赤メインSS

 …ああ良く寝た。今日は土曜か。休日に何をしようかと考えていたら、昨日の屈辱を思い出した。

 昨日はみんなでトランプしたら俺がボロ負けに負けてビリなんだっけ?

 緑や黒にならともかく、まさか水色や茶色、桃色にまでに負けるとは…。

 絶対あいつらグルだとしか思えん。そんな事を考えてたら、一通のメールが。

 『今日○時に○○持参の上、近所の公園に集合で。」

 …そうだ。ビリになった俺はバツゲームで今日一日、

 優勝した奴の言う事聞かなきゃいけないんだっけ?優勝した奴は…。

ああ、そうそう。赤が優勝したんだよな。…ってやべっ!もう時間ないじゃん。

俺は赤の指定通り、動きやすいジャージで公園までダッシュで向かった。

来ると、短パンにタンクトップといういでたちで赤が待っていた。



赤「遅いぞ!男!ボクもう待ちくたびれちゃったよ〜。」

男「ヒィヒィ…。ごめ。走って…ハァハァ…来たんだけど…ゼェゼェ…。」

赤「おお〜。感心、感心。ウォーミングアップもバッチリだねっ。」



そう言うと、赤はにっこりと笑った。短パンからすんなりとした足と太股が覗く。

タンクトップから見える、細すぎず太すぎずの健康的な二の腕がまぶしい。

とはいえ、まだ3月だというのに寒くないんだろうか?



男「ねえ、赤。そんな格好で寒くない?」

赤「全然。これから暖かくなるんじゃん。」

男「…で、今から何をすればいいの?」

赤「勿論、今から町内を一緒にジョギングするんだよっ!」

男「…まじで?!」



そう言うと、へたりこむ俺の手を無理やり引いて走り始めた。



男「はぁはぁ…ちょっと休もうよ…。」

赤「まだ、たったの三十分だよっ。もう、男は軟弱だなあ。」



元々、長距離走が得意ではない俺は、陸上部の赤との差が開くばかりで。

赤の短パンに包まれたプリプリしたヒップに見とれたのも一瞬だけ。

余りにもキツすぎて、バツゲームの意味を実感した。



ー---------------二時間後-------------------------



二時間後、元の公園に帰ってきた俺は、

まだ走り足りない様子で「ちょっと待ってて」とだけ言い残して

どこかに走っていってしまった赤を横目に、草っぱらにへたりこんだ。

男「ぜぇぜぇ…もっと身体鍛えりゃよかった…ゼェゼェ。」

汗が流れる身体に三月の風の冷たさが心地よく、見上げた空はどこまでも蒼い。

ふいに、青い空に赤いものがよぎった。赤の真っ赤な髪の毛だ。次の瞬間。

男「うわっ!冷てえっ!」

頬に冷たい感触が。見ると赤が、ポカリ片手に真っ白い歯を見せて笑っていた。



赤「男っ、ポカリごほうびだよっ!」

男「あ、ありがとう…。」

草っぱらで一緒にポカリを飲む。冷たいポカリが嬉しくて一気に飲んだ。



赤「久しぶりに走って気持ち良かったでしょ?」

男「…もう御免蒙りたいね。」

赤「でも、男って運動苦手だと思ってたけど、結構走れるんじゃん。」

男「まあな…自分でもこんなに走れるとは思わなかったよ。」

赤「なんか…ボク、男の事…見直しちゃったな。」

男「え…。」



ふと赤の顔を見ると、顔が文字通り真っ赤になっている。



男「お前、顔赤いけど大丈夫か?」

赤「えっ…!こ、これはっ、ボク赤だから元から赤いんだよっ…!」

男「何だよー。赤らしくねーなー。そんなに照れんなってば。」

赤「…男、後一周追加な。」

男「マジでっ!!!!!!!」

赤「ボクをからかってくれたバツゲームだよっ!」

男「もうバツゲームはこりごりだよ〜!」



俺は、また日が暮れるまで走らされ、次の日は筋肉痛で寝込むことになった


赤「あれー俺君! おっはよーー!」

男「お? おはよー赤。早いなー」

赤「日課のマラソンだよー。俺君は?」

男「早起きしちゃって何となく散歩・・ふわぁぁぁ」

赤「おおあくび! えへへ、今日はコース変えてラッキーだ」

男「ん? なんで??」

赤「ふふ・・俺君、狙ってるコ多いんだよー?」

男「な!? 俺なんか悪いことしたか!?」

赤「はぁ・・そーゆートコがいいんだけどね・・」



男の家にて

赤『男、ちょっと話したいことがあるんだけど…』

男「ん?」

赤『えー、と…あの、その…』

男「話す内容を忘れたのか?」

赤(少しは空気を読んでくれないと私だけが恥ずかしいじゃない…)

男(突拍子もないことを言い出す気がするなぁ…)

赤(ここはあれしかない…!!)

男(なんか雰囲気が変わったな…)

赤『や ら な い か ?』

男「やるってなにをするんですか?」

赤『ひとつ屋根の下に男と女がいたらやることはひとつ…!!』

男「え!?ちょ、おま…アーー!!」


放課後に男と友人がはなしている現場を赤が目撃したとき

廊下から教室を覗く赤

赤(男の友達に呼び出されて来たが、なにはなしてるんだ?)

友「お前の好きな色ってなによ」

男「やっぱ赤色だろ」

赤(…!?)

友「なんでさ?」

男「なんかこう力強いじゃん?それに活発な感じがよ俺は気に入ってんのよ」

友「なるほど」

赤(男が私を…男が…)

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赤の頭はオーバーヒート寸前のようです

友「赤さん、そろそろ入ってきたら?」

赤「は、はいっ!?」

男「ん!?まさかいまの話聞いてたのか?」

赤「え、いや、まぁな…」

友が逃走したようです

男「いや、あの…」

赤「で、私のことが好きって本当か?」

男「ああ…」

赤「うれしいな…」

男「付き合ってくれますか?」

赤「よろこんで…」



次の日に友はなぜかほかの色達にリンチにされたそうな


赤の家に男がいるようです

赤「…ん、いいよ」

男「ああ、わかった…でも加減ができないかもしれないけど…」

赤「ちょっとなら耐えれるよ…早く…」

男「く、さすがにきついな…」

赤「あん、ふぅ…」

男「痛くないか?」

赤「だ、だいじょうぶ…」

男「よくわかないけどここがいいのか?」

赤「あぁ、そこ、そこがいいのぉ…」

10分後

男「ふぅ、マッサージ終わったぞ」

赤「いやぁ、やっぱ男の人は力の強さが違うねぇ。あぁ、気持よかった」

男「そかそか。さて外も暗くなってきたし俺はそろそろ帰りますわ」

赤「うん、また明日」



男が赤のマッサージをしたようです


赤の部屋にて



無(赤に呼ばれてきてみたけど入り口から酒の臭いがするなぁ)

無「赤ぁ、部屋に入るぞぉ」

赤「早く入ってぇ」

無「入ったのはいいがなぜ赤さんはきわどい下着姿なんですか?」

赤「勝負下着よ、勝負下着。そんなことよりも私といいことしない?」

無「ちょっとまて、そうとう酔っぱらってるだろ?」

赤「そんな小さな事はいいじゃない。もう待ちきれないからこっちから抱きつくわよ…」

無(赤に捕まったら脱出することは不可能。ならば逃げるのみ!!)

無「あ…」

赤に出入り口を塞がれたようです

赤「もう逃げ場はないわよ…」

無「だれか助けてくれ!!あっー!!…………」

赤「もう絶対はなさない…ふふふ…」


赤「男ぉ、プロレスしよう」

男「なぜ!?空気が読めません」

赤「貴様に拒否権はない。というわけで早くリングにあがりなさい」

赤は布団を指差しているようです

男「だが断る」

赤「なら力づくで」

赤のベアハッグが炸裂

男(くっ!?なんだこの怪力は!?動かん!!体がまったく動かん!!)

赤「よぉし、いいこと思い付いた。男、私に中出ししろ」

男「ふ ざ け る な」

赤「たまには甘えてくれたっていいじゃん…」

男「上目使いでこっちをみるな」

赤(ちっ…既成事実を作るのは無理か…)


寮にて

赤「色無ぃ…あたしの部屋のエアコンが壊れた…」

無「まじか。とりあえず俺の部屋にでも来る?」

赤「それいいねぇ…」

色無の部屋

無「やっぱエアコンは夏場にはかかせないわ」

赤「あのさぁ、エアコンがなおるまで色無の部屋にいていい?」

無「だが断る」

赤「なんでぇ。いまなら若い女の体までもれなくついてくるのに」

無「いや、それが駄目なんじゃ。つうか同じ部屋に若い男女が一緒にいるなんてお父さんがゆるしません」

赤「へぇ、そんなこというってことは色無は襲う気満々ってことかな?」

無「いや、まあ、俺も男だからね。事故ってことも」

赤「まあ色無だったら事故でもゆるしてあげるけど…」

無「!!??」

橙(なんか嫌な予感がしたけど気のせいかな?)


ガチャッ!バタン!

赤「あ゛〜っ!!」

無「なっ、なんだ?!・・・って、赤!ずぶ濡れじゃんかよ!」

赤「ゴメン、ちょっと家までもちそうもなかったから寄らせてもらうよ」

無「ちょ、そのまま上がんなコラ!待ってろ、タオル持って来るから!!」

—ドタドタ

無「ほらよ。(ぱさ)」

赤「ありがとw(・・・色無しの匂いがする)」

無「ま、とりあえず上がってけよ」

赤「あはは、お邪魔します♪」

無「・・・なんか嬉しそうだなお前」

赤「!!そっ、そうかな?///」

無「・・・まぁいいや。風呂、入ってくか?」

赤「えっ、いいの?」

無「それだけ雨に打たれれば体冷えただろ?嫌じゃなければ着替えも貸してやるけど・・・」

赤「じゃあ、お言葉に甘えて・・・」

無「ほれ、着替えだ」

赤「(ばふ)わぷっ!ちょっと、投げないでよ!!」

無「じゃあなんだ?お前を直接見ながらゆっくり手渡ししていいのか?・・・その格好で。///」

赤「へっ?・・・あっ!///」

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無「分かったらさっさと風呂入ってくれよ」

赤「・・・一緒に・・・入る?」

無「!!///~は、はぁ?!何アホなコト言って・・・」

赤「嘘に決まってんでしょ!色無しのえっちぃ!」

無「なっ!///~さ、さっさと入れ!!」

赤「ふふ、じゃ遠慮なく♪・・・覗かないでよね?」

無「覗くかアホ!///」


赤「よぉ、色無」

無「ん?なんか用?」

赤「ちょっとつきあってくれない?」

無「だが断る」

赤「ぶち殺すぞ」

無「正直すまんかった」

赤「わかればよろしい。とりあえず私の家に行こうか」

無「把握した」

赤の家

無「んでなんで俺をよんだのさ?」

赤「そんなの決ってるじゃない。あんたが誰かと付きあってるかききだすためよ」

無「なんでさ」

赤「なんでさ、じゃない。むしろこんな質問されてる時点で勘繰りなよ」

無「俺せめられてんの?」

赤「ていうか今攻めたい。むしろ犯かした…ゴホン…」

無「ちょっとまて。いまあぶないこといってなかったか?」

赤「ああ、もうめんどくさいなぁ。色無お泊まり決定ね。ちなみに拒否権はなし」

無「だれかたすけて…」

青(最近出番すくないなぁ…)


:『グレイトフルコンプレックス』

『お邪魔しまーす』

 と元気にドアを開き、元気そうなポーズのまま赤は固まった。基本がハイテンションな上に突発的な奇行を開始したりするから、ボクっ娘属性は困る。黄色と底辺争いをしている赤なんかその代表格で…

『あ、色無おかえりぃ』

 おぅ!?

 なるほど、赤ではなくてもこれは硬直する。特に男の子のデリケートな部分は猫まっしぐら、どこに向かうのかははしたなくて言えやしない。

 強制的に意識を現実に戻す。

 そこにはバスタオル一枚の…バスタオル一枚!!の朱色さんが立っていた。そのインパクトは推して測るべし、思わず言い直して『!!』を付ける程だ。俺でさえそうなのだから、体育は得意でも保健が苦手な赤にはかなりキツいものがあっただろう。

『ちょっと、色無?』

 現に赤の視線は俺と朱色さんの間を行ったり来たり、忙しいことこの上ない。

 だが一言言っておくと、

「妙な誤解はすんなよ?」

『色無の馬鹿あぁァ!!』

 後ろを振り向いて駆け出そうとするも、目的地は先程俺がきちんと閉めたドア。勢い余った赤はそれに派手な音をたてて頭突きをかまし、思わず涙目になると額を押さえてしゃがみ込んだ。凄い加速だったし痛かったんだろうなあ、音を聞けばそれがよく分かる。

 バツが悪いのか、朱色さんは苦笑を浮かべ、

『ごめんな、あたしの部屋のシャワーが壊れたから色無の部屋のを勝手に借りたけど。ほら、他の皆も出掛けてるし』

 この言葉でやっと誤解が解けたのか、赤は立ち上がった。

『本当に?』

 他にどんな理由が存在するのだろうか?

 いやまあ色々あるけどね、色々って言うかエロエロ。

「大体、何でそんなショックを受けんだよ」

『だって、ボクって色気無いし』

 今だバスタオル一枚の朱色さんと赤を見比べてみる、勝者:朱色さん。3馬身差をつけての、圧倒的なゴールです!!

『胸も慎重もないし、無い無い尽くしの大盤振る舞いだよ』

 そうだなぁ。

 でも、

「赤にはこれからがあるべ? もしかしたら、朱色さんの年くらい…」

 睨まないで、三十手前の独身でも別に良いじゃない!!

「何年後かにはどえらいことになってるかもよ?」

『本当に?』

 あまりそんな赤は想像出来ないけど、俺は真面目に頷いた。

『本当に?』

 俺の態度に応えてくるのは、さっきと同じ言葉だけれども違う表情の赤だ。いつもの明るい表情に戻ったことで、俺の顔にも笑みが浮かんだのが分かった。

やはり赤は、こうでなくてはいけない。

『あたしがこん位の頃は、もう少し胸あったけどねぇ』


赤「色無、一緒にかえろうか?」

無「おう、帰りにどっかよってく?」

赤「じゃあ私の家にでも」

無「把握した」

赤の家

無「んで、なぜ俺をよんだのさ?」

赤「夏になって浮かれ気味な色無を私の物にするためよ」

無「いや、物扱いかよ。しかも自信満々」

赤「他の娘に目がいったら嫉妬しそうだからね」

無「お前えらくストレートだな」

赤「これが私の取り柄だから。言葉だけじゃなくて行動でも示してほしい?」

無「え!?ちょ、おま…」

チュ…

赤「好きになるとねキスぐらい簡単にできるんだよ?」

無「…!!??」

橙(あー、最近赤が調子にのってきたなぁ…)


赤「あぁ〜っプリンが無い! 私が大事に取って置いたプリンが。冷蔵庫に入れてあったプリンが!」

赤「色無ぃ……」

男「はっ、はい!」

赤「それ、私のプリン……」

男「えぇっ! これ、赤のだったの!?」

赤「あぁ〜もう! プリン、プリン、ぷっりっんっ! どうしてくれるのよ!」

男「ごっごめん……」

赤「ひっく……ひっく……。部活の後に食べようと思っていたのに……」

赤「ひっく……疲れたときは甘いもの、甘いものなのにぃ……ひっく」

男(うわぁ……失敗したな……これは……)

赤「チラッ(~ノд゚~)」

男「ええっ! 嘘泣き!?」

赤「ひっく……ひっく……」

男「どっちだよ!」

赤「駅前の……あのお店のプリンを買ってくれたら、泣きやむかも……」

男「……~ok わかったよ。駅前のでいいんだな?」

赤「と……」

男「?」

赤「ケーキも……」

男「ちょwケーキも? だってこのプリン100円だろ? 割に合わなく……」

赤「ひっく……」

男「あっあ〜っわかったよ、ケーキも買おうな、買ってあげるから。じゃあ、行ってくるから」

赤「あっ待って。私も行く。ケーキ選ばないと」

男「あ……あぁ、そうだよな。一緒に行こう」  ガチャッ(玄関を出る)

赤「えへへ♪ 色無と、でーとっ!」

男「おっおい。腕組むなよ。歩きづらいだろ」

赤「えへへ♪」

男「まぁ……いっか」

  • 店にて---

    赤「えっとぉ……これにする!」

    男「あぁ、それ美味そうだな。おっ、これも美味そう……俺も買おうかな」

    赤「色無、今月金欠でしょ? お金大丈夫なの?」

    男「そんな男にケーキまで買わせようとしてるのは誰なんだよ……」

    赤「あ……じゃあ、私が色無の分の出すね!」

    男「いっ、いいよっ、そんなの」

    赤「いーの! ね、一緒に食べよう! 二つとも買って、半分こしようよ。そうすれば……」

    男「あぁ、成る程。そうすれば二種類のケーキの味が楽しめる、と」

    赤「そういうこと♪」
  • 帰り道---

    男「なぁ」

    赤「えっ?」

    男「赤って」

    赤「うん」

    男「ほんと甘いもの好きなのな」

    赤「……うん、好きだよ。それに、部活やっているからカロリーの消費が他の人より激しいから」

    男「そっか、そういうこともあるか」

    赤「うん」

    男「じゃあ、早速帰って食べようぜ」

    赤「うん」
  • 帰宅---

    男「あぁっ、そっちの、こんな味すんの!? すごいな」

    赤「ちょっと! 私にもそっちの食べさせてよ」

    男「はいっ、これ」

    赤「むぐむぐ、うぅ〜ん。……これ、あんまり甘くないね、美味しいけど」

    男「案外あっさりしてるよね、これ。見た目はもっとストレートに甘そうなんだけど」

    赤「そうだよねぇー(……あれ? なんか眠くなってきた。やばい、せっかく色無と一緒なのに……)」

    男「あとさぁ……」

    赤「え、うっぅん……」
  • 暫くして---

    男 「風邪引くぞ」 パサッ(布団を掛ける)

    男(ったく……そんなに疲れてるなら言ってくれればいいのに……)

    赤「すぅ〜すぅ〜」

    男(まぁ、赤が楽しそうだったからいいか。俺も楽しかったし)

    赤(んっ……色無ぃ……えへへ)

    男(……しかし、寝顔がすごく————いつからだっけ————赤のことを、『かわいい』から、『綺麗』と認識するようになったのは————)

えへへ、色無。本当は疲れたときには甘いものより、あなたがいいな

出来るだけで良いから、傍に居させて

出来るだけで良いからさぁ



赤「………はぁ」

男「……?珍しくどうした?」

赤「テストが……」

男「なるほど、赤だけに赤点だったんだな!」

赤「誰がry    そうじゃない!!」

男「じゃあどうしたんだ?」

赤「テストがある程度普通だったのに………」

男「うん」

赤「………授業中いつも寝てるから夏休み補修」

男「………マジでか」

赤「まぁどうせ部活で学校行くからいいんだけど………学校にいながら部活出来ない時間があるのが許せない!!」

男「そっちかよ。……まぁ俺も赤点で補修なんだけど」

赤「赤点だったの!?あんなに緑と黄緑に教えてもらったのに!?」

男「……申し訳ない」

赤「あの二人は教えるのめちゃめちゃうまいはずなんだけどなぁ。それを色無しが上回っちゃったってことか」

男「……面目ない」

赤「まぁいいや、じゃあ僕と一緒に補修頑張ろう!!」

男「うん、朝一緒に行こうぜ」

赤「いいよ!……あ、夏休み毎日一緒に登校するなんて、なんかカップルみたいだねwwww」

男「…え?え、あ、ごごめん嫌だったら別にいいから!!」

赤「ううん、むしろ大歓迎さ!でも朝は走って学校行くよ!!」

男「……やっぱり」

赤「さぁ、体動かそ!!」

男「……夏休み終わるころには筋肉質になってるかもな…」


目覚めたら、見慣れぬ天井。

(……ん〜……あれ、ここって、赤の部屋、か……? なんで……って、あぁそうか)

確か、赤と一緒に夏休みの宿題をやろうって話になって。

でもふたりしてすぐ飽きて、休憩ってことで寝転がって、それで……

「あ、色無、起きた? おはよ〜」

「おっす。俺いつの間にか寝ちゃったんだな。今何時だ?」

「もうお昼時だよ。今冷やし中華作ってるから、ちょっと待っててね」

「ん、もうそんな時間なのか……って! ちょっ、おまっ!?」

まだねぼけまなこだった俺の両の目が、一気に覚醒する。

なにしろ、視界に飛び込んできたのが、

  は  だ  か  エ  プ  ロ  ン

だったからだ。

「ん? どうかした?」

「どうかした? じゃねえええええええ! 赤お前、その格好は何のつもりだ!?」

「裸エプロンだよ。色無、こういうの好きだって言ってただろ?」

「あぁ好きさ大好きさ! クリティカルヒットでこうかはばつぐんさ! だがしかし!」

「じゃあいいじゃない。ボクも下にホットパンツはいてるからまぁ平気だし」

「そういう問題か! いや、仮に百万歩譲って下はいいとしよう。だが上は、その上はーーー!?」

どう見ても、『装備:エプロン。以上。』にしか見えない。

小麦色の背中、小麦色のうなじ、小麦色の横チチ。

いや、うん、最高だよ? 最高だけど、問題じゃないか。

何が問題って、年頃の男女が部屋にふたりっきりで、かつ裸エプロンなんだぜ?

どう考えても乙女の貞操の危機で、ってことはなんだ別に俺は危機じゃないのか、いやそういうことではなくてだな。

とりあえず言いたいことは、だ。

誰かタスケレ。

「上は、まぁ、そうなんだけどね。別に、色無になら、見られてもいいかな……アハハ、なーんてね♪」

赤は、後ろを向いたまま、いかにも気にしていない風に言ってくるが、その耳は遠目から見ても紅潮している。

そして俺は多分それよりももっと赤くなっている。

(……この部屋、今、ゆうやけこやけに真っ赤っ赤だな)

そんな、意味不明なフレーズを考えてみる。

いや、なにか他に考えなければならないことがあったような気もするんだが、いかんせん頭が働かない。

なにしろ、少しでも脳に血を送れば、そのままあらぬ方向へと突き進んでしまいそうなのだから。

やがて、そうやって俺が思考停止しているところに、

「で、できたよ〜」

赤がふたり分の冷やし中華を持ってやってくる。

前からのアングルだと、さすがに布地面積が大きいので、さっきまでの破壊力ではない。

とは言っても9999ダメージが9998ダメージになったくらいだけど。

なんでまたそう胸元があくようなサイズのエプロンにするかな?

……ダメだ、このまま見てると冷やし中華まで赤く染まりそうだ。鼻血で。

「…………いただきます」

俺はとりあえず食欲に逃げることにした。

はしを持つ。なぜか頭の中でアラートが鳴る。そう言えばなにかを忘れている気がする。

しかしもう止められない止まらない。

冷やし中華に手をつける。なんだかツユが赤い。うん、俺が赤いせいだろう、部屋が赤いせいだろう。

ちゅるり、と俺はメンをほおばり、

ブホォォォッ

それを一気に吹き出した。脳天から足の先まで走り抜ける衝撃。

ようやく思い出した。そうだった、こいつの料理はこうだった。

「ちょ、色無、大丈夫!?」

かけよってくる赤と、倒れる自分をスローモーションで感じながら、俺は(大丈夫じゃねぇよ)心の中でツッコむ。

しかし、なぜ、冷やし中華に……ハバ……ネ…………ロ…………


赤「ハァ、ハァ、ハァ…」

放課後にテキトーに散歩してるとランニングをしている赤をみつけた

無「よぉ、この暑いなか元気だねぇ」

赤「ランニングは日課だからね」

そうかと返事をして赤をよくみると汗で濡れた服が赤の肌にくっついている

運動をしているせいか体は引き締まっていて身長も170cmほどあるのでスレンダーな体型をしている

赤「色無、今私の体見て変なこと考えなかった?」

無「ん?いや、考えてないけど」

赤「汗で服がスケスケになってる若い女が目の前にいてなにも考えないとは。実はうほっの人?」

無「(゚Д゚)」

赤「こっちみるな。あんま変なこと考えてると彼女できないよ?」

無「じゃあ赤が彼女になってくれよ」

赤「なめてんのか、お前?」

無「正直済まんかった」

赤「まぁ、色無が土下座して付き合ってくださいって告白したらいいよ」

無「だが断る」

赤「(´・ω・`)」


赤「暑い!夏だぁぁ!」

男「………」

赤「夏だよ!」

男「いわれなくてもわかってるよ……っていうかただでさえ暑いのにそんなに騒がれたらもっと暑くなるよ」

赤「ばっかだなぁ、夏だからこそ騒ぐんだよ?もしかして色無もう」

男「夏バテじゃないから自主練はいりません!大丈夫です!」

赤「なんでそんなに嫌がるかなぁ……体動かして汗かこうよ?気持ちいいよ?」

男「えぇ〜……?」

赤「じゃあテニスはどう?」

黄(あ、いたいた。ロビーにいたのか色無。って赤もいる?)

赤「一緒にやろうよ?」

黄(一緒に……やる?)

男「あれ疲れるんだよなぁ……腰入れて打たなきゃだめだろ?」

黄(腰入れて……打つ?)

男「しかも前やったじゃんか、もう立たなくなるぐらい!(足が)」

黄(前にやった……?立たなくなる……)

赤「じゃさ、中でもいいよ!今日は!」

黄(中でもいい……中でも……中……)

黄「うわぁぁあああん!!!君たちがそんな仲だったなんてぇぇ!!」

赤「バスケとかバドミントンとかさ!」

男「どっちも超ハードじゃねぇか!!……ってあれ?今黄色の声がした気が…」


赤「色無、これはなにかな?」

無「こ、これは!?俺の秘蔵のエロ本、『エッチで綺麗なおねいさん』ではございませんか!!」

赤「そうか色無は年上が好きだったのね…」

無「いや、あのね、もう返してそれ」

赤「私が正しい方向に導いてあげるから部屋に来なさい」

無「だが断る」

赤「なめてんのか、お前?」

無「本気で怒らないでください」

赤(年上好きなら群青さんや朱さん、同世代でも大人びてる黄緑に先を越されるかもしれない。直すなら今しかない!!)

一方盗み聞きしてたひと達

群青(年上好き、勝てる!!)

朱(姉さんの目が怪しく光っている…)

黄緑(ただの年増に負ける気はしないわねぇ。ふふふ…)

黒「なんなんだこいつら…」


赤「おっはよ〜色無!」

男「おう、おはよう赤。しかしほとんどのやつが夏休みだからってまだ寝てるのに、赤は毎朝早いな」

赤「だって朝は早く起きて走らないと損じゃない?」

男「いや別に損ではないけど……早く起きるのはいいことだよな」

赤「あ、そうだ!今度陸上競技大会あるから見に来てよ!」

男「うん、いいよ」

赤「来週の日曜だからね。……ここだけの話……ポロリもたくさんありますぜ兄貴wwww」

男「お前何言ってんだよ///」

赤「ほんとほんと。短距離のスタートのときなんてもう全員のが見えますぜww」

男「アホか///」

赤「あ、そっか、そんな少し下向いただけで見えるようなひんぬーは興味ないんだっけ?巨乳好きとはやられたなぁw」

男「だから勝手に決めるなっての!!」

赤「(ボソッ)僕もあんまり大きくはないんだけど……まだ大丈夫かな?」

男「?」

赤「あ、なんでもないよ。じゃあ、もうひとっ走りしてくるね!!」

男「……行っちゃった。ほんとあいつは元気だなぁ……」


こんな感じか?

赤「色無!出かけるよ!」

無「何言ってんだよ……今、台風が来てるだろうが……」

赤「だからだよ!ほらボサッとしてないで準備して」

無「ちょ、ちょっと待てどこに行くんだ!」

赤「よーし張り切って台風の目を探しにいくぞー!!」

無「(゚д゚)」


無「なぁ、赤」

赤「なに?」

無「なんかさぁ、最近しまりが悪くないか?」

赤「そりゃあねぇ。むりやり入れてればがばがばにもなるでしょ」

無「もう元には戻らない?」

赤「私が努力しても限界があると思うよ」

無「そうか……」

赤「まさか、しまりが悪くなったぐらいで捨てないよね?」

無「……」

赤「ねぇ、なにかいってよ!!」

無「ごめん……」

 次の日

無「なぁ、冷蔵庫の閉まりが悪くなったぐらいで騒がないでくれよ」

赤「あの冷蔵庫は物が沢山はいって便利だったからさぁお気に入りだったのよ」

無「冷蔵庫にそこまで愛着がわく赤が不思議でたまりません」

赤「あぁ……私の愛した冷蔵庫……」

トラックに乗せられ運ばれていく冷蔵庫に赤は視線を送る

赤「さよなら……」

無「付き合いきれないから俺はもう帰る……」

〜赤の日記〜

私の最愛の冷蔵庫が寮を去った。正直悲しいです。ちょっと沈んでます……

追記

昨日のことなんだけど冷蔵庫のしまりが悪いことを色無と話た後になぜか他の人たちからエロイや変態などと罵倒された。冷蔵庫のしまり具合いでなんで変態なんだろう……


赤「なぁ、色無」

無「なに?」

赤「お前の好きな女のタイプを教えろ」

無「なんでさ」

赤「あれだ……まあ、とりあえず教えろ」

無「つうかなんで俺に聞くんだよ」

赤「お前そりゃ、好きな男の好みのタイプを聞くために決まってんだろ!!恥ずかしいこと言わせんな!!」

無「あー、はいはい……、ってえぇ!?」

赤「とりあえず早く言え!!」

無「好きな女ねぇ……活発な子とか」

赤「俺が好きってことか!?」

無「別にお前なんて行ってないぜ?」

赤「くそ!!もうお前なんかしるもんかよ!!うわぁぁぁぁん!!」

無(すこし遊びすぎたかなぁ?)

橙(活発な子?私かぁぁぁぁぁ!!!!!)


赤「起きて色無!!」

男「ん〜……」

赤「起きてったら!!」

男「んー……起きるから……」

赤「もぉ……起きろっ!!(バッ」

男「あ〜……むにゃむにゃ」

赤「もう、今日からボクと一緒にランニングする約束だったでしょ!?」

男「う……ん……ん〜……」

赤「学校始まるのに体がなまってるからって!!……あ……」

男「……?」

赤「わ、ごめん、下のほうまで起きちゃったね///」

男「どどどど童貞ちゃうわ!!じゃなかった、これは自然現象でして自分ではどうにもできないようなものですから別によからぬことを想像したわけではなくて……」

赤「知ってるよ〜」

男「ですから私自身には何の罪もなく……って、え?」

赤「んじゃ、おさまったら早く玄関来てね!ボク先行って待ってるからさ!んじゃ!」

男「……なんかそこまで簡単にスルーされると……」


赤「宿題やった?」

無「やってない」

赤「ですよねぇ〜」

無「たぶん宿題してないの俺たちだけだよな」

赤「黄色とか隠れてやってるからねぇ」

無「この危機をどうのりこえますか?」

赤「徹夜してやるしかないでしょう」

無「把握した」

 深夜、色無の部屋

無「眠い……」

赤「眠ったら死ぬよ……」

無「やれやれだ……」

赤「たしか冷蔵庫に栄養ドリンクがあったはず……もってくる……」

無「いってらっしゃい……」

キッチン

赤「お、あったあった」

青「あら、栄養ドリンクなんて持ち出してどうしたの?」

赤「ん〜、色無の部屋にもっていくからさ」

青(色無の部屋?栄養ドリンク?男と女が二人きり?)

赤「なんか考え込んでるけどどうしたのさ?」

青「え!?いや、なんでもないわよ!!」

赤「とりあえず徹夜でがんばらないと駄目だから……あぁ腰が痛い……(ずっと床に座ってるから)」

青(腰が痛い?徹夜でがんばる!?そんなぁ……)

青「うわぁぁぁぁん!!」

赤「ちょ、突然走り出してどうした!?」


赤(しまった、寝坊した!!)

朝自宅で起きて時計を確認するとすでに8時をまわっていた。これはマズイ。学校までには電車を使っても30分はかかる。8時40分までに着けばいいけど間に合うかわからない。

あわてて顔を洗い髪をテキトーに整え制服に着替える。家をでる時には既に五分経過していた。家を出て急いで駅に向かう。

駅のホームで定期を使い足早に電車に乗り込むと電車のなかは人が限界まで詰め込まれていた状態になっていた。満員電車というやつかな。

赤(ふぅ……ぎりぎり間に合うね)

人混みの中電車に揺られて降りる駅につくまで吊革につかまって待つ。

さわ……

赤(!?)

私のお尻を誰かがさわる気が……気のせい?

さわさわ……

赤「う……ん……」

気のせいじゃない。誰かが確実に私の後ろにたって体をさわっている。気持悪い……まわりの人たちは人混みのせいで私には気が付かない。どうしよう……誰か助けて……。執拗に私の体を痴漢は触り続けてくる。声をあげればいいのかもしれないけど怖くて声がでない……

?「おい」

誰かが痴漢に声を書けると手の動きがおさまった。

無「あんたなにしてんだ?」

声の主は同じクラスの色無だった。ごく普通の男子でごく普通のクラスメイト。

痴漢「な、なんだね君は……」

色無の声に明らかに痴漢は驚いていた。

無「こっちの質問に答えろよ。潰すぞ?」

色無は痴漢の股の部分を掴み痴漢に脅しをかけていた。

痴漢「ひぃ!?」

色無の脅しに痴漢はびびり、人混みをかきわけどこかに消えた。

痴漢が消えた瞬間安堵感が込みあげてくる。

無「ふぅ……」

赤「あ、あの、ありがと……」

痴漢を撃退してくれた色無に感謝した。どことなく顔が熱い。

無「気にしないでいいって」

そういうと色無は駅で降りるまで近くにいてくれた。

駅のホームにつくと私は泣き出してしまった。それほどまでに痴漢が怖かった。

無「怖かったんだろ?」

赤「うん……怖かったよぉ……」

人目を気にしないで色無の胸で泣いてしまった……

無「飲み物買ってこようか?」

そういう色無の服の裾を私はギュッと掴む。

赤「どこにもいかないで……お願いだから……」

無「わかった」

 数日後

無「なぁ」

赤「なぁに?」

無「なんで俺の部屋にいるの?」

赤「なんとなく♪」

あれから私は色無と付き合いだした。驚くことに色無は私とおなじマンションにすんでいたらしい。

赤「朝御飯つくってるから一緒に食べようか?」

付き合いだしてから独り暮らしの色無の部屋で朝御飯を食べるのが毎日の日課。

無「どんどん赤に生活が支配されてる気がする……」

赤「まあまあ♪」

これからの生活が楽しみな今日この頃


赤「なぁバカぁ」

男「なんだバカ」

赤「ボクらヤバいんじゃない?」

男「まぁね。赤が赤点って洒落にもなんねぇよ」

赤「塾……」

男「……」

赤「……」

男「……」

赤「……行く?」

男「……行くか」

赤・男「ということでお願いしm

緑「却下」


キィィン!! 
乾いた空気の中、鋭い金属が響く

「ファぁールぅ!!」

審判の桃が手をパタパタふって叫ぶ。

ボールは大きく弧を描き、フェンスの裏へと落ちる。

「ひゅー。赤の球をここまで捕らえるなんて色無もやるねー」

セカンド守備の茶色がぴゅぃと口笛を吹く

全く、その通りだ。まさかここまでやるとは思ってなかった

「色無ぃ、やるね…… 次で……勝負!!」

緑のサインがでる

ケイエンシロ? とんでもない次で決めるのだ。

私が首を振ると緑はやれやれといった表情をする。そしてサインは……

大きく振りかぶる。狙いはインコースギリギリいっぱい、私の決め球だ。

手から離れたボールは狙い通り緑のキャッチャーミットへと伸びていく

「ぐっ!」

っキン!! 
ボールは高くあがり、そして緑の手の内へ収まっていった

「アウトっぉお、スリーぃ。チェンジでーす」

攻守の交代で色無とすれ違う

「へっへー。残念だったね。色無」

「うるへー。体育の授業で本気出すんじゃねーよ」

「勝負の世界は非情なのですよw」

「こいつ。ま、大体は捉えたからな次は場外に放り込んでやるさ」

「できるもんならねw」

しかしこの回、侍黒がボールをことごとく両断したため(しかもバットで)決着がつくことはなかった

学校の帰り道、自転車を押して歩く

いつもならすぃ〜と乗ってさっさと帰るのだが

たまたま一緒になった今日のライバルとゆっくり帰りたい気分だった

「めずらしーじゃん。帰宅部のあんたがこんな時間に帰るなんて」

「あん?なんか文化祭実行委員とかになってな……人望があるって、つっらいねーww」

「んなわけないない。文化祭??なにやるの?」

「模擬店とかなんか……まだ話まとまってねーけど。お前んとこは??陸上部とか何かやんのか??」

「えーと。たしかウチも似た感じだったかなぁ……あ、そうだ!色無、あんた演技とかできる?」

「はぁ??できねーよ、なにそれ??」

「いやさ、何か有志でやろうみたいな話が挙がってさ。演技云々はあれだけど男手が欲しいなーと」

「んー。考えとくわ。つーか、赤。せっかくチャリあんだらか乗ればいーじゃん」

「え?あぁ……そう?」

「応。そうで後ろに乗せてくれ」

「ばーか」

いつもの会話、いつもの風景

ちっちゃい頃から変わらない

「じゃ、レッツゴウ」

「……おれがこぐのかよ」

風が心地いい

「なぁ、赤」

「ぁに?」

「お前そろそろ誕生日だよな」

いつもチャランポランのくせに、こーゆーコトは忘れない

「……ん、明日だよ……何かくれんの??ww」

「あー、なにがいい??」

「かっこいい恋人」

「阿呆ぅ」

ほんとうに心地よかった

靴、タオル、お菓子から果ては花まで

次の日、私の机の上にはプレゼントが並んでいた

あのバカと違って本当に人望があるのだ、私は

と、そのバカが教室に入ってくる

「おーぃ。赤助〜」

誰だそれは

「うっさい、色無。なに?」

「ほら、プレゼント」

ほいっと手渡す

味も素っ気もない紙袋だ

断りもなくがさがさと開ける

「あ……クマ……」

袋の中にはむき出しでクマのぬいぐるみが入っていた

「お前、見かけによらず少女趣味だからな。どうだ?オレのセンスww」

「……ん……ありがとう」

ギャグ狙いなのかどうか知らないが、素直に嬉しかった

「なんだよ、もうちっと盛大に喜べよな」

「色無、日本語変w」

くすりと笑ってしまう。危ない、もう少しで泣いてしまうとこだった

嬉しいじゃないか、この野郎

「ま、いーや。そいじゃな」

「あ、あぁ……」

「んだよ」

「その、ホントにありがとぅ……」

「いーよ、オレの誕生日にはかわいい彼女お願いするから」

「バカ」

「んじゃな」

「んじゃね」

足早に色無は去っていく

色無を男として意識したことはない

自分の中で好きとか嫌いとかそういう範疇外にいるみたいだ

確かなのは世界中の誰よりも私の友達だということ

恋とか愛とかじゃなくて、友情だ

今だけかもしれない

卒業後は連絡も取らなくなるかもしれない

いや、卒業まで待たずとも

色無に恋人ができたら、次第に話さなくなるかもしれない

色無に…… 私が ……恋してしまうかもしれない

今だけかもしれない

だけど、今はこのクマの形をした友情を大事にしていこうと私は思った


『孤高のランナー』

赤「はぁ……はぁ……」

走る。ただひたすら前に向かって走る。そんな単純なことを毎日飽きもせず繰り返す。むしろ病的にすらなっている。

私が運動に目覚めたのはいつ頃だろう? 
中学校あたりからか? 
そうだ、先輩に誘われて陸上部に入部してからだ。

あの時は自分では陸上部なんて無理だと思っていたけれど、今では毎日10km走るのなんて軽いもの。

赤「ふぅ……」

目に入ったベンチで休憩をし汗を服の袖で拭う。暑い……

しかし、この汗が心地よいのもまた事実。

そういえば私はなんでまだ走り続けるのだろう? 
記録を伸ばすため?はたまた大会で賞をもらうため? 
……どれもピンとこないな。

走るという行為自体になにか意義を見い出そうとしてるだろうか……

客観的にみても主観的にみても私は走りすぎだと思う。体は引き締まり、女の子の特徴とすらいえる胸もない。

まあ、自分を女としてみているわけでもないし後悔はしてない。

それに走るのをやめたら私にはなにが残る? 
私を慕ってくれる友達ぐらいか。ただ、その友達ですら走る間にはいないのも同然だけど……

赤「……」

くだらないことを考えすぎた。寮に帰ろう。

赤「よいしょっと」

私はベンチか立ち上がりまた走り出す。目的なんてない。ただひたすら前に進む。

それこそが私の個性なのだから……


 『焼肉』

赤「燃えろぉ!!」

無「ちょ、火力強すぎ!!」

赤「おらおら!!」

無「あぁー!!肉ぜんぶとられた!!」

赤「うまぁい♪」

無「くそぉ、俺が焼いてる肉までくいやがって!!」

赤「とられたあんたが悪いのさ」

無「おまえどこの悪役だよ」

赤「ふははは!!」

無「……ちゃんと野菜もたべましょうね〜」

赤「あぁ私の取り皿に野菜がてんこもりに!?」

無「それを食べ終るまで肉は食べさせません」

赤「(´・ω・`)」

無「しょぼくれた顔しても肉はやらんぞ」

赤「ならば新たな肉を焼く!!」

無「みきった!!」

赤「箸で箸をとめるだとぉ!?」

無「生ぬるいわ!!」

ゴスっ!! 
無&赤「痛っ!!」

群「行儀よくたべなさい!!」


『Rising Star』

無「……」

放課後、夕日が差し込む教室でグラウンドを走る赤先輩を見つめる。

先輩はいつも輝いていた。

常に前進し、後ろを振り返らず突き進む。邪魔なものがあれば自力で解決し問題に直面してもそれを突破する精神力。

炎のように力強く生きる先輩の姿は俺の憧れの的だ。

そんな先輩に人が集まるのも自然なことだと思う。

どうすればあんな風になれるんだろうか?俺もあんなふうになれるのか?わからないな……

無「……」

そんなことを考えていると教室の扉が開いた。

赤「おっと待たせたかな?少年」

開いた扉の先には先輩が立っていた。

真っ赤な髪に窓から入ってくる夕日の光が当たり綺麗に輝いている。

無「いえ、全然。というかいつここに?」

赤「ん?ついさっき部活終わったとこだけど。なにか考え事でもしてぼ〜っとしてなかった?」

赤先輩のことを考えてたなんて言えるわけないよな。

無「まあ、そんなとこです」

赤「そうかそうか」

笑いながら喋る先輩の姿が俺には眩しい。

赤「さて帰ろうか?」

無「そうですね」

鞄を手にとり机から立ち上がると先輩は手を差し出してきた。

赤「今日は待たせちゃったから手をつないであげよう」

無「え?」

赤「ほらほら、手をつないであげるっていってるんだからさっさと繋ぐ!!」

言い方が先輩らしくて少し笑ってしまいそうになる。

無「は、はい」

赤「よし、じゃあ行こうか」

手をしっかりと握り先輩と教室から出た。


赤「雨やだなぁ……うぅ、走りたいよぉ!!」

朱「ん〜……でもこんなひどい雨じゃしょうがないだろ……」

赤「ぶーぶー……そうだ!!」

男「さてと、寝るか。っとその前にトイレトイレ〜」

がちゃ

赤「げぇっ、色無!」

男「ん?赤の声……ってえぇ!?」

どしゃ

赤「いたたたた……」

男「ってぇ〜……ったく、いくらなんでも廊下は走るなよ……」

赤「ごめんなさ〜い……」

男(俺の上に倒れてる赤……密着してくる汗ばんだ体……少し乱れた息……女子特有の『良い』汗くささ……正直たまらないッ……)

男「って俺は匂いフェチだったのか!?」

赤「ひゃ!?いきなりどしたの!?」

男「あ、いやなんでも……っていうか早く降りてくださいよ!///」

赤「うん、ごめんいま降りるよ!」

男(あぁ、離れていく……)

赤「ここんとこずっと雨だったからさぁ!我慢できなくて……ってさすがに廊下はやりすぎだったねwじゃあまた!」

男「これはヤバイ……反則だ……」


赤(今日は部活が早く終わったから色無と遊ぼうかなぁ)

無「……」

赤「おーす、色無ぃ」

無「お、赤じゃん。いま部活終わったのか?」

赤「そんなところかな。それより今暇?」

無「あ、うん……」

赤「どうしたの?元気ないねぇ」

無「まあ、ちょっとな……」

赤「青と喧嘩したの?」

無「!?」

赤「青から聞いたよ?青の誕生日に色無がこなかったってさ」

無「……」

赤「いまからでも謝った方がいいんじゃない?」

無「そうだよな……俺の方が悪いからな。いまからあやまってくるよ」

赤「うんうん、素直が一番」

無「じゃあ仲直りできたら報告するわ」

赤「楽しみにまっとく」

赤(素直が一番とかいっておいて私が素直じゃないじゃん……一緒にいられるだけでいいよ、うん……)


青「今年の文化祭でやる白雪姫のお姫様役がまだ決まってないそうよ」

赤「へ〜。そういえば王子様役は誰だっけ?」

青「たしか色無だったわねぇ」

赤「……青がお姫様役やったら?」

青「え〜、あたしがぁ?」

赤「悪い魔女に林檎を食べさせられたお姫様が王子の熱いキスで目覚めるなんてもうドキドキもんですよ!!」

青「それは、そうだけど……」

赤「それにまだチューも色無としてないんでしょ?このさいやっちゃいなよ」

青「え!?あ、し、仕方ないわね……やってやろうじゃないの」

赤「んじゃ立候補しないとね」

青「うん」

 文化祭当日

無「結局お姫様役って誰になったんだ?」

赤「青」

無「まじで?」

赤「まじっす」

無「まいったな……」

赤「いいじゃん、いいじゃん。いけいけGOGO!!いきおいにまかせてキスもすればパーフェクトさぁ」

無「わ!?そんなこと大声で言うな!!」

赤「えー……まあいいや。ちなみに私は魔女役だから」

無「OK把握した。あ、そろそろ劇が始まるみたいだから行くか」

赤「私もがんばっちゃうよ〜」

赤(魔女っていうかこれはもう道化だよね……あー、涙でてきた……やってらんないなぁ……)


 その日、寮生はロビーに集まり、張り切る青の仕切りで文化祭の話し合いをしていた。

「えーそれでは、文化祭恒例の虹色寮生による劇ですが、シナリオは緑による『新釈ロミオとジュリエット』、ロミオ役は満場一致で色無に決まりです」

「マジか……」

 ぱらぱらと女の子たちから拍手が起こった。男は一人しかいないのだから、まあ当然の結果だ。色無はため息をつきつつ、軽く手を挙げて了承した。

「で、ジュリエット役は赤一票、黒一票、残りを桃が総取りということで、桃に決定!」

「……灰、私に一票入れたのあんたでしょ? お姉ちゃん怒らないから正直に言ってごらん?」

「も、もう怒ってるじゃん……別に嫌がらせとか興味本位とかじゃなくて、ホントにお姉ちゃんならジュリエットにぴったりだと思って——あ、痛い痛い!!」

 黒と灰がじゃれ合う中、赤も顔を真っ赤にして大声を上げた。

「ちょっと、誰だよボクに一票入れたの! 『ジュリエットは桃で決まりだよね』ってみんな言ってただろ!」

 激昂する赤の問いに応える者は誰もいない。しばらくして、色無がからかうように呟いた。

「実は自分で入れたんじゃねーの? 『ヒロインの座は誰にも譲りませんわ!』って感じで。ぷぷっ」

「な……誰がそんなことするか!! あっ、色無だな! 色無がボクに入れたんだろ!」

「さあね〜。だったらどうする?」

「ぶっとばす!!」

 今にも席を蹴って色無に飛びかかりそうな剣幕の赤を、青の声が遮った。

「ふざけてる暇はないわよ! あとの配役は私が決めるから、各自セリフを今日中に入れとくように。演劇部と放送部には話つけといたけど、手の空いた人は積極的に手伝いに行ってね」

 青はホワイトボードに配役を次々と書いていき、そのたびに嬌声が上がった。気勢をそがれた赤はしぶしぶ席に戻り、色無もテーブルに肘をついてそっぽを向く。

「……」

 そんな二人を見て、みんなから激励の言葉をかけられていた桃の笑顔が少しだけかげった。

 

 それからの日々はあっという間だった。台本を読み合わせ、ロビーを片づけて即席の稽古場にして毎日遅くまで稽古した。

「いよいよ明日は本番か。桃、きれいだったな……はは、やっぱあいつがヒロインで正解だったな。ボクじゃあんなフリフリ、とても着られたもんじゃないしね」

 手芸部渾身の衣装を着た桃がはにかみながらその姿を見せたとき、全員が息を飲んで見とれたのを思いだし、赤は自嘲気味に呟いた。

「それにひきかえ、こっちは名無しの貴族その一、大道具兼任で手も足も傷だらけ……かなわないよね……」

 そのとき、真っ暗だったロビーの灯りがいきなりついた。

「うわっ! い、色無!? いきなり出てくんなよ、びっくりするだろ!」

「うわっ、赤!? びっくりしたのはこっちだっての! なんで電気もつけずにこんなとこにいるんだよ?」

「い、いいだろ別に。明日が本番かと思うと、ちょっと緊張して眠れなかったんだよ……たいした役じゃないけどさ」

 照れくさそうに視線を逸らして答えると、赤は椅子から立ち上がってロビーを出ようとした。

「あ、ちょっと待てよ。その……実は俺も、緊張して目が冴えちゃってさ。よかったら、俺の出番のとこの練習につきあってくれないか?」

「はあ? なんでボクが……そういうのは桃に頼めばいいだろ、ヒロインなんだから。それに台本も部屋に置いてきちゃったし……」

「こんな時間だし、桃はもう寝てるだろ。それにお前、実は台本丸暗記してるだろ? 稽古で赤がみんなの代役で入ったとき、台本読んでるとこ見たことないぜ」

「う……」

 その通りだった。全員がそろっての稽古はなかなか難しく、代役に入ることの多かった赤はどの役のセリフもおおむね覚えていた。

「ちぇ、しょうがないなあ。どこからだよ?」

「まずはジュリエットとの出会いのシーンから頼むよ」

 深夜の虹色寮で、二人だけの舞台が開幕した。

 

 鳴りやまない拍手の中、汗だくになった色無と桃が舞台袖に戻ってきた。

「お疲れ様! 二人とも最高だったよ! 聞いてよ、この拍手!」

「ありがとう、青ちゃん。緑ちゃんの脚本、お客さんにも受けたみたいでよかったね!」

「みんなの演技が素晴らしかったからよ。特に桃、あなたと色無、主役の二人は迫真の演技だったわ」

 皆が口々に二人をねぎらう中、赤は色無にスポーツタオルを手渡した。

「ほら、拭きなよ。お疲れさん」

「サンキュ。マジでお疲れだぜ、まったく……あー、もう指一本動かしたくねえ」

「何言ってんのさ。これで終わりじゃないよ?」

「は?」

「生徒と外来の人の投票で最優秀展示に選ばれたら、後夜祭の前にアンコールしなきゃならないじゃん」

 それを聞いた色無は、顔をしかめて天を仰いだ。

「うっはあ……そーいやそんなのもあったなあ。もう一回これやんのかよ、マジで洒落になんねーって!」

「ボクは貴族その一だから楽なもんだけどね〜。まあせいぜい足がもつれてこけたりしないようにね」

「まだ最優秀に選ばれるとは限らないのに、気が早いわねえ……」

 二人の会話を聞いていた黄緑が苦笑した。だが、まだ続く拍手の響きに、内心では誰もが受賞を確信していた。

 

『——本年度の最優秀賞は、虹色寮生による「新釈ロミオとジュリエット」に決定しました!』

 アナウンスに狂喜乱舞した三十分前からは想像がつかないほどに、舞台裏の空気は重くよどんでいた。

「いたっ……やっぱり立てない……ごめんね、こんな大事なときに……」

 桃の右足首が赤く腫れていた。慣れない舞台用のハイヒールでひねってしまったのだ。

「無理しないで。しかたないわ、不慮の事故だもの。残念だけど実行委員に説明して、アンコールは取りやめに……」

「待って。それは駄目。ここまでみんなで頑張ったんだもの」

 青の沈んだ声を、桃は途中で遮った。

「それはそうだけど……どうしろっていうの?」

「代役を立てればいいじゃない。赤ちゃん、お願いできる?」

 桃の提案に、皆の視線がいっせいに赤に集中した。たっぷり数秒遅れて、赤の頭に血が上った。

「ちょ、ちょっと何言ってんのさ! ムリムリムリ!! ボクに桃の代わりなんて絶対無理だって!!」

「大丈夫。昨日だってうまくやれてたじゃない。ね?」

「昨日……あ! なんで桃が……見、見てたの!?」

 慌てる赤を無視して、桃はてきぱきと指示を出した。

「時間がないわ。みんな持ち場について。色無君は板付きでしょ。早く移動して。黒ちゃんと灰ちゃんは、私の衣装を赤ちゃんに着せてあげて」

 どうしようかとためらう皆の背中を、色無の声が一押しした。

「桃の言うとおりにしよう。ここまで来たんだ。最後までやろうぜ。赤もいいな。大丈夫、お前ならやれるよ。みんなが……俺がフォローしてやるから心配すんな」

「色無……そりゃ、やれって言うならやるけど……桃はいいの?」

 赤の視線に、桃が無言で頷く。

「……分かった、ボクやるよ」

「よーし決まりだ! みんな急げ!」

 色無の号令に全員が走り出した。

 

「仮病はあまり感心できることではないな。怪我したふりを仮病と呼ぶかどうかは知らないが」

 物語が終盤を迎え、上手の袖で桃と二人きりになったところで、黒が口を開いた。

「……別に、仮病ってわけじゃないよ。足をひねって痛いのは本当だもん。まあ……舞台に立てないほどじゃないけどね」

 小さく舌を出した桃に、黒はため息をつく。

「敵に塩を送ってどうする? そういうことには疎いんだが、あまり賢明な判断とは思えないな」

「まあ、そうかもね。でも私は、ヒロイン選挙の得票分は色無君を独占したし。主役が本気で入れた一票分くらいは譲ってあげないとばちが当たっちゃうよ」

「……そうか。それは確かに、ずいぶんと価値のある一票だな」

「でしょ? あ、そういえば黒ちゃんも一票入ってたっけ。どうしよう……記念写真のとき、色無君の隣を譲ってあげよっか?」

「お気遣いはありがたいが、遠慮しておく。どうしてもというなら、あの馬鹿な妹を引き取ってくれ……」

 苦虫を噛み潰したような顔をする黒。桃は微笑んで、クライマックスを迎えた舞台に目をむけ、大きな拍手を送った。


『あいあいがさ』

赤「あーあ、雨かー」

無「あれ赤?~どうしたの?」

赤「あ、色無」

無「雨降ってるんだ……」

赤「そうなのよ、傘忘れちゃったし走って帰ろうかなって」

無「俺、傘持ってきてるから。一緒に帰らないか?」

赤「いいの! ありがと」

——サァァァァァァ

無「……そういえば、もうすぐ体育祭だな」

赤「……そうね。色無は何に出るの?」

無「俺は、リレーと……あと何だっけな? 俺、バトンの受け渡し苦手なんだよな」

赤「……色無」

無「ん?」

赤「か、傘に入れてくれたお礼に、練習に付き合ってあげようか?」

無「いいのか! 助かる」

赤「……じゃあ毎日迎えに行くから」

無「ああ、これでリレーはもらったようなもんだな」

無「じゃあな」

赤「ええ……(やった! これで色無と毎日一緒ね)」


赤『う゛〜』

不覚にも風邪を引いてしまった。しかも人生初だ。よく青に『何とかは風邪引かないからね〜』と、言われていたが僕はとりあえず『何とか』じゃないらしい。

赤『暇だなぁ……』

部屋の天井をぼーっと見ながらぼやいてみる。

ーコンコン

赤『あ〜い。ど〜ぞ〜。』

この時間ならみんな学校だから朱色さんだろう。

ーガチャ~無「よう。大丈夫か?」

あれ?色無?そんな訳ない。今頃学校の筈……あ〜夢か。熱もあるから夢見てるんだ僕……

無「どれ?」

あ、おでこ触ってる。どうせならおでこくっつけて欲しいな……

無「まだ熱が高いな。食欲は?」

赤『……ない……』

これは本当。朝も薬の為に少し食べただけ。

無「う〜んでも食べなきゃ、な?」

そういえばこれ夢、だったな……じゃあ甘えても、イイよね?

赤『色、無……』

無「ん?」

赤『あーん』

無「ブフッ!?……しょうがないな。フーッ、フーッ、ほら。」

赤『モグモグ)おいしー、よ』

夢だけど色無を独り占め。

無「完食したよ……薬、飲まなきゃな」

あ〜寝たらいなくなっちゃう……寂しいな……

赤『ねぇ色無……手……』

無「こうか?」

赤『エヘヘ……おやすみ……』


早く走る。ただ真っ直ぐ走る。早く走った先になにかを求めているわけでもなく走る。真正面を向き短い距離を己の足に力を込め走り抜く。

赤「はぁ!!はぁ!!」

今日は何回走っただろうか?……いや、走った数なんて関係ない。私は常に早く走り抜くことだけを考えていればいい。走っている短い時間の間だけ私が一番輝いているのだから。

赤「ふぅ……」

走り終わり芝生の上に寝っ転がり息を整える。全力で走り終わったあとにある爽快感が堪らない。

赤「おー……」

ふと空を見上げると茜色の夕日の光が雲から顔をのぞかせていた。昼から夜に移り変わる少しの時間だけみれる美しい風景。毎日みれる風景なのに見飽きないのは私だけだろうか?もしかしたら少しの時間だけ輝く自分に夕日重ねているナルシストなだけかもしれない。

しかしそれもいいかもしれない。

べつに悪い気はしないから。

努力するのが素晴らしいとかじゃなくて単純にこんなのが好きだから。

赤「さて……」

芝生から立ち上がりまた私は走りはじめる。ひたすら真っ直ぐ。

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赤「so glorious we fly like the eagle in the sky〜♪andiknow it's gonna be victory〜♪」

無「お、赤が歌を歌ってるなんて珍しいな」

赤「ん?あぁ、大会前にこの歌を歌うと落ち着いた気分になって気合いが入るんだ」

無「へぇ〜。歌詞はどんな意味なんだ?」

赤「誇り高く俺達は鷲のように空を飛ぶ。勝利はきっと俺たちのものだ……って意味」

無「なるほどな。確かに気合いが入りそうだ」

赤「まあ、他にもっと気合いの入る方法があるんだけどねぇ」

無「どんな方法?」

赤「知りたい?」

無「ああ」

赤「なら目を閉じて……」

無「わかった……」

ちゅぅ……

無「!?」

赤「よぉし、みなぎってきた!!」

無「なにすんだ!?このキス魔が!!」

赤「なぁに赤くなってんのさぁ」

無「うるせぇ……」

赤「じゃあいってくるね」

無「負けたらただじゃすまねぇからな」

赤「まかせなさい!!」


無「あー……めんどくせぇ……」

赤「ほら、シャキっとする!!」

無「断る……つうかそんなに学校行くの楽しいか?」

赤「そりゃ、部活もあるし友達もいるしね」

無「ふぅ〜ん……」

赤「それにさ色無もいるしさ」

無「はぁ……え?」

赤「遅刻するから走っていくよ!!」

無「は!?ちょ、早ぇよ!!」


赤「あー、眠い……」

無「眠いなら寝ればいいんじゃねぇか?」

赤「ところがそうもいかないんですよ……」

無「なんでだ?」

赤「私は抱き枕がないと眠れないんだなこれが……」

無「ふ〜ん……」

赤「あ〜あ、眠いなぁ……」

無「……」

赤「眠くて眠くてたまらないなぁ……」

無「なぜこっちをみる……」

赤「抱き枕になっ……」

無「断る」

赤「えー……」

無「残念そうな声だすな」

赤「薄情な男だねぇ」

無「すんませんね。つうかせめて風呂入ってから寝ろよ……汗臭くなるぞ?」

赤「はいはい……それより一緒にお風呂入る?」

無「断る」

赤「いいじゃん……」

無「本当に残念がるなよ」

赤「ぶ〜」

無「はぁ……寝るまでなら一緒にいるからそれで我慢な?」

赤「了解!!(今夜は眠らせませんよ……くくく……)」


『よふかし』

赤「おはよっ、色無!」

無「おはよ、赤」

赤「もぅ、元気ないなー」

無「……朝は眠い」

赤「……」

無「なんだよ、変な目で見——」

赤「その目の下の隈……夜更かししてたわね、なにしてたのよ」

無「……なにもしてない」

赤「まさか……」

無「……なんだよ」

赤「そんな不健全なことさせないわ、今日の帰りに付き合いなさい」

無「は?」

赤「じゃあ放課後にね」

無「おい赤……行っちゃった」

——放課後

無「ここはどこだよ」

赤「字が読めないの?~はい、これはなんて読む?」

無「プール」

赤「正解……じゃあ入りましょう」

無「ひっぱるな、それに当たって——」

日記——赤

久しぶりに日記を書く、日々の記録というより決意を固めるために。

毎夜、色無が一人で妖しい事をしてるみたいだ。

とりあえずスポーツで発散させて他の娘に目がいかないようにする。

私と仲良くなる前に他の娘とくっつかれては困るから。——見てなさいよ、色無。


赤「あ、色無おはよう!!」

無「おはよう……」

赤「眠たそうだね」

無「なんか寝起きが悪くてな……ふあ〜……」

赤「じゃあ毎朝私が起こしに行ってあげるよ」

無「まじっすか?」

赤「まじっす」

無「なんか乱暴に起こされそうだな……」

赤「失礼な!!ちょっとしたおまじないをしてあげるだけだよ」

無「どんなおまじないなんだ?」

赤「実践してみるから目を閉じて?」

無「ん……」

ちゅう……

赤「はい、おまじない終了!!」

無「またこのオチか!!このキス魔め!!」

赤「実はうれしいんでしょ?」

無「うるせぇ……つうかただ単にキスしたいだけじゃねぇのか?」

赤「大当たり」

無「もう少し恥じらいをもて」

赤「とりあえず無駄話はここまでにして学校にいこうか?」

無「あ、だから走るなって!!」


赤「綺麗……」

無「突然山に行こうなんて言いだすからなにかと思えば……」

赤「紅葉に興味があって悪い?」

無「正直意外だな。てっきり登山でもするのかと思った」

赤「失礼な。私だって運動以外で山に行きますよ」

無「そういえばそうだったな。この前は栗を沢山拾ってたっけ?」

赤「あ……」

無「んでそのつぎは松茸をとってくるとか言ってたな」

赤「あははは……」

無「まあ、赤らしいっていっちゃ赤らしいか」

赤「なんか馬鹿にしてない?」

無「ぜ〜んぜん」

赤「本当に?」

無「本当に」

赤「ふぅ……まあいいや。それより暇だから鬼ごっこしない?」

無「はぁ?」

赤「だから鬼ごっこ」

無「仕方ねぇなぁ……」

赤「じゃあ色無が鬼ね」

無「負け確定じゃねぇか」

赤「色無だったら捕まえられるでしょ?」

無「なにを根拠にいってるんだか……」

赤「むしろ捕まえてほしいというか捕まえてくれないと困ると言うか……」

無「ん?」

赤「あぁ、いまのは聞かなかったことにして!!じゃあ鬼ごっこスタート!!」

無「あ!?はぁ……さっさと捕まえてやるか」


『ふゆのすぽーつ』

赤「寒い……」

無「まぁ、もうすぐ冬だからね」

赤「今って微妙な季節よね」

無「微妙?」

赤「真冬になればスケートとかスキーとかスノボとか出来るのに、今は出来る事が少ないのよね—」

無「そうかな?」

赤「そうよ、そうだ冬に向けて今からイメージトレーニングを……」

 冬山、スキー場

赤「色無も大した事ないわね、私について来れないなんて……あれ?~色無?」

無「……スイマセン、友達と来てるんで」

女スキーヤー「えー、君を置いてく友達よりおねーさんと良いことしましょうよ」

無「え、でも、そんな……」

 イメージ終了

赤「ダメよ! このままじゃまずいわ、色無!」

無「突然黙ったと思ったら、今度はいきなり叫んだりしてどうしたのさ」

赤「今のうちから特訓よ!~私について来られるように!」

無「は?~いきなりどうしたの?~それに特訓ってなにさ?」

 実は色無の方がスキーが上手くて、赤が妙な対抗心を抱くのは、また別の話。


『らいばる』

赤「色無、ここで特訓よ!」

無「ドーム型のスキー場か……こんな所あったんだ」

赤「ほら、リフトで上までいくわよ」

無「わかったから引っ張らないで」

赤「……(予想外だったわ。リフトが二人乗りだなんて)」

無「……赤、ごめん狭いよね少し離れ——」

赤「何言ってるのよ、離れたら危ないから、ちゃんとくっつきなさいよ」

無「……うん」

赤「……(今日はいい日になりそう♪)」

赤「それじゃあ下まで競争ね」

無「え? 赤、ちょっと——」

赤「……ふぅ、これで色無がどのくらいの腕前か解るわね。何分遅れるかしら」

無「赤、いきなり滑り出すなんてヒドイよ」

赤「! 色無、どうして私より下にいるの? リフトで降りて来たの?」

無「いや、普通に滑ってきたけど……」

赤「……ひょっとして、スキー得意?」

無「……並より上だとは思うけど」

赤「……もう一回よ!」

無「赤も結構早いんだね」

赤「はぁ、はぁ……私は全力だったわよ、なんでそんなに涼しい顔してるのよ」

無「……ちょっとは本気だったよ」

赤「……フフフ、私が負けるなんて(でも楽しい! 色無と競いあえばもっと楽しいわよね……)」

無「……赤?」

赤「色無! 今からスキーのライバルよ!」


『石焼芋?』

無「はふはふ……どうして焼き芋ってうまいんだろなー?」

赤「あれ? 色無?」

無「お、赤か。自主練?」

赤「ううん、今帰るところ。ところで、それって焼き芋?」

無「ああ、今買ったばかりなんだ。 一緒に食うか?」

赤「え? いいの? それじゃお言葉に甘えようかな」

赤「あー、おいしい! 秋って言ったら焼き芋だね!」

無「おいおい、黄みたいなこと言ってるなw」

赤「失礼な! 黄みたいに食い意地ははってないよ!」

無「五十歩百歩だと思うけどな」

赤「うー……まぁいいや、もう少し貰うよ!」

無「あ、おい、それ……」

赤「うん、やっぱり運動の後の甘いものはおいしいね! ……どうしたの?」

無「いや、俺の食いかけの部分を食ったからさ……」

赤「うん、そうだね。それがどうかしたの?」

無「いや、それ、ある意味間接キッスになるんだが……いいのか?」

赤「へ? なんだ、そんなこと?」

無「そんなことって……そういうのは、女の子は気にするんじゃないのか?」

赤「いやだなぁ、そんなこと言っていたら飲み物の貸し借りなんて出来ないじゃない!」

無「……まぁ、そういうものか」

赤「そうだよっ! それよりもほら、冷めちゃうぞ?」

無「あ、そ、そうだな。さっさと食べないとな」

赤「(うー、色無が言ったせいで意識しちゃったじゃないか……色無の鈍感)」


赤「色無、次はテニスで勝負よ」

無「いや、だからスキーで負けたからって他の種目で五連戦とか勘弁してください」

赤「スキーで負けたのは確かにくやしかったけど、色無とスポーツするのがこんなに楽しかったなんて知らなかったんだもの」

無「だからって……明日は筋肉痛確定だよ」

赤「大丈夫よ」

無「その根拠はどこから?」

赤「後でマッサージしてあげる」

無「マッサージ?」

赤「そ、私のはすごいわよ。なんたってあまりの気持ちよさに失神したんだから」

無「失神って誰が?」

赤「焦茶さん」

無(あのクールな焦茶さんが失神?)

pencil_1234.jpg

 ——その日の夜、寮に色無の悲鳴が響きわたった。


『スキーりべんじ』

赤「色無! もう一回勝負よ!」

無「それよりさ、ゆっくり滑ろうよ」

赤「なんでよー、私は色無と勝負してた方が楽しいんだもん」

無「いや『もん』とか言われてもね」

赤「むー」

無(……こんなことになるなら、少し手加減すればよかったかな)

赤「いまさら手加減しようとしてもダメだからね色無!」

無「はぁ……わかったよ」

赤「……じゃあまずリフトに乗りましょ」

無「何度乗ってもこのリフトは怖いな」

赤「……そう?」

無「なんていうか、狭いし」

赤(だからいいんじゃない)

無「つかまる所も少ないし」

赤「……仕方ないから、私につかまりなさいよ」

無「うん、ありがとう、赤」

赤(色無と一緒にスキーをして、リフトでは密着できるなんて)

無(スキーウェアの上からでもやわらかい……ダメだ! こんな事考えてたらここから落とされる)

赤「……ねぇ色無」

無「なに?」

赤「今リフトが止ま——」

ガクン!

赤「キャッ!」

無「……リフト止まったね」

赤「……」ぎゅ

無「……なんで抱き付いてるの?」

赤「危ないからに決まってるじゃない」

無「……そっか(僕の理性も止まりそうなんですが)」

赤「……そうよ(このまま時間が止まってもいいわ……)」


「まったく、色無はボクがいないと何にも出来ないんだね〜」

 そう言って上機嫌に少女ははたきをパタつかせる。背が少し足りないため、踏み台を使ってパタパタ。

「大掃除の時期だからって、やらなきゃいけないという決まりはないだろ?」

 同い年くらいの少年が不服そうにそう言うと、

「そんなんだから彼女も出来ないんだよ」

 と少女。

「お前がなってくれるんじゃないのか?」

「な!?」

 赤い髪の少女はその返答に明らかに動揺を見せた。

「な、何でボクが色無なんかと!?」

「違うのか?」

「違う違う! 誰が色無みたいな冴えない男と……」

 そう言いながらも伏し目がち、火照る顔は隠せなくて。

「そっかー残念だな〜。赤みたいなカッコ良くて綺麗な女の子と付き合えたら幸せだなーって思ってたのに」

「き、綺麗!? ボクが……?」

 言われて一瞬顔が綻ぶ。が、すぐに険しい顔付きになって、

「は! ……騙されないぞ……そうやって遠まわしにボクを馬鹿にする気だな!」

「は〜、何でお前はそんなに卑屈なんだよ。可愛いんだから、もっと自信持った方がいいって」

「か、可愛い……」

 はにゃ〜んとした顔になった少女。その姿に少年は心の中で大きな溜め息をついた。なんてわかりやすいんだ……と。

「はわわ……」

 ふらふらとした足取りで移動する少女。どうやら作業を続けようとしているらしいが、踏み台を持つ手さえ怪しい。ようやくはたきをかけ始めたと思ったその時——パタパタパタ、グラッ。

「! 危ない!」

 ドサッ。

「ててて……」

 少年は少女と地面の間に割って入り、抱きかかえる形でクッションになった。

「……! うわっ色無ごめん! ボクぼーっとしてて……。大丈夫? 痛くない?」

「はは、怪我はないかい? お姫様」

「お、お姫っ……」

 瞬間、ボンッ! と音がしたかと思うとまるで蒸気機関車のように少女から湯気が立ち上った。ぷしゅーっ。

「きゅ〜」

「あちゃー……。ちょっとからかいすぎたか……」

 興奮しすぎて気絶してしまった少女を抱きかかえ、少女の部屋まで連れて行きベッドへ寝かしつける。

そのまま布団を掛けてあげると、少年は日頃の感謝の言葉を口にした。

「いつもありがとうな。お前のおかげで今年も楽しかったよ。……来年もよろしく」

 その後……。

「う〜ん、……ふぇ!? どうしてボク、ベッドで……。……確か色無の部屋にいたはずなのに……。

……ま、まさか色無と……はぅ……」


男「うっわー、やっぱり寒いなー」

赤「んー、そうかな? ……色無、ちょっとごめんね(ギュッ)」

男「うわっ! 赤、いったい何をっ!?」

赤「なんだ。全然寒くないじゃない! 色無ったら、情けないなぁ」

男「……悪かったな。つか、なんで腕を抱きしめるんだよ」

赤「ん、これがボクのやり方だもの。どうせだから、寮につくまでこうしていようよ♪」

男「……否定しても、ずっとしがみつくつもりだろ?」

赤「えへへー、ばれているか(ニコリ)」

男「仕方ないな。んじゃ、行くか」

赤「うんっ!」


無「あ゛あ゛あ゛あああぁぁ……」

赤「うわ、どしたのさ。そんなに濁点だらけの溜息ついて」

無「いやな、なんか疲れてんなぁ、って」

赤「オジサンだなぁ、も〜。だらしないぞ男子」

無「でもな、ホントにな、ダルイんだ」

赤「なんか……体力的にじゃなくて精神的に疲れてるみたいだね……」

赤「しょうがないなぁ……ホラ!」

無「何?膝?」

赤「そ、膝枕。ついでに耳掃除でもしてあげるよ。いつの間にか寝てしまってるかもね」

無「それは、いいかも、知れないな。では、お邪魔して……うわぁ〜、めっちゃ気持ちええわぁ」

赤「わ、バカ頬ずりするなって」

無「いやそうは言いますけどもね、ホントにいいんですって。ほら陸上部特有の引き締まったカモシカの足がぁぁ」

赤「あ、コラ!やめ……あんっ……ホントに、や・め・ろ!このエロ無ぃ!」

無「いや、むしろ今の俺はエロ有だ」

赤「途端に元気になりやがってコイツ!」

朱「若いっていいなぁ〜ってなんだこの空気」


 ウロウロ……ウロウロ……

無「? 赤? 何すごい形相でいったりきたりしてんの? 冬眠に失敗したクマみたいだぞ?」

赤「うわあああぁあぁああ!!!! い、色無! なんでここに!」

無「いや、せっかくの休みだし服でも見ようかなと思って……何持ってんの? ミニスカ? へー赤もそんなの履くんだ——」

赤「ババババ馬鹿言わないでよ! ボクがこんなの履くわけないだろ! これはその、そう、プレゼント! 従妹にプレゼントしようと思って見てたんだよ!」

無「ふーん。まあいいけど、あんまり売り物乱暴に扱うなよ。店員さんがこっち睨んでるぞ」

赤「あああご、ごめんなさいごめんなさい」

無「よし、暇だしおれもつきあってやるよ。従妹ってどんな子? サイズとかは?」

赤「え? ああ従妹、従妹ね。えーと、その……サイズはボクと同じで……普段はジーンズとかチノパンとかばっかり履いてて、あんまり女の子っぽくなくて、でも男はやっぱりスカート履いてる女の方がいいのかなとか思って……」

無「なんかそれって赤のことじゃ——」

赤「い、従妹だって言ってるだろ、馬鹿! もういい、これにする! ジーンズ地ならミニでも動きやすいし、見えちゃうこともないだろうし。すみません、これ下さい!」

無「……あーすみません、これ下さい。プレゼント用で。……ほれ」

赤「な、なんだよこれ」

無「そーいうスポーティなのもいいけど、赤は可愛いからフレアスカートも似合うよ。今度の日曜に映画見に行く約束してたろ? そんとき履いてきて見せてくれよ」

赤「な、かわ、ばか、い従妹の話だって何度言えば——」

無「あーそうだったな。じゃあそっちのは従妹用で、俺が買ったのは赤用な。そうだな、今日迷惑かけた詫びってことでもらっておいてくれよ。それとも、俺からのプレゼントじゃ嫌か?」

赤「……しょうがないなあ。確かに今日は大迷惑だったからもらっておいてあげるよ。あくまで詫びとしてだからね! まあもらいっぱなしじゃ悪いから履いて見せてあげるけど、一回だけだよ!」

無「よっしゃー!! いやあ楽しみだなあ。赤のミニスカ姿、可愛いだろうなあ。萌えるんだろうなあ」

赤「!!! やっぱりやめる! 絶対履かない!!」

無「えー、そんなこと言わずに履いてくれよ。一回と言わず二度三度とさ。デートの度に履いてくれると嬉しいなあ」

赤「い、色無とデートなんかしたことないだろ! ただ一緒に出かけて遊んだだけじゃん! 絶対絶対履かない!!」

 そんなことを言いながらも、赤は寮に戻ると姿見の前で二着のミニスカをとっかえひっかえ履いてみて、可愛いポーズの研究をするのだった。


無「こんにちは〜」

赤「おう、色無ちゃん」

無「なんか……まさにスポーツやる人の部屋って感じ」

赤「その通りだしな」

無「それはそうと……なんでランニングウェア着てるの?」

赤「だって今から走りに行くから。ほら色無も着替えて」

無「え、私も?」

赤「うん。ほら、コレ着て」

無「え、あ、じゃあ……着てくる」

無「なんでブルマなの!?」

赤「似合うじゃん」

無「そういうことじゃなくて!ってかなんで私、着ちゃったかなあ……」

赤「まあ着替えたことだし、走りにいこうぜ」

無「この格好で!?それなんて羞恥プレイ?ってちょっ、引っ張らないで、え、あ、うわーん……」


パァン!

学校のグラウンドのトラックに乾いた音が鳴り響く。それと同時に高速で走り出す人影がいくつも。

パァン!

再び響く重火器を模した物が打ち鳴らす火薬の音。同時に今度はボクが走り出した。

でも、今日は、聴きなれたその音がいつもと違ったように聞こえたんだ。

そのときからなのか、ボクは世界に違和感を感じた。

揺れる世界。

走っているから当然なのかもしれないけど、頭が痛いのは何でなのだろうか?しかもちょっと暑い。

でもボクは止まらなかった。ただでさえ冬場は怠けがちになるのだ。気を引き締めなければ。そんな思いがボクを駆り立てた。

それにしても辛い。皆ってこんなに速かったっけ?冬休みにだらけ過ぎたかなぁ。

しかし負けるわけにはいかない。元来の負けず嫌いを発揮して、必死に足掻いてみせる。

グングンと加速して皆を追い越してゆく。ボクはこの瞬間が大好きだった。

開ける視界。後ろの相手の息遣い。障害物の無くなった世界は、何処までも速く、遠く飛んでゆけそうなのだ。

だけど、違和感はそれら全ての世界を飲み込んでいった。

絡みつく両足。身体は勢いのまま前へ回転し、膝、肘、肩と地面に擦りつけられる。

体中が熱かった。身体の関節が痺れる様に痛み、頭は脳に何か詰め物を詰めたように重かった。

歩み寄ってくる部活仲間。彼女達は口々に何か言ってくるけど何も返せやしない。ただ、熱かった。

しばらくして、ボクは担架に乗せられて保健室へと運ばれた。二名の保険委員に運ばれる中、ボクは頭を流れる、何か、熱い液体を気持ち悪いと思っていた。

怪我の具合はそれほど酷くは無かった。

膝と肘と肩にほんの少しの擦り傷。一番酷いのは頭の方で、なんと血が噴き出していたらしい。縫う程酷い訳でもないので、まあ安静に、だそうだ。今は包帯を巻いている。

しかし、怪我の方はそこまでで済んだわけだけど、身体の方は更に違和感を増していた。

保険の先生が言うにはこれが風邪らしい。今までひいたことが無かったからわからなかった。今日はこれで帰って、ゆっくり休んで様子を見なさい。保険の先生はそう言っていた。

もうすぐ寮の人が迎えに来るそうだ。

正直、今すぐにでもグラウンドに戻って練習を再開したかったけど、身体の方はそうはいかなかった。全身に力が入らない。これが風邪と言うものか。

あまりの無力さに少し愕然として、ぐったりとソファーにうなだれる。今気付いたけどいつの間にか制服に着替えさせられていた。

しばらくうんうんと唸っていると、ガラリ、と保健室のドアが開かれて見慣れた顔が入ってきた。

「こんちゃーす。赤、迎えに来ましたー」

慣れない保健室に緊張でもしているのか、随分と控えめな声量でソイツは挨拶した。

「色無。来たんだ」

色無。ボクと同じ寮に住んでいる男子生徒。色無はボクの姿を見つけると、心配そうに近づいてきた。

「お前、怪我したんだって?大丈夫か?」

「大丈夫。たいした事ないって」

「そっか」

ボクが元気さをアピールすると、安心したように頷いた。

「それじゃ、先生。赤、送っていきますんで」

「お世話になりました」

最後に丁寧にお辞儀して、保健室の扉を閉めた。顔を上げた時、少し頭がグラグラした。

「大丈夫か?足怪我してんだろ。歩けるのか?」

玄関で靴ヒモを結ぶボクの膝を見つめて、色無は心配そうに言う。

「大丈夫だって、ホラ。こんな、事まで!」

そう言って、ボクは立ち上がって、乙女の膝を凝視する不届きな視線に向かってハイキックを繰り出す。が、まあ当てる気もないのですんなりかわされてしまう。それはまだしも、

「あ、パンツ見えた」

などとのたまう色無。最悪だ……

「もう、バカ!見るな!」

照れ隠しに次々に連続の回し蹴りを繰り出す。

「わぁ!バカはそっちだって!見えるっつってるだろっ!それに足怪我してんじゃねえのかってお前!」

クキッ

「イタッ」

小気味良い音と共に崩れ落ちるボク。ヤバイ……捻挫したかも……

「だから言ったろうに……」

呆れ顔で手を差し伸べてくる色無。

「赤も女の子なんだから、もう少しお淑やかになりなさい」

「む〜……」

ボクを引っ張り上げつつ、どこかのオジサンのようなことをつぶやく。その言葉にボクは唸ることしか出来なかった。顔が熱いのは風邪の所為にしておこう。

「早く帰ろうぜ」

そう言って、ボクに背を向けてしゃがみこみ後ろ手を差し出してくる。

「おんぶしてってくれるの?」

「お安い御用さ、お嬢様」

色無は顔だけ振り向いて、軽薄に、だけど優しく笑いかけてくれた。


真っ白な道を、二人で歩いていく。

今、このときを実感しようと、重く、重く、踏みしめていく。

赤「寒いね……」

無「うん。雪だからね」

赤「……」

無「綺麗だなぁ……。全部真っ白だ」

赤「……」

無「今年でさ……卒業だよね」

赤「……あたし……卒業したくないな……」

無「皆同じだろ。俺だって卒業したくねぇよ」

赤「……」

無「綺麗だなぁ……」

赤「それさっきも言った」

無「意味が違うんだよ」

赤「?……意味?」

無「一回目の『綺麗だなぁ』は雪」

赤「二回目は?」

無「……わかんね—の?」

赤「……ぇ」

無「真っ白な道に、真っ白な背景に、お前の赤みがかった髪とか」

赤「……」

無「寒さで赤くなったほっぺとかが、綺麗に生えてると思ったんだよ」

赤「〜〜〜ッッ!!」

無「……何だよ」

赤「恥ずかしくないの?」

無「うるせぇ!」

真っ白な道を、二人で歩いていく。

今、このときを実感しようと、重く、重く、踏みしめていく。

たとえ別れる日が来るとしても。


赤「へぇー……いっぱいあるんだなぁ」

男「お、赤じゃん。赤が本屋にいるなんて珍しいな」

赤「いい……色無!」

男「ってゆーかこのコーナーは……」

赤「た、たまたま通りがかっただけだよ!」

男「別に隠さなくてもいいって。でもちょっと意外だなー。赤でもこういうファッション雑誌読んだりするんだ」

赤「……どうせボクには似合わないよ、そんな服」

男「そうか? 赤が着たら似合うと思うけどな……ほら、これなんてどうよ」

赤「可愛いけどボクには……」

男「そんなこと言うなって。赤は元がいいんだから何着ても似合うよ。ジャージ着こなす奴なんてなかなかいないぜ?」

赤「……それ、褒めてるのか貶してるのかわかんないよ」

男「褒めてるんだよ。それほど……とにかく俺から見たら可愛いってことだよ」

赤「……自分で言ってて何照れてんのさ」

男「しょうがないだろ」

赤「ありがと。じゃあさ、今度の日曜一緒に服買いに行ってくれるよね!」

男「えぇ!?」

赤「なにぃ、嫌なの?」

男「嫌じゃないけど……はい、行きましょうか(女の子の買い物はみんな長いから荷物持ちは疲れるんだよなぁ……)」

赤「やった! よーしっ、じゃあ帰ろう! 寮まで競走ね!」

男「なんでそうなる!? ……あ、もう走ってるし!」

赤「本気出さないと置いてくよー!」


「えっと、それからボート乗って……」

「ちょ、ちょっとまて、そんなにまわるのか!?」

 週末のデートの打ち合わせ、あれもこれもと口にする赤に思わず色無は声を上げる。

「だって、せっかく楽しみにしていたんだよ?」

「だからってさあ……」

 買い物。遊園地で観覧車。そしてボートの乗れる公園でボートに乗った後クレープを食べるといった計画らしい。

「……しんどくね?」

「平気平気」

 赤の顔は笑い顔。この会話も楽しんでいるといった様子だ。

「いや、俺が」

「あはは、だらしないなぁ」

「そういうこと言うか?」

 少しむっとする色無。そりゃあ赤の方が鍛えてるかもしれないけどそこまでヘタレじゃないぞとばかりに。

「だってさ〜」

「ああ、いいよ。……後悔するなよ?」

「やったぁ色無大好き〜」

「うお!? お前抱きつくなよ!」

「いや〜」

「えへへ」

 二人とも何だか照れ隠し。近くにいるのに微妙に顔を逸らしたりなんかして。

「に、似合ってるよそれ……」

「そ、そうかな。ありがと……」

 いつものラフな格好とは違い、女の子らしい服装の赤に色無は新鮮な驚きと喜びを覚える。やっぱり赤は可愛かった。

「じゃあ行こっか?」

 買い物に遊園地、ボートに乗ってクレープ食べて、電車を乗り継いで……。

「く〜」

「やっぱりこうなるか……」

 くたびれてしまった帰りの電車、赤は色無にもたれかかってグッスリと眠っている。穏やかな、しかしどこか嬉しそうな愛くるしい顔で。

「おい、赤?」

「くか〜」

「まったく……」

 暫らく寝かせといてやるか。この時間、この瞬間だけ赤の寝顔は俺だけのものなんだ。

「むにゃ〜色無好き〜」

「反則だろそれ……」


『おべんと』

赤「色無、朝だよ起きなさいよ」

無「……眠いんだよ、今日は学校も休みだし寝かせてくれよ」

赤「むー、仕事に疲れた父親みたいな事言ってないで起きろ色無!」

無「!!!」

赤「あ」

無「赤……殴って……いい所と……悪い所が……」

赤「ゴメン……大丈夫?」

無「なんとか……おかげで目がさめたよ」

赤「じゃあ出掛けようよ、色無」

無「出掛けるって約束してたか?」

赤「約束なら今からしようよ、外に出たら気持ちいいよ?」

無「うーん、そうだな、今日はやることも特にないし赤と出かけるか」

赤「やったー」

無「……そうだよな、赤と出掛けたらこうなるよな」

赤「色無、なにしてるの?」

無「なんでもないよ、次はオレの番だな」

赤「さっきも言ったけど、先にホームランを打った方にお昼をおごるんだからね」

無「ああ」

無「……でも良かったのか?」

赤「なにが?」

無「ハンバーガーでよかったのか、って事」

赤「……外で二人で食べたかったから」

無「……そうか」

赤「そうよ……あ、ソース付いてる」

無「え、どこだよ?」

赤「違うそっちじゃなくて」ペロ

無「ちょ、なにして」

赤「……イヤだった?」


赤「色無、走りに行こ!」

無「いいよ、俺しんどいし。せっかくの休みなんだからさ、こう、ゆっくり……」

赤「なーに言ってるの? せっかくのジョギング日和なのに。んー、いいお天気ー」

無「なんか幸せそうでいいなぁお前」

赤「あは、何それ、私が馬鹿ってことー?」

無「や、そういうわけじゃ」

赤「どうせ私は馬鹿ですよーだ」

ペロッと舌を出して彼女は笑う。その仕草に僕は目を奪われてしまった。

——ふと、夏の訪れを感じさせる風が吹いた気がして。

無「そうだな、行こっか」

赤「そうこなくっちゃ」

穏やかな日差しを受けて僕たちは走り出した。


無「ちょ、ちょっと待ってくれよ〜」

赤「なに、もうへばっちゃったの?だらしないなぁ」

無「だらしないってどれだけ走ったと思ってるんだ……」

赤「う〜ん……3kmくらい?」

無「十分だ!せっかく花見に来たんだからゆっくり桜でも見ながら歩こうぜ」

赤「こんなきれいなところで走らないなんてもったいないよ!」

無「なんでそういう考えになるのか……」

赤「ぶつくさ言ってないでホラ!あそこの桜の木まで競走しよ!よ〜いドン!」

無「お、おい、もう少しくらい休憩させて……待ってくれよ〜」

赤(二人っきりでお花見に来てるなんて他のみんなに知られたら何て言われるか……)


 『記録』

赤「はぁ……」

無「ため息なんて珍しいな」

赤「記録が伸びないのよ」

無「部活のか?」

赤「そう、後少しで大会に出られるのに……もう辞めちゃおうかな」

無「赤」

赤「な、なに、色無。真剣な顔して?」

無「俺はお前が毎朝早起きして練習を頑張ってるのを知ってる」

赤「うん……色無も時々付き合ってくれたよね」

無「あんなに頑張ったんだから、大会の選考までもう少しやってみてもいいんじゃないか?」

赤「……うん」

無「……そうだ! もし赤が代表に選ばれたら1日赤に付き合うってのはどうだ?」

赤「……え!」

無「なんてな、俺よりも友達のほ」

赤「いいの? よーし、頑張るぞー」

無「え?」

朱「……で?」

無「自己ベスト、というかうちの高校の記録をあっさり塗り替えました」

朱「そうか……この女殺し」

無「え、いや、冗談半分で気晴らしにでもなればと思っただけなんですけど」

朱「……訂正してやる。この天然女殺し! さっさとデートに行ってしまえ!」


『おにごっこ』

赤「いーろなしー、あーそーぼー」

無「いいよ、何して遊ぶ?」

赤「おにごっこ!」

無「じゃあジャンケンで鬼きめよう」

赤「じゃあ、あたしが鬼ね」

無「よーし、捕まらないからな」

赤「いっくよー……うわっ!」

赤「うぅ……グスッ」

無「転んだりして、赤はバカだなー」

赤「バカじゃないもん!」

無「泣きそうな顔で言うなよ、ひざから血が出てるし」

赤「泣いてないもん!」

無「仕方ないなー、特別だからな? ……ちゅ、ぺろ」

赤「い、いろなし! ひざなんかなめたらキタナイよ!」

無「母さんにしてもらった事があるんだ……ほらこれでだいじょうぶ」

赤「ぁ……ぅ……」

無「あとは、はい」

赤「な、なによ」

無「家までおんぶしてやるから」

赤「い、いいわよそんなの」

無「ケガしたときは大人しく言うこと聞くもんだって母さんが言ってた」

赤「……う、うん」

無「よいしょっと……赤、軽いな」

赤「そ、そお?」

無「走れそうなくらい軽いよ」

赤「……歩いてもいいよ」

無「そう?」

赤(ひろいな、いろなしのせなか)

無(赤ってかるくてやわらかいな)


 浅い眠りから覚め、時計に目をやるとまだ五時前だった。最近、あんまりよく眠れない。

「今日もユーウツな音が聞こえるなあ……」

 うんざりしながらカーテンを開けると、予想通りにしとしとと雨が降っていた。

「嫌な雨……いったいいつになったら止んでくれるの?」

 肩を落とし、もう一度ベッドにごろりと横になると、自然にハア、と熱い吐息が漏れた。胸の奥で消え残ったたき火がくすぶって、その熱が全身に回っているような感じがする。

「何だろう、この感じ……どうしたらいいのか分かんないよ」

 こんなとき、脳裏に浮かぶのは決まってアイツの姿。

「いつも笑顔で、ときどききついことも言うけど、ホントは優しくて……」

 そして、思ってたよりもずっと引き締まっていたその身体。初めて見たときは、ちょっとびっくりしたくらい。

「逆三角形に盛り上がってて……こーんな感じだったよね」

 仰向けになり、記憶に残るそのシルエットを空中に指で描いてみる。そこにアイツがいるような気がして、ちょっとうれしくなった。

 ごろりと寝返りを打つ。布団の冷たいところが当たって気持ちよかったけど、すぐにそこにも体温が移って熱くなってしまう。

「また、しちゃおうかな。我慢するのもよくないって言うし……」

 気づかないうちに伸びていた手を、ハッとなって反対の手で押さえつける。

「ダ、ダメダメ! 昨日もシタばっかりじゃん! まだ隣で緑と青だって寝てるだろうし……大きな音立てたら起きちゃうよ……」

 だけど、しちゃいけないと思うほどに体はどんどん熱くなっていく。心臓がドキドキと大きく脈打って、破けちゃいそう。

「……静かにすれば大丈夫だよね? これで終わり。今日で最後にするから……最後に一回だけ……」

 私はゴクリと喉を鳴らしてつばを飲み込むと、震える手で敏感なボタンに触れた——

 

 ピッ ウィーン——

『ワンモアセッ!』

「よーし、快晴を祈願して、今日は全プログラム無限ループでいっちゃうよー!! ワンモアセッ!」

「色無。朝から赤が部屋で大暴れして、うるさくて仕方がないんだけど。何とかしてちょうだい」

「まったく、いま何時だと思ってんのよ! 昨日も一昨日も注意したっていうのに!」

「だからって何で二人して俺のところに来るんだ……泳ぎ続けてないと窒息する鮫みたいなもんで、赤は身体動かしてないと死んじゃうんだよ。我慢してやれ」


『ジョギング』

無「暑いー」

赤「根性ないぞー、色無」

無「根性とか言われてもな」

赤「まあ、私のトレーニングに付き合ってくれるのはうれしいけど」(ボソ)

無「なんか言ったか?」

赤「物好きだなーって」

無「赤が?」

赤「色無が」

無「俺が?」

赤「そうよ、私に付き合って走ってくれるのは色無くらいだもん」

無「……最近運動不足だし、たまにはな」

赤「たまに〜?」

無「……何だよ」

赤「色無のたまに、は1ヶ月連続の事なんだー」

無「……悪いかよ、1度初めたら朝早く目が覚めるようになって暇なんだよ」

赤「へー」

無「……なんだよ」

赤「なんでもなーい」(最近色無の部屋にたくさん目覚まし時計があるの知ってるんだから)

無「……なんだよニヤニヤして。昨日からスポーツドリンク作っておいたけど赤にはやらないぞ」

赤「! ごめん、色無ー、色無ってばー」


赤「あつ゛ぃー」

無「さすがの赤もこの暑さじゃ運動する気にもならないか」

赤「むー。なんかそういう言い方ってひどくない?」

無「ごめん。ごめん」

赤「僕だって一応日焼け止めとか塗ったりして気をつけてるんだから」

無「そうなのか」

赤「それに橙や桃ほどじゃないけどお肌にも気を使ってるし」

無「お〜」

赤「まぁお化粧のことは全然わからないから今もすっぴんなんだけどね」

無「え?そうなの?」

赤「あれ?気付いてなかった?」

無「いやぁー。すっぴんでその状態ならかなりイケてると思うぞ」

赤「ほんと?」

無「おう。俺が保証してやる」

赤「そっかー。ありがと」

無「?」

赤「よーし!何か走りたくなってきたぞー!!ほら、色無行くよ!」

無「え、いきなりどうしたんだよ」

赤「いいから。いいから。よーいどん!」

無「ちょ、待てって。うわぁ外あちぃー」


無「赤ー。赤?」

赤「……」

無「おーい聞いてる?」

赤「……」

無「世界陸上もいいがちょっと天気予報だけ見せてくれー」

赤「……」

無「なんか反応してくれよ?」

赤「……」

無「なんか反応しないとほっぺつっ突いちゃうぞぉ?(プニプニ)」

赤「(パシッ)……邪魔しないでよ」

無「……ごめん」

赤「あー日本予選落ちかぁ。ん?色無どうしたの?」

無「……ごめんよ」

赤「え?何が?何が?」


『ある雨の日に』

赤「……」

無「赤が本読んでる……だから雷鳴ってるのか」

赤「失礼ね、外に出れないから本読んでるのよ」

無「そうなのか? でもこんなに派手に雷鳴ってるのに、よく落ち着いて本なんか読めるな」

赤「いきなり音が鳴るのは部活で慣れてるし」

無「……それはそうかもしれないけどな」

赤「あ、こわーい。とか言って色無に抱きつけば良かった?」

無「……それもどうかと思うが」

赤「……そーだね」

無「……」

赤「あ!」

無「な、なんだよ!」

赤「筋トレしてないや、色無手伝って」

無「……はいはい」

無「……なあ」

赤「なにっ、よっ」

無「見た目、かなりまずい体勢になってないか?」

赤「そうっ? かなっ?」

無「……いや、赤がいいならいいけどな」

赤「いやなら頼まないわよ」

無「……そうか」

赤「そうっ、よっ」

赤「あー、疲れたー」

無「もたれ掛かるな」

赤「なによ、別に平気でしょ?」

無「……ドキドキするっての」

赤「問題なし、いやむしろ問題にしてみる?」


無「なぁ、良質な筋肉って柔らかいらしいな。こう、つきたての餅みたいな」

赤「へー、色無良く知ってるね」

無「筋肉って硬いもんだと思ってた」

赤「硬いと怪我しやすくなるからね、肉離れとか」

無「あーそうなんだ。……でもさぁ」

赤「ん?」

無「柔らかい筋肉って、硬い筋肉より力でないんじゃね? なんかそんなイメージがある」

赤「あはは、やだなぁ色無。普段柔らかくたって、力を出すときはしっかりと硬くなるよ。柔らかい筋肉ってのはわかりやすく言うと、柔軟な筋肉ってことだよ」

無「へー、そうなのか」

赤「うーん、イマイチ伝わってるのか不安だなー……。あ、そうだ、さわってみると手っ取り早いよ! ほら」

無「ちょ、ちょっと赤!? ……本当だ……今チカラ入れてる?」

赤「うん」

無「へー、本当に硬いや……。あ、柔らかくなった」

赤「これ、でも維持するのに苦労するんだよ? ケアやトレーニング方法にも気をつけないといけないし。

トレーニングの時だけじゃなくて、毎晩お風呂上りにもストレッチやったりとか。まあもうなれちゃったけどね!」

無「そ、そうなんだ……あ、あの赤? そろそろ手を離……」

赤「へへー、色無、ボクは陸上部なんだから、足の方が凄いんだよ?」

無「ちょ、ちょっと!? おわっ!?」

赤「どう? 鍛えられてるでしょ」

 むちむち。

無「はい……とっても……(うわあ満面の笑みだ……無理に払い除けるのもあれだし……うう、恥ずかしい……てか赤は恥ずかしくないのか?)」

赤「そうでしょ! いやー顧問の先生からも、『赤の筋肉はいいね、赤の筋肉はいいね』って褒められるんだー♪」

無「(……その顧問アブナイな……ていうかこれ以上は無理だ……)……な、なぁ、赤は恥ずかしくないの?」

赤「え?」

無「え、えと、こんなとこ男にさわらして……」

赤「え!? え、えと……あと……は、恥ずか……しい……かも/」

無「な、なんかごめんな……(半ば無意識のうちにやってたのか……言わなきゃ良かったかな……)」

赤「う、ううん、無理矢理手を引っ張って触らしたのはボクだし……って、はうっ!/」

無「(自分の言った言葉に反応してさらに恥ずかしくなってる……)え、ええと……(うう、どうしよう……すごく気まずい……)」







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 03:06:49