買ったのに……」

無「……茶ちゃん、よかったら、これ食べる?」

茶「え……?」

茶「はふはふ……体が暖まります〜」

無「よかった。ココアの代わりになって」

茶「本当に、ありがとうございます、色無さん」

無「いやいや、そこまで言わなくても」

茶「いえ、不肖この茶、ご恩は忘れません!」

無「あ、いやだからそんなこと言わなくても……っ!?」

茶「遠慮なんてしてほしくありません! 恩は恩をもって返すのが……色無さん?」

無「あー……茶ちゃん、胸、胸」

茶「へ……胸?(胸の破れた部分を見る)ひゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

無「茶ちゃん、とりあえず、これ着て。俺のジャンパー」

茶「ふぇ……で、でも、色無さんが」

無「俺はいいから、早く」

茶「あ、は、はい……ありがとうございます。色無さん(あ……暖かい)」

無「(意外と……あったんだな、茶ちゃん。あ、やべ)」


 ぬくぬく……?

茶「……う〜寒いよ〜」

無「どうしたの? やけに寒そうだけど」

茶「なんだかコタツが寒くて……。壊れちゃったのかなぁ……」

無「ふーん。どれどれ。……って茶ちゃんこれコンセント差さってないよ……」

茶「ふ、ふぇ!? ほんとだ……うう……またドジ……」

無「あ! コタツから出ないほうが……」

茶「え? どうして?」

無「なんというか……その……履いてない……」

茶「え!? ……きゃあ!」


茶「お姉ちゃんの検索履歴ってどうなってんだろう?」

 カタカタカタ

ばれない 尾行

ばれない 覗き

ピッキング 方法 やり方

ピンホールカメラ 高性能

盗聴器 薄型

惚れ薬 良く効く

媚薬 一覧

まか☆びんびん

茶「うわぁ……すごい……」


無「茶色ー?……って、うおっ!!」

茶「ふにゃ〜……」

無「パンツ見えてる……のはいつものことか。でもなんでこんなところで伸びてるんだ?」

茶「……あ、いろらしくんおはよぉー」

無「うわっ、酒くさっ!!」

茶「あー、いろらしくんあぁしのぱんつ見たれしょー?」

無「いやいや、これはどう考えても不可抗力ですよ!って酔っ払い相手に言っても仕方ないか……」

茶「どうどうこの毛糸のぱんつー。かぁいーれしょぉ?」

無「ちょ!そんなに強調して見せなくていいから!」

茶「れもこのぱんつ【ピー】の【ピー】がぱんつにたくさん絡まt【以下自主規制】」

無「……ぷすん。(ドサッ!)」

茶「はれれー?いろらしくん寝ちゃったぁー?じゃーあぁしもまた寝よーっと」


ここは虹寮。毎日何かしらの出来事はあるものの、建物全体が激しく揺れるような騒ぎは珍しい事であった。

「おらぁぁ!!茶はどこいったぁ!!」

「こっちにはいないわ!」

今日は年に数度の大掃除。自室から荷物を廊下に出して朝から皆して作業していたはずなのだが……

茶「ふえぇ……」

無「……」

現在、寮民総出で茶狩りが行われていた。

無「ナニコレ」

茶「ゴメン色無君!しばらく匿ってえぇ……!」

色無の自室。部屋の中央で、大変加虐心がそそられる声音で、土下座する茶がいた。

無「別にいいが、ワケを話せ。場合に寄っちゃぁ……」

茶「話す!話すから、お願いぃ……」

本当に泣きそうだ。流石に可哀想に思えたのか色無は、いってみ?、と促した。

すると、すすり泣くような声で茶は語り始めた。

茶「えっとね……まず皆に差し入れを作ろうと思って近くにあった包丁をもって廊下を歩いていたの。そしたらね、足元に在った誰かのPGウイングゼロカスタムのプラモを踏みそうになって、いけない、と思って身体をひねってかわしたら、バランス崩して結局翼をポキリ。そのショックで私、こけちゃって、手に持ってた包丁を投げ飛ばしちゃったの。横回転。で、その飛んでった包丁が廊下にたてかけてあった青ちゃんの弓の弦をブツリ。さらに向こう側の、桃ちゃんのお気に入りの服と黒ちゃんの白衣を切り裂いて、それがかかっていた橙ちゃんの簡易ドレッサーまで裂傷。それで何とか勢いはなくなったかな?って思ったら落下地点に白ちゃんの写真建てがあって、ガラス割りながら思いっきりバウンド。横回転から縦回転。近くに居た紫ちゃんの飼ってる猫の体毛の一部を十円禿にして、水ちゃんの植木鉢にダイブ。さらに落下地点に黄ちゃんの『私とカレー』アルバムVo・56を切り裂き、その上の緑ちゃんのスペアのメガネをケースごと柄で粉砕。結局赤ちゃんの運動靴に突き刺さって止まったんだけど……」

無「……」

色無は、ファイアー!アイスストーム!などという不気味な呪文の掛け声と共に、物理法則を超越した動きで飛ぶ包丁に粉砕されてゆく物達が脳裏に浮かんだ。

無(11連鎖……)

茶「最後は放り投げちゃった黄緑ちゃんの包丁までひび割れしちゃうし……」

訂正、12連鎖。さすがの黄緑包丁も物理法則を越える茶パワーには荷が勝ちすぎたらしい。

部屋の外からは、茶を探す怒号が響いていた。どうやらまだ見つかっていないらしいが、時間の問題だろう。

無「で、どうするんだ?」

茶「へ?」

無「謝らないのか?」

茶「だ、だって……みんなすっごく怒ってるし……」

部屋の隅で脅えて小さくなる茶。それを見兼ねた色無は、

無「実は茶……お前が最初に壊したゼロは俺のなんだ」

茶「ふぁっ?」

無「製作するのにえらぁく時間が掛かってなぁ。でも人生の最高傑作ともいえる出来だったさ」

妙に芝居口調で、だからこそコブシを聞かせた強い声音で語る。

茶「それは……その……」

無「すごく悲しい。謝ってくれ」

ずずいっ、と縮こまる茶に肉薄する色無。その表情は悲哀に満ちている。

茶「ご、ごめんなさい!ほんっっとうにごめんなさい!!」

その顔に胸打たれたのか、感極まるといった様子で、絶叫する茶。

その絶叫を聞いた色無は、悲哀の表情を、神父のような慈愛に満ちたものに変えた。

無「はい、よくできました。許す」

茶「ふえ?」

無「ほら、こんな風にすればいいんだよ。謝るんだ、大抵の事は許してくれるさ」

色無は茶の背後に回ってぽん、と励ますように茶の肩に両手を乗せる。そうしてそのまま部屋の真ん中まで押し込んでゆく。

無「それに、さっきの茶の絶叫でみんな気付いちまったようだぜ?迷ってる暇なんかねぇよな」

ドバンッ!

色無の部屋のドアが蹴破られると同時に寮民が押し寄せてくる。皆怒り心頭といった様子だ。

「茶ぁ!よくもやってくれたわね!」「あれお気に入りだったのにぃ!」「私はいい。しかしカレーと汚された思い出に謝りたまえ!」「カレーはだまってろ」などなど……

口々に苦情、果ては罵詈雑言まで飛び出す始末。罵詈雑言は黄に対して、だが。

しかしそんな言葉でさえ、今の茶にはどんな刃物よりも鋭利に心を抉った。

茶「う、うぁ……うあああぁぁあぁん!」

そして、仕舞いには泣き出してしまった。

先程までガヤガヤ騒いでいた被害者達は黙り込んでしまう。よもや泣いてしまうとは。誰もが予想外だった。

茶「う、ひっく、ひっ……ご……め……さい……ごめん……なさい」

そして泣き声で謝り続ける茶。

茶「ごめんなさい……ごめんなさい……!」

無「……もういいって、茶」

茶のすすり泣きと謝罪の言葉だけが響く色無の部屋。唯一反応できた部屋主の色無は、茶をあやす様に頭を撫でた。

無「もう誰も怒ってねぇから、な?」

茶「ひっく、グスッ……でも」

無「大丈夫だって、な?みんな」

呆然と立ち尽くしていた寮民たちは、はっとしたように、そして決まりが悪そうにした。

「だって……泣くとは思って無かったし……」「あたし達も責任が無い訳でもないし……」「君のその涙に免じてカレーの神もきっとお許しになってくれるであろう」「カレーはだまってなさいって」

茶「ほんとに、ごめんなさい……」

そして、その後寮民一致団結とした働きで、遅れた分の掃除を終わらせたのであった。

翌日。

「ごらぁぁぁぁぁ!!!茶はどこに消えたぁぁぁぁぁ!!!」

茶「ふえぇん……」

無「またかよ……」


無「いやーそれにしてもいい天気だよな」

茶「ちょっとまだ肌寒い気もしますけどね」

無「気にするほどでもないさ。早く茶特製弁当でもいただきたいのだけど」

茶「う、うん」

無「まぁ、最初は真っ黒な握り飯が入っていてびっくりしたけどな」

茶「あぅ……いじわる」

無「ごめん、ごめん。でも、最近はちゃんと美味しくなってるからさ」

茶「あ、ありがとう。コレ、今日のお弁当」

無「うん。ではでは、いただき……あれ?」

茶「あ……おはし忘れちゃった……」

無「あー……」

茶「ご、ごめんなさい!!」

無「……」

茶「……仕方がありません」

無「……そうだな。ちょっと汚いけど手で食べ——」

茶「口移しでいきます!」

無「な?! 茶、ちょ、まっ?!」


青「そうそう、次は塩とコショウを適宜」

茶「てきぎ?」

青「自分の好きなようにってことよ」

茶「へぇー」

青「じゃあ私は向こう行ってくるから出来たら持ってきて」

茶「うん、わかった。……さて、私は塩っ辛いのが好きだから多めにと……」

青「できた?」

茶「うん、できた!」

青「どれどれ……」

茶「どう、青ちゃん?」

青「……しょっぱ!!水!!水!!……アンタ、どんだけ塩入れたの?!」

茶「けっこう沢山……塩っ辛いの好きだし……」

青「茶色、アンタ死ぬわよ!!」

空「……失敗しちゃったんですね」

茶「……うん」

空「大丈夫ですよ。ダメならもう一回やればいいんです」

茶「ダメなら……もう一回……」

空「そうですよ」

茶「うん、私がんばるね!」

空「がんばってください!」

茶「よぉーし!がんばるぞー!」

青「その意気よ」

茶「じゃあまた前と同じ分量と……」

青「待って、何でそうなるの」

……青ちゃんの声が怖いんだけど……

茶「う……うぐっ……だって空ちゃんがダメならもう一回って……」

青「何でそうなるの……」


『意外な才能?』

茶「うわー、色無くんケーキ作れたんだ。しかも綺麗にデコレーションまでしてある」

無「そんなに意外?」

茶「だって普通男の子ってこういうことあまりしないでしょ?」

無「そう言われれば男同士じゃあんまりそんな話もしないね」

茶「すごいよ、私なら途中でひっくり返してるもん」

無「えっと、感心するのはそこなんだ」

茶「え? あ、ううん! ちゃんと美味しそうだよ?」

無「ちゃんと、って……混ぜ方と加熱時間を間違わなければ味はそんなに違わないよ?」

茶「……私が作ったら、焦げるか、爆発するかだもん」

無「……茶はもう少し落ち着いて料理すればいいと思うよ」

茶「うん、わかってるんだけど……そうだ、今度教えて?」

無「……暇なときなら」

茶「うん、ありがとって……きゃ」

無「危ない!」

茶「ごめんなさい、色無くん」

無「大丈夫?」

茶「私は大丈夫だけど」

無「ケーキも大丈夫だよ」

茶「……良かった、もしなにかあったらみんなに大変な事される……」

無「大袈裟だね……その時はまた作るよ」


無「お、茶!何をしているんだ!?」

茶「見ての通りお昼ご飯を作っているんですが……」

無「ははは、失敗しないようにな」

30分後

茶「出来ました!色無さん食べて見て下さい」

無(見た目は綺麗だな。といういうことは味が良くないってパターンだな)

茶「食べないんですか?」

無「た、食べるよ?うん食べるよ?(パク)あれ、うまい?」

茶「失礼ですね!色無さん!」

無「いや、いつもの癖で。ところでこれは黄緑さんに教えてもらったの?」

茶「わかりました?私もまだまだですねぇ」

無「そんなことないよ!充分黄緑さんに劣らないよ!」

茶「そうですか!ありがとうござい……コホン」

無「そういえば顔色悪いぞ?風邪なら休んだ方がいいぞ?」

茶「大丈夫です。さっき薬飲みましたから。あ、洗濯物取り込まなきゃ。(パタパタパタ)」

無「気を付けろよー。……ふぅ。まさか茶が分量を間違わず料理を」

黄緑「色無さん!さっき茶色ちゃん来ませんでした!?」

無「さっきまでここにいたよ。てか黄緑さんマスクなんかつけてどうしたの?」

黄緑「茶色ちゃんの看病してたの!ちょっと目を離したらいなくなっちゃって……」

無「やっぱ茶の奴風邪ひいてたん」

黄緑「風邪じゃありません!インフルエンザですよ!タミフル飲んだから6時間は様子を見ないといけないのに」

無「……。なんか僕も気分が優れなくなって……」


白「ごほっごほっ……ごめんね、茶ちゃん……せっかくの春休みなのに看病なんかさせちゃって……」

茶「ううん、白ちゃんが元気になってくれないと心配だもん。そんな風に言わないで」

白「……茶ちゃんにだけはほんとのこと言うね。実はね……わたしもう長くないの……」

茶「!! そんな!」

白「でも、灰ちゃんが作った特製のお薬があれば治るかも……」

茶「私すぐもらってくるよ!」

茶「——というわけなの! おねがい、薬を分けて!」

灰「はあ。えーっと……分けてあげたいのはやまやまなんだけど、あれは作るのがすごく難しくて、今手元にないんだよねー」

茶「ええ!? そ、それじゃ白ちゃんは……」

灰「水先輩が寮の花壇で密かに育ててる千年百合の蜜があれば全部の材料がそろうんだけど……」

茶「すぐもらってくるね!」

茶「——というわけなの! 千年百合ってどの花?」

水「え……? あの、えと……そ、そうだ、千年百合はこのあいだ枯れちゃって……」

茶「ええ!? そ、それじゃ白ちゃんは……」

水「あ……で、でも黒ちゃんが種を持ってるって聞いたことが……種さえあれば千年百合は一時間くらいで咲くから……」

茶「すぐもらってくるね!」

無「——で、茶は俺の部屋の前で何やってんの? もっと言えば、なんで奇妙奇天烈な格好をしてMP吸い取られそうな踊りを踊ってんの?」

茶「あ、色無君! それがね、白ちゃんの病気を治すのに灰ちゃんの薬がいるんだけど、それには水ちゃんが育ててる花の蜜が必要で、ところがその花は枯れちゃってて、でも黒ちゃんが種を持ってるらしくて、それをもらおうと思ったんだけど引き替えに桃ちゃんの胸を小さくしろって頼まれて、それには(中略)というわけで、色無君が浮気をしないように、古代ムー大陸の神様であるホンヌラケプカ様に儀式を捧げないといけないの! 色無君も一緒にやってくれる?」

無(……ああ、そういえば今日はエイプリルフールか。白がスタートってのがたち悪いなあ……あ〜もう、それにしても茶はお馬鹿でかわいいなあ!)


茶「色無く〜ん」

ズテッ

無「大丈夫?ププ……」

茶「ひどーい」

無「アハハ、ごめんごめん」

茶「許しません!」

無「じゃあお詫びになんか買ってやるよ」

茶「本当!?」

無「あ……でも金ほとんどない」

茶「大丈夫!」

無「ここ100均だぞ」

茶「……あった!これ買って欲しいな」

無「ただの黒いアメピンの50本入り……こんなんでいいの?」

茶「うん。どうせ私高い物買ってもらってもすぐになくしちゃうし……これならなかなかなくならないもん☆」


「あれ?おっかしいなー。ここでいいはずなんだけど……」

 その日俺は茶色を花見に誘った。しかし約束の時間を過ぎても彼女は現れなかった。

「まぁ、茶色らしいといえば茶色らしいか」

 どこかで迷子にでもなっているんだろう。そう思って連絡をとろうとしたその時携帯が鳴った。

「はい。もしもし?」

「ふぇ〜。色無くぅ〜ん」

「茶か?どうした?いまどこに……」

「一体ここどこなの〜?」

「(おいおい……)わかった。すぐそっちに行くから『絶対』にその場所を動くんじゃないぞ」

「は、はやく来て〜」

「はぁはぁ。一体どこいっちゃったんだ……ん?何だ、あの人だかり」

「ねぇ彼女〜かわいいね」

「俺たちと付き合ってよ〜」

「ふ、ふぇ〜。わ、わたし待ち合わせの途中なんです〜」

「そんなのほっといて俺たちと楽しもうよ〜」

「そうだよ、そうだよ」

(たすけて〜色無くん)

「あの〜すみません……その待ち合わせ相手なんですが」

「あぁん!何だよ!」

「おめぇーはお呼びじゃねぇんだよ!」

「(ムッ)俺の女に手ぇ出すんじゃねぇー!!」

「!?」

「……」

「……」

「フンっ!ほら、行くぞ茶」

「え?あっ」

「い、色無くん?」

「ん?どうした?」

「えっと、さっき言ってたことなんだけど」

「あぁ、あれね……」

「その……あれはあの場を治めるために言ったんだよね?」

「違うよ」

「ふぇ?」

「本当はちゃんとした形で伝えようと思ってたんだ」

「……(グスッ」

「ごめん……茶色の気持ちも考えずに。迷惑だったよな?」

「ううん。嬉しいの。でも、わたしでいいの?」

「茶色じゃなきゃダメなんだ!」

「うぅ〜(泣」

「ほら、泣くなよ」

「うん♪」


『元気の素』

茶「はぁ……」

無「茶……元気出して」

茶「だってテストで答えを一個ずつずらして書くなんて……」

無「点数はくれたんだから」

茶「こんな大事なことで失敗するなんて……」

無「大丈夫だって、これから気をつければいいんだから」

茶「……うん」

無「ほら、帰ろ?」

ぎゅ

茶「色無くん、その……手」

無「……茶が転んだりしたらイヤだから」

茶「うん、ありがと」

茶「〜〜〜〜♪」

無「楽しそうだね」

茶「うんっ! (告白だけは失敗しないようにしないとね)」


 二人でお留守番。〜茶色とお留守番〜

—ピー、ピー

茶「あ、お洗濯終わったみたいだよ、色無君」

無「そうか?じゃあ俺の洗濯物とみんなの洗濯物分けといてくれないか?」

茶「え、なんで?みんな一緒に干しちゃわないの?」

無「よしてくれ、間違いなく殺される」

茶「う、うん分かった。じゃあちょっと待っててね」

茶「こっちが色無君ので〜、こっちが他のみんなの!」

無「どれどれ……これは……俺の洗濯物の中にどう見てもブラジャーが入ってますが?」

茶「ふぇ?あ、あぁっ!ゴメンなさいっ!」

無「……あれ?洗濯に出したはずの俺の下着もないけど……」

茶「えっ?ちょ、ちょっと待ってね!(ゴソゴソ)……あ、これかな?」

無「茶、それどう見てもキャミソール」

茶「えぇっ?!じ、じゃあ……これっ!」

無「……それどう見てもパンティ」

茶「うぅ……こ、今度こそ……」

無「もういいよ、俺がやる。でも寮のみんなには黙っておいてくれよ?生死に関わるから」

茶「あ、うん……ゴメンね」

無「よし、大体こんなもんだろ」

茶「これでバッチリだねっ!」

無「あとは干すだけだな」

茶「うん!」

無「転んで洗濯物ぶちまけたりするなよ?」

茶「だ、大丈夫だy—(ガッ)きゃぁっ!!(バサァッ)」

無「……」

茶「……ぇ……えへへ、ごめんなさい……?」

無「振り出しに戻る……か」


黄緑『茶色ちゃん、すみませんがこれお使いお願いできますか?』

茶「ふふ〜ん♪」

無「そんなにお使い楽しい?」

茶「うん、楽しいよ。色無君も来てくれたし!」

無(……どう考えても茶色一人とか死亡フラグ立つじゃん)

—ウィーン

茶「あ、私カート押すー!(ガラガラガラ)」

無「え、あ……まぁ、俺がしっかり見てればいいか」

茶「色無君早く早くー!」

無「おーい、あんまり急ぐと危ないぞ」

茶「だいじょぶだy—」ガッシャーーン!!

無「まぁ、このくらいのことは俺も想定の範囲内なわけで別に驚きもしないけどな」

茶「あぅぅ……」

無「どこも痛くしてないか?」

茶「う、うん」

無「今度は一緒に、ゆっくり行こうな」

茶「うん!」

無「えーと、まずはにんじん……と」

茶「ねぇ、色無君?」

無「なに?」

茶「なんか、新婚夫婦みたいだね、私たち♪」

無「……」

茶「あれれー、なんだか顔が赤いよ?」

無「き、気のせいだろ、きっと!ほ、ほら早く行くぞ!」

茶「あ、色無君そんなに急いだら危ないよ?」

無「だいじょうb—」ガッシャーーン!!


茶「クー……」

無「おーい茶色ー起きろー」

茶「ふにゅ……ふわっ?!~色無君?!」

無「お、起きた」

茶「あれ、どうして寝ちゃったのかな?」

無「んー疲れてたんじゃないか?~はい、眠気覚ましのお茶」

茶「あ、ありがとう」ズズッ

無「入れたてだから気をつけろよ」

茶「うん平気……熱ッ!」

無「大丈夫か!」

茶「うう、気をつけてたのに」

無「ま、茶色だからな」

茶「そ、それは酷いよー!」

無「ごめんごめん」

   チュ

茶「!?」

無「こうしておけば直ぐに治るだろ」

茶「うん……」




茶「スカート履き忘れたよぅー」

朱「おい色無、ちゃんと茶色が毎朝スカートを履いて行ってるか確認しろと言っただろ!」

無「そんな役目俺に押し付けられても……ていうか茶色はもうスカート履いてないのが自然すぎて誰も気付かないんですよ」

茶「色無君ひどいよぉ……」



茶「お弁当忘れちゃったよぅー……」

無「なんだってー?!しょうがない、購買に……」

 ガラッ

焦茶「茶色、ほら弁当だ」

茶「お、お姉ちゃん?!ありがと〜!」

焦茶「何、今朝はたまたま二つ弁当を作ってしまってな。決して色無と一緒に昼が食べたいから茶色の弁当を鞄から抜いたとか、そんなことはないぞ」

無「ちょwww」



 ザァァァァァ

茶「ふぇぇぇ……傘がないよぅー……」

無「今日は午後から降水確率90%だったぞ?」

茶「う、うん……天気予報は私も見たよ?」

無「……つまり、純粋に傘を持ってくるのを忘れた……と」

茶「……うん」

無「……俺の傘でよければ入ってくか?」

茶「ありがと、色無君♪(これはちょっと確信犯だったんだよ!)」


「あれれ〜? おっかしいなあ……一枚足りない……」

 黄緑さんが紫ちゃんと一緒にお買い物に行ってるあいだに雨が降り出したから、慌てて洗濯物を取りこんだ。転んで泥だらけになったりもしなかったし、我ながら上出来だと思ったんだけど。

「誰かのと混ざっちゃったのかな? えと、これは紫ちゃんの。ふふ、バックプリントでかーわいいの。こっちは……桃ちゃんのだよね。うう、私の頭がすっぽり入りそう……」

 仕分けしたみんなの洗い物をもう一度確かめてみたけど、やっぱり見つからなかった。

「うわー、すっげえ降ってきたな。なんか止みそうにないし、黄緑さんに傘持ってったほうがいいかな?」

「あ、色無くん!」

 下着をとっかえひっかえ眺めてたところに色無くんが来たから、わたしは慌てて両手に持ったものを背中に隠した。別に悪いことしてたわけじゃないけど、なんとなくね。

「茶が洗濯物取りこんでくれたのか。ありがとな。濡れなくてよかったよ」

「う、うん……それなんだけど、わたしのぱん——洗濯物が一枚足りないみたいなの。色無くん、知らないかな?」

「え!? い、いや、知らないな。見たことも聞いたこともない」

「……?」

 ダメもとで聞いてみただけなのに、なんか色無くんの様子が変。わざとらしく咳なんかして、そわそわしてる……ま、まさか!?

「そ、そんな……色無くんがそんなことするなんて……」

「は? ちょっと茶、何言って——」

「ダメだよ色無くん、干してある洗濯物取ったりしちゃ! 欲しいなら言ってくれれば、ぱ、ぱんつの一枚くらいあげるから……」

「うわー!! ストップストップ! 何人聞き悪いこと言ってんだ! 廊下だよ! ぱんつなら廊下に落ちてたよ!」

 色無くんはすごい剣幕でわたしの言葉を遮ると、開け放されたドアの方を指さした。そこから延びる廊下の床に目をやると……。

「あ、あった! よかったー、これお気に入りだったんだ〜」

「……そりゃあようございましたね。ところで……人を下着ドロ呼ばわりしといて、第一声がそれ?」

 見つかったぱんつに駆け寄って拾い上げ、大喜びで報告したけど、色無くんはすっごい冷めた目でこっちをにらんでた。

「あ、あう……だって色無くんが『洗濯物なんて知らない』って嘘つくから……」

「茶に恥ずかしい思いさせないでおこうと思ったんだよ! だいたい、人を疑う前にベランダの上がり口からここに来るまでを逆にたどればすぐ見つかるだろ?」

「ご、ごめんなさい……」

「今日こそは言わせてもらうけど、茶は分かんないことがあったり失敗したりしたとき、すぐ人に聞いたり頼ったりしすぎだよ。まず自分で何とかしなきゃ。このあいだだって——」

 今日の色無くんのお説教は、いつもよりちょっと長くなりそう。さすがに下着泥棒さんと間違えられたのは頭に来たのかな。ごめんね。

「——緑や黒みたいにしっかり者になれとは言わないけど、さすがにこう鈍くさいと、わざとじゃないか、何にも考えてないんじゃないか、なんて思ってしまうわけで——」

 うわ、けっこうひどいこと言われてる気がする……でも、わたしがドジばっかり踏んじゃってるのはホントだけど、何にも考えてないわけじゃないんだよ。

「——だいたいスカート履き忘れるなんて常識外れを通り越してて、それを『どうしよう色無く〜ん!』とか言われても困るわけで——」

 わたしがすぐに色無くんを頼ったり、たまに疑っちゃったりもするのは——。

「……? ちょっと茶、何で笑ってんの? 俺の話、ちゃんと聞いてた?」

「ひゃっ!? え、えーと……ごめんなさい……」

「はあ……まあ、もういいや。洗濯物の仕分けはもう終わってんの? それじゃ、黄緑と紫に傘持っていくけど……茶も一緒に行くか?」

「! う、うん!」

 ——誰にでも優しい色無くんに、わたしだけを見てもらいたいからなんだよ。


朱「お〜い、茶。ちょっと頼みごとがあるんだがいいか?」

茶「? どうかしましたか」

朱「色無が傘を忘れておつかいに行ってしまってな。悪いが迎えに行ってやってくれないか?」

茶「分かりました、任せてください! 行ってきます!」

朱「あ、コラ。場所も分からないのに行こうとするんじゃないよ」

無「さて、頼まれた物は終わりっと……げ、雨降ってる」

茶「(キョロキョロ)」

無「しゃーない、ビニール傘買うか」

茶「あ、見つけた! 色無くん」

無「お、茶か。茶も買い物しに来たの?」

茶「ううん、朱色さんに頼まれて傘を届けにきたの」

無「だれに?」

茶「誰って……色無くんにだよ」

無「じゃあ聞くけど……なんで傘一本しかないの?」

茶「え……あ忘れちゃった」

無「……」

茶「ごめんね、ごめんね! すぐ取ってくるから」

無「そんなの大変だろ。二人でその傘に入ればいいじゃん」

茶「でもコレ小さいから」

無「大丈夫、茶と買い物袋がぬれなきゃいいよ」

茶「だけど──」

無「ほらほら、冷えるから早く帰ろうな」


「あ、色無くん! 一緒に帰ろ!」

「おー」

 昇降口で顔を合わせた茶色と一緒に下校する。バスを使うには近すぎるが、歩くとそれなりに時間がかかる道のり。まったく、学生寮ならもっと学校の近くにあればいいのに。

「でね、誰もやりたがろうとしないから、ここは私がって思って——」

「ふーん、そうか」

 さっきから茶色はひっきりなしにしゃべってて、俺はそれに適当な相づちを返していた。

「——でね! すごくね、がんばったんだ!」

「そっかー。えらいなー。がんばったなー」

「……色無くん、私の話聞いてた?」

「聞いてた聞いてた」

 正直言って、聞いちゃいなかった。なぜなら俺は、手にした本を読むのでいっぱいいっぱいだったからだ。

「むー、聞いてなかったでしょ! だいたい、一緒に帰ってて私がお話ししてるのに本読んでるなんてひどいよ!」

「しょうがないだろ、緑に押しつけられたんだからさ……月曜までに読んで感想聞かせないと、もう図書室に涼みに来るの禁止って言われてさ」

 そんな理不尽な、とも思ったが、『いびきがうるさくて本読んでる人の邪魔になるのよ』と言われてしまうと反論もできなかった。

「それに、ホントにちゃんと聞いてたんだって。えーと、あれだろ? みんながいやがる仕事を茶色が買って出て、失敗もいっぱいしましたって話だろ?」

「む〜、なんか適当にでっち上げてるっぽい……」

「そんなことないって。茶色は偉い! 茶色は頑張った!」

 じとーっとにらんでくる茶色の機嫌を直すため、俺は本を閉じて大げさに褒めちぎった。

「……ホントにそう思う?」

「思う思う」

「じゃあ、頭なでて」

「……は?」

 いきなり何を言い出すんだ、こいつは。

「話聞いてたんでしょ? それなら、いつもの色無くんならもっとほめてくれるはずだもん。頭だって撫でてくれるはずだもん」

 いや、かつて頭を撫でてやったことなど一度としてないのだが……どうやら茶色の機嫌は思ったより急角度で斜めになっているようだ。

「……撫でてくれないんならいいよ、自分でやるから。手貸して」

 さすがにどうしたものかと返答に困っていると、ふくれっ面の茶色は俺の手を取り、そのまま自分の頭に載せた。

「色無くんは動かなくていいから。せーの、セルフなでなで〜!」

 あっけにとられた俺の手の下で、茶色は自ら頭を激しく左右に揺さぶりはじめた。まあ、相対的に見れば俺が茶色の頭を撫でているのと等価だ、と言えなくもないが。

「おい、そんなにブンブン頭を振ったりしたら……」

「はう〜、目が回る〜……ふぎゃっ!」

 忠告は一歩遅かった。三半規管に異常をきたした茶色はふらふらと千鳥足で数歩進み、そのまま電柱におでこからつっこんだ。

「大丈夫か!? 怪我してないか!?」

「はう〜、痛い〜」

 半泣きでおでこを押さえる茶色。しばらくしたらたんこぶになるかもしれないが、切れたりはしていないようだ。俺はほっと胸をなで下ろした。

「……ごめんね、色無くん。また迷惑かけちゃって」

「別にいいよ。もともと、俺が茶色の話聞いてなかったのが悪いんだしな」

 俺が近くの公園に走って濡らしてきたハンカチをおでこに当てながら、茶色が隣で申しわけなさそうにつぶやいた。見るからにしょぼんと肩を落としている。

「あの、私は大丈夫だから、本読んでてもいいよ。もう黙ってるから……」

 ……捨てられた子犬みたいな顔で見上げながら、そんなこと言われてもなあ。

「本はまた夜にでもゆっくり読むよ。もうすぐ寮に着いちゃうから、部屋でゆっくり今日会ったことを聞かせてくれよ。さっきの話もふくめてさ」

「いいの!? ホントはね、今日はおもしろいこといっぱいあったから教えてあげたかったんだ! じゃ、わたし先に帰ってコーヒー煎れて待ってるね!」

 今度はお気に入りのおもちゃで遊んでもらってるワンコみたいに、茶は全力で走っていってしまった。

「やれやれ……しっぽがあったら絶対ブンブン振ってるよな」

 苦笑いしながら、俺は心の中で緑に詫びを入れた——すまん、借りた本はちょっと読み終わりそうにない。


『がんばりとごほうびと』

朱「色無、すまん」

無「何かあったんですか?」

朱「茶が日射病で倒れた。日陰まで運んでくれ」

無「は、はい!」

茶「あー、空が暗くてぐるぐるするよー」

無「よかった気がついたか、でも大人しく寝てろよ」

茶「あれ? どうして色無くんがここに?」

無「当番の草むしりをやるのはいいけどさ、暑さで倒れたら何にもならないだろ」

茶「ご、ごめんなさい」

無「責めてるわけじゃないよ、茶が倒れたって朱色さんに聞いた時はびっくりしたけど」

茶「う、うん」

無「いくら夏休みだからって朝から一日中やるのは頑張りすぎだぞ」

茶「うん、でも私が頑張ったら他の人が楽になるかなって思って」

無「そっか、でもとりあえず明日はお休みな」

茶「え、そんなだめだよ」

無「今日一日で三人分やったんだから休みなさい」

茶「で、でも」

無「明日は無理しないように俺が一日中一緒にいるから」

茶「え?」

無「イヤか? イヤなら誰かにかわってもら——」

茶「いやじゃない! いやじゃないよ……あの、よろしくお願いします」

朱「……まああれくらいはな」

群「あんたはもう少し茶を見習いなさい」


茶「えっと……確かチョコパイが……(ガサゴソ)」

茶「ふ、ふぇっ!?」

茶「ふぇぇ……ぐすっ……」

無「だからあれほど夏場は冷蔵庫に入れとけと……」


『カキ氷』

茶「(シャクシャクシャク)——ッ!(キーン)くぅ——ッ」

無「……」

茶「(シャクシャク)——ッッ!(キーン)はぅぅ……(プルプル)」

無「……なぁ、何もそんなに急いで食べなくても……」

茶「ふぇっ!? ……あ、あの……」

無「……何?」

茶「(キーン)てくるときって、キタキタキタキタ——ッ!!! ってなりません?」

無「そうかなぁ……」

黄「あー、わかるわかる!」

茶「そ、そうだよね?」

桃「茶ちゃんは頑張り屋さんだなぁ」

無「この場合はちょっと違うと思うなぁ……」


紫「なんか珍しい取り合わせ」

水「えっと……」

茶「今日は皆さん用事があるみたいで」

紫「ふ〜ん。……じゃあいま寮にいるのアタシらだけ?」

水「いえ、白ちゃんもいます」

紫「ふ〜ん、黒が白を置いて出かけるなんて珍しい事もあるもんだ」

白(よろよろ……ドサッ)

三色「白(ちゃん・さん)!」

白「はぁ……はぁ……おみ……ず……」

水「凄い熱……どうして急に?」

紫「それに凄い汗……どうしよう!?黒も朱色さんも色無だっていないのに!」

茶「焦っても仕方がない、ここは冷静に対処すべきだ」

紫「茶?」

水「茶ちゃん?」

茶「紫は今すぐ救急車を呼んでくれ。その次に朱色さん、黒に連絡を。

  水は白の着替えを持ってきて欲しい。私は吸い飲みで水を飲ませつつ濡れタオルで身体を拭こう」

紫「あの……茶色、だよね?」

茶「そんな事はどうでもいい!!事は一刻を争うかもしれないんだっ!!!」

二色「はっ、はい!」

紫「一時はどうなることかと思ったけど、大事に至らなくて良かったわ」

水「本当に、茶ちゃんがいなかったらと思うと……」

茶「ふぇ?私がどうしました?」

水「茶ちゃんが適切な対応をしてくれたお陰で本当に助かりました」

茶「何を言ってるの水ちゃん。私はただ焦っておろおろしてただけだよ?」

水「え?……何を言ってるの?」

紫「まさか……」

焦る茶=焦茶


茶「色無君、朝だよー起きて?」

無「んーおはよう、茶。今何時……って!?~遅刻ぎりぎりじゃないか!?」

茶「あぅ、起こす時間間違えちゃった?」

無「あ、いや、大丈夫、大丈夫。何故か一緒に寝てたときよりは大丈夫」

茶「ごめんね……グスッ」

無「泣かないでいいからね。じゃ、行ってきます!」

茶「あ、待って。……はい、お弁当」

無「ありがとう。じゃ」

無「朝はなんとか間に合ってよかった。群青さんは仕事に関しては厳しいからな」

鉛「先輩、飯食べません?」

無「ああ、そうだな。……さて、今日の中身は」

鉛「日の丸弁当っすか」

無「まぁ、一面梅干だったときよりはマシだ。いただきます」

鉛「同情するっす」

無「同情するならおかずをくれ!」

無「ただいまー」

茶「あ、お帰りなさい。もうご飯出来てるよ、早く着替えてきて」

無「分かった。……今日は転ばなかったな」

無「……」

茶「いただきます」

無「なぁ、茶。どうして味噌汁がこんなにも赤いんだ?」

茶「こ、コチュジャンを入れちゃって。あ、あははー」

無「ははは、まぁ味噌は味噌だし、大丈夫さ。ズズズッ……ごはっ!」

茶「ああ、本当にごめんね、色無君!」

無「今日も一日危険……スリリングな内容だった。さてゆっくり布団で……」

茶(すやすや)

無「なんで俺の布団で寝てるんだろうね、この奥さんは」

茶「むぅ……ごめんなさい……」

無「夢でも謝ってるよ、しょうがないな」

 (ごそごそ)

無「お休み、茶。いい夢見てくれよ」


『努力と成果』

無「ただいまー」

茶「お、おかえりなさい、あ、あなたっ……きゃ!」

無「……大丈夫か?」

茶「大丈夫、今日はお鍋も焦がさなかったし、魚も炭にならなかったから」

無「……」

茶「味見もしたから大丈夫だよ」

無「……手、傷だらけじゃないか」

茶「これくらい大丈夫だよ」

無「ほら、手を出して」

茶「……大丈夫だよ」

無「茶の頑張るところは好きだけど、自分も大切にしなくちゃだめだぞ」

茶「あ、ありがと。でも、ゆ、指を」

無「んっ」

茶「!!」

無「ちゃんと消毒しないとね」

茶「……わ、私も」

無「じゃあ茶の自信作を食べようかな。ケーキとワインも買ってきたから後で食べような」

茶「……いじわる」


無「なぁ茶?」

茶「ふぇ?」

無「お手」

茶「お、お手!?え、えーと……わん!(ペタ)」

無「はいよく出来ましたー」

茶「……ね、ねぇ!」

無「ん、なに?」

茶「その……ご、ご褒美は……?(ワクワク)」

無「なっ!?(茶のくせになんでこういう時だけしっかりしてるんだ!)」


茶色先輩は毎日ドジをしている。

そこで私は、一日に何回ドジをするのかを調べてみた。

朝7時

茶「んぅ〜……おはよう〜、みんな〜」

無「ん、おは……ぶはっ。茶色! 胸のボタン外れてる!」

茶「ふぇ? あっ、着替えようとしてたの忘れてたぁ!」

着替えと食事は両立できないよ、普通。

昼12時 お昼を食べるとき。

茶「色無君、七味入れる?」

無「うん、もらお……茶色! 七味入れすぎ入れすぎ!」

茶「え? あ、あぁっ!?」

この後色無が代わりにそのうどん食べてた。物凄く辛そうにしてた。

夕方3時半

茶「あーうー……重いよぉ」

ふらつきながら廊下を歩いている。このままだと誰かとぶつかりそう……

あれ? なんだかこっちに向かっているような

茶「あれ? あれ? あれれれれ!?」

灰「げ……」

茶「あ……」

茶・灰「あーっ!」


茶「お、おはようございますっ!」

男「おはよ、茶さん。いやぁ、雨の日の学校は面倒臭いねぇ」

茶「そ、そうですねっ」

男「賛同してくれて嬉しいよ。青とかこんな事言ったらキレるもんなぁ」

茶「……」

男「……どしたの? 席、座らないの?」

茶「あ、あなたが座ってるところが、わ、私の席なんですけど……」

男「……昨日席替えしたところじゃん。茶さんの席は俺の隣」

茶「あ。すすすいません、忘れてましたぁっ!!」

男「それよりさ、茶さんお弁当を取りに帰ってたの?」

茶「……ふぇ? なななっ、何で知ってるんですかっ!?」

男「そりゃあ、お弁当だけ持ってたらそうなのかなって」

茶「うぅっ、恥ずかしいなぁ……。でもでもっ、玄関から出た所で気付いたんですから、セーフですよねっ?」

男「セーフとかそういう話かなぁ。って、それより一回学校についてから帰った訳じゃないんだ?」

茶「いくら私だってそこまでボケてないですよぉ。どうかしました?」

キーンコーンカーンコーン

男「……予鈴も鳴ったし、まぁいっか。茶さん、早く座らないと先生に注意されるんじゃない?」

茶「(ゴソゴソ)あれ?(ゴソゴソ)……あれ?」

男「探し物?」

茶「は、はいっ、教科書忘れちゃったみたいなんです……」

男「あれま。とりあえず、俺の見せてあげるから」

茶「す、すいませんっ。(ゴソゴソ)あ、あのっ、申し訳ないんですけど、ノートも忘れちゃったみたいなんです……」

男「……ルーズリーフでよかったら、はい」

茶「(ゴソゴソ)あの〜」

男「今度は何かな?」

茶「ひ、筆記用具を……」

男「……他に忘れ物は?」

茶「か、鞄自体忘れちゃったみたいなんです……」

男「……」

茶「か、傘とお弁当は持って来てますよ?」

男「威張れないから、それ」

男「家に電話しても誰もいないの?」

茶「い、今の時間なら、まだお母さんが家に居るはずですっ」

男「じゃあ、早く連絡して鞄持ってきてもらわないと」

茶「は、はいっ!(プルルル——ブツッ)あ、あれっ? もしも〜し?」

男「どしたの?」

茶「き、昨日、充電するの忘れてました……」

男「次、体育だけどどうするの? 見学?」

茶「あ、大丈夫ですっ。この前、体操服持って帰るのを忘れてましたからっ」

男「……そんなに嬉しそうに言える事じゃないから」

男「お、女子もバスケか」

青「茶、はいっ!!」

茶「え、えっと、あわわっ!?」

黄「茶ちゃ〜ん、パスパスパァ〜スッ!!」

茶「は、はいっ」

青「茶!! 黄は敵でしょうが!!」

茶「……あ。ご、ごめん、青〜」

橙「茶〜、パスパ〜ス」

茶「は、はいっ」

青「だ〜か〜ら〜っ、オレンジも敵でしょうがっ!!」

茶「……ふぇ?」

男「……」

赤「いやぁ、全く茶ちゃんらしいねぇ」

男「だな。ってか、当然のように男子に混ざってバスケしてんじゃねぇよ」

茶「(ゴソゴソ)あれ?」

男「何か忘れた?」

茶「わ、忘れ物っていうか、お弁当がどこかに行っちゃって……」

男「お弁当だけは持ってきてたはずなのにねぇ」

茶「う〜ん……あ、そうだっ!! 青〜っ」

男「?」

茶「すいません、無くしちゃいけないと思って青に預けてたのを忘れてましたっ」

男「……もうちょっと自分を信じようよ」

青「じゃあ私は用事があるから、先に教室に帰っておいて」

茶「うんっ。……あれ、これって青の分? わざわざ除けてあるって事は——そっか……」

茶「あ、あのっ」

男「何?」

茶「こ、これ、調理実習で作ったクッキーなんですけど、どうぞっ!!」

男「ありがとう。俺がもらっていいの?」

茶「い、いつもお世話になってますからっ。……今日は特に」

男「あぁ、ヘコまないでヘコまないで。とりあえず、もらえるんだったらありがたく貰うよ」

茶「……あの、これもどうぞ。青からです」

男「青から? 何でまた茶さんから?」

茶「あの子、ああ見えて恥ずかしがり屋ですから。わざわざ分けてたのに、あなたに渡さないかもしれませんし」

男「……」

茶「私から渡した事、内緒にして下さいね?」

男「……うん」

青「あ、いたいたっ。茶、ちょっといい?」

茶「どしたの?」

青「あんた、私が除けてたクッキー知らない?」

茶「さ、さぁ?」

青「……別にとぼけてもいいけどさ。あんた、アレ食べてないでしょうね?」

男「お、俺は食べてないよ?」

青「あんたには聞いてません。とにかく、アレは流しに落としちゃって、捨てるために除けておいたんだから口には入れないように。いいわね?」

茶「……ふぇ?」

男「……ちょっとトイレへ」

茶「あああ、ごめんなさいごめんなさいっ!!」

茶「……はぁ。今日もいっぱい迷惑かけちゃったなぁ……」

男「どしたの茶さん、ため息なんてついちゃって」

茶「……っ!? なな、何でもないです、はいっ!!」

男「そう? ひょっとしてまた何か忘れたの?」

茶「え、えっと、そのっ——家までの帰り道を忘れちゃいましたっ」

男「……」

茶「な、なーんて……」

男「よし、それじゃあ一緒に帰ろうか」

茶「……ふぇ? あ、あのっ、ちゃ、ちゃんと一人で帰れますからっ、大丈夫ですはいっ!!」

男「今日の茶さんなら途中で帰り道が分からなくなってもおかしくないから。送っていくよ」

茶「だ、大丈夫ですからっ、ホント大丈夫ですからっ!!」

男「ま、単に俺が茶さんと一緒に帰りたいってだけなんだけど。……駄目?」

茶「あ……。だだだだ駄目なんかじゃないですっ!! よ、よろしくお願いしますっ!!」

男「じゃあ帰ろうか——って傘は?」

茶「……あ。教室に忘れてきました……」

男「……」


無「……」

 さくっ……

無「……」

 さくっ……ざ……くっ……

無「……」

 ざくっ

無「……なぁ、茶色——」

茶「色無くんは座っててよー!もうちょっとだから!」

無「あ……うん……でも」

茶「いいから!風邪引いたときにはりんごって決まってるの!」

無「……」

 さくっ……さくっ……

茶「きゃっ!?」

無「茶色!大丈夫か!?切ったとこ見せてみろ!」

茶「違うよ、ちょっと果汁が目に入りそうだっただけで……」

無「そうか……よかった……」

茶「ほーら、出来た!はい、あーん」

無「あ、あーん……」(すでに時間が経ちすぎて少し変色している……)

茶「……どう?おいしい?」

無「う……うん、おいひいよ」(うわぁ……皮むきのおかげで量が少ないや)

茶「ほんとに?よかったー!色無くんこれね、私の実家から送られてきたんだよ。農家やってるの!」

無「へー、そうなんだー……」

茶「だからまだたくさんあるから、全部むいてあげるね!」

無「茶色!俺おなかいっぱいだからもういいよ!」

茶「ふぇ?……そう?なら、まぁ……」

無(危なっかしくて見てられない……!)


『あくしでんと』

茶「わー雪だねー」

無「そうだな、走ると危ないぞ」

茶「えー、平気だよ」

無「そこから下り坂になってるんだから気をつけ——!」

茶「あ、わ、きゃー!」

 ゴロゴロゴロゴロ

無「大丈夫か! 捻ったりしてないか?」

茶「……真っ暗でなにも見えないけど体は痛くないよ」

無「そうか、良かっ……痛」

茶「……色無くん大丈夫?」

無「ああ、とりあえず立てるか?」

茶「え? あ、うん」

焦「初雪で気分が昂揚するのはいいが少々大胆だな」

無「焦茶さん!」

茶「その声はお姉ちゃん?」

焦「しかし見事な絡まり具合だな。ところで色無よ、妹のスカートの中はどうだ?」

茶「え? あ! キャーー!!」

青「それで首を痛めて全治二週間……ね」

無「ギプスなんて初めてしたよ」

青「で……見たの?」

無「なにをだよ? 川と花畑っぽいのなら見たけど」

青「そう、とりあえずいろんな意味でお大事に」

無「いろんな意味って何だよ?」

 ガラッ

茶「色無くん……ごめんなさい治るまで身の回りのことは任せてっ、あ」

青「……いろんな意味よ」

無「治るまで保つかな……俺の体」


「うぅ……」

 私は今とても急いでいます。

 どうしてかというと、その……学校を出たら寒かったし……途中で急におトイレに行きたくなって……。

「寮ってこんなに遠かったっけ……」

 寮までなら我慢できると思ってたけど、ちょっとピンチかも……。

 それでも走っちゃダメだよね。私はドジだから、こんなときこそ慎重にならないと。

「やっと……着いたー!」

 もう限界が近い。早くトイレに……!

「ただいま朱色さん!」

「おぉ、おかえり。そんなに急いでどうした?」

「ちょっといろいろ!」

 わけの分からないことを言いながらトイレへ駆け込む。

 寮に着いて安心したのか、急にアレが押し寄せてきた。

「あ、そういえばワックス掛けたてだから気をつけ……」

 ツルッ

「うひゃあ!?」

 ドシン!

「遅かったか……」


無「茶、セーター後ろ前に着てるぞ?」

茶「え? いやだなぁ色無くん。いくら私がドジだからって、いつも失敗してるわけじゃないよ?」

無「いや、それはそうだけど……どう見てもそれは逆のような……」

茶「え? ふええ!? 本当だ……なんで!?」

無「ちゃ、茶?」

茶「今日こそは間違わないようにってちゃんと確かめ……あ、そうだいつも逆に着ちゃうから今日は間違えないようにって逆から逆に逆で……ふぇぇ!?」

無「茶!? 落ち着くんだ!」

茶「(ズルッ)あっ……!」

無「危ない!」

 ガシッ

茶「ふぇ……痛くない……?」

無「ふぅ、間一髪だったな」

茶「色無くん……。ありがとう……」

無「茶はただでさえ慌てる癖があるんだから気をつけないと」

茶「ごめんなさい……」

無「まぁ、あわてんぼうなところも茶の可愛いところなんだけどな」

茶「あぅ……そ、そんなことないよぅ……」

焦(しまった……出て行くタイミングを見失った……ここは私も出て行って盛大に転ぶべきか、或いは……)

無「あれ? 何やってるんですか、焦茶さん?」

茶「え? お姉ちゃん?」

焦「……何たる不覚……」


『甘酒』

茶「甘酒って甘くておいしいですよね〜」

無「俺も好きだなー。ちょっと独特だけど」

茶「体がポカポカしてきました〜」

無「……茶色?」

茶「もふいっはいのも〜色無ふぅ〜ん」

無「やっぱりだ!お前酔ってるだろ!……って茶色、お前が飲んでるの、どぶろくじゃないか!」

茶「朱色ひゃんがくれたの〜。もういっはいもらってふる〜(ふらふら)」

ばきっ!がしゃーん!ずどーん!!

無「だ、誰か茶色を止めろー!!」


無「ただいま〜」

茶「色無くん、お帰りなさい。その袋はお買い物ですか?」

無「テストも終わったしさ、DVDでも観ようと思って借りてきたんだ」

茶「え、えっちなのは……」

無「違うってば! ほら、これとかこれとか、ね?」

茶「あ、これ私大好きなんですよ!」

無「じゃぁ一緒に観る? 寮のテレビだと画面も大きいしさ」

茶「は、はい! それじゃポテチ取ってきますね!」

無「あ、走ったらあぶな——」

 ガシャーン

茶「ふぇぇ、おでこぶつけちゃいましたぁ」

無「大丈夫?」

茶「はい! ポテチは死守しました!」

無「ポテチより自分の心配をしなきゃ。それ、いたいのいたいのとんでいけー」

茶色(ふにゃぁ……嬉しいけど恥ずかしいよぉ)

無「さて、DVDをセットして、と」

茶「えいっ! うーん、あれ?」

無「どうしたの? 茶色さん」

茶「ポテチの袋が開かないよぉ」

無「そういう時は縦に開けるといいよ」

茶「こうですか? えいっ!」

 バリーン、パラパラパラ。袋全開降り注ぐポテチ。

無「あーあ、ポテチまみれになっちゃって」

茶「ご、ごめんなさい……」

無「あ、じっとしてて、服の上のポテチとか拾うからさ」

茶「ふぁい……ごめんなさい」

無「謝らなくっていいって。あ、ジュース取ってくるね」

茶「ふぁい……」

無「はい、ジュース。パックだけど」

茶「あ、ありがとう」

無「さてとストローを刺して」

茶「ひゃぁっ!」

無「どうした?」

茶「ジュースが飛び出しちゃいましたぁ」

無「あ、とりあえずティッシュで拭くからじっとしてて」

茶「ごめんなさい」

無「パックを強く持ちすぎ、っていうか角を持たないと」

茶「ううっ……」

無「あ、その気にしないで、ほらDVD始まったから観よ?」

茶「う、うん」

 DVD[正義の料理人ミスタードジッ子! 〜失敗料理が地球を救う!?〜]

茶「面白かったね」

無「うん、シチューに塩と間違えて青酸カリ入れちゃうってどんだけ」

茶「それで、それを敵が盗んで食べて死んじゃうんだもん」

無「でも実際あんなドジな奴いたらたまんないけどね」

茶「……やっぱりドジばっかりだと」

無「どうしたの?」

茶「……ダメですよね……私……(グスッ)」

無「え? いやいや、茶色さんのことじゃないよ?」

茶「でもさっきも……(グスグスッ)」

無「あんなの気にしてないって!」

茶「でも……」

無「それに失敗しても前向きじゃん?」

茶「……」

無「そういうのは茶色さんのいいところだし、そういうのは好きだよ」

茶「あ、ありがとう色無くん」

無「まだDVDあるから一緒に観ようよ? ね?」

茶「うん!次は何借りてきたの?」

無「えっと」

 つ[スチュ○ーデス物語]

茶「ふぇぇっっっ! ドジでのろまなカメはやめてーー」

 で、その後二人で毛布にくるまったままソファで寝てしまい、朝起きてきた寮生にひやかされるのは別のお話


『いろなしくんとちゃいろちゃん』

いろなし「じゃ、輪唱の練習しよっか」

ちゃいろ「うん、かえるのうただよね?」

いろなし「そう、じゃ俺から歌うから追いかけてきてね」

いろなし「かーえーるーのーうーたーがー」

いろなし「きーこーえーてーくーるーよー」

ちゃいろ「きーこーえーてーくーるーよー」

いろなし「だからー、ちゃいろちゃんも最初の歌詞から歌うの」

ちゃいろ「ふえぇ、ごめんなさい」

いろなし「じゃ、もっかいね」

いろなし「かーえーるーのーうーたーがー」

ちゃいろ「かーえーるーのーうーたーがー」

いろなし「ちがーう、それは合唱だよ」

ちゃいろ「はうぅ、ごめんなさい」

いろなし「じゃ、もっかいね」

いろなし「かーえーるーのーうーたーがー」

ちゃいろ「きーこーえーてーくーるーよー」

いろなし「ちゃいろー!逆!逆!」

ちゃいろ「ほえぇ」

いろなし「俺が『きこえてくるよ』のところで『かえるのうたが』って歌うの」

ちゃいろ「ふぁい、がんばります」

いろなし「じゃ、歌うね」

いろなし「かーえーるーのーうーたーがー」

いろなし「きーこーえーてーくーるーよー」

ちゃいろ「かーえーるーのーうーたーがー」

いろなし「ゲロッ ゲロッ ゲロッ ゲロッ」

ちゃいろ「きーこーえーてーくーるーよー」

いろなし「ゲロゲロゲロゲロ ゲッゲッゲッ」

ちゃいろ「ゲロゲロゲロゲロ ゲッゲッゲッ」

いろなし「なんで同時に終わるのさ」

ちゃいろ「ふぇーん」







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 04:07:00