橙「クリームちゃん♪」(カプ

薄黄「ひゃあ!?……もう、オレンジさん!耳噛むのやめてください!!」

橙「だっておいしそうなんだもんww」

薄黄「おいしそうって……」

黄「クリームちゃん♪」

薄黄「ひゃう!?…黄色さ〜ん……指くわえないでください…」

桃「クリームちゃん♪」

薄黄「ひゃ!?もう、首筋舐めないでくださいよ〜!!」



男「………これは最高の眺めなのだろうか…」


黄「くりぃむちゃん!!」

薄黄「ひっ…!……もう、いきなり甘噛みしないでください!」

黄「だっておいしそうなんだもん……カプ」

薄黄「ひゃ!?」

男「そろそろやめてあげなさいよ……」

黄「だって本当においしそうなんだもん……。色無しも食べてみなよ〜!!」

男「っていうかいくらおいしそうに見えても人だから、人!」

薄黄「……色無し君……ありがとう……!(ボロボロ」

男「な…なんで泣いてるんですか!?」

薄黄「だって……えぐ…みんなして私のことおいしそうって言って……う…ちゃんとした反応してくれたの色無し君だけなんだもん……」

男「(あいつらじゃあそうだろうなぁ……)」

薄黄「そしたら…なんか感極まっちゃって…えぐ」

男「と…とにかく大丈夫だから!泣かないで!」

薄黄「うぅ…ありがとう色無し君!」(バッ

男「な……なんで抱きつくんですかそんなことで!?」

薄黄「ごめんねごめんね……」

男「(…………!)」

黄「(キラーン)色無しいま食べちゃいたいと思ったでしょ二つの意味で!!」

男「な……んなこと思ってねぇよ!!」

薄黄「そ…そうなんですか?」

男「あぁクリームちゃんそんなに距離を取らないで!!」

薄黄「信じてたのに……!」

黄「これは色無しが悪いねwww」

男「俺は普通な反応をしただけだぁ!」


こんにちわ、薄黄色です。みんなからはクリームって呼ばれてます。

………よく食べられそうになります…。

今日は私の命がけな下校の話をしたいと思います。

薄黄(…よし、今日は他のクラスよりもHR早く終わったぞ。この分だと普通に帰っても大丈夫かな?)

  廊下にて

薄黄「……ふぅ、よかった。今日は誰にも会わずに帰れそうかな…。」

ガタガタ

薄黄「…あ、あそこのクラス終わったみたい。どこだっけ?え〜と…………………B組………」

………どうやら急いでB組を通り過ぎないとまずい感じです。

なぜならあそこには……あそこには……

ガラガラ

黄「よ〜っし、授業終わった〜!帰ろっと!」

………彼女がいるからです。

もし見つかれば必ず食べられる………。

でも今日は大丈夫なはずです。もうB組の前どころかA組も通り過ぎてて、あとは下駄箱の群生地に入ってしまえば黄色ちゃんからは見えなくなるからです。

黄「あ〜、今日一緒に帰る人いなくなっちゃったなぁ。まぁいっか〜、たまには一人で………あ!クリームちゃん見っけた!」

………どうしてこう見つかるのでしょう。これだけ離れてて後ろ姿だけじゃわからないはずなのに……

黄「クリームちゃ〜ん!」

パタパタと音をたてて走ってきます。私は観念してその場で身構えました。

きっと後ろから抱きつかれてそのまま耳を食べられ……あれ?

黄「クリームちゃん、帰ろっ!」

彼女は私の目の前に回りこんでいました。

薄黄「……?いいよ、帰ろっか」

今日は食べないのかな……?

薄黄「ひゃぁっ!?」

黄「う〜ん、すごくおいしい気がする!!味しないけど!!食感は言うことなし!!」

……油断していたら食べられちゃいました。ほっぺた…

薄黄「もうっ、食べるのやめてよぉ!!」

黄「今日はほっぺた食べてみたんだwwやっぱり一番おいしそうでしょ?」

人の話を聞いてくれません。

珍しくその日黄色ちゃんに食べられたのは、この一回だけでした。

けれど、下校途中の人通りのあまりない坂道にて……

黄「でねぇ、色無しが群青さんに珍しく怒られてねぇ!」

薄黄「群青さん、色無し君にも怒るんだぁ…。意外だねwww」

黄「でしょ!?それでね、……」

黄色ちゃんと楽しく下校していると、後ろから陸上部のランニングの掛け声が聞こえてきました。

薄黄「!!」

黄「?どしたのクリームちゃん?………あぁ、そっかwww」

黄色ちゃんは理解したみたいです。なぜ私がおびえたのか……。

陸上部の行列が私たちを通り越していく中、

赤「ふぁい、おー………あ!」

薄黄「ふぇ……」

赤「疲れたときには甘いもの!!クリームちゃんいただきぃ!!」

薄黄「ひゃう!?」

列から飛び出し、私の首筋にかぶりついてきました。

赤「う〜ん、おいしい!!気がする!!よっし、元気出てきたぞぉ!じゃねクリームちゃん!!」

毎度いきなりのことで硬直している私になんて目もくれず、少し先に行った列の中に颯爽と戻っていきました。

薄黄「う〜……赤ちゃん、いっつも文句言う暇もなくどっか行っちゃう……」

黄「赤はすばやいからね!!あれに文句言いたかったら色無しでも使わないと駄目だよ!」

薄黄「色無し君……」

みんなの尻に敷かれてるけど、みんなに愛されてる人。私のこともよく助けてくれる。彼がいなかったら私はもっと被害大きかったと思い…ます。

色無し君どこかにいないかな?守ってほしいな……。

その後は誰に会うこともなく、黄色ちゃんとお喋りしながら寮に帰ってきました。

……でも私を狙う人はここにもいます。まだまだ油断は禁物です。

黄「たらいま〜!」

朱「おう、帰ったか!なぁなんか甘いもの食べたいんだけど、コンビニ行ってなんか買ってきてく……って甘いもの発見〜!!」

見つからないようにゆっくりと階段のほうに移動してたんですが、ばれちゃいました……あぁ、また食べられる……

朱「いただきま〜

男「ちょっと待ったちょっと待った朱色さん!」

色無し君……!!

このとき、本当に白馬に乗った王子様が助けに来てくれたように見えました。

朱「なんだよ色無し〜」

男「ちょ、なんだよて、クリームちゃん涙目じゃないですか!っていうか食べちゃだめって言ってるでしょ!!」

朱「ん〜じゃお前コンビニ行って何か甘いもん買ってこい!糖分が足りないんだよ糖分が!」

男「わかりましたよ……。チョコかなんかでいいですか?」

朱「任せる!」

男「ほいじゃ、行ってきますね。いいですか、クリームちゃん食べないように!!」

朱「わかったわかった、早く行け〜」

逃げるように部屋に戻った私は、お礼を言ってなかったことに気付きました。

薄黄「…あとで色無し君の部屋、行ってみよう……」

もう日付も変わるころ、部屋を静かに出て階段を下りて、男子棟に行きます。

初めてのことなので、とても緊張しました。

男子棟と女子棟の間には、朱色さんのいる管理人室があります。

本当ならそこで見張られていて行き来することは出来ないのですが、朱色さんはいつも寝てるので心配はいりません。

そこを通るとき、向こう側に人影が見えました。

私はとても驚いて、とりあえず大量の返ってきたクリーニングの影に隠れました。

人影が少しずつ大きくなってきます。どうやらこっちに歩いてきてるみたいです。

………深緑さん?

暗くてよく見えないのでわかりませんが、たぶん深緑さんです。

……間違えて男子棟でも入っちゃったのかな?

それが深緑さんとわかっても、私は出て行きませんでした。

……だって、つかまったら厄介じゃないですか……。本気で食べられるんですもん。

深緑さんが横を通り過ぎて女子棟のほうに向かっていく……

が、そこで止まりました。

どうしたんだろう?

ここは彼女からは死角となっているので、気付かれてはいないはずです。

深緑「あら…………匂うわ」

……?何が匂うんでしょうか?

深緑「甘い匂い……」

深緑さんが少しづつこっちに近づいてきます……。まさか……」

深緑「くんくん…こっちね」

まさか……そんなまさか…!!

深緑「甘い……クリームの匂い」

嘘だ!!

深緑「ここかしら?」

薄黄「あ………」

目が合いました。

深緑「あら、こんなところにおいしそうなシュークリーム見つけたわw」

薄黄「え……えぇ!?」

ちゃんと目が合ったのにぃ!!

深緑「いただきま〜す♪」

薄黄「た……助けてぇ!」

そのとき、

男「深緑さん、それクリームちゃんです!」

またもや王子様が現れました。

深緑「なに言ってるの?クリー」

男「食べられないクリームちゃんです!!薄黄色ちゃんです!!」

深緑「あら?でも甘い匂いするわよ?」

男「どんだけですかあなたは!!……だめだ、止められない!クリームちゃん、とりあえず逃げよう!」

薄黄「え?あ……」

私は色無し君に腕を引っ張られ、それについていきました。

ガチャ バタン

男「…はぁ、はぁ……深緑さんはたまに狂気だよなぁ……本物だからこそ。クリームちゃん、大丈夫?」

薄黄「う…うん」

男「クリームちゃんにとっては深緑さんなんか本当に天敵だねwww早めに逃げたほうがいいよ?」

薄黄「…………」

また助けてもらっちゃいました……お礼を言いにくるはずだったのに。

男「?大丈夫?ちょっと走りすぎた?」

薄黄「これが……」

男「……?あぁ、俺の部屋か!ごめんね汚くて!っていうかほら、もう深緑さんもいなくなったっぽいからこんなとこ出て」

薄黄「ううん、いいの!」

男「へ?」

薄黄「……色無し君、助けてくれてありがとう」

男「あぁ、いいよいいよ別にそんなん!」

薄黄「帰ってきたときも助けてくれたし……。いまね、そのときのお礼を言おうと思って色無し君の部屋に来ようとしてたんだ。

   そしたら深緑さんに見つかっちゃって……結局また助けられちゃった…」

男「いいって!ジュース買いに行って帰ってきたらクリームちゃん襲われてるんだもんwww助けるしかないでしょ!」

薄黄「色無し君……ありがとう」

男「また他のやつらにも襲われそうになったら俺んとこおいでよ。あいつら限度ってもんを知らないからな……」

薄黄「うん…。」

男「じゃ、下まで送ってってあげるよ。」

薄黄「え?悪いよぉ!」

男「早く行くぞ〜」

もう先に行っちゃってます、色無し君。

薄黄「あ、待って……」

ガチャ パタン      …………モゾモゾ

灰「……ん〜?何か今話し声が……あれ?色無しいない…まぁいいや、勝手に潜んでる身だし」


みなさんこんにちは、薄黄色です。

今日は他の女の子たちの話をしたいと思います。

下校中

紫「わ〜い、おいしそうwww」

薄黄「やめてよ紫ちゃん〜!」

今日も食べられます。私が慣れてしまえばいいのですが、食べられる感覚だけは慣れられそうにありません。

紫「ふふ、おいしかった〜wwどしてクリームはそんなにいい匂いがするの?」

薄黄「へ?私そんなに匂う?」

紫「うん、すっごくいい匂い!!食べたくなるのも半分以上それが原因だねww」

薄黄「そっか〜?自分じゃわからないんだけどなぁ……」

紫「あ」

薄黄「あ、色無君だね」

私は、いつも守ってくれる王子様に手を振りました。するとすぐに気付いてこちらへやってきました。

男「クリームちゃんと紫かぁ。なんだか珍しいコンビだな」

薄黄「そう?結構仲いいんだよ?」

紫「っていうか色無、また一人で帰ってたの?」

男「みんな部活行っちゃってさぁ。男子、帰宅部俺しかいないんだよなぁ…。おっと、そんなことより紫、クリームちゃん食べたりなんかしてないだろうな?」

紫「だ……誰が食べるかぁ!」

男「紫はお子様だからなぁ。甘いものと見ればかぶりつきそうだww」

紫「子供扱いすんな!!」

紫ちゃん、本当は食べたくせに色無君に子供扱いされたくないからって嘘ついてますね。可愛い……。

でも結局は子供扱いされちゃってるんですけどね。

紫ちゃんが色無君と言い争いをしながらも、ちらちらこっちを見てきます。嘘をついたことに負い目を感じてるんでしょうか?そこもまた可愛いww私はにっこりと微笑み返してあげました。

男「わかったわかった、とにかく帰ろうぜ。朱色さんが待ってるよ」

紫「ぜんぜんわかってない!!」

薄黄「まぁまぁ紫ちゃんwwwみんなで帰ろ?」

紫「クリーム……うん。色無、くだらないこと言い争いしてる暇があるならさっさと帰るわよ!」

男「お前が引かなかったんじゃん!!」

紫「うるさい!!」

…今日は平和に暮らせそうです。


薄「ひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!」

橙「黒ーその娘捕まえてぇー!」

黒「ふん」(ガシッ)

薄「ふあぁぁぁぁぁ離してくださいぃ!」

橙「ナイス黒。さ、その娘をこちらへ」

黒「駄目よ。まずこの娘を追うわけを聞かなきゃ」

橙「そりゃあ………食べ」

黒「じゃあ駄目よ」

橙「……………黒には太刀打ちできるのは緑と白だけか……ここは素直に去るわ」

黒「行ったわよ」

薄「あ・ありがとうございますぅ」

黒「(ジー)」

       ぱく

薄「ひゃ……あ………ほっぺ……」

黒「(チュー………チロチロチロ…………)」

薄「うん…………!吸っちゃ……………っ!」

黒「(ハム……ハム………ベロォ…)」

薄「ひぃ………うぅ…………」

黒「ジュル…………行きなさい」

薄「うぅ…………」

黒「…………………」

     確    か    に    甘    か    っ    た


薄「———というワケなの。だからもう、ここしか安心できる場所がなくて……ぐすっ…」

無「……事情はよーく分かった。部屋には鍵を掛けておくから、たとえ深緑さんといえども大丈夫のはず」

薄「あ、ありがとう……色無くん、いつもごめんね」

無「気にするなよ。困ったときはなんとやら、ってことでさ」

薄「……うん。ホントに、ありがとう」

無「ッ——……あ、あのさ!俺、まだちょっと課題が終わってないからッ!だから、先にベッドで寝ててくれッ!」

薄「あ、うん」(……—————あれ?今、『先にベッドで寝ててくれ』って、ということは、色無くんも、後から……!!?)

無「俺、床で雑魚寝するからさ!だから、クリームがベッド占領しちゃっていいからな!じゃ、おやすみ!」

薄(や、やっぱり色無くんも、みんなと同じなのかな?でももし、この前のオレンジちゃんが言った意味だったら……どどど、どうしよッ!?)

無(あー、なんかああいう申し訳なさそうな笑顔って、イイよな……。クリームだからなのかもしれないけど、癒されたよ……)

薄(……———、……)「色無、くん……」

無「え?あ、な、なに!?」

薄「……………その、えっと……わたしで、いいん、だよね?」

無「……え?」

薄「———やっぱりなんでもないッ!さ、先に、ベッドにいるからッ!」

無「え、……え、え、えーと……?」

薄(あああ〜〜……もも、もうすぐ……わたし、そういう意味で、とうとう食べられちゃうんだぁ……)

灰『……あ。なにやらあまーい香りがすると思ったら、クリームちゃんだ』

薄『ひええッ!?はは、灰色ちゃんがなんで色無くんのベッドにぃ!?』

灰『ここは対鬼姉様用のシェルターなの。それはともかくとして、ちょうどおくちがさみしかったので……んふふふふ。逃げ場はないぞよ?』

薄『は、灰色ちゃんちょっとまっ、まって、やだっ、そこちがぁ———……』

色(——……あ。そういえばベッドの中には灰色という天然危険物が……あ、なんかもがいてるッ!?)


薄「ハァハァハァ………ここなら」

白「ここならなんですか?」

黄「クリームどこだぁー!煮て食うぞぉー!」

薄「ひぃ………」

白「クスクスそういうことですか」

薄「そういう事ですぅ」

白「いいですよ。早くベットの下に」

黄「(ガラッ)クリームいねがぁ!」

白「その娘ならここに来ましたよ」

薄(えっ……まさか………)

白「でも私を見たら『ここもダメかぁ』って言って出て」

黄「サンクー待ってろよぉデザート!」

白「……………大丈夫ですよ」

薄「少し裏切られたかと思いましたぁ」

白「あれぐらいカマかけると人は結構騙されますよ」

薄「策士ですねぇ」

白「でも本当に柔らかそうなほっぺですね」

薄「………………触ってみます」

白「ゴクリ………(プニプニ)」

薄「ぷぅ」

白「これはグミ、いやマシュマロ……(プニプニプニプニ)」

薄「くすぐったいですぅ」

白「しかしどうすれはこの様な弾力が(プニプニプニプニプニプニプニ)」

薄「あのぉ……そろそろ」

白「αゲル以上マシュマロ以下(プニプニプニプニプニプニプニプニプニプニ)」

薄「あうぅ………」

白「ハッ!つい……ごめんなさい」


薄「もうダメですぅ………」

橙「バテてきたみたいね」

黄「汗も甘いのかなぁ?フヒヒヒ………」

薄「ここもう降参す」

       グイッ   バタン

侍「某が一足早かったな」

薄「ここはどこですか?」

侍「某が作った隠し扉の中だ。静かにっ!」

黄「あれいなくってる」

橙「昼休みが終わっちゃうよ」

ダダダダダダダダダダ

侍「行ったか………」

薄「助けてくれてありが………なに縛ってるんですか!?」

侍「なにただ甘くて柔らかい兵糧が手にはいったのでな。ちと味見を」

薄「でもやりすぎですぅ」

侍「侍でも黒、腐っても黒、これぐらいは当然!」

薄「やっぱり私って食べられる運命………」

侍「ククク………ではいただくとするか。アーン」

         バタン

男「おい、昼休み終わるぞ。次物理…………」

侍「…………………」

男「黒百合乙」

侍「ちがっこれは………!」

         バタン

薄「あの………次授業あるから……縄ほどいて…………」

侍「(シュル)………………」

薄「………元気出してくださいね」

侍「うん」

薄「…………チャイムなりましたよ?」

侍「うん」


こんにちは、クリームです。

最近影が薄いとか言われてるけど、そんなことないです!!話に出てこないだけで、ちゃんとみんなと楽しく……楽しく……

……こういうのを影が薄いっていうのかな……

凹んでばかりもいられません。だから今日は、少しお話ししようと思います。

緑「……(ぺら」

学校の図書室で、黙々と本を読む緑さん。

薄黄「あの、緑さん」

緑「……何?」

最近は話しかけると答えてくれるようになりました。前までは絶対に気付かなかったのに……。多少気にかけてくれてるってことでしょうか?

薄黄「最近学校来て読書してますけど、もしかして色無くんの補習終わるの待ってるんですか?」

緑「……そんなわけないじゃない(ぺら)///」

……緑さん、いまページめくる方向間違えてました。気付いてないのかな?っていうかわかりやすいな。

薄黄「じゃあどうして?」

緑「……あの子たちの保護者代わりよ」

図書室の床に寝転がってる紫ちゃん、オレンジちゃん、黄色ちゃん。冷房の効いている部屋の床はひんやりしてて気持ちいいらしいです。

橙「あ〜……色無まだかなぁ……」

黄「何時までだっけぇ?」

紫「……1時。あと40分……」

橙「微妙に長ぁいぃ……」

みんなだらけちゃって……

薄黄「……ほんとにそれだけですか?」

緑「それだけよ」

薄黄「だってここ、みんなが通ってる学校なんだから別に保護者代わりしなくても……」

緑「……わかったわよ。私も……待ってるの///」

表情は見せないように、本の表紙で隠す緑さん。でも見なくても真っ赤になってるのがわかっちゃうんですよねw

緑「……あいつには絶対言わないでね」

薄黄「わかってますよ」

緑「調子乗るから」

薄黄「あははw」

紫「パク」

薄黄「ひゃぁ!?……いきなり耳食べないでよ紫ちゃん……」

紫「だって……お腹減っちゃったんだもん……」

緑「……ま、こんな時間だしね。よっし、色無が来たらマクド奢らせるわよ」

橙「お、緑わかってるじゃん!!こんな可愛い子たち待たせるなんて男として最低だもんね!罰は必要だよ罰は!」

黄「ちょww私ら勝手に集まってるのにwwでもおもしろいからそれでいいやww」

紫「でも……あと35分ある」

橙「それまではクリームちゃんで我慢するんだよ!」

薄黄「へ?」

紫「じゃあ私指食べる……むぐ」

薄黄「ひゃ!?」

黄「私は……とりあえず首筋舐めとこwww」

薄黄「ふぇっ!?」

橙「んー、じゃあ私は……いいや!色無のモノ食べるから」

緑「オレンジ、あなた……昼間なのよ?」

橙「へっへ〜、緑にはあげないよ〜だっ!」

緑「いらないわよ!///」

紫「ん……ねぇねぇなんの話なのぉ?」

薄黄「紫ちゃんそれは突っ込んじゃいけない話でひゃぁぁ!?」

黄「うわ、耳の裏おいしー!」

薄黄「黄色さん!!」

……とまぁこんな風にいつもと変わらず元気でやってるんです。……いつになったらみんな私のこと食べなくなるんだろう……。


こんにちは、クリームです。

今日もまた、追われています。おなかが減って錯乱状態に陥った紫ちゃん、黄色ちゃんに。

でも本人たちがそう言ってるだけで、実際錯乱状態なのかは……はっ!錯乱状態なら、自分でそうだと言えるわけがない!! 
黄「あ、なんか気付いたっぽいよw」

紫「最初から気付けぇwっていうか待て〜!」

薄黄「うわーん、騙されたぁ!!」

本当に錯乱状態なら、少しぐらい食べさせてあげてもいいかなとか思ってたのに……

黄「待て〜いw」

と、とにかくいまは逃げないと……よし、上! 
黄「紫ちゃんはむこうの階段のぼって!挟み撃ちよ!」

紫「おっけ〜いww」

黄「ふふふ、この上は最上階!そしてそこにつながる階段は私と紫ちゃんの二つだけ!屋上はあるけど鍵かかってるし!こりゃあ詰みだww」

どうしよう……こっちの階段からもむこうの階段からも足音が……

黄「くりぃむちゃん!!もう逃げられな……ってあれ?」

紫「なになに、どうしたの!?」

黄「あれ?紫ちゃん、そっち行かなかった?」

紫「来てないけど……そっちにもいないの?」

男「こっちだ」

薄黄「ひゃっ!?あ……え、色無くん?」

男「大丈夫かよ?あいつらどんどんエスカレートするなぁ……」

薄黄「ありがとう……ってあれ?なんで屋上?鍵は?」

男「あぁ、俺もよく追われる身だからね。朱色さんとこから屋上の鍵拝借しといたんだ。ここなら安全だしね。っていうか今も追われる身」

薄黄「……?色無くんが?」

男「あ、えぇと……まぁ恥ずかしいからあれなんだけど……」

急に目を合わせてくれなくなりました。どんな理由なんだろう……? 
そのとき、下の寮内から声が響いてきました。

『だぁかぁらぁ、私は別に咎めるつもりはないんだよぉ?エロ本の一冊や二冊!ただ確認したいだけなのさ性癖を!!』

これは……オレンジちゃんの声?いやそれよりも……

男「あいつ……大声で言うなよ……///」

……あぁ、なるほど。そういうことかぁ。色無くんも男の子だもんね。

薄黄「あ、でもほら……本当にこの年頃ならみんな持ってるんでしょ!?なら別に……」

……フォローしようと思ったんですが、逆効果だったみたいです。下に顔を向けたままどんどん赤くなって……

薄黄「あ、えっと……その……なんていうか……」

どうしようどうしよう、なんて言えば……

薄黄「ととととにかく大丈夫だよ!!私、色無君とならどんなプレイでも……」

男「……」

薄黄「……」

男「……え?」

……何言ってるんだろう私……最悪だぁぁぁぁぁぁ!!! 
薄黄「ごめんなさいごめんなさいそういう意味で言ったんじゃなくていやそういう意味がどういう意味かというともう何がなんだかで」

男「いやいいよいいよ!この空気どうにかしようとしてのことだもんね!?……でも今のはちょっとびっくりしたかな。まさかクリームちゃんがそんなこと言うとは思わなくて……」

薄黄「……」

自分でも、赤くなっていくのがわかります。……もう死にたい……

薄黄「ごめんなさい忘れてくださいぃぃ!!」

男「あぁまだあいつらが……!」

紫「あれクリームちゃんどうやって屋上に!?」

黄「ちょうどいい、食べちゃおう!!」

男「ほらまだいた!」

薄黄「食べられたほうがマシですぅぅ!!」


 寮

朱「あれ?姉さん」

群「おじゃまするわね」

朱「寮に来るなんてめずらしいね」

群「まあちょっとね……部屋借りるわ」

朱「はいよ〜」

 廊下

赤「ふははは!!」

薄「いやぁぁぁ!!」

赤「逃がさないよぉ!!」

薄「はっ!?空き部屋発見!!」

とっさに空き部屋に逃げ込む薄黄

赤「ちっ」

 空き部屋

薄「ここなら誰もいない……」

群「ん?薄黄ちゃんじゃない」

薄「こんなところにまで人が……完全な密室……ここまでかぁ!!」

群「なに騒いでるの?あと疲れてるからむやみに動かないで」

薄「はい……」

群「……」

薄黄(気まずい……)

群「ちょっと……」

薄「なんでしょう?」

群「こっちにきて……」

薄「あ、はい」

群「失礼するわね」

薄「なんで抱きついてるんですか?」

群「はぁ……このマシュマロみたいな肌触りと弾力……癒されるわ……」

薄「あ、あの群青さん?」

群「……」

薄「寝てる……よしいまのうちに逃げ……?抜けられない!!」

群「うふふ……」

薄「だ、だれかぁ!!」


薄「うぅ……また食べられちゃったよぉ……」

男「だ、大丈夫クリームちゃん?」

薄「色無くん……うん、ありがとう……」

男「まったく……あいつらも同じことばっかりしやがる……」

薄「……」

男「……そうだ、いいこと思いついた」

薄「……?」

男「目には目を、歯には歯をだよ!」

薄「……はい?」

男「つまり、食べられたら食べかえせばいいんだよ!!これであいつらも食べられることがどんなにいやかわかるだろww」

薄「なるほど……すごい!すごいよ色無くん!!」

男「いやぁそれほどでもww」

薄「じゃあいただきます!!」

男「え……ちょww俺じゃないでしょ!俺は食べてないし……ちょ……ま……アッー!」


 キーンコーンカーンコーン、授〜業〜おし〜ま〜い

薄「今日もおしまい〜久しぶりに白さんの所に行こうかな?」

黒「クリームちゃん」

薄「あっ黒さん。どうしました?」

黒「白の所に行くなら緑から預かったこの本を持って行ってくれないか?」

と、ハードカバーの本を渡されました。

薄「黒さんも行かれるんですよね?それなら……」

黒「委員会で遅くなるんだ。それに以前から、この本を読みたがっていたから一刻も早く読ませたい」

薄「わかりました。では、お預かりします」

黒「ありがとう。では頼む」

黒さん行っちゃった。じゃあ元気良く向かいましょう! 
無「おっクリームちゃん。どこ行くの?」

薄「あっ色無くん。今から白さんの所にお見舞い」

無「俺も行くつもりだったから一緒に行かね?」

一人で行くのも寂しかったしな……それにちょっと相談したい事もあったし……

薄「うんいいよ。一緒に行こ」

無「そういえば最近、橙達から食べられてないね?」

薄「うん……でね……その事で相談があるんだけど……」

そう……先月くらいからみんな私をかじりに来なくなったのだ。

学校や寮で会話や遊んだりするものの、一切なくなったのです(あの深緑さんも)。

無「う〜ん……なんでだろ?でも遊んだりしてるんだろ?」

薄「はい……」

無「だったら問題ないよ。それに……」

薄「はい?」

無「ヒント:もう終わりがけだから」

薄「???」

わからない。色々考えてみるけどわからない。

無「ヒント2:夏と冬の間」

薄「秋……?」

え〜っ……何だろ?う〜んう〜ん(プスプス)うに〜頭痛くなってきた〜

無「おわっ!?クリームちゃん頭から煙、出てるから!」

薄「ふええっ!?」

結局、病院に到着するまでわからなかった。病院の帰り道、色無くんは最後のヒントをくれた。「来週くらいになればわかるよ」って言ってたけど……

赤黄橙「デザートまて〜!」

薄「ふええっ!?何で〜!?」

pencil_1041.jpg

今まで通りの日常が戻ってきた。そういえば最近、みんな新作のお菓子を持って来てたっけ……あ……

薄「新作まだ残ってますよ〜?」

赤黄橙「色々食べたけどクリームちゃんが最高に甘いのさ〜!」

無「ま〜たやってら……どれ、そろそろ助けに行くかな?」

嫌だけど、ちょっとだけ楽しい毎日が戻ってきました。


それは今朝の事だった。

カーテンから漏れる光と、窓の外で鳴く鳥達の声と、身体にへばりつくような奇妙な感触で彼女はおきた。

「……ゥ……ん……?何だろう……すごいだるい……」

重い瞼をこすり、さらに重い身体を起そうとした時だった。

上半身が起き上がらない……。いや、正しくは起きあげられないのだ。

まるで誰かが拘束しているような……と、ここで薄黄は気づいた。

「!!ぁ、赤さん??!」

赤だ。赤が薄黄を抱きまくらのようにして四肢を絡めて拘束していたのだ。

なぜ薄黄の個室にいるはずがない人物がいるのか。

「あ、赤さん?何してるんですか?!おきてください!離してください!!」

さすが運動部というか……。赤は薄黄が何をしてもガッチリとまわした手を離さない。てゆうかおきない。

薄黄がゆすっても叫んでもおきない。

「ぃ、いい加減離れてくださいっ!」

「……ん……んぅ〜……?」

無理に引き剥がそうとしたとことろでやっと唸り声をあげた。

もはやこの人は一生起きないのでは?と薄黄が少し思った。時だった。

 ハムッ

「ァッ!!!」

赤はパジャマからかいま見える白い鎖骨を噛んできたのだ。

「ゃ……やめてください、赤さん……ん……!ふぁ……そんなとこ……!起きてるんで……しょ?!」

薄黄は渾身の力で赤を引き剥がした。

その顔は耳まで真っ赤に染まっている。

一方、引き剥がされた赤は反動でベッドから落ちてしまった。鈍い音と共に。

しかしそれでもすぐには目は覚めず、床で一回、二回、三回寝返りを売ったところでようやく目を覚ます。

「っふぁ……ぁ。……あ、クリームだ。おはよう!」

じつに爽やかだ。コレでもかというほど爽やかな挨拶だ。

「おっおっおはようじゃないですよ!何で私のベッドで寝てるんですかっ!!」

今だ真っ赤な顔で薄黄は言った。それは悲鳴にも近い声だった。

赤は部屋の中を首をぐるぐる回して見渡す。

「……あ〜。あのまま寝ちゃったんか〜……。」

やっちゃったと言う顔だ。仕方がないと言う感じにも見えなくはない。

「赤さん!」

薄黄が詰め寄ると赤は少し焦ってこう答えた。

「いや、事情があるんだよ!事情が!夜さ、トイレに行ってね? 
 ほらこの部屋私の部屋からトイレに行く時にとおるじゃん?で、部屋の前からいい匂いが……そして引き寄せられるかのようにこの部屋に……寝ぼけてたんだよ!ねっ?!さー朝ご飯だー!」

そう言うと赤は逃げるように部屋を去っていき、薄黄はそんな理由でこんな目にあったのかと魂が抜けたかのように呆然となった。


「わ〜いクリームだ〜。ちょっと耳貸せ〜」

「わ、ちょ、ちょっと黄色ちゃん」

まただ……何でか解らないけど私は小さい頃からこうやって皆から甘噛みされる。ちょっとくらいなら良いかなとは思うけど……

「あ、クリーム!」

「アタシもかませろ〜」

こんなに一杯寄って来られると、怖いです。

「よしきた赤、橙。総員、かかれ〜」

「「やー」」

「わ〜。や、止めてくださいよぉ」

あああ……。

何でなんだろう?皆が言うには甘いだとか美味しいだとか……良く解りません。

「あ〜おいし〜」

「コレが一日の栄養だぜぇ」

「あ、ちょ、待って……んっ……」

わああ……首筋とか、ふとももはダメですぅ……。

みんなの手つきがエスカレートしてゆく中、橙ちゃんがもっと凄い事言い始めました。

「もー辛抱たまらん。親分、コイツ剥いちまいましょうぜ」

「む。そうだな……確かに最近クリームいじりもマンネリ化してきてるからな。一度禁じられた果実を食べてみるか……」

え、ええ?き、禁じられた果実って……あの、その……アンナトコとか、ソンナトコとか……?

「ダダ、ダメです!そんなことしたらエデンどころかこの寮から追い出されてしまいますよぉ!?」

「むふふふふふ……誰も知らなければ何も無かったことと同じなのだよクリームくん。さあ、せめてもの情けだ。君の部屋まで連行してゆく」

そ、そんな……今まで誰にも見せた事無かったのに……。神様……酷いです。

「ふふふふふ……。なにをブツブツ言っているのか知らないが、観念するんだな」

あれよあれよと言う間に三人に抱えられてしまいました。ああ……さようなら私の純潔……こんにちは大人の階段。

何でなんだろう?何で私はこんな目にあっているんだろう?あの人なら、あの人なら絶対にこんな事しないのに……

担がれる私の脳裏にあの人———色無くんの優しい笑顔が浮かびます。

色無君……助けて……

「なにやってんだお前等?」

「「「あ、色無」」」

私の足元で響く色無君の低い声。あ、パンツ見えてるかも……。

「薄黄ちゃん……!さてはお前等また薄黄ちゃんいじめてただろ。止めてやれよ、嫌がってるだろ」

色無君が黄色ちゃん達から私を解放する。

「大丈夫か?薄黄ちゃん」

「う、うん。ってゆうか、この格好……」

お、お姫様だっことゆうやつではないでしょうか?お姫様。私、お姫様でしょうか?で、色無君が、私の、白馬の王子様……

「ん?なんかすごい良い匂いするな。薄黄ちゃんか?」

ガンッ!

私の頭に金ダライが降ってきたような気がします。ってゆうかそれくらいに痛かったです。心が。

「ひ、ひどい……色無くん……!」

私は色無君の腕の中で身体を回転させて、色無君の腕から逃れると、すぐさま駆け出しました。

「薄黄ちゃん!」

色無君の制止の言葉が聞こえますが構わず走り続けました。

どれくらい走ったでしょうか?気がつけば寮の屋上まで来ていました。

「ひどい……ひどいよ、色無君……」

匂いって、よりによって匂いって……私そんなににおいますか?

信じてたのに……色無君だけは絶対私のことをまともに扱ってくれると思ってたのに……

私は何時しか膝を抱えてうずくまってしまいました。

「薄黄ちゃん……」

どれくらい私はこうしていたのでしょうか?ふと気がつくと、目の前に肩で息をしている色無君がしゃがみこんで私の顔を覗き込んでいました。

「やっと見つけた……」

物凄く、心配そうな顔をしていました。だめだよ……そんな顔されたら、何で私がこうしてるのかわかんなくなっちゃうじゃない……。

しばらく何もしないでぼーっと色無君を見つめていたら、色無君は突然その場で土下座をし始めてしまいました。

「ごめん!薄黄ちゃん!」

「ちょ、ちょっと色無君!?」

はっ、と我に返って、ようやく反応できた私。

「俺、薄黄ちゃんが何で怒ってるのか、わかんないけど。俺の言葉で薄黄ちゃんが傷ついたってことくらいは、解るから……その……」

ああ……そうなんだ……やっぱり、この人は、私のこと……。

この時、私は私の心の中にある色無君への悲しみなんてすっかり消え失せてしまいました。

「もう、いいです。顔、上げてください」

言われて、おずおずと顔を上げる色無君。焦りや不安に染まった色無君の顔は、今にも泣き出しそうなほどでした。

「もう、怒ってないですから……」

そう言って、私は立ち上がって、色無君も立ち上がった。

「でも、一つだけ聞かせてください」

私が、神妙そうに言うと、色無君も神妙な顔をした。

そして、私はそのテンションのまま、続けました。

「私って、そんなに匂いますか?」

「は?」

キョトンとした顔。ちょっと可愛い。

「だって……色無君私のこと匂うって……」

「いや、違う!それは違うんだ!」

物凄い勢いで食って掛かる色無君。

「匂うって言うのは臭いって意味じゃなくて、すっごくいい匂いがしたってことだって!」

え?いい匂い。いい匂いですか?

「え、っと……どこらへんから?」

「なんてゆうか……薄黄ちゃん全体から。ちょっといい?」

そういうと、いきなり私の手を取って、手の甲に口付けするようにしました。

「い、色無君……」

「うん。やっぱり薄黄ちゃんの匂いだ。こうするともっと良いかも」

ふっ、と顔をあげるなり、握った私の手を引いて、私を体ごと引き寄せました。そして色無君の両腕は私の背中へ……ってちょっと?!

「……」

思いがけない色無君からの抱擁に、絶句する私。

頭の中では抗議の言葉が山ほど浮かんでくるんだけど全部声にできないよぉ。いきなりこんなのずる過ぎるって。

私が何も出来ないでいたら、色無君が耳元でいきなりささやいてきます。

「ゴメン……傷つくとは思わなかったんだ。頭が回らなかった、ゴメン」

「うん、いいよ。もういいから……」

「それから……ゴメンついでにもう一個いい?」

「なに?」

一拍置いてから続ける色無君。

「好きだ」

「……」

またも絶句。この人は……ホントに……。

「ダメ?」

私が黙ってしまったことに不安になったのでしょうか、色無君は焦ったように返答を求めてきます。

「ダメじゃないダメじゃない!全然ダメじゃないけど、え?でも、いいの……?」

私、寮の皆ほど可愛くないし……影薄いし……薄黄だし……。

「俺こそダメじゃないさ。好きだよ、薄黄ちゃん」

うわあぁぁぁ……二度目の好きだよ発言。なんかずっと抱かれてるのも加えてだんだん頭が茹で上がってきましたぁ。

「ありがとう……ありがとう、色無君」

「うん。ってゆうかね。この匂いヤバイ。なんかムラムラしてきた……」

おおっとぉ、色無君も相当茹でられてるみたいだ。しかし、もっとずっと頭がおかしくなってた私はもっと大胆な発言をしてしまったのです。

「じゃあ……食べてみますか?私の果実……」

後になって思い出してみたら、死にたくなりました。


灰「色無くん」

無「なんだ?」

灰「私は最近とある法則を発見したのだよ」

無「……そうか?」

灰「というわけでちょっと付き合って」

無「何に?」

灰「べ、別に付き合ってってそっちの意味じゃないんだからね」

無「……」

灰「……萌えた?」

無「いや、全然」

灰「ちぃ!」

無「用がないなら行くからな?」

灰「ま、待って、これからが本題だからっ!」

無(う……これはちょっとかわいい……)

灰「じゃーん、これなのです!」

無「……何コレ、棒グラフ?」

灰「これはクリームちゃんのある数値を一日分測定したものです」

無「まさか……匂い?」

灰「そう、カンが鋭いね! 上に行くほど甘い香りが強くなるのですが——」

無「ところどころ極端に上下してるな」

灰「そう、良く気が付いた。で、今日はこれを試そうというのです」

無「イマイチ話が見えないんだが」

灰「というわけでクリームちゃんを呼んであります」

無「はぁっ!?」

薄黄「あ、あのっ……大事な話ってなんですかぁ」

無「ええっ!?」

薄黄「な、なんでも、二人きりでないと話すことが出来ないって……」

無「なっ!? 灰、お前……っていない!?」

灰「ふふ、やはり、やはりそうか……照れると甘い香りが増す……これは一種のフェロモンだ……!」


薄黄「うう……」

無「どうしたの? クリームちゃん」

薄黄「私、匂うんです……」

無「へ?」

薄黄「みんな私のこと匂う匂うって言うんです……。私、おかしいのかなぁ……」

無「そ、そんなことないんじゃないかな……」

薄黄「い、色無くんはどう思いますか? 私のこと……」

無「ど、どう思うって言われても……(甘い香りがするのは事実だしなぁ……)」

薄黄「微妙な顔してる……やっぱり匂うんですね私……」

無「べ、別に匂うって言っても嫌な匂いじゃないし……」

薄黄「はぁ、私人間じゃないのかもしれない……」

無(いや、君は色鉛筆だろ……)

薄黄「くすん……私だけみんなと違う……」

無「……別に、いいんじゃないかな?」

薄黄「え?」

無「みんながからかうのはきっと、クリームちゃんが魅力的だからだよ。いい匂いがするっていうのもクリームちゃんのいいところの一つなんじゃないかなぁ……」

薄黄「色無くん……」

無「それに、本当に嫌だったらみんな近づいてこないと思うし」

薄黄「……」

無「だから、気にすることないよ」

薄黄「……私、なんだか元気が出てきました」

緑「ああやってみんなをたらし込むのね」

灰「常套手段だね」

茶「色無くん……」

水「……(きらきら)」

空「わぁ! 先輩たちが恋する乙女の目にぃ!」

青「……まったく、駄目な子たちね、情けない(じゅるじゅる)」

黒「青、よだれ出てるわよ? 拭きなさい」

青「あうあう……」


黄「クリーム、クリーム、クリームちゃんは焼きたてパンの匂い〜♪」

薄黄「ひゃっ!? なんですかぁ!?」

黄「かぷっと一口頬張れば〜♪」

薄黄「はぅっ!? やめてください!」

黄「美味しさ口の中に広がる〜♪」

薄黄「ひゃぁぁぁああん!!!」

無「……あれは何……?」

紫「クリームちゃんの歌だって」

無「クリームなのに焼きたてパンとはこれいかに。�はっ! クリームパンか!? そうなのか!?」


 トテトテ。

紫「クリームちゃんっ!」

薄「は、はいっ!?」

 ぎゅっ。

薄「わわわ、なんですかぁ!?」

紫「いい匂い〜。そしてふわふわ〜♪(すりすり)」

薄「く、くすぐったいよ紫ちゃん」

黄「あれ? 何やってんの? 百合?」

紫「♪〜」

薄「ち、違いますよぅ……紫ちゃんが……」

紫「……お姉ちゃん……」

薄「えっ!?」

黄「あ〜お姉ちゃんだね、確かに」

薄「ええっ!?」

黄「なんかお姉ちゃんって感じするもんクリームちゃん」

紫「お姉ちゃん〜♪」

薄「そ、そんな、私は皆さんと同学年で……」

黄「こんなものつけてまだ言うかぁ〜!」

薄「ひゃああん!やめてくださぁい!」

黄「うらやましいのぅ、うらやましいのぅ、私にもこのくらいあれば……」

薄「そ、そんな……泣かなくても……」

桃「何の話してるの〜?」

薄「あ、桃ちゃん……」

黄「こいつぁ別格だぜ……ゴクリ……」

紫「うわぁあああああん!(ダダダ)」

薄「ああ! 紫ちゃんどこへ!?」

黄「あ〜あ……」

桃「ええ!? 私のせい!?」


赤「はぁ、雨かぁ……はむはむ」

黄「雨だねぇ……あむあむ」

紫「元気がでないー……はぐはぐ」

薄「……あのー、皆さん。元気がないのは分かりますけど」

赤「憂鬱ー……あむあむ」

黄「カレーでも作ろうかなぁ……はぐはぐ」

紫「自分で全部食べてねー……ぱくっ」

薄「だからって……私の体を噛まないでください〜……ひゃ!」

赤・黄・紫「「「退屈〜……はむっ」」」

黒「混沌としてるわね……」

無「まぁ、雨でやることがないからだろうな」

白「……」

黒「白、赤達の真似しちゃだめよ」

白「え? さ、さすがにそんなことしないよ〜」

無(白……食べたかったのか?)


薄黄「しーちゃん!」

無「おわっ! こら、いきなり抱きついたら危ないだろ」

薄黄「しーちゃんのにおいがするー」

無「……薄黄も良い匂いがするよ」

薄黄「たべる?」

無「え?」

薄黄「かじるのはだめよ、いたいからね? なめるならいいよ」

無「ま、まさか酔ってるのか?」

薄黄「……しーちゃん?」

無「そんな無垢な瞳で見上げないでくれぇええ」


薄「わー、犬だよ色無君。おいでおいでー」

無「おー。でかいなー、大型犬か?」

薄「ちょ、ちょっとくすぐったいよ……やめ……あははっ!」

無「すげー舐められてんな……」

薄「ふぁ……やめ、もぅ……あっ……」

無(ゴクリ……)

薄「もー、助けてくれればよかったのに。すごいべとべと……」

無「いや、俺は俺で大変だったんだ。信じて欲しい」

薄え……なんで?」

無「深くは聞かないで欲しい。だが信じて欲しい」

薄黄「……?」


無「おーい薄黄ー。人の部屋で寝るなー」

薄「うー……」

無「薄黄、ほら起きろ。寝るなら自分の部屋で寝なさい」

薄「しーちゃん……」

無「なんだ?」

薄「絶対、絶対絶対許さないんだから……」

無「いきなりなんだよ」

薄「今日から色無をやめて色有になるなんて……」

無「何言ってんだ。ほら、起きろ」

薄「一生許さないんだから」

無「それは長いな……」

薄「しーちゃんって呼べなくなっちゃうじゃん……」

無「……言われる方は結構恥ずかしいんだぞ」

薄「そんなの、なんか遠くに行っちゃうみたいでいやだからぁ……」

無「遠くになんて、行かないから。俺は——」

薄「……Zzz……」

無「全部、寝言……か」


寂しくなんか、ないもん。

そんなことを思いながら、私はケータイを気にしながらベッドの上に転がります。

現在の時刻は、11時42分。もうすぐ『明日』がやってこようとしていました。

しかし今日の私はちょっぴりわがままで、『明日』がもうちょっとゆっくり来てくれることを望んでいました。

——今日は私の誕生日なのです。

もう子供でもあるまいし、ただ歳を一つ重ねるだけの誕生日を誕生日を楽しみにしているだなんて馬鹿らしいのかもしれませんが、それでもやっぱり、この日は私にとって特別なのでした。

——去年は、色無くんが日付が変わると同時にお祝いしてくれたっけ。

今は遠い土地にいる私の——こ、恋人、を思い出しました。

——ごめんな、一年間、あっちに行かなきゃならないんだ

わかってる。お仕事で一年、遠くで頑張らなきゃいけないんだって。それが忙しいお仕事だってこともわかってる。

でも……電話ぐらい、欲しかった。

色無くんのスケジュールは忙しく、こちらから電話を掛けても繋がらないことが多いので、私たちの連絡手段はたいがいがメールでした。

満足です。色無くんが、忙しい時間の中で返信をしてくれること。私のおしゃべりにしっかり答えてくれること。

それでもどこか、色無くんの声を聞きたがっている私がいることは、ごまかしきれない事実でした。

だから——。

鳴らないケータイの時計は、無情にも今日があと10分しかないことを示していました。

「はぁ……」

ベッドの上でばたばたしたいような、それでいて少し泣きたいような、不思議な感覚に襲われながら、私はひたすらケータイとにらめっこを続けていました。

あと、9分だよぅ……。

♪〜♪〜♪〜

その時、私のケータイがいきなり鳴りだしました。

私は普段の動きじゃ考えられないくらいのスピードで、ケータイをとり、電話を受けました。

『すごいな、ワンコールだよ』

電話の向こうにいるのは、間違いなく私が待っていた人でした。

電話ごしに、楽しそうに笑っているのがわかります。

「だ、だって……」

考えていたことが見透かされていたようで、顔が熱くなっています。……仕方ないじゃないですか。

『待っててくれた?』

「うん!」

彼の問いに私は即答しました。

『そっか。……じゃあ、切るな』

「ええっ?!」

私は彼が何を言っているのか、さっぱりわかりませんでした。まだ何も話してないのに、なんでもう切っちゃうの?

彼がまた、電話ごしに笑っているのがわかりました。

『——おしゃべりの続きがしたい場合は、大至急あなたの家の玄関の向かいにある電柱に寄り掛かっている男性に話し掛けてください』

——まさか。

私は慌ててベッドから飛び起き、カーテンを開け、指定された場所を見ました。

そこには、待ち望んだ彼が、こっちに手を振っている姿がありました。

「す、すぐ行くからっ!」

『お待ちしております』

私はパジャマ同然な格好も気にせず、階段を下り、靴を履き、そして——。

「速いじゃん」

私は、笑顔で待っていた彼の前に立ちました。

待ち望んだ光景でしたが、私はまだ少し、これが本当だと信じられませんでした。

「な、なんで……っ?」

あんまり急いだせいで、私の息はちょっと切れていました。

「……逢いたくて。どうしても逢いたくて、時間ギリギリの新幹線の終電に飛び乗ったんだ」

よく見れば、彼もわずかに疲れた様子が見て取れました。

……急いで、来てくれたんだ。

「言うなら、『今日』のうちだろ?……誕生日おめでとう、薄黄」

聞きたかった声を、見たかった笑顔を色無くんはくれる。

……私は幸せでした。

「ありがとう、しーちゃん」

嬉しくて、一緒にいたときにそう呼ぶと怒られた呼び方でつい呼んでしまいました。

しかし今日の色無くんはそれを怒ったりはしませんでした。

「しーちゃん、か。……なんか安心したな」

むしろこの呼び方を喜んでくれてるような……

「薄黄さ、メールだと俺のこと『色無くん』じゃん。……なんか変わっちゃったのかなって、不安になってたんだ」

確かに。つい口ではしーちゃん、と呼んでしまいますが、メールとかでは気を付けているんです。

それが逆効果だったみたいです。でも、そんな風に思っていた色無くんがとても可愛くて、私は自然と笑顔になってきます。

「私は変わらないよ、しーちゃん。前も、今も、ずっとしーちゃんのこと、大好きだよ」

「薄黄……」

色無くんの瞳が揺れるのがわかりました。

色無くんが腕を伸ばしました。私はその中に、滑るようにもたれていきます。

「はは、薄黄の匂いだ」

「む、また甘い匂い、とか言うの?」

「だってホントにするんだもん」

色無くんに限らず、色んな人から私からは甘い匂いがすると言われますが、喜んでいいのかよくわかりません。

でも……色無くんが好きって言ってくれるならいいかな……。

「そうだ!プレゼント」

いきなり色無くんが何かを思い出したように声を上げました。

「金もあんまりなくて高いものは買えなかったんだけど……」

「そっ、そんな……っ」

プレゼントがあるだけで充分すぎます。いくらのものかなんて全然関係ありません。色無くんが私に誕生日プレゼントをくれる、ただそれだけで私は天にも昇る心地でした。

「薄黄、手、出して」

色無くんの指示通り、私は手を差し出しました。

「サイズは間違ってないはずだけど……」

おずおずと差し出した私の手の中指に、ゆっくりと指輪がはめられていきました。

「指輪……?」

小さく綺麗で、どこか可愛らしいそれは私の中指で誇らしげに光っています。

pencil_1942.jpg

「気に入ってもらえたかな?」

色無くんは少し不安そうに私の表情を伺っています。……気に入らないわけ、ないじゃないですか!

「うん!すごく嬉しい!!」

中指に光る指輪がとても誇らしくて、いつまでも眺めていたいような気持ちです。

すると色無くんは、また少し笑って、私の耳元でこそっとこう呟きました。

「薬指のは、帰ってくるまで待っててほしい」

「えっ……」

一瞬驚いた私に、彼は素早くキスをしました。

「約束、な」

たった9分。けれどその9分が私にとって何より幸せな時間になりました。


『冷たい手』

「ただいまー 外、すごい寒いよー」

「おう、お帰り薄黄ー」

 玄関から聞こえる元気な声に共有スペースにいた色無は答える。

「しーちゃん!」

「今ドラマいいとこなんだよ、静かにな」

 満面の駆け寄ってくる薄黄に色無は苦笑して注意を促す。

「しーちゃん冷たい。外の気温ぐらい冷たい」

「ごめん、あと10分待ってくれ」

「むぅ」

 薄黄はそぉーっとつれない色無の後ろにまわり、隙をうかがって一気に——。

「つめたいてーこーげきぃー」

「ぉおおう!?」

 ——首筋に冷え切った手を当てた。

「びっくりするだろ!」

 色無が振り返ると、本当に嬉しそうな顔をした薄黄が目に入る。

「えへへ……ごめんね」

「もう、いいから」

 そんな顔をされると色無もそれ以上は強くは言えなかった。

「しーちゃん、あったかい」

「手が温まるまでね」

「そんなこと言うと背中にいれちゃうぞっ」

「それはやめて!」

 もう、ドラマどころではないのでした。


無「クリームちゃん、お願いがあるんだけど」

薄「ん? どうしたのしーちゃん」

無「キャンディーつくるの手伝ってもらえないかなぁ、って」

薄「うん、いいけど、でもなんでキャンディー?」

無「元々ホワイトデーはキャンディーを贈る日らしいから」

薄「あ、そうなんだ。そういやバレンタインに一杯貰ってたもんねぇ」

無「まぁ全部義理なんだけどさ、ははは」

薄(みんな本命だと思うんだけどな)

無「ん?」

薄「みんなにあげるのに、私が手伝ってもいいの?」

無「俺ひとりじゃロクなもんできそうにないし、そのクリームちゃんなら」

薄「んー、仕方がないなぁしーちゃんは」

無「ありがとう、お菓子の女神様」

薄(でも、ほかの子にあげる分まで作るのってなんか複雑。それに自分のも作ってるし、はぁ……)

無「アイツにはこの形にして、アイツは……こうかな?」

薄(なんかすごく楽しそう……)

無「あ、クリームちゃん、これちょっと持ってくれない?」

薄「はーい(今だけならしーちゃんを独り占めできるかな)」

無「お菓子作りって、甘い香りがするよなぁ」

薄(せっかくだから、もうちょっと密着しちゃえ!)

無(なんかさっきより甘い香りが……って、なんか密着してるんですけど?)

薄「どうしたの?」

無「な、なんでもないよ(俺の顔赤くないよな?)」

無「よし、できた。ありがとうクリームちゃん、このお礼は改めて」

薄「いいよ、そんな気を使わなくっても」

無「みんなにお返し配るのに2時間ってどんだけ……あとはクリームちゃんか。(コンコン)クリームちゃん、こんばんわ〜、入っていい?」

薄「あ、しーちゃん、こんばんわ。どうぞ」

無「はい、ホワイトデーのプレゼント」

薄「ありがとう、そのキャンディーはみんなに好評みたいだね」

無「あと、こないだは手伝ってくれてありがとう」

薄「いえいえ、どういたしまして」

無「あの、それで、良かったらどうぞ」

薄「あ、おいしそうなケーキ」

無「クリームちゃんの出来には全然及ばないけど」

薄「って、しーちゃんが作ったの?」

無「こないだのお礼というか、ホワイトデーというか……」

薄「……ありがとう。あ、せっかくだから一緒に食べよ?」

無「あ、うん。じゃぁ紅茶入れてくるね」

無「ちょっと甘さが足りなかったかなぁ?」

薄「そんなことないよ。おいしいよ!」

無「でもなんかいまいちうまく作れなくって……」

薄「こうすれば甘くなるかな? はい(ケーキを差し出す)」

無「?」

薄「あ〜ん」

無「え?……あ〜ん(モグモグ)」

薄「甘くなったかな? 今度はしーちゃんから」

無「え、えっと、はい、あ〜ん」

薄「あ〜ん(パクッ)」

薄「しーちゃんに食べさせてもらうとおいしさ倍増だね」

無(恥ずかしくって味なんかわかんねぇって)

 その後毎週、二人でいちゃつきながらお菓子作りをするのはまた別のお話


 ○月×日

 今日、しーちゃんと映画を見に行こうと思い誘おうとしたら先客がいた

 ちかごろ遊びに行こうとしても都合の合わない日が多い。前はそんなことなかったのに……

 高校に入ってから急にライバルが増えた。ちょっとびっくりしたけどしーちゃんかっこいいもんね

 不安だなぁ……だってみんな可愛いんだもん

 でも、小さい時から一緒にいる私の方が有利だと思いたいけど、誰を好きなるかなんてしーちゃんの自由だし

 私なんかみんなに比べたら魅力が少ない、ただ幼馴染ってだけ。あとなんか甘い匂いがするみたいだけど自分ではわからない

 こんなので本当にしーちゃんは私のことを好きになってくれるのかな? 

 だめだめ!! 弱気になってきちゃった。もっといい方向に考えないと

 私の方がしーちゃんの好みとか知ってるんだからきっと大丈夫! たぶん……

薄「ふぅ、無限ループになっちゃうしやめよ」

 私は日記を閉じ引き出しにしまい、机の上に置いてある写真を眺めた

 小さい時から好きなんだけど絶対気付いてないよね。しーちゃん鈍感だもん

 そんなしーちゃんを好きになったんだから振り向いてもらえるように頑張らなくっちゃ!

 明日もう一度誘ってみよう

薄「絶対にみんなには負けないんだから!!」

 なんて意気込んでないで、早く寝よっと

 おやすみなさい


薄「けほけほっ」

 コンコン

無「薄黄。俺だ、入っていいか?」

薄「しーちゃん? うん、入ってきていいよ」

 ガチャ

無「見舞いに来たぞ。調子のほうはどうだ?」

薄「薬も飲んだし、朝よりかはだいぶ楽だよ」

無「そか、あとこれ買ってきたぞ」

 ガサガサ

薄「なあに?」

無「フルーツゼリー、ほれ」

薄「ありがとう。あ、ちゃんとさくらんぼのやつだ」

無「薄黄は昔からそれ好きだよな」

薄「うん! だっておいしんだもん」

無「どれも一緒じゃないか」

薄「そんなことないもーん。ねえしーちゃん」

無「ん?」

薄「食べさせて」

無「は!? いや自分で食えよ」

薄「看病だよ看病」

無「めちゃめちゃ元気じゃん」

薄「むう、しーちゃんのけち」

無「なんでけち呼ばわりされなきゃいけないんだよ。ったく、わかったよほらかせ」

薄「ありがと。しーちゃん」

無「ほら、あーん」

薄「あーん、むぐむぐ……んーおいしい」

無「そんなにうまいか。じゃあ俺も」

薄「あ、あ!! 私のなんだから食べないでよー」

無「いいだろ俺が買ってきたんだし」

薄「別にいいけど、風邪うつっても知らないからね」

無「平気だろ。ほい、あーん」

薄「あーん、もぐもぐ。こうゆう時のしーちゃんって凄く優しいね」

無「まるで普段がやさしくないような言い方だな」

薄「え!? そうんな意味じゃ──」

無「知ってるよ。からかっただけだ。さて、俺は部屋に戻るから用があったら呼べよ」

薄「ま、待ってしーちゃん!」

無「ん? どうした」

薄「寝つくまで手を握っててほしいんだけど……」

無「りょーかい」

 ぎゅっ

薄「ありがと。おやすみしーちゃん」

無「ん、おやすみ」


薄「しーちゃん、しーちゃん」

無「んー?」

薄「GWなんだしどこか行こうよ」

無「そうだな。去年はどうしたっけ?」

薄「遊園地いったよ」

無「ふむ、今年はどうするかな。あー寮入るまでは楽だったのに」

薄「ふふふ」

無「おかしなこと言ったか?」

薄「だってしーちゃんってばあの時、毎年この場所は飽きたって言ってたよ」

無「うっ……確かに言ったな。でもなんだかんだであの家族旅行も楽しかったな」

薄「そうだね。ってどこ行くか決めないと」

無「悪い悪い。うーんそうだな……あ! 水族館とかは?」

薄「うんいいね。行こう」

無「じゃ、決定な。明日の──」

 次の日

無「混んでるなー、遊園地とか行けよ」

薄「他の人からみたら私たちもそう思われてるかもしれないから言わないの」

無「うーい」

薄「イルカショーやってるんだって」

無「そんなみんなが見に行くようなところうちは行きません」

薄「ええー!? てゆうか何でお母さん口調?」

無「お、見ろ薄黄、ペンギンだ」

薄「かわいいー。ねえねえ、あそこにいるちっちゃいのって子供かな」

無「どれどれ。小さ!! 子供? にしては何か違うような」

薄「フェアリーペンギンってここに書いてあるよ」

無「ふーん、あの大きさでも大人なんだな。誰かさんみたいだ」

薄「しーちゃん。デートしてるときに他の娘のこというの良くないよー?」

 ぎゅうう

無「いててっ! 悪かったってつねるな!!」

薄「ふーんだ」

無「おお……」

薄「さっきから真剣に何見てるの?」

無「クラゲ。こいつら不思議だよな」

薄「言われてみればたしかに」

無「うおっ! キモ! でかいのいたぞ!!」

薄「え!? どこ? どこ?」

無「本当、楽しい時間ってのはあっという間に過ぎるな」

薄「そうだね。ねえ来年もどこか行こうね」

無「あたりまえだろ。んじゃ帰りますか」

薄「うん」


無「そろそろ夏服の準備したいから、出すの手伝ってくれ」

薄「うん、いいよ」

無「お、これはアルバムか? 薄黄、見てみろ」

薄「もう、しーちゃんそんなの見てないでよ」

無「いいから、いいから」

 1時間後

無「あれ? 何してたんだっけ?」

薄「夏服を出すの! ちょっとのつもりでいたらだいぶ時間が経っちゃった」

無「いけね。さっさと服出して片さないと──ああ! これってあの時のやつだ」

薄「言ってるそばからまた余計なもの見つけて」

無「いやあ懐かしいな。ほらほら」

薄「聞いてないし」

 数時間後

無「しまったまた同じことを——って外が暗い!? 薄黄はどこいった?」

薄「すーすー」

無「寝てるのかよ!?」

 ビシッ!

薄「いったーい。何で叩かれるの? しーちゃんが古いマンガとか見つけて読んでるのが悪いんじゃん」

無「それを止めるのが薄黄の役目だろう」

薄「止めたもん。空返事だけで全然聞かないからほっといたんだもん」

無「もうちょっと粘ってください。どうしようこれ……散らかり放題だ」

薄「頑張って片せば? 私もうやだ」

無「そんなこといわずに手伝えよー」

薄「絶対やだ」

無「この通り」

薄「もう、仕方ないなぁ手伝うよ」

無「さんきゅ」

無「これは……」

薄「いい加減にしなさい」


無「うわーまじかよ……」

薄「どうしたの? 帰らないの?」

無「傘をパクられた。くそっ、どこのばかだよ」

薄「お、落ち着いて、しーちゃん。ほら、私の傘に入って帰ろう」

無「えんりょしておくよ、恥ずかしい。コンビニまで走って傘買うから──」

薄「だめ! 風邪ひくよ」

無「平気だって、俺けっこう丈夫だからさ」

薄「だめなものはだめ。本当に風邪ひいちゃったらみんな心配するよ」

無「うっ……その通りだな、傘に入れさせてくれ」

薄「うん。しーちゃんってば昔から素直じゃないところがあるよねー、なんでかな?」

無「なんでだろうね。傘俺が持つよ」

薄「ありがとう。ってごまかしてない?」

無「さあ帰ろう。あー、雨はうっとおしくてやだな」

薄「あっ!? 待ってよう」

薄「しーちゃん、こっち通って行こう」

無「は? 何で? 遠回りになるじゃん」

薄「たまにはいいかなーと思って」

無「俺は一刻も早く帰りた……いや、遠回りもいいかもな。だから睨むな」

薄「睨んでないもーん」

無「そうかい。む、あまりくっつくなよ」

薄「くっつかないと濡れちゃうもん。もしかして、恥ずかしがってる?」

無「一緒の傘に入ってる時点で、充分恥ずかしいっての」

薄「じゃあくっついてもいいじゃん」

無「あー、もう好きにしてくれ」

薄「うん♪ そうする」


薄「……ダイエット」

無「は?」

薄「ダイエットしなきゃ」

無「ふーん、そ」

薄「え!? 何その反応。普通なら頑張れとか言ってくれるんじゃないの」

無「んなこと言ってもさ、中学のときだっけ? やせるんだーとか言って一週間も持たなかったよな」

薄「あの時は、私が甘いもの我慢してるのにしーちゃんがそばでばくばく食べるから我慢できなかったんだよ」

無「はぁ!? 俺のせいかよ」

薄「うん。しーちゃんのせい」

無「いやいや絶対違うから。そもそもダイエットなんて必要ないだろ」

薄「そんなことないよ!! おなかのあたりとかお肉がついてきちゃって大変なんだよ!?」

無「俺は少しくらい肉がついてる方がいいと思うんだがな」

薄「そう言ってもらえるのは嬉しいけど、油断したら大変なことになっちゃうよ」

無「あっそう。じゃ頑張れ」

薄「もう、いちいち言い方が冷たいなー。絶対2キロ落とすもん」


薄「ほら、しーちゃん!走らないとバスに間に合わないよ!」

無「へ〜いへい」

薄「次は電車に乗り換え! もう、またギリギリだよ!」

無「ういうい」

薄「私昨日からずっとわくわくしててあんまり寝れなかったんだよね! ホント楽しみ!」

無「無理すんなよ?」

薄「あ!海見えてきたよ!ねぇしーちゃん! 見える? 海だよ海!」

無「そんなに騒がなくても見えてるよ」

薄「うわ〜! 海だ! しーちゃん、早く泳ごう!?」

無「ほいほい」

無「なんかお前犬みたいだな」

薄「ほえ?」


薄・無「いただきまーす」

無「……あ、はいこれ」

 ぴょい

薄「……へ?」

無「だって、薄黄の好きなものでしょ? あげる!」

薄「……あ、ありがとうしーちゃん……」

無「へへへ」

薄「懐かしいなぁ……そんなこともあったっけ」

無「……」

薄「それが今となっては……しーちゃんはずっと変わらないと思ってたんだけどなぁ……」

無「……」

薄「あのころのしーちゃんならきっと——

無「いいから食べなさい。好きなものはあげたけど、嫌いなものを肩代わりした覚えはないよ」

薄「けちー」

無「だいたい高校にもなってピーマン嫌いって……紫じゃないんだから」

薄「子供心を忘れないことは大切だよ! うん!」

無「……言いながら勝手に人の皿に置かない!」


薄「調子はどう?」

無「よくない。頭痛いし、熱い」

薄「最近急に寒くなったから、風邪ひくのも無理ないよね」

無「おかしいな。バカは風邪をひかないはず……そうか、俺はバカじゃなかったんだ!」

薄「……しーちゃん。バカは体調管理が出来ないから風邪をひくんだよ」

無「なんてことだ。俺はどうあがいてもバカなのか……くそう、今の一言で深く傷ついた。部屋にかえれ!」

薄「へー、そううゆうこというんだこの口は!」

 ムギュウ

無「いたたたた!! 病人に向かってなんてことをするんだ。鬼か!?」

薄「もう一回つねられたい?」

無「それはごめんこうむる。いやあ、退屈だったからつい」

薄「ついじゃないよ。口の方もおとなしくなればいいのに」

無「おとなしかったよさっきまでは」

薄「はぁ……もういいや。飲み物とかいる?」

無「いらない。少し寝る」

薄「わかった。じゃあまたあとで様子見に来るからね」

無「おう、ありがとな」

薄「どういたしまして。おやすみ」

無「うい」


薄「しーちゃーん。焼き芋できたよー」

無「おう、さーんきゅ」

薄「しーちゃんには、はいこれ! 一番おっきいの!」

無「いいのか? もともとお前が食べたいって言ったんだぞ?」

薄「……女の子には、我慢しなきゃならないときがあるんだよ」

無「そ、そうか。なら何も言うまい」

薄「はふはふ」

無「もそもそ」

薄「おいしいねー♪」

無「お前はホント、甘い物ならなんでもいいんか?」

薄「あはは、否定はできないなー」

無「そんなんだから体重が……」

薄「んー? 何か言ったかなー?」

無「いてえいてえ! ほっぺたつねるな!!」

薄「まったく……しーちゃんには『でりかしー』が足りていません!」

無「へいへい、善処しますよっと」

薄「しーちゃん絶対反省してない……(そうだ!) ねぇしーちゃん? 私ね、甘い物だーい好きなんだ」

無「?あ ぁ、知ってるって。さっき認めたろ?」

薄「だから、しーちゃんのとびっきり甘いモノ、ちょうだい♪」

無「ななななななぁ!? い、今、く、唇に! き、キ……!!」

薄「えっへへ♪ とーっても甘かったよ♪ ごちそうさま、しーちゃん♪」


薄「体育の日だね」

無「そーいえば子供んときさ」

いろなし「体育の日かぁ」

くりーむ「うん、たいくの日だよ」

いろなし「たいいくって言えよ」

くりーむ「ちゃんとたいくって言ってるよ?」

いろなし「た・い・い・く」

くりーむ「だからー、たいくでしょ?」

いろなし「ちがーう」

くりーむ「ちがわないもん、たいくだもん(グスッ)」

いろなし「あーもう、たいくでいーよ」

無「なんてことが……イテッ」

薄「もー、そんなの思い出さないでよー」

無「口を押さえるなって、で、明日は何の日だっけ」

薄「たいくの日だもん」

無「たいいくの日だろ?」

薄「……だって、しーちゃんがたいくの日でいい、って言ったもん」

無「でももう高校生になってさぁ」

薄「……言ったもん」

無「はぁ……あ、そうだ! たいくの日は、どっか出かけない?」

薄「たいくじゃなくって、体育の日なんでしょ?」

無「体育の日はふつうに過ごすけど、たいくの日は薄黄ちゃんとお出かけしたいなぁ、って」

薄「それって、その」

無「で、明日は何の日だっけ?」

薄「たいくの日!」


灰「お姉ちゃん」

黒「なに?」

灰「すっかり秋だねぇー」

黒「そうね……それで?」

灰「スイートポテト食べたいよねー?」

黒「……」

黒「ちょっと、青」

青「どうしたの?」

黒「スイートポテト……食べたいわね」

青「いいわねぇ……」

青「そらー」

空「なあに? お姉ちゃん」

青「スイートポテト食べたいなー……なんちゃって」

空「……」

薄「もう! どうしてみんな自分で作ろうとしないんですか!?(こねこね)」

灰「私はそのとき思っていたことをお姉ちゃんに漏らしただけだしー」

黒「あら。私も青とは世間話をしたつもりよ」

青「私だって!」

薄「あぁもう! 私も暇じゃないんですからね!(こねこね)」

空「でも……嬉しそうですね」

薄「そんなことないですー!(こねこね)」

黒「ふふ……じゃあ暇な人みんな誘って、軽いパーティーと洒落込むってのはどう?」

灰「さんせー!」

薄「いいですねー……って、材料足りないじゃないですかぁ! 青さん、お使い頼まれてください!」

青「任せなさい!」

空(薄黄ちゃん、負担増えてるけど……そっちはいいのかな? ま、みんな楽しそうだしいっか!)


無「……重いんですけど」

薄黄「えー、私そんなに重くないよ?」

無「いくら薄黄が軽くても人一人乗れば重いって」

薄「気のせい気のせい……くんくん」

無「次は何? もしかして俺、臭い?」

薄「臭いわけじゃないよ。しーちゃんの匂いだなぁって思って、つい」

無「さいですか。ところで薄黄さんや、頭の上に顎を乗せるな、痛い」

薄「えー」

無「ついでにない胸が当たって——痛い痛い、耳を引っ張るな!」

薄「でりかしーのないしーちゃんにはこうだ!」

無「いてててて! 分かった、分かったから離せって!」


薄黄「しーちゃーん、ミカンもらってきたよー」

無「おー、もうそんな季節かー」

無・薄黄『いただきます』

無「むぐむぐ……やっぱ冬はミカンだな」

薄黄「ほむほむ……」

無(ほ、ほむほむって……! そんな口いっぱいにほおばらんでも!)

薄黄「ほむほむほむ……」

無(そんな小動物チックに食べちゃってもう!)

薄黄「ほむ……どうしたのしーちゃん?(首かしげ)」

無「あーもうかわいいなぁもう!!」

薄黄「ふえ?」


薄黄「〜♪」



黄「あれ、カボチャの匂い……何してるの? 薄黄ちゃん」

薄黄「あ、黄ちゃん。もうすぐハロウィンだから、カボチャの置物を作ろうとしてるの」

黄「カボチャの中身をくりぬいて、目や口を作るんだっけ?」

薄黄「うん。その中に燭台を入れて、蝋燭の火をつけるの」

黄「ふーん……ねぇ、その中身はどうするの?」

薄黄「え? あ、中身は、黄緑さんに晩御飯の材料として使って貰おうかなって」

黄「それなら、私がもらっていいかな? というか、もらっていくよ〜」

薄黄「え、えぇ!? 黄ちゃん!?」



ソレカラ(・∀・)スギテ



黄「じゃーん! 本日はカボチャカレーにしてみましたー!」

(黄除く)全員「……」

黄「ほらほら、もうそろそろハロウィンだからカレー食べないとイタズラしちゃうよ!」

黒「食べなくてもカレー薦めるわよね……」

色無「仕方ない、食べるか……」

薄黄「ご、ごめんなさい……」







トップ   編集 凍結 差分 バックアップ 添付 複製 名前変更 リロード   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS
Last-modified: 2012-10-21 (日) 05:18:04