青メインSS

青「色無! 明日買い物に付き合いなさい! 遅れないでよ!?」

無「とか言っていた青さんが時間に遅れているのでした」

青「ゴメン色無、待たせちゃった!?」

無「いや、俺も今来た……ところ……」

青「? どうしたの?」

無「かわいい……」

青「へ!? ちょ、何言ってるの!? 止めてよ!?」

無「いや、マジでそう思ったからつい口に出ちゃった。青、すごくかわいいよ」

青「もう! いいから、行くわよ!(えへへ♪ かわいいって言われちゃった♪ 昨日の夜からずっと悩んだ甲斐があったな♪)」

無「あ、そこ気をつけろ。水たまりが」

 ぶろろろろろ! ばしゃっ!

青「……(ぽたぽた)」

無「あるから……」

青「なんで、なんでこうなるのよ……色無がかわいいって言ってくれたのに、もう、最悪……」

無「青、今日は帰ろう?」

青「やだやだ! せっかく色無とデートできると思ったのに! こんなのって!!」

無「青、俺ならさ、何時でもまた付き合うからさ。今日はもう帰ろう? 青が風邪引いちまうよ」

青「ぐすっ……ホントに? また付き合ってくれる?」

無「ああ。約束する」

青「色無……ふ、ふん! そんなに私とデートしたいっていうなら、しょうがないわね! 付き合ってあげる!」

無「ったく……よろしく頼みます」

青(色無、ありがとね♪)


「う〜、今日は一日寒かったなあ。青、さっさと帰ろうぜ」

「あんたは年から年中暑いの寒いの言ってるわね。すべては気の持ちようよ。色無は我慢が足りないわ」

 身を縮こまらせて震える色無に、青は冷たい視線を送った。

「そんなこと言ったって、寒いもんは寒い。平気でそんな薄着してる青が異常なんだよ……ん?」

 言い返した色無は、不意に青の手を取ってじっと見つめた。

「な、急に何するのよ! 人前で妙な真似をすると承知しない——」

「青、お前しもやけになってるじゃん。心身鍛えるのもいいけど、ほどほどにしろよ。ほら、俺の手袋貸してやるよ」

 確かに青の指には、ところどころしもやけができていた。わずかにあかぎれになっているところもあり、見るだけで痛々しい。

「もう、離して! 私がいたらないせいでこうなったんだから、気遣いは無用よ! それに私が手袋しちゃったら、色無が冷えちゃうじゃない」

 互いに手袋を押しつけ合い、二人でにらみ合う。やがて色無がため息をつき、妥協案を出した。

「しょうがない、こうしようぜ。ほら、そっちの手貸して」

「だから私には必要ないって……」

「片っぽだけだよ。で、こっちは俺がはめる。それで空いた手をこうすれば……」

 色無は青の手を取り、自分の手と一緒にコートのポケットへと突っ込んだ。

「な? これなら二人とも温かいだろ?」

「こ、この馬鹿! 離してよ、人が見て笑ってるじゃないの!」

「いいからいいから。さあ帰ろう!」

「……まったく、あんたってときどき信じられないほど強情になるわよね……つき合う私の身にもなってよ」

「青の身体が傷ついてるのに、黙っちゃいられないさ。今日だけ我慢してくれよ。明日からは自分で手袋してこいよな」

「そ、そっか……今日だけか……それじゃあ、しょうがないわね」

 細い路地に入り、人通りも少なくなった道を、二人はしばらく無言で歩いた。

 寮まであと道半ばといったところで、青は決死の思いを口にした。

「ねえ、色無。きょ、今日は一段と冷えるわね。その、手だけじゃなくて、腕から冷えて痺れてきたんだけど……」

 色無は目を丸くし、そして微笑んだ。

「これはこれは気がつかず、申し訳ありません、姫」

「……いつもいつも軽口ばかり叩くんだから、この馬鹿……」

「悪い悪い。お詫びに、少しゆっくり歩こうか?」

「……好きにすれば!」

 ぴったりと寄り添い、一つになった影が、先ほどより少しだけゆっくりと歩み始めた。


無「ただいま〜」

青「お、おかえりなさいって、今日も5時からずっとベランダから前の道を見張ってて、あんたがマンションのエントランスに入ってからは玄関で立って待ってたわけじゃないんだからね!」

無「はいはい。御苦労さんでした。とりあえずご飯にしてくれる?」

青「うん、って、べ、別にあんたのために鯖の味噌煮と大根サラダ作ったわけじゃなくって、たまたま鯖と大根が安かっただけなんだから、そこのところ勘違いしないでね!」

無「ほんと青は俺にはもったいないほどよくできた嫁だなぁ。結婚して良かったよ」

青「べ、別にあんたのために結婚してあげたんじゃないんだからね…… あッ(汗」


『買い出し』

青「色無」

無「ん? どうした青」

青「あなたね、春になったのにどうしてそんなにだらけてるのよ」

無「だらけてるか、俺?」

青「ソファーに横になってテレビ見るなんて、だらけた証拠じゃない」

無「いやこれは、ちょっと走ったからであってだな。決して普段からこうだとか言うわけでは」

青「ちょっと走ったくらいで横になるとか、だらけてる証拠じゃない」

無「わかったよ。それで、だらけてる俺にどうして欲しいんだよ」

青「黄緑と水が寮で必要なもののメモを作ったから、買い出し」

無「俺一人で?」

青「あなた一人だと余計なもの買ったり寄り道したりするでしょ」

無「……否定できないところがつらいところだな」

青「仕方ないから私がついていってあげる」

無「それはどうも、それにしては嬉しそうだけど、何かいい事でもあったのか?」

青「いい事? これからあるのよ」

無「?」

青「ほら、さっさと仕度する」

無「わかった、わかったから。そんなに押すなよ」

青「ご苦労様」

無「全部持たせるとか、鬼かお前は」

青「私もちゃんと持ったわよ」

無「そうだな、そういうことにしておこう。じゃ、部屋に戻るわ」

青「……お疲れ様(せっかく、片手空けたのに……私のバカ)」


 学校から帰ろうと下駄箱から靴を出し、履き替える。

 今日は部活がないからすぐに帰れるんだけど、足が少し重い。

 理由は、しとしとと降り続ける雨と、いつもと違う、冷たい帰り道。

 私は雨があまり好きじゃなかった。何となく、嫌なイメージしか思い付かなくなる。

 今日の占いで「青い傘を持ち歩くと幸せが来るかも!」と言われても、やっぱり、好きじゃないのは変わらない。

 ……ちょっとだけ、ブルー。こんな日は、早く帰っちゃおう。

 そんな気持ちを抱えながら、青い傘をさして歩いていたら、コンビニで雨宿りしている色無の姿を見かけた。

 少しだけ、鼓動が早くなる。

 それをゆっくりと抑えながら、私は彼に近づいてみる。

「色無? びしょ濡れじゃない」

「大して降らないと思っていたんだけど、途中で大降りになって濡れ鼠になったよ」

「それで雨宿り……水滴が店の中まで垂れるほどだと、雨宿りしても意味ないんじゃない?」

「ぐっ。寮までまだ歩かなきゃいけないから風邪をひかないように……」

「それなら、最初から傘を買いなさいよ。降水確率、高いって天気予報で言ってたじゃない」

 私は心の中で、自分が嫌になった。

『帰り道、一緒に入る?』

 たった一言。その一言が、私には出せない。

「そうだな。雨、止みそうにないか」

 ああもう、私は色無にそんな顔をさせたいわけじゃない。

 だから、心の中でほんの少しの勇気を振り絞り、

「色無、もしよかったら……」

「仕方ない、出費が痛いけれど買うか」

「あ……」

 ……その勇気は、あっさりと溶けてしまった。

「それじゃ、また寮でなー!」

「……うん。また後で、色無。……ばか」

 傘を買って店を出た、色無の後ろ姿。

 その姿に、私は気持ちを小さく呟いた。

 やっぱり、雨は嫌い。

 ちょっとした夢も、通じないから。


 1日目

青「つき合ったら漠然とだけど何か変わると思ってたわ」

無「え? なんでそんなこと言うの?!」

青「つき合って3か月よ」

無「もう3か月だろ?」

青「3か月しか経ってないのに! なんか全然、初々しさとかないんだけど!」

無「それは仕方ないだろ……何年一緒にいると思ってるんだよ……」

青「確かに12年も一緒だけど……でもでも……! こんな風に部屋でずっと喋ってるだけよ!」

無「週末は出かけてるよ……たまに放課後にマック行ったり、買い物したりしてるし……」

青「雑誌とかだとつき合ってすぐは話すだけで楽しいって書いてあるわ!」

無「何でもかんでも鵜呑みにすんなって……」

青「してないわよ」

無「だいたい、みんながみんな雑誌に書いてある通りってわけじゃないだろ?」

青「……」

無「十人十色って言うし、うちにはうちのつき合い方があるんじゃないかな?」

青「確かに……うん! そうよね!」

無(最近、つくづく思うけど扱いやすいヤツだよな……)


 2日目

無「なんか甘いものが食べたいな」

青「チョコでよければあるわ」

無「ありがとう。おー、板チョコがそのまま出てくるとは」

青「え? 板チョコまんまは変?」

無「いや、もっと違ったものが出てくると思っただけ」

青「どんなもの?」

無「……板じゃないチョコ……的な……何か」

青「次はそういうの用意しておく」

無「小さいころからチョコ食べると鼻血が出るって言うよな?」

青「うん。私も言われた」

無「あれって本当なのかな?」

青「調べてみよう」

青「関係ないみたいね」

無「これすごいな。詳しく書いてある」

青「医学的にも根拠なしか……さすが教えてgoo」

無「ネットを見てると分からないことはないように思うよな」

青「確かに今までヒットしなかったことってないわ」

無「このあいだ、試しに『観葉植物 食べる』で検索して出てきたときは驚いたよ」

青「そう? 葉っぱなんて油で揚げれば全部食べれそうだから不思議ではないわよ。タンポポの葉っぱは食べれたわ」

無~(ときどき、コイツのことが分からないとき時がある……)


 3日目

 テレビ鑑賞中

 『高校の教師が未成年に対してわいせつな——』

無「おいおい……」

青「男はだらしないわね」

 『——容疑者は今回の事件について、「高校の教師という立場にありながらこのようなことをしてしまい誠に申し訳ない」と——』

青「毎回思うんだけど、こういうときってみんな同じようなことしか言わないわよね」

無「そりゃ、こんな時に『いやー、やりました! 年下の子は最高ですね☆』なんて間違っても言わないだろ」

青「わかるけど、釈然としないのよ」

青「そういえば、オークションの評価っていつも同じこと言ってる」

無「ああ、確かに毎回『この度は迅速かつ丁寧な対応をしていただきありがとうございました』って感じだ」

青「だよね。なんか味気ないし、つまらないわよね」

無「なんか新しいの考えてみるか」

青「えーと、『今回は……今回は……』」

無「迅速だから……スピーディーとか?」

青「今回はスピーディーかつ、丁寧……丁寧!? 英語でなんていうんだっけ?」

無「全部英語にすることはないよ。何がいいかな……」

青「できたわ!」

無「なになに……『今回はあなた様の奥ゆかしい対応に私は感服いたしました。またご縁があったらと願わずにはいられません』」

青「自信作よ!」

無(文学作品みたいなセリフ回しだ……)


 私は自分の愚かさを呪った。

 手に持った傘は雨避けの用をなさず、無残な姿になっている。

 鞄も濡れ濡れ、おそらく中身は大丈夫だと思うが、それも時間の問題だろう。

 恨めしく天を仰ぐと、私の心を表すかのようにどんより曇っている。

 雨足は収まってきたが、私の心は晴れてはいない。

 濡れた髪と服が肌に張り付いて気持ちが悪かった。

 とりあえず軒先を借りて雨宿りをすることにした。



「台風が近づいてくるのは……知らなかったなぁ」



 ため息をつく。

 私は下校時に突風に傘を壊され、雨によって濡れ鼠にされたのだ。

 幸い人足はこの天気で途絶え、馬鹿な姿を見られる事はない。

 が、上から下までの、この不快感はいかんともしがたい。



「もうずぶ濡れだから、走って帰っちゃおうかな……」



 あれこれ考えてると、私の眼前に白い物が突きつけられた。



「……タオル?」



 ふと、横をみると色無が居た。

 なにやってんだといった顔で、私にタオルを差し出している。



「あ、ありがとう」



 私はそれを受け取って身体を拭くことにした。

 さすがに水気は取れないが、ずぶ濡れよりはましだ。



「色無、ありがとう」



 私は笑ってタオルを返した。

 色無も笑い返す。



「いや、こちらこそありがとう」

「はぁ?」

「気づいていないのか?」



 色無が私にむかって指をさす。

 その先には私……身体……胸? 

 雨に打たれた時はそれどころではなく気が付かなかったが、Yシャツが透けていた。

 ぴっちりと、なだらかなラインがわかる。

 うん、さすが私。いいスタイルだ。

……って! やだ! ちょ!? 

うろたえる私を尻目に、色無はポツリと呟いたのだった。



「……青。ブラも青、素晴らしい」



 色無の何気ない一言。

 次の瞬間、天候に負けずとも劣らない、私の雷鳴のような悲鳴があたりに響いたのであった。

 ……最悪。

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青「今週も暑さが厳しくなると思いますので、皆さんしっかり水分補給はしましょう。私からは以上です」

司会「副会長、ありがとうございます」

無「青のスピーチってやっぱり切れがあるよなぁ」



青「おはようございます」

無「今日は登校指導ってやつ?」

青「そ。あと色無、暑くてもシャツの第二ボタンは締めてよね」

無「はーい」

青「あ、そこの娘!」

女生徒「あ、はい」

青「タイがずれてるわよ。(キュ)うん、かわいっ!」

女生徒「あ、ありがとうございます( ///)」



弓道部

スコーン

青「ふぅ」

部員「やっぱり青先輩はすごいなぁ。私じゃ的に当たりもしないのに……」

青「栗色、ちょっと構えてみて」

部員「こう。ですか?」

青「(ピト)ふぅむ」

部員「せ、せせせせ先輩! くっくっつき……」

青「もう少し、足を開いて……」

部員「は、はい( ///)」

青「そう。あとちょっと顎を引いて、真っ直ぐ前を見て。そこよ、そこで放して」

 スコーン

部員「やった!」

青「やればできるじゃない(ナデナデ)」

部員「あぅ」



女生徒「キャ!(ポテ)」

青「大丈夫! あなた!」

女生徒「あぁ、大丈夫です」

青「大丈夫じゃないわ! 血がでてるじゃない! 今、絆創膏貼ってあげるから!(フキフキ)」

女生徒「先輩のハンカチ、汚れ——」

青「気にしないの、これでよし。女の子が傷痕なんか残しちゃ駄目だから、ね」

女生徒「は、はい( ///)」



無「おまっ、本当は……」

青「な、なによ!」

無「無自覚か……」


青(午後の授業ってどうしても眠くなるわ……我慢しなきゃ)

無 パクパク

青(色無? こっちむいて何やってるのかしら?)

無 パクパク

青(口パクで何か伝えようとしてるのかしら? あれ? あの動きって……)

 『す』 『き』

青(えええええええええええ!? なんでこのタイミングで!? 嬉しいけど! すっごく嬉しいけど! な、なんて応えたら……)

無 パクパク

青(も、もう。わかったわよ。私の素直な気持ちを——)

先生「じゃ青、次の文章和訳して」

青「は、はいぃ!?」

無(あーあ、せっかく「つぎ」って教えてやったのに。それにしてもなんで青、顔あんなに赤いんだ?)







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Last-modified: 2012-10-21 (日) 03:20:17